姉妹チート

和希

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きっといつか、いつか何処か

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(1)

「社長、すいません。また……」

 受付の子が言ってきた。
 ここ数日続いている事だ。
 他の税理士事務所に変えると一方的に断ってくる。
 理由も聞いていないけど、何となく分かった。

「ありがとう、わかった」
「はい、失礼しました」

 そう言うと社長室のソファに座っていた客がただならぬオーラを出していた。

「余程自殺願望があるみたいね」
「私達はいつでも構わないわよ」

 晶さんと恵美さんが来ていた。
 あと白鳥家の娘の楠木春奈さんも。

「一応調べておいた。白鳥家の中でも末端の雑魚。どう対処してくれても構わない」

 如月家もそのつもりでいるつもりらしい。
 後は僕がやる気になるかどうか。

「この件は空に任せてある。子供の喧嘩に大人が首突っ込む必要無いでしょ」
「でも向こうは大人が介入してきてるじゃない」

 出る口実はあると恵美さんが言う。
 言い方を変えた方が良さそうだ。

「空ももうすでに手を打ってるみたいだ。僕としては息子のお手並みを拝見したいんだけど」

 今の状況で無理に介入したら空達のグループまで解体しかねない。
 もう少しだけ様子を見ようと3人に話す。

「でもこの事務所は大丈夫なの?」

 恵美さんが心配していた。

「恵美さん達が紹介してくれるから手が足りないくらい仕事があるんだ。少々無くなっても平気だよ」
「檜山先輩が言ってた。いざとなった俺も手を貸すから言ってくれって」

 さすがに銀行が介入したら無事じゃすまないだろ。
 子供たちのグループも大きくなったけどそれより強大なのはやっぱり渡辺班だ。
 その事を白鳥和志という男は知らないらしい。

「その時期が来たらお願いするよ。空もまだ今は待つタイミングだと思ってるみたいだ。慎重にいこう」

 この3人が動き出せば電車が一日止まりかねない。
 3人は納得すると帰っていった。
 その後仕事をしてから定時には皆帰る。
 空も仕事に慣れて来たみたいで、丁度出先から帰って来たみたいだ。
 空の担当にも白鳥グループの関連企業がいくつかある。
 今後は他に任せると断られて来たみたいだ。

「社長、すいません……」
「それより美希は大丈夫?」

 初産で不安だろうし支えてあげてと空に伝えた。

「それは大丈夫です」

 ただ、今のSHの状況を天音や翼には伝えられないと空が言う。

「あの子達にはストレスを貯めないようにしないとね」
「大地や善明も気を使ってるみたいです」
「困ったら愛莉に相談すればいいよ」
「うん……」
 
 そう言って空も帰宅した。
 僕も後を任せて帰宅する。
 夕食の後に愛莉に聞いてみた。

「冬莉に何かあった?」
「え?」

 愛莉は気づいてないみたいだ。
 僕は愛莉に教えてあげた。

「よくわからないけど冬莉に気になる異性が出来たみたいだよ」
「え!?」

 愛莉が驚いていた。

「……うーん。その割には相変わらずなんですよ?」

 着替えを洗濯機に入れない。
 穴の開いた靴下を履く。
 風呂に入りたがらない。
 愛莉の悩みの種らしい。

「女の子ってそういうものなの?」
「私はちゃんとしてましたよ」

 冬夜さんにいつみられてもいい様にって愛莉は笑っていた。

「なら、冬莉も変わるんじゃない?」
「だといいんですけど、茜というケースもあるから」

 確かに茜は彼氏がいようと関係なしにやってるな。
 でも、愛莉も少し考えてみたらいいよ。

「茜は引っ越さないんだよね?」
「ええ、実家からの方が楽だからって……親離れする気が無いのでしょうか?」
「その理由って壱郎と一緒だと今の生活が無理だからなんだろ?」
「……そういう事ですか」

 愛莉も理解したのか微笑んでいた。

「でもいいんですか?冬夜さんは娘に彼氏が出来たら寂しいとかないんですか?」
「あるよ。だから愛莉が慰めてくれるんだろ?」
「……困った旦那様ですね」

 そう言って愛莉が笑っていた。
 冬莉の彼氏か。
 どんな子を連れて来るんだろう。
 そんな楽しみも実はあった。

(2)

「もう空にはついていけない。俺達は俺達でやる」

 和志は僕達をわざわざ公園に呼び出した。
 天音と翼は身重だから来ていない。
 来ていたら大変だ。
 大地と善明は連れを止めるのに必死になるところだ。

「で、それが和志の後ろにいる人たち?」

 僕が聞いていた。

「ああ、そうだ。新しいグループだ。県内で最強のグループにするつもりだ」

 僕達のような仲良しごっこのグループにするつもりはないそうだ。

「なんてチームなの?」
「B・BOYS」

 またギリギリな名前を考えたな。

「Bって何の略だ?」

 遊が聞いていた。
 和志が答える。

「BAD」

 すると遊が笑っていた。

「てっきりBAKAのBだと思ったぞ!」
「そんなにバッドエンドが望みなら今叶えてやろうか?」

 遊と水奈が挑発する。
 僕は気づかれないように酒井繭にサインを送る。
 繭はわかったらしく、すぐにスマホで茜に伝える。

「お前たちにそんな事が出来るのか?」

 和志はまだ余裕を見せているみたいだ。

「仕事疲れの時間にこんなしょうもない事に付き合わされたんだ。この場で解体してやっても俺は構わないぞ」
「光太の言う通りだな。さっさと潰した方が手間が省けるかもしれん」
「君達の茶番の為にどれだけの損害が出てるのか教えてあげた方がいいかもしれませんね」

 光太と学と善明が言う。
 
「帰りに呼び出されたから遅くなる」

 その一言で翼は零細企業を蹂躙していくらしい。
 幸いにも翼には事情を僕から伝えた。
 美希も恵美さんから聞いていたらしい。

「潰すなら徹底的に潰してあげるよ」

 美希も随分好戦的になったな。
 だけど僕は言う。

「わかった。後は勝手にするといい。ただし二度とSHの名前を名乗るな。そんな話を聞いたら遠慮なく潰してやる」

 地元最強で満足してる連中が九州最強になったSHにどう歯向かうのか見せてもらおうじゃないか。

「話はそれだけ?君と違ってみんな妻や彼女がいるんだ」

 おかずが冷めただけで企業を踏み潰す連中だよ?

「嫁さんが怖いとはとんだ九州最強だな」

 和志がそう言って笑うと、水奈が動く。
 それを学が止めていた。
 
「まあ、いいや。せいぜい傷をなめ合って生きてるといいさ」
「やっぱりBAKAであってるんじゃないの?」
「なんだと?」
「僕が光太達を抑えているうちにさっさと行った方がいいんじゃないか?君達は僕達に宣戦布告したんだろ?」

 だったらいつでもお前たちを標的にしてやる。
 その気があるならさっさとこい。
 こっちは時間が惜しいんだ。
 すると和志は何か考えて消えて行った。

「で、この後どうするんだ?」

 光太が聞いていた。

「とりあえずお手並み拝見しよう」

 すでに手は打ってるけど。

「茜が退会した連中のリストを紗奈に送ったみたいです」

 繭が言った。
 あとはFGなりが勝手に潰しにかかるだろう。

「そこまで考えていたんだな」
「まあね」
「でも彼らが動くまでこっちは静観してるつもりかい?」

 善明が聞くと頷いた。
 いちいちあたふたしてる方が面倒だろ?
 どっちにしろそんなに長生きしないよ。
 SHの名前を傘に暴れてた連中だ。
 それなりに色んな所からヘイト貯めてるだろ。
 勘違いしていた馬鹿が淘汰される。

「善明はそれより急いで帰った方がいいんじゃないのか?」
「そうですよ。お兄様。こんなところで遊んでたなんて母様に知れたら大事です」

 BBなんてどうでもいいくらいの惨事が待ってる。

「じゃ、僕は先に失礼するよ」

 そう言って善明は帰っていった。

「僕達もこれ以上ここにいる理由はない。帰ろう」

 僕がそう言うと皆帰っていった。
 家に帰ると美希が待っていた。

「どうでした?」
「上手く事が運んでるよ」
「それじゃあ……」
「勝手に自滅していくだろうね」

 しかしなりふり構わなくなったネズミが何をしでかすか予測してなかった。

(3)

 がしゃん!
 男子生徒が吹き飛んで机にぶつかって倒れた。
 どうして吹き飛んだか?
 それは私が思いっきり蹴り飛ばしたから。

「冬莉、そういう行動は女子としてどうなの?下着とか気にならない?」
「まだそんなに立派な下着穿いてないよ」

 それに拳を使ってごつくなる方が嫌でしょ?
 瞳子にそう答えた。

「お前ら!BBに喧嘩売ってんのか!?」

 何人かの男子が立ち上がる。
 ああ、こいつらが空の言ってた馬鹿か。

「ああ、お前らがBAKAか。馬鹿はさっさと埋めてこいって言われてるんだけど」
「それは冬莉の仕事じゃないよ。女子なんだから。本当に彼氏できなくなるよ」
「そうだな。ここは俺達が暴れるシーンだな!」

 冬吾と誠司が言う。
 連中は大人しく席についた。
 蹴飛ばした男は気を失ってるらしい。
 そのうち勝手に席に戻るだろう。
 私は絡まれていた男子に話した。

「大丈夫?」
「うん、ありがとう」
「で、何をそんなに守っていたの?」

 馬鹿の連中が彼から何かを取り上げようとしていたから。
 あ、でもここで私が脅したら馬鹿と変わらないか。

「あ、ごめん。忘れて」
 
 じゃあね、と言って自分の席に戻ろうとした時だった。

「あ、あの片桐さん」
 
 彼が私を呼び止めた。

「どうしたの?」
「放課後、ちょっと時間空いてないですか?」
「……別にいいけど」

 余計な事したかな?
 彼を勘違いさせたかな。
 瞳子と冴は私を見てにやにやしてる。

「ついに冬莉にも彼氏できるのかな?」
「まあ、果し合いの呼び出しじゃなさそうだね」

 でもあんな情けない根性の持ち主が私の彼氏になるのか?
 彼には名前があった。
 松原志希。
 前に私が髪を切った時に褒めてくれた男子。
 あれから少しだけ彼を見ていた。
 あまりぱっとしない男子。
 成績も真ん中くらい。
 ただ、凄く純粋な子だった。
 偶に授業中、授業とは関係ない事をノートに書いていたみたいだけど、それが守りたいものだったのだろうか?
 放課後冴と瞳子が「じゃ、今日帰ったら話聞かせてね」と言って先に帰った。
 私は松原君と2人っきりになるまで教室で待つ。

「で、用件は何?」

 私の方から切り出した。
 すると松原君は鞄からノートを取り出した。

「それが僕の守りたかった物」
「私は見てもいいの?」
「片桐さんだから見て欲しいんだ」

 私はノートを開いた。
 驚いた。
 いくつもの私の横顔を描いていた。
 時折感じていた視線はこれか。
 そしてたまに詩のような物を書いていた。
 ちゃんとタブ譜も書いてある。
 それはまるで恋の歌。
 松原君の顔を見る。

「ごめんね。のぞき見してたみたいで」

 別にスカートの中味覗いたわけじゃないのにどうして謝るんだろう?

「別にいいよ。でも私こんなに綺麗じゃないよ」
「僕には綺麗に見えたんだ」

 きっと恋というフィルターを通してみるとそうなんだろう。
 彼は正確に私の感情を読み取っていた。
 恋に興味があるけど相手がいなくて彷徨っている一人の少女。
 届きそうで掴めない果実のように甘く切ない物を思い浮かべている少女。
 それは歌詞にも記されていた。

「松原君歌も作れるの?」
「うん」
「ここの歌歌ってみてよ」

 すると松原君は歌いだした。
 ただ一人の為に作られれた曲。
 私の事を松原君の視点でなく俯瞰で見た歌詞。
 歌い終える頃私は拍手してみた。

「この道で食べていけるんじゃない?」
「そんなに甘くないよ」

 自信過剰な馬鹿は嫌いだけど、自身の欠片も無い彼にも苛立っていた。
 その止めが次の言葉だ。

「じゃ、それだけ。ノートはあげる。きっといい恋が見つかると良いね」

 そう言って教室を出て行こうとする。
 私は頭に来た。

「待ちなさい!」

 そう言うと松原君は立ち止まる。

「松原君は恋がしたいんじゃないの!?」

 そんなのこのノート見てたら誰でもわかる。
 そしてその対象が誰かくらい鈍い私でも分かる。
 そこまで明かしておいて私に何も言わずに帰るわけ!?

「十分気持ちは伝わったと思ったから……」
「そんなわけない!松原君の口からしっかり聞くまで私は納得しない!そんな情けない事してると恋の神様がいたとしても手助けしてくれないよ!」

 松原君だって本当にすっきりしたって言えるの!?
 中途半端に終わらせてダメだったと勝手に諦めて後悔せずに次の恋に踏み出せるの!?

「で、でもどうすればいいのか分からなくて」
「ふざけるな!ここまでやればやることは一つしかないでしょ」

 たった一言言うだけで世界が変わるかもしれないところまで来てるんだよ!
 うじうじしてないで私を攫いに来てよ!
 すると少し考えて松原君は小声で言った。

「僕は片桐さんの事が好きです……」
「小さい!やり直し!」
「片桐さんの事が好きです!出来たら付き合いた……」

 私は自分の口で松原君の口をふさいでいた。
 愛莉はパパのプロポーズの言葉をキスで遮ったそうだ。

「長いセリフは必要ない」

 そう言って笑ったそうだ。

「初めてだった?」

 松原君は頷いた。
 顔が真っ赤だし多分嘘はついてないだろう。

「光栄に思いなさい。私も初めての彼氏で初めてのキスだから!」
「え……?」

 私のセリフに松原君は戸惑っていた。

「どうせ『自分なんかじゃ私の彼氏に向いてない』とか諦めてたんでしょ!」

 その通りだよ!
 そんな自信のない情けない彼氏なんていらない。
 だからこれから叩きなおしてやる!
 私を選んだことを後悔するのね。
 私に選ばれた事を後悔しなさい。

「こ、後悔はしてないよ」

 そういう事ははっきり言えるんだね。
 まずはそうだな……。

「冬莉!」
「え?」
「兄の冬吾もいるのに”片桐さん”じゃわかりづらい」

 その代わり私も志希って呼ぶから。
 次に……。

「連絡先交換しようよ」
「いいの?」
「恋人なら当然でしょ!」
「で、でもまだ冬莉から返事貰ってない」

 鈍さは半端じゃなさそうだ。
 私は志希に抱きついてもう一度キスをする。
 ああ、今度からちゃんと風呂に入ろう。

「私は志希が好き!これでいい!?」

 投げやりじゃない事くらい行動で示したはず。

「あ、ありがとう」

「じゃ、今日は帰るよ」と言う志希を呼び止める。

「勝手に終わらせるな!まだ用は済んでない!」
「まだ何かあるの?」

 志希が言うと私はにこりと笑った。

「さっき言ったよ。私の初めての彼氏だって。自慢したいから一緒に写真撮ってよ」

 そう言って2人で並んでスマホで写真を撮った。
 画像をその場で加工して半分を志希に渡す。

「ホーム画面にして。勝手に変えたら怒るからね」
「分かった」

 私は志希の腕を組んだ。

「家どっち?」

 方向は同じようだ。

「初めての彼氏だからどう扱っていいか分からないんだよね」
「それが腕を組んでいる事とどういう関係が?」
「一緒に帰りたい」
「わかった」

 志希がそう言うと私は家に帰る。
 あてもなく歩いていた。
 人知れず溜息をついた。
 よく分からない感情。
 2人をつなぎとめる何かってなんだろう?って探し続けてた。
 そんな夢がもう素直に見れなくなっていた。
 家に帰ると愛莉に「彼氏できた」って言う。

「よかったわね」

 そう言って愛莉は笑う。

「これからはお風呂にくらいはいりなさい」

 そう注意された。
 それは何となく今日反省した。
 でも茜は彼氏がいるのに入らない。
 どうしてだろう?
 茜に聞いてみた。

「デートの前の日は入ってるよ。それに……」
「それに?」
「いざとなったら香水で誤魔化せばよくない?」
「良い訳ありません!!」

 私の着替えを取りに来た愛莉に聞かれていたようだ。
 仲良く説教される。
 しかし私は別の事でイライラしてた。
 風呂から出ると私は志希にメッセージを送る。

「何してたの?」
「ゲーム」
「志希は彼女の相手をしようとかそういう優しさはないわけ!」
「ご、ごめん」

 そんな反応を見て私は笑っていた。
 これが皆が探し求めてるものなんだ。
 いつかどこか辿り着く場所がここなんだ。
 まだこれは始まりに過ぎない。
 これからどんな物語を作るんだろう?
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