姉妹チート

和希

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大切な強さ

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(1)

「それじゃ乾杯」

 そう言って花見が始まった。
 空達は来なかった。
 やっぱり子供の世話で大変みたいだ。
 光太達は来ていた。
 夏希と正俊もいる。
 もちろん来るまでは来てない。

「ほら、純也。今日初めてなんだろ?ガンガン飲め!」

 水奈が容赦なく勧めて来る。
 
「水奈はダメだ!」

 学が止めると珍しい事に、水奈が従っていた。
 そういえば学も飲んでいない。
 何があったんだ?

「純也達は初めてなんだからあまり無理するなよ」

 そう言って学はジュースを飲んでいた。
 本当は父さんやおじさんと飲みたかったんだけどここまで来て「飲めません」はしらけさせるかもしれない。
 梨々香だって酎ハイを飲んでいた。
 ま、いっか。
 あまり美味しいとは思えなかった。
 そんな俺を見て光太が言う。

「最初はそんなもんだ」
「光太、酔わないうちにあの件伝えておかないと」

 隣で子供の世話をしながら奥さんの麗華が言う。
 あの件ってなんだ?

「ああ、純也は地元大学なんだろ?」
「そうだけど」
「ちょっとある女性を確保しておいてほしいんだ」

 確保。

「どういう理由で?」

 すると光太が説明を始めた。
 麗華の従妹の北村彩音という女性が地元大学に入学するらしい。
 凄く人当たりが良くノリもいい。
 だから心配してるんだそうだ。
 地元大は最近妙なサークルがうじゃうじゃいると天が言ってた。
 すぐ流されるからその前にSHで確保しておきたい。
 そんな相談を麗華が受けたそうだ。

「わかった。なんか顔写真とかある?」

 そう言うと麗華が顔写真を送信してくれた。
 麗華に似てるのか、結構美人だ。
 そんな写真に見とれていると梨々香が現れる。

「もう浮気するわけ!?」

 梨々香が怒り出すと必死に宥める。
 麗華が説明すると怒りが収まった。

「私達大学離れてるんだから少しは気を使ってくれてもいいじゃない」

 そう、梨々香は別府大学に入学する。
 どうしてそうなったのか分からない。
 だけど、恋人だから進路も一緒にするというのもおかしな話だ。
 自分が学びたいことを学べばいい。
 ただ住んでる場所から離れているから通学に困っていた。
 一応電車はあるんだけど。
 その後は皆で騒いでいた。
 光太と遊は相変わらずだ。
 食べ物と飲み物が無くなると片付けて帰る。
 バスが無いのでタクシーで帰る。
 梨々香が何か不安そうにしている。
 家に帰って梨々香に聞いてみた。

「不安にもなるよ。純也は見た目いいし、優しいし、強いし……他の女性からもきっとモテるよ」
「そんな事言ったら俺だって梨々香の心配しないといけなくなるよ」
「心配してくれてるの?」
「言い方を変えたら信用してないって事になるけどね」
「そこは理解してるから」

 そうだな、初めて離れるんだもんな。
 でもそれはいつか必ず起こる事だ。
 俺が就職したら梨々香は一人になる。
 これまでだって、家に帰ったら一人だったんだから。

「間違えはないから心配するな」
「うん」

 梨々香がそう言うと風呂に入って寝る。
 するとスマホが鳴る。
 茜からだ。

「まずい事になった」
「どうしたんだ?」
「BBの残党が残ってる。それに……」
「それに?」
「まだ、SHに馬鹿な奴らが残ってるみたい」
「……それ空に伝えておいて」
「もう伝えてある」
「あとは何とかするよ。ありがとう」
「気をつけてね。多分かなり狡猾な手段を取るはずだから」

 一度犯したミスはしないだろう。
 茜とメッセージを済ませて今度こそ寝る。
 何かしでかすとしたら俺達の目の届かないところか、それとも……手を出せない場所か?
 そんな事を考えながら眠っていた。

(2)

「夏希準備出来た?」
「もう少し待って」

 女性は準備が大変だっていってたしな。
 のんびりテレビを見て待っていた。

「お待たせ~」

 夏希が部屋から出てくると時計を見る。
 まだ間に合いそうだ。

「ちょっと急ぐけどいいかな?」
「車で行くんじゃないの?」
「多分、それは止めた方がいいと思うから」

 夏希は不思議そうな表情をしていた。
 僕達はバス停に着く。
 バスはまだ来てなさそうだ。
 すると夏希が言った。

「まさ君さ、気持ちは分かるんだけどいい加減慣れてよ」
「何を?」
「まさ君私が着替えだすと慌てて部屋を出るでしょ」
 
 普通そうじゃないのかな?

「まさ君は私の全部を見たんだから今さらそんなの気にしないよ」

 そういや父さんも母さんと同棲してたとき素っ裸で歩き回っていたって言ってたな。
 茉里奈も似たようなもんだった。

「分かった」
「少しは喜んでる?」

 難しい質問だな。

「あまり期待するとがっかりするような気がするんだよね」
「どうして?」
「だって夏希の体を見るだけ見て何もできないんだよ」
「……まさ君も男なんだね」

 嬉しそうに僕の腕を掴む夏希。
 バスが来ると乗って、僕達は入学式の会場の近くのバス停で降りた。
 もうすでにたくさんの新入生が着ている。
 そんな中で友達の片桐純也と出会った。
 純也は僕を見て笑う。

「お前の顔隠してたらお偉いさんにしか見えないぞ」
「私も少しは痩せなさいって注意してるんだけど全然聞いてくれないの」

 夏希が困ってる様だ。
 
「男は器のデカさが重要だって父さんが言ってたよ」
「まさ君、その器は意味が違うって言ったじゃない」

 余り困ってないのかな?
 夏希は笑顔だった。

「あ、今日入学式終わったら皆で遊ぼうぜ」

 純也が言う。
 他の1年生組には招集かけたそうだ。
 入学式が終ると駅前の広場に向かう。
 とりあえず昼ご飯食べたいんだけどな。
 
「ああ、駅の近くのラーメン屋が美味いって父さんが言ってたから」

 純也の父さんは美味しい店を沢山している。
 そしてなぜか純也の母さんに叱られるんだそうだ。
 皆が集まるとラーメン屋で昼食を食べてSAPで遊んでいた。
 遊び終えると日が暮れて夕食時になる。

「お前ら車で着た奴いる?」

 純也が聞いている。
 予想通り誰も来ていなかった。
 居酒屋に入ると注文をとって、飲み物が渡されると純也が挨拶して飲み始める。

「まさ君この事予想してた?」
「多分そうなるだろうと思ってた」

 紗理奈や茉里奈がそうだったから。
 純也は少しは飲むけどそんなに大量には飲まない。
 酔っぱらって暴行なんてしたら大変な事になると思ったんだろう。
 単品だとそうでも無い料理でもお酒と一緒だと美味しい物もある。
 実は卒業式の後に実家に荷物を取りに行った時に両親と飲んだ。

「正俊もそろそろ酒の味を覚えていいんじゃないのか?」

 母さんがそう言っていたから。
 居酒屋で過ごすと皆家に帰る。
 明日も学校があるから。

「夏希大丈夫?」
「うん、酎ハイ少し飲んだだけだから」
「酎ハイは軽く見えるけど量が過ぎると足に来るから気をつけて」
「まさ君はそういうのは詳しいんだね」
「父さん達から聞いてるから」
「まさ君は本当に父さんが好きなんだね」

 そりゃね。
 家に帰ると風呂に入って寝る。
 夏希がパジャマを着ているのを見ていた。
 その視線に気づいた夏希が聞いてきた。

「どうしたの?そんなにじろじろ見て」
「朝言ってたじゃないか?」

 見たければ見てもいいって。
 それを聞いた夏希は少し照れくさそうにしていた。

「そんな事言われると期待しちゃうよ?」

 もう夜だし問題ないでしょ?

「そう言うのも受け止めるのが男だって言ってたから」
「単にまさ君がしたいだけじゃないの?」
「かもしれないね」

 そう言うと夏希が僕に抱きついた。
 僕達の新しい学校生活が始まった。

(3)

 幼稚園には沢山の親が集まっていた。
 皆自分の子供を見守っている。
 そわそわしてる子や、今にも泣き出しそうな子。
 何も考えてないような子もいる。
 麗華は落ち着いて自分の子を見守っていた。
 光聖も玲衣も落ち着いていた。
 光聖にいたっては何も考えてないようで不思議そうにクラスの担任を見ている。
 俺と麗華だけじゃない。
 克樹や与留達も同じように子供を見守っていた。
 入園式が終ると子供達が親の所に戻ってくる。
 最初のうちは親が一緒に登園して欲しいと言われていた。
 麗華で問題なさそうなので麗華に任せる事にした。
 克樹や与留達と一緒に昼食にする。
 ファミレスに行った。
 光聖も玲衣もお子様ランチでは物足りないらしい。
 しかしまだ熱い鉄板の物は食べさせられない。
 玲衣はすぐに克樹の娘の希美や香奈と仲良くなっていた。
 おしゃべりしながらご飯を食べていた。
 麗華達は普段からみなみや道香と親睦があったらしい。
 子供の事とか色々話をしていた。
 昼食が終ると家に帰る。
 子供達を寝かせてリビングでテレビを見ていた。

「ねえ、光太」
「どうした?」

 麗華は光聖たちの幼稚園での生活が気になるらしい。
 ちゃんと他に友達を作ったりするのだろうか?
 変なグループに勧誘されたりしないか?
 妙な遊びを覚えたりしないか?
 俺は自信をもって答えた。

「心配しないでいいよ」

 光聖は何を考えているか分からないところはあるけど、善悪の判断くらい出来るように育てたつもりだ。
 玲衣だって多少のやんちゃはやるだろうけど最低限のルールくらいは持っているはずだ。
 友達だって希美たちがいるから大丈夫だろう。

「光太は子供を信用してるのね」
「親が信用しないで誰が信用するんだよ?」
「……それもそうね」
 
 まだあの子達はこれから始まる膨大な物語のスタートに立ったに過ぎない。
 どんな道を目指していくのかこれから選択していくだろう。
 道を誤ろうとしていたらその時注意してやればいい。
 まだ”将来の夢”すら決めていないのだから。
 じっと見守っていればいいだろう。

「でも光太も覚悟した方がいいんじゃない?」
「何を?」
「玲衣の事」

 玲衣はポジティブで社交的だ。
 この世界では割と当たり前の事。
 玲衣が恋人を作るかもしれない。
 みっともない真似だけはしないでくれ、と麗華は言う。

「善明達が親に言われたらしいんだけどな」

 俺は麗華に説明した。
 娘が最初に遭遇する異性は父親だ。
 それが憧れに変わることが多いらしい。
 だからもし玲衣が酷い男を連れて来た場合は自分の責任だと思え。
 それを聞いて俺は玲衣の前ではしっかりしてきたつもりだと話した。

「その割には遅くまで飲みに行ってるわね」
「そ、それは色々付き合いとかあって」
「……玲衣が言ってたわよ」

 パパは遅くまで仕事して疲れてるのに休みの日に相手をしてくれる優しい人。
 そんな風に玲衣は思っていてくれたらしい。

「でも、それがただ飲んでるだけだと玲衣に知れたら私もかばいようが無いわよ」
「……出来るだけ早く帰るよ」

 世の中の父親は妻や子供の為に必死に働く。
 子供の笑顔を見ているだけで疲れが取れる。
 そうやって毎日必死に頑張るんだ。
 それはこの世界でも同じなんだろう。
 俺も父親の背中を見て育って来たんだと思う。
 だから今度は俺が光聖達に堂々と背中を見せてやらなければいけない。
 
「これからもっと頑張らないといけないな」
「あんまり無理して倒れたりしないでね」

 麗華も俺の事を心配してくれてるらしい。

「当たり前でしょ。たった一人の旦那様なんだから」
「そうだったな」

 俺は笑っていた。

「光聖達もある程度手がかからなくなっただろ。もう少ししたらもう一人くらい作るか?」

 麗華は笑って拒否した。

「あんなしんどいのはもう二度としたくない」

 今は2人いるだけで十分だと麗華は言う。
 夕食の時間になると子供達を起こして夕食にする。
 2人を風呂に入れて寝かしつけると俺達もそろそろ寝ようかという。

「光太さ、前から思ってたんだけど」
「なんだ?」

 風俗には興味を示すのに私に興味は示さないのはどういう理屈なの?
 麗華はそう言って抱き着いてきた。

「でも、麗華子供いらないって言ってたじゃないか」
「子供はいらないけど私だって一応女だよ?」

 構って欲しい夜もある。
 偶には旦那の相手もしてあげたい。
 今日まで頑張ってこれたんだ。
 お互いに癒しあおう。

「分かった。でも一つだけ言わせてくれ」
「どうしたの?」
「風俗と妻は別物だ!」
「……浮気はしないと信じてるよ」

 普段の子供達に接している姿を見てたらそのくらい分かる。
 だけど、やっぱり他の女性とそういう事をして欲しくない。
 なるほどな。

「あんまり変な事要求したら怒るよ」
「分かってるって」

 そう言って麗華をベッドに誘う。
 今日という記念日を抱いて俺達はゆっくりと休んだ。
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