姉妹チート

和希

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Alive

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(1)

「それではよろしくお願いします」

 俺がそう言うと手術が始まる。
 初めての手術。
 もちろん助手としては何度か経験がある。
 だけど執刀医としては初めてだ。
 サポートを兼ねて母さんがじっと見ている。
 外からは父さんたちがモニターを通してみている。
 さすがに母さんの息子だ。
 研修医の俺に任せられる患者の方が不安だろうしやるしかない。
 執刀医がすべてをやるわけではない。
 ここぞという時にはベテランの医師に代わることもある。
 しかし母さんにはその気が全くないらしい。

「メス」

 そう言ってメスを受け取るとメスで切る。
 血がにじんでくる。
 
「汗」

 母さんが看護師に伝える。
 
「緊張しすぎ。練習してきたんだからもっとリラックスしなさい」

 体が硬くなると上手くできない。
 そう母さんが伝える。
 その後手術を進めていくと、当たり前だけど内臓が見えた。
 さすがひやりとする。
 関係ない臓器に傷を入れたら大ごとだ。
 手が勝手に震える。
 すると母さんの叱咤が飛ぶ。

「しっかりしなさい!シミュレーターで練習してきたんじゃないの!?外科医が臓器見てビビってたら話にならない!」

 母さんの言うとおりだ。
 もう一度汗を拭いてもらうと深呼吸して進行する。
 ……あれ?
 患部が見つからない。
 おかしい。
 何度も練習してきたのに、レントゲンもしっかり確認したのに。
 何をミスったか考える時間はない。
 すると母さんがアドバイスをしてくれた。

「落ち着いて。そのくらいのハプニングはよくある話。直接触って確かめてみなさい」

 母さんの言う通りするとようやく見つかった。
 それを切り取って後は洗浄して縫合して終わり。
 母さんが時間を見ている。
 そして一言言ってくれた。

「お疲れ様。ちゃんと最後の挨拶しないとだめよ」

 スタッフだって疲れてるんだから。
 そうして俺の初めての執刀が終わった。

(2)

「それじゃお疲れ様」

 渡辺さんがそう言うと身内で細やかなパーティが行われた。
 術後経過もよく患者さんは無事に退院した。

「それにしても深雪はちょっと自分の息子に厳しすぎないか?」

 父さんが言うけど母さんは違うようだ。

「そうよ、私の後を継ぐの。こんな初歩のオペでオタオタしてたら話にならない」

 実際、初めてオペの助手に入った時は血を見てこっちが貧血になりそうになった。

「どこの世界に血を見て貧血起こす外科医がいるの!?」
 
 母さんにかなり怒られた。

「で、私の旦那の腕はどうなんですか?」

 妻の紗理奈が聞いていた。
 母さんは答えた。

「まだどうなのか結論を出すには早い。これからいろいろ難関が待ち受けている」
「深雪さんは最大の難関は何だと思ってるんだ?」

 渡辺さんが聞くと母さんは静かに答えた。

「患者の死」

 実際母さんが片桐さんのお母さんを救えなかった時かなりつらかったらしい。
 母さんは神の手と呼ばれるほどの名医。
 そんな母さんでも末期がんはどうにもならなかった。
 もう少し発見が早かったら……。
 そんなに言い訳を母さんは封印していた。
 失意の母さんに父さんは言ったらしい。

「医者というのは残酷な職業だ。深雪ほどの腕でも救えない命がある。それでも止まっている時間はないんだ」

 次の患者に向き合わなければならない。
 泣くのは遺族に任せたらいい。
 俺達医者は次の命を救わなければならない。
 それはとてもつらいけど感傷に浸ってる時間はない。
 そんな時間があるなら一人でも多くの患者を救うのが使命。
 もちろん患者の命を粗末に扱ってはいけない。
 どれも大事な命。
 医師の前に善も悪もない。
 平等な命なんだ。
 矛盾したその使命を全うすることが医者の本質。
 昔ドラマでやっていた。
 絶対成功すると思っていた手術が麻酔医のミスで失敗した。
 麻酔医は責任を取ろうと辞表を出した。
 麻酔医の辞表1つで取れる責任じゃない。
 執刀医は悩み、そして手術が怖くなっていた。
 だけど母さんはそれが普通なんだという。
 簡単な手術なんてない。
 恐怖を覚えるくらいが普通なんだ。
 手順一つミスればどれもが致命傷になる。
 それは指導医だって同じだ。
 任せて大丈夫かどうか常に判断しないといけない。
 研修医が院長の息子となれば正常な判断が出来なくなると母さんが僕を指導することになった。
 怖くないオペなんてない。
 あったとしたらそれは傲慢だ。
 別のドラマでは名医と呼ばれた医者が、あらゆるケースを想定して万全な状態になるまでオペはしなかった。
 もちろん緊急でしなければならない時もある。
 大事なのはその心構え。
 自分が患者の命を預かっていると自覚しないといけない。
 その上で必ず救って見せると覚悟を決めてやらなければならない。
 緊急で手術が必要とした時に医者が言った言葉。

「俺明日から友達とスキー行くから他当たって」

 そして救急車は必死に他の病院を探すけど渋滞でどうにもならない。
 もちろん隊員も焦っていた。
 確実に悪化していくバイタル。
 その患者は渋滞で身動きが取れない救急車の中で息を引き取った。
 絶対にそんな医者にはなるな。
 母さんが言っていた。
 免許も無いのに新薬を患者に試して死なせた研修医もいるそうだ。
 
「どうせあと半年しか生きられなかったからいいだろ?」

 そんな事を遺族の前で言ったらしい。

「ふざけた医者もいるんだな」

 美嘉さんがいる。

「そんな医者がいるから”医者は金持ちで気楽”なんてイメージが定着したのでしょうね」

 母さんがそう言った。
 その裏で参考書を買うために必死にバイトする医大生もいるのに。

「康介は覚悟しておきなさい。母さんが現役でいられるのもそんなに長くはない」

 その間に俺に母さんの持ってる全てを託すつもりだと母さんは言った。

「怖気ついたか?」

 父さんがそう言って笑う。

「俺は深雪がくじけそうになった時、俺なりに母さんを支えた。康介だって支えてくれる人がいるだろ?」
「任せとけ。お前がびびったなんてふざけたこと言ったら尻蹴とばしてやるから」

 父さんが言うと紗理奈がそう言った。

「紗理奈の方はどうなんだ?」

 渡辺さんが美嘉さんに聞いてみた。

「それを西松達に相談したくてな」
「どうかしたんですか?」

 父さんが美嘉さんに聞いた。
 俺達にはもう子供がいる。
 子供たちがもう少し大きくなるまで紗理奈が面倒見るか、美嘉さんが面倒見て紗理奈に店を継がせるか。

「もう少し大きくなるのを待ってから結論をだしたらいいじゃないか」

 深雪さんもそうだけど美嘉さんだっていつまでも現役でいられるわけじゃない。
 その時に改めて紗理奈に店を任せるかどうか決めたらいい。
 渡辺さんはそう言った。

「まあ、そうだな……」
「でも珍しいな。美嘉は子育てなんて母親に任せておけばいいっていつも言ってるじゃないか?」
「それなんだけどこの前のキャンプ行った時に少し不安になってな」

 紗理奈の友達の石原天音と桐谷水奈の事だろう。
 息子はともかく娘が暴れてるらしいから不安になったんだろう。
 多分紗理奈も同じような性格だろうから。

「まだこれからどうなるかなんてわからないだろ。美嘉も言ったろ?娘を信じてやれって」
「まあ、そうだな」
「大丈夫、ちゃんと世話してるから」

 この前冷蔵庫に入れておいたビールを開けようとしてるのを見て慌てて止めたらしい。

「せめて中坊になるまで待て!」

 それでいいのか?と思ったけど教育方針は母親に任せたらいいだろ。
 中途半端に口を出して悩ませるのも悪い。
 藍那と雄輔を見ながらそんな事を考えていた。

(3)

「水奈、どうしたの?」

 優奈たちの部屋に入るとパジャマに着替えて寝ようとしている娘たちがいた。

「悪い、すぐに着替えてくれ。ちょっと出かける」
「どこに?」
「病院」
「私どこも悪くないよ?」
「父さんが病院に運ばれた」
「じいじが?」
「説明は車の中でするから急いでくれ!」

 そう言うと茉奈が妹達が着替えるのを手伝う。
 その間に悠翔は準備出来ていたみたいだ。

「私が運転した方が速いだろ?」
「子供たちを乗せて暴走なんて俺が許さない」

 それに平静でない私に運転させられないと学が言う。
 学が運転している間に茉奈たちに説明する。

 父さんが襲われた。

 父さんは母さんの方の爺さんにスナックを任せられていた。
 その店に犯人が現れて刃物で切りつけた挙句に背中に青龍刀を突き刺して逃走したらしい。
 店の金を全部奪って。
 それでママが慌てて通報した。
 渡辺班の関係の事件はだいたい片桐純也が担当することになってるらしい。
 すぐに母さんの所に電話で知らせられ私たちの所にも母さんから報告を受けた。

「じいじ死んじゃうの?」
「かなりやばい状態らしい」

 優奈と愛菜が不安そうにする。
 茉奈も今にも泣きそうになるのをこらえて二人を支えてる。

「大丈夫だよ。じいじの治療をしているのは凄い医者だから」

 学が運転しながら優奈たちに話す。
 こういう時に息子って頼りになるんだな。
 茉奈達を落ち着かせていた。
 病院に着くと母さんや渡辺班の皆、それにSHの主要メンバーがそろっている。

「父さんはどうなんだ?」
「出血が酷くてちょっと手こずってるらしい」

 報告が少しでも遅れていたら……。
 母さんの顔が青ざめている。

「神奈、しっかりして。きっと大丈夫だから」

 愛莉さんが母さんを励ましている。
 ふざけた真似をしてくれたな。
 しばらくして純也が来た。

「誠さんは?」
「まだ処置中」

 翼が返事した。

「……純也。犯人は誰だ?」

 天音が怒りを抑えながら聞くと純也は答えた。

 黄帝竜。

 中華マフィアらしい。
 純也は説明した。
 父さんは店を閉めて帰る所に突然店に入ってきたらしい。

「なんだお前ら?店はもう閉店なんだけど?」
「金を払え?」
「は?何言ってんだお前?」

 ここは俺たちのテリトリーだから商売するならみかじめ料を払え。
 父さんも多少の勉強くらいはしていたから、それが違法行為だって事くらいは知っていた。

「勝手に縄張りを主張するのは好きにすればいいが、少しくらい刑法とか勉強しとけ?」
 
 こっちも早く帰って嫁の相手をしないといけないんだ。
 父さんがそう言うと突然青龍刀で切りかかってきた。
 父さんはそのまま倒れる。
 ママさん達が悲鳴を上げる中一言告げたらしい。

「お前SHなんだろ?あんまりおいたが過ぎると死人が出るよ?」

 そう言って父さんの背中に青龍刀を突き刺したらしい。

「あ、あんた達何者なの?」
「黄帝竜と名乗っておくよ。店にある金はもらっておくよ」

 そう言って堂々と店を出て言ったらしい。

「ふざけやがって!中華マフィアだ?んなもん中華まんにして送り返してやる!」
「天音、ここは病院。落ち着きな!」

 怒りを露わにする天音を抑える翼。
 空は自分の父親を見ている。

「父さんどうする?」
「そうだね……」

 すると空の父さんは冷たい声で言った。

「今回はお前たちは手を出すな」

 そんなの天音や私が許すわけがない。

「ふざけんな!そんなふざけた連中は私が直々に炒めてやる!」
「天音、ここ病院だから静かに。それに相手は平気で刃物で殺しにくる奴らだ。危険すぎる」
「だったら大地がパイナップル貸せ!その馬鹿の口の中に詰め込んでやる!」
「天音ちゃんは石原家の大事な嫁なの。危険な目に合わせられない」

 恵美さんがそう言っていた。

「中華マフィア?上等じゃない?北京でいいわよね?とっておきの”えみりん革命21号”を配送してやるわ」
「じゃあ、湾岸部は私に任せて。”あきらっきー46”を上海あたりにでもぶち込んでやる」
 
 恵美さんと晶さんが言う。
 それが何なのかは敢えて聞かなかった。
 だけど空の父さんは首を振った。

「そんなんでカンナの気が済むわけがない」

 自分の知らないところでただ人が死ぬ。
 そのくらいで済ませるつもりはないと言った。

「じゃあ、どうするつもりなんだ!?お前に私の気持ちが分かるのか!?あんな馬鹿でも私の大事な旦那だぞ!」

 母さんは泣いていた。
 それで私達は手を出すなってことか。
 私達が危険だからじゃない。
 自分たちの手で報復してやらないと気が済まないという意味だろう。

「……わかった。父さん達も気をつけて」
「子供に心配されるほど衰えてはいないから心配するな」

 それより自分の子供や妻を注意しろ。
 SHを名指しできたのは間違いないんだから。

「ざけんな空!お前水奈の気持ち考えてるのか。ビビったとかふざけた事ぬかしたらお前から血祭りにするぞ!」
「天音!何度も言わせないの!ここは病院。騒いで居場所じゃないでしょ!」
「愛莉だって水奈や神奈さんの気持ち考えたのか!?パパはただぶるってるだけじゃないか!」

 水奈もなんか言ってやれ。
 天音がそう言うけど私は逆に落ち着いていた。
 そしてもっと恐ろしいことになっていることを気づいた。
 それは母さんの表情が教えてくれた。

「水奈、お前もびびったのか?」
「天音……あんたもいい加減気づきな」
「どういう意味だよ?翼」

 天音が翼に聞くと空が答えた。

「簡単な問題だよ。この中で一番怒っているのは誰だと思う?」
「え?神奈さんじゃないのか?」
「そうじゃないんだ……」

 母さんは空の父さんの様子を見ながら答えた。
 そう、SHに喧嘩を売られた空でも父さんを傷つけられた母さんでもない。
 渡辺班のテリトリーで暴れた挙句、仲間に重傷を負わせられた空の父さんだ。
 その証拠に落ち着いているようで禍々しいオーラを放っている。

「父さん、俺に出来る事ある?」
「相手はリベリオンの連中だろ?純也は上司に従って大人しくしてなさい」

 情報は父さんが重傷だけど茜や菫がいる。
 ほとんど丸裸の情報から引き出すだけだからそんなに難しくないだろう。

「冬夜、お前何するつもりだ?」
「……さあね」

 その言葉に込められた怒りは天音でも察したらしい。

「パパ、無茶するなよ。愛莉が悲しむ」
「分かってるよ。ただそれなりの躾けはしてやらないとダメだろ」
「トーヤ、愛莉の為にも一人で特攻するなんて馬鹿は絶対にするな」

 母さんが必死に抑えている。
 すると亜依さんが来た。

「誠君の意識戻った」

 私達はすぐに病室に行く。

「随分集まってくれたな」

 そう言って笑っている父さん。
 私は無言で父さんに近づいて父さんの頬を打った。
 
「この大馬鹿!なんでそんな無茶するんだ!母さんだって泣いてたんだぞ!第一誠司の夢見たいんだろ!?」

 こんなところで勝手に死ぬな。

「悪い神奈。百舌鳥さんの店守れなかった」
「父さんも言ってたよ。そういう連中がたまに来るから気をつけろって」

 相手は本物のギャングとか暴力団だ。
 今回死ななかったのが奇跡なんだ。
 あまり私を心配させないでくれ。
 
「悪いな神奈。抱きしめてやりたいんだけど胸切られて傷口が完全にふさがるまではダメだって言われてさ」
「お前やっぱり一度死んだ方がいいんじゃないか?」

 母さんはそう言って笑っている。

「あ、この様子だと冬夜いるよな?」
「ああ、ここにいるよ。こっちは俺に任せてお前はゆっくり休め」

 俺?
 嫌な予感がする。

「……冬夜。神奈でさえこのうろたえようなんだ。愛莉さんの事忘れるな」
「俺の事はいいからカンナに甘えておけ」
「まあ、それも考えたんだけどさ……」

 まあ、この馬鹿の考えそうなことくらいわかる。
 ここは病院。
 そして入院。
 だとすると考えるのは。

「いい事教えてあげようか誠君」
「み、深雪さん?」
「そ、私があなたを担当する。ちなみに看護師は亜依に任せたわ」
「え……」

 父さんがうろたえている。
 他の看護師に任せたらろくでもない事を考えるに違いない。
 歩美たちだってまだいるのにずっと母さんが付きっきりなんて無理だ。

「いい?もし他の患者や看護師に悪さしたらすぐにホルマリン漬けにしてあげるからね」
「い、いや。さすがに瑛大の嫁に手を出さないよ。なあ瑛大?」

 ここで馬鹿なことを言うのがお義父さんだった。

「あ、あたりまえじゃないか。誠だって50過ぎたババアに興味ないだろ」
「ほう?お前はそう思っていたのか?瑛大」

 亜依さんが睨みつけるとお義父さんは自分のミスに気付く。

「今日は帰るよ。また詳しい話聞かせてくれ」

 空の父さんがそう言うと皆で病室を出る。

「冬夜。これからどうするつもりだ?」

 渡辺さんが聞いていた。

「舐められっぱなしは癪なんだろ?まずは狙いを絞ろう」
「お前、もう大体目星つけてるのか?」
「いや、まだ悩んでる」

 俺たちに喧嘩売ったんだ。
 生きて祖国に帰れると思うな。
 空はSHの中では”空の王”と称されている。
 しかしまだまだ父親ほどの怖さがない。
 この世界で絶対に怒らせたらいけない相手に火をつけた。
 その事を思い知るのはそんなに先の話じゃなかった。
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