姉妹チート

和希

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Phantom Menace

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(1)

「こ、こいつらは何者ですか?神谷さん」
 
 SH地元支部を任せていた男は言った。
 そうだな……。

「ヴェスパー……とでも名乗っておこうか」

 SHとは違う組織。
 お前たちが暴れて出た被害者たちだ。
 みんなお前たちに恨みを持っている奴らだ。
 お前たちに任せている間に声をかけて集めて来た組織。

「そ、それで俺達はどうなるんですか?」

 意外と物分かりの悪いようだ。
 そんなに難しい事じゃない。

「たった今言ったぞ?こいつらはお前らSHに恨みを持つ人間だ」

 復讐は罪が故に粛々と受けるがいい。

「ちょ、ちょっと待ってくれ。俺達は神谷さんから言われたとおりにやっただけだ」
「ああ、知ってる。だから意外と早く組織を作る事が出来たよ。ありがとう」
 
 だが、お前たちは用済みだ。
 我々はお前らを餌にしてさらに強い組織になる。

「SHは全国規模の組織だ。そうじゃないのか?」
「ああ、そうだ。俺がそういう風に仕向けたのだからな」
「意味が分からない。それを壊そうというのか?」
「壊す為に作ったのだから当たり前だろう?」
「分かりやすく説明してくれ。俺達が何かヘマをやったのか?」

 本当に物分かりの悪い男だ。

「何度も言わせるな。お前らはヴェスパーを強固なものにする為の餌だよ」

 餌がデカければデカい程強固な組織になる。
 打倒SH。
 それを成し遂げるための囮がお前らだ。

「ま、待ってくれ。あんたの言う事なら何でも聞く。ヴェスパーに入れてくれても構わない」
「残念だがそれは無理だ。ヴェスパーはお前たちを喰らう為に生まれたのだから」

 後ずさりするリーダー。
 子分共は逃げ出そうとしていたが辺りは包囲してある。
 逃がすつもりはない。
 ここがお前らの死地だ。

「感謝してるよ。だからせめて苦しむことの無いように楽に死なせてやる」
「た、助けてくれ」
「お前が祈る存在はこの世にはいない」

 出来る事は己の不運を恨むだけ。
 恨むなら……。

「SHを恨んで死ね……と、でも言いたいのか?随分迷惑な話だな」

 その声に聞き覚えがある。
 俺は声のした方を向く。
 間違いない。
 俺の標的の一人、片桐空だった。
 本物が釣れたようだ。

(2)

「SHを恨んで死ね……と、でも言いたいのか?随分迷惑な話だな」

 空はそう言って集団に近づく。
 その両脇を僕と大地で固めていた。
 空にどういう思惑があるのか知らないけど3人でここに来た。

「子供の事を任せないといけないしね」
「父親だけ遊ぶなんて酷くないか?」
「心配しなくてもそのうち何かあるよ」

 そんなやりとりを大地と天音はしていた。
 僕も母さんに怒られると思ったけど「翼を未亡人なんかにしたら承知しないわよ」とだけ言われた。
 母さんの事だ。
 こんなところで死んだら地獄まで追いかけてきそうだ。

「お前たちに用はない。今日はお前らの相手をしてる暇はないんだ。大人しく帰って残り少ない人生を楽しめ」

 多分そう言ったのが神谷十郎だろう。
 両者の話は聞いていた。
 神谷の後ろにいるのがヴェスパー、打倒SHを果たす組織。
 対するは似非SH。
 僕達に手を出せば恨む間もなく人生が終る。
 だけど僕達に手出ししなければ僕達は何もしない。
 そこで考えたのが似非SH。
 神谷の言葉を借りるとしたら”ヴェスパーを成長させるための餌”らしい。
 それを潰すという手は僕と大地は考えていた。
 だけど空は違った。
 そんな事をしてももぐらたたきみたいに延々と続く。
 だから敢えて何もしないで様子を見ていた。
 神谷は予定通りヴェスパーという組織を発起した。
 それが空の計算通りとも知らずに地元でヴェスパーがSHを喰らうという図式を作った。
 地元でやるのは理由がある。
 それはSHの本拠地が地元だから。
 もう一つはSHへの反抗勢力があるのも地元だから。
 いうまでもない、FGだ。
 真っ向勝負でやっても勝ち目がない。
 もちろん協力しましょうと言う気もないんだろうけど恐らく三つ巴になる。
 そうすると色々守らなければいけないものがあるSHは不利になる。
 それに地元で「SHを壊滅した」なんて噂が流れたら今まで作ったSHの恐怖が薄れてしまう。
 だからどこで作ろうと潰すのは地元だと判断していた。
 それは茜が情報を先に捉えていたのが後押しした。
 そしてこの日僕達はここに現れた。
 しかしやるなら3人では少々しんどいんでないかい?
 空はまだ何か秘策があるのだろうか?

「お前が片桐空か?」
「そうだよ、君が神谷十郎?」
 
 空が聞くと神谷はにやりと笑う。

「たった3人で来るとは大した自信だな?」
「まあね、僕は王らしいから」
「たった2人しか家臣がいないとはずいぶん情けない王だな」
「お前如きに挨拶に来るのに大勢連れて来る必要がないだろ?」

 ぞろぞろと群れていないと不安なお前とは違うんだ。
 空が挑発する。
 多分神谷が仕掛けてきたら本気で潰すつもりだろう。
 だからこのタイミングを選んだ。
 ヴェスパーとやらが餌を喰らう前に。
 思いがけない本物のSHの登場で動揺してるのはどっちもだろうから。

「ほら、続けろよ。SHを喰らうんだろ?」

 空が言う。
 神谷十郎の顔が険しくなるのが分かった。

「あまり人を舐めるの大概にしろよ。糞ガキ」
「お前の方が年上だから先手を譲ってやってるのが分からないのか?おっさん」

 空が言葉で空の目的が何となく分かった。
 空の目的は口実だ。
 先に手を出したんだからあとで文句言うなよ。
 そう言わせるために挑発している。
 僕達を狙おうが似非SHを狙おうが空には関係ない。
 空が欲しいのはSHに手を出したという事実だけ。
 その時点で僕達はヴェスパーを始末する。
 その時点で神谷の目的は失敗する。
 SHへの恨みが無くなってしまう。
 先に手を出して置いて恨むぞなんて話聞く耳持たないらしい。
 空は当然だけど僕達に「不殺」なんて誓いを持った試しはない。
 やる気なら殺してやる。
 ただそれだけだ。
 そんな恋愛小説聞いた覚えないけどね。 
 この場所に僕達がいる事で神谷の策は失敗だ。
 その証拠にヴェスパーとやらは狼狽えている。
 どうしたらいいのか分からないのだろう。
 まだ結束という物が無いようだ。
 そんなのが群れていたところで怖くもなんともない。
 神谷もどうすればいいか悩んでいるのだろう。
 動く気配が全くしない。
 ただ憎々しげに僕達を睨んでいるだけ。

「あまり焦らすなよ。こっちにはおかずが冷めただけで爆撃を企む妻がいて大変なんだ」
 
 空が言う。
 すると神谷が動いた。
 空に向かって銃を向ける。
 大地が反応するけど空は「動かないで」という。
 いつもの「命かけろよ」とは言わなかった。
 だって相手はその気だったから。 
 警告もなしに空を狙って発砲する。
 だけど空は弾道を読んでいたかのように避けていた。
 さすがに神谷も驚いただろう。
 僕達は空から離れていた。
 当たり前だ。
 こんな冬の夜に火傷なんてしたくないからね。
 空の周りは高温状態にあった。
 息子の冬夜の力を真似たのだろう。
”皇帝”と呼ぶ素質が空にそんな力を与えた。
 そして大地はその裏で素早く動く女性を見逃さなかった。
 女性の進行方向に何発か撃つ。
 女性が止まる。

「勝手な真似すると殺すよ」

 大地が女性に向けて放った言葉は「大好き」でも「愛してる」でもなく「殺すよ」だ。
 本当に恋愛小説なのかわからなくなってきたんだけど。

「そんなセリフを天音以外に言ったら僕が殺されてしまう」

 まあ、大地の言う通りなんだけどね。

「あの女は僕は引き受けます。善明は空を!」

 そう言って二人が闇夜に消える。
 このパターン嫌な予感がするんだよね。
 父さんも言ってた。

「僕の相手に比べたら石原君の相手はかなりまともだったよ」

 射殺が無理だと判断した神谷は刀を抜いて空に斬りかかる。
 空は紅月なんて持ってないよ。
 息子の結がへし折ったから。
 どこから突っ込めばいいのか分からない説明だけど。
 だけど空はそれを軽々と躱す。
 超高温の状態になるとプラズマという第4の物質の状態になる。
 そんな高温で芝が燃えないのが不思議だったけどね。
 銃撃も斬撃も聞かない神谷は距離を空ける。
 それを見た空はゆっくりと右腕を掲げ一気に振り下ろす。
 その正体を察知した神谷は右側に避ける。
 地面に亀裂が走る。

”最強の矛盾”

 それが空固有の能力。
 どんな攻撃もはじき返す盾とどんな防御も貫く槍。
 それを自在に形成して扱うらしい。
 片桐家自体が化け物なんじゃないかと思えてくるよ。

「良く避けたね」

 空はそう言ってにこりと笑った。
 その間に僕は自分にできる行動をとる。

「そこの偽物さん。今のうちに逃げたらどうだい?」

 呆気に取られていた似非SHに声をかけると我に返って一目散に逃げだす。
 ヴェスパーは完全に混乱していた。
 まあ、僕がヴェスパーだったら恐怖しか感じないよね。
 空一人で十分壊滅させる能力あるよ。
 
「お前も自分の部下をまとめて撤退した方がいいんじゃないか?」

 やりあう前に勝手に自滅されたんじゃ面白くない。

「友恵!今日は引き上げるぞ」

 神谷が言うと大地と戦闘していた友恵という女性は引き下がる。

「お前らの実力は分かった。次はこうはいかないぞ?」
「それが油断って言うんだ。僕達は3人でしか来ていないんだぞ?」

 天音や紗理奈が暴れ出したらこんなもんじゃ済まない。

「俺が甘いのはよく分かった。こんな雑魚共に頼っていたのが間違いだったようだ」

 次は本気でお前の仲間を八つ裂きにしてやる。と、神谷が脅す。

「勝手にしろ、お前らが僕の敵だという事ははっきりした。本気で潰してやる」
「この程度で図に乗るなよ」
「わかってないな」

 空は言う。
 最初が肝心なんだ。
 最初に相手にどれだけ恐怖を植え付けられるかで勝負の殆どは決まる。
 だけど神谷は失敗した。
 それは僕達に恐怖を与える事が出来なかっただけじゃない。
 肝心な最初の戦略でミスをおかしたんだ。
 空がこの場所にいるという事は神谷の情報は駄々洩れだったって事だ。
 戦闘以前から勝負が決まってる。
 多分空の父さんならこんな詰めの甘い事しない。
 この場で全員北の国にでも送り返してるところだ。

「あとで吠え面かくなよ」
「すでに喚いてるお前がいうのか?」

 空が言うと神谷と友恵は帰って行った。

「大地はどうだった」
「かなり凄腕ですね。侮るのは危険です」

 この後どうでるつもりだろうか?
 空にそんな事を聞いていた。

「とりあえずお腹空いたし帰ろうか?」

 お腹も空いたし2人とも妻を待たせてるんだろ?
 そう言って僕達は帰る事にした。

(3)

 家に帰ると結莉が「おかえり~」と抱き着いて来る。
 しかし僕が結莉を抱えると「うぅ……」と嫌悪感を示している。
 どうしたんだろう?
 その様子を見ていた天音が結莉に「どうした?」と聞いている。

「パパから天音じゃない女性の匂いがする」
「なんだと!?」

 ま、まさか……。
 友恵はかなりの腕前だ。
 そんな事気にする余裕がなかった、
 組み合ったりしていたから友恵の香水の匂いが移ったのだろう。
 天音にそう説明する。

「他の女と抱き合っただと!?大体何でお前が女の相手してたんだ!?」

 友恵よりもやっかいな妻を宥めるのに必死だった。

「で、その間善明は何やってたんだ?」
「空の様子を見てたと思う」

 そこまで気をまわす余裕が無かったんだと天音に言う。

「お前をそこまで追いつめる女か。次は私が行った方が良さそうだな」

 多分「私以外の女ともつれ合うなんて許さない」って事だろう。

「しかし空もやっぱり能力あったか」
「みたいだね」

 最強の矛盾。

 しかも目に見えないから躱した神谷を褒めるべきだろう。
 
「ちょっと厄介な相手なんだろうな」
「多分ね……」

 それでも空はもう決めているらしい。

「空は言ってた」
「何て言ってたんだ?」

 天音が聞く。

「おい、十郎」

 空がそう言うと十郎が立ち止まって振り返る。

「お前たちが父さんや僕達にどんな恨みがあるのか知らないがそんなの僕の知った事じゃない」
「なんだと?」
「お前は僕達に喧嘩を売ったんだ。必ず後悔させてやる」

 僕達を聖者とでも思ったか?
 どんな罪があろうとそんなのはどうでもいい。
 覚悟しておけ。
 そう言うと空は踵を返して僕達を連れて帰った。

「空には勝算があるのか?」
「いや、多分空の中にあるのは覚悟だけ」

 仲間を傷つける奴に容赦する必要はない。
 躊躇ったら自分たちが食われる。
 だったら食われる前に嚙みちぎって殺してやる。
 その日のSHの話題はその事だけだった。
 学や光太も空の覚悟を理解したようだ。
 空は全部背負っていくつもりだ。
 自分が躊躇ったら仲間が危ない。
 一切の躊躇もするつもりは無いのだろう。
 空がその気なら僕達も止めるつもりはない。
 忠実に空の指示に従うのみ。

「結莉達大丈夫だろうか?」

 やはり実の娘の心配くらいするんだろう。

「心配ないよ。結莉の身に何かあったら僕が無事じゃすまない」
「それもこまるんだけどな」

 天音はそう言って笑う。
 僕も空と同じように一家を守る覚悟を決める必要があった。
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