姉妹チート

和希

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(1)

 雪は黙々とお弁当を食べながら何かに夢中になっていた。
 それが気になった誠司郎は「何をしているの?」と近づいていた。
 すると雪はそれを隠して誠司郎を威嚇する。
 想像していなかった誠司郎は困惑していた。

「雪、皆に見せてあげてくれないかな?」

 瞳子がそう言うと雪はそれを仕方なさそうに瞳子に渡した。
 瞳子はそれを誠司郎に見せた。

「絵が上手だね」

 誠司郎は褒めていたが、雪はそれを無視してお弁当を食べていた。
 何を描いたのか気になったので僕も瞳子に見せてもらう。
 綺麗な桜の木だった。
 これを雪が描いたの!?

「この時期の子供はお絵描きとか隙みたいなのでクレヨンとスケッチブックを買ってあげたんです」

 すると見事な絵を描いていた。
 丹下さんも称賛するほどの絵だった。

「この子の将来は画家なの?」

 恵美さんが聞くけど父さんは「まだ分からないよ」と言っている。
 それにしても雪の誠司郎に対する反応はどういう事だろう?

「最初はそうでもなかったんだけど、近頃誠司郎を避けるようになったみたいで」

 瞳子が説明してくれた。

「片桐家は多田家に何か恨みでもあるのか?」

 誠さんが言う。

「そういうわけじゃないよ」

 父さんは一言そう言っただけだった。

「じゃあ、どうしてこうなるんだ?」
「そういう話は孫のいないところでしたいんだけどね」

 父さんが言うとこっちを睨んでる雪に気付いた。
 父さんは雪の心を読んだ?

「冬吾も雪の父親なんだ。娘の気持ちくらい汲んであげないと」
「冬夜さん、母親でも雪の気持ちは難しいんですよ」

 母さんが言うと、父さんはクスリと笑った。

「愛莉ならともかく瞳子なら気づくと思ったんだけどね」
「え?」

 瞳子なら気づく?
 どういう意味だろう。

「まあ、そういう話にするなら河岸を変えないか?僕もちょっと話しておきたい事があるし」

 ここからは父さん達だけで話がしたいと言う。
 どうしたんだろう?
 父さん達は別の店に飲みに行って僕達だけは家に帰った。
 雪を風呂に入れて寝かしつける。
 まあ、勝手に寝るんだけど。

「こうしてゆっくりできるのは久しぶりですね」

 瞳子が言う。
 ああ、父さんは二人っきりの時間をくれたのか。
 感謝しながら瞳子とのんびり過ごす。

「それにしても雪の真意って何なんでしょう?」
「瞳子なら分かるって言ってたけど、思いつかないの?」
「ええ、考えてはいるんですけど全く見当がつかなくて」

 一体雪は何を考えているのだろう?
 あの子が産まれながらにして抱えている闇に気づくのにまだしばらくの時間が必要だった。

(2)

 僕達はタクシーで繁華街の中にある店に入った。
 お酒を注文すると誠が言い出した。

「で、話ってなんだ?」
「ああ、大したことじゃないんだ」

 さっき言っただろ?
 僕達はやっと子育てと言う重労働から解放された。
 孫の事も心配だけどとりあえずはひと段落着いた。

「それとさっきの話とどうつながるの?」

 亜依さんが言う。

「それを誠と桐谷君にアドバイスしようと思ってね」
「アドバイス?」

 誠が聞いてくると僕は頷いた。

「誠は多分大丈夫だけど、さっきの様子を見ても桐谷君には一言言った方が良いと思ってね」
「どういうことだよ?」
「桐谷君の家も千帆達が大学卒業して子供は皆巣立ったんだろ?」
「まあ、そうだけど?」
「だったら桐谷君は一言言ってあげてもいいんじゃないか?」

 確かに桐谷君も大黒柱として懸命に働いてきた。
 でも愛莉とかはともかく亜依さんや穂乃果さんは仕事をしながら育児や家事も頑張ったんだ。
 本当は僕がこうやって声をかけなくても二人でゆっくり「お疲れ様」と飲むべきなんじゃないのか?

「愛莉も天音や茜や冬莉に手こずって今でも苦労してるけど、多分一番頑張った主婦は亜依さんだ」

 管理職と言う役割をこなしながら遊でさえ結婚して性格が直るくらいに、他に問題を起こす子供がいないくらいに頑張ったんだ。
 それは亜依さんの努力の結晶だよ。
 そんな亜依さんをいたわってあげるのが夫の桐谷君の仕事だろ?
 
「確かに亜依は私達の中で一番苦労してそうだな」

 カンナもそう思ったらしい。
 本当は桐谷君に花束を買わせて亜依さんに渡してあげてもいいんじゃないかとカンナもそう思ったらしい。

「それなら誠だって同じじゃないか!」

 4人の子供をちゃんと育てたんだ。カンナをねぎらうべきじゃないのか?
 そうか、桐谷君は知らないんだな。

「ばーか、俺はちゃんと毎晩神奈に……」
「誠!それは絶対に言うな!言ったら絶対許さないからな!」

 カンナが怒っている。
 しかしこういう時の愛莉は本当に近所のおばちゃんモードになる。

「いいじゃん、神奈。私だって冬夜さんがそうなんだよ」
「え?愛莉は知ってるの?教えてよ、神奈は誠君に何してもらってるの?」

 亜依さんが愛莉から聞こうとすると恵美さん達も愛莉に聞いていた。

「愛莉でも絶対に許さないぞ……って待てよ。おかしいな」

 カンナは気づいたらしい。
 誰が愛莉に教えたのか?
 カンナが喋ったという事は無い。
 すると愛莉はくすりと笑って言う。

「パオラと誠司君が困ってるって瞳子から聞いたの」
「……ってことは誠司達は聞いてたってわけか!」

 そう言ってカンナは頭を抱える。
 その後誠を睨みつけて言った。

「だからあれほど声がでかいって言っただろ!この馬鹿。私は明日からどの面下げてパオラと接したらいいんだ」
「いいじゃないか。俺達だってこのくらい愛し合ってるんだから誠司達も頑張れって……いてぇ!」
「言えるか馬鹿!」
「……って待ってよ。つまりそういう事?」

 恵美さんは感づいたらしい。
 そうなると恵美さんと晶さんは態度が変わる。
 自分の夫を睨みつける。

「そういえば最近望は相手してくれないわね」
「善君もそう。どうしてかしら?まさか瑛大みたいにおばさんは抱けないなんてふざけた事言いださないでしょうね」
「命に賭けて誓うよ!それだけは絶対ない!」
「まだひょっとしたらひ孫が見れるかもしれないのにそんな自殺行為しないよ」

 石原君と酒井君が必死に言い訳している。
 しかし理由が上手く思いつかなかったみたいだ。

「もう歳だし疲れてるんじゃないか?」

 それは絶対にダメだと思うんだけど。

「やっぱりババアは抱けないって言うわけ!」

 ほら、怒り出した。

「でも、冬夜さんは相手してくれるよ」
「それはこの前天音達が言っていたよ」

 そういや誇らしげに言っていた。
 片桐家だけがチートじゃない。
 遠坂家だって十分チートなんだ。
 天音が言ってる事はあっていた。
 愛莉はこの歳になっても肌荒れも体形が崩れたりしたりも全くない。
 年齢を詐称してるんじゃないかって僕も疑うくらいだ。

「なんで冬夜ばっかりいい目見るんだよ!亜依なんて矯正してるけどやっぱりたるんできてるんだぜ!」

 だからそういう燃料を注ぐのをやめて欲しいんだけど。
 
「お前は嫁をそういう風に見ていたのか!?」
「亜依だって俺みたいなジジイに抱かれたいと思わないだろ?」
「じゃあ、愛莉はともかく神奈はどう説明するんだ!?」
「そんなの簡単だぜ」

 誠。頼むからこれ以上燃料を注ぐな。
 そんな願いも虚しく誠は余計な事を言った。

「神奈は垂れる部分が元からないからな……いてぇ!」
「お前は自分の嫁が気にしていることをよく平気で言えるな!」
「でも抱いてもらってるんでしょ?」

 それならいいじゃないかと愛莉は言う。

「ああ、そういや遊が言ってたぜ」

 桐谷君がまた余計な事を言おうとしている。
 渡辺君達と一緒に逃げ出したいくらいだ。

「お前らも何か絶対隠してるだろ!逃がさねえからな!」

 美嘉さんがしっかり出口を固めていた。

「で、何を言っていたんだ?」
「あのさ誠。学が遊に笑って話してたらしいんだ」
「そ、そろそろ。出ようか?」

 渡辺君が話を中断しようとしたけど無駄だった。
 相変わらずこの二人に僕達は苦しめられる運命らしい。

「水奈にあまり期待しないでくれ。母さんの娘だからと聞いていたんだけど水奈のやつ結構あるみたいで悪戯で水奈にどういうことだ?と言ってたそうなんだ」
「……まじか?俺が見た時は神奈と大差なかったぞ」
「私も中学生くらいの時に大きくなっていたのは知っていたけど……そこまでなのか」

 カンナは怒ったり沈んだり忙しいみたいだ。

「そう言えば天音も言ってました……茉莉は意外と成長が早いみたいです」

 そんな気はしてた。
 あれだけ菫が挑発したんだ。
 悪戯を思いついたんだろ。
 さすがに気まずいと思った誠が話題を変えた。

「そういや、雪の今日のあの態度はなんだ?」
「ごめんなさい。あの子どうも人見知りが激しいみたいで」
「そういう感じじゃないだろ?どう見ても敵意むき出しだったぞ」

 片桐家は多田家に何か恨みあるのか?
 カンナがそう聞いていた。

「比呂はいい娘に育ちそうなのにな。性格だけが問題なんじゃないのか?」
「あの2人の子供だものね。きっと何かしら才能を発揮するよ」
「冬夜の血筋でやる気がある奴ほど怖い奴はいないからな。楽しみだ」

 木元先輩まで言っていた。
 しかし奥さんの花菜さんは僕に気づいたみたいだ。

「やっぱり雪の事気にしてるの?片桐君」

 花菜さんが言うと皆が僕を見る。

「まさか雪はまだ何か隠しているのか?」

 カンナが聞いていた。
 まあ、隠していると言えばそうなるけど……これは雪の事を考えたらカンナ達には言えないな。

「祖父の立場として結を傷つけたくないから詳しくは話せない。ごめん」
「あれ?冬夜さんは雪の心が分からないって言ってませんでした?」

 愛莉が気づいたみたいだ。

「どういうことだよ?」

 誠が聞いてくる。
 あの子の気持ちの問題だ。
 だから話せる範囲で話すことにした。

「まず言っておくけど不安が一つ解けただけ。不可解だったことが明らかになっただけ」
「だからなんだよそれ?」
「僕達は難しく考えすぎていたみたいだ」
「意味わからねーぞ」

 カンナが聞いた。
 だから説明した。
 あの子はまだちょっと早い気がしたけど感情的には普通の子供なんだ。
 あの子はまだいろいろな事を知らない。
 だから不安なんだ。
 あまり知らない人と一緒になりたくない。
 瞳子や冬吾から離れたくない。
 年齢的に考えたら普通だろ?

「つまり誠司郎が怖いから威嚇したって事か?」
「……まあ、大体はそんな感じ」
「片桐君、隠し事案外下手だね」

 椎名さんが言っていた。
 この人はごまかせなかったようだ。

「どういうことだ?」

 渡辺君も気になったらしい。
 援護が欲しい。
 愛莉が気づいてくれるかどうか賭けてみるか。
 
「あの子は僕の孫。ただそれだけ」

 比呂よりも僕に近いみたいだ。
 カンナも愛莉も思い出して。
 僕が小さい時異性に対してどうしてた?
 すると愛莉は気づいたらしい。

「……あの子は別に誠司郎を嫌ってるわけじゃない」

 そうですね?と愛莉が微笑む。

「意味が分からねーぞ。明らかに敵意むき出しだっただろ」
「神奈。少し自分を振り返ってみて」

 愛莉でさえそうだったんだから。
 カンナも気づいたのだろうか。

「なるほどな……それで怯えているのか」

 そう言って笑っている。

「いい時間だしそろそろ出ようか」

 渡辺君が言うと皆店を出てタクシーで家に帰る。
 さすがに冬吾達も眠っているようだ。
 僕達も風呂に入って寝るようにした。
 ベッドに入ると愛莉が抱き着いてくる。

「ねえ冬夜さん」
「どうしたの?」
「やはり冬夜さんの中では雪と誠司郎だと思ってるんですか?」

 僕の中ではもう決まってるんでしょ?
 愛莉もそこまで見抜くようになったか。

「……愛莉はどっちなの?」
「……冬夜さん。私は冬夜さんを手に入れる事が出来たお嫁さんですよ?」

 雪は僕に似ている。
 その一言で複雑なパズルが解けたような表情をしていた。
 だけどその答えは敢えて口にしない。
 きっとあの子がこの世界で生を受けたのなら、何かしらの事件が起こるだろう。
 今はただ見守るだけだった。
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