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(1)
「あれ?冬莉早いね」
そう言って来たのは瞳子だった。
「まあ、そんなに準備してたわけじゃないしね」
女子同士でしかも中学生がそんなに気合入れてどこに遊びに行く?
連休の後半に私と瞳子と冴はショッピングモールに気晴らしに買い物に来ていた。
服を選んだり、雑貨を見たり本屋さんで立ち読みしたり。
ファストフード店で昼食をとる。
二人共私のトレーを見て驚いていた。
「なんで冬莉はそんなに食べてその体型維持してるの!?」
冴が言う。
そんなに驚く事なのだろうか?
片桐家の人間はみんな似たようなもんだ。
愛莉はパパに付き合って食事して太った事があったらしいけど。
ちなみに私もあまり運動は好きじゃない。
苦手じゃないけど面倒臭い。
なんで一々汗かかないといけないのか理解に苦しむ。
でもスポーツに情熱をかけてる人もいるのは知っているから、わざわざそれを否定するつもりも無かった。
冴の彼氏の多田誠司や私の双子の兄の冬吾もそんな一人だ。
もっとも冬吾にいたってはサッカーの練習をしながら勉強もこなす。
ルックスが平凡なのが唯一の欠点くらいじゃないのだろうか?
後は自分が理解できないと人に聞かずにはいられない性格。
誠司が色々冬吾に吹き込んで、それが理解できずにパパ達に相談している。
パパ達も困っていた。
冬吾と付き合ってる瞳子にも聞いたことがあるらしい。
それで瞳子は決断したらしい。
「もう少しだけ時間をください」
「何かあるの?」
「私の心の準備が出来たら、冬吾君がそんな気持ちになってくれたら教えてあげる」
そう言って冬吾を説得したと昼食を食べながら聞いていた。
冴は誠司が何度も要求していたそうだ。
大人しくベッドでやっていればいいものを、その場で初めて部屋に様子を見に来た母さんに見られたらしい。
誠司の顔の上に馬乗りになる冴。
冴の股の下から顔を見せる誠司。
誠司の母さんはそっとドアを閉めたそうだ。
そして二人は大ゲンカ。
冴は泣きながら帰ったらしい。
誠司は母さんにかなり怒られたそうだ。
「誠司もそんな歳になったか」
誠司の父さんはそう言って感心していたらしい。
そんな出来事を冴はカラオケで話していた。
「冴も大変だね」
「……もう慣れたよ」
半ば諦めてる様子の冴。
そんなところも含めて好きなんだと去年の修学旅行の時に冴は言っていた。
だけど近頃の様子はおかしい。
私の気のせいだろうか?
冴の心から愛情という物が全く見えない。
瞳子は気づいているのだろうか?
「でも偶には女子で集まるのも悪くないね」
男子に言えない事だってあるし。
「そうだね」
「でさ、瞳子。あんた最近胸大きくなったでしょ?」
「え、分かった?」
私もそれは気づいていた。
制服の上からでもはっきりとわかる。
冬吾は気づいてないのだろうか?
私は瞳子に聞いてみた。
すると瞳子はくすっと笑った。
「多分気づいてると思う。だから目のやり場に困ってるみたい」
やっぱり彼女だと気にするのだろうか?
「だから私から教えてあげた。”そ、そうなんだ”って慌ててたよ」
それは初耳だ。
多分そういう話は女性にしちゃいけないってパパが言ってたから律義に守っているのだろう。
一方誠司は「愛情をこめて揉めば大きくなるらしいから俺が揉んでやるぜ」と冴に言って大ゲンカしたらしい。
「……本当しょうがない奴だよね」
まただ。
何か違和感を感じる。
まるで他人事みたいに。
そういえば最近2人でいるところを見た事すらない。
誠司はサッカーの練習に行くから一緒には帰らない。
瞳子も一緒だけどその分教室で話をしたり、冬吾が家に帰って部屋で瞳子と話しているみたいだ。
誠司はそういうの無いのだろうか?
「うーん。やっぱり誠司と冬吾じゃ違いがありすぎるよ。誠司の奴私を何だと思ってるんだろう?」
「……冴は誠司の事なんだと思ってるの?」
どうしても気になったので聞いてみた。
「え?彼氏だけど……」
普通に返す冴。
だけどやっぱり気になる。
「去年さ、修学旅行で言ってたよね?」
ダメな部分もまとめて好きになるのが恋なんだって。
「そうだけどそれがどうかしたの?」
「今も同じ事言える?」
今は誠司の事好きだって言える?
「……しょうがないのかなって思ってる」
冴が急に落ち込んでいる。
やっぱりそうなんだ。
「……私は恋愛という物をしたことが無いから偉そうに言えないけど、今の冴は誠司の事が好きだとは思えない」
付き合ってるからしょうがない。
そんな理由で意地になって恋にしがみついてるだけじゃないの?
そもそもそんなに雑に扱われてるのに、自分の気持ちをしっかり言えないのに続けなければいけない交際なの?
「……冬莉の言う通りかもしれない。私も最近の冴見てると恋愛を楽しんでるようには見えない」
瞳子も同じように思ったみたいだ。
冴は少し考えてから話した。
「私も最近どうしたらいいのかわからないの。はっきりサヨナラって言えたらきっとすっきりするのかもしれないけど……」
その時私は一人になる。
寂しさに震えてしまうんじゃないのか?
失恋という烙印が一生消えずに残ってしまうんじゃないだろうか?
私は新しい彼に出会えるのだろうか?
色々考えてしまうらしい。
私は冴の話を聞いて自分の意見を言った。
「それを決めるのはまだ早すぎるんじゃない?」
想い人とちゃんと結ばれるにはあと8年もある。
その結ばれた縁も突然途切れてしまう事もある。
それでもいつかきっと変わらぬ愛という物に届くんじゃないか?
それを探して生きていくのが人生なんじゃない?
「冬莉は私が誠司と別れた方がいいと思ってるの?」
冴が聞いてきた。
「冬吾はとても楽しそうに瞳子と話してる。なのに冴は誠司の話をしているときは辛そうに見えた」
別れるかどうかはまでは私が干渉するべきじゃない。
だけどそんなにつらい思いをしてまでこだわる人なの?
そもそも「諦める」ってのは「好き」って事に繋がるの?
冴は誠司と今付き合っていて楽しかったことある?
すると瞳子も話した。
「これは冬吾君から冴には言わないでって言われてたんだけど、やっぱり今言わなきゃいけないと思うから言うね」
「どうしたの?」
冴が瞳子に聞いていた。
それは私も冬吾から聞いていた。
誠司はサッカーの練習中に女性ファンと連絡先の交換をしている。
それはサッカーの練習中だけじゃない。
学校でも冴の目を盗んで大勢の女子と仲良くしてる。
「そうなんだ……」
冴のその一言を聞いて私は確信した。
「ほら、やっぱりそうじゃない」
「え?」
冴が私の顔を見る。
「前だったらもっと怒ってたはずだよ。でも今は『しょうがないんだ』って諦めてる」
冴の中では結論が出ているんじゃないの?
冴は私の話を聞いて黙ってしまった。
「……二人共さ。この話誠司には伏せておいてくれないかな?」
冴も少し考えたい。
この先どうすればいいか考えたい。
私と瞳子はうなずいた。
「なんかごめんね。折角楽しく遊ぼうと思ったのに」
「それは違うよ冴」
私が言った。
「私より瞳子の方が薄々気づいてたんじゃないの?だから私達3人だけで遊ぼうって言いだしたんじゃない?」
「冬莉は鋭いね」
冬吾君そっくりだと瞳子が笑った。
カラオケを出ると薄暗くなっていた。
夕飯までには帰ると愛莉には言ってあったから私達は帰る事にした。
「またなんか悩んでたら3人で話そう?」
瞳子が冴に話す。
冴は私に言う。
「ごめんね。まだ恋愛すら分からない冬莉に嫌な話聞かせちゃった」
「綺麗事ばかりじゃないって聞いてるから大丈夫」
そして自転車で家に帰ると服を脱ぐ。
「冬莉!服は部屋で脱ぎなさいと言ったでしょ!」
「どうせ、そんなに自慢できる体じゃないよ」
「そういう問題ではありません!」
愛莉が怒ってる中パパは察したらしい。
「何かあった?」
「うーん、今はまだ言えないかな」
パパは心の中を正確に読み取る。
だから何も言わないより「誰にも言わないで」と言った方がいい。
「……分かった」
パパはそう言ってテレビを見ている。
きっと夜に愛莉には話すんだろう。
でも誠司の親には秘密にしてくれるはず。
部屋に入ると茜がいた。
「あ、おかえり。どうだった?」
「まあ、色々あったよ」
「その様子だとあまりいい話じゃなさそうだね」
「まあね……」
「でもいいなあ。私は梨々香と真香くらいしかいないからさ」
梨々香も毎日の様にSHの反乱分子を叩きつぶしてる純也をヒヤヒヤしながら見てるそうだ。
瞳子は順調に冬吾と過ごしている。
冴はどうなるか分からない。
でも私の相手はいつになれば現れるのだろう?
見ず知らずの男子に付き合えと言われても無理な話だ。
どんなめぐり逢いが待っているのか楽しみにしていた。
(2)
「やあ、約束通り連れて来たぜ」
「え!?本物の片桐君!?」
僕と誠司と隼人がカラオケの部屋に入ると知らない年上の女子がいた。
自己紹介を聞いていたら高校生だという事が分かった。
「冬吾君サインください」
まあ、練習中の休み時間にもそう言われる事があったから慣れていた。
書き方を練習して1枚目は瞳子にあげた。
「ありがとう」
瞳子は喜んでくれた。
しかし、この状況はまずいんじゃないのか?
タイミングを図って誠司と部屋を出る。
「誠司。これはどういう事?」
「ああ、ぜひお前に会いたいって言われてさ」
僕は誠司ほど見た目はよくないけど、やはりサッカーのプレイ中は目を惹くらしい。
それで僕を連れてくることを条件に今日皆で遊ぶと約束した。
「誠司そんな事言ってなかったじゃないか」
瞳子に内緒でこんな事したらいけないって事くらい僕でも分かる。
「お前真面目すぎるんだよ。たまにはお姉さんに相手してもらうのも悪くないだろ?」
本当はすぐにでも帰った方がいいんだろうけど、来てしまった以上空気を悪くするのもまずい。
「……わかった」
「言っとくけど瞳子たちには内緒だからな」
冴には男子だけで集まると言ったらしい。
……参ったな。
あんまり外で話していると疑われるから部屋に戻る。
適当に話を合わせながら歌っていた。
誠司と隼人は気分良さそうだ。
僕は顔には出さなかったけどあまりいい気分にはなれない。
時間になると部屋を出る。
「僕夕飯には帰るって言ってるから」
そう言って夕食にファミレスに行こうとしている皆を置いて帰って来た。
こんな気分で食事をするのは初めてだ。
味が良く分からない。
そしてそんな気分は冬莉や父さんにすぐにばれる。
「何かあったの?」
父さんが聞いてきた。
父さんはじっと僕を見てる。
きっと理由はバレてるだろう。
でもこれは別に女性に話しても問題ないと思ったから、むしろ女性に相談したかったから。
「母さん、後で相談したい事があるんだけど」
「私に?それは2人きりじゃないとダメなの?」
「あんまり色んな人には聞かせられない」
父さんは何かを考えていた。
そして言った。
「冬吾、母さんと一緒にお風呂なんて許さないからな」
父さんは笑っている。
「冬夜さんもそういう気持ちがあるんですね」
「それは僕も男だからね」
こんな両親のように僕も瞳子となりたい。
なら、父さんにならいいか。
「じゃあ、お風呂の後にリビングでいいかな?」
「わかった」
そう言って食事を済ませると風呂に入ってリビングに行く。
母さんが一番最後だ。
母さんが風呂から出てくるとリビングの父さんの隣に座った。
「で、どうしたの?」
母さんが言う。
階段の陰に隠れている冬莉と茜が気になったけど、今日の事を話した。
「……なるほどね」
父さんがそう言った。
「まず男目線で教えたらいいかな?」
「うん」
「そういう隠し事をしたらいけない。必ずバレるから」
それなら先に謝った方がいい。
ただ、カラオケに行ったら知らない女子がいた。
それだけの話なんだから。
「母さんも冬夜さんと同じ意見です」
自分の彼がこそこそと知らない女性と会っていたなんて聞いたら、それを隠していたと知ったら瞳子だって悲しむ。
やっぱりそうなるか。
「わかった……話はそれだけ。部屋で瞳子に話してくる」
「ちゃんと説明したらわかってくれるよ」
父さんはそう言った。
僕は部屋に戻ると瞳子に電話した。
「どうしたの?」
「ごめんなさい!」
僕はとりあえず謝った。
瞳子は驚いていた。
「どうしたの?」
瞳子が何があったのか聞いてきたので今日の事を説明した。
瞳子は何も言わずに僕の話を聞いていた。
そして僕の話が終ると、瞳子は聞いた。
「それで冬吾君は楽しかった?」
「……瞳子の事が気になって不安だった」
バレたら僕はフラれるんじゃないか?
そんな不安が絶えず付きまとっていたと話す。
すると瞳子は笑っていた。
「冬吾君ならそうだろうね」
楽しかったり浮気していたらまず言わないでしょ?と瞳子は言う。
「大方誠司君に連れていかれたんでしょ?」
瞳子はお見通しみたいだ。
「ちゃんと言ってくれて嬉しかった。でも、そんなに心配しなくても大丈夫だよ」
僕のサッカーのプレイを見ていたらファンが出来る事くらい瞳子でも分かるらしい。
そんなファンの相手をしていることで一々目くじら立てるような事はしないと瞳子は言う。
「わかった」
「冬吾君が浮気なんて考えない事くらい、普段の冬吾君見てたらわかるよ」
そういう物なのだろうか?
「今度から断るようにするよ」
彼女がいるってちゃんと言う。
「でも、それは誠司君が許さないでしょ?」
瞳子の言う通りだ。
「いつも信じてるから、大丈夫だよ」
瞳子の優しさが身に染みる。
絶対に浮気なんてしないと誓った。
「それじゃ、あまり遅くまで電話してると親に怒られるから」
「分かった。お休み」
「おやすみなさい」
少しだけ気が晴れた気がする。
誠司もちゃんも謝ったのだろうか?
なぜか、誠司達の心配をしていた。
嫌な予感がするから。
しかし、この時冬莉に聞いておけばよかったのかもしれない。
すでに深刻な状況になっていることを僕は知らなかった。
(3)
「いや、参ったね」
僕は冬吾の相談を受けた後、寝室で愛莉の相手をしてた。
愛莉は僕が悩んでる理由が冬吾の事だけじゃないことを察したみたいだ。
「……ひょっとして冬莉にも何かあったのですか?」
愛莉が聞いてきた。
冬莉はまだ言えないと言っていた。
それはきっと僕が冬莉の心を読んでしまった事に気づいたからだろう。
しかし愛莉には隠し事はしないと決めている。
愛莉には言っても問題なさそうだから言う事にした。
「冬莉というよりは冴と誠司かな」
「……またくだらない事を冴に要求したのですか?」
「それならまだましだよ」
「どういうことですか?」
愛莉には見当がつかないらしい。
「カンナと誠の事は分かるよね?」
「ええ、神奈も誠君には苦労してました」
冬夜さんも巻き込んで困った方ですと愛莉は言う。
「それでもまだマシな状況なんだ」
学生時代に起きた2人のトラブル。
でもカンナは誠を最後まで信じた。
どんなに辛い目にあっても誠を信じていた。
きっと僕達よりも強い絆があったのかもしれない。
「それが誠司とどう関係があるのですか?」
愛莉が聞いている。
「誠司と冴にはその絆がまだないんだ」
幼稚園の時から付き合って来ても作れなかった絆。
だから冴の思考は最悪の状況に陥ってるみたいだと冬莉は考えているみたいだ。
「つまりどういうことですか?」
「それでも好きなのだからしょうがない。というのは愛の形なのかもしれない……だけど」
誠司はそういう男なんだ。
どうして私は誠司と付き合っているのだろう?
そんな風に冴は感じているらしい。
その相談を今日冬莉達としてきたのだろう。
そう愛莉に説明した。
「それって……」
「誠司が何か手を打たないとそうなっちゃうかもしれないね」
ただそれを誠たちに教えるわけにはいかない。
冬莉はまだ言えないと言っていたのだから。
冬莉の感じだと事態は最悪の状況みたいだけど。
「冬吾は大丈夫なのでしょうか?」
「冬吾は大丈夫だよ」
僕が渡辺君に誘われて愛莉以外の女子に誘われた時の事覚えてる?と聞いてみた。
「あの時は私は辛かったです」
瞳子も同じなのでは?と愛莉は聞いてくる。
「あの時僕は愛莉には秘密にしたから愛莉が不安になった。だけど冬吾は違う」
ちゃんと瞳子に言わないとバレてからでは遅いと思っているみたいだ。
言わなきゃバレないのに謝ろうとしていた。
そんなに大事にしている彼氏に愛莉はどう対応する。
「確かに冬吾の態度なら許せるかもしれませんね」
冬吾もあまり楽しくなかったみたいだしと愛莉は言った。
「仮に多少怒られたとしても、最悪の事態にはならないよ」
「それならいいのですが……」
誠に聞いた感じ誠司はモテまくて調子に乗ってるみたいだ。
冴の事なんて考えてもないようだ。
このままいけば間違いなく終わる。
だから冬莉の予感が気になったと愛莉に説明した。
「でもカンナ達には言ったらダメだよ」
余計にこじれるかもしれない。
誠司が自分で気づいて改善するしか手はない。
「難しい問題なのですね。冬夜さんにもどうにもならないのですか?」
「……今回ばかりは僕にもお手上げかもしれないね」
カンナと誠は少なくとも離れたくないという意思があった。
だけど冴にはそれがもうほとんどない。
誠司も冴に興味が殆ど無いみたいだ。
そんな二人と修繕するなんて無理に近い。
少なくとも冴は違う事を考えてるみたいだし。
「冬夜さんはそう言うの全くないですね」
会社の飲み会も2次会程度で帰ってくるしと愛莉が言うと、僕はくすっと笑った。
「さすがに徹夜はきついよ……それに約束したろ?」
どんなに遅くなっても一緒に寝たいと。
「覚えてくださったんですね」
そう言って愛莉は僕に抱きついて来る。
「明日朝起こしてくれる?」
「……ええ。心配しないでください」
そう言って僕達は夜を過ごす。
後は、誠たちが冴の事に気づく事が出来るか?
しかし事態は誠司自身が最悪の方向にどんどん進めていく。
「あれ?冬莉早いね」
そう言って来たのは瞳子だった。
「まあ、そんなに準備してたわけじゃないしね」
女子同士でしかも中学生がそんなに気合入れてどこに遊びに行く?
連休の後半に私と瞳子と冴はショッピングモールに気晴らしに買い物に来ていた。
服を選んだり、雑貨を見たり本屋さんで立ち読みしたり。
ファストフード店で昼食をとる。
二人共私のトレーを見て驚いていた。
「なんで冬莉はそんなに食べてその体型維持してるの!?」
冴が言う。
そんなに驚く事なのだろうか?
片桐家の人間はみんな似たようなもんだ。
愛莉はパパに付き合って食事して太った事があったらしいけど。
ちなみに私もあまり運動は好きじゃない。
苦手じゃないけど面倒臭い。
なんで一々汗かかないといけないのか理解に苦しむ。
でもスポーツに情熱をかけてる人もいるのは知っているから、わざわざそれを否定するつもりも無かった。
冴の彼氏の多田誠司や私の双子の兄の冬吾もそんな一人だ。
もっとも冬吾にいたってはサッカーの練習をしながら勉強もこなす。
ルックスが平凡なのが唯一の欠点くらいじゃないのだろうか?
後は自分が理解できないと人に聞かずにはいられない性格。
誠司が色々冬吾に吹き込んで、それが理解できずにパパ達に相談している。
パパ達も困っていた。
冬吾と付き合ってる瞳子にも聞いたことがあるらしい。
それで瞳子は決断したらしい。
「もう少しだけ時間をください」
「何かあるの?」
「私の心の準備が出来たら、冬吾君がそんな気持ちになってくれたら教えてあげる」
そう言って冬吾を説得したと昼食を食べながら聞いていた。
冴は誠司が何度も要求していたそうだ。
大人しくベッドでやっていればいいものを、その場で初めて部屋に様子を見に来た母さんに見られたらしい。
誠司の顔の上に馬乗りになる冴。
冴の股の下から顔を見せる誠司。
誠司の母さんはそっとドアを閉めたそうだ。
そして二人は大ゲンカ。
冴は泣きながら帰ったらしい。
誠司は母さんにかなり怒られたそうだ。
「誠司もそんな歳になったか」
誠司の父さんはそう言って感心していたらしい。
そんな出来事を冴はカラオケで話していた。
「冴も大変だね」
「……もう慣れたよ」
半ば諦めてる様子の冴。
そんなところも含めて好きなんだと去年の修学旅行の時に冴は言っていた。
だけど近頃の様子はおかしい。
私の気のせいだろうか?
冴の心から愛情という物が全く見えない。
瞳子は気づいているのだろうか?
「でも偶には女子で集まるのも悪くないね」
男子に言えない事だってあるし。
「そうだね」
「でさ、瞳子。あんた最近胸大きくなったでしょ?」
「え、分かった?」
私もそれは気づいていた。
制服の上からでもはっきりとわかる。
冬吾は気づいてないのだろうか?
私は瞳子に聞いてみた。
すると瞳子はくすっと笑った。
「多分気づいてると思う。だから目のやり場に困ってるみたい」
やっぱり彼女だと気にするのだろうか?
「だから私から教えてあげた。”そ、そうなんだ”って慌ててたよ」
それは初耳だ。
多分そういう話は女性にしちゃいけないってパパが言ってたから律義に守っているのだろう。
一方誠司は「愛情をこめて揉めば大きくなるらしいから俺が揉んでやるぜ」と冴に言って大ゲンカしたらしい。
「……本当しょうがない奴だよね」
まただ。
何か違和感を感じる。
まるで他人事みたいに。
そういえば最近2人でいるところを見た事すらない。
誠司はサッカーの練習に行くから一緒には帰らない。
瞳子も一緒だけどその分教室で話をしたり、冬吾が家に帰って部屋で瞳子と話しているみたいだ。
誠司はそういうの無いのだろうか?
「うーん。やっぱり誠司と冬吾じゃ違いがありすぎるよ。誠司の奴私を何だと思ってるんだろう?」
「……冴は誠司の事なんだと思ってるの?」
どうしても気になったので聞いてみた。
「え?彼氏だけど……」
普通に返す冴。
だけどやっぱり気になる。
「去年さ、修学旅行で言ってたよね?」
ダメな部分もまとめて好きになるのが恋なんだって。
「そうだけどそれがどうかしたの?」
「今も同じ事言える?」
今は誠司の事好きだって言える?
「……しょうがないのかなって思ってる」
冴が急に落ち込んでいる。
やっぱりそうなんだ。
「……私は恋愛という物をしたことが無いから偉そうに言えないけど、今の冴は誠司の事が好きだとは思えない」
付き合ってるからしょうがない。
そんな理由で意地になって恋にしがみついてるだけじゃないの?
そもそもそんなに雑に扱われてるのに、自分の気持ちをしっかり言えないのに続けなければいけない交際なの?
「……冬莉の言う通りかもしれない。私も最近の冴見てると恋愛を楽しんでるようには見えない」
瞳子も同じように思ったみたいだ。
冴は少し考えてから話した。
「私も最近どうしたらいいのかわからないの。はっきりサヨナラって言えたらきっとすっきりするのかもしれないけど……」
その時私は一人になる。
寂しさに震えてしまうんじゃないのか?
失恋という烙印が一生消えずに残ってしまうんじゃないだろうか?
私は新しい彼に出会えるのだろうか?
色々考えてしまうらしい。
私は冴の話を聞いて自分の意見を言った。
「それを決めるのはまだ早すぎるんじゃない?」
想い人とちゃんと結ばれるにはあと8年もある。
その結ばれた縁も突然途切れてしまう事もある。
それでもいつかきっと変わらぬ愛という物に届くんじゃないか?
それを探して生きていくのが人生なんじゃない?
「冬莉は私が誠司と別れた方がいいと思ってるの?」
冴が聞いてきた。
「冬吾はとても楽しそうに瞳子と話してる。なのに冴は誠司の話をしているときは辛そうに見えた」
別れるかどうかはまでは私が干渉するべきじゃない。
だけどそんなにつらい思いをしてまでこだわる人なの?
そもそも「諦める」ってのは「好き」って事に繋がるの?
冴は誠司と今付き合っていて楽しかったことある?
すると瞳子も話した。
「これは冬吾君から冴には言わないでって言われてたんだけど、やっぱり今言わなきゃいけないと思うから言うね」
「どうしたの?」
冴が瞳子に聞いていた。
それは私も冬吾から聞いていた。
誠司はサッカーの練習中に女性ファンと連絡先の交換をしている。
それはサッカーの練習中だけじゃない。
学校でも冴の目を盗んで大勢の女子と仲良くしてる。
「そうなんだ……」
冴のその一言を聞いて私は確信した。
「ほら、やっぱりそうじゃない」
「え?」
冴が私の顔を見る。
「前だったらもっと怒ってたはずだよ。でも今は『しょうがないんだ』って諦めてる」
冴の中では結論が出ているんじゃないの?
冴は私の話を聞いて黙ってしまった。
「……二人共さ。この話誠司には伏せておいてくれないかな?」
冴も少し考えたい。
この先どうすればいいか考えたい。
私と瞳子はうなずいた。
「なんかごめんね。折角楽しく遊ぼうと思ったのに」
「それは違うよ冴」
私が言った。
「私より瞳子の方が薄々気づいてたんじゃないの?だから私達3人だけで遊ぼうって言いだしたんじゃない?」
「冬莉は鋭いね」
冬吾君そっくりだと瞳子が笑った。
カラオケを出ると薄暗くなっていた。
夕飯までには帰ると愛莉には言ってあったから私達は帰る事にした。
「またなんか悩んでたら3人で話そう?」
瞳子が冴に話す。
冴は私に言う。
「ごめんね。まだ恋愛すら分からない冬莉に嫌な話聞かせちゃった」
「綺麗事ばかりじゃないって聞いてるから大丈夫」
そして自転車で家に帰ると服を脱ぐ。
「冬莉!服は部屋で脱ぎなさいと言ったでしょ!」
「どうせ、そんなに自慢できる体じゃないよ」
「そういう問題ではありません!」
愛莉が怒ってる中パパは察したらしい。
「何かあった?」
「うーん、今はまだ言えないかな」
パパは心の中を正確に読み取る。
だから何も言わないより「誰にも言わないで」と言った方がいい。
「……分かった」
パパはそう言ってテレビを見ている。
きっと夜に愛莉には話すんだろう。
でも誠司の親には秘密にしてくれるはず。
部屋に入ると茜がいた。
「あ、おかえり。どうだった?」
「まあ、色々あったよ」
「その様子だとあまりいい話じゃなさそうだね」
「まあね……」
「でもいいなあ。私は梨々香と真香くらいしかいないからさ」
梨々香も毎日の様にSHの反乱分子を叩きつぶしてる純也をヒヤヒヤしながら見てるそうだ。
瞳子は順調に冬吾と過ごしている。
冴はどうなるか分からない。
でも私の相手はいつになれば現れるのだろう?
見ず知らずの男子に付き合えと言われても無理な話だ。
どんなめぐり逢いが待っているのか楽しみにしていた。
(2)
「やあ、約束通り連れて来たぜ」
「え!?本物の片桐君!?」
僕と誠司と隼人がカラオケの部屋に入ると知らない年上の女子がいた。
自己紹介を聞いていたら高校生だという事が分かった。
「冬吾君サインください」
まあ、練習中の休み時間にもそう言われる事があったから慣れていた。
書き方を練習して1枚目は瞳子にあげた。
「ありがとう」
瞳子は喜んでくれた。
しかし、この状況はまずいんじゃないのか?
タイミングを図って誠司と部屋を出る。
「誠司。これはどういう事?」
「ああ、ぜひお前に会いたいって言われてさ」
僕は誠司ほど見た目はよくないけど、やはりサッカーのプレイ中は目を惹くらしい。
それで僕を連れてくることを条件に今日皆で遊ぶと約束した。
「誠司そんな事言ってなかったじゃないか」
瞳子に内緒でこんな事したらいけないって事くらい僕でも分かる。
「お前真面目すぎるんだよ。たまにはお姉さんに相手してもらうのも悪くないだろ?」
本当はすぐにでも帰った方がいいんだろうけど、来てしまった以上空気を悪くするのもまずい。
「……わかった」
「言っとくけど瞳子たちには内緒だからな」
冴には男子だけで集まると言ったらしい。
……参ったな。
あんまり外で話していると疑われるから部屋に戻る。
適当に話を合わせながら歌っていた。
誠司と隼人は気分良さそうだ。
僕は顔には出さなかったけどあまりいい気分にはなれない。
時間になると部屋を出る。
「僕夕飯には帰るって言ってるから」
そう言って夕食にファミレスに行こうとしている皆を置いて帰って来た。
こんな気分で食事をするのは初めてだ。
味が良く分からない。
そしてそんな気分は冬莉や父さんにすぐにばれる。
「何かあったの?」
父さんが聞いてきた。
父さんはじっと僕を見てる。
きっと理由はバレてるだろう。
でもこれは別に女性に話しても問題ないと思ったから、むしろ女性に相談したかったから。
「母さん、後で相談したい事があるんだけど」
「私に?それは2人きりじゃないとダメなの?」
「あんまり色んな人には聞かせられない」
父さんは何かを考えていた。
そして言った。
「冬吾、母さんと一緒にお風呂なんて許さないからな」
父さんは笑っている。
「冬夜さんもそういう気持ちがあるんですね」
「それは僕も男だからね」
こんな両親のように僕も瞳子となりたい。
なら、父さんにならいいか。
「じゃあ、お風呂の後にリビングでいいかな?」
「わかった」
そう言って食事を済ませると風呂に入ってリビングに行く。
母さんが一番最後だ。
母さんが風呂から出てくるとリビングの父さんの隣に座った。
「で、どうしたの?」
母さんが言う。
階段の陰に隠れている冬莉と茜が気になったけど、今日の事を話した。
「……なるほどね」
父さんがそう言った。
「まず男目線で教えたらいいかな?」
「うん」
「そういう隠し事をしたらいけない。必ずバレるから」
それなら先に謝った方がいい。
ただ、カラオケに行ったら知らない女子がいた。
それだけの話なんだから。
「母さんも冬夜さんと同じ意見です」
自分の彼がこそこそと知らない女性と会っていたなんて聞いたら、それを隠していたと知ったら瞳子だって悲しむ。
やっぱりそうなるか。
「わかった……話はそれだけ。部屋で瞳子に話してくる」
「ちゃんと説明したらわかってくれるよ」
父さんはそう言った。
僕は部屋に戻ると瞳子に電話した。
「どうしたの?」
「ごめんなさい!」
僕はとりあえず謝った。
瞳子は驚いていた。
「どうしたの?」
瞳子が何があったのか聞いてきたので今日の事を説明した。
瞳子は何も言わずに僕の話を聞いていた。
そして僕の話が終ると、瞳子は聞いた。
「それで冬吾君は楽しかった?」
「……瞳子の事が気になって不安だった」
バレたら僕はフラれるんじゃないか?
そんな不安が絶えず付きまとっていたと話す。
すると瞳子は笑っていた。
「冬吾君ならそうだろうね」
楽しかったり浮気していたらまず言わないでしょ?と瞳子は言う。
「大方誠司君に連れていかれたんでしょ?」
瞳子はお見通しみたいだ。
「ちゃんと言ってくれて嬉しかった。でも、そんなに心配しなくても大丈夫だよ」
僕のサッカーのプレイを見ていたらファンが出来る事くらい瞳子でも分かるらしい。
そんなファンの相手をしていることで一々目くじら立てるような事はしないと瞳子は言う。
「わかった」
「冬吾君が浮気なんて考えない事くらい、普段の冬吾君見てたらわかるよ」
そういう物なのだろうか?
「今度から断るようにするよ」
彼女がいるってちゃんと言う。
「でも、それは誠司君が許さないでしょ?」
瞳子の言う通りだ。
「いつも信じてるから、大丈夫だよ」
瞳子の優しさが身に染みる。
絶対に浮気なんてしないと誓った。
「それじゃ、あまり遅くまで電話してると親に怒られるから」
「分かった。お休み」
「おやすみなさい」
少しだけ気が晴れた気がする。
誠司もちゃんも謝ったのだろうか?
なぜか、誠司達の心配をしていた。
嫌な予感がするから。
しかし、この時冬莉に聞いておけばよかったのかもしれない。
すでに深刻な状況になっていることを僕は知らなかった。
(3)
「いや、参ったね」
僕は冬吾の相談を受けた後、寝室で愛莉の相手をしてた。
愛莉は僕が悩んでる理由が冬吾の事だけじゃないことを察したみたいだ。
「……ひょっとして冬莉にも何かあったのですか?」
愛莉が聞いてきた。
冬莉はまだ言えないと言っていた。
それはきっと僕が冬莉の心を読んでしまった事に気づいたからだろう。
しかし愛莉には隠し事はしないと決めている。
愛莉には言っても問題なさそうだから言う事にした。
「冬莉というよりは冴と誠司かな」
「……またくだらない事を冴に要求したのですか?」
「それならまだましだよ」
「どういうことですか?」
愛莉には見当がつかないらしい。
「カンナと誠の事は分かるよね?」
「ええ、神奈も誠君には苦労してました」
冬夜さんも巻き込んで困った方ですと愛莉は言う。
「それでもまだマシな状況なんだ」
学生時代に起きた2人のトラブル。
でもカンナは誠を最後まで信じた。
どんなに辛い目にあっても誠を信じていた。
きっと僕達よりも強い絆があったのかもしれない。
「それが誠司とどう関係があるのですか?」
愛莉が聞いている。
「誠司と冴にはその絆がまだないんだ」
幼稚園の時から付き合って来ても作れなかった絆。
だから冴の思考は最悪の状況に陥ってるみたいだと冬莉は考えているみたいだ。
「つまりどういうことですか?」
「それでも好きなのだからしょうがない。というのは愛の形なのかもしれない……だけど」
誠司はそういう男なんだ。
どうして私は誠司と付き合っているのだろう?
そんな風に冴は感じているらしい。
その相談を今日冬莉達としてきたのだろう。
そう愛莉に説明した。
「それって……」
「誠司が何か手を打たないとそうなっちゃうかもしれないね」
ただそれを誠たちに教えるわけにはいかない。
冬莉はまだ言えないと言っていたのだから。
冬莉の感じだと事態は最悪の状況みたいだけど。
「冬吾は大丈夫なのでしょうか?」
「冬吾は大丈夫だよ」
僕が渡辺君に誘われて愛莉以外の女子に誘われた時の事覚えてる?と聞いてみた。
「あの時は私は辛かったです」
瞳子も同じなのでは?と愛莉は聞いてくる。
「あの時僕は愛莉には秘密にしたから愛莉が不安になった。だけど冬吾は違う」
ちゃんと瞳子に言わないとバレてからでは遅いと思っているみたいだ。
言わなきゃバレないのに謝ろうとしていた。
そんなに大事にしている彼氏に愛莉はどう対応する。
「確かに冬吾の態度なら許せるかもしれませんね」
冬吾もあまり楽しくなかったみたいだしと愛莉は言った。
「仮に多少怒られたとしても、最悪の事態にはならないよ」
「それならいいのですが……」
誠に聞いた感じ誠司はモテまくて調子に乗ってるみたいだ。
冴の事なんて考えてもないようだ。
このままいけば間違いなく終わる。
だから冬莉の予感が気になったと愛莉に説明した。
「でもカンナ達には言ったらダメだよ」
余計にこじれるかもしれない。
誠司が自分で気づいて改善するしか手はない。
「難しい問題なのですね。冬夜さんにもどうにもならないのですか?」
「……今回ばかりは僕にもお手上げかもしれないね」
カンナと誠は少なくとも離れたくないという意思があった。
だけど冴にはそれがもうほとんどない。
誠司も冴に興味が殆ど無いみたいだ。
そんな二人と修繕するなんて無理に近い。
少なくとも冴は違う事を考えてるみたいだし。
「冬夜さんはそう言うの全くないですね」
会社の飲み会も2次会程度で帰ってくるしと愛莉が言うと、僕はくすっと笑った。
「さすがに徹夜はきついよ……それに約束したろ?」
どんなに遅くなっても一緒に寝たいと。
「覚えてくださったんですね」
そう言って愛莉は僕に抱きついて来る。
「明日朝起こしてくれる?」
「……ええ。心配しないでください」
そう言って僕達は夜を過ごす。
後は、誠たちが冴の事に気づく事が出来るか?
しかし事態は誠司自身が最悪の方向にどんどん進めていく。
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