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(1)
「克樹も大変だな」
「希美は道香と違って明るい子だからな。光聖にはちょうどいいんじゃないか?」
その夜光太と克樹がそんな話をしていた。
克樹は二人の娘に恋人が出来たそうだ。
そのうちの希美が光太の息子の光聖と付き合うことになった
「他人の娘に手を出しやがって!」
そのくらい克樹に言われると思ったらしい。
だけど実際克樹たちと飲みにいったら違う事を言われたらしい。
「希美はいい子に育ってくれたんだ。あいつの恋人が光太の息子なら文句言わねーよ」
そう言ってなぜか泣いていたらしい。
どうしてだろう?
「空は気にしなくていい」
翼がそう言うから考えない事にした。
「で、香奈の相手ってどうなの?」
克樹の妻の道香が聞いたらみなみが答えた。
「あの子はサッカーの事しか考えてないから、ちゃんと相手してやるように注意はするつもり」
でもそういうのって親にあれこれ言われて仕方なくやるものじゃない。
二人で試行錯誤していくものだからと桜子に言われたらしい。
それが恋愛の楽しみ方だ。
喧嘩することだってある。
それでもこの人がいいと思える人が恋人になるんだ。
「空からは何かないのか?」
光太が僕に聞いてきた。
うーん。あ、そうだ。
「一つだけある」
「なんだよそれ?」
「父さんに言われたんだ」
まだ孫は要らないよ。
「確かに中学生でお腹膨れたらさすがに俺も怒るぞ」
「光聖に限ってそんな馬鹿な真似しないから」
克樹が言うと麗華が答えていた。
「それなんだけど、大地の所は大丈夫かい?」
善明が大地に聞いていた。
何の事かはなんとなくわかる。
連休のデートの話は結から聞いていたから。
菫と茉莉は父親の部屋から盗み出したらしい。
小学校3年で無茶だと思ったけど天音も同じような事大地にしてたからなぁ。
「いくら何でも無理なんじゃないかって思って……」
止めなきゃまずい。
だけど菫が子供だからと言ったら逆にムキになる。
そう考えた翼は違うやり方で菫を説得した。
それを茉莉にも教えたらしい。
で、それを聞いた茉莉が夕食の時に大地に聞いたらしい。
「大地のはいつごろから使い物になるようになったんだ?」
大地はむせたらしい。
天音は笑いながら説明したらしい。
「そうだな。まあ早い奴は6年生になるころにはそうなってるだろうけど、まだ早いだろうな」
遅い奴でも中学生くらいなら大丈夫だろ。
ただしその時に違う事を気にしなければならないと天音が言った。
「なんだそれ?」
「あのな……」
男子は常にそんな状態じゃない。
女子の裸とかをみてそういう風になる。
だからいざ寝た時にそうならなかったらそれは使い物にならないしょうもない物だから切り取ってやれ。
「天音!あんたそんな事茉莉に吹き込んだの!?」
「朔のやつ本当に霞でも食ってるんじゃないかってくらい消極的らしいからな」
「だからって小学生に教える事じゃないでしょ」
母さんが聞いたら大変だよ。
翼がそう言っていた。
その子供達はテントの中で寝ている。
昼間は海で遊んでいた。
さすがに結莉達もこういう場所でスク水は恥ずかしい年頃になったらしい。
それぞれ水着を買ってきて彼氏に褒めてもらっていた。
結は少し反応が変わっていた。
茉奈を褒めてはいたけど正視できないと悩んでいたらしい。
彼女のそういう姿が見てて恥ずかしいんだろう。
「結はこういうの嫌い?」
「よくわからないけど……そうだなぁ」
眩しいんだ。
茉奈は「そっか~」と笑って冬夜と遊んでいた。
茉奈はともかく結莉達はますます過激になっていた。
1学期が終わる頃みんなと一緒に帰っていたら変質者に遭遇したらしい。
この暑い中ロングコートを着ていて、それを捲ると裸だった。
大人のそれを見るのは父親以外では初めてだろう。
心音や茉奈が怯えているのを結や秋久が見えないように前に立っていつでもそのふざけた男を始末するつもりでいたそうだ。
しかし突然茉莉や菫達が笑いだした。
結達は不思議に思ったそうだ。
戸惑う変質者に容赦なく茉莉達は言ったそうだ。
「おまえの本気はその程度か?」
「どう考えても大地の方がましだぞ!」
「お前絶対それ使ったことないだろ?」
「菫、こんな物が使い物になるわけねーだろ!」
「うーん、じいじの方が凄かったなぁ」
そんな不評を聞いた男は立ち去ったらしい。
ご愁傷様。
「まあ、相手が悪かったよね……」
善明が言っていた。
「でもさ、気になったことがあるんだけど?」
なずなが言っていた。
「どうしたなずな?」
「……なんで優奈達が誠さんのを知ってるわけ?」
まさかもう一緒にお風呂に入る歳じゃないでしょ?
「……そう言えばそうだな」
水奈は今頃気づいたらしい。
水奈も天音と一緒になって出会い系サイトでそういう画像送られて爆笑してたらしいからな。
水奈が父さん達の群れに行って事情を聞いてくる。
「お前は優奈に何を見せたんだ!?」
神奈さんの怒声が聞こえて来た。
「それは俺だけじゃない!瑛大と一緒に”どっちが好き?”って……」
「ば、馬鹿誠!亜依も聞いてるんだぞ!」
「馬鹿はお前だ瑛大。ただでさえ優奈達は不安があるのに余計な心配増やす真似しやがって!」
まあ、そうなるんだろうな。
なずなの話だと琴音はそうじゃなかったそうだ。
「パパのが好き」
何の迷いもなく答えたらしい。
「……遊。どういう事?」
「ま、待て!俺は別に見せたわけじゃないぞ!」
遊は弁解していた。
一緒にお風呂に入っていた時にいつも見ていたらしい。
ただそれだけ。
他の男のなんて知らない。
瑛大さんが見せようとしたけど、そういうのは好きな人のだけ知ってればいいってママが言ってたと断ったらしい。
「ってことは好きな人いるのか?」
「……うん」
恥ずかしそうに琴音は言ったらしい。
粋の息子の快と付き合っているそうだ。
遊は粋と飲みに行ったらしい。
「そういや茉里奈はどうなんだ?お前フランス人の相手してたから不満なんじゃないか?」
天音が茉里奈に聞くと茉里奈は首を振った。
「確かにサイズはいいんだけど桐翔と寝た時に違和感を覚えたんだ」
確かにサイズはルイスの方が圧倒的だった。
だけどいざするとルイスより桐翔の方がよかったらしい。
どうしてかというと硬いから。
そんな話を女性陣が始めると次々とそう言う話で盛り上がる。
男性陣は笑って聞いていた。
「どうしたの?」
何も言わない僕達に翼が聞いていた。
「いや、そういうのって女性だけでやるものじゃないのかい?」
善明が答えたら美希が笑った。
「そうだよ。だから今夜は私達が盛り上がってるの」
いつも人が気にしている胸の話ばかりしているからたまにはいいでしょ?と美希が言う。
それただ聞いているだけの苦行。
女性も話のタネが無くなると火を消して寝ようとする。
僕も翼とテントに入って寝る。
菫達はもう別のテントの方がいいだろうと新しいのを買っておいた。
今一緒に寝ているのは結と比呂とカミルだけ。
茉奈も結を意識してしまってか一緒に寝たいとは言わなくなった。
結も同様だった。
さすがに父さん達も分けた方が良いと言ったらしい。
結を心配しているわけじゃない。
茉奈も異性を意識するようになったのだからしょうがない。
だから別々で寝なさいと父さんが説明していた。
「でさ、一つ気になったんだけど」
「どうしました?」
「美希も僕に不満あるの?」
さっきの話の中には混ざってなかったけど。
「ありますよ」
「やっぱり下手くそかな」
「それが不満なんです」
上手な人と寝たいならAV男優と寝たらいいだけだ。
そうじゃない。
もっと気持ちを籠めてほしい。
美希は僕にそう伝えてるけど気づいてくれないから不満。
なるほどね。
「じゃあ、明日帰ったら……」
……あれ?
「どうしたの?」
翼が聞いてきた。
「いや、大地や善明なんだけど」
なんでそんな物を茉莉や菫が見つけたんだ?
そう言うと翼は笑った。
「旦那様はさっきの話殆ど聞いてなかったんですね」
大地や善明は買うのを忘れる事が多い。
だから翼や天音が買って目に見える所に置いてるらしい。
そういう事か。
「旦那様はああ言う話嫌いですか?」
「まあ、自分が不安になるからね」
美希を満足させてやれているのか?
「不満だったらしないから大丈夫」
「それもそっか」
「んじゃ、早く寝よ?」
「なんで?」
すると美希はにこりと笑った。
「そんなに気になるなら私がアドバイスしてあげます」
明日は簡単に寝かせないからね。
だから今夜はゆっくり休んで。
美希の言う通りゆっくり眠る事にした。
(2)
「いや、昨夜は参ったな瑛大」
「誠はまだいいぜ。俺なんてテントに入ってからも亜依の機嫌が悪くてさ……」
朝、いつもの様に石原君と酒井君とコーヒーを飲んでいると誠達が起きて来た
「朝は父親の相談なんだろ?混ぜろよ」
そう言って二人が来た。
もう嫌な予感しかしないんだけど……
「誠は少しは反省しろ。いつも問題を起こすのはお前らだろ?」
渡辺君が注意したところで懲りるような奴じゃない。
「孫の裸見たくらいで罰あたらないだろ?」
「ああ、そのくらいなら大目に見てやるがそれをネットに乗せるのはどういう理由なんだ?」
今日は朝から最悪の様だ。
誠たちが振り返るとカンナ達がいた。
「だいたいいつ撮ったんだ!?水奈がいるんじゃないのか?」
カンナの言う通りだった。
一体どうやって撮ったんだ?
「あ!」
愛莉が何か心当たりがあるみたいだ。
「どうしたんだ愛莉?」
カンナが聞くと愛莉が答えた。
翼と二人で今日は夕食どうしようかとスーパーに行った時一人で買い物をしている水奈を見つけたらしい。
水奈に声をかけて子供たちはどうした?と聞いた。
もう小学生だから留守を任せて一人で夕食の準備に来たらしい。
しなくても悠翔がいるからいいけど、学にバレたら大変だからしょうがなく来たそうだ。
で、水奈の家は今晩どうするの?美希達とそんな話をしていたけど愛莉は何か忘れてるような気がしてならなかったらしい。
「まさかお前……」
「た、たまたま行ったら水奈がいなかっただけだ!」
「学も帰ってきていなかったんだ」
二人は本当に学習しないな。
その時間を狙ったかどうかまでは知らないけど水奈のいない時間に撮ったと自白していた。
「この馬鹿!やっと娘がまじめに主婦をやろうとしてる時に何やってんだ!」
「大体お前らは一人で学の家に行くなって言っただろうが!」
カンナと亜依さんが二人を怒鳴りつける。
「しょうがないだろ!琴音はなずながいるから隙がないんだ」
「お前は琴音にも同じ事するつもりだったのか!?」
「琴音は恥ずかしがる年頃だって知ってるよ。でも朱鳥がいるだろ?」
どうしてそう余計な事を言うかな……。
「同じだこの馬鹿!」
「トーヤ!お前からも何か言ってやってくれ」
多分この中で娘が多いのは僕か酒井君くらいだ。
酒井君が誠と同じ真似をしたら間違いなく今頃生きていない。
しかし現実は違う。
酒井君が望まなくても泉という存在がいた。
その泉ですら子供が出来たら母親としての自覚が出来た。
だから酒井君は後は希美の心配だけしていればいいと思ってのんびりしている。
僕も後は冬吾と冬眞と莉子くらいだ。
しかも3人共家を出て普通に暮らしているらしい。
愛莉は天音と茜と冬莉の娘を心配していたけど。
案外旦那がまともだから大丈夫かと思ったらやっぱりやらかしてるらしい。
そんな事を考えていると愛莉が不思議な事を聞いてきた。
「そう言えば冬夜さんは昔っから娘にそういう興味を持ちませんでしたね」
どうしてなのか愛莉は不思議に思ったそうだ。
「うーん。僕には愛莉がいるからじゃ理由にならないかな」
「……えへへ~」
愛莉は納得したけど他の女性陣は納得しなかった。
「それだったら俺だって神奈ががいるぞ。俺は妻を愛していないといいたいのか?」
お前は朝からアルコール入ってるんじゃないだろうな?
昼には運転するんだぞ。
「まあ、正志も同じだな。逆に服を着ろと注意してたし」
美嘉さんも不思議に思ったそうだ。
せっかく朝はのんびりできると思ったのにもう無理かもしれないな。
「娘は宝だから。愛莉の父さんが言ってたんだ」
「それが理由になるの?」
亜依さんが聞くと僕は頷いた。
娘は宝だけどいずれは誰かの下に嫁ぐ時が来る。
愛莉は言っていた。
そんな時に自分のオムツを父親が替えていたなんて事を暴露されたくないのが娘の気持ちらしい。
それくらいで嫌がるのに写真を撮って売ってましたなんて黒歴史作って喜ぶわけがない。
娘が茜や泉の様な行動に出るのはそういう性格だから注意すればいい。
でも、それを撮影して娘に嫌な思い出を作るのは父親のやる事じゃないだろ。
「誠だって同じなんじゃないのか?」
水奈の結婚が決まった時泣くくらい嬉しかったんだろ?
娘や孫娘は宝物だ。
だから大切にしてやらなくちゃいけない。
もし仮に自分を誘惑してきても誘われるなんて父親のやる事じゃない。
寂しいかもしれないけど娘や孫娘の相手をするのは父親じゃない。
娘たちの恋人の役目だ。
そんな時に娘の前では喜んでやればいい。
あとは石原君達と飲んで思い出話をすくらいだ。
「それは父親だけでしないでくださいって何度も言ってるじゃないですか」
そう言って愛莉は笑っていた。
「確かに娘の結婚を見届けた後は達成感があるな」
渡辺君が言った。
「誠は水奈の子供だけ構ってる場合じゃなくなるぞ?」
歩美や崇博。
もう誠司だって結婚したんだろ?
「ああ、パオラは綺麗だったよ。あいつよくあんな上玉見つけて来たな」
スタイルも申し分ないらしいけど、そう言うのをカンナの前で言うのは止めた方がいいぞ?
「なるほどな。私じゃ不満だって言いたいのか?」
絶対言うと思った。
誠は笑ってごまかしてる。
本当に世話の焼ける男だ。
「カンナ。言っとくけど誠司はパオラさんの見た目で惚れたわけじゃないらしいぞ」
「なんでトーヤがそう言いきれるんだよ?」
「冬吾に聞いたから」
冬吾も誠司の結婚式に招待されたらしい。
冬吾ですら驚くくらいの美人だったそうだ。
「へえ、誠司が目をつけるわけだ」
そういう感想をもらしたらパオラさんが冬吾に聞いた。
「見た目は誠司もいいと思うんだけど、どうして日本で彼女作らなかったの?」
「……誠司から何も聞いてないの?」
「初恋の話は聞いてる。でも初恋をミスしたら恋人が出来ないのが日本なの?」
パオラさんは不思議で仕方なかったらしい。
そして冬吾に説明した。
誠司がパオラさんを口説いたわけじゃない。
ひたすらサッカーに打ち込む誠司に不安を覚えたそうだ。
自分の兄の事を思い出した。
放っておけなくて支えていたらいつの間にか好きになっていた。
パオラさんにとって初恋だったそうだ。
皆自分の上っ面しか見てくれない。
そんな中でそういう気を全く起こさなかった誠司が気になったのがきっかけ。
一度恋を失敗しただけでそこまで落ち込むほど純粋なんだとパオラさんは思ったそうだ。
「そっか……あいつもそんな部分があったんだな。神奈の息子だったってわけだ」
「見た目はお前の部分じゃないのか?」
そう言って誠とカンナは自分の息子の成長に喜んでいた。
「その話なら私も泉から聞いてた」
晶さんが話す。
「誠司と付き合ってるの?」
「違うよ」
「でも仲良さそうじゃない」
「仲いいと付き合うの?」
泉がそんな事を言っていた。
泉の意見は単純だった。
「あいつ本当に馬鹿だから。冴に振られたショックで自分には恋愛する資格がないと思ってる。少なくとも冴の幻に憑りつかれてる」
つまりまだ誠司の中では冴との恋愛が終わってない。
泉にとって初めての恋人なんだから自分の事だけを考えてくれる人が良い。
だけど誠司は色々アドバイスをしてくれる。
恋心とか無しに気楽に話が出来る。
だから一緒にいるだけ。
少なくとも誠司にその気は全くないよ。
「誠司も大人になったんだな」
「いつか父親を超える存在が子供だっていうもんな」
カンナと誠がそう言っていた。
だから僕は誠に言う。
「水奈だっていつかきっとその時が来る。誠司だって誠司の子供が誠司を超える時が来るんだ」
今は見守る時期だ。
天音だって水奈だって自分なりに悩んでいるはず。
壁にぶち当たった時に助言をしてやる存在。
二人とももう子供じゃない。
いつまでも世話をしていたら伸びないぞ?
「冬夜さんは空にはすごく厳しいですからね」
愛莉がそう言う。
「僕は父さんを超えないといけないわけ?」
「私も愛莉を超えないといけないのね」
空と翼も起きて来たみたいだ
「心配することないだろ、2人とも」
天音がそう言う。
嫌な予感がしたからそれ以上追及しなかったけど無駄だった。
「なぜですか?」
愛莉が天音に聞いている。
天音は笑って答えた。
「だって二人ともいつかは棺桶の中に入るわけだろ?」
その時に超えてるだろ?
大地が天音を止めようとしたけど気づきもしなかったようだ。
そしてその後愛莉は落ち込んでいた。
「冬夜さん……これでも放っておいていいんですか?」
愛莉の苦労はまだ続くようだ。
こうして今年もまた夏が来た。
しかし今年の夏には大事件が待っていた。
「克樹も大変だな」
「希美は道香と違って明るい子だからな。光聖にはちょうどいいんじゃないか?」
その夜光太と克樹がそんな話をしていた。
克樹は二人の娘に恋人が出来たそうだ。
そのうちの希美が光太の息子の光聖と付き合うことになった
「他人の娘に手を出しやがって!」
そのくらい克樹に言われると思ったらしい。
だけど実際克樹たちと飲みにいったら違う事を言われたらしい。
「希美はいい子に育ってくれたんだ。あいつの恋人が光太の息子なら文句言わねーよ」
そう言ってなぜか泣いていたらしい。
どうしてだろう?
「空は気にしなくていい」
翼がそう言うから考えない事にした。
「で、香奈の相手ってどうなの?」
克樹の妻の道香が聞いたらみなみが答えた。
「あの子はサッカーの事しか考えてないから、ちゃんと相手してやるように注意はするつもり」
でもそういうのって親にあれこれ言われて仕方なくやるものじゃない。
二人で試行錯誤していくものだからと桜子に言われたらしい。
それが恋愛の楽しみ方だ。
喧嘩することだってある。
それでもこの人がいいと思える人が恋人になるんだ。
「空からは何かないのか?」
光太が僕に聞いてきた。
うーん。あ、そうだ。
「一つだけある」
「なんだよそれ?」
「父さんに言われたんだ」
まだ孫は要らないよ。
「確かに中学生でお腹膨れたらさすがに俺も怒るぞ」
「光聖に限ってそんな馬鹿な真似しないから」
克樹が言うと麗華が答えていた。
「それなんだけど、大地の所は大丈夫かい?」
善明が大地に聞いていた。
何の事かはなんとなくわかる。
連休のデートの話は結から聞いていたから。
菫と茉莉は父親の部屋から盗み出したらしい。
小学校3年で無茶だと思ったけど天音も同じような事大地にしてたからなぁ。
「いくら何でも無理なんじゃないかって思って……」
止めなきゃまずい。
だけど菫が子供だからと言ったら逆にムキになる。
そう考えた翼は違うやり方で菫を説得した。
それを茉莉にも教えたらしい。
で、それを聞いた茉莉が夕食の時に大地に聞いたらしい。
「大地のはいつごろから使い物になるようになったんだ?」
大地はむせたらしい。
天音は笑いながら説明したらしい。
「そうだな。まあ早い奴は6年生になるころにはそうなってるだろうけど、まだ早いだろうな」
遅い奴でも中学生くらいなら大丈夫だろ。
ただしその時に違う事を気にしなければならないと天音が言った。
「なんだそれ?」
「あのな……」
男子は常にそんな状態じゃない。
女子の裸とかをみてそういう風になる。
だからいざ寝た時にそうならなかったらそれは使い物にならないしょうもない物だから切り取ってやれ。
「天音!あんたそんな事茉莉に吹き込んだの!?」
「朔のやつ本当に霞でも食ってるんじゃないかってくらい消極的らしいからな」
「だからって小学生に教える事じゃないでしょ」
母さんが聞いたら大変だよ。
翼がそう言っていた。
その子供達はテントの中で寝ている。
昼間は海で遊んでいた。
さすがに結莉達もこういう場所でスク水は恥ずかしい年頃になったらしい。
それぞれ水着を買ってきて彼氏に褒めてもらっていた。
結は少し反応が変わっていた。
茉奈を褒めてはいたけど正視できないと悩んでいたらしい。
彼女のそういう姿が見てて恥ずかしいんだろう。
「結はこういうの嫌い?」
「よくわからないけど……そうだなぁ」
眩しいんだ。
茉奈は「そっか~」と笑って冬夜と遊んでいた。
茉奈はともかく結莉達はますます過激になっていた。
1学期が終わる頃みんなと一緒に帰っていたら変質者に遭遇したらしい。
この暑い中ロングコートを着ていて、それを捲ると裸だった。
大人のそれを見るのは父親以外では初めてだろう。
心音や茉奈が怯えているのを結や秋久が見えないように前に立っていつでもそのふざけた男を始末するつもりでいたそうだ。
しかし突然茉莉や菫達が笑いだした。
結達は不思議に思ったそうだ。
戸惑う変質者に容赦なく茉莉達は言ったそうだ。
「おまえの本気はその程度か?」
「どう考えても大地の方がましだぞ!」
「お前絶対それ使ったことないだろ?」
「菫、こんな物が使い物になるわけねーだろ!」
「うーん、じいじの方が凄かったなぁ」
そんな不評を聞いた男は立ち去ったらしい。
ご愁傷様。
「まあ、相手が悪かったよね……」
善明が言っていた。
「でもさ、気になったことがあるんだけど?」
なずなが言っていた。
「どうしたなずな?」
「……なんで優奈達が誠さんのを知ってるわけ?」
まさかもう一緒にお風呂に入る歳じゃないでしょ?
「……そう言えばそうだな」
水奈は今頃気づいたらしい。
水奈も天音と一緒になって出会い系サイトでそういう画像送られて爆笑してたらしいからな。
水奈が父さん達の群れに行って事情を聞いてくる。
「お前は優奈に何を見せたんだ!?」
神奈さんの怒声が聞こえて来た。
「それは俺だけじゃない!瑛大と一緒に”どっちが好き?”って……」
「ば、馬鹿誠!亜依も聞いてるんだぞ!」
「馬鹿はお前だ瑛大。ただでさえ優奈達は不安があるのに余計な心配増やす真似しやがって!」
まあ、そうなるんだろうな。
なずなの話だと琴音はそうじゃなかったそうだ。
「パパのが好き」
何の迷いもなく答えたらしい。
「……遊。どういう事?」
「ま、待て!俺は別に見せたわけじゃないぞ!」
遊は弁解していた。
一緒にお風呂に入っていた時にいつも見ていたらしい。
ただそれだけ。
他の男のなんて知らない。
瑛大さんが見せようとしたけど、そういうのは好きな人のだけ知ってればいいってママが言ってたと断ったらしい。
「ってことは好きな人いるのか?」
「……うん」
恥ずかしそうに琴音は言ったらしい。
粋の息子の快と付き合っているそうだ。
遊は粋と飲みに行ったらしい。
「そういや茉里奈はどうなんだ?お前フランス人の相手してたから不満なんじゃないか?」
天音が茉里奈に聞くと茉里奈は首を振った。
「確かにサイズはいいんだけど桐翔と寝た時に違和感を覚えたんだ」
確かにサイズはルイスの方が圧倒的だった。
だけどいざするとルイスより桐翔の方がよかったらしい。
どうしてかというと硬いから。
そんな話を女性陣が始めると次々とそう言う話で盛り上がる。
男性陣は笑って聞いていた。
「どうしたの?」
何も言わない僕達に翼が聞いていた。
「いや、そういうのって女性だけでやるものじゃないのかい?」
善明が答えたら美希が笑った。
「そうだよ。だから今夜は私達が盛り上がってるの」
いつも人が気にしている胸の話ばかりしているからたまにはいいでしょ?と美希が言う。
それただ聞いているだけの苦行。
女性も話のタネが無くなると火を消して寝ようとする。
僕も翼とテントに入って寝る。
菫達はもう別のテントの方がいいだろうと新しいのを買っておいた。
今一緒に寝ているのは結と比呂とカミルだけ。
茉奈も結を意識してしまってか一緒に寝たいとは言わなくなった。
結も同様だった。
さすがに父さん達も分けた方が良いと言ったらしい。
結を心配しているわけじゃない。
茉奈も異性を意識するようになったのだからしょうがない。
だから別々で寝なさいと父さんが説明していた。
「でさ、一つ気になったんだけど」
「どうしました?」
「美希も僕に不満あるの?」
さっきの話の中には混ざってなかったけど。
「ありますよ」
「やっぱり下手くそかな」
「それが不満なんです」
上手な人と寝たいならAV男優と寝たらいいだけだ。
そうじゃない。
もっと気持ちを籠めてほしい。
美希は僕にそう伝えてるけど気づいてくれないから不満。
なるほどね。
「じゃあ、明日帰ったら……」
……あれ?
「どうしたの?」
翼が聞いてきた。
「いや、大地や善明なんだけど」
なんでそんな物を茉莉や菫が見つけたんだ?
そう言うと翼は笑った。
「旦那様はさっきの話殆ど聞いてなかったんですね」
大地や善明は買うのを忘れる事が多い。
だから翼や天音が買って目に見える所に置いてるらしい。
そういう事か。
「旦那様はああ言う話嫌いですか?」
「まあ、自分が不安になるからね」
美希を満足させてやれているのか?
「不満だったらしないから大丈夫」
「それもそっか」
「んじゃ、早く寝よ?」
「なんで?」
すると美希はにこりと笑った。
「そんなに気になるなら私がアドバイスしてあげます」
明日は簡単に寝かせないからね。
だから今夜はゆっくり休んで。
美希の言う通りゆっくり眠る事にした。
(2)
「いや、昨夜は参ったな瑛大」
「誠はまだいいぜ。俺なんてテントに入ってからも亜依の機嫌が悪くてさ……」
朝、いつもの様に石原君と酒井君とコーヒーを飲んでいると誠達が起きて来た
「朝は父親の相談なんだろ?混ぜろよ」
そう言って二人が来た。
もう嫌な予感しかしないんだけど……
「誠は少しは反省しろ。いつも問題を起こすのはお前らだろ?」
渡辺君が注意したところで懲りるような奴じゃない。
「孫の裸見たくらいで罰あたらないだろ?」
「ああ、そのくらいなら大目に見てやるがそれをネットに乗せるのはどういう理由なんだ?」
今日は朝から最悪の様だ。
誠たちが振り返るとカンナ達がいた。
「だいたいいつ撮ったんだ!?水奈がいるんじゃないのか?」
カンナの言う通りだった。
一体どうやって撮ったんだ?
「あ!」
愛莉が何か心当たりがあるみたいだ。
「どうしたんだ愛莉?」
カンナが聞くと愛莉が答えた。
翼と二人で今日は夕食どうしようかとスーパーに行った時一人で買い物をしている水奈を見つけたらしい。
水奈に声をかけて子供たちはどうした?と聞いた。
もう小学生だから留守を任せて一人で夕食の準備に来たらしい。
しなくても悠翔がいるからいいけど、学にバレたら大変だからしょうがなく来たそうだ。
で、水奈の家は今晩どうするの?美希達とそんな話をしていたけど愛莉は何か忘れてるような気がしてならなかったらしい。
「まさかお前……」
「た、たまたま行ったら水奈がいなかっただけだ!」
「学も帰ってきていなかったんだ」
二人は本当に学習しないな。
その時間を狙ったかどうかまでは知らないけど水奈のいない時間に撮ったと自白していた。
「この馬鹿!やっと娘がまじめに主婦をやろうとしてる時に何やってんだ!」
「大体お前らは一人で学の家に行くなって言っただろうが!」
カンナと亜依さんが二人を怒鳴りつける。
「しょうがないだろ!琴音はなずながいるから隙がないんだ」
「お前は琴音にも同じ事するつもりだったのか!?」
「琴音は恥ずかしがる年頃だって知ってるよ。でも朱鳥がいるだろ?」
どうしてそう余計な事を言うかな……。
「同じだこの馬鹿!」
「トーヤ!お前からも何か言ってやってくれ」
多分この中で娘が多いのは僕か酒井君くらいだ。
酒井君が誠と同じ真似をしたら間違いなく今頃生きていない。
しかし現実は違う。
酒井君が望まなくても泉という存在がいた。
その泉ですら子供が出来たら母親としての自覚が出来た。
だから酒井君は後は希美の心配だけしていればいいと思ってのんびりしている。
僕も後は冬吾と冬眞と莉子くらいだ。
しかも3人共家を出て普通に暮らしているらしい。
愛莉は天音と茜と冬莉の娘を心配していたけど。
案外旦那がまともだから大丈夫かと思ったらやっぱりやらかしてるらしい。
そんな事を考えていると愛莉が不思議な事を聞いてきた。
「そう言えば冬夜さんは昔っから娘にそういう興味を持ちませんでしたね」
どうしてなのか愛莉は不思議に思ったそうだ。
「うーん。僕には愛莉がいるからじゃ理由にならないかな」
「……えへへ~」
愛莉は納得したけど他の女性陣は納得しなかった。
「それだったら俺だって神奈ががいるぞ。俺は妻を愛していないといいたいのか?」
お前は朝からアルコール入ってるんじゃないだろうな?
昼には運転するんだぞ。
「まあ、正志も同じだな。逆に服を着ろと注意してたし」
美嘉さんも不思議に思ったそうだ。
せっかく朝はのんびりできると思ったのにもう無理かもしれないな。
「娘は宝だから。愛莉の父さんが言ってたんだ」
「それが理由になるの?」
亜依さんが聞くと僕は頷いた。
娘は宝だけどいずれは誰かの下に嫁ぐ時が来る。
愛莉は言っていた。
そんな時に自分のオムツを父親が替えていたなんて事を暴露されたくないのが娘の気持ちらしい。
それくらいで嫌がるのに写真を撮って売ってましたなんて黒歴史作って喜ぶわけがない。
娘が茜や泉の様な行動に出るのはそういう性格だから注意すればいい。
でも、それを撮影して娘に嫌な思い出を作るのは父親のやる事じゃないだろ。
「誠だって同じなんじゃないのか?」
水奈の結婚が決まった時泣くくらい嬉しかったんだろ?
娘や孫娘は宝物だ。
だから大切にしてやらなくちゃいけない。
もし仮に自分を誘惑してきても誘われるなんて父親のやる事じゃない。
寂しいかもしれないけど娘や孫娘の相手をするのは父親じゃない。
娘たちの恋人の役目だ。
そんな時に娘の前では喜んでやればいい。
あとは石原君達と飲んで思い出話をすくらいだ。
「それは父親だけでしないでくださいって何度も言ってるじゃないですか」
そう言って愛莉は笑っていた。
「確かに娘の結婚を見届けた後は達成感があるな」
渡辺君が言った。
「誠は水奈の子供だけ構ってる場合じゃなくなるぞ?」
歩美や崇博。
もう誠司だって結婚したんだろ?
「ああ、パオラは綺麗だったよ。あいつよくあんな上玉見つけて来たな」
スタイルも申し分ないらしいけど、そう言うのをカンナの前で言うのは止めた方がいいぞ?
「なるほどな。私じゃ不満だって言いたいのか?」
絶対言うと思った。
誠は笑ってごまかしてる。
本当に世話の焼ける男だ。
「カンナ。言っとくけど誠司はパオラさんの見た目で惚れたわけじゃないらしいぞ」
「なんでトーヤがそう言いきれるんだよ?」
「冬吾に聞いたから」
冬吾も誠司の結婚式に招待されたらしい。
冬吾ですら驚くくらいの美人だったそうだ。
「へえ、誠司が目をつけるわけだ」
そういう感想をもらしたらパオラさんが冬吾に聞いた。
「見た目は誠司もいいと思うんだけど、どうして日本で彼女作らなかったの?」
「……誠司から何も聞いてないの?」
「初恋の話は聞いてる。でも初恋をミスしたら恋人が出来ないのが日本なの?」
パオラさんは不思議で仕方なかったらしい。
そして冬吾に説明した。
誠司がパオラさんを口説いたわけじゃない。
ひたすらサッカーに打ち込む誠司に不安を覚えたそうだ。
自分の兄の事を思い出した。
放っておけなくて支えていたらいつの間にか好きになっていた。
パオラさんにとって初恋だったそうだ。
皆自分の上っ面しか見てくれない。
そんな中でそういう気を全く起こさなかった誠司が気になったのがきっかけ。
一度恋を失敗しただけでそこまで落ち込むほど純粋なんだとパオラさんは思ったそうだ。
「そっか……あいつもそんな部分があったんだな。神奈の息子だったってわけだ」
「見た目はお前の部分じゃないのか?」
そう言って誠とカンナは自分の息子の成長に喜んでいた。
「その話なら私も泉から聞いてた」
晶さんが話す。
「誠司と付き合ってるの?」
「違うよ」
「でも仲良さそうじゃない」
「仲いいと付き合うの?」
泉がそんな事を言っていた。
泉の意見は単純だった。
「あいつ本当に馬鹿だから。冴に振られたショックで自分には恋愛する資格がないと思ってる。少なくとも冴の幻に憑りつかれてる」
つまりまだ誠司の中では冴との恋愛が終わってない。
泉にとって初めての恋人なんだから自分の事だけを考えてくれる人が良い。
だけど誠司は色々アドバイスをしてくれる。
恋心とか無しに気楽に話が出来る。
だから一緒にいるだけ。
少なくとも誠司にその気は全くないよ。
「誠司も大人になったんだな」
「いつか父親を超える存在が子供だっていうもんな」
カンナと誠がそう言っていた。
だから僕は誠に言う。
「水奈だっていつかきっとその時が来る。誠司だって誠司の子供が誠司を超える時が来るんだ」
今は見守る時期だ。
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いつまでも世話をしていたら伸びないぞ?
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