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My Love is Forever
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(1)
「残酷なシーンですね」
美希達とクリスマスに映画を観ていた。
お化けが出たりするわけじゃないんだけど、意外と美希はこういう映画を好む。
母さんはこういうの苦手だったみたいで、こういうやつとか戦争映画を嫌がっていて、父さんがFPSをやっているのもダメって言うくらいだったらしい。
どういう映画か。
死の運命を予知した青年がそれを回避した。
それを許さない死神が無理にでも死の運命から逃れた仲間たちを次々と様々な現象で殺していく話。
その殺し方がどれも残酷だった。
偶然モニタの上に置いたコーヒーが零れて内部に侵入して画面が割れる。
それがのどに刺さるとキッチンに行く。
するとつまずいてこけた挙句止血をしようとキッチンに置いてあったタオルを掴もうとすると、その上にあった包丁類がすべて自分に降りかかってくる。
終盤になるとねじ一つガムテープで固定しておかないとそれが自分の急所に突き刺さるという物。
意地になって踏切の上に車を止めて「ころせるものなら殺してみろ」と粋がる男。
仲間の説得で頭が冷えた男がエンジンをかけようとするもかからない。
慌てて車から脱出しようとするけどドアがなぜか開かない。
それでも無理やり回避して免れたと思うけど、この世界の神様並みに死神は容赦がない。
電車で破壊された車。
そのホイールのプレートですら死神は利用する。
くるくる回転していたプレートを後続の電車が跳ね飛ばして別の仲間の頭半分を切り取っていく。
似たようなネタで鉄骨を運んでいたトラックが何かの拍子でワイヤーがキレて高校生の頭部を粉砕するという漫画があった。
面白いからと読んでいたら翼に見つかって翼がそれを処分しようとする。
「ま、待って。それは僕が愛莉から守って来た大切な漫画なんだ」
「こんな残酷なん漫画読む必要ない!」
「翼の言う通りです!どうしてそう言うのを平気で読めるんですか!」
父さんは母さんだけでなく翼からも漫画を死守していた。
「別にいいじゃん。フィクションなんだし」
同級生をベランダから投げ捨てようとしていた天音がそう言っていた。
まだ生きていたお爺さんとお婆さんは笑ってその光景を見ていたな。
そして今はカミラや結達と見ている。
「ママはこういうの好きなの?」
「なんかスリルがあって楽しくない?」
「で、でも子供にみせるものじゃないんじゃないかな?」
父親としては小学生に見せるものじゃないと思って言ってみた。
「関係ないですよ。多分結は”痛いだろうな”くらいにしか思ってないから」
この前だって天音の家で戦争映画見て来たって言ってたな。
どうしてそんなものを見ているのか。
原因は善明だった。
善明が「絶対このチャンネルだけは見るな」と言って、美希が気になるからと観ていたらこの惨状だった。
善明も今頃大変だろうな。
翼はこういうの苦手だから。
秋久はともかく菫は絶対好きだろうし。
止めようにも菫が好んでいるのだから無理だろう。
当然の様に天音達も見ていたようだ。
「いつかこのテレビ局買収してやる」
善明が毎年この時期に言っていた。
水奈達は旅行に行っているらしい。
水奈の行動はさすがに天音も庇い様がなかった。
「お、おい。さすがにそれはやばいだろ」
「いや、天音。意外と男に”綺麗ですね”と言われると嬉しい歳みたいだぞ」
「お前はまだ懲りてないのか!?このバカ娘!」
「ちゃ、ちゃんと学と約束したって!」
「約束?」
母さんはそれが気になったらしい。
学は言うなと言っていたけど水奈は説明していた。
「そういう欲がまだあるなら俺がちゃんと相手するから馬鹿な真似は止めてくれ」
子供たちが大きくなったら二人でデートもいいだろう。
水奈にもそういう感情が残っていたんだな。
それに気づけなかったら学にも落ち度はある。
そう言って二人で話し合って今夜は旅行らしい。
美希は大丈夫。
そんな状況になる前に美希の要求が凄いから。
問題は天音や茜や冬莉。
天音は母さんが頻繁に大地の家に行くようになったらしい。
その分家事をさぼっているとすぐにばれるから水奈を恨んでいるそうだ。
だけど天音の夫は大地だ。
そんな情事が発覚したら大事になる。
恵美さんは「そうなるまで天音ちゃんを放っておいた大地が悪い」と言ってるそうだけど。
そうなると善明はもっと苦労してるらしい。
「翼がそうなるほど善明が構ってないなら、母さんは絶対に許しません」
「つ、翼や。僕の命が大事なら馬鹿な真似はやめておくれ」
「善明のお陰で今の暮らしが出来るのにそんな馬鹿な真似するわけないじゃない」
そんなに私信用ない?と翼は笑っていたらしい。
そういう問題なのかと思ったけど。
結とカミルは番組がつまらないのかケーキを食べ終えると部屋に戻って行った。
「でも、水奈が羨ましいな」
美希がテレビを見ながら言っていて勘違いしていた。
「女性って皆そうなの?」
旦那以外の男と寝たくなったりするの?
ぽかっ
「そうじゃなくてちゃんと夫に女性として見られているって事」
「僕だって美希の事大事にしてるよ」
やりすぎかと思うくらい。
そもそも恋人とその他の女性ってしっかり線引きする物じゃないのか?
少なくとも僕はそうしてるよ。
例えばフレーズの麻里は好きだけどそれはファンとして。
カミラが綺麗だと思ってもそれは娘として。
そのほかの女性だって同じだろ?
どんなにすごく綺麗な人がいたとしてもそれは僕には関係ない。
だって翼という存在は僕にとって別格だよ。
綺麗とか可愛いとかいう感情は抱いても「好き」という感情は絶対に生まれない。
すると美希がにこっと笑った。
「旦那様は絶対ナンパとか向いてませんね」
そこは嘘でもそう言うべきでしょ。
「今なら言えるよ?美希が大好きだよ」
「……ありがとう」
でもやっぱり僕が不器用だと美希は笑っていた。
「あのさ、私思うんだよね」
「何を?」
「渡辺班とSH、どちらも2種類の男に分けられるみたい」
「どんな風に?」
「パートナーを大事にするかそうでないか」
前者は僕や大地みたいに相手を大切にする。
だから美希や天音は絶対に馬鹿な真似はしないし、不満も持たない。
天音は十分持ってるように見えるんだけど?
「あれは半分テレだよ。絶対に私達の前でいちゃつけない」
それは多分菫や茉莉達と同じなんだろう。
そんな姿絶対に誰にも見せたくない。
見せるのは彼氏だけでいい。
「で、後者は?」
「誠さんとか瑛大さんとか」
嫁を放ってアイドル発掘やら孫娘にまで馬鹿な行動をとる。
だからいつも亜依さん達は二人で飲みにいって発散してる。
SHの方はそういう人はいないみたい。
天でさえやりたい放題の様に見えて繭には逆らえないみたいだから。
「水奈みたいなのはどうなの?」
「あ、そっか。旦那様には話してませんでしたね」
翼はそう言って笑いながら説明する。
あの事件以降、水奈を信用していないわけじゃないけどやっぱり不安な学はテレビドラマを思い出してある行動に出た。
それは寝る時に必ず水奈を抱きしめて寝るそうだ。
それだけで水奈は満足するらしい。
そのぬくもりを味わうために一生懸命に家事をするみたいだ。
それを嬉しそうに天音達に自慢していた。
「そういや大地の野郎。最近私を抱いてないな」
「お前も私と同じ真似してみるといいんじゃないか?」
「それは多分無理だ水奈」
「なんでだ?」
「あれをやったら大地は多分長生き出来ない」
恵美さんが黙っていないだろう。
「大地が天音ちゃんに構ってやらないからこうなるんでしょ!それでも夫なの大地は!」
そのくらいは言うだろう。
「……それにしても美希は相変わらずホラー好きだね」
「うーん。だって映画だし」
小学生時代に勝次の指折ってた翼はホラーを怖がっていた。
「さて、そろそろ寝るからカミル達も寝なさい」
「え?」
翼が驚いて僕から離れて振り返ると隠れていたカミル達が出て来た。
「やっぱりパパからは隠れられないか」
カミラがそう言って笑っていた。
「二人ともいつから?」
美希が聞くと「部屋に戻るふりをしてパパ達を観察してた」と答えた。
「ほら、フィクションよりもリアルの方が面白いって言うでしょ?」
リアルなラブストーリーに興味があったそうだ。
「それならカミル達も恋人と過ごせばいいのに」
「だから毎年言ってるけどそんな風にクリスマスを過ごすのはごく一部の国だけだよ」
普通は家族団欒を楽しむんだとカミルが説明する。
「……ちょっと結達見てくるね」
そう言って美希は結達が寝ているか見に行った。
あの子達はあと2年もすれば中学生なのにサンタさんを信じて早く寝ている。
それが茉奈には不満らしいけど。
「お前らいつになったら種明かしするんだ?」
結の奴下手すると親になるまでサンタを信じかねないぞ?
それは母さんに質問していたけど母さんも困ったらしい。
原因はやっぱり天音。
「なあ、愛莉。サンタに言っておいてくれ。しょぼい玩具なんかいらないから現金よこせって」
「そういう子は何ももらえないんですよ?」
「愛莉が交渉できないなら私が自分で交渉するから何時ごろ来るか教えてくれよ」
「夜更かしして朝起きれなくなっても知りませんよ」
「今は冬休みだから問題ない」
「うぅ……」
もちろん天音は計画犯だった。
「もしさ、ママが欲しいって僕が言ったらくれるのかな?」
「それは無理だね」
「どうして?」
「美希は僕だけの物だから。誰にも渡す気が無いよ」
例えサンタが相手でも譲るつもりはない。
「さすがにサンタさんでも父さんが相手じゃ無理だね」
カミルはそう言って笑っていた。
するとカミラが予想通りいう。
「じゃあ、私がパパが欲しいって言ったらいいの?」
血は繋がってないしいいでしょ?
「それも多分ダメなんじゃないかな?」
「どうして?」
カミラが聞くと僕はカミラの後ろに立っている美希を指差した。
「パパを誘惑するくらいなら彼氏に甘えなさい」
「わかってるけどさ、比呂は同じ家にいるのに何もしてくれないんだよ」
そう言って二人は部屋に戻る。
「美希だってムキになるじゃないか?」
「当たり前ですよ?空は聞いてないの?」
渡辺班やSHの女性陣がずっと言っている事。
それは「片桐家の男子を捕まえたら死んでも逃すな」だそうだ。
そんなに大したものではないと思うんだけどそうなんだな。
「じゃあ、僕は心配しないでいいね」
「何を?」
「美希が不倫するなんて事無いでしょ?」
僕が大事なんだろ?
「そうだよ。旦那様が一番大事だから。だから旦那様も私を大事にしてくださいな」
「分かってるよ」
そう言って美希と部屋に戻って聖夜を過ごした。
(2)
「まだ、優奈達には早かったのかな?」
「かもしれないな」
悠翔と茉奈はスマホでイルミネーションを撮影しながら歩いていた。
私達はクリスマスイブに一泊旅行に来ていた。
旅行と言っても別府だけど。
とはいえこの時期にあんな部屋を取るのは苦労しただろう。
そこは渡辺班の裏技を使ったらしい。
渡辺さんに相談して晶さん達に伝える。
「そういう事なら任せておきなさい」
晶さんと恵美さんが組めば出来ない事は殆どない。
すぐに部屋を手配させたそうだ。
私が馬鹿な真似をした。
当然学は怒ると思った。
正直離婚も覚悟した。
だけど学は全く違う事をした。
怒っている亜依さんと母さんから私を庇った。
学は全く悪くないのに「俺が妻の相手をしてやらなかったから俺の責任です。俺に後始末させてください」と言って頭を下げていた。
「お前こんなに嫁の事を思ってる旦那を持っているんだ。少しは頭を使って行動しろ」
母さんがそう言って帰って行ったあと私は泣いて学に謝った。
「さっきも言ったろ?俺にも非があるんだ。水奈だって頑張っているのに労わってやれなかった」
だからその償いにこの旅行を計画してくれた。
このリゾートホテルのイルミネーションは毎年凄い。
本当は温泉から見れるショーもあるんだけど優奈達が飽きて寝てしまったので断念した。
子供達を布団で寝かせると私達はベッドに入る。
子供の前でしていい行為なのかわからないけど、困っていたら学がふすまを閉めて仕切りをしてくれた。
「水奈でも恥ずかしいと思う事あるんだな」
「私だって女だぞ」
声とか大丈夫かな?
そう聞くと学は笑って言った。
私の父さんから聞いたらしい。
「神奈は意外と恥ずかしがり屋で声とか必死に押し殺してるんだ。それが萌えるって言うか……」
だから水奈もそんなに声出さないかもしれないけどそれは学が下手とかそう言うのじゃないから心配しなくていい。
「心配するのはお前の頭の中身だこの馬鹿!義理の息子に何を吹き込んでるんだ!」
あの馬鹿……
ふと思ったので学に聞いてみた。
「やっぱり学は声を出さないと不安になったりするのか?」
だとするなら恥ずかしいけど出す努力するけど。
しかし学は首を振った。
「俺が心配するのは水奈を楽しませてやれてるかどうかだけだ」
言ってる事は同じようで実は違う。
上手いか下手かというのは男自身の問題で彼女の気持ちなど無視したもの。
学はそうじゃない。
私に不要な恐怖などを与えていないか、ちゃんと喜んでくれてるか、そんな事を考えているらしい。
そういう事か。
学はいつも私の表情を見ている。
恥ずかしいから見られたくないけど。
それだけじゃない、私の動きを注意してるらしい。
癖なのだろうか。
触ってほしい所を無意識にアピールしてるらしい。
「それ他の男に言ったら殺すぞ」
「どうして俺だけで知りうる権利を放棄しなきゃいけないんだ」
そんな情報は夫婦でだけ共有すればいい事だ。
なるほどな。
「じゃあさ、今夜は逆でやってみないか?」
「どういうことだ?」
「私だってお前の妻だぞ。学を気持ちよくさせてやりたい」
「ああ、それなら心配しないでもいいよ」
「どうしてだ?」
学は少し悩んで私にそっと耳打ちする。
それを聞いた私は学に枕をぶつける。
「お前まで父さんみたいな趣味あったのか!?」
「そうじゃないだろ?」
他の女性なんて知らない。
ただ妻を抱いたら気持ちよかった。
それだけの話だ。
普通じゃないのか?
確かに学の言う通りだな。
「だから水奈は心配しないでいいから夫婦で楽しもう」
「……お前にもそういう欲あるんだな」
「余りだしたらまずいと思ったけど、違うんだなって気が付いたよ」
「当たり前だ」
嫁以外の女を抱くくらいならもっと私の事を気にしてくれ。
子供もいるのに今更になって愛し合う意味を知った。
(3)
「冬夜さんだけでも行ってきてくださいな」
愛莉は瞳子と一緒に雪の面倒を見てるからと家に残った。
僕も残った方が良い気がしたけど愛莉は「雪も大切だけど、天音達が何するかわからないから」と言うので渡辺班の年越しパーティに来ている。
相変わらず大企業の社長が僕に挨拶をしに来る。
それは4大企業だけじゃない。
その傘下の中堅企業の社長も当然のように来る。
僕に無礼を働いた企業は片っ端から潰してやる。
恵美さんと晶さんはそのつもりなんだろう。
僕と企業の社長が挨拶している様子を見ていた。
少し考えて今年から空を同伴させていた。
もう少ししたら空に椅子を譲ってもいいかもしれない。
空もそのつもりで仕事と向き合っていた。
実際今すぐ譲ってもいいくらいだ。
よくここまで成長してくれた。
SHの件もあったから大変だろうけど、その分は天音達がフォローしているようだ。
しょうもない雑魚の後始末くらいは天音と美希達でしているようだ。
恵美さんも美希は立派になったと褒めていた。
「しかし片桐君も随分変わって来たと僕は思うんだけどね」
年を重ねるごとに風格を増してきた。
この渡辺班に君臨するようなオーラをまとっていると石原君も言っていた。
「渡辺班は渡辺君の班だよ」
僕は笑って言う。
だけど様子を見ていた渡辺君は言った。
「お前好き放題やって責任は俺が取れっていうのは随分な話じゃないか?」
「昔はそうだったじゃないか」
「勘弁してくれ、俺はただのおいぼれだよ」
渡辺君がそう言うと隣にいた美嘉さんが言った。
「ふざけんな、何をジジイみたいなこと言ってんだ!まだまだこれからだぞ!」
面倒な事は子供に押し付けて遊びたい放題する時が来たんだ。
お前だって退職したら楽しむつもりなんだろ?
美嘉さんは笑ってそう言った。
「お義父さんもまだまだこれからですよ」
正俊君の妻の夏希さんがそう言っていた。
すると美嘉さんが正俊君を睨む。
「お前は少しは子供にブレーキってのを教育しろ!」
どこにこんな図体の4歳児がいるんだ。
優良児ってレベルじゃないぞ!
その正文君は波留ちゃんと一緒にせっせと食べてる。
不思議な事に波留ちゃんは全く体形が変化ない。
それが不思議だと渡辺君が言っていた。
「まあまあ、いいじゃねーか!俺達もやっと子育てから解放されたんだ!とことん盛り上がろうぜ!」
「誠の言う通りだ!俺達はもう自由だ!」
誠と桐谷君が来た。
カンナはパオラたちだけ残すのはまだ心配だと残っているそうだ。
だから亜依さんがしっかりと二人を見ていた。
「お前らは子育てに何か協力したのか?」
「学が立派になったのは俺のお陰だろ!」
桐谷君は自分を見て来たから立派になったんだと主張する。
まあ、間違いはない気がするけど……。
「ああ、そうだ!お前を見てたから自分がしっかりしないといけないと余計な重圧をかけてきたんだ!」
だから恋は一時はお前を嫌悪していたんだ。
いっそそのまま嫌悪してくれてた方が今の恋にはならなかった。
柾が女の子だったらと思うとぞっとする。
そう、結局恋が服を着るのを嫌がるのは直らなかった。
これはまずいと思い始めた時に要が言ったそうだ。
「恋、ちょっと相談があるんだけど」
「どうしたの?」
「柾の事なんだ」
「柾がどうかしたの?」
母親とは言え20代の女性の裸を見ていたら柾も色々気になりだしたらしい。
同い年の女の子すらまともに見れなくなって困ったと柾から相談を受けたらしい。
男と女の違いくらい認識する年頃だ。
少し考えてくれ。
母親に欲情するような変態物を書くつもりはないだろうけど、柾が普通に女の子を見る事が出来なくなってしまう。
そうしたら恋人……いや、女の子と話す事すら出来なくなってしまう。
要はそう言って説得したらしい。
それに恋ももう30だ。
そろそろ気にするんじゃないのか?
「それって私が老けたって言いたいの?」
「そうじゃない。俺だって妻の事をそんな風には見ないさ」
だけどそれは自分自身が感じる事なんじゃないのか?
現にわずかな皺を化粧で隠そうと必死になってるじゃないか。
「確かに最近少し緩みが目立って来て悩んでたんだよね……分かった」
そう言ってちゃんと服を着るようになったらしい。
茜達はどうなんだろう。
「親が服を着てないのに子供に言い聞かせても説得力ないと思うんだけど」
夫がそう言って説得してるらしい。
さすがに椿たちも父親とお風呂に入るのは嫌がりだす……と、思っていた。
「パパお風呂入ろう?」
「もう一人で入れるだろ?」
「私がパパを悩殺するの!」
どこでそんな言葉を覚えてきたのかは言うまでもない。
冬華も恵美さん達の話を聞いた感じ変わらないらしい。
「茜や冬莉の娘ならさぞ発育がいいだろうな。将来楽しみだ」
誠が言うと犯罪の匂いしかしないけどどうしてだろう?
「しかし要は後悔しないのだろうか?」
桐谷君が言っている。
せっかく妻の裸をいつも見れるのにもったいなくないか。
「あのさ、それなんだけど……」
話を聞いていた空が桐谷君に聞いていた。
「どうしたんだ?空」
「それ、頼めばいつでも見れるんじゃないですか?」
それにそんな状態で料理をしているのは危険だと何かで書いていた。
そもそもそんな妻と一緒にご飯を食べて美味しいのだろうか?
ぽかっ
美希に小突かれていた。
「私はそんな真似絶対にしないから心配しないでいいですよ」
「いや……でもさ」
「心配しないでいいよ」
空は美希に絶対に逆らえないらしい。
まあ、片桐家なら仕方ないな。
「なんだ?瑛大は私の裸が見たいのか?」
「いや、さすがに50過ぎたババアの裸なんか見たって……」
「ば、馬鹿瑛大やめとけ!」
桐谷君は話してる相手の事すら考えてないらしい。
「誰がババアだ?この変態ジジイが!」
「亜依だって若い男に抱かれたいだろ!」
「お前は私を馬鹿にしてるのか!?言っておくけどお前以外の男性と関係を持ったことはないぞ」
「え、そうなの?」
なんで桐谷君が驚いてるんだろう。
「片桐君が渡辺班のリーダーならこのバカ二人に言ってやって」
「いや、それは渡辺君だろ?」
「だから俺に面倒事を押し付けるな」
いつも無茶振りしてるのは渡辺君達じゃないのか?
でも僕が言って意味があるのだろうか?
翼達もいるから言いたくないんだけどいうしかないか。
「誠も桐谷君と同じなのか?」
「どういう意味だ?」
「お前もカンナを抱けないとかあるのか?」
まあ、答えは聞いてるんだけど。
誠は予想通りにやりと笑っていた。
「んなわけないだろ!誠司に負けられないからな!毎晩愛情を注いでるんだぜ!」
知ってるよ。
お前が夜中に「神奈愛してる!」って叫んでいるから却って誠司が気まずいとパオラが相談してたらしい。
さすがにカンナに言えないから瞳子に言った。
瞳子に言えばもちろん愛莉に話しながら料理をしている。
「冬吾はどうなの?」
「それがおかしいんですよ」
「あの子何したの?」
そろそろいいかな?
そう定期的に瞳子に相談しているらしい。
体調的には大丈夫だけど雪がいつ泣き出すか分からないから集中できないらしい。
すると愛莉は笑っていた。
「やっぱり冬夜さんの子供なんですね」
「ってことは冬夜さんも?」
「ええ、天音を作るまでにちょっと時間がかかった原因なの」
そういう話を僕や冬吾が聞こえているところでするのは止めて欲しい。
「ってことはパオラ気づいてるのか?」
「だろうな。絶対にカンナに言うなよ?」
そのくらい誠でも分かるだろ。
分かってないのは桐谷君だった。
「誠、お前いつからババアが趣味になったんだ!?」
「お前は他人の嫁に何て言い草だ。馬鹿が!」
亜依さんが桐谷君をどついていた。
「まあ若い女の方がいいよな?空だってそうなんだろ?」
「そんなの分かるわけないよ。僕は翼しか見た事が無いんだ」
「じゃあ、私の見るか?」
「天音。夫の僕の前でそういう事言わないで」
大地が苦笑していた。
「やっぱり最初から力づくで行くべきだったのかな?」
美希はどういう方法で小学生の空に裸を見せる気だったのかが気になった。
それは僕だけでなく空も気になったらしい。
天音だってもう30過ぎてるんだ。
若さをいつまでも保ってられない。
だけど天音は余裕があるようだった。
それが僕も空も不思議だった。
「翼、私達は片桐家の娘……愛莉の娘だ!」
「それがどうかしたの?」
冬莉達も気になって来たみたいだ。
天音は得意げに語る。
「どうしてパパが浮気をしないのか考えた事ないか?」
「それはパパだからでしょ?」
「愛莉ちゃんを裏切るような真似はしないわよ」
「そうじゃないんだよ」
「え?」
恵美さんが不思議そうにしていた。
天音は一言言った。
「愛莉は私達が中学生の頃には30過ぎたババアだったろ?」
頼むから愛莉の前でその話はしないでくれ。
大体天音は自分でババアだと言ってる事に気づかないのだろうか?
気づいていたようだ。
だから僕が若い娘に目を奪われないのか不思議だったんだ。
そして天音は気づいた。
「愛莉の奴衰えを知らないんだよ」
天音がそう言うとさすがに女性陣は動揺した。
そう言えば確かに愛莉はそんなに変わってない気がする。
化粧でごまかしてるとかも聞いたことない。
天音は昔愛莉と一緒に風呂に入ったことがある。
その時に気になったらしい。
30過ぎればただのババア。
だと思っていたのに愛莉は違う。
そして自分が30過ぎて鏡をみてそろそろ大地を悩殺するのは無理かと諦めようとした時だった。
天音自身もそんなに体形を崩している様子が無かった。
二度も出産しているのに妊娠線すらない。
何よりもあれだけ大食いしてるのに体形を保っている。
片桐家の女性は衰えない。
それが天音の結論だった。
「ちょっと片桐君!それはいくら何でも卑怯じゃないの!?」
「そうよ!私達だって色々手段を考えて必死なのに反則でしょ!」
亜依さんと恵美さんが僕に詰め寄る。
僕に言わないで愛莉に言って欲しいんだけど……
「ああ、それで美希が全然変化ないのか」
空は納得していた。
「ていうか今更だと思ったんですけど」
美希が言う。
「なんで美希はそう思ったの?」
「あの頃毎年キャンプに行って帰りに銭湯寄ってましたよね?」
その時に美希は不思議に思ったそうだ。
大体は同い年の母親だと思っていたのになぜか愛莉だけ20代前半くらいの肌をしていた。
中学生でもそのくらい気にするのか……
「つまり愛莉さんの子供ならその力が手に入るのか……。冬夜!お前ちょっと愛莉さん貸せよ!」
お前は他人の妻の事を何だと思ってるんだ?誠。
「な~んだ。それならもっと早く教えてくれたらよかったのに」
冬莉が言う。
志希に「さすがにライブで露出のある服を着ているのに体型を崩すのはまずい」と言われていたそうだ。
だけど愛莉の血を継いでいる冬莉ならその心配は無いと判断したらしい。
「くそぉ……サッカーで負けて、嫁さんも冬夜に譲られて、子供の才能も冬夜に負けて……俺は冬夜に何一つ勝てないのか?」
お前それ絶対カンナに言わない方が良いぞ。
カンナが荒れるから。
「こういう時は飲むしかない!ガンガン行こうぜ!誠」
そう言って桐谷君がジョッキに生ビールを注ぎに行った時にそっと誠に伝える。
「誠司と冬吾の才能は優劣じゃない。質の問題だから気にしない方が良い」
天音と水奈の差もあるかもしれないけど、それを今言ったらどうなるかくらい誠でも分かるだろ。
「ま、まあそうだけど……」
「それに忘れてないか?」
「何をだ?」
「お前の計画では誠司郎を雪に譲ってくれるんだろ?」
「……つまりお前の血を手に入れるって事か!」
誠の表情が明るくなる。
「それは気に入らないぞ!冬吾達にもっと子供をガンガン作れって言え!」
「冬莉!ライブなんてしないでいいから志希と子供を作りなさい!」
美嘉さんと恵美さんが言っている。
晶さんまで加わってきた。
二人とも茉莉達の存在を忘れているんじゃないだろうか?
誠のテンションが上がって桐谷君と騒ぎ出す。
そんな様子を見ていると渡辺君が声をかけて来た。
「お前はどう思ってるんだ?自分の孫について」
渡辺班の中でも本当に雪と誠司郎が結ばれるのか気になっているらしい。
だから一言伝えた。
「僕の孫は多分一筋縄じゃ落ちないよ」
何年かかるか分からないけど頑張って。
誠を見ながらそんな事を考えて、また一つ新しい年を迎えた。
「残酷なシーンですね」
美希達とクリスマスに映画を観ていた。
お化けが出たりするわけじゃないんだけど、意外と美希はこういう映画を好む。
母さんはこういうの苦手だったみたいで、こういうやつとか戦争映画を嫌がっていて、父さんがFPSをやっているのもダメって言うくらいだったらしい。
どういう映画か。
死の運命を予知した青年がそれを回避した。
それを許さない死神が無理にでも死の運命から逃れた仲間たちを次々と様々な現象で殺していく話。
その殺し方がどれも残酷だった。
偶然モニタの上に置いたコーヒーが零れて内部に侵入して画面が割れる。
それがのどに刺さるとキッチンに行く。
するとつまずいてこけた挙句止血をしようとキッチンに置いてあったタオルを掴もうとすると、その上にあった包丁類がすべて自分に降りかかってくる。
終盤になるとねじ一つガムテープで固定しておかないとそれが自分の急所に突き刺さるという物。
意地になって踏切の上に車を止めて「ころせるものなら殺してみろ」と粋がる男。
仲間の説得で頭が冷えた男がエンジンをかけようとするもかからない。
慌てて車から脱出しようとするけどドアがなぜか開かない。
それでも無理やり回避して免れたと思うけど、この世界の神様並みに死神は容赦がない。
電車で破壊された車。
そのホイールのプレートですら死神は利用する。
くるくる回転していたプレートを後続の電車が跳ね飛ばして別の仲間の頭半分を切り取っていく。
似たようなネタで鉄骨を運んでいたトラックが何かの拍子でワイヤーがキレて高校生の頭部を粉砕するという漫画があった。
面白いからと読んでいたら翼に見つかって翼がそれを処分しようとする。
「ま、待って。それは僕が愛莉から守って来た大切な漫画なんだ」
「こんな残酷なん漫画読む必要ない!」
「翼の言う通りです!どうしてそう言うのを平気で読めるんですか!」
父さんは母さんだけでなく翼からも漫画を死守していた。
「別にいいじゃん。フィクションなんだし」
同級生をベランダから投げ捨てようとしていた天音がそう言っていた。
まだ生きていたお爺さんとお婆さんは笑ってその光景を見ていたな。
そして今はカミラや結達と見ている。
「ママはこういうの好きなの?」
「なんかスリルがあって楽しくない?」
「で、でも子供にみせるものじゃないんじゃないかな?」
父親としては小学生に見せるものじゃないと思って言ってみた。
「関係ないですよ。多分結は”痛いだろうな”くらいにしか思ってないから」
この前だって天音の家で戦争映画見て来たって言ってたな。
どうしてそんなものを見ているのか。
原因は善明だった。
善明が「絶対このチャンネルだけは見るな」と言って、美希が気になるからと観ていたらこの惨状だった。
善明も今頃大変だろうな。
翼はこういうの苦手だから。
秋久はともかく菫は絶対好きだろうし。
止めようにも菫が好んでいるのだから無理だろう。
当然の様に天音達も見ていたようだ。
「いつかこのテレビ局買収してやる」
善明が毎年この時期に言っていた。
水奈達は旅行に行っているらしい。
水奈の行動はさすがに天音も庇い様がなかった。
「お、おい。さすがにそれはやばいだろ」
「いや、天音。意外と男に”綺麗ですね”と言われると嬉しい歳みたいだぞ」
「お前はまだ懲りてないのか!?このバカ娘!」
「ちゃ、ちゃんと学と約束したって!」
「約束?」
母さんはそれが気になったらしい。
学は言うなと言っていたけど水奈は説明していた。
「そういう欲がまだあるなら俺がちゃんと相手するから馬鹿な真似は止めてくれ」
子供たちが大きくなったら二人でデートもいいだろう。
水奈にもそういう感情が残っていたんだな。
それに気づけなかったら学にも落ち度はある。
そう言って二人で話し合って今夜は旅行らしい。
美希は大丈夫。
そんな状況になる前に美希の要求が凄いから。
問題は天音や茜や冬莉。
天音は母さんが頻繁に大地の家に行くようになったらしい。
その分家事をさぼっているとすぐにばれるから水奈を恨んでいるそうだ。
だけど天音の夫は大地だ。
そんな情事が発覚したら大事になる。
恵美さんは「そうなるまで天音ちゃんを放っておいた大地が悪い」と言ってるそうだけど。
そうなると善明はもっと苦労してるらしい。
「翼がそうなるほど善明が構ってないなら、母さんは絶対に許しません」
「つ、翼や。僕の命が大事なら馬鹿な真似はやめておくれ」
「善明のお陰で今の暮らしが出来るのにそんな馬鹿な真似するわけないじゃない」
そんなに私信用ない?と翼は笑っていたらしい。
そういう問題なのかと思ったけど。
結とカミルは番組がつまらないのかケーキを食べ終えると部屋に戻って行った。
「でも、水奈が羨ましいな」
美希がテレビを見ながら言っていて勘違いしていた。
「女性って皆そうなの?」
旦那以外の男と寝たくなったりするの?
ぽかっ
「そうじゃなくてちゃんと夫に女性として見られているって事」
「僕だって美希の事大事にしてるよ」
やりすぎかと思うくらい。
そもそも恋人とその他の女性ってしっかり線引きする物じゃないのか?
少なくとも僕はそうしてるよ。
例えばフレーズの麻里は好きだけどそれはファンとして。
カミラが綺麗だと思ってもそれは娘として。
そのほかの女性だって同じだろ?
どんなにすごく綺麗な人がいたとしてもそれは僕には関係ない。
だって翼という存在は僕にとって別格だよ。
綺麗とか可愛いとかいう感情は抱いても「好き」という感情は絶対に生まれない。
すると美希がにこっと笑った。
「旦那様は絶対ナンパとか向いてませんね」
そこは嘘でもそう言うべきでしょ。
「今なら言えるよ?美希が大好きだよ」
「……ありがとう」
でもやっぱり僕が不器用だと美希は笑っていた。
「あのさ、私思うんだよね」
「何を?」
「渡辺班とSH、どちらも2種類の男に分けられるみたい」
「どんな風に?」
「パートナーを大事にするかそうでないか」
前者は僕や大地みたいに相手を大切にする。
だから美希や天音は絶対に馬鹿な真似はしないし、不満も持たない。
天音は十分持ってるように見えるんだけど?
「あれは半分テレだよ。絶対に私達の前でいちゃつけない」
それは多分菫や茉莉達と同じなんだろう。
そんな姿絶対に誰にも見せたくない。
見せるのは彼氏だけでいい。
「で、後者は?」
「誠さんとか瑛大さんとか」
嫁を放ってアイドル発掘やら孫娘にまで馬鹿な行動をとる。
だからいつも亜依さん達は二人で飲みにいって発散してる。
SHの方はそういう人はいないみたい。
天でさえやりたい放題の様に見えて繭には逆らえないみたいだから。
「水奈みたいなのはどうなの?」
「あ、そっか。旦那様には話してませんでしたね」
翼はそう言って笑いながら説明する。
あの事件以降、水奈を信用していないわけじゃないけどやっぱり不安な学はテレビドラマを思い出してある行動に出た。
それは寝る時に必ず水奈を抱きしめて寝るそうだ。
それだけで水奈は満足するらしい。
そのぬくもりを味わうために一生懸命に家事をするみたいだ。
それを嬉しそうに天音達に自慢していた。
「そういや大地の野郎。最近私を抱いてないな」
「お前も私と同じ真似してみるといいんじゃないか?」
「それは多分無理だ水奈」
「なんでだ?」
「あれをやったら大地は多分長生き出来ない」
恵美さんが黙っていないだろう。
「大地が天音ちゃんに構ってやらないからこうなるんでしょ!それでも夫なの大地は!」
そのくらいは言うだろう。
「……それにしても美希は相変わらずホラー好きだね」
「うーん。だって映画だし」
小学生時代に勝次の指折ってた翼はホラーを怖がっていた。
「さて、そろそろ寝るからカミル達も寝なさい」
「え?」
翼が驚いて僕から離れて振り返ると隠れていたカミル達が出て来た。
「やっぱりパパからは隠れられないか」
カミラがそう言って笑っていた。
「二人ともいつから?」
美希が聞くと「部屋に戻るふりをしてパパ達を観察してた」と答えた。
「ほら、フィクションよりもリアルの方が面白いって言うでしょ?」
リアルなラブストーリーに興味があったそうだ。
「それならカミル達も恋人と過ごせばいいのに」
「だから毎年言ってるけどそんな風にクリスマスを過ごすのはごく一部の国だけだよ」
普通は家族団欒を楽しむんだとカミルが説明する。
「……ちょっと結達見てくるね」
そう言って美希は結達が寝ているか見に行った。
あの子達はあと2年もすれば中学生なのにサンタさんを信じて早く寝ている。
それが茉奈には不満らしいけど。
「お前らいつになったら種明かしするんだ?」
結の奴下手すると親になるまでサンタを信じかねないぞ?
それは母さんに質問していたけど母さんも困ったらしい。
原因はやっぱり天音。
「なあ、愛莉。サンタに言っておいてくれ。しょぼい玩具なんかいらないから現金よこせって」
「そういう子は何ももらえないんですよ?」
「愛莉が交渉できないなら私が自分で交渉するから何時ごろ来るか教えてくれよ」
「夜更かしして朝起きれなくなっても知りませんよ」
「今は冬休みだから問題ない」
「うぅ……」
もちろん天音は計画犯だった。
「もしさ、ママが欲しいって僕が言ったらくれるのかな?」
「それは無理だね」
「どうして?」
「美希は僕だけの物だから。誰にも渡す気が無いよ」
例えサンタが相手でも譲るつもりはない。
「さすがにサンタさんでも父さんが相手じゃ無理だね」
カミルはそう言って笑っていた。
するとカミラが予想通りいう。
「じゃあ、私がパパが欲しいって言ったらいいの?」
血は繋がってないしいいでしょ?
「それも多分ダメなんじゃないかな?」
「どうして?」
カミラが聞くと僕はカミラの後ろに立っている美希を指差した。
「パパを誘惑するくらいなら彼氏に甘えなさい」
「わかってるけどさ、比呂は同じ家にいるのに何もしてくれないんだよ」
そう言って二人は部屋に戻る。
「美希だってムキになるじゃないか?」
「当たり前ですよ?空は聞いてないの?」
渡辺班やSHの女性陣がずっと言っている事。
それは「片桐家の男子を捕まえたら死んでも逃すな」だそうだ。
そんなに大したものではないと思うんだけどそうなんだな。
「じゃあ、僕は心配しないでいいね」
「何を?」
「美希が不倫するなんて事無いでしょ?」
僕が大事なんだろ?
「そうだよ。旦那様が一番大事だから。だから旦那様も私を大事にしてくださいな」
「分かってるよ」
そう言って美希と部屋に戻って聖夜を過ごした。
(2)
「まだ、優奈達には早かったのかな?」
「かもしれないな」
悠翔と茉奈はスマホでイルミネーションを撮影しながら歩いていた。
私達はクリスマスイブに一泊旅行に来ていた。
旅行と言っても別府だけど。
とはいえこの時期にあんな部屋を取るのは苦労しただろう。
そこは渡辺班の裏技を使ったらしい。
渡辺さんに相談して晶さん達に伝える。
「そういう事なら任せておきなさい」
晶さんと恵美さんが組めば出来ない事は殆どない。
すぐに部屋を手配させたそうだ。
私が馬鹿な真似をした。
当然学は怒ると思った。
正直離婚も覚悟した。
だけど学は全く違う事をした。
怒っている亜依さんと母さんから私を庇った。
学は全く悪くないのに「俺が妻の相手をしてやらなかったから俺の責任です。俺に後始末させてください」と言って頭を下げていた。
「お前こんなに嫁の事を思ってる旦那を持っているんだ。少しは頭を使って行動しろ」
母さんがそう言って帰って行ったあと私は泣いて学に謝った。
「さっきも言ったろ?俺にも非があるんだ。水奈だって頑張っているのに労わってやれなかった」
だからその償いにこの旅行を計画してくれた。
このリゾートホテルのイルミネーションは毎年凄い。
本当は温泉から見れるショーもあるんだけど優奈達が飽きて寝てしまったので断念した。
子供達を布団で寝かせると私達はベッドに入る。
子供の前でしていい行為なのかわからないけど、困っていたら学がふすまを閉めて仕切りをしてくれた。
「水奈でも恥ずかしいと思う事あるんだな」
「私だって女だぞ」
声とか大丈夫かな?
そう聞くと学は笑って言った。
私の父さんから聞いたらしい。
「神奈は意外と恥ずかしがり屋で声とか必死に押し殺してるんだ。それが萌えるって言うか……」
だから水奈もそんなに声出さないかもしれないけどそれは学が下手とかそう言うのじゃないから心配しなくていい。
「心配するのはお前の頭の中身だこの馬鹿!義理の息子に何を吹き込んでるんだ!」
あの馬鹿……
ふと思ったので学に聞いてみた。
「やっぱり学は声を出さないと不安になったりするのか?」
だとするなら恥ずかしいけど出す努力するけど。
しかし学は首を振った。
「俺が心配するのは水奈を楽しませてやれてるかどうかだけだ」
言ってる事は同じようで実は違う。
上手いか下手かというのは男自身の問題で彼女の気持ちなど無視したもの。
学はそうじゃない。
私に不要な恐怖などを与えていないか、ちゃんと喜んでくれてるか、そんな事を考えているらしい。
そういう事か。
学はいつも私の表情を見ている。
恥ずかしいから見られたくないけど。
それだけじゃない、私の動きを注意してるらしい。
癖なのだろうか。
触ってほしい所を無意識にアピールしてるらしい。
「それ他の男に言ったら殺すぞ」
「どうして俺だけで知りうる権利を放棄しなきゃいけないんだ」
そんな情報は夫婦でだけ共有すればいい事だ。
なるほどな。
「じゃあさ、今夜は逆でやってみないか?」
「どういうことだ?」
「私だってお前の妻だぞ。学を気持ちよくさせてやりたい」
「ああ、それなら心配しないでもいいよ」
「どうしてだ?」
学は少し悩んで私にそっと耳打ちする。
それを聞いた私は学に枕をぶつける。
「お前まで父さんみたいな趣味あったのか!?」
「そうじゃないだろ?」
他の女性なんて知らない。
ただ妻を抱いたら気持ちよかった。
それだけの話だ。
普通じゃないのか?
確かに学の言う通りだな。
「だから水奈は心配しないでいいから夫婦で楽しもう」
「……お前にもそういう欲あるんだな」
「余りだしたらまずいと思ったけど、違うんだなって気が付いたよ」
「当たり前だ」
嫁以外の女を抱くくらいならもっと私の事を気にしてくれ。
子供もいるのに今更になって愛し合う意味を知った。
(3)
「冬夜さんだけでも行ってきてくださいな」
愛莉は瞳子と一緒に雪の面倒を見てるからと家に残った。
僕も残った方が良い気がしたけど愛莉は「雪も大切だけど、天音達が何するかわからないから」と言うので渡辺班の年越しパーティに来ている。
相変わらず大企業の社長が僕に挨拶をしに来る。
それは4大企業だけじゃない。
その傘下の中堅企業の社長も当然のように来る。
僕に無礼を働いた企業は片っ端から潰してやる。
恵美さんと晶さんはそのつもりなんだろう。
僕と企業の社長が挨拶している様子を見ていた。
少し考えて今年から空を同伴させていた。
もう少ししたら空に椅子を譲ってもいいかもしれない。
空もそのつもりで仕事と向き合っていた。
実際今すぐ譲ってもいいくらいだ。
よくここまで成長してくれた。
SHの件もあったから大変だろうけど、その分は天音達がフォローしているようだ。
しょうもない雑魚の後始末くらいは天音と美希達でしているようだ。
恵美さんも美希は立派になったと褒めていた。
「しかし片桐君も随分変わって来たと僕は思うんだけどね」
年を重ねるごとに風格を増してきた。
この渡辺班に君臨するようなオーラをまとっていると石原君も言っていた。
「渡辺班は渡辺君の班だよ」
僕は笑って言う。
だけど様子を見ていた渡辺君は言った。
「お前好き放題やって責任は俺が取れっていうのは随分な話じゃないか?」
「昔はそうだったじゃないか」
「勘弁してくれ、俺はただのおいぼれだよ」
渡辺君がそう言うと隣にいた美嘉さんが言った。
「ふざけんな、何をジジイみたいなこと言ってんだ!まだまだこれからだぞ!」
面倒な事は子供に押し付けて遊びたい放題する時が来たんだ。
お前だって退職したら楽しむつもりなんだろ?
美嘉さんは笑ってそう言った。
「お義父さんもまだまだこれからですよ」
正俊君の妻の夏希さんがそう言っていた。
すると美嘉さんが正俊君を睨む。
「お前は少しは子供にブレーキってのを教育しろ!」
どこにこんな図体の4歳児がいるんだ。
優良児ってレベルじゃないぞ!
その正文君は波留ちゃんと一緒にせっせと食べてる。
不思議な事に波留ちゃんは全く体形が変化ない。
それが不思議だと渡辺君が言っていた。
「まあまあ、いいじゃねーか!俺達もやっと子育てから解放されたんだ!とことん盛り上がろうぜ!」
「誠の言う通りだ!俺達はもう自由だ!」
誠と桐谷君が来た。
カンナはパオラたちだけ残すのはまだ心配だと残っているそうだ。
だから亜依さんがしっかりと二人を見ていた。
「お前らは子育てに何か協力したのか?」
「学が立派になったのは俺のお陰だろ!」
桐谷君は自分を見て来たから立派になったんだと主張する。
まあ、間違いはない気がするけど……。
「ああ、そうだ!お前を見てたから自分がしっかりしないといけないと余計な重圧をかけてきたんだ!」
だから恋は一時はお前を嫌悪していたんだ。
いっそそのまま嫌悪してくれてた方が今の恋にはならなかった。
柾が女の子だったらと思うとぞっとする。
そう、結局恋が服を着るのを嫌がるのは直らなかった。
これはまずいと思い始めた時に要が言ったそうだ。
「恋、ちょっと相談があるんだけど」
「どうしたの?」
「柾の事なんだ」
「柾がどうかしたの?」
母親とは言え20代の女性の裸を見ていたら柾も色々気になりだしたらしい。
同い年の女の子すらまともに見れなくなって困ったと柾から相談を受けたらしい。
男と女の違いくらい認識する年頃だ。
少し考えてくれ。
母親に欲情するような変態物を書くつもりはないだろうけど、柾が普通に女の子を見る事が出来なくなってしまう。
そうしたら恋人……いや、女の子と話す事すら出来なくなってしまう。
要はそう言って説得したらしい。
それに恋ももう30だ。
そろそろ気にするんじゃないのか?
「それって私が老けたって言いたいの?」
「そうじゃない。俺だって妻の事をそんな風には見ないさ」
だけどそれは自分自身が感じる事なんじゃないのか?
現にわずかな皺を化粧で隠そうと必死になってるじゃないか。
「確かに最近少し緩みが目立って来て悩んでたんだよね……分かった」
そう言ってちゃんと服を着るようになったらしい。
茜達はどうなんだろう。
「親が服を着てないのに子供に言い聞かせても説得力ないと思うんだけど」
夫がそう言って説得してるらしい。
さすがに椿たちも父親とお風呂に入るのは嫌がりだす……と、思っていた。
「パパお風呂入ろう?」
「もう一人で入れるだろ?」
「私がパパを悩殺するの!」
どこでそんな言葉を覚えてきたのかは言うまでもない。
冬華も恵美さん達の話を聞いた感じ変わらないらしい。
「茜や冬莉の娘ならさぞ発育がいいだろうな。将来楽しみだ」
誠が言うと犯罪の匂いしかしないけどどうしてだろう?
「しかし要は後悔しないのだろうか?」
桐谷君が言っている。
せっかく妻の裸をいつも見れるのにもったいなくないか。
「あのさ、それなんだけど……」
話を聞いていた空が桐谷君に聞いていた。
「どうしたんだ?空」
「それ、頼めばいつでも見れるんじゃないですか?」
それにそんな状態で料理をしているのは危険だと何かで書いていた。
そもそもそんな妻と一緒にご飯を食べて美味しいのだろうか?
ぽかっ
美希に小突かれていた。
「私はそんな真似絶対にしないから心配しないでいいですよ」
「いや……でもさ」
「心配しないでいいよ」
空は美希に絶対に逆らえないらしい。
まあ、片桐家なら仕方ないな。
「なんだ?瑛大は私の裸が見たいのか?」
「いや、さすがに50過ぎたババアの裸なんか見たって……」
「ば、馬鹿瑛大やめとけ!」
桐谷君は話してる相手の事すら考えてないらしい。
「誰がババアだ?この変態ジジイが!」
「亜依だって若い男に抱かれたいだろ!」
「お前は私を馬鹿にしてるのか!?言っておくけどお前以外の男性と関係を持ったことはないぞ」
「え、そうなの?」
なんで桐谷君が驚いてるんだろう。
「片桐君が渡辺班のリーダーならこのバカ二人に言ってやって」
「いや、それは渡辺君だろ?」
「だから俺に面倒事を押し付けるな」
いつも無茶振りしてるのは渡辺君達じゃないのか?
でも僕が言って意味があるのだろうか?
翼達もいるから言いたくないんだけどいうしかないか。
「誠も桐谷君と同じなのか?」
「どういう意味だ?」
「お前もカンナを抱けないとかあるのか?」
まあ、答えは聞いてるんだけど。
誠は予想通りにやりと笑っていた。
「んなわけないだろ!誠司に負けられないからな!毎晩愛情を注いでるんだぜ!」
知ってるよ。
お前が夜中に「神奈愛してる!」って叫んでいるから却って誠司が気まずいとパオラが相談してたらしい。
さすがにカンナに言えないから瞳子に言った。
瞳子に言えばもちろん愛莉に話しながら料理をしている。
「冬吾はどうなの?」
「それがおかしいんですよ」
「あの子何したの?」
そろそろいいかな?
そう定期的に瞳子に相談しているらしい。
体調的には大丈夫だけど雪がいつ泣き出すか分からないから集中できないらしい。
すると愛莉は笑っていた。
「やっぱり冬夜さんの子供なんですね」
「ってことは冬夜さんも?」
「ええ、天音を作るまでにちょっと時間がかかった原因なの」
そういう話を僕や冬吾が聞こえているところでするのは止めて欲しい。
「ってことはパオラ気づいてるのか?」
「だろうな。絶対にカンナに言うなよ?」
そのくらい誠でも分かるだろ。
分かってないのは桐谷君だった。
「誠、お前いつからババアが趣味になったんだ!?」
「お前は他人の嫁に何て言い草だ。馬鹿が!」
亜依さんが桐谷君をどついていた。
「まあ若い女の方がいいよな?空だってそうなんだろ?」
「そんなの分かるわけないよ。僕は翼しか見た事が無いんだ」
「じゃあ、私の見るか?」
「天音。夫の僕の前でそういう事言わないで」
大地が苦笑していた。
「やっぱり最初から力づくで行くべきだったのかな?」
美希はどういう方法で小学生の空に裸を見せる気だったのかが気になった。
それは僕だけでなく空も気になったらしい。
天音だってもう30過ぎてるんだ。
若さをいつまでも保ってられない。
だけど天音は余裕があるようだった。
それが僕も空も不思議だった。
「翼、私達は片桐家の娘……愛莉の娘だ!」
「それがどうかしたの?」
冬莉達も気になって来たみたいだ。
天音は得意げに語る。
「どうしてパパが浮気をしないのか考えた事ないか?」
「それはパパだからでしょ?」
「愛莉ちゃんを裏切るような真似はしないわよ」
「そうじゃないんだよ」
「え?」
恵美さんが不思議そうにしていた。
天音は一言言った。
「愛莉は私達が中学生の頃には30過ぎたババアだったろ?」
頼むから愛莉の前でその話はしないでくれ。
大体天音は自分でババアだと言ってる事に気づかないのだろうか?
気づいていたようだ。
だから僕が若い娘に目を奪われないのか不思議だったんだ。
そして天音は気づいた。
「愛莉の奴衰えを知らないんだよ」
天音がそう言うとさすがに女性陣は動揺した。
そう言えば確かに愛莉はそんなに変わってない気がする。
化粧でごまかしてるとかも聞いたことない。
天音は昔愛莉と一緒に風呂に入ったことがある。
その時に気になったらしい。
30過ぎればただのババア。
だと思っていたのに愛莉は違う。
そして自分が30過ぎて鏡をみてそろそろ大地を悩殺するのは無理かと諦めようとした時だった。
天音自身もそんなに体形を崩している様子が無かった。
二度も出産しているのに妊娠線すらない。
何よりもあれだけ大食いしてるのに体形を保っている。
片桐家の女性は衰えない。
それが天音の結論だった。
「ちょっと片桐君!それはいくら何でも卑怯じゃないの!?」
「そうよ!私達だって色々手段を考えて必死なのに反則でしょ!」
亜依さんと恵美さんが僕に詰め寄る。
僕に言わないで愛莉に言って欲しいんだけど……
「ああ、それで美希が全然変化ないのか」
空は納得していた。
「ていうか今更だと思ったんですけど」
美希が言う。
「なんで美希はそう思ったの?」
「あの頃毎年キャンプに行って帰りに銭湯寄ってましたよね?」
その時に美希は不思議に思ったそうだ。
大体は同い年の母親だと思っていたのになぜか愛莉だけ20代前半くらいの肌をしていた。
中学生でもそのくらい気にするのか……
「つまり愛莉さんの子供ならその力が手に入るのか……。冬夜!お前ちょっと愛莉さん貸せよ!」
お前は他人の妻の事を何だと思ってるんだ?誠。
「な~んだ。それならもっと早く教えてくれたらよかったのに」
冬莉が言う。
志希に「さすがにライブで露出のある服を着ているのに体型を崩すのはまずい」と言われていたそうだ。
だけど愛莉の血を継いでいる冬莉ならその心配は無いと判断したらしい。
「くそぉ……サッカーで負けて、嫁さんも冬夜に譲られて、子供の才能も冬夜に負けて……俺は冬夜に何一つ勝てないのか?」
お前それ絶対カンナに言わない方が良いぞ。
カンナが荒れるから。
「こういう時は飲むしかない!ガンガン行こうぜ!誠」
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そんな様子を見ていると渡辺君が声をかけて来た。
「お前はどう思ってるんだ?自分の孫について」
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だから一言伝えた。
「僕の孫は多分一筋縄じゃ落ちないよ」
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