姉妹チート

和希

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I'll be

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(1)

「おい、ボケナス」
「なんだ?ゴリラ」

 11月になると私達は毎年恒例の枯葉見学につり橋に来ていた。
 天音はここから突き落としたい野郎がいたらしいけど、あまりにも変貌に白けてやめたらしい。
 人間は大人になる。
 それはつまらない人間になるという事なのだろうか?
 誠を見てると今でも人生を謳歌してそうだけど、神奈がその分苦労してるらしい。
 一方菫の親は逆で父親の苦労が凄いそうだ。
 最近は学校でもやることなくなった。
 リベリオンもFGも腑抜けになりやがった。
 何しに学校に通ってるんだろう?
 結莉は楽しそうだ。
 芳樹が恋を理解しようとしているらしい。
 朔は興味ないわけじゃないらしいけど奥手って奴らしい。
 何度かデートはしたけど別にこれ彼氏と一緒でなくてもよくね?って思えるような場所を選ぶ。
 菫も同じ事を思ったそうだ。
 私達の事を最悪の世代だというそうだ。
 だけどその名前は違う意味を持つようになった。
 毎日の様にゴキブリ狩りしていた日常は失せ、学校で授業を聞きながら寝ていた。
 優奈達は親を困らせる事に成功したらしい。
 まさか小学生になって1年半たつのに二桁以上の足し算が出来ないという事態になってるらしい。
 水奈が出来ないわけがない。
 大卒だし。
 だけど優奈達に上手く説明できないそうだ。
 
「学。これどうやって教えたらいいんだ?」
「お前は大学まで行って何を学んできたんだ?」

 学もお手上げの状態で家庭教師を雇ったそうだ。
 その家庭教師も問題があった。

「そういやさ、この前あの俳優結婚したね」
「知ってる。そんなにいい女って感じじゃなさそうだった」

 そんな風にすぐ脱線するらしい。
 でも千帆達にしてみればそれも作戦なんだそうだ。
 いろんな角度から物事を見てそして興味を持たせる。
 芸能界のスキャンダルから足し算にどう導いているのか気になるくらいだ。
 ある意味天音より頭いいんじゃないのか?
 まあ、優奈達は世界地図を見て「地元ってどれ?」と聞いたらしい。
 姫乃が教えると「嘘だよね。これじゃ家どころか私の指で潰れちゃよ?」と不思議そうに聞いたそうだ。
 やっぱり姫乃達も苦労してるんだな。
 その優奈も今は海翔と一緒にソフトクリーム食ってる。
 片桐家ってのはそういう物らしい。
 花より団子なのが片桐家。
 愛莉も困っているらしい。
 片桐家の娘は父親を誘惑する。
 私がはまだガキだからしょうがないけど大地の野郎は玉無しだと天音が不満を言っていた。
 全く興味がないなら私が生まれてくるはずがないんだけど。

「で、結局お前は何が言いたいんだ?」

 菫が聞いてきた。

「死ぬほど退屈」
「ああ、そう言う話か」

 どっかでビニール紐買ってきてバンジーでもしようかと思ったけど愛莉に見つかった。
 天音が「そういう事なら先に言え!」と言って愛莉に怒られていた。
 私もハンバーガーを食っとくべきだったか。
 でもそうすると希美が一人でつまんねーだろうからとついてきたけどやっぱりつまんねぇ。
 くそだりぃ。

「なんでそんなしけた面してんだ?」

 祈が私達を見て言った。
 私達は「つまんない」と言った。

「朔の奴はどこだ!?」

 祈が朔を呼ぶ。
 何事かと朔が来る。

「お前茉莉を退屈させて何やってんだ!?母さんが知ったら命がないぞ!」
「ああ、祈。そうじゃないんだ」

 私は菫が退屈そうだから菫といただけ。
 そう説明すると朔もほっとしていた。

「そっか。正行いないもんな」

 天音が騒ぎを聞きつけて来た。

「その話昼ご飯の時にで構わないか?」

 天音が上手い具合に説明してくれるらしい。
 私達は天音に「分かった」と伝えた。

「とりあえず戻ろう。あいつら腹減ってるだろうし」

 私もハンバーガー食い損ねたから腹ペコで死にそうだった。

(2)

 毎年いつものレストランに行くと私と菫、善明と翼、天音と大地、なぜか愛莉とじいじも一緒だった。
 注文を頼むと天音が聞いてくる。

「枯れた葉っぱを見て何が楽しい?そういう事だよな?」
「うん」
「学校に行ってもゴキブリが大人しいから詰まんないって事だよな?」
「そうだけど?」
「まずは簡単そうな方から片付けようか」

 そう言って天音は一言言った。
 ゴキブリが動かなかったら放っておけとは言ってない。
 ゴキブリなんか存在そのものが邪魔なんだから見つけたら片っ端から殺せばいい。
 天音がそう言うと愛莉が思いっきり天音を睨みつけていたけど天音は気にも止めてなかった。
 
「窓から投げ飛ばしておけ。後は私達に任せろ」

 遺書の偽造の仕方教えてやるから。
 それが母親の発言なのかはおいて「分かった」と答えておいた。

「で、紅葉の話なんだけど……茉莉達の言う通りなんだ」

 こんな葉っぱ見てても腹が膨れるはずがないのに毎年同じとこに来てつまんねーのは当たり前だと説明した。
 愛莉が何か言おうとしているのをじいじが抑えていた。

「天音の母親の仕事っぷりをゆっくり見ようって言ったろ?」

 いつもは家が違うから分からないんだし。
 普段の天音を愛莉が見たら倒れるぞ?
 それでも天音は話をしていた。

「だけどな。実は毎年違うんだ」

 え?
 私は希美の顔を見た。
 希美にも意味が分からないらしい。

「何が違うんだ?」

 天音に聞いてみると天音がにこりと笑った。

「お前達成長してるだろ?」

 生まれた時は天音や美希の腕の中で見ていた。
 1歳の時は天音と手を繋いで渡っていた。
 2歳の時は希美と橋を揺らしながら見ようとしていた。
 私はハンバーガーを食べに天音と売店に直行していた。
 天音がそう言って説明すると確か毎年違う事をしている。
 小学生になってからは希美とつるむようになった。
 私達が納得したのを確認した天音はさらに続ける。

「結莉達はさらに変わってるんだ」

 二人で楽しんでいる。
 だけどそのうち今度は友達も巻き込んで楽しむようになる。
 高校を卒業する頃には天音はもう一緒にいないかもしれない。
 
「少なくとも愛莉は墓の中だろ?」

 愛莉の殺気が凄いんだけど大丈夫か?天音。
 
「今食べてるものだって茉莉はためらうことなくハンバーグを選んでいたけど来年もそうだって保証はない」

 来年愛莉たちはいないかもしれない。
 瞳子がいつ妊娠してもおかしくないんだから。

「結局天音は何が言いたいんだ?」

 私が天音に聞いてみた。

「今年あったことが来年もある。そう思ってるのが間違ってるんだよ」

 来年菫は正行と一緒に遊んでるかもしれない。
 茉莉だって朔と別れるかもしれない。
 そんな事になったら朔の命の保証はないけど。
 だから今を大事にしろ。
 そんな些細な思い出が積もり積もってかけがえのない物になるんだ。
 今はまだ朔や正行には無理かもしれないけど、結はいつも茉奈との思い出を作ろうとしている。
 茉莉だって菫といて楽しいなら、全力で楽しめ。
 恋人と楽しむだけじゃない。
 菫と馬鹿やって楽しめばいい。
 いつかそんな日があったなと思いだして笑える日が来るから。

「なるほどな」
「まあ、あまり愛莉を困らせるな。本当に寿命が縮みそうだ」
「私の寿命が縮むのは天音のせいだとどうして気づかないんですか?」
「でも天音の言いたい事は間違ってないと思うよ。愛莉も言ってたじゃないか?今の積み重ねが未来につながるんだって」

 何もないからつまらないと不貞腐れてるより、面白いことを考えたらいい。
 何の変哲もない紅葉でも毎年同じじゃない。
 それは紅葉が変わるんじゃなくて私達の目線が変わるから。
 誰と一緒に見ているのかもわからない。
 そうなった時に人間は「あの時こうしておけばよかった」と後悔するんだ。
 後でするから後悔なんだ。
 だったらやりたい事をやって楽しんでやればいい。
 それは紅葉狩りの話だけじゃない。
 学校でだってそうだ。
 クラスメートとの他愛も話は毎日同じわけがない。
 教室だって毎年変わる。
 いつか小学校を卒業して中学生になる。
 私達が望まなくても人間はそうやって成長していくんだ。
 じいじがそう説明した。

「だから茉莉達がだらだらとしていても時は刻んでいく」
 
 ただ時間を無駄にするならそれでもいい。
 そんな無駄だと思った時間さえかけがえのない宝物になるんだと言う。
 言ってる事が矛盾してるような気がするから聞いてみたら、じいじは結莉達を見た。

「あれだって、二人以外にしてみたら時間の無駄だろ?」

 じいじ達だって大学時代は友達とだらだらと喫茶店で過ごしていた。
 そんな時間が貴重な思い出になる。
 あの頃はよかったと大人になると思い知る。
 そうやってだらだら過ごしている時間も学生の特権なんだ。
 社会に出たらそんな時間が無いことくらい天音や大地を見ていたら分かるだろ?
 天音はいつも自由にしている気がするけど。

「ば、馬鹿。私だって茉莉が学校に行っている間にやることあるんだよ」

 嘘はついてない。
 子供の世話をしないで遊んでたら愛莉たちが来た時怒られる。
 だから私達の前ではちゃんと家事をしていた。
 だから愛莉にそう伝えた。
 しかし愛莉はそう受け取らなかった。

「天音。一つ聞いてもいいですか?」
「い、言っとくけど茉莉達の前でゲームはしてないぞ!」
「天音の言う通りだよ」
「それはいいの。でも一つ気になる点があるんです」

 私達の前で家事をしてる。
 じゃあ、一つ不思議な時間が出来る。
 茉莉達の前で家事をやってるのにどうして茉莉が学校に行ってる間も家事をしているのか?
 愛莉だって母親だ。
 要領よくやればそんなに一日中家事に追われるわけがない。
 そんなに天音が家事が下手くそなわけがない。
 もう何年もしてるし、一時は私達を抱えながらやっていたんだから。

「愛莉は結構細かいから掃除に時間かけてるんだよ」
「神奈!ちょっと来て!」

 愛莉は神奈と水奈を呼び出した。

「またこいつら何かやらかしたのか?」
「それを証明したいの」
「どういうことだ?」
「水奈?あなたいつ家事をしているの?」
「え?優奈達が帰ってきてからしてる」
「なんでだ?」

 神奈も不思議に思ったらしい。
 まともに考えたら子供の世話をしながら家事なんて面倒だ。
 なのにどうしていない間に終わらせようとしないのか?
 天音が必死にサインを送っていた。
 だけど水奈が気づかず普通に答えていた。

「だって優奈達がいるとゲームしたら愛莉さんが五月蠅いからいない間ならいいだろって……」
「お前ふざけんな水奈!少し考えて喋れ!完全に愛莉の罠だったじゃねーか!」

 そう言いながら自爆していることに気づいていない天音。
 当然いつも通り神奈と愛莉が怒ると思った。

「あまり残酷な描写のゲームは茉莉達に早いから気をつけなさい」
「私達もお茶飲んだりしてのんびりしてるから、やる事やってるなら文句は言わねーよ」

 愛莉と神奈はそう言うと神奈と水奈は席に戻る。
 天音は悩んでいた。
 愛莉が何を企んでいるか分からないのだろう。
 でも私は気づいた。
 多分これは愛莉の判断じゃない。
 じいじが一枚絡んでる。
 だけどそのたくらみに気づかずにいた。

(3)

「本当にあれでよかったのか?トーヤ」
「神奈の言う通りです。あれでは意味がないのでは?」

 カンナと愛莉が聞いていた。

「僕にも分からなかったね。どうして注意しなかったの?」

 公生にも分からなかったみたいだ。
 そんなに難しい問題じゃないんだけど。

「公生。公生が帰った時奈留はどうしてる?」
「夕食作ってる」
「何時ごろ寝る?」
「僕が寝る時間に合わせてるけど?」
「公生が帰ってから奈留は何してる?」
「夕食作ったり片づけしたり、お風呂の後に洗濯したり。僕が替わろうかと言ってもこれが私の仕事だからって……」
「冬夜。いつも言ってるがお前回りくどいぞ?結局お前は何を企んでるんだ?」

 誠が聞くと亜依さん達も僕を見ていた。

「じゃあ、結論だけ。そのうち変わるよ」
「どうしてだよ?」

 カンナが聞いた。

「どうして女性陣が気づかないのかが不思議で仕方ないんだけど。今まで何してたの?」
「……そういう事ですか?」

 奈留が気づいたようだ。

「そういう事。そんな生活これから先も続くわけがない」

 夫が心配するくらいに主婦はやることが多い。
 それでも家を守る嫁の役目だからと絶対に譲らない。
 そんな嫁にしてやれることはわずかな時間でも休ませてやること。
 労わってやることだろ?

「……そういえば冬夜さんは仕事で遅くなっても私が悩んでたら相手してくれますね」
「それがどう関係するの?」
「……そういう事ですか」

 愛莉は気づいたようだ。

「愛莉ちゃん、どういう事?」
「私も気になる。愛莉、分かりやすく説明してくれ」

 恵美さんとカンナはまだ気づいてないらしい。
 すると愛莉が説明しだす。

「天音も水奈も多少問題があるけどちゃんと自分の役割は果たしてるのに叱る理由がないでしょ?」
「まあ、そうだけどこのままだと問題だろ?」
「そこなの。だから放っておけばいいの」
「え?」
「あ、そういう事ね」

 恵美さんは気づいた。
 カンナは気づいてないようだ。

「カンナ。もし水奈が今の生活を続けていたらどうなると思う?」
「朝はゲームで昼に子供の世話と家事か……倒れるんじゃないか?」

 だったら大問題だけどそうはならないよ。

「その前に自分がやってる手段が間違っていることを嫌でも気づくよ」

 だって文字通り休む暇がないんだから。
 夜にへとへとになって早く寝るか朝の間に休むかだと思うけどそれでもやっぱり持たないだろ。
 夜だって子供達は遊びだすし、夫の世話もある。
 そうなれば自ずと回答は一つしかない。
 子供達を送り出して家事をして昼間休んで子供の帰りを待つ。
 買い物等も先に済ませる。
 後は夜家事をこなして自由時間。
 多分そんな感じになっていくんじゃないか?

「お前は娘すら思い通りに操るのか?」

 渡辺君が言った。
 娘だからこそ思い通りに行くものじゃないのだろうか?

「だからカンナは水奈が悩んだ時に教えてやるだけでいい」

 もうそれしか手段が無いと気が付くだろう。

「でもそれだと今度は夜更かししてゲームするんじゃないのか?」
「それはないよ」
「なんでそう言い切れるんだよ?」
「カンナは夜何してる?」
「最近は俺とベッドの中で仲良くしてるんだぜ?」
「お前は黙ってろ!」

 カンナが誠に怒鳴りつける。
 恥ずかしいんだろうな。
 だから愛莉も悪戯したくなったみたいだ。

「神奈。冬夜さんもそうやって優しくしてくれるんだよ」
「片桐君は別格だって何度も言ってるでしょ!」

 亜依さんが悲鳴を上げていた。
 最初はどうすればいいかわからないからやりたいようにやる。
 だけどその方法に無理があっていずれ破綻する。
 そうやって悩んでる時に一言言ってやるだけでいい。
 その時には愛莉やカンナの言ってる意味がよく分かるだろうから。
 自分がまさにそういう状況で行き詰ってるんだから。
 母親という役目に教科書なんてない。
 自分の親に相談するか主婦友と相談するかだ。
 そうやって一つずつコツを飲み込んでいけばいい。
 あの子達もまだ新米なんだから。
 そうやって無限に続く人生を歩いていく。
 僕達もあと少しだけまだまだ役目が残っていた。
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