姉妹チート

和希

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追憶の風車

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(1)

「水奈、ちょっと話があるんだが」

 風呂から上がると学に呼ばれていた。
 どうしたんだろう?
 ちなみに大学はちゃんと自分で卒論書いて単位も取った。
 捨て単位の数は学には教えられないけど。

「もうほぼ卒業決まってるんだろ?」
「ああ、退学処分になるようなことがない限り大丈夫だ」
「……お前約束覚えてるか?」

 約束?
 なんかしたっけ?

「春休みの間に新婚旅行でも行こうと思ってな。手配しておいた」
「どこに行くんだ?」
「そんなに長い休暇を取らせてもらえないから、伊豆にでも行こうと思ってな」

 また爺臭いところを選んだな。
 まあ「天神で飲み歩きしたい」と言ったら怒られたけど。
 伊豆でも飲むくらいはできるか。

「分かった。準備しておく」
「いや、話はまだ終わってない」
「まだ何かあるのか?」
「……本当に覚えていないんだな」

 だから何だよ?
 すると学が手招きする。
 学のそばに寄ると学が私を優しく包んでくれた。

「そういう事ならベッドでいいだろ?」

 別に今さら拒否したりしないぞ。
 やっと父さん達も来なくなってのんびり出来るようになったんだから。

「すまんな……どうもこういう話が苦手で……頑張ったお前に何かプレゼントしてやりたいと思ったんだ」
「プレゼント?」
「約束しただろ?”卒業見込みが出たら子作りに協力する”って」

 あ……

「学もその気になったのか?」
「こういうのは対抗意識でやるものじゃないと思うんだが、天音や翼に美希達を見ているとそろそろいいかなと思ってな」

 私とは3年間一緒に過ごしてきた。
 もう結婚もしている。
 特にダメな理由がない。

「まあ、俺も光太達を見ていると子供が欲しくなったりしてな」
「学がその気になったのなら私はいつでも」
「ただし約束してくれ」
「約束?」

 すると学は説明した。
 妊活というのがどれだけ大変かは天音を見ていた私なら分かるだろ。
 妊娠期間の大変さは麗華や天音たちを見ていれば気づくし、女性の私なら学よりも分かっているはずだ。
 だから学も極力協力するから絶対に無理をするな。
 策者が流産ネタなんてやるわけないけど、それでも私の父さんに知れたら顔向けできない。

「それを守れるなら今夜からでもいい」
「……学。それ真面目に言ってるのか?」
「どういう意味だ?」

 私はにこりと笑って言った。

「それって家事とか手伝ってくれるから無理をせずに安静にしてろってことだろ?」
「……まあ、そういう事だな」
「でも、いいのか?」

 子供が出来たら学はしばらくお預けになるんだぞ?

「言ったろ?俺だって自分の子供が欲しいんだ」
「じゃあ、問題ないな」

 そう言って立ち上がる。

「さっそく今夜から始めるか?」
「そう面と向かって言われると少し戸惑うんだが……」

 ばーか。
 夫婦なんだから当たり前だろうが。
 それから私達も準備を始めた。
 私達の子供が物語の主人公になることをまだ知らずにいた。

(2)

「旦那様!スマホ見せて下さい!」

 家に帰ると美希が僕の顔を見てそう言った。

「ど、どうしたの突然?」
「良いから早く出してください!」

 理由が分からないけど美希の機嫌が悪そうだ。
 とりあえずスマホを美希に渡す。
 美希は操作を始めた。
 そして突然止まって画面を見ると僕にその画面を見せつける。

「この高槻桃花ってだれ!?」
「え?」
 
 SHにはいない子だ。
 だけど……

「別に浮気とかじゃないよ」
「じゃあ、誰なの!?」

 美希が怒ってる……のか?
 本気で怒ってるわけじゃなさそうだけど。
 ……まさか?

「美希、そういう悪戯良くないよ」
「……バレました?」

 美希の顔を見ると美希は笑っている。

「冬夜さんから聞いたので一度やってみたくて」
「まったく……」

 僕は寝室に入ると着替える。
 その着替えを美希が手に取る。

「でも、いくら下についたからって連絡先聞きますか?」

 美希が聞くと美希の頭を撫でた。

「それも理由分かってるんだろ?」

 僕達の仕事は外回りと事務所内での作業になる。
 当然会社の電話を使う事もあるけど、そのうち桃花さんも外回りに出るようになったら連絡先くらい知っておく必要がある。
 ただそれだけの話。
 そう、高槻桃花さんは今年片桐税理士事務所に入った新入社員。
 福岡の大学でバスケをしていたそうだ。
 バスケをしていれば父さんの名前くらい知ってる。
 そしてこの事務所を選んだ。

「プロになる道は考えなかったの?」

 面接の時父さんは聞いたらしい。

「それは社長が一番理由を知ってると思ってこの事務所を選んだのですが」

 そう答えたそうだ。
 一生バスケ漬けの人生もありかもしれない。
 だけど桃花さんは4年生の時に気づいたらしい。
 私にはバスケしかない。
 他には何も無い。
 それでもいいと思う人もいるだろう。
 だけど桃花さんは不安になった。
 桃花さんだって女性だ。
 子供が欲しいとか色々あるのだろう。
 それで大学でバスケを辞める事にした。
 辞めて地元で就職をしながら婚活するつもりだったそうだ。
 面接でそんな事言っていいのだろうか?
 女性は結婚して子供を産むから正社員として雇用しづらい。
 だけど父さんは彼女を採用した。
 寿退社もありなんだろう。
 父さんが最初に勤めていた会社では2年の育児休暇を与えていたそうだ。
 女性は育児があるから長続きしない。
 そんな古い考えに拘るつもりはなかったらしい。
 そして今日付けで彼女が入社した。
 父さんは頃合いだろうと僕を呼び出した。

「当分は空の指示で働いてもらうから、何をさせるかは空が考えなさい」
「高槻桃花です。ご指導よろしくお願いします」

 淡々と話す彼女。
 もちろん戸惑った。
 何をさせたらいい?
 仕事を任せるという事は、彼女に任せられる仕事を準備しないといけない。
 でも、父さんは僕がこの会社を継ぐ気でいるならもっと重要な立場になることになる。
 だったら少しずつ慣れさせていこう。
 そう思っていたんだろう。
 
「じゃ、じゃあ。まずこの伝票の分をソフトに入力してくれないかな?」

 ゆっくりでいいから間違いなく確実に。
 分からない項目があったら僕に必ず相談して。
 勝手に判断しないで。
 一つミスれば大損害を出すことになるから。
 桃花さんは逐次確認しながら進めていく。
 僕が外回りする間は先輩にお願いしておいた。
 事務所に戻ると彼女は任せた仕事を全て済ませていた。
 それを確認しながら連絡先くらい聞いておいた方がいいと先輩から言われたという。
 そして僕と連絡先を交換した。
 その様子をたまたま父さんが見ていたんだろう。
 父さんもたまにこういう悪戯をする。

「空が新入社員の女性と連絡先を交換してたよ」

 美希にそうメッセージを送ったらしい。
 まったく……。

「でも、素直にスマホを出したところを見ると浮気はありませんね」
「あるわけないだろ」

 そんな事母さんに知れたらまた大目玉だ。

「じゃあ、愛莉さんにバレなかったらするの?」
「美希に隠し事なんてしないよ」
「……ありがと」

 僕が風呂に入っている間に美希が夕飯の支度をする。
 2人で「頂きます」といって食事を始める。

「でも待って」
「どうしたの?」

 美希が何か思い当たることがあったようだ。
 僕は聞いていた。

「高槻って名前どっかで聞いた覚えありませんか?」
「そう言われるとそうだね」

 誰かが思い出せない。
 夕食が終って僕がが片付けてる間に美希が風呂を済ませると、何か思いついたようだ。
 寝室の本棚から何かを探していた。

「あ、これです」

 美希が取り出したのは小学校の時のアルバムだった。
 僕達のクラスの写真を見る。
 担任の名前は高槻千歳。
 僕と美希は顔を見た。
 高槻先生なら母さん達も知ってるはず。
 美希は母さんに電話していた。

「あら?冬夜さんから聞いてなかったの?桃花さんは千歳の娘よ」

 父さんの悪戯好きには本当に困った。
 高槻千歳。
 父さん達の大学の後輩。
 水奈の父さんの妹。
 ちなみに千歳さんの旦那さんとは父さんは一緒にコートに立ったことがあるらしい。

「そのことでお願いがあるんだけど」
「なんでしょう?」

 美希が母さんに聞いていた。
 桃花さんをSHに入れてあげて欲しいらしい。
 地元に帰って来たけど親しい人はそんなにいない。
 そんな状況で婚活なんてそういうサークルに入るしかない。
 だけどそんなうたい文句のサークルに寄ってくる男性なんて下心が見え見えだ。
 SHが父さん達の”渡辺班”を模倣したものなら容易でしょ?
 最近抗争やら内紛やらしかしてなかったけどな。

「分かりました。今から旦那様にお願いするので」

 美希は受けるつもりらしい。
 美希が皆に説明してる間に、僕は桃花さんに伝える。
 桃花さんはすぐに入った。

「よろしくお願いします」

 桃花さんがSHに挨拶してた。

「よろしくな。男見つければいいんだろ?任せとけ!」

 水奈が言ってる。
 多分大丈夫だろう。
 久々に楽しそうな話題が出て来た。
 しかし同時に闇の部分がまだ残っていることに気づかなかった。

(3)

 呼び鈴が鳴った。
 こんな時間に誰だろう?
 愛莉が出る。

「あれ?どうしたの?」
「ああ、桃花の事でちょっと」
「わかった、上がって」

 愛莉がそう言うとカンナと誠が現れた。

「すまんな遅くに」
「どうしたんだ?」
「ああ、さっき水奈から聞いて知ったんだけど……」

 そこまでいって誠の話が止まった。
 ある一点を見つめている。
 やれやれ……またか。
 愛莉が立つと浴室から出て来た茜を叱る。

「脱衣所で服を着なさいといつも言ってるでしょ!」
「ごめんごめん、お客さん来るとは思わなかったから部屋に着替え置いてきちゃって……」
 
 そう言って部屋に戻る茜をずっと見ていた。

「お前の娘は皆発育いいな……いてっ!」
「この馬鹿は何回他人様の娘を変な目で見るなと言えば分かるんだ!」
「でも神奈。誠司が言ってたんだけど……」
「なんだ。また馬鹿な事を言うんじゃないだろうな?」

 本当に馬鹿だった。

「冬莉のやつ瞳子よりも大きいって言ってた。茜や天音より大きいらしいぞ」

 冬莉達の会話を冬吾達が聞いていたんだろう。
 カンナは落ち込んでいた。

「愛莉……本当なのか?」
「うん、茜の下着だと胸がきついとは聞いたけど」

 天音にサイズを教えて天音もショックだったらしい。

「私は愛莉の家に一生勝てないのか……水奈ならと思ったんだが……」
「何でお前だけいい目見るんだよ!」

 話題がかなりそれてるから戻そう。

「で、結局何しに来たんだよ?」
「あ、そうだった」

 そう言ってカンナが本題を話す。

「実はちーちゃんから聞いたんだけど」

 ちーちゃんとは高槻千歳。
 旧姓は多田。
 誠の妹だ。
 高槻翔と結婚している。
 今年入社した高槻桃花の母親だ。
 何となく話は分かった。

「さっき美希から電話があったからSHに入れてもらえるようにしておいたけど?」

 愛莉がそう言った。

「実は桃花は大学時代に失恋しててな……」
 
 え?
 それは初めて聞いた。
 桃花は九州大学に進学した。
 理由はバスケの名門だから。
 彼氏は地元に残った。
 大学生だ。
 一生でたった一人だけの彼女なんて事はあり得ない。
 彼氏は新しい彼女を見つけた。
 それでも桃花は気にも留めなかった。
 バスケがあったから。
 しかしバスケを辞めて心細くなっている。
 だけど実家で過ごしていても出会いなんてあるはずがない。
 それで就職を決意した。
 求人票でたまたま見つけた片桐税理士事務所という名前を見て神様がチャンスをくれたと思ったらしい。

「つまり新しい彼氏が出来てもちゃんと続くか怯えてるって事か?」
「まあ、そうなるな」

 カンナが答えた。

「それなら翼達に任せておけば大丈夫だよ」
「本当にそうなのか?」

 誠が聞いてきた。

「お前の息子を疑ってるわけじゃないんだけどネットであまり評判が無いらしくてな」

 空の策で若干ミスがあったけど腐った部分は切り離したと聞いている。
 だけど完全かどうかは怪しい部分もある。
 それがたった1人でも残っていたらあっという間に広がってしまう。
 愛莉も心配そうに僕を見つめている。
 僕はきっぱり答えた。

「大丈夫だよ」
「何でそう言えるんだ?」
「空の話を聞いた感じだと前ほど目立つ勢力じゃないみたいだ」

 そんな部分なら馬鹿な真似をしたら過剰な制裁を下すだろう。
 少なくとも桃花の彼氏を見つけるという点だけは問題ないだろう。
 SHのまともな部分が動いているんだから。

「お前がそう言うなら信じるよ」
「だけど失恋したという分ちーちゃんより難しいと思うんだ。しっかり相談に乗ってやってくれ」

 誠とカンナは納得したようだ。

「それにしても誠の血筋はどうなってるんだ?」
「どういう意味だ?」
「誠や誠司みたいな性格とちーちゃんや桃花みたいな性格」

 同じ兄妹とは思えないぞ。

「う、うちの女性はみんなちーちゃんみたいな純粋なんだ」
「すると、水奈の性格は私のせいだと言いたいのか?」

 カンナが誠を睨む。

「い、いや。神奈も純粋だよ。最近になってやっと”私にも構って欲しい”って言ってくるくらいの恥ずかしがり屋で……いてぇ!」
「余計な事は言わなくていい!それに私はトーヤを押し倒して迫ってみたけどダメだったんだ……」
「そ、それ本当か冬夜!」

 誠が俺を睨む。

「ぼ、僕には愛莉がいたから」
「……その話後でゆっくり聞かせて下さい」

 愛莉が僕を睨む。
 中学時代を今さらどうしろっていうんだよ。
 話が終ると電気を消して寝室に入る。
 そして愛莉とベッドに入る。

 ぽかっ

「さっきの話聞かせてくれないんですか?」
「中学の時の話だよ」
「今まで教えてくれなかった」

 彼女以外の女子に押し倒されたなんて余程タフな心の持ち主じゃないと言えないぞ。
 でも愛莉は笑っていた。

「それでもいいんです。あの頃があったから今があるんだから」

 そう言って愛莉は僕に抱きつく。

「神奈は自分の口で伝えて誠君に伝わったようですが、冬夜さんも私の口から伝えないとダメですか?」
「……困ったお嫁さんだな」
「えへへ~」

 悲しみの上に今がある。
 その先には何があるんだろう?
 眩しくて見えない未来の先にある物。
 だけど少しずつでも光の方へ近づいている。
 きっと桃花さんにも素敵な人が現れるだろう。
 実はもういるのかもしれない。
 そんな予感がした。
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