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wanna be a dreammaker
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(1)
「茉奈、彼氏が迎えに来たぞ」
「もうちょっとだけ待ってもらって」
私の髪の毛は癖っ毛でなかなかうまくまとまってくれなくて苦戦していた。
もう小学校3年生。
デートくらいいいだろうとママにも認めてもらえた。
「いつも家事とか任せっきりにしてるからな、偶には羽を伸ばしてこい」
パパもそう言ってくれた。
私が準備をしている間結は優翔やパパ達と話をしている。
パパ達も今日同じ映画を観に行くらしい。
優翔やパパが結に余計なことを言わないうちにと慌てて準備する。
「お待たせ、結に変な事吹き込んでないよね!?」
変なことを吹き込んだのは妹の優奈や愛奈達だった。
「いつも結の事ばかり話してるんだよ~」
「優奈は余計なことを結に吹き込まないで!」
海翔にも同じこと言うよ!
「海翔は平気だよ」
「どうして?」
「海翔が結の事ばかり話してるから」
いまだにお兄さんから離れられないらしい。
そろそろ私に構って欲しいと優奈が愚痴をこぼしていた。
「そろそろ出ないとバスの時間何じゃないのか?」
ママが言うと私は腕時計を見る。
まずい。
「それじゃ、行ってきます!」
そう言って結と家を出る。
わざわざ街の映画館に行くのは近場のショッピングモールだと自転車で行く羽目になる。
それはまだ校則で禁止された範囲だったから。
親に送ってもらわなかったのは”デートなら二人で楽しんで来い”とママが言ったから。
バス停に着くと時刻表を見る。
まだ来ていないようだ。
結に聞いてみた。
「優翔たちと何を話していたの?」
すると結が逆に聞いてきた。
「茉奈が俺の事ばかり話すのは変なことなのか?」
え?
結も同じように両親に私の事を相談するらしい。
あの日キスをしていこう結はますます私に優しくなった。
私の事をいつも思っているらしい。
まだ春なのに妙に暑い。
「照れっていうんだって」
「照れ?」
照り焼きの事か?と真顔で聞いてくる結。
「あまりそういう話を他の人に聞かれたくないって事」
結が私の事を思ってくれるのは嬉しい。
でもそれを関係ない人に言われるのは少し恥ずかしい。
「ほら、茉莉だってあまり朔といちゃついてるとこ見たことないでしょ?」
それと一緒だよ。
「意外と難しいんだな」
「そうだよ」
そんな話をしているうちにバスが来た。
バスに乗ると2人で話をしながら目的地に向かう。
駅で降りると駅ビルの4階の映画館に向かった。
するとママ達と遭遇する。
チケットを買うと結と海翔はまっすぐフードコーナーに向かっていった。
朝ご飯抜いてきたのかな。
ポップコーンはともかくホットドッグまで買っていた。
「やっぱり空の子だとそうなるんだな」
「まあ、子供がダイエットなんて考えなくていいだろ」
ママと天音がそんな風に話していた。
映画はこの時期恒例の探偵アニメ。
いつになったら終わるのか策者にも分からないらしい。
この物語なんて比較にならないくらい死人があふれているアニメ。
冒頭で殺人事件が起こるテンプレ。
そして初動捜査をしている時点でなんとなく犯人とトリックを見破ってしまう。
でもこのアニメはそんなのを楽しむんじゃない。
本当に推理アニメかと思うくらいのアクションを楽しむもの。
結も理解していたみたいだ。
デート中に居眠りなんてことはしない。
肩に頭を乗せて居眠りくらい許してあげるのに。
映画が終わるとお昼を頼む。
4階はさすがに高いので3階のフードコートに向かう。
結には関係なかった。
あるだけ注文して食べつくしている。
どこに吸収されるんだろう?
「茉奈はあまり食べないけど大丈夫なのか?」
「どうして?」
「いっぱい食べないと胸が大きくならないって天音が言ってた……」
ぽかっ
「そういうのは彼女にかける言葉じゃないよ」
「でも気にしてるんだよ」
「気にしてるから言ったらだめなの」
「……難しいんだな」
「それに胸よりお腹が膨らんじゃうよ」
「天音はそんな事ないぞ?」
それは片桐家特有のチートだってママが言ってた。
食事を済ませると本屋さんに行ったりゲーセンで遊んだりして夕方頃には帰りのバスに乗る。
「初めてのデートどうだった?」
「俺はいいんだけど、茉奈はどうだった?」
「きっと結と同じだよ」
「なら大丈夫だな」
そう言って笑顔を見せる結。
私の家まで送ってもらって、結は家に帰る。
私は散らかった部屋の掃除をして今夜の献立を考える。
夕飯を支度して、ママ達が帰ってきて夕飯を食べて風呂に入る。
「また行こうな」
部屋に戻るとスマホに結からのメッセージが入っていた。
(2)
「海翔、一つ聞いていい?」
「どうしたの?」
「海翔一人でそれ全部食べるの?」
優奈がそんな事を聞いていた。
僕達はショッピングモールのフードコートにいる。
結莉達は街に遊びに行ってるからと天音が水奈に声をかけて一緒に来ていた。
毎年やっている探偵アニメの最新作。
これを見てると不思議に思う事がある。
1日に数百人の単位で殺人事件が起きてる地元より物騒な街なんだそうだ。
アニメだからいい。
だから小説で多少殺人があっても問題ないと考えているらしい。
で、映画を見終わったあとグッズを販売してるコーナーでピンバッジを優奈が欲しがっていた。
水奈がそれを買っていた。
僕はどっちかというと変身グッズの方が好きなんだけど生憎とその映画をやる時期ではなかった。
で、お昼ご飯をフードコートで食べに来た。
色々あるからフードコートは好きだ。
で、色々食べたいのを買ってきたら優奈が驚いていた。
しかし僕からしてみたら優奈の方が不思議だ。
ハンバーガーとジュースだけ。
それじゃお腹空くんじゃないだろうか?
「まさに天音の息子だな……」
「まあな。結莉や茉莉も同じだしな」
一杯食べても胸は大きくならないぞ。
菫がそう言って茉莉を挑発していた。
「翼!お前私に対する当てつけか!」
なぜか天音も怒り出して翼に文句を言っていた。
だけど怒っているのは天音と茉莉だけ。
結莉は全然気にしてなかった。
どうしてなのか聞いてみた事がある。
すると不思議な事を言った。
「結莉は芳樹が好きでいてくれたらそれだけで十分なの」
きっとにいには結莉がどんな体型でも好きでいてくれる
結莉の事を大事にしてくれる。
どうしてにいに以外の男に魅せつける為に大きくなる必要があるの?
「芳樹は結莉の胸が好きなの?」
「どうかな?まだそんなに成長してないし」
中学年くらい、結莉があと一つ学年が上がる頃には変化があると天音が言っていた。
そこからは個人差という奴があるらしい。
遺伝でも何でもない、科学的根拠なんて一つもない。
茉莉は結莉には勝ちたいと思ってるらしいけど結莉はさっき言った通り芳樹が認めてくれたらしい。
「心配するな。片桐家の男子に限って絶対ない」
天音が断言していた。
むしろにいにが恋心という物に興味を示したのが奇跡なんだ。
そんな話を優奈にしたらにこりと笑って質問してきた。
「海翔はどうなの?」
興味ないの?と聞いてくる。
少し悩んでから言った。
「優奈が好きといってくれた時は嬉しかった」
だけど、正直まだよくわかっていない。
きっとにいにが感じている境地にはまだ達してないと思う。
でも、少しだけ分かった事がある。
優奈と一緒にいる事が嬉しい。
優奈と夜電話をしている事が楽しい。
それだけで一日が満たされていく気がするんだ。
……ひょっとしたらそれが恋というんだろうか?
「海翔にはまだ早いかもしれないな。まあ、結もそうだけど」
隣で聞いていた天音がそう言った。
恋というのは楽しい事ばかりじゃない。
辛いこともある。
会えない日が辛い。
些細な事で喧嘩して謝りたいけどタイミングが分からずにいる事もある。
そんな様々な事を乗り越えた時、恋と言う言葉は愛に変わる。
優奈のすべてを受け入れられる時が来る。
天音も大地がそうだったから結婚して僕達を産んだ。
「そういうわけだから優奈も胸の大きさは気にしなくていい」
僕がそんな事で好き嫌いを言うわけがないと天音が優奈に言っていた。
だけど優奈は余裕を見せていた。
どうしてだろう?
「水奈の話聞いたから」
「え?」
水奈が優奈に聞いていた。
水奈は神奈のサイズを上回っているらしい。
それがどうかしたのだろうか?
どうかした。
だから優奈達もそうなる可能性がある。
だから特に気にしていない。
大体優奈も僕も小学生。
まだまだ子供なのにそんな事気にしてもしょうがない。
それを喜んでお小遣いくれるなら見られても何とも思わない。
こんなしょうもないショーツを新しいのを買ってもおつりがくるくらいの値段で買ってくれるなら喜んで売る。
「ちょっと待て……今なんて言った?」
水奈は優奈の発言が気になったらしい。
優奈は悪びれもなく誠と瑛大が買ってくれると説明した。
水奈は無言でスマホを触っている。
優奈は僕に笑顔で言う。
「海翔が欲しいならタダであげるよ」
そんな物もらっても僕が使えるはずがない。
しかし興味ないと正直に言ったら優奈が傷つかないだろうか
困っていると優奈が笑っていた。
「海翔がそんなのに興味示す人じゃないことくらい知ってるよ」
もしそうだったらとっくにベッドの中で二人で過ごしているはずだ。
「あ、優奈。多分愛莉が五月蠅いからダメだ」
中学生になるまでは我慢させなさいと天音に言ったらしい。
何のことか分からないけど、にいにもまだ美希達から説明を受けていないらしい。
まあ、楽しいことだと優奈が言っていたから楽しみは取っておこう。
その後玩具を見て回った。
ボールをモンスターに投げつけてボールの中に閉じ込める残虐なゲーム。
あまり興味なかった。
それより家にあるでっかいモンスターを退治するゲームの方が好きだ。
最近は優奈と話をしているからあまりしてないけど。
でも天音の妹が茜が言っていたらしい。
「ゲームは飽きたらまた次のゲームを買えばいい。でも彼女に愛想つかされたらリセットしてやり直すなんてできないよ」
正直優奈と話をしている方が楽しかった。
小学校でも話をしている。
うーん。これを好きっていう気持ちなのかな?
買い物が終わるとそろそろ帰ろうかと天音が言った。
大地は家でくつろいでいるだろうけど結莉達がお腹を空かせて帰ってくる。
「大地も夕飯くらい作れるんだろ?」
「まあ、朝食作れて夕食作れないって事は無いな」
「どっかで食べて行かねーか?」
「いいけどお前愛菜と悠翔と……旦那どうするつもりだ?」
「旦那も茉奈も食事くらい自分で用意するよ」
「悪い事言わないからそれはやめとけ」
天音がそう言うと大人しく家に帰る。
結莉達も帰ってきてた。
結莉と茉莉が部屋に入ってくる。
「優奈とデートしてたんでしょ?」
どうだった?と聞いていた。
「楽しかったよ。結莉達はどうだったの?」
そう二人に聞いてみると結莉はスマホを見せてくれた。
芳樹と結莉がキスをしている写真だった。
「こいつらは周りの目を気にせず、ひたすらいちゃついてたよ。見てるこっちが呆れるくらいだ」
映画を見ている時も容赦なかったらしい。
冷かす気も起きないくらいラブラブだったそうだ。
「茉莉は自分がいちゃつけなかったからって僻むな」
「僻む気すら起きねーよ。逆にどうして芳樹と朔でここまで差がつくんだ?」
それは茉莉にも分からなかったらしい。
夕食の時天音に聞いていた。
「茉莉は少し辛抱しろ。多分晶さんがなんらかの処置をするだろ?」
何をするのかまでは言わなかった。
「結莉はどうだったんだい?」
大地が聞いていた。
結莉は嬉しそうに話をしている。
聞かなかったらよかったのに。
そのくらいショックを受けていた。
「……ちょっと酒を多めに買ってきた。夜の相手は私がしてやるよ」
私じゃ不満とか言ったら殺すぞ。
そう言って天音は笑っていた。
その晩天音と大地は遅くまで飲んだらしい。
何が起こるか分からないけど時は刻み続ける。
そして優奈の望みを叶える事が出来るのは僕だけだからと結莉が言っていた。
優奈はどんな夢を見ているのだろう?
僕はどんな夢を見るのだろう。
そんな事を考えながら眠りについた。
「茉奈、彼氏が迎えに来たぞ」
「もうちょっとだけ待ってもらって」
私の髪の毛は癖っ毛でなかなかうまくまとまってくれなくて苦戦していた。
もう小学校3年生。
デートくらいいいだろうとママにも認めてもらえた。
「いつも家事とか任せっきりにしてるからな、偶には羽を伸ばしてこい」
パパもそう言ってくれた。
私が準備をしている間結は優翔やパパ達と話をしている。
パパ達も今日同じ映画を観に行くらしい。
優翔やパパが結に余計なことを言わないうちにと慌てて準備する。
「お待たせ、結に変な事吹き込んでないよね!?」
変なことを吹き込んだのは妹の優奈や愛奈達だった。
「いつも結の事ばかり話してるんだよ~」
「優奈は余計なことを結に吹き込まないで!」
海翔にも同じこと言うよ!
「海翔は平気だよ」
「どうして?」
「海翔が結の事ばかり話してるから」
いまだにお兄さんから離れられないらしい。
そろそろ私に構って欲しいと優奈が愚痴をこぼしていた。
「そろそろ出ないとバスの時間何じゃないのか?」
ママが言うと私は腕時計を見る。
まずい。
「それじゃ、行ってきます!」
そう言って結と家を出る。
わざわざ街の映画館に行くのは近場のショッピングモールだと自転車で行く羽目になる。
それはまだ校則で禁止された範囲だったから。
親に送ってもらわなかったのは”デートなら二人で楽しんで来い”とママが言ったから。
バス停に着くと時刻表を見る。
まだ来ていないようだ。
結に聞いてみた。
「優翔たちと何を話していたの?」
すると結が逆に聞いてきた。
「茉奈が俺の事ばかり話すのは変なことなのか?」
え?
結も同じように両親に私の事を相談するらしい。
あの日キスをしていこう結はますます私に優しくなった。
私の事をいつも思っているらしい。
まだ春なのに妙に暑い。
「照れっていうんだって」
「照れ?」
照り焼きの事か?と真顔で聞いてくる結。
「あまりそういう話を他の人に聞かれたくないって事」
結が私の事を思ってくれるのは嬉しい。
でもそれを関係ない人に言われるのは少し恥ずかしい。
「ほら、茉莉だってあまり朔といちゃついてるとこ見たことないでしょ?」
それと一緒だよ。
「意外と難しいんだな」
「そうだよ」
そんな話をしているうちにバスが来た。
バスに乗ると2人で話をしながら目的地に向かう。
駅で降りると駅ビルの4階の映画館に向かった。
するとママ達と遭遇する。
チケットを買うと結と海翔はまっすぐフードコーナーに向かっていった。
朝ご飯抜いてきたのかな。
ポップコーンはともかくホットドッグまで買っていた。
「やっぱり空の子だとそうなるんだな」
「まあ、子供がダイエットなんて考えなくていいだろ」
ママと天音がそんな風に話していた。
映画はこの時期恒例の探偵アニメ。
いつになったら終わるのか策者にも分からないらしい。
この物語なんて比較にならないくらい死人があふれているアニメ。
冒頭で殺人事件が起こるテンプレ。
そして初動捜査をしている時点でなんとなく犯人とトリックを見破ってしまう。
でもこのアニメはそんなのを楽しむんじゃない。
本当に推理アニメかと思うくらいのアクションを楽しむもの。
結も理解していたみたいだ。
デート中に居眠りなんてことはしない。
肩に頭を乗せて居眠りくらい許してあげるのに。
映画が終わるとお昼を頼む。
4階はさすがに高いので3階のフードコートに向かう。
結には関係なかった。
あるだけ注文して食べつくしている。
どこに吸収されるんだろう?
「茉奈はあまり食べないけど大丈夫なのか?」
「どうして?」
「いっぱい食べないと胸が大きくならないって天音が言ってた……」
ぽかっ
「そういうのは彼女にかける言葉じゃないよ」
「でも気にしてるんだよ」
「気にしてるから言ったらだめなの」
「……難しいんだな」
「それに胸よりお腹が膨らんじゃうよ」
「天音はそんな事ないぞ?」
それは片桐家特有のチートだってママが言ってた。
食事を済ませると本屋さんに行ったりゲーセンで遊んだりして夕方頃には帰りのバスに乗る。
「初めてのデートどうだった?」
「俺はいいんだけど、茉奈はどうだった?」
「きっと結と同じだよ」
「なら大丈夫だな」
そう言って笑顔を見せる結。
私の家まで送ってもらって、結は家に帰る。
私は散らかった部屋の掃除をして今夜の献立を考える。
夕飯を支度して、ママ達が帰ってきて夕飯を食べて風呂に入る。
「また行こうな」
部屋に戻るとスマホに結からのメッセージが入っていた。
(2)
「海翔、一つ聞いていい?」
「どうしたの?」
「海翔一人でそれ全部食べるの?」
優奈がそんな事を聞いていた。
僕達はショッピングモールのフードコートにいる。
結莉達は街に遊びに行ってるからと天音が水奈に声をかけて一緒に来ていた。
毎年やっている探偵アニメの最新作。
これを見てると不思議に思う事がある。
1日に数百人の単位で殺人事件が起きてる地元より物騒な街なんだそうだ。
アニメだからいい。
だから小説で多少殺人があっても問題ないと考えているらしい。
で、映画を見終わったあとグッズを販売してるコーナーでピンバッジを優奈が欲しがっていた。
水奈がそれを買っていた。
僕はどっちかというと変身グッズの方が好きなんだけど生憎とその映画をやる時期ではなかった。
で、お昼ご飯をフードコートで食べに来た。
色々あるからフードコートは好きだ。
で、色々食べたいのを買ってきたら優奈が驚いていた。
しかし僕からしてみたら優奈の方が不思議だ。
ハンバーガーとジュースだけ。
それじゃお腹空くんじゃないだろうか?
「まさに天音の息子だな……」
「まあな。結莉や茉莉も同じだしな」
一杯食べても胸は大きくならないぞ。
菫がそう言って茉莉を挑発していた。
「翼!お前私に対する当てつけか!」
なぜか天音も怒り出して翼に文句を言っていた。
だけど怒っているのは天音と茉莉だけ。
結莉は全然気にしてなかった。
どうしてなのか聞いてみた事がある。
すると不思議な事を言った。
「結莉は芳樹が好きでいてくれたらそれだけで十分なの」
きっとにいには結莉がどんな体型でも好きでいてくれる
結莉の事を大事にしてくれる。
どうしてにいに以外の男に魅せつける為に大きくなる必要があるの?
「芳樹は結莉の胸が好きなの?」
「どうかな?まだそんなに成長してないし」
中学年くらい、結莉があと一つ学年が上がる頃には変化があると天音が言っていた。
そこからは個人差という奴があるらしい。
遺伝でも何でもない、科学的根拠なんて一つもない。
茉莉は結莉には勝ちたいと思ってるらしいけど結莉はさっき言った通り芳樹が認めてくれたらしい。
「心配するな。片桐家の男子に限って絶対ない」
天音が断言していた。
むしろにいにが恋心という物に興味を示したのが奇跡なんだ。
そんな話を優奈にしたらにこりと笑って質問してきた。
「海翔はどうなの?」
興味ないの?と聞いてくる。
少し悩んでから言った。
「優奈が好きといってくれた時は嬉しかった」
だけど、正直まだよくわかっていない。
きっとにいにが感じている境地にはまだ達してないと思う。
でも、少しだけ分かった事がある。
優奈と一緒にいる事が嬉しい。
優奈と夜電話をしている事が楽しい。
それだけで一日が満たされていく気がするんだ。
……ひょっとしたらそれが恋というんだろうか?
「海翔にはまだ早いかもしれないな。まあ、結もそうだけど」
隣で聞いていた天音がそう言った。
恋というのは楽しい事ばかりじゃない。
辛いこともある。
会えない日が辛い。
些細な事で喧嘩して謝りたいけどタイミングが分からずにいる事もある。
そんな様々な事を乗り越えた時、恋と言う言葉は愛に変わる。
優奈のすべてを受け入れられる時が来る。
天音も大地がそうだったから結婚して僕達を産んだ。
「そういうわけだから優奈も胸の大きさは気にしなくていい」
僕がそんな事で好き嫌いを言うわけがないと天音が優奈に言っていた。
だけど優奈は余裕を見せていた。
どうしてだろう?
「水奈の話聞いたから」
「え?」
水奈が優奈に聞いていた。
水奈は神奈のサイズを上回っているらしい。
それがどうかしたのだろうか?
どうかした。
だから優奈達もそうなる可能性がある。
だから特に気にしていない。
大体優奈も僕も小学生。
まだまだ子供なのにそんな事気にしてもしょうがない。
それを喜んでお小遣いくれるなら見られても何とも思わない。
こんなしょうもないショーツを新しいのを買ってもおつりがくるくらいの値段で買ってくれるなら喜んで売る。
「ちょっと待て……今なんて言った?」
水奈は優奈の発言が気になったらしい。
優奈は悪びれもなく誠と瑛大が買ってくれると説明した。
水奈は無言でスマホを触っている。
優奈は僕に笑顔で言う。
「海翔が欲しいならタダであげるよ」
そんな物もらっても僕が使えるはずがない。
しかし興味ないと正直に言ったら優奈が傷つかないだろうか
困っていると優奈が笑っていた。
「海翔がそんなのに興味示す人じゃないことくらい知ってるよ」
もしそうだったらとっくにベッドの中で二人で過ごしているはずだ。
「あ、優奈。多分愛莉が五月蠅いからダメだ」
中学生になるまでは我慢させなさいと天音に言ったらしい。
何のことか分からないけど、にいにもまだ美希達から説明を受けていないらしい。
まあ、楽しいことだと優奈が言っていたから楽しみは取っておこう。
その後玩具を見て回った。
ボールをモンスターに投げつけてボールの中に閉じ込める残虐なゲーム。
あまり興味なかった。
それより家にあるでっかいモンスターを退治するゲームの方が好きだ。
最近は優奈と話をしているからあまりしてないけど。
でも天音の妹が茜が言っていたらしい。
「ゲームは飽きたらまた次のゲームを買えばいい。でも彼女に愛想つかされたらリセットしてやり直すなんてできないよ」
正直優奈と話をしている方が楽しかった。
小学校でも話をしている。
うーん。これを好きっていう気持ちなのかな?
買い物が終わるとそろそろ帰ろうかと天音が言った。
大地は家でくつろいでいるだろうけど結莉達がお腹を空かせて帰ってくる。
「大地も夕飯くらい作れるんだろ?」
「まあ、朝食作れて夕食作れないって事は無いな」
「どっかで食べて行かねーか?」
「いいけどお前愛菜と悠翔と……旦那どうするつもりだ?」
「旦那も茉奈も食事くらい自分で用意するよ」
「悪い事言わないからそれはやめとけ」
天音がそう言うと大人しく家に帰る。
結莉達も帰ってきてた。
結莉と茉莉が部屋に入ってくる。
「優奈とデートしてたんでしょ?」
どうだった?と聞いていた。
「楽しかったよ。結莉達はどうだったの?」
そう二人に聞いてみると結莉はスマホを見せてくれた。
芳樹と結莉がキスをしている写真だった。
「こいつらは周りの目を気にせず、ひたすらいちゃついてたよ。見てるこっちが呆れるくらいだ」
映画を見ている時も容赦なかったらしい。
冷かす気も起きないくらいラブラブだったそうだ。
「茉莉は自分がいちゃつけなかったからって僻むな」
「僻む気すら起きねーよ。逆にどうして芳樹と朔でここまで差がつくんだ?」
それは茉莉にも分からなかったらしい。
夕食の時天音に聞いていた。
「茉莉は少し辛抱しろ。多分晶さんがなんらかの処置をするだろ?」
何をするのかまでは言わなかった。
「結莉はどうだったんだい?」
大地が聞いていた。
結莉は嬉しそうに話をしている。
聞かなかったらよかったのに。
そのくらいショックを受けていた。
「……ちょっと酒を多めに買ってきた。夜の相手は私がしてやるよ」
私じゃ不満とか言ったら殺すぞ。
そう言って天音は笑っていた。
その晩天音と大地は遅くまで飲んだらしい。
何が起こるか分からないけど時は刻み続ける。
そして優奈の望みを叶える事が出来るのは僕だけだからと結莉が言っていた。
優奈はどんな夢を見ているのだろう?
僕はどんな夢を見るのだろう。
そんな事を考えながら眠りについた。
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でも、雛乃には……?
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