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一騎打ち
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(1)
「かわいい子ね、七海」
「ありがとうございます」
俺は妻の春奈と一緒に、孫を見に来ていた。
夏弥の嫁さんの七海に似てる気がする。
きっとすごいピアニストになるんだろうな。
そんな事を考えていた。
「名前はもう考えたのか?」
「めっちゃ苦労した」
そう言って二人が娘の名前を教えてくれた。
碧。
みどりと読むらしい。
「父さん抱っこしてあげて」
そう言われて抱いてみた。
子供を抱いた経験は秋斗や夏弥であるけど、女の子は初めてだ。
まあ、そんなに変わらなかったけど。
こんな時期が秋斗や夏弥にもあったんだよな。
「夏弥、母さんから一言だけ忠告があります」
「何?」
「絶対に恋人が出来たからと言って慌てたらダメ」
「りょ、了解っす」
それは片桐先輩たちも嫁さんに言われていたな。
やっぱ娘だとそうなるものなんだろうか?
春奈が言ってるんだから多分間違いないだろう。
「じゃ、晴斗。そろそろ急がないと」
「そっすね」
「あ、父さん。……気をつけて」
「超余裕っす」
実際何やれば分からないんだけど。
突然片桐先輩から言われた一言。
「知事選に出馬しろ」
そんなに難しく考えなくていい。
政治に詳しい人に心当たりがあるからこっちで秘書を準備する。
渡された文章を読むだけでいいけど、出来れば暗記しろ。
余計な事は一切喋るな。
公約なんて難しく考える事はない。
景気をよくするとか適当な事を言っておけばいい。
地元経済くらいどうにでもなる。
確かに恵美先輩と晶先輩が少し我慢すれば失業率なんて思いのままだろう。
後は適当に交通の便をよくするとか言っておけばいい。
如月交通がそこらへんは調整する。
絶対事故が起きるような交差点を作っても文句を言わない県民だ。
バスの運賃を下げて本数増やしてやればそれだけで変わってくるはず。
事業の誘致も石原先輩や酒井先輩に任せておけばいい。
4大企業に加えて山本グループや地元銀行もバックについてる。
俺が致命的なへまさえしなければ必ず勝てる。
組織票だけで余裕だ。
今までどおりのんびりしてればいい。
ただし選挙期間中だけはとにかく頭を下げろ。
絶対に「よろっす」と「あざーす」は禁止。
そんな説明を受けていた。
しかし一つだけ疑問があった。
「どうして片桐先輩が立候補しないんすか?」
「まだ空に事務所を任せるのは早いからね」
他の皆もまだ子供に全権を委ねるには経験不足。
支社程度なら秘書に任せておいても問題ないだろう。
今までだって重要な事は春奈が決断していた。
それならまいっか。
今日はその有力な協力者と顔合わせをする事になっていた。
居酒屋に入ると片桐先輩たちはすでにいた。
知らない男の人もいる。
この人が協力者?
そんな俺の視線に気づいた片桐先輩が紹介してくれた。
「この人が晴斗の秘書になってもらう予定の林田雄平さん」
森重知事の秘書を務めていた人。
彼も森重知事の無念を晴らしたいと思っているらしい。
「林田さん。彼が今回立候補させる楠木晴斗君」
片桐先輩がそう言うと林田さんは俺をじっと見ていた。
「楠木君は今の地元についてどう思ってる?」
「つまんねー場所っす」
「それをどう変えていきたいと思う?」
「もっとアゲアゲでガンガン盛り上がればいいと思ってるっす」
「具体的には?」
「わかんねーっす」
恵美先輩と晶先輩の視線が突き刺さっていたけど、片桐先輩は静かに話を聞いていた。
質問が終ると林田さんはにやりと笑った。
「なるほど、片桐さんの意向がよく分かりました」
「じゃあ、引き受けてもらえますか?」
「中々おもしろい男だ。君いくつだ?」
「46歳っす」
「その歳で世間に惑わされずに自分の意見を持っているのは良い事だと思う」
それでいい。
それを具体化して提示するのが林田さんの役割だと言った。
「じゃあ、決まりだな。後は選挙の準備か」
「費用は白鳥家で負担します。恵美先輩たちの出資を知られるとめんどくさそうだし」
「そうね。出来るだけ変な噂は流したくないわ」
恵美先輩がいうと林田さんは頷いた。
「問題はそこなんです。森重先生の票をかっさらう気でいるなら絶対に汚職疑惑などは避けないといけない」
俺の意見は多分若年層を取り込むことが可能だろう。
後はどれだけ清廉潔白でいられるか?
片桐先輩や石原先輩ではそこらへんが弱点になる。
片桐先輩はそれで俺を指名したのか?
さすがっす。
「今後何があろうと渡辺班は動いたらいけない。動いた時点でアウトだと思わないと」
「でも何かしら妨害くらいしてくるでしょ?」
片桐先輩と恵美先輩が話している。
「してくるだろうね。森重先生が市長になる時もしていたから」
それでも僕達は動いたらいけないと恵美先輩たちに注意する片桐先輩。
「やられっぱなしで勝てるの?」
晶先輩が言うと片桐先輩がニヤリと笑った。
何か切り札を持っている証拠だ。
「晴斗達と関係の薄い強力なカードを持っているからね」
へ?
「あの子達だって馬鹿じゃない。痕跡を残すような事はしないだろう」
向こうだってアルテミスの繋がりを突きつけられたら終わりなんだ。
なんせ正真正銘の暴力団と繋がっているのだから明るみに出た時点で政治家生命は絶たれるだろう。
だからアルテミスではなくFGを使って何かしてくるに決まっている。
ギリギリの勝負をしているのはお互い様なんだ。
だからこそ息子に渡しておいた。
「それって……アレか?」
誠先輩がいうと片桐先輩が頷いた。
「時期を合わせてあれを垂れ流せば少々の事なら潰せるだろ」
「結局片桐君の掌の中で動いているのね」
恵美先輩がそう言ってくすっと笑った。
「あの子がアレを使うタイミングを間違えなければ大丈夫」
「最後まで計算づくってわけだね。流石だよ片桐君は」
公生がそう言って笑った。
「と、なると事務所の手配とかウグイス嬢の手配とかか」
「スタッフは子供達を使えばいいだろ」
大学生くらいなら大丈夫なはずだと片桐君は説明する。
「しかしそうなると問題はウグイス嬢だな」
「なんでだ?」
桐谷先輩が言うと神奈先輩が聞いていた。
「さすがにウグイス嬢に50近いばばあ使うわけいかないだろ……」
「ば、馬鹿瑛大!!」
誠先輩が慌てて止めようとするが遅かったみたいだ。
「ばばあだと?」
「随分言ってくれるじゃない……」
「瑛大を代わりに燃やしてあげてもいいわよ?」
神奈先輩と亜依先輩と恵美先輩が牙を向ける。
「や、やっぱり若い方がいいに決まってるだろ?」
全然言い訳になってないっす。
「その辺は俺が手配します。ウグイス嬢は綺麗なだけじゃダメだ。ある程度ノウハウが必要だし」
森重知事の後援会を使うつもりだと林田さんは言った。
「私やってみたかったな」
春奈が言う。
「あ、奥さんには楠木君と一緒に回ってもらいます。好感度が上がるから」
「じゃあ、決まりだな。皆くれぐれも軽はずみな行動はとらないでくれ」
渡辺先輩がそう言ってしめた。
ついに渡辺班も政界進出か。
テンション上がってきたっす。
(2)
会社そばの公園の指定するベンチに12時半きっかりに来い。
電話は用件だけ伝えて来た。
無視する手もあったけど、別に何の危険もないだろうと公園のベンチに座った。
別につなぎを着た男性がいたわけでもない。
少し早めに着て待っていると突然隣から声がした。
「友永幸雄さんですね?」
いつの間に来たんだ?
横を見ようとすると「こっちを見るな」と言われた。
「用件は簡単な事だ」
そう言って隣の男は手を差し出した。
USBメモリだった。
「これは?」
「森重知事の事件の真相を全て入れてある」
なんだって?
警察からは何の操作の進捗状況が発表されていなかったのになんでそんな物を?
「信じる信じないは好きにしたらいい。僕はこれをあなたに渡すように指示されただけ」
「条件は?」
タダなわけがない。
何か取引材料があるだろう?
「公表するのはあなたの新聞社だけでして欲しい。他にリークすることは許さない」
「……それだけ?」
「そうだ。悪い条件じゃないだろ?」
「あんた誰だ?」
俺が聞いたら男は答えた。
「仲間達からは”空の王”と呼ばれている」
「あんたが?」
空の王。
数年前のギャングの抗争を鎮圧したグループのリーダー。
正体は知らない。
ただその時に血眼になって探していた重要なファイルを手に入れた男に与えられる称号だと言う事は聞いた。
「あんた達の目的は?」
「あまり余計な事を詮索しない方が身のためだよ?」
そう言われると俺はUSBメモリをポケットにしまう。
「せいぜい派手に取り上げてくれ。じゃあね」
そう言うと気配が消える。
横を見ると誰もいなかった。
悪い夢でも見ていたのか?
とりあえず会社に戻ってその中身を確認しないと。
しかし会社に着く前にチンピラに囲まれた。
「あの男から何かを受け取っただろ?」
監視されていたのか。
チンピラは武器を取り出す。
「脅しじゃない。森重知事みたいな最期を迎えたくなければ大人しく渡せ」
男はそう言って倒れた。
「昼休みでよかった。仕事中にこんな事していたら大変だ」
背の低いスーツ姿の男がいた。
「僕達も色々忙しいんです。役職柄仕方ないんだけど」
もう一人もスーツ姿だけで背が高い。
「なんだお前ら!?」
チンピラたちが武器を彼等に向ける。
しかし背の低い方が臆する事無く彼等に告げる。
「40秒だけ時間をやる。とっとと消え失せろ」
「歯向かう気なら容赦しませんよ。そんなもん持ってたら僕達も正当防衛が成り立つ」
すると何人かが2人に襲い掛かる。
あっという間に叩き伏せる。
「そんなに命を無駄にしたいなら僕達は別に構わないけど」
背の低い方が言うとチンピラの一人が俺に銃口を向ける。
「こいつの命が惜しければじっとしてろ」
「こんな言葉を知ってますか?……拳銃を抜いたからには命かけろよ?」
「何言ってんだてめぇ」
「そいつは脅しの道具じゃないって言ったんだ」
背の低い方が言うといつの間にか背後に立っていた大男が銃を持っている手を掴み上げる。
握力は凄いらしい。
「全く……こっちは仕事と育児に無関心な妻の世話で大変だってのに」
気づいたら数人のスーツの男が俺達を取り囲んでいた。
「後は任せるよ、手筈通りに」
「分かりました」
背の低い男が言うとスーツの男たちはチンピラの片っ端から連れていく。
ここは道幅が狭いうえに一方通行だらけのパズルのような路地。
大きな道路に止めていた輸送車にチンピラを押し込める。
「じゃ、後は任せますので」
そう言って男たちは立ち去って行った。
会社に辿り着くと早速ファイルを確認する。
空の王の言う通りの物がそこにはあった。
その中身を上司に伝える。
「今日中に号外を出すぞ!急げ!」
上司がそう叫ぶ。
早速準備を始める。
すると不思議なメッセージがあった。
「証拠を置いてある、駅のコインロッカーの番号は6974。パスワードは3470」
すぐに駅のコインロッカーに向かう。
そして6974のロッカーを開けようとすると、背後に何かが当たった。
「パスワードを言え。でなければ殺す」
感情を抑えた声が聞こえた。
本気だろう。
またしくじった。
「3470」
答えると男は俺をロッカーから離してロッカーの中味を見る。
紙切れが一枚残っていた。
3470の数字に「さよなら」とルビを打ってあった。
「そのくらい子供でも思いつく暗号らしいぞ」
女性の声がする。
ミニスカートの女性が思いっきり男を蹴飛ばす。
他にも数人いたみたいだ。
全員女性だったから安心したのがチンピラのミスだった。
でたらめに強い女子3人。
「旦那が仕事だから来てやったんだ。光栄に思え」
「お前、子供大丈夫なのか?」
「ちゃんと連れて来た。車の中で寝てる」
「それ絶対旦那に言わない方がいいぞ?あと親にも」
あとは真夏にそれは絶対やめとけ。
そんな話をしている間に、昼間と同じ様にスーツの男が連れ去っていくと女性も去って行った。
今日はとても不思議な日だった。
会社に戻ると新聞は既に擦り始めている。
号外を出すとその晩のニュースは大混乱していた。
それは当たり前だ。
その情報のファイルには森重知事の対抗馬の福山茂が事件に関与している証拠も示唆されていたのだから。
(3)
僕達は大在の貸倉庫に来ていた。
今回も空の発案した作戦。
父親からファイルを受け取った時からどう使おうか考えていたらしい。
父親は事実の隠蔽する時の切り札に使いなさいと言っていたけど、空は違う使い方を考えていたらしい。
お爺さんの後輩の話を父親から聞いたそうだ。
信頼できる新聞記者を。
それが友永さんだった。
「何かあったらあいつを頼れ」
そんな事を空の父親は聞いていたらしい。
そしてこっちの素性を知られたくなかったから”空の王”を名乗った。
案の定僕達はマークされていたらしい。
それが囮だと知らずにまんまとつられてきた間抜けたちが目の前にいる。
多分彼等が森重知事の時の実行犯。原川組の実働部隊だろう。
警察に突き出すくらいじゃ天音達の気が済まない。
だから監禁した。
そして僕達が集まった。
「大地!ガソリン持ってこい!この場で火葬してやる!」
「こんなところで燃やしてたらすぐに誰かに気づかれるからダメだよ」
大地の説得の理由もちょっと世間離れしている気がする。
「じゃあ、やっぱりベタにセメントと一緒に海に沈めるの?」
翼も子供達を抱えてそういう物騒な事を言うのは止めておくれ。
しかし空の考えてる事はもっと残虐だったみたいだ。
「どうするんだ?」
光太が空に聞くと、空は僕を見た。
「善明の会社に確か津久見のセメント工場あったよな?」
空は4大企業の系列会社は大体把握してるらしい。
まあ、職業上知っているのだろう。
「ああ、あったけどそれがどうにかしたのかい?」
「やっぱりセメント漬けして海に落とすか?」
天音が聞いていた。
「それだといずれバレるだろ?」
痕跡を残したくない。
となると燃やすのはやっぱり目立つし、骨をばらまくのも万が一見つかったら面倒だ。
田中さんでもどこに捨てるかが問題になる。
てことは海外旅行しかないか。
ちなみに彼等はパスポートなんて持ってないよ。
発行されるはずがない。
すでに親が手を回して戸籍を消している。
「それにそれでも温いだろ?」
あっさりという空。
すると美希が言った。
「何となく分かった。後は冷凍庫があれば欲しいね」
「そうだね」
僕も何となく悟ってしまったよ。
空が何をやろうとしているのかを……。
「冷凍庫なら酒井フーズの冷凍庫がつかえるんじゃない?」
翼も大体分かったらしい。
「本気でやるつもりか……?」
学も分かったみたいだ。
「痕跡を残さない方法なんて他に見つからなかったから」
空が学に答えていた。
「だぁ!お前等だけで納得するな。何を企んでるんだよ!」
光太だけでなく、水奈や天音には分からなかったらしい。
無理もない。
小学校の道徳の授業なんて天音達には退屈な時間でしかなかったろうから。
そう、道徳の授業でやってたんだ。
昭和以前の過酷な労働条件のお話。
決して死体の始末の仕方じゃない。
その方法を翼が天音達に説明している。
「じゃあ、返り血を浴びる事はないって事だな!大地!私に解体作業をやらせろ」
「ダメだよ。冷凍庫の中でやるんだ。嫁に風邪引かせたなんて知れたら僕が母さんに叱られる」
そういう問題なのかい?
セメント、冷凍、解体。
これだけヒントを与えたらもういいだろう。
あまり詳しく描写すると叱られてしまうかもしれない。
セックスのシーンの描写の注意は全体にされていたけど殺人の仕方までは言われてない。
しかしこれ恋愛小説だよ?
そんな真似していいの。
天音や水奈を説得すると僕達は後始末を私兵に任せて行われた。
こうしてまた行方不明者が増えた。
それはないか。
彼等の戸籍はとっくにないのだから。
「かわいい子ね、七海」
「ありがとうございます」
俺は妻の春奈と一緒に、孫を見に来ていた。
夏弥の嫁さんの七海に似てる気がする。
きっとすごいピアニストになるんだろうな。
そんな事を考えていた。
「名前はもう考えたのか?」
「めっちゃ苦労した」
そう言って二人が娘の名前を教えてくれた。
碧。
みどりと読むらしい。
「父さん抱っこしてあげて」
そう言われて抱いてみた。
子供を抱いた経験は秋斗や夏弥であるけど、女の子は初めてだ。
まあ、そんなに変わらなかったけど。
こんな時期が秋斗や夏弥にもあったんだよな。
「夏弥、母さんから一言だけ忠告があります」
「何?」
「絶対に恋人が出来たからと言って慌てたらダメ」
「りょ、了解っす」
それは片桐先輩たちも嫁さんに言われていたな。
やっぱ娘だとそうなるものなんだろうか?
春奈が言ってるんだから多分間違いないだろう。
「じゃ、晴斗。そろそろ急がないと」
「そっすね」
「あ、父さん。……気をつけて」
「超余裕っす」
実際何やれば分からないんだけど。
突然片桐先輩から言われた一言。
「知事選に出馬しろ」
そんなに難しく考えなくていい。
政治に詳しい人に心当たりがあるからこっちで秘書を準備する。
渡された文章を読むだけでいいけど、出来れば暗記しろ。
余計な事は一切喋るな。
公約なんて難しく考える事はない。
景気をよくするとか適当な事を言っておけばいい。
地元経済くらいどうにでもなる。
確かに恵美先輩と晶先輩が少し我慢すれば失業率なんて思いのままだろう。
後は適当に交通の便をよくするとか言っておけばいい。
如月交通がそこらへんは調整する。
絶対事故が起きるような交差点を作っても文句を言わない県民だ。
バスの運賃を下げて本数増やしてやればそれだけで変わってくるはず。
事業の誘致も石原先輩や酒井先輩に任せておけばいい。
4大企業に加えて山本グループや地元銀行もバックについてる。
俺が致命的なへまさえしなければ必ず勝てる。
組織票だけで余裕だ。
今までどおりのんびりしてればいい。
ただし選挙期間中だけはとにかく頭を下げろ。
絶対に「よろっす」と「あざーす」は禁止。
そんな説明を受けていた。
しかし一つだけ疑問があった。
「どうして片桐先輩が立候補しないんすか?」
「まだ空に事務所を任せるのは早いからね」
他の皆もまだ子供に全権を委ねるには経験不足。
支社程度なら秘書に任せておいても問題ないだろう。
今までだって重要な事は春奈が決断していた。
それならまいっか。
今日はその有力な協力者と顔合わせをする事になっていた。
居酒屋に入ると片桐先輩たちはすでにいた。
知らない男の人もいる。
この人が協力者?
そんな俺の視線に気づいた片桐先輩が紹介してくれた。
「この人が晴斗の秘書になってもらう予定の林田雄平さん」
森重知事の秘書を務めていた人。
彼も森重知事の無念を晴らしたいと思っているらしい。
「林田さん。彼が今回立候補させる楠木晴斗君」
片桐先輩がそう言うと林田さんは俺をじっと見ていた。
「楠木君は今の地元についてどう思ってる?」
「つまんねー場所っす」
「それをどう変えていきたいと思う?」
「もっとアゲアゲでガンガン盛り上がればいいと思ってるっす」
「具体的には?」
「わかんねーっす」
恵美先輩と晶先輩の視線が突き刺さっていたけど、片桐先輩は静かに話を聞いていた。
質問が終ると林田さんはにやりと笑った。
「なるほど、片桐さんの意向がよく分かりました」
「じゃあ、引き受けてもらえますか?」
「中々おもしろい男だ。君いくつだ?」
「46歳っす」
「その歳で世間に惑わされずに自分の意見を持っているのは良い事だと思う」
それでいい。
それを具体化して提示するのが林田さんの役割だと言った。
「じゃあ、決まりだな。後は選挙の準備か」
「費用は白鳥家で負担します。恵美先輩たちの出資を知られるとめんどくさそうだし」
「そうね。出来るだけ変な噂は流したくないわ」
恵美先輩がいうと林田さんは頷いた。
「問題はそこなんです。森重先生の票をかっさらう気でいるなら絶対に汚職疑惑などは避けないといけない」
俺の意見は多分若年層を取り込むことが可能だろう。
後はどれだけ清廉潔白でいられるか?
片桐先輩や石原先輩ではそこらへんが弱点になる。
片桐先輩はそれで俺を指名したのか?
さすがっす。
「今後何があろうと渡辺班は動いたらいけない。動いた時点でアウトだと思わないと」
「でも何かしら妨害くらいしてくるでしょ?」
片桐先輩と恵美先輩が話している。
「してくるだろうね。森重先生が市長になる時もしていたから」
それでも僕達は動いたらいけないと恵美先輩たちに注意する片桐先輩。
「やられっぱなしで勝てるの?」
晶先輩が言うと片桐先輩がニヤリと笑った。
何か切り札を持っている証拠だ。
「晴斗達と関係の薄い強力なカードを持っているからね」
へ?
「あの子達だって馬鹿じゃない。痕跡を残すような事はしないだろう」
向こうだってアルテミスの繋がりを突きつけられたら終わりなんだ。
なんせ正真正銘の暴力団と繋がっているのだから明るみに出た時点で政治家生命は絶たれるだろう。
だからアルテミスではなくFGを使って何かしてくるに決まっている。
ギリギリの勝負をしているのはお互い様なんだ。
だからこそ息子に渡しておいた。
「それって……アレか?」
誠先輩がいうと片桐先輩が頷いた。
「時期を合わせてあれを垂れ流せば少々の事なら潰せるだろ」
「結局片桐君の掌の中で動いているのね」
恵美先輩がそう言ってくすっと笑った。
「あの子がアレを使うタイミングを間違えなければ大丈夫」
「最後まで計算づくってわけだね。流石だよ片桐君は」
公生がそう言って笑った。
「と、なると事務所の手配とかウグイス嬢の手配とかか」
「スタッフは子供達を使えばいいだろ」
大学生くらいなら大丈夫なはずだと片桐君は説明する。
「しかしそうなると問題はウグイス嬢だな」
「なんでだ?」
桐谷先輩が言うと神奈先輩が聞いていた。
「さすがにウグイス嬢に50近いばばあ使うわけいかないだろ……」
「ば、馬鹿瑛大!!」
誠先輩が慌てて止めようとするが遅かったみたいだ。
「ばばあだと?」
「随分言ってくれるじゃない……」
「瑛大を代わりに燃やしてあげてもいいわよ?」
神奈先輩と亜依先輩と恵美先輩が牙を向ける。
「や、やっぱり若い方がいいに決まってるだろ?」
全然言い訳になってないっす。
「その辺は俺が手配します。ウグイス嬢は綺麗なだけじゃダメだ。ある程度ノウハウが必要だし」
森重知事の後援会を使うつもりだと林田さんは言った。
「私やってみたかったな」
春奈が言う。
「あ、奥さんには楠木君と一緒に回ってもらいます。好感度が上がるから」
「じゃあ、決まりだな。皆くれぐれも軽はずみな行動はとらないでくれ」
渡辺先輩がそう言ってしめた。
ついに渡辺班も政界進出か。
テンション上がってきたっす。
(2)
会社そばの公園の指定するベンチに12時半きっかりに来い。
電話は用件だけ伝えて来た。
無視する手もあったけど、別に何の危険もないだろうと公園のベンチに座った。
別につなぎを着た男性がいたわけでもない。
少し早めに着て待っていると突然隣から声がした。
「友永幸雄さんですね?」
いつの間に来たんだ?
横を見ようとすると「こっちを見るな」と言われた。
「用件は簡単な事だ」
そう言って隣の男は手を差し出した。
USBメモリだった。
「これは?」
「森重知事の事件の真相を全て入れてある」
なんだって?
警察からは何の操作の進捗状況が発表されていなかったのになんでそんな物を?
「信じる信じないは好きにしたらいい。僕はこれをあなたに渡すように指示されただけ」
「条件は?」
タダなわけがない。
何か取引材料があるだろう?
「公表するのはあなたの新聞社だけでして欲しい。他にリークすることは許さない」
「……それだけ?」
「そうだ。悪い条件じゃないだろ?」
「あんた誰だ?」
俺が聞いたら男は答えた。
「仲間達からは”空の王”と呼ばれている」
「あんたが?」
空の王。
数年前のギャングの抗争を鎮圧したグループのリーダー。
正体は知らない。
ただその時に血眼になって探していた重要なファイルを手に入れた男に与えられる称号だと言う事は聞いた。
「あんた達の目的は?」
「あまり余計な事を詮索しない方が身のためだよ?」
そう言われると俺はUSBメモリをポケットにしまう。
「せいぜい派手に取り上げてくれ。じゃあね」
そう言うと気配が消える。
横を見ると誰もいなかった。
悪い夢でも見ていたのか?
とりあえず会社に戻ってその中身を確認しないと。
しかし会社に着く前にチンピラに囲まれた。
「あの男から何かを受け取っただろ?」
監視されていたのか。
チンピラは武器を取り出す。
「脅しじゃない。森重知事みたいな最期を迎えたくなければ大人しく渡せ」
男はそう言って倒れた。
「昼休みでよかった。仕事中にこんな事していたら大変だ」
背の低いスーツ姿の男がいた。
「僕達も色々忙しいんです。役職柄仕方ないんだけど」
もう一人もスーツ姿だけで背が高い。
「なんだお前ら!?」
チンピラたちが武器を彼等に向ける。
しかし背の低い方が臆する事無く彼等に告げる。
「40秒だけ時間をやる。とっとと消え失せろ」
「歯向かう気なら容赦しませんよ。そんなもん持ってたら僕達も正当防衛が成り立つ」
すると何人かが2人に襲い掛かる。
あっという間に叩き伏せる。
「そんなに命を無駄にしたいなら僕達は別に構わないけど」
背の低い方が言うとチンピラの一人が俺に銃口を向ける。
「こいつの命が惜しければじっとしてろ」
「こんな言葉を知ってますか?……拳銃を抜いたからには命かけろよ?」
「何言ってんだてめぇ」
「そいつは脅しの道具じゃないって言ったんだ」
背の低い方が言うといつの間にか背後に立っていた大男が銃を持っている手を掴み上げる。
握力は凄いらしい。
「全く……こっちは仕事と育児に無関心な妻の世話で大変だってのに」
気づいたら数人のスーツの男が俺達を取り囲んでいた。
「後は任せるよ、手筈通りに」
「分かりました」
背の低い男が言うとスーツの男たちはチンピラの片っ端から連れていく。
ここは道幅が狭いうえに一方通行だらけのパズルのような路地。
大きな道路に止めていた輸送車にチンピラを押し込める。
「じゃ、後は任せますので」
そう言って男たちは立ち去って行った。
会社に辿り着くと早速ファイルを確認する。
空の王の言う通りの物がそこにはあった。
その中身を上司に伝える。
「今日中に号外を出すぞ!急げ!」
上司がそう叫ぶ。
早速準備を始める。
すると不思議なメッセージがあった。
「証拠を置いてある、駅のコインロッカーの番号は6974。パスワードは3470」
すぐに駅のコインロッカーに向かう。
そして6974のロッカーを開けようとすると、背後に何かが当たった。
「パスワードを言え。でなければ殺す」
感情を抑えた声が聞こえた。
本気だろう。
またしくじった。
「3470」
答えると男は俺をロッカーから離してロッカーの中味を見る。
紙切れが一枚残っていた。
3470の数字に「さよなら」とルビを打ってあった。
「そのくらい子供でも思いつく暗号らしいぞ」
女性の声がする。
ミニスカートの女性が思いっきり男を蹴飛ばす。
他にも数人いたみたいだ。
全員女性だったから安心したのがチンピラのミスだった。
でたらめに強い女子3人。
「旦那が仕事だから来てやったんだ。光栄に思え」
「お前、子供大丈夫なのか?」
「ちゃんと連れて来た。車の中で寝てる」
「それ絶対旦那に言わない方がいいぞ?あと親にも」
あとは真夏にそれは絶対やめとけ。
そんな話をしている間に、昼間と同じ様にスーツの男が連れ去っていくと女性も去って行った。
今日はとても不思議な日だった。
会社に戻ると新聞は既に擦り始めている。
号外を出すとその晩のニュースは大混乱していた。
それは当たり前だ。
その情報のファイルには森重知事の対抗馬の福山茂が事件に関与している証拠も示唆されていたのだから。
(3)
僕達は大在の貸倉庫に来ていた。
今回も空の発案した作戦。
父親からファイルを受け取った時からどう使おうか考えていたらしい。
父親は事実の隠蔽する時の切り札に使いなさいと言っていたけど、空は違う使い方を考えていたらしい。
お爺さんの後輩の話を父親から聞いたそうだ。
信頼できる新聞記者を。
それが友永さんだった。
「何かあったらあいつを頼れ」
そんな事を空の父親は聞いていたらしい。
そしてこっちの素性を知られたくなかったから”空の王”を名乗った。
案の定僕達はマークされていたらしい。
それが囮だと知らずにまんまとつられてきた間抜けたちが目の前にいる。
多分彼等が森重知事の時の実行犯。原川組の実働部隊だろう。
警察に突き出すくらいじゃ天音達の気が済まない。
だから監禁した。
そして僕達が集まった。
「大地!ガソリン持ってこい!この場で火葬してやる!」
「こんなところで燃やしてたらすぐに誰かに気づかれるからダメだよ」
大地の説得の理由もちょっと世間離れしている気がする。
「じゃあ、やっぱりベタにセメントと一緒に海に沈めるの?」
翼も子供達を抱えてそういう物騒な事を言うのは止めておくれ。
しかし空の考えてる事はもっと残虐だったみたいだ。
「どうするんだ?」
光太が空に聞くと、空は僕を見た。
「善明の会社に確か津久見のセメント工場あったよな?」
空は4大企業の系列会社は大体把握してるらしい。
まあ、職業上知っているのだろう。
「ああ、あったけどそれがどうにかしたのかい?」
「やっぱりセメント漬けして海に落とすか?」
天音が聞いていた。
「それだといずれバレるだろ?」
痕跡を残したくない。
となると燃やすのはやっぱり目立つし、骨をばらまくのも万が一見つかったら面倒だ。
田中さんでもどこに捨てるかが問題になる。
てことは海外旅行しかないか。
ちなみに彼等はパスポートなんて持ってないよ。
発行されるはずがない。
すでに親が手を回して戸籍を消している。
「それにそれでも温いだろ?」
あっさりという空。
すると美希が言った。
「何となく分かった。後は冷凍庫があれば欲しいね」
「そうだね」
僕も何となく悟ってしまったよ。
空が何をやろうとしているのかを……。
「冷凍庫なら酒井フーズの冷凍庫がつかえるんじゃない?」
翼も大体分かったらしい。
「本気でやるつもりか……?」
学も分かったみたいだ。
「痕跡を残さない方法なんて他に見つからなかったから」
空が学に答えていた。
「だぁ!お前等だけで納得するな。何を企んでるんだよ!」
光太だけでなく、水奈や天音には分からなかったらしい。
無理もない。
小学校の道徳の授業なんて天音達には退屈な時間でしかなかったろうから。
そう、道徳の授業でやってたんだ。
昭和以前の過酷な労働条件のお話。
決して死体の始末の仕方じゃない。
その方法を翼が天音達に説明している。
「じゃあ、返り血を浴びる事はないって事だな!大地!私に解体作業をやらせろ」
「ダメだよ。冷凍庫の中でやるんだ。嫁に風邪引かせたなんて知れたら僕が母さんに叱られる」
そういう問題なのかい?
セメント、冷凍、解体。
これだけヒントを与えたらもういいだろう。
あまり詳しく描写すると叱られてしまうかもしれない。
セックスのシーンの描写の注意は全体にされていたけど殺人の仕方までは言われてない。
しかしこれ恋愛小説だよ?
そんな真似していいの。
天音や水奈を説得すると僕達は後始末を私兵に任せて行われた。
こうしてまた行方不明者が増えた。
それはないか。
彼等の戸籍はとっくにないのだから。
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