姉妹チート

和希

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Graceful World

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(1)

「光聖どうしたの?」

 隣に座った岡沢希美が聞いてきた。

「ほ、ほら。折角の旅行にこんないい天気だからテンション上がっちゃってさ」
「今からそんなんだと長崎に着いた時に疲れたとかなっちゃうよ」
「確かにそうかもしれないな」

 そんな事ありえない。
 そして今最高潮の俺のテンションを下げる要素なんてあるわけない。
 上げる要素が俺の隣に座ってそして笑っているんだ。
 そう、俺は岡沢希美の事が好きだった。
 初恋って奴だ。
 父さんは「そういうのは失敗したら気まずくなるから卒業式にしとけ?」といったけど母さんは否定した。

「光太だって修学旅行楽しみたいからって結局卒業式まで待たなかったじゃない」
「あ、そういえばそうだったな。じゃ、頑張れ」
「光太は子供の恋愛を何だと思ってるの?」

 酒飲んで酔っ払って受ける相談じゃないんじゃないのかと母さんが言ってた。
 
「でも、やっぱり告るんだったら勢いって必要じゃね?」
「あのね。その場のノリで告白されたりプロポーズ受けても困るんだけど」

 母さんは父さんからそういうやり方をされたらしい。
 
「で、光聖は誰を好きになったの?」

 話を聞いていた玲衣が食いついてきた。
 最初からそれが目的だった。

「玲衣!兄の俺に協力してくれ!」
「ってことは私の知ってる人?」

 玲衣が聞くと俺は頷いた。

「で、誰なの?」
「岡沢希美」
「ああ、克樹の娘か」

 父さんの同僚の娘さんらしい。

「んじゃ俺が今から克樹に頼んでやるよ」
「馬鹿な真似しないで。どこの世界の父親が息子の告白を手伝うの!」

 父さんが言うと母さんがそう注意した。
 そして母さんは俺に言った。

「あのね。その場の勢いでも何でもちゃんと想いを伝えた方が彼女もきっと喜ぶわよ」

 なんだかんだ言って母さんも嬉しかったらしい。
 それは分かっている。
 俺が頼みたいのは……。

「1日目の夜にさ、呼び出してほしいんだ」
「そのくらい自分でやりなよ」
「それで無理って言われたら俺が立ち直れないだろ?」
「その理屈だと私が『ダメだった』って伝えても同じじゃないの?」

 確かにそうだけど、俺が希美に「来てくれ」なんて言ったらバレバレじゃないか?
 そう言うと玲衣は呆れていた。

「あんた父さん並みの馬鹿じゃないの?それも私が言ったら察してしまうに決まってるでしょ」

 玲衣の言う通りだった。
 これは打つ手なしなんだろうか?
 考えていると父さんが手助けしてくれた。
 父さんが玲衣に言う。

「光聖の頼み聞いてやってくれないか?」
「でもさっき言った通りその時点で察したら終わりなんじゃないの?」
「確かにそうかもしれない。その時点で希美の答えは決まってるかもしれない。だけどな」

 どういうやり方を取ろうと俺が希美に告白すると決めた時から始まってるんだ。
 もう賽は投げられてる。
 それでどんな結末を迎えるか分からないけど俺は勝負に出た。
 だから最後だけは俺が希美にちゃんと一言言え。
 そこまでの橋渡しを玲衣がしてやればいい。
 
「光太の言う通りかもね。どんな経緯であれ最後は光聖の口から伝えるのならいいんじゃない?」

 母さんもそう言ってくれた。

「空の家ほどじゃないけどね。光太もいざってときは頼りになる人だった」

 あんたもきっと同じはず。
 だから頑張れ。
 母さんがそう言って応援してくれた。
 そして玲衣と打ち合わせして隣の席には玲衣じゃなくて希美が座っている。

「希美、席変わってくれない?」
「なんで?」
「希美さ、好きな人とかいるの?」
「……私と香奈は母さんと一緒なんだよね」

 そう言うのにどうしても鈍いそうだ。

「男子の顔見てた?」
「どういう事?」
「男子ってバカだよね。いつだって女子は嬉しいのにさ」

 こういうイベントにしようと力んでます。
 お前そこまで言ったらバレバレじゃねーか!

「どうせ気づくからいいじゃない」

 あんたも逃げ道塞がないとビビって逃げるかもしれないから。

「ふーん。分かった」
「サンキュー」

 そう言って隣の席にいる。
 で、いつ言うのかって?
 バスの中で告るやつなんているわけねーだろ。
 普通に会話してたよ。
 希美も楽しそうにしてた。
 ちょっとは脈あるのかな?
 でも恋人よりも友達でいたいって曲を女性歌手が歌っていたと言ってたな。
 若干不安があるけどまあいいや。
 バスの中、長崎についての昼食。
 そこまでは普通だった。
 ……なんでこんな場所を旅行に選んだんだ?
 そこは原爆資料館だった。
 大昔の戦争なんて俺達の知った事じゃねーぞ?
 100年近くたった今でもまだ根に持ってるって根暗ってレベルじゃねーぞ。
 そういやなんかの小説で書いてたな。
 加害者は忘れても被害者は絶対に忘れない。
 お前が同じ目にあって同じこと言えるのか?
 しかしそれもどうなんだと思った。
 だって今その被害者が生きてるわけがない。
 下手すりゃ孫の代だぞ。
 それにその国も他の国でもっとひどい事してるくせになかったことにしようとしてるじゃねーか。
 最近になってヨーロッパの各国が責任取れよって言ってるらしい。
 文字通り兵隊の慰み者になって出来た子供は被害者が育てている。
 それこそ賠償金を払うべきなんじゃないのか?
 日本は何回金を払えばいいんだ。
 拉致被害者がいても、当時は野党が「そんな事実はない」と反対したらしいぞ。
 この国色々おかしいんじゃないのか?
 そういやSHも勝手に恨みを買って復讐の的にされてるらしいな。
 それに対して父さんの友達。SHのリーダーの片桐空は平然と言ったらしい。

「お前らが僕達に対してどう思おうが好きにしろ。ただし手を出してくるなら容赦しない」

 逆らうやつはすべて排除する。
 SHの強さは半端じゃない。
 黒いリストバンドをしていただけでそいつはSHの標的になる。
 最近は長そでのシャツを着たりして隠しているらしい。
 それでも余計な真似をして目についてしまうのがこの手の馬鹿の特徴だ。
 とりあえず話を戻すけどこんなもの見たから「戦争がいけない事」なんて誰も思わないって事。
 願っているだけじゃだめだ。
 自分から勝ち取りに行け。
 他人に横取りされた奴をSHの中では「間抜け」って言うんだ。
 動物だって生存競争をしているんだ。
 腕っぷしの強さだけじゃない。
 意思を示せ。
 あらゆる手段で自分の存在意義を示せ。
 それは父さんからも言われていた。
 で、こんなもん見てたらさすが告白しよう雰囲気になれるはずがない。
 恨むぞ千歳。
 そんなどうでもいい場所出ると長崎の観光スポットに行く。
 周りは大人のカップルがいっぱいだった。
 そんなカップルを見て希美が言った。

「すごいね。カップルばかり」
「そうだな」

 ここで「俺達もそうならないか?」と言おうと思った。
 でもいう必要が無かった。
 希美は俺の腕に組みついた。

「ど、どうしたんだ?」
「私さ、恋とかそういうのがよくわからないんだよね」

 だからちょっとそんな雰囲気になってみたい。

「私じゃ迷惑かな?」
「そ、そんなわけねーよ!」
「そっか、それならよかった」

 その時希美がくすっと笑っていたような気がした。
 まさか、もうバレてる?
 若干不安だった。

(2)

「あのさ、旅行の時私と席変わってくれない?」

 玲衣から言われた時ドキッとした。
 玲衣の隣は光聖だった。
 つまりそういう事?

「それって……」
「まあ、そこは私から言えない」

 だって最後のシュートを決めるのは男だと言ってたから。
 それって肯定しているようなもんじゃないのか?

「分かった。いいよ」
「よかったね。小学生最後の思い出だよ」

 絶対自分でばらしてるって気づいてない気がする。
 私が断るって事は考えてないのだろうか?
 特攻して散って行く兄をみたいのだろうか?
 
「でもどうして玲衣が協力する気になったの?」
「それ私に言わせるの?」

 玲衣はそう言ってにやりと笑う。
 ……なるほど。
 玲衣は私の気持ちも知っていたという事か。

「ちょっと玲衣。私や朝子にも紹介してよ!」

 香奈が言っていた。
 
「香奈は佐為いるじゃん」

 あまりものをくっつける感じで言う玲衣。
 
「まあ、そのうちいい男出てくるよ」

 本当に投げやりな物語だ。
 で、バスの中では普通に話をしてた。
 彼のテンションはかなり高かったらしい。
 何の変哲もない山や田畑を見ても楽しそうだった。
 スマホで写真を撮ろうとすると「そんな事してもすぐトンネルだよ」と教えてあげた。
 長崎に着くと見慣れない路面電車などを見てますます興奮していた。
 昼食まではそうだった。
 しかしさすがに原爆資料館ではそのテンションを維持できなかった。
 こんなもの見て喜ぶ小学生のほうがまともじゃない。
 さすがに光聖でもこんな場所で告白なんてまさに特別攻撃隊みたいなことはしなかった。
 気まずそうにしている光聖と長崎の観光スポットを歩く。
 玲衣の気回しだった。
 午前中の盛り上がりが嘘のように消えている光聖を励ましてあげたかった。
 
「女子も勇気を出す時が来る」

 玲衣が言っていた。
 ただ黙って横取りされるなんて真似はしてはいけない。
 欲しい物が無いなんて無欲という名の馬鹿になってはいけない。
 だから勇気を出して光聖の腕に組みついた。
 光聖は驚いていた。
 でも喜んでくれた。
 私も少し嬉しかった。
 自由行動が終わるとホテルに向かい夕食を食べて玲衣や香奈達とお風呂に入った。
 男子が壁をよじ登って女湯を覗いている。

「父さんも同じ事やったらしいよ」

 玲衣がそう言っていた。

「あ、それでさ。お風呂から出たら光聖が待っているから」

 男子の方が女子より風呂が早い。
 髪を乾かす時間とかだろう。

「……やっぱり今夜だったんだね?」
「そういう事」
「香奈は佐為でも拾ってやってくれない?あいつほっとくとサッカーしか頭に無いから」

 朝子がそう言っている。

「……それはいいんだけど、佐為君の気持ちはどうなの?」
「私が聞いてもいいけどやっぱり玲衣と同じなんじゃない?」

 大事なのは自分の気持ち。
 どんなにいい加減な恋愛小説でも主人公が動かなければ話は進まない。
 今回のヒロインは私だったというだけの話。
 
「ってことは香奈は……」
「……他に男子知らないしそうなるでしょ?」
「って事は私だけやっぱり一人なんだね……」

 朝子がそう言って笑っていた。
 お風呂から出ると朝子と香奈は部屋に戻る。
 私は今玲衣と一緒に光聖と会っていた。

「んじゃ、私の役目はここまでだから」

 後は頑張りな。
 いきなり男子の部屋で一緒に寝るなんて真似は止めた方が良い。
 そう言って玲衣は部屋に戻っていく。

「……で、話って?」

 私は光聖に聞いてみた。
 日中の光聖が嘘のように固まっている。
 力みすぎだよ。
 そんなに緊張しなくていいから。
 少しリラックスさせた方がいいのか?
 それとも私から言う?
 それは絶対だめって玲衣が言ってた。
 それとなく誘導すればいいのだろうか?
 結構面倒だな~。

「昼間は楽しかったね」
「そうだな」
「あんな日がまた地元でも出来たら嬉しいな」

 結構大胆に攻めてみた。
 気づいてくれたらしい。

「……地元でも同じような事を俺としてくれないか?」

 光聖の口からついに出た。
 でもこれじゃまだ駄目だと思ったから少し焦らしてみた。

「その前に言うべき事あるんじゃない?」

 最後まで私に言わせないで。
 光聖はちゃんと言ってくれた。

「俺……希美の事が好きだ」
「ありがとう。すごく嬉しい。だって……」

 それを聞いた光聖は驚いてた。
 そんな光聖を見て笑っていた。
 なんて言ったかって?
 そんなの簡単だよ。

「私も光聖の事が好きでした」

(3)

 圭や光聖は彼女と一緒にテーマパークを楽しんでいる。
 光聖は昨夜告白して成功したらしい。
 俺も便乗しておけばよかったのだろうか?
 今はそう思える。
 次のチャンスは卒業式か?
 あとくされ無いだろうし。
 でも中学もこのメンバーで同じクラスなんだろ。
 やっぱり気まずいものなんだろうか?

「何か悩んでる?珍しいね」
 
 妹の朝子がそう言っていた。
 朝子はどうなんだろうか?

「あ、やっぱりその事か。あんたはまだ脈あるからいいじゃん」

 まあ、面子的にそうなるよな。
 ってあれ?

「朝子、今なんて言った?」
「だから脈あるからいいじゃん」
「誰とだよ!?」
「私じゃない事はくらいは分かってるでしょ?」

 それとも俺に近親相姦なんて趣味あったの?
 それはないけど……。

「あのさ、たかだか小学生の恋愛に駆け引きなんて必要ない」

 三角関係とかあるかもしれないけどそんな面倒な事、今更企むような策者じゃない。

「ああ、もうイライラする!香奈!ちょっと来なよ!」
「……どうしたの?」

 香奈がやって来た。
 朝子が香奈に説明をしている。
 香奈はそれを聞いて俺の顔を見ていた。

「……私から言った方が良い?」

 それは男子としてどうなんだ?
 無理やり送られてきた朝子からのパス。

「急にボールが来たので」

 そんな言い訳が通用する世界じゃない。

「あまり物だから手を付けたみたいな感じに思われるかもしれないけど」
「……言われてみると確かにそうだね」

 やっぱりダメか。
 だけど香奈は続ける。

「仮にそうだったとして、それはいけない事なの?」

 残ってるのが私だから私にした。
 本当にそうなの?
 クラスにはまだほかに良い女子がいるかもしれない。
 中学になったら現れるかもしれない。
 でも今私を選んだのならそれでいいじゃない。
 余り物には福があるって言うよ。
 ないかもしれないけど私はそれが嬉しい。
 ってことは……。

「光聖も勇気を出したんだから佐為も頑張って」

 そう言って俺の言葉を待っていた。

「あの、俺みたいなサッカー馬鹿でよかったら……」
「ちゃんと要点だけ伝えて」
「付き合ってください」
「はい、ありがとう。これからもよろしくね」

 そう言って少し照れくさそうに香奈は笑顔だった。

「佐為!わかってるでしょうね!あんたも私に釣り合ういい男子捕まえてきてよ!ただしサッカー馬鹿は要らない!」

 お前だってバスケ馬鹿だろうが。

(4)

「そうか!上手くいってよかったな」

 父さんはビールを飲みながら上機嫌だった。

「ていうか玲衣。お前希美の事知ってただろ!?」
「知ってたけど?」
「なんで教えてくれなかったんだ?」
「聞いてこなかったじゃない」

 ただ「協力してくれ」ってだけの話だった。
 それにどっちに転ぶか分からない賭けが恋愛の要素なんじゃないのか?
 少なくとも告白するまでは「好きな人が自分の事をどう思ってるんだろう?」と悩む楽しみは満喫したでしょ?

「ま、それはあるかもしれないわね」

 母さんがそう言った。
 母さんもやっぱり父さんから告白された時は驚いたらしい。
 どっちかというと美希さんの胸ばかり見ていたそうだ。
 小学生でそういう趣味を持つのは人生終わってないか?とすら思ったらしい。
 かと思ったらその当時スカート捲りが流行ったらしい。
 その時に母さんも被害にあった。
 すると父さんがその相手を半殺しにしたらしい。

「当たり前だろ。好きな女子を泣かせる奴なんか天音だったらベランダから放り投げるぞ」
「そのあと千歳が大変だったの忘れたの?」

 父さん達にも恋の思い出ってあるんだな。
 なんやかんや文句を言いながらも父さんについてきてくれたらしい。
 俺もそうなれるといいな。

「それは心配しないでいいよ。よほど策者が暇にならない限りそんな話考えないから」

 それはあるかもしれないな。

「さて、と。じゃあ、克樹に連絡しとかないとな」
 
 そう言って父さんが仕事の同僚にスマホでメッセージを送る。

「翼達から聞いてる。子供が恋人出来たからって飲みに行くしょうもない習性を父親は持ってるから気をつけろって」
「克樹は二人の娘を横取りされたんだぞ?愚痴くらい聞いてやってもいいだろ?」
「そう言う話なら私や道香が一緒でも構わないわよね?」
「ま、まあそうだな」

 父さんに反論は許されなかった。
 部屋に戻ると初めて彼女にメッセージを送る。
 俺達の心は今勇者になった。
 この広い空の下で迷いながら共に生きようと誓った。
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