姉妹チート

和希

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疲れ果てる暇のない

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(1)

「千帆はどっちが好きなの?」
「うーん、善斗君かな?」

 よかった。
 私は岳也君の方が好きだから。
 そんな話を私は双子の姉の千帆と相談してた。
 どうしてそうなったのか?
 話は今日の昼間まで遡る。
 千帆と2人でSAPに遊びに行ってたらセイクリッドハートと名乗る男子たちに口説かれた。
 口説かれたというよりは脅迫に近い物だった。

「酷い目に会いたくなかったら俺達と付き合え」

 ……やっぱり脅迫だな。
 するとたまたまいた片桐冬眞が思いっきりそいつらを殴り飛ばした。
 目についたSHは一人残らず始末しろ。
 そう姉や兄に言われてるらしい。

「あれ?姫乃達じゃない?」

 一緒にいた石原杏采が私達を指差して言った。

「杏采の知り合い?」
「冬眞はクラスメートの名前くらい覚えた方がいいよ」

 冬眞の双子の妹の莉子が言った。
 2人は血は繋がってない。
 だけど今の父親が引き取って一緒に暮らしているらしい。
 そこには他にも多田崇博達もいた。
 そして、酒井善斗や岳也も。
 どうせだからと皆で遊んでいた。
 そろそろ日も暮れて来たし帰ろうかとすると、冬眞が殴り飛ばした連中が徒党を組んで待ち構えていた。

「さっきの礼をさせてもらうぞ」

 すると冬眞は善斗や岳也に何か話す。
 そして私のそばに岳也君が立っていた。

「心配しないで、僕から離れないで」

 そんな様子を見てた莉子が言う。

「冬眞、時間がない。後30分くらい」
「大丈夫、10分で片づける」
「片付けられるのはお前等だ」

 冬眞の挑発に簡単に乗る連中。
 しかし私達と一緒にいた男子はみんな連中とは全くレベルの違う強さだった。
 その中でも飛びぬけていたのが冬眞。
 10分どころか5分くらいで大勢が決まった。
 だけど連中が逃げ出そうとするのを冬眞が襟を掴む。

「勝手に逃げるな!せっかくの休日を台無しにしやがって!」
「二度と鬱陶しい真似が出来ないようにしてやる!」
 
 冬眞と崇博が一緒になってうずくまる連中を蹴りつけていると、警察が来た。
 当然警察は冬眞達を加害者と誤認した。
 学校に呼び出されて親も呼び出される。

「何をやってるのですか!?」

 冬眞の母さんが冬眞を叱っていた。
 しかし岳也の母さんが来ると話が変わる。
 
「杏采から聞いたわ。どうして岳也達に説教しているのか納得のいく説明をしてもらおうかしら」
「し、しかし相手は全員病院で手当てを受けていて……」

 喧嘩両成敗だという教師の主張。
 しかしそんな当たり前の事が通じる相手じゃなかった。

「だから何なの?病院でよかったじゃない。この場にいたらすぐに戦場に放り込んでるところよ」

 そんな無茶を本当にしてしまうのが石原家と酒井家。

「どちらに非があるかも判断できないで教師なんて笑わせないで!」
「せっかくステーキ焼いたのに冷えて台無しになったわ。誰がこの責任をとるの!?」

 後から来た善斗君の母親も無茶な言いがかりをつけて来た。
 結局冬眞君達は無罪放免になった。
 で、どうして私達が善斗君や岳也君を好きになったかって?
 ずっと私の前に立って襲い掛かる連中を叩きのめしていたから。
 私を守ってくれる岳也君の後ろ姿が頼もしく思えた。
 帰る際に連絡先は教えてもらった。
 で、パパが迎えに来て家に帰ると夕食を食べる。
 食器を片付けて風呂に入って部屋に戻ると、千帆と相談をしていた。

「……で、どっちからやる?」

 千帆が言う。

「私からでいいかな?」

 私が言った。
 多分先に言ってすっきりした方がいい。

「頑張れ!」

 千帆は応援してくれた。
 私は岳也君に電話する。

「どうしたの?」
「きょ、今日はありがとう」
「いいよ。当然の事をしただけだから。それだけ?」
「岳也君かっこよかった!」
「……冬眞君達に比べたら全然だよ」
「そんな事無い」

 岳也君たちが私達を守ってくれたから冬眞君たちも暴れられたんじゃないの?」

「ありがとう。じゃあまた……」
「待って、まだ話は終ってない」
「ごめん。で、まだ何かあるの?」

 頑張れ私。

「一目惚れです。私と付き合ってもらえませんか?友達からとかでもいいから」
「……本当に友達からでいいの?」

 受けてくれるんだろうか?
 そうじゃなかったようだ。

「人を好きになるってすごい大変な事だって父さんから聞いたんだ。友達でいいなんて中途半端な気持ちじゃないと思ったんだけど違った?」
「私の彼氏になってくれますか?」
「……ありがとう。よろしくね」
「じゃあ、また明日学校で」
「ああ、またね」

 私が終ると千帆の番だ。
 千帆も同じようなやりとりをして付き合えることになったらしい。
 人を好きになるって大変なんだ。
 会えない夜がつらい。
 夢に何度でも岳也君が出てくる。
 朝になるのが待ち遠しかった。
 朝になると私達は着替えて、朝食の準備をしていた。

「あれ?今日は服着てるんだな?」

 パパが不思議そうにしていた。

「うん……あのね」

 私達はパパに「好きな人が出来た」って伝えてた。
 だから彼氏の事を考えたら今まで見たいな姿で行動できない。
 パパは少し残念そうにしていた。
 それでも「よかったな」と言ってくれた。
 そうして私達の物語が始まる。
 新しい恋の歌。

(2)

「しかしまいったな……」

 渡辺君がため息交じりに言った。
 渡辺班の皆が集まって久しぶりに飲んでいた。
 冬眞達も冬莉や茜がいるから大丈夫。
 皆のところも同じみたいだ。

「くそぉ……もう少しで姫乃たちのおっぱいを……」
「分かる、分かるぞ瑛大。俺も今後悔してるんだ」

 桐谷君と誠は自分の娘に彼氏が出来た事を悔しがってるらしい。

「冬夜も分かるだろ?」

 誠は僕に話を振ってくる。

「冬夜さんはちゃんと娘を立派に育てて恋人に託しました。変な事を吹き込まないで!」

 愛莉が怒っている。
 まあ、実際翼や天音の結婚式に出た時は結構辛かった。
 あの気持ちなのだろうか?
 それなら分かる気がする。
 でもそれなら……

「誠も水奈を学に預けた時に味わってるんじゃないのか?」
「慣れるもんでもないだろ?お前も空の結婚式で泣いたって聞いたぞ」

 まあ、あまり味わいたくないな。

 ぽかっ

「冬夜さんまでダメですよ。まだ茜達もいるのですよ」
「そうは言うけど父親ってそういうものだよ」

 自分の娘の男を見る目を信じていたとしても手元から離れていくのはつらい。

「……片桐君。それ多分瑛大たちの言ってる意味と全然違うと思う」

 亜依さんが言った。
 桐谷君は以前言ってた。
 娘の成長はそっと見守ってやれ。
 ここまでは普通。
 問題はここから。

「中学生にもなれば”パパ私にもおっぱい出来たよ~”って言ってくるから!」

 まあ、茜や冬莉に関しては全くその通りになってるんだけど。

「誠はそもそも歩美から変態呼ばわりされてるのに無理だろ」

 カンナは笑ってそう言う。

「心配しないで。ちゃんとした立派な娘に育ててあげるから」

 杏采の母親の恵美さんが言う。

「善久もふざけた事言いだしたらしっかり躾けるから」

 晶さんも言っている。
 石原君や酒井君はただ笑っていた。
 実際善明君は美希の機嫌を取る事の方が仕事より大事らしい。

「ちょっとその子供の事でちょっと相談があってな」

 渡辺君が言った。
 多分セイクリッドハートの件だろう。
 茜から聞いた話だともはや空達の知らないところで名前を悪用してる連中がいるらしい。
 去年それで渡辺君の息子が事件に巻き込まれた。
 そして空達の予測通り僕達の子供達がいる校区内で暴れ始めた。
 空は翼や光太と相談して決めたらしい。

「セイクリッドハートを名乗る奴等は一人残らず潰せ」

 そして冬眞や冬吾が暴れ出した。
 僕も渡辺君に返事をする。

「子供の喧嘩に大人が出るわけにはいかないよ」

 事実空達は我慢している。
 さすがに大の大人が小学生に制裁は、事実がどうであれ状況的に不利だ。
 SHの勢力は渡辺班を上回る物になっている。
 もう空達も子供じゃない。
 空達の判断に委ねよう。

「親が呼び出されたらその時は力になってやればいいよ」
「冬夜がそう言うならそうなんだろうな」
「それより今度は孫が出来た時の事を考えた方がいいよ」

 それぞれ皆子供が結婚して子供を作り始めてる。
 亀梨君のところはすでに育児が始まってる。
 それを見守らなくちゃいけない。
 愛莉が言う。

「冬夜、お前何か冬吾から聞いてないか?」

 誠が聞いていた。
 誠司の事だろうか。
 それとも……。

「冴の事?」

 僕が聞くと誠はうなずいた。
 誠司は冴の事を気にも留めてない。
 それどころか年上の女性に手を出してるそうだ。

「あの性格は私の育て方に問題があったのか?」

 カンナは悩んでいるみたいだ。

「私も冴の事は冬莉からは何も聞いてないんです」

 愛莉が言う。
 隠してるとかそう言うのじゃない。
 冴が冬莉達から距離を取っているそうだ。

「誠司の事は俺も悪かった。すまない」
  
 誠がカンナに謝っている。

「子供が大学出てやっとのんびりできると思ったらそうでもないんだね」

 亜依さんが言う。
 余生を過ごしたい。
 そんな事を言うのはまだ早い。
 常に子供達の行く先に立っていなければならないのだから。
 今日も2次会は止めて家に帰る。
 
「お仕事で疲れてるのに休む暇も作ってあげられなくて申し訳ありません」
「育児の事は2人で考える事だろ?」

 愛莉だけに任せるなんてことはしないよ。

「それもあるのですが……」

 何か言いづらい事があるようだ。
 なるほどね。
 愛莉が年齢よりも随分若く見える理由はそこなんだろうな。
 常に恋を抱いている。

「それも夫の役目だろ?」

 ベッドに入ると愛莉を手招きする。

「ありがとうございます」

 嬉しそうにベッドに入って僕に抱きついてくる。
 今のうちに甘えさせてやることにした。 
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