姉妹チート

和希

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もう一度微笑みを

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(1)

「あ、リリー……」
「久しぶりだね。将門」

 私は元カレの将門を自分の披露宴に招待していた。
 招待状を送るときに親は止めたけど、夫の弓弦は許してくれた。
 将門の事は知っているつもりだ。
 将門だって今は嫁がいる。
 みんなが心配するようなことはない。
 そう言って周囲を説得した。

「でも、どうして?」

 将門が聞いてきた。

「ちゃんと私を見てほしかったから」

 別れた時は電話で済ませてしまった。
 将門の事だから私を不幸にして手に入れた幸せと誤解してるんじゃないか?
 そう言うとやっぱり当たっていたようだ。
 将門は言葉を詰まらせていた。

「そういうことを思っていても嫁の前で思うのってどうなの?」

 麻里がそう言って将門を小突く。

「で、でもさ……」
「いいじゃん。お互い幸せになれたんだしそれで解決で終わりにしようよ」

 麻里はそう言って私達を見た。

「おめでとう、将門結構気にしてたから。素敵な彼氏さんじゃない」
「でしょ、結構当たりを引いたつもりなんだ」
「人を宝くじみたいに言うのは止めてくれ」

 弓弦がそう言って笑う。

「だからさ、将門にも祝って欲しい」

 もう一度将門の笑っている姿を見たいから。

「……わかったよ。幸せにな」
「ありがとう」

 将門の笑顔が私への最大のプレゼント。
 披露宴を終えた後2次会を楽しんで、朝になる前に帰ることにした。

「やっぱり疲れたのか?」

 弓弦が言う。
 
「ちゃんと動きやすいドレスにしておいたからそれはない」
「じゃあ、なんで?」

 明日休みだよな。
 そう聞いてくるから、私は首を傾げた。

「新婚初夜っていうんでしょ?」

 しないの?

「ど、どこでそんな言葉を……」
「会社でも話を聞いていたから」

 早速子作り頑張らないとね。

「あ、でも、やっぱりリリーが疲れてるなら……」
「だから大丈夫だってば」
「そ、それにリリーの国ではどうだったんだ?」
「それに合わせたらきっと弓弦許さないと思う」
「どうして?」

 初夜権というのがある。
 土地の持ち主なんかが新婦と寝る権利。
 さすがに弓弦も驚いたようだ。

「そ、それ本当なのか?」
「本当にあったのは確かだったみたい」
「みたいって……」

 戸惑う弓弦を見て笑いながら説明した。
 そういう事実があったことを示す文献があるってだけ。
 今やってるなんて話は聞いたことがない。
 どこかの国では新婚の夫婦が寝ているところを覗き見する風習が残っていたりするらしいけど。
 とりあえず日本だけの文化じゃないから気にしないでいいよ。

「でも本当にいいのか?」
「夫としないで誰とするの?」

 私は別に義父と寝るとかそういう趣味はないよ?

「女性って嫌がるものだと思ってた」
「好きな人とすることをどうして嫌がる必要があるの?」

 人にもよるけど、基本的は女性にだって欲がある。
 それに今まで怯えていた物に怯えずにできる。
 いつだって子供を作っていいんだから。
 妊娠に怯えていた日々が過ぎて妊娠を待ち望む日々になる。
 それは弓弦だって嬉しいんじゃないの?
 つけなくていいんだよ?

「リリーは俺がただのドスケベだと思ってるんじゃないのか?」
「そんな変態と結婚するような女だと思った?」
「……お互い素直じゃないな」
「本当だね」

 タクシーで家に帰ると風呂に入ると二人でベッドに入る。
 あ、日本の風習があったな。
 私はベッドから出ると正座する。
 どうしたんだ?と弓弦が見ている。
 私は礼をしていった。

「不束者ですがよろしくお願いします」

 そう言って弓弦の顔を見ると弓弦はにやりと笑っていた。

「リリーは不束者の意味は調べたのか?」
「え?」

 すると弓弦は説明を始めた。
 イメージするような若輩者とか未熟者という意味もあるけど……。

「太くて丈夫って意味もあるんだぞ」
「新婚初夜からそんな意地悪言うのが日本の男なの」
「さっきの仕返しだよ。ほら、おいで」

 弓弦がそう言うと私はベッドに入る。

「バツとして私が満足するまで朝まででも付き合ってもらうからね」
「わかったよ」
 
 そう言って私と弓弦の物語が始まる。

(2)

 校門に高級車が止まっていた。
 気にも留めず家に帰らないとと門を抜けると高級車の窓が開いて女性が私に話しかけた。

「高橋成実さんであってるかしら」
「そうですけど」
「よかったらお時間いただけないかしら?」
「あなたは誰?」
「江口奈留」

 江口の名前に反応した。
 憎き渡辺班の仲間が突き止めたか?
 でも私の事は片桐冬吾達が知っているはず。
 
「そんなに身構えなくていい、ちょっと話をしたくて、別に拉致をしようとか思ってないから」

 この先にファミレスがある。
 そこで待ってるから気が向いたら来てほしい。
 そう言って彼女は車を走らせた。
 どうする?
 十郎に相談するか?
 しかし最近の十郎は信用できない。
 私が無事に高校卒業できるかも不安になってきた。
 私は中退でもいい。
 どうせ高校に進学することをあきらめていたのだから。
 だけど妹の雪菜だけは……。
 必死に仕事して養うしかない。
 やはり渡辺班は許すまじき存在なのか?
 そんなことを考えていたらいつの間にかファミレスに入っていた。
 奈留さんが私を見つけると手を振る。

「あの、用件だけお願いします。私妹の世話をしないといけないから」
「心配しなくていい、雪菜さんの事でしょ?」

 奈留さんの主人の公生さんが接触しているらしい。

「用件は特にないの。ただ私の話を聞いてほしい」
「話?」
「そうね……私の旧姓は高橋。こういったら少しは興味を持ってもらえるかしら?」

 え?
 もっともそれも仮の名前。
 本当の姓は香崎。
 高橋グループに利用されていたらしい。
 渡辺班の敵として戦ったそうだ。
 その後渡辺班に入り、そして石原恵美の両親に養子として引き取ってもらって育てられた。

「それが、私とどういう関係が?」
「あなたはただ高橋グループを壊滅させた憎しみで渡辺班と戦おうとしてる」

 だから知ってほしい。
 この世界には高橋グループの支配から逃れて救われた人がいるということも。
 そんなの関係ない。
 私の家は渡辺班によって悲惨なことになった。
 父親に会うこともできない。
 そんな渡辺班を許せというの?
 話にならない。

「言いたいことはそれだけ?」

 そう言って私は席を立とうとすると奈留さんはある人物の名前を口にした。
 
「高橋蒼良」

 私の祖父の名前。
 そして私達の両親の名前も調べていた。
 どうしてそんな事を?
 気になったので再び席に着く。

「私たちも気になっていたの」

 私たちの祖父の蒼良は月によって海外に売り渡された。
 しかしその子供の事までは聞いていない。
 私たちの年齢を考えたら絶対に息子か娘がいるはず。
 そしてそれを突き止めた。

「ここからが本題。あなたの両親はどうしていなくなった?」
「……事故で亡くなったと聞きました」
「そう、それが表向きの事実」

 私がリベリオンで十郎が何が企んでいるように。
  渡辺班が高橋グループをつぶす一方で奈留さん達を助けたように。
 物事には必ず表と裏がある。
 だから角度を変えてみることが必要だと奈留さんは話した。

「事故は嘘?」
「こう考える人がいたそうよ。高橋グループが潰れて自分達は不幸に追いやられたのに、豪華とは言えないけど人並みの生活をしている後継者が気に入らない」

 え?
 胸騒ぎがする。
 私は奈留さんの話に夢中になっていた。

「その人を知っているのですか?」
「私の口から言えば納得する?」

 もう薄々気づいてるんじゃないの?
 奈留さんはそう言う。
 ま、まさか……。
 だとしたら私たちの仇は渡辺班じゃない。
 あいつなのか。
 私たちは最初から騙されて利用されていた。
 そして使い物にならなくなったから何もするな。

「私は最初から利用されていたのですか?」
「それを判断するのは私じゃない。成実さん自身で判断しないといけない」

 奈留さんが私をだましてるかもしれない。
 流されないで自分の意思をしっかり持つこと。

「私の話を信じられないかもしれない。だからあくまでも成実さんの意思を尊重する。そのうえで私たちに歯向かうなら容赦しない」

 半端な手心を加えたところで仲間を危険にさらすだけ。
 私自身のか……
 もう少し判断材料が欲しい。

「……お願いがあるのですが」
「片桐冬夜に会わせろ。かな?」

 私はうなずいた。
 遅くなるから自転車は奈留さん達に任せて、奈留さんの車で片桐さんの家に尋ねた。
 そこには雪菜もいた。

(3)

「冬夜さん、奈留と公生が会わせたい人がいるって言伝があったのですが」

 家に帰ると愛莉が言う。
 多分そうなるだろうと思ってた。

「いいよ、時間だけ教えて」
「はい」

 夕食を食べ終わった頃に公生が女の子を連れてくる。
 高橋雪菜。
 陽葵達の同級生。
 リベリオンのメンバーだ。
 その後に奈留が高橋成実を連れてきた。

「あなたが高橋グループを崩壊させたのですか?」

 成実さんは直球できた。
 
「そうだよ」
「どうして?」
「決まってるでしょ?僕たちに手を出したから」

 渡辺班に手を出したら容赦しない。
 渡辺班に手を出しても割に合わない。
 そう思わせることでしか身の安全を保障できないから。

「それで私の祖父は悲惨な目にあいました」
「それは違うの、蒼良さんは……」

 愛莉が何か言うのを僕が止めた。

「成実さんの言うとおりだ。どういういきさつがあったのかは関係ない。僕たちが行動した結果だ」

 禁断の果実を手に入れた結果事件は起きた。
 そのことくらいは自分で調べたのだろ?

「その後のことは奈留さんから聞きました。本当なのですか?」
「僕が本当だよと言ったら信じるの?」

 そう言うと成実さんは黙ってしまった。
 奈留の顔を見る。
 なるほどね。

「裏と表。物事には必ずある物」
「はい……」
「僕達の渡辺班にも同じことがあるんだ」

 僕たちに敵対するものは容赦しない。
 その代わり僕たちに関わったら必ず幸福をもたらす。
 幸福をもたらすなんて胡散臭い話を成実さんは信じられる?
 成実さんがリベリオンについて復讐に生きるのも一つの手だろう。
 こっちも受けて立つ。
 でも成実さんは今迷いがある。
 同じ悩むなら賭けてみないか?
 僕達について幸せになれるという賭けに出ても悪くはないと思う。

「ちょっと待ってよパパ!こいつら敵なんだよ!?」

 様子をうかがっていた冬莉が言った。

「本当にそう見える?」

 冬莉に尋ねていた。
 冬莉は今の成実さんを見て冷酷に処分できる?
 冬莉は黙ってしまった。

「そんなことが可能なんですか?」
「さあね。僕も預言者じゃないんだ。確実とは言えない」

 だけどもう一度微笑みを。
 何度でも微笑みを君にあげようとは努力するつもりだ。

「私に幸せになる権利があるんですか?」

 もう二度とまぶしい光が届かないところまで沈んでしまったのに這い上がれるのか?

「君が望むなら何度でも力を貸すよ」

 そう言ってあげると成実さんは涙を流していた。
 愛莉が優しく肩を抱いてやる。

「お姉ちゃん大丈夫?」

 雪菜が言っている。

「わかりました。このままいてもみじめなだけ。復讐が出来たとしてもその先に何もない」

 成実さんは結論を出したようだ。

「それで僕達の出番なんだね?」

 様子をみていた空が言った。

「母さんからも事情は聞いてます。今はまだ安全だけど引っ越した方がいいからすぐに手配するって」

 美希が言う。

「それにしても冬夜さんは凄いですね」

 愛莉に褒められた。
 そんなに難しいことがない。
 高橋グループの残党がいて復讐したくもなるのならそれで納得する。
 だけどその中に小学生や高校生がいる時点で疑問が生まれた。
 蒼良がいないのにどうして?
 普通に考えたら蒼良に子供がいて、その子供が子供を作ったのだろう。
 じゃあ、蒼空の子供はどうなった?
 そう言って恵美さんに頼んだらすぐに結論が出た。

「神谷ってやつは絶対に許せないね」

 翼が言う。
 人の不幸に付け込んで目的のために利用する。
 許される所業じゃない。
 公生たちに連れられて家に帰る成実達。
 ようやく反撃の糸口が見えたかのように思えた。

(4)

 家に帰ると雲雀に連絡していた。

「大丈夫なのか?」

 雲雀は一言そう聞いてきた。

「今のままよりはましだと思う」
 
 片桐冬夜と話してそれはわかった。
 私たちが本当に望んでいるのは復讐なんかじゃない。
 だって復讐の先には何もないのだから。
 片桐冬夜を殺したところで私たちが手に入れられるものはない。
 それに……復讐する必要があるのは十郎の方だと分かった。

「明日4人で集まらないか?」

 皆で相談したいという。

「分かった。でも私の意思はもう変わらない」
「分かってる。だからって剣太や有紀と対立する理由にはならないだろ?」

 俺たちにも説明してほしい。
 
「分かった」
「じゃあ、明日放課後ファストフード店で」

 その後十郎に話を言う。

「一つ聞きたいことがあります」
「なんだ?」
「私の両親が事故を起こしたというのは十郎さんの企みだと聞いたのですが本当ですか?」
「SHに入れ知恵されたか?」
「質問に答えてください」
「違うと言ったら信じるか?」
「納得いく説明をしてくれるなら」
「その必要はないな」

 腐ったみかんに用はない。
 一度組織を疑った人間を入れておくとそれが大きな亀裂になる。
 お前とはここまでだ。
 役に立つ人間だと思ったが、とんだ恩知らずだったな。

「だが、お前の功績も認めてやる」

 だから対価を払う必要はない。
 しかしSHに入ったり馬鹿な真似をするならお前も復讐の対象だ。
 十郎はそう言って電話を切った。
 その様子を見ていた雪菜が言う。

「私達これからどうなるの?」
「雪菜が心配しないでいい。私がなんとかするから」

 翌日、学校が終わると4人でファストフード店に向かう途中だった。
 校門で浩二が待っていた。

「十郎の言うとおりだったね。腐ったみかんは次々と周りを巻き込んでいく」

 だからその前に始末しろ。
 気づいたら私たちは囲まれていた。

「雲雀、ごめん」
「言ったろ?俺の命はお前のためにあるんだ」
「雲雀の言うとおりだ。あいつらの行動は成実の意見を肯定してるだけじゃないか」

 雲雀と剣太が言う。
 ただやられるわけにはいかない。
 多少は抵抗してやる。
 そんな私たちの様子を見ていた浩二が言った。

「そうか……じゃあ死ね」

 こんなところでやるのか?
 少しは頭を使ったらどうなんだ?

「あまり俺たちをなめるなよ」

 雲雀がそう言うと浩二が何かを飛ばす。
 だがそれは私たちに届く前に失速した。
 
「重力か」

 浩二が舌打ちする。

「お前の力は知っている。だけどお前を始末するくらいの力は持っている」
「知ってるよ。だけどいいのか?」

 浩二はまだ何か奥の手があるようだ。
 そしてそれを予感した私はぞっとした。
 その様子を見て浩二はにやりと笑う。

「理解した?下手に抵抗しない方がいいよ」

 別にそれが卑怯だとは思わなかった。
 私たちも同じことをしてきたのだから。
 家族を奪われる憎しみ。
 しかし憎しみだけじゃ人は幸せになれない。

「じゃ、大人しく死んでね」
「お前馬鹿だろ?こんなところで暴れていたらどうなるのかくらい想像しなかったのか?」

 その声に反応する。
 片桐冬吾率いるSHがいた。

「成実だっけ?心配しないでいい。雪菜は私達より質の悪いのがついてるから」

 冬莉が言う。

「どこまでも情けない奴。寝返ったのか」

 そう言って私達を睨みつける浩二。
 しかし冬吾はお構いなしに続ける。

「そこまで知ってるなら僕が何かを言う必要はないよね?」

 手出ししたら殺すよ。

「お前たちにできるのか?」

 浩二が言うと冬吾はくすっと笑う。

「馬鹿は死ぬしかないっていうのは本当だね」
「舐めるなよ。クソガキ!」

 浩二はそう言って冬吾に蹴りつける。
 冬吾はそれを受けとめる。

「年上に敬意を払うということを教わらなかったのか?」
「教える親を奪ったお前らが言うことか?」
「十郎とかいうやつがいるんだろ?」
 
 それに高校生にもなって「親が教えてくれなかった」ってダサくないか?
 それでもやる気なら相手してやる。
 お前らの復讐というのに付き合ってやる。
 だけどどんな理由があろうとSHに歯向かうやつは容赦しない。
 騒ぎで人も集まってきた。
 さすがにまずいと思ったのか浩二は退くことにした。

「成実、後悔するなよ」

 そう言い残して。
 浩二達が立ち去ると冬吾達が声をかけてきた。

「じゃ、行こうか?」
「どこに?」
「歓迎会、SAPでいいよね?」

 新人が入ってきたら歓迎会くらいしてやれ。
 冬吾の姉の天音が言ったらしい。

「……食べすぎには気をつけなさい」

 もうじき五輪が控えているのだから。

「じゃあ、私はいいよね?」
「そんなわけありません!あなた女の子でしょ!」
「女だから食べたらいけないなんて男女平等の時代に通用しない!」
「志希に嫌われても知りませんよ!」

 大体冬莉もステージに立つのでしょ。
 
「そこはちゃんと育人がごまかしてくれるから」
「冬夜さんからも何か言って下さい」
 
 すると片桐冬夜は考えたらしい。

「冬莉はうどんは食べないのかい?」
「え?」
「いや、女子高生はうどんを好むって聞いたから」
「ああ、それがさ、瞳子達はそんなに食べないから」

 ああいうのは女子だけで食べるものだって説明したらしい。

「志希とうどんデートも悪くないと思ったんだけど」
「志希は私が作った弁当すら残すんだよ?」
「あれを弁当と言う冬莉がおかしいとどうして思わないのですか!あなた女子高生でしょ!」

 朝早いから手抜きするのは仕方ない。 
 母親も高校時代そうしたらしい。
 しかし見栄えくらい気にしなさいと注意されたそうだ。

「志希に弁当を持ってこなくていいと伝えなさい」
「なんで?」
「冬莉も年頃だから母さんが弁当の作り方くらい教えてあげます」
「そんな少ない量じゃ帰りにはエンプティだよ」
「それなら心配しなくていいよ」
「パパは何か秘策があるの?」
「お弁当を持って学食にいけばいいよ、あそこのかつ丼結構美味しいんだ」
「冬夜さん!」

 その後冬吾は瞳子と一緒に学食に行ったらしい。

「まあさ、皆で騒ぐって大事だぜ。今まで復讐とかくだらない事考えて暮らしていたんだろ。人生たった一度なんだ。楽しまないと損だろ?」

 多田誠二が言う。

「でも雪菜がいるから」
「お前SHをなめてないか?」
「どういう意味?」

 ちゃんと奈留さん達に伝えてる。
 今の雪菜を一人になんて絶対にさせない。
 しっかり面倒を見てくれるから心配するな。
 そう言ってSAPで遊んだ。
 ボーリングしてカラオケして遊んでいた。
 スマホで写真をみんなで撮る。

「成実は彼氏いないのか?」
「いるよ?」
「まじかよ!誰だよそれ」

 誠二が言うと私は雲雀を指した。

「へえ、そんな関係だったんだ」
 
 みんな驚いていた。

「赤井だっけ?もう最後まで済ませたのか?」
「いや、そういう時間なくて」
「早くしとけ。女子高生とやるなんてシチュエーション滅多にないぞ?……いてぇ!」
「あんたまだそんな馬鹿な事考えてるの!?」
「考えてるだけだよ!だから彼女作ってないだろ?」
「でも風俗には誘うよね?」
「ば、馬鹿冬吾……」
「冬吾君を巻き込まないで!」

 そんなやりとりを見ていて思わず笑みをこぼした。

「それでいいんだよ」

 瞳子が言っていた。
 何度でもほほ笑むことが出来るから、何度でも笑えばいい。
 笑っていればそのうちいいことが待っている。
 長くて暗い世界を抜けてたどり着いた暖かくて優しい光の届く世界。
 そんな未知の世界は私に微笑みをもたらしてくれた。
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