姉妹チート

和希

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怠惰と勤勉

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(1)

「で、ご用件はなんですか?」

 秘書になった林田さんが聞いていた。
 黒いスーツの男は突然言い出した。

「実は片桐税理士事務所の事ですが……」

 冬夜先輩の会社が何かやったのか?

「差別を行っているようです。この平等な社会の中でそんな行為が許されると知事はお考えなのでしょうか?」

 俺を支持する会社にそんな会社があっていいのか?
 ああ、あの話か。
 思った通りに喋れと言っていたな。

「さーせん、言ってる意味がわかんねーっす」
「知らないという事ですか?」
「はい、全然わかんねーっす」
「……そんな身分の差別を行う人が知事にとどまる事を社会は許すと思いますか?」

 脅しっすか?

「私にも理解しかねますね。誰もそんな存在を知らないのに、どうして差別が起きるのか全く分かりませんね」

 林田さんが話した。
 そんな差別があったという話は聞いてないし起こりえない。
 平成時代の話を令和の今されても困る。
 国の政策でほとんどなくなった差別だ。
 精々あるとすれば国勢調査で身元を洗ったことを「差別」だと言いがかりをつける程度だ。
 自分の身分を盾に汚職や土地ころがしなどをする人間を平等に不正な人間だと言っているだけだ。
 片桐税理士事務所の事も話を聞いている。
 自分の身分を気にする前に社会に適合する人間になったらどうだ?
 林田さんの話を聞いているうちにスーツの男の顔が険しくなっていく。

「どうせ録音してマスコミにたれ流すつもりなんだろうが好きにしたらいい」

 だが、そんな強請りやたかりをして自分たちで差別されてるとアピールしても何の得があるんだ?

「後悔するなよ」
「どっちが?」

 林田さんが言うと男はドアを蹴飛ばして退室した。

「あれでいいんすかね?」
「上出来です、もう少し挑発していいくらいだ」

 実際職業の自由は保障されているし所得の格差も解消されている。
 何十年も前に対策をしているのにいまだにその利権にしがみついてる醜い連中。
 結婚の時に差別というが、そんなのはいい大人が自分の意思も示せないだけだろう。
 普通に暮らしてる人間でも親の反対に反抗して駆け落ちするなんてケースがある。
 それを乗り越えられなかったのは単にその程度の愛情でしかなかったという事だ。
 繰り返して言うけどわざわざ小学校でそんな授業をしなかったら誰も気に留めない。
 その小学校の授業ですら”つまらん”の一言で片づけてしまう。
 そんな話をしているうちに春奈がやってきた。

「仕事はどう?」
「多分順調っす」
「例の連中がのこのこ現れたくらいですね」
「……わかった。恵美さん達に報告しておく」
「あざーっす」
「……晴斗。もう40後半のいい大人なのよ?」

 その歳で「あざーっす」はそろそろ直した方がいいんじゃない?
 春奈はそう言って笑った。
 やっぱ変えた方がいいっすかね?

(2)

「じゃ、母さんお願い」
「任せて」

 えーと注意する事は……。
 光一の癖とかを事細かに母さんに説明する。
 筋を通すなら勝利のお母さんにお願いするべきだと思うんだけど、勝利のお母さんは看護師だから難しい。
 そして説明をしていると母さんが笑った。

「輝夜。あなたが心配する気持ちはわかるけど、私だってあなたの面倒を見て来たのよ」

 赤ちゃんの扱いくらい分かってるから気にしないで仕事頑張ってきなさい。
 それも確かにそうだ。
 
「じゃあ、光一行ってくるね」

 そう言って手を振る。
 光一はまだよく分かってないみたいだ。
 不安だけど、仕事を続けると決めたんだから頑張らないと。
 車に乗って設計事務所に向かう。
 皆が出迎えてくれた。

「おかえり、まずはコツを思い出しながら進めていってちょうだい」

 社長がそう言ってくれる。
 明日奈が私の指導係らしい。

「ちゃんと緊張感をもって仕事しなさい」

 社長がそう言った。
 その日は明日奈が現場に打ち合わせに行ってる間に事務所で製図をする。
 色々忘れていたことを先輩に聞いてメモをして仕事を進める。
 チェックは明日奈の母親の未来さんがやってくれる。
 
「子供はどんな感じ?」

 そんな話を振られた。

「元気に育ってます」
「そっか。結構辛いでしょ?」

 未来さんはそう言ってニヤッと笑た。
 初めて子供から離れるんだ。
 色々不安だったりするんじゃない?

「それでも決めた事だから」
「うん、私も明日奈を育てられたんだから大丈夫」

 そう言って励ましてくれた。
 お昼休みに母さんに電話して様子を聞いていた。
 大人しいみたいだ。
 午後の仕事が終ると同僚から「復帰祝いでもどうだ?」と誘われた。

「まだ子供が小さいから面倒見ないとダメだから」

 そう言って断って実家に帰る。

「ただいま~」
「おかえり~。ほ~ら、ママが帰ってきましたよ」

 そう言って母さんが私に光一を預ける。
 光一は私の顔を見るなり泣き出す。

「ごめんね~。ママはここにいるよ」

 そう言ってあやす。
 家に帰ると勝利が帰ってきて夕食を作っていた。

「ごめん、私やるつもりだったんだけど」
「俺の方が残業そんなにないから大丈夫」
「……ダメな母親なのかな?」

 急に落ち込んでしまう。
 
「今日から仕事始めたばかりだろ?ゆっくり慣れていけばいいよ。その為に俺がいるんだから」
「ありがとう」

 その後食事を食べて風呂に入ると少しだけテレビを観て寝る事にした。

「ねえ勝利」
「どうしたの?」
「一人だけでいいの?」
「え?」

 すぐには無理だろうけどもう一人くらい頑張るよ。

「光一が手がかからなくなってから考えてもいいだろう?」
「でも、皆娘を欲しがるみたいだし」
「でも輝夜の父さんから聞いたけどやっぱりきついみたいだから」

 恋人の下に嫁ぐ日が辛いと聞いたらしい。
 なるほどね。

「そんな心配しなくても輝夜の相手はちゃんとするから」
「本当に?」
「試してみるか?」

 勝利がそう言うと私は目を閉じる。
 これからまた私達の生活が変わっていく。

(3)

「結、何してるの?」

 茉奈が来た。
 俺は海岸で貝を見ていた。
 俺はあさりとかシジミは好きだけどあまり大きな貝は嫌いだ。
 サザエとかもなんか苦そうな気がして食べたくない。
 
「まあ、酒飲むようになったら変るよ」

 誠が言ってたけど、お酒を飲んだら貝の味が変わるのだろうか?
 あわびは食べたらダメらしい。
 誠司が言ってて怒られてた。
 毒でもあるのかな?
 
「冬吾君は気にしなくていいの」

 冬吾がそう言われてたから気にはしないようにしてた。
 とりあえずは目の前にある貝だ。
 これはあさりやシジミに似ているけど食べられるのだろうか?
 茉奈に聞いてみた。

「うーん、とりあえず生は危険じゃないかな?」

 加熱したらいいのか?
 茉奈は水着らしい水着を着ていない。
 長袖の上着にショートパンツのような物を穿いてその上からスカートのような水着を穿いている。
 茉奈は極度の恥ずかしがり屋なんだと水奈が言っていた。
 その証拠に陽葵や菫、結莉と茉莉はワンピースタイプの水着を着て「パパ、誰が一番いい?」とかわけの分からない事を聞いている。
 喜んでいるのは誠と瑛大だけ。
 写真を撮っているのを神奈や亜衣に怒られていた。
 不思議に思ったので「茉奈はああいうのしないのか?」と聞いてみた。

「私はどうせ幼いし未熟だから……」

 まあ、そうだろうな。
 なのにどうしてだろう?
 一人で落ち込んでいる。
 何か言ってやった方がいいのだろうか?

「可愛い水着だと思うぞ」
「ありがとう!」

 当たっていたみたいだ。
 女子が喜びそうな事って実は簡単なんじゃないだろうか?
 でもじいじも愛莉を怒らせる事があるらしい。
 やっぱり難しいのかな。

「で、ずっと貝を見ているの?」
 
 茉奈が聞いていた。
 茉莉と菫はどっちが黒くなるか勝負だといって日光浴をしている。
 水着の跡が嫌だからどうせ子供だしと水着を脱ぎだしたら天音達が慌てて止めていた。

「私みたいな子供の裸見たって誰も喜ばないよ!」
「喜ぶ変態がいるから今すぐやめろ!」

 それが誠と瑛大だという事はすぐにわかった。
 お嫁さんに怒られているから。

「結達は何をしてるんだ?」

 天音達がやって来た。
 とりあえず先に天音に質問してみた。
 天音は調理師の資格を持ってるらしいから多分知ってるだろう。
 集めた貝を見せて「これ食べられるかな?」と聞いてみた。

「分かんないけど、何でも拾って食べようとするのは止めた方がいいぞ」

 食べ物でも消費期限が切れてる物だってある。
 お腹壊したら好きなものが食べられなくなる。
 それは大変だ。
 全部海に帰した。
 しかし海に来たのにお魚もいない。
 何をしに来たのかは分かる。
 楠木知事と息子の夏弥さんがサーフボードで遊んでいる。
 よくわからないけどそんな事をする知事なんているのだろうか?
 
「お魚さんいないなぁ」

 そうつぶやいた時だった。
 結莉の弟の海翔が手を前に出した。
 海翔という名前だからだろうか?
 海が二つに分かれて裂け目が出来る。
 天音も驚いていた。
 楠木知事も驚いたようだ。

「すぐに元に戻せ」

 天音が言うと海翔が手を降ろす。
 元通りの海になった。
 一瞬だけど海底を見ていた。
 あったのは海藻とクラゲ。
 クラゲは毒があるから危ないってママが言ってた。
 あんまりおいしくなさそうだからいいや。
 俺達はまだ幼いからあまり遠くに行けない。
 波打ち際で遊んでた。
 もっと陸で作ればいいのに波打ち際で山を作ろうとして茉奈が苦戦している。
 波が邪魔してすぐに攫われる。
 困っていたので手助けをした。
 海水に手を入れて念じる。
 天音の背よりも高いくらいの氷の壁を作り上げた。 
 これなら邪魔されないだろう。

「でもそれじゃ、とんねるに水を流せないよ?」

 茉奈が聞いてくる。

「それなら大丈夫」

 そう言って茉奈からスコップを借りて近くの砂を掘る。
 すると海水が滲んでくる。

「結はなんでも知ってるんだね」
 
 茉奈がそう言って褒めてくれた。
 でも砂のついた手で頭を撫でるのは止めて欲しい。
 後でシャワーで落とすのが大変だから。

「天音!何それ!?」

 母さんが氷の壁を見て驚いている。

「結が波が邪魔だって作ったんだ」

 すげーな。と笑っていた。

「そんなの愛莉さんが見たらまた大事だから結止めなさい!」

 母さんが言うから指をパチンと鳴らすと一気に溶けて折角作った山が台無しになった。

「やっぱりもう少し離れたところで作ろうよ」
「そうだね」

 そうやって遊んでいたら俺達も茉莉達みたいに小麦色に焼けていた。

「とーやは白い女性と日焼けした女性どっちが好き?」

 結構厄介な問題に直面した気がする。
 父さんは日焼けの跡が楽しみだと言ってた。
 確かに焼けた肌はチョコレートみたいで美味しそうだ。
 でもママみたいに白くて柔らかそうな肌もマシュマロみたいで美味しそうだ。

「どっちも好き」
「うーん……」

 困っているみたいだ。
 俺も一緒に悩んでいた。
 あ、思い出した。

「茉奈のの髪の毛はピンクで綺麗だね」
「それが何か関係あるの?」
「大昔の人がやってたそうなんだけど……」

 不自然な髪の色をして人工的に日焼けをするお店に通っていた。
 その姿は綺麗とかかわいいとかそんな生易しい表現じゃなかった。

「化け物だ」
「じゃあ、私には似合わないってこと?」
「傷つけたならごめん」
「そんな事無いよ。結が嫌ならこれから気をつける」

 そう言って好みを教えてくれるのが嬉しいらしい。
 どんな容姿でデートをしたらいいかわかるから。

「確かに茉奈が焼けるなら髪の色染めた方がいいかもしれないな」

 水奈も賛成の様だ。

「来年からは上にパーカーでも着ておくか?」
「日焼け止めとか塗らなくていいのかな?」
「まだ子供なんだからそこまで気にしなくてもいいだろ」

 女性って大変なんだな。
 
「そろそろ夕食だよ」

 じいじが呼びに来るとシャワーを浴びてテントで着替える。
 お肉が焼けていた。
 渡辺さんが挨拶すると肉を取ろうとする。
 でも俺達は小さいから鉄板に近づく事を禁じられていた。
 火ぐらい避けられるんだけどな。

「お、結か!話は聞いてる!今回は肉だけじゃないぞ!」

 美嘉さんがそう言っていた。
 本当に焼肉以外にもハンバーグや焼きそば、ピザやフォンデュなんかを作ってる。
 比呂と一緒に分けて食べていた。
 食べても食べても次から次へと出てくる。

「さすがとーやの孫だな!作り甲斐があるぜ!」
「美嘉、ちょっとあまり孫に与えすぎないで」
「いいじゃん。沢山食わないと大きくならないぞ!」
「翼と天音も止めなさい!」
「いつもは調整してるから大丈夫だよ」
「天音の調整の基準が普通じゃないでしょ!」

 ご飯を食べるとどうして怒られるのだろう?
 愛莉は「ほどほどにしないと太っても知りませんよ」と言っていた。
 でも翼も天音も言っていた。
 片桐家の人間はいくら食べても太らないから大丈夫。
 愛莉は頭を抱えていた。
 そんな愛莉に神奈が言っていた。

「無駄だ……諦めろ」

 そんな愛莉をじいじは黙って見ていた。
 天音は俺達を見てるだけじゃないみたいだ。

「大地!その玉ねぎだけ避ける癖止めろ!茉莉達が真似したらどうするんだ!?」
「大地!あなたまだ好き嫌いしてるの!?子供がいるから止めなさいとあれほど言ったでしょ!」

 恵美も一緒になって大地を叱っていた。

「玉ねぎ苦くて苦手なんだよ」
「玉ねぎは加熱したら甘くなるんだよ」

 俺が大地に言ったら食べていた。

「本当だ。甘い」
「子供に教えられてどうするんだこの馬鹿!」

 どうして夫婦なのに喧嘩するんだろう?
 じいじに聞いたことがある。

「あれは本当に喧嘩してるわけじゃないんだ」
「じゃあ、何なの?」
「お互いの意見をぶつけてるだけだよ」

 そうしないとお互いの事を知れないだろ?
 お互い我慢するだけの関係だったら結婚なんてしない方がいい。
 言いたい事を言い合える関係が恋人なんだよ。
 それに俺も言っていただろ。
 自分の意見も言えないような奴は嫌いだと。
 だから互いの意見をぶつけるんだ。
 じいじの言う事は分かりやすい。
 じいじたちが飲んでる物はまだ飲んだらいけないとママが言ってたからジュースを飲んでた。
 最後の一切れまで食べ終わると寝ようとテントに入ろうとする。

「結、花火しないの?」
「花火美味しくないから」
「花火の後にラーメン食べられるそうだよ」
 
 じゃあ、起きておかないといけないな。
 遊達が花火の撃ち合いをしている。
 遊がミスってロケット花火がこっちに飛んでくる。
 だけど俺の周りにあるバリアが弾く。

「お前私の子供になんか恨みあるのか!?」

 天音が激怒していた。

「悪い悪い。ちょっと手元が狂ったんだ」
「酔っぱらってそんな事してるからだろ!結がいなかったら大惨事だぞ!」
「瑛大お前もだ!他人様の子供に当たったらどう責任とるつもりだ」

 大人たちが怒られていた。
 母親って幼稚園の先生みたいなものなのかな?
 するとママがやってきてそっと教えてくれた。

「天音が小さきときも遊達と同じ事してたのにね」
「天音もしてたの?」

 結莉が驚いてた。

「女の子ってね、段階ごとに成長していくの。茉奈も結と結婚して子供が出来たら変わるかもね」

 結婚という言葉を聞いて茉奈は少し恥ずかしそうだった。
 僕と結婚て恥ずかしいのかな?
 花火が終るとラーメンを食べる。
 その食べるさまを見て亜衣は呆れていた。

「片桐君に秘訣を教えて欲しいわ。どうやったらあれだけ食べてあの体型を維持できるの?」
「亜依。片桐家という存在がもうすでにチートなんだよ」

 神奈さんが答えていた。
 食べ終わると寝ようとすると、まだ何か茉奈がやりたい事があるみたいだ。

「おトイレ行きたいからついて来て」

 一人だと怖いらしい。
 でもそれは俺だけじゃ無理だろう。
 母さんにお願いしてついて来てもらった。
 当然だけどトイレの外で待っている。
 そしてテントに入ると今度こそ寝ようと思った。
 すると茉奈が手を握って来た。
 
「手を繋いで寝よう?」

 その行動にどんな意味があるのか分からなかったけど、ただ茉奈と心が近くなって温かく感じた。
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