姉妹チート

和希

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朝の光が差し込むまで

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(1)

 あれ?
 私はHRの時にあることに気づいた。
 私に告白した男子がいない。
 2学期初日からサボり?

「ねえ、瞳子」
「どうしたの?」

 瞳子に聞いてみた。

「冬莉、終業式の日聞いてなかったの?」
「え?」
「1学期が終ったら神奈川に引っ越すって言ってたよ」

 聞いてなかった。
 ずっとラブレターの事を考えていたから。
 地元を離れる最後に伝えられなかったことを伝えようとなっていたのだろう。
 それがどれだけ勇気がいる事かくらいは想像つく。
 なのに私は適当に返事してしまった。
 それを彼がどう受け止めたかは私には知れない。
 だけど私は後悔してしまった。
 そんな事ならちゃんと誠意を込めて返事をするべきだった。
 冬吾が言ってた事はそういう事だったのか……。

「どうしたの?」

 その日の帰り落ち込んでる私を見て冬吾が不思議に思ったらしい。
 私の代わりに瞳子が説明する。

「まあ、仕方ないよ」
 
 今さらどうする事も出来ない。
 精々出来る事と言ったら引越し先で彼が良い女子に巡り合えるのを祈るだけだ。
 変なトラウマになってなければいいけど。
 私に恋心が理解できないからなんて言い訳は通るはずがない。
 家に帰って夕飯の時も私は落ち込んでいた。

「どうしたの?」

 愛莉が聞いてくる。
 パパも気になったんだろうけど大方把握したんだろう。
 こういう時は愛莉に任せた方がいい。
 パパはそう判断したんだ。

「愛莉、後で相談してもいい?」
「私でいいの?」

 私が頷くと「じゃあ、またお風呂の後にしましょう」と言った。
 風呂に入ってリビングでパパとテレビを見ていた。
 最近やけに多いクイズ番組。
 私にしてみれば半分以上はどうでもいい事なんだけど。
 愛莉が風呂から出てくると「じゃあ、僕は寝室にいるね」と言ってパパは寝室に行った。

「で、どうしたの?」
「実は……」

 前に告白受けた事は愛莉は知っている。
 その後日譚を愛莉に説明した。

「確かに悲しい思い出になりますね」

 やっぱりそうか。

「でも、冬莉が全部悪いとは思いません」

 誠司の父さんが言ってたそうだ。

「中途半端な優しさは残酷だ」

 きっとその彼の中でも自分の気持ちに清算出来たんじゃないか?
 愛莉はそう言う。

「こんな事ばかりしてるから私には恋人がいないのかな?」

 そんな悩みを愛莉に打ち明けていた。

「誰かに言われて始まる恋もあるかもしれない。でもまだ肝心の冬莉が男子を好きになるという感情が理解できてない」

 そんな私じゃ、仮に誰かを紹介してもらったところで続くはずがない。
 相手だって誤解を生むだけだと愛莉は言う。
 じゃあ、私はずっと一人なの?
 生まれて初めてそんな不安が生まれてしまった。

「そんなに悩む必要はありませんよ」

 愛莉は言う。
 人からモテるのと好きになるじゃ意味が違う。
 どんな欠点も受け入れてしまうほどの感情。
 もちろん綺麗事ばかりじゃない。
 でもそんな障害を乗り越えて手に入れられるのが愛だという。

「どうやったら人を好きになれるの?」
「そんなの分かりませんよ」
 
 突然舞い降りてくるものだから。
 気づいたらそこにある物だから。
 だから焦る必要が無い。
 ただパパが言ってたそうだ。
 躊躇うな。
 後悔するならやることをやってからしなさい。
 その時は愛莉が慰めてくれる。

「大学生になって初めて人を好きになる人もいるの。だから冬莉も焦る必要は無い」

 ただそれは突然やってくるから、自分の気持ちを信じるしかない。

「……分かった」
「その前に冬莉はせめてもう少し身だしなみを気にしなさい」

 愛莉はそう言って笑っていた。
 相談が終ると部屋に戻る。

「愛莉と何話してたの?」

 茜が聞いてきたので、別に隠す事じゃないし話した。

「愛莉の言う通りかもね」

 茜や冬吾はたまたま早かっただけ。
 そしてそれを大事にしてる。
 純也は最初は面倒臭がっていた。
 だけど茜が忠告したらしい。

「ゲームはやり直しがきく。でも梨々香は取り返しがつかない」

 そう言うと純也は梨々香の相手をしていたそうだ。
 取り返しがつかないか……
 それは誠司も同じなんだろうな。
 皆は誠司を責めるけど、何となく気持ちが分かってしまう。
 許される行為じゃない。
 だけど恋という感情が理解できないんだ。
 綺麗事ばかりじゃない。
 それでも手に入れたくない感情。
 私の頑な心でもごまかしのない心が手に入れたい。
 悲しみの向こうに芽生える感情。
 私はいまだ彷徨っていた。
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