姉妹チート

和希

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煌めく星空を詩に

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(1)

 クリスマスイブ。
 世間では浮かれているけど僕達はそういう気分になれなかった。
 大分安定したみたいだけど、こんな寒空に連れ出すわけには行かない。
 夕食は僕が作ったよ。
 大丈夫、クリスマスイブに残業してたなんて母さんに知れたら間違いなく倒産だね。
 夕食をすませて翼がシャワーを浴びてる間に片づける。
 翼がシャワーを済ませると僕もシャワーを浴びる。
 翼がこんなんだからテレビを見て過ごすしかない。 
 僕も流石に飲むって行為をするのを躊躇った。
 2人でブドウジュースを飲みながらテレビを見ていた。
 今年は無難に音楽番組の特番を見ようと思ったよ。
 さすがに歌番なら手出し出来るはずがない。
 ……そんな事はなかった。
 どうしてこの面子を選んだ。
 テレビ局は今日を何だと思ってるんだ?
 祈や天音なら喜んで見るんだろうね。
 アイドルグループだけどヘビメタを歌っている。
 デスボイスを余すことなく発揮するグループが歌っている。
 そのグループ名が既にアウトなんじゃないかってグループもいる。
 美希はあまりアイドルとかには興味が無いらしい。

「私のタイプじゃないから」

 空も今頃大変だろうな。
 空の父さんに「実家に戻ってきなさい」と言われて引っ越しの準備をしているそうだ。
 翼や天音には「旦那の実家に行くのが道理だろ?」と翼から聞いた。
 間違いなく何か企んでいると翼でも怪しんでいるようだ。
 年末までには引越しが終るらしい。

「空の子供だから……が理由なのかな?」

 翼はそう言っていた。

「それにしてもあまり面白くない番組ですね」

 確かに曲に問題がある。
 確かこういうのって歌詞に規制があってアウトな歌詞もあるってきいたけど、それがどうした?と言わんばかりの歌詞だった。
「地獄の業火よブタどもを焼き尽くせ」ってクリスマスソングじゃないのは明らかな歌詞だった。
 これはチャンネルを変えた方がいい。
 まだお笑いなんかを見てた方がましかもしれない。
 普通こんな日は歌姫と呼ばれる女性歌手がクリスマスソングを歌っている物だと思っていたけど。
 するとやっぱりやっていた。
 いったい策者はネタをどれだけ用意しているんだい?
 いわゆるロボットアニメだった。
 杏仁豆腐よりは有名なシリーズの物なんだけど……。
 翼は嵌ってしまったようだ。

「とどめが欲しい?」

 そう言って敵のパイロットに容赦なく銃を向ける主人公。
 ロボットアニメってビームサーベルを振り回してミサイルを迎撃したりする恰好いい少年心をくすぐる物だと思っていたけど、この作品は違う。
 主人公のロボットは鈍器で叩きつぶしたり、相手のコクピットを串刺しにしたり、鉄がぶつかり合い血が流れる、そんなアニメ。
 最初は戦災孤児の少年兵が反旗を翻して独立しようとしていたが、やがて地球の巨大な組織に押し負け撤退戦に切り替わる。
 少年兵の部隊は隊長が撃たれて死ぬ。
 どうして物騒な世界で目立つ格好をしていたのかは不思議だった。
 そして案の定暗殺者に襲撃される。
 護衛くらいつけとくべきだと思ったんだけど。

「とまるんじゃねぇぞ」

 今でも名台詞だね
 窮地に立たされた主人公の部隊は最後の賭けに挑む。
 圧倒的数の差も物ともせず次々と敵を片付ける主人公たち。
 しかし宇宙からランスのような物を撃たれて主人公達の機体に当たる。
 それでも戦いを止めない主人公。
 恋人の仇が目の前に現れて喜んで仇のコクピットを巨大なペンチのような物でぺしゃんこに押しつぶす。
 さすがにそこの表現は気を配っていたよ。
 そして力尽きる仲間達。
 それでも止まらない主人公。
 やがて一機の敵にやられる。
 そして主人公も力尽きた。
 薄い本になりそうな展開の状態の後日譚。
 どうみてもまだ少女のような子と主人公は致していたらしい。
 少女は主人公の子供を産んでいた。
 コクピットをラブホに変えてしまったらしい。
 生き残った仲間達は隊長の仇を撃つために暗殺する。
 
「なるほどね」

 翼にはお気に入りの様で、笑みをこぼしている。
 まあ、気に入らない奴を中東だのアフリカだの戦場に放り込むグループがいるからね。
 殺さなきゃ何してもいいと思ってるらしいよ。
 そんなに笑えるようなストーリーじゃないのにどうしたんだろう?

「空の妙なセリフ引用するのってこのアニメシリーズだったんだなって」

 空だけじゃなく片桐家は皆その傾向があるらしい。
 さすがに翼も今の状態を分かっているのか強請ってはこない。
 だけどやっぱり僕も男の様だ。
 翼のお腹をさすったりしていた。
 わずかにだけど赤ちゃんが動いているのが分かる。

「楽しみ?」
「そりゃね」

 翼も嬉しそうだ。
 僕の父さんもほっとしていた。
 とりあえず大惨事になるのは免れたから。
 しかし心配の種は消えない。
 空と美希が子供を授かった。
 空のSHのリーダーとしての責務に支障がでるんじゃないか?
 それに茜が言っていたらしい。

「空の予想通りに事が運んでるみたい」

 空はSHの不要な部分を全部切り離そうとしていた。
 切り離された部分は勝手にSHに不満を持っていたグループが潰すだろう。
 スムーズに事が運べばいいけど、そうはいかないんだろうな。

「善明。そろそろ寝ない?」
「翼はつらいのかい?」
「いえ、でも今夜はイブだから」
「でも翼の体でそれは無理なんじゃないのかい?」
「添い寝くらいしてくれても罰は当たらないんじゃない?」

 子供を宿していても女性には変わりない。
 僕の愛情に包まれていたいらしい。
 どうせなら屑じゃなく星屑のように願いを背負い生きてやれ。か……。
 僕はベッドに入ると翼を誘う。
 翼が入ってくると翼を抱いて寝た。

「来年は大変でしょうね」
「そうだね……」

 やはりSHも渡辺班のように休眠状態に入るのだろうか?
 空はそうは考えていなかったようだけど。

(2)

「冬吾、瞳子が来ましたよ」

 母さんに言われて準備をして玄関に向かう。
 不思議だった。
 デートにしてはやけに荷物が多くないか?

「どうしたの?瞳子」
「言ってた事忘れたの?」

 あ。
 冬休みに入る前に瞳子と話をしていた。
 
「今度クリスマスイブデートしてくれるんでしょ?」
「うん。中学生だから良いって言われた」
「じゃあさ、私のお願い聞いてもらってもいいかな?」
「どうしたの?」

 クリスマスプレゼントのおねだりかな?

「その日冬吾君の家に泊ってもいいかな?」

 瞳子の親の了解は得てるらしい。
 父親は険しい表情をしていたそうだけど。

「母さん達に聞いてみるよ」

 そして母さんに聞いたら「そうねえ……冬吾の部屋は鍵つけてるから大丈夫ですよ」と言った。
 父さんは苦笑いをしているけど。
 父さんがいくつかアドバイスをくれた。
 とりあえず服装を褒めろ、デート中は瞳子の事だけを考えろ、夜になって瞳子が迫ってきたら勢いに任せろ。

 ぽかっ

 父さんが母さんに小突かれていた。

「冬吾から押していくべきじゃないですか?」
「だけどね、愛莉。やっぱり親と一緒にいるのにさすがに冬吾も躊躇うよ」
「それならそう言って頂けたらホテルを予約しておいたのに……」
「そういう問題じゃなくてね……」
 
 瞳子も母さんみたいになるのだろうか?
 あんまり想像つかなかった。
 中学生の小遣いでなんとかなる精一杯の夕食を食べた。
 中学生の小遣いで買える精一杯の物をプレゼントした。

「ありがとう」

 瞳子は喜んでくれた。
 夕食が終ると駅前のイルミを見ていた。
 瞳子ははしゃいで写真を撮っていた。
 歩いていると瞳子が僕の腕に組みつく。
 さすがに驚いた。

「中学生だよ。このくらいで慌てないでよ」

 瞳子はそう言って笑う。
 この後の事を考えると確かにそうかもしれない。
 周りを見ると同じようなカップルが沢山いる。
 一通り見て回るとバスに乗って家に帰る。

「お風呂の準備はしておいたから順番に入りなさい」
「瞳子先に入りなよ」
「うん」

 僕は部屋でゲームをしていた。
 女子の風呂は長い。
 茜や冬莉は別だけど。
 茜は髪を伸ばしているのになぜか髪を洗わない。

「長いから面倒なの」
「だったら切りなさい!」

 そんなやりとりを母さんとしてた。
 冬莉も似たようなもんだ。
 瞳子が部屋に戻ってくると僕も風呂に入る。
 この後の事を考えると緊張してきた。
 初めてだけど大丈夫なんだろうか?
 瞳子に嫌われたりしないだろうか?
 風呂から出ると部屋に戻る。
 部屋のテーブルにはケーキがあった。

「どうしたのこれ?」
「私が作ったんだよ」

 僕はキッチンに小皿とあと飲み物を取りに行った。
 そして二人でケーキを食べていた。

「どうかな?」
「美味しいよ」
「よかった」

 ケーキを食べ終わりテレビを見ている。

「神に祈るなんて無駄だから私は銃を手放さない」

 そんな歌を聞いていた。
 だけど殆ど上の空だった。
 この後どうすればいいのか悩んでいた。
 そんな僕の様子を悟ったのか隣に座っていた瞳子が抱き着いてきた。

「その気になった?」
「そ、それが……」

 よくわからない。
 ちゃんと僕から誘ってやれって言われたけどその方法が全く浮かばない。
 そう言うと瞳子は笑ってテレビを消すと僕とキスをする。
 部屋には誰も入ってこれない。
 きっと瞳子は覚悟は出来てるんだろう?
 肩透かしさせるのは悪いかな。
 色々理由をつけて瞳子を押し倒していた。

「痛い!」
 
 しくじったかな。

「ご、ごめん」
「床だとごつごつしてるからベッドに入ろう?」

 明かりも消して欲しいと瞳子が言うから消すとベッドに入る。
 瞳子は僕に抱きついてきた。

「冬吾君の思う通りにやって欲しい」
「いいの?」
「良くない人にこんな真似しないよ」
 
 それもそっか。
 とりあえずどうする?
 服の上から触ってみる。
「くすぐったい」と瞳子が言う。
 直に触ればいいのか? 
 瞳子の服の中に手を入れて触ってみる。
 瞳子は必死に何か堪えていた。

「……服脱ごうよ」

 瞳子が言うので服を脱いだ。
 そして続行する前に瞳子からお願いを受けた。

「絶対にごめん、とか、どう?とか言わないで」

 瞳子だって初めてだしよく分からない。
 女子の初めてはとても痛いってのは誠司が言ってた。
 でもそれでも瞳子は僕とするのがいいんだって言った。
 とりあえず思いつく行動をとっていた。
 そしていざという時に「しまった」と思った。
 どうしてさっきコンビニで用意しなかったと後悔した。
 そんなな僕を見て察したのか、瞳子はベッドから出る。
 愛想尽かされたかな?
 逆だった。
 どうしてなのか分からないけど瞳子が持っていた。

「言ったでしょ?つけ方が分からないなら私がつけてあげるって」

 それが瞳子が持っている理由になるのかは分からないけど聞いたらいけない気がしたから止めておいた。
 そして瞳子と一夜を過ごした。

「おはよう」

 瞳子の声で目を覚ます。

「お誕生日おめでとう」
 
 瞳子は笑顔で言ってくれた。

「ありがとう」
「じゃ、私服を着るから冬吾君あっち向いてて」
「いいけど」

 不思議だった。
 裸を見られても平気なのにどうして下着はダメなんだろう?
 そんな疑問を持つ事を予測していた瞳子は答えた。

「私だってそれなりの下着は用意するけどやっぱり中学生だから」
 
 そんなに見た目の良い下着を持ってるわけじゃない。
 それは裸を見られるより恥ずかしいんだと瞳子が説明してくれた。

「着替えたよ~」

 瞳子が言うと僕もベッドから出て服を着る。

「おはよう」

 父さんがてリビングにいた。
 母さんは朝食の準備をしてる。
 冬莉が降りてくると早速瞳子に聞いていた。

「昨夜はどうだった?」

 そういう事を僕の前で聞くのはどうなの?

「冬吾君慣れてはいないみたいだけど優しかったよ」

 それが瞳子の感想だった。
 父さんはただ笑っとけって感じだった。

「よかったね」

 それが母親の感想だった。

「そういえば冬吾の部屋から夜中声が聞こえて来たけど何してたんだ……いてぇ!」
「冬眞はまだ知らなくていいの!」

 莉子に冬眞が怒られていた。

(3)

 私達は中学生。
 さとりもさすがに終わったからと言ってタバコを吸い始めるとかいう真似はしない。
 私達はイルミデートを私の家にさとりを泊めていた。
 誠司に色々試されたからそれなりに経験はある。
 だけどさとりは初めてだったみたいだ。
 さとりを安心させながら私はさとりを抱いて寝た。

「おはよう」

 朝になるとさとりがそう言って私の髪を撫でて起こしてくれる。
 夢じゃないんだ。
 
「おはよう」

 私もさとりに思いっきり抱き着く。
 男子って不思議だ。
 夜どんなに疲れていても朝になると元気になる。

「朝食の前にしておく?」
「あ、それは大丈夫」

 今さら慌てることもないのに。
 少しおかしかった。
 ダイニングに行くと朝食が準備されている。
 それを食べながらさとりは私の両親と話をしていた。
 朝食を済ませると部屋に戻る。

「今日はどうする?」

 私はさとりに聞いていた。

「何も考えてなかった」

 さとりは白状した。
 まあ、そうだろうな。
 昨日奮発したんだろうし。

「じゃあさ、私のお願い聞いてもらってもいい?」
「出来る事なら何でも」

 私はお願いを一つだけ言った。

「せめて夕飯まで一緒にいて欲しい」
 
 部屋でテレビを見ているだけでいいから。
 私がそう言うとさとりは「わかった」と言ってくれた。
 それから退屈なテレビをずっと見ていた。
 こんな事ならDVDでも借りておけばよかったかな。
 とりあえず色々感想を言いながら時間を過ごした。
 夕飯を済ませるとさとりは帰る。

「次はいつ誘ってくれるの?」
 
 私はさとりに聞いていた。
 さとりは少し考えてから言った。

「西寒田にでも初詣にいかない?」
「わかった」

 それだけでいい。
 何も無い日もさとりはメッセージをくれるから。
 他愛のない話を毎日してるから。
 やっとつかめた幸せな時間。
 そんな余裕が生まれると他の事を考え出す。
 いつかアイツにもそんな相手が出来るといいな。
 あの事件以降誠司は変わった。
 私達にはまだ無限に近い時間がある。
 変わろうと思えばいくらでも変われる。
 しかし、私はまだ誠司がどういう風に変わったのかを把握しきれていなかった。

(4)

「じゃあ、今年もお疲れ様。乾杯」

 俺がそう言うとSHのクリスマスパーティが始まった。
 今年は欠席する者が多くなった。
 理由は嫁の妊娠。
 辛い時期にある嫁を放っておいてパーティに出るなんて馬鹿な真似が出来るはずが無かった。
 空も美希が身ごもった
 この調子だと一時的にSHの活動を休止せざるを得ないんじゃないか。
 そんな相談を空にしていた。

「悪いけど学に仕切り役を任せたいんだけど」

 空に言われた。

「それは良いが……」

 SHのリーダーは空でないと無理だぞ。と答えた。

「分かってる。何かあったらその時は話を聞くよ」

 空はそう言っていた。
 SHはまだ不安要素を抱えたままだった。
 活動休止と言って暴走する輩を止める事は出来ない。
 事は空の計画通りに進んでいる様だけど。
 大地が連れて来た男、白鳥和志。
 その男が先導して何かこそこそやっているらしい。
 水奈達は「さっさと潰した方がいいんじゃないか?」と言っていた。

「今はまだ芽の段階だ。今潰したらまたやり直しになる」
「芽のうちに摘んでおけって言うじゃないか!?」
「今までその手法でダメだったんだ。少し工夫する必要がある」

 空はそう判断したらしい。

「それより学達も考える時期なんじゃない?」

 翼はそう言って笑った。

「どうい事だ?」
「水奈は卒業するんでしょ?」

 学が拒否する理由はなくなるんじゃないか?
 そういう話か……。
 
「水奈は旦那が学だから恵まれているよ」

 なずながぼやく。
 なずなの夫は遊だ。
 母さんの話だとかなり父さんに似ているらしい。
 それがなずなの子供に遺伝したらと思うと先が思いやられるそうだ。
 だけどそれでも子供が出来ると父母共に変わるらしい。
 天音ですら変わろうとしていた。
 大地も学校が終ったらまっすぐ家に帰るらしい。
 天音の体調も気になるけどお腹の赤ちゃんがいつ生まれるのか楽しみにしているそうだ。
 きっと光太も克樹も同じだったんだろう。
 そんな奴らを見ていたら俺も子供というのに興味が湧いた。
 水奈が母親か。
 どんな風になるんだろうな。

「どうしたんだ、学。やけにご機嫌じゃないか?」

 水奈が聞いてきた。

「育児をする水奈の姿というのに少し興味が湧いたんだ」
「学は手伝ってくれないのか?」
「大地や光太でさえも見てるらしいしな。多分親バカになるんだろうな」
「それは嬉しいんだけど、その前にお前は私に少しは構ってくれ!」

 子供すら作れないじゃないかと水奈が言う。
 最近水奈の父親も来なくなった。
 水奈の母親が説得したらしい。
 誠司の事もあるから了解したそうだ。
 水奈も今年卒業だし頃合いかもしれないな。

「水奈、約束をしないか?」
「約束?」
「ああ、もし水奈が自分の力で卒業が確定したら……」

 そろそろ俺達も子供を準備してもいいかもしれない。

「本当か?」
「ああ、俺も楽しみだし」
「約束だからな!」

 水奈が言う。
 他の連中も天音や空がいないとつまらないのだろう。
 2次会は無しで帰る事になった。

「待てよ!そんなんじゃ折角集まったのにつまらないだろ!」
「遊の言う通りだ。男だけで2次会しようぜ!」

 遊と天はそう主張した。

「男だけでする理由を教えてもらえませんか?天」

 酒井繭が言うと天は笑っているだけだった。

「遊も、今日はもういいでしょ!帰るよ!?」
「帰ったってなずなはまだ子作りできないだろ!?」
「そういう事を大声で言うなこの馬鹿!」

 遊は相変わらずの様だ。
 粋はというと。

「せっかくだろ?ちょっとバーでも寄って帰らないか?」
「いいよ」

 花と上手くやってるらしい。
 女性の覚悟を聞いたら男は変わるらしい。
 遊はどうなんだかわからないが……。
 バスに乗って家に帰るとシャワーを浴びてテレビを見ていた。
 その後にシャワーを浴びた水奈がバスタオル一枚の姿でやってきた。

「せめて服を着てくれ。水奈の父さんがきたらどうするんだ」
「ああ、それなら問題ない」
「どういう事だ?」

 俺が聞くと水奈は笑っていた。

「母さんもまだ女性なんだな」

 娘に夢中になるのもいいが嫁にも構ってくれ、愛莉みたいにうまく甘えられないけど私だって寂しいんだ。
 そう言ったら水奈の父さんは水奈の母さんと甘い夜を過ごしているらしい。

「でさ、さっきの話なんだけど」
「子供の件か?」
「それは分かってる。そうじゃなくてさ……」

 男の子と女の子どっちがいい?
 水奈はそう聞いてきた。

「俺はどっちでも構わないけど」

 まあ、長男だし男の子が一人くらいは欲しいかな。

「私はどっちも不安なんだ」

 男の子だったとして学に似たらいいけど遊みたいになったら手に負えない。
 女の子だったとして私に似たらやっぱり大変だ。
 なるほどな。

「やっぱりどっちでもいいんじゃないか?」
「どうしてだ?」
「女の子だったとして、水奈に似たとして問題あるか?」
「大ありだろ」
「俺はそうは思わないぞ」

 多少のやんちゃな子にはなるかもしれないけど、間違ったことは何一つしない。
 生徒会長までこなした水奈に似るのに何の不都合がある?
 男の子だったとして、遊に似たとしても彼女の気持ちをちゃんと汲んでやれる子に育つよ。
 そういう風に導いてやるのが親ってもんだろ?

「……学が言うなら安心だな」
「それならよかった」
「じゃ、せっかくのクリスマスだし……」

 子供作らないなら別にいいだろ?
 水奈はそう言って抱き着いて来る。
 本当に甘えん坊の嫁さんだ。
 俺達はベッドに入ると一夜を過ごした。
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