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輝く6等星
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(1)
8月になった。
皆で山にキャンプに来ている。
DOLLを壊滅させて以来、すっかり平和になった。
昔のアニメであった。
平和を目指して戦った兵士は戦争が終わっても変わらない現実に嫌気がさしてクーデターに参加した。
だけどそれは建前だった。
本当は平和な世界が怖いんだ。
だってそんな世界が訪れたら自分たちは不要になる。
自分は必要とされない世界。
そんな世界を認めたくなかった。
だから戦いを起こす。
だけど同じ兵士だった主人公が言う。
「俺はあと何人殺せばいい?教えてくれ」
何人殺せば平和になる?
皆が安心して暮らせる世界が始まる?
思い出せ。
俺達は何のために戦って来た?
俺達が作り出した平和を少しだけ信じてみろ。
そんなやりとりをしていた。
俺も同じかもしれない。
DOLLという能力者を全て始末した。
もうFGはいない。
俺はもう必要じゃない。
そんな世界で俺はどうやって生きていけばいい?
子供ながらにそんな事を考えいた。
敢えてSHに挑む?
そんなつもりは毛頭ない。
俺なんて本当はいない世界の方がいいんだ。
だけどそんな世界で俺は生きて行かなきゃいけない。
そんな事を考えながら夜空を見ていた。
深い夜の闇に飲まれないよう必死に輝く星。
まるで俺のようだった。
そんな風に夜空を眺めていたら茉奈がやって来た。
「皆花火で遊んでいるのに結は何してるの?」
夜空でも見てた?と茉菜は笑っていた。
「ちょっと考え事をしていただけだ」
「悩み事?お姉さんが相談に乗ってあげようか?」
2ヶ月くらい生まれが早いくらいでお姉さん?
「あの星見えるか?」
「どれだよ?」
そう言いながら俺の隣に座る茉菜。
無数に散らばる夜空の星の中で微かに見える星を指差した。
「あの星がどうかしたの?」
「あの星が俺に見えてさ」
「なんで?」
必死に輝こうとしている姿が俺に見えた。
自分の存在理由を示そうと必死になる俺と重なって見えた。
「またそんな事考えてたの?」
茉菜はそう言って笑う。
おかしなことだろうか?
FGという脅威が無くなったら俺の存在意義なんて無いに等しい。
むしろ俺の存在が危険だって皆思うかもしれない。
そんな世界を一人で生きなきゃいけない。
そんな話を茉菜にしていた。
「結は自分の事をそういう風にとらえていたんだね」
「まあな……」
前に読んだ漫画で主人公が葛藤する話があった。
主人公は消防士。
火災なんてなければいい。
だけど自分は消防士。
そんな世界が訪れたら自分の存在価値がなくなってしまう。
本当は火災がなくなればいいなんて嘘じゃないのか?
そんな風に悩みながらも自分の使命を全うする。
やめたいと思った。
災害が起きて救助するたびに称賛される主人公。
だけど災害がないのが一番なんだ。
望まない災害が起きて自分たちが出動すると称賛される。
誰かが悲しむ災害の時にだけ求められるのが自分だと葛藤する主人公。
「それでも望んでいる人がいる限りお前は続けるべきだ」
確かに主人公が才能を発揮する時は人が喜ぶ時じゃない。
それでも主人公が必要なんだ。
同僚の言葉を受けて主人公は消防士を続ける。
俺も同じだ。
俺の才能が必要な時なんて来ない方が良いに決まっている。
俺の存在自体が世界にとって危険なんだ。
俺はこの平和な世界でどうやって生きていけばいい?
もう俺はあの星の様に今にも消えそうな光なんだ。
「何を知ったかぶってるの?」
え?
「結があの星と同じ?自分の事だから気づかない?」
「茉奈は違うというのか?」
「当たり前だよ。結があんなちんけな星であるはずがない」
例えるなら太陽だという。
今は夜だから地球の裏側でに輝いている。
今は夜だから影になって何が起きてるかわからない。
だから俺が全部をさらけ出して馬鹿な連中が悪さしないように見ておかないといけない。
俺が必要とされるかそうじゃないかなんてまだ分からない。
だってこの世界を左右出来るほどの力を持っているんだから。
善と悪。
どちらにでも転ぶ年頃だ。
この世界を闇に染めるか光で照らすかは俺自身の気持ち。
俺がいるから輝ける人間がたくさんいるんだ。
空や冬吾達よりももっと強い光が俺。
道を間違えなかったら2人よりもたくさんの人に幸せにすることが出来る力。
この先に待ち受けるあらゆる困難を振り払うための俺だけの宝物。
だから堂々としていたらいい。
闇夜の中にいるから結を求めている人に気づかないだけ。
だからこっちに来て皆と一緒に騒ごう。
不思議だな。
「茉奈と一緒だとそんな風に思えるよ」
「だったらいつでも一緒にいるよ」
「そうだったな」
そう言うと茉奈は俺の頬にキスをした。
誰も見てないからだろうか?
誰も見てないと茉奈は大胆になるんだな。
「いいか、この事は私と結だけの秘密。他人に言ったら殺すぞ」
「それは無理だろ?」
「結は優しいのか冷たいのか分からないよ」
そろそろ花火が終わって夜食だろうから行こう?
俺もラーメンが楽しみなんでしょ?
そう言って茉奈が立ち上がると俺も立ち上がる。
「あとさ、もう一つだけ言わせてくれ」
「どうしたの?」
茉奈が言うと俺は茉奈を抱きしめた。
「きゅ、急にどうしたの?」
慌てる茉奈に耳元でささやく。
「ありがとう。茉奈のお陰で俺の将来が決まった気がする」
「そこに私はいるの?」
「茉奈じゃなくて誰がいるんだ?」
「……そっか」
俺の進むべき道。
こんな力でもきっと役に立てる。
それを教えてくれたのが茉奈だった。
(2)
「初ステージにしては少し物足りないな」
「その割には足が震えてるよ?亜咲」
「む、武者震いってやつだ」
やっぱり同じじゃないか。
俺もギターを準備して用意していた。
「出番だよ。しっかり派手に決めておいで!」
樹理達の母親の麻里が言うと立ち上がる。
「それじゃ、よろしくお願いします!」
樹理の掛け声でみんなを奮い立たせるとステージに立つ。
地元の公園にこんなに人が集まるんだな。
樹理のMCの間にギターのチューニングをして亜咲と音合わせをする。
亜咲は口だけじゃない。
しっかりベースのテクを学んでいる。
それは将弥のドラムもそうだった。
将弥のドラムでリズムをとって演奏を始めると俺がリードしていく。
変則的なリズムの演奏だけどしっかりと将弥と亜咲がサポートする。
そしてそんな演奏に後れを取ることなく樹理が歌い始める。
楽曲は将弥が作詞作曲していたらしいけど、俺も作曲に参加していた。
色々文句を言いながらもベースのコードを考えている亜咲。
「ねえ、こんな歌詞どうかな?」
樹理もそう言って曲作りに参加する。
それは甘ったるいラブソングではなくて過激なロック調の曲。
たまに俺も歌に参加してデュエットをする。
すると偶に亜咲が悪戯をする。
もっと自分が目立とうとベースを激しく弾く。
そんなに目立ちたいのならギターの方がいいんじゃないのか?と思ったけど亜咲は答えた。
「お前にはこのベースの渋さがわからないのか!」
ちょっとバンドやっててカッコいいだろ?的なギターと一緒にするなと言っていた。
亜咲はギタリストを敵に回すつもりかと思ったけど。
全部で5曲やると樹理が挨拶してステージを降りるとアンコールの声が聞こえた。
俺達はもう一度ステージに立って準備していたアンコール曲を演奏する。
そうして俺達の初ステージは終わった。
「へえ、悠翔君だっけ?始めてどれくらいなの?」
「1年くらいです」
「1年でこれか、俺ものほほんとしてられないな」
樹理の父親の将門さんが言ってた。
恵美さん達がしっかり送るし母さん達も「飲みすぎるなよ」というだけだったので打ち上げに参加する。
「で、バンドの実力は分かったんだけど、樹理とはどうなの?」
少しは進展したのか?と母親の麻里さんが質問してきた。
「休みの日はバンドの練習してるから」
デートすらしたことがない。
まあ、一緒にいる事に代わりはないから問題ないだろうと思っていたけどあったみたいだ。
「あのさ、少しは彼女の事を考えてあげなよ」
「か、母さん。それは毎晩ちゃんとメッセージくれたりしてるの」
「それだけなの?」
恵美さんが来た。
「水奈がちゃんと家事をしだしたから悠翔の時間はあると言ってたわよ」
神奈さんから聞いたらしい。
「……とりあえず夏休みの間にデートくらいしなさい!」
毎日練習してるわけじゃないでしょ。
「でも妹の夏休みの宿題見てやらないといけなくて」
さすがに中学生の授業になると母さんには理解できなくなったらしい。
「そうやって言い訳作って彼女に構ってやれないというのは通じないわよ」
「恵美さんの言う通りなんだ。樹理も結構気にしててさ」
「ちょっと将弥!それは秘密だって言ったでしょ!」
将弥が何か言おうとすると樹理が止めていた。
「キスもしてくれないから私魅力ないのかな?って」
「なんですって?」
将弥が言うと恵美さんの表情が険しくなっていく。
それを宥めようとする望さん。
「てめぇ!樹理の何が気に入らないんだ!毎晩お前に見られてもいいように下着を選んでるんだぞ!」
「ちょっと待ってよ亜咲!なんであんたがその事知ってるのよ!」
「亜咲!あなたまだやってたの!?」
亜咲は浴室まで梯子を使って樹理の入浴を覗いてるらしい。
「だから樹理の体形なら俺に聞け!俺は目をつぶったらしっかりと樹理のシルエットが……」
「ふざけんなこの変態!だから彼女ができないんだよ!」
俺は少し安心していた。
俺の妹達の様に裸で父親を誘惑しようとはしていないらしい。
しかし恵美さんはそうじゃなかった。
「あなた本当に瑛大の孫なの!?自分の彼女の裸くらい興味持っても誰も咎めないわよ!?」
「悠翔。母親の私がいうのもなんだけど結構いい線いってるのよ」
「母さんもそれ以上言うの止めて!」
俺もだけど樹理の方が大変みたいだ。
とりあえず夏休みが終わる前にキスくらいしろ。
それができないなら活動休止させる。
「ま、バンドの為にも頑張ってくれ」
兄の将弥はそう言って笑っていた。
家に帰るとさっそく樹理にメッセージを送っていた。
「明日空いてるか?」
「え?その気になったの?」
「バンド存続の危機だしな」
「私よりバンドが大事なんだ?」
どうして女子というのは彼氏を困らせるのが得意なんだろう?
「樹理に構ってやれなかったのは事実だからさ。一日にくらい2人で過ごさないか?」
「いきなり全部あげるなんてしないよ?」
「知ってるよ」
「……少しは亜咲を見習って私に興味持ってよ」
俺にどうしろというんだろう。
次の日樹理の家に迎えに行くとバスで駅ビルに行って映画を見る。
そのあとフードコートで昼食を食べる。
樹理は食べるもので悩んでいた。
どうしてだろう?
「い、いや。悠翔にその気がないならいいんだけど……」
余り匂いのきついのを食べたらキスする時に口臭気になるんじゃないかと思ったそうだ。
「女子高生でもうどんを食べるらしいぞ」
茉莉達が言ってたから間違いないだろう。
茉莉の食欲は参考にならないけど。
「さすがに彼氏との初デートでそれは無理」
そう言ってチキンバーガーを食べていた。
その後お手洗いでうがいとかしてたみたいだけど。
「この後どうするの?」
カラオケルームでも私はいいよ?
樹理はそう言うけど俺は最初から父さんにお勧めのスポットを聞いていた。
駅のそばのSAPは他のSAPとは少し違う。
屋上に観覧車があった。
そこに向かうと2人で観覧車に乗る。
「ここなら誰にも見られないだろ?」
「私とキスするの見られたくないの?」
「女子は違うのか?」
「え?
俺はまだ中学生だ。
異性とデートをするだけで照れくさくて恥ずかしい。
手を繋いで歩いているのを友達に見られたくないと思う年頃なんだ。
そう説明すると樹理は笑って俺の手をとった。
その時に気づいた。
樹理も緊張しているんだ。
「私だって悠翔と同じだよ」
亜咲に色々ばらされた時はハラハラした。
でもこの世界で恋人なのにキスもしてくれないというのは不安だった。
俺が嫌だと思ってるのかなと思ったそうだ。
だけど優奈や愛菜が口をそろえて樹理にアドバイスしたらしい。
「この世界の男子は基本的にチキンだ!」
肉食と呼べるのは祖父の瑛大か誠くらい。
それでも父親の学は奥手だったって母さんから聞いたらしい。
神奈さんよりはあると自負していた胸でも父さんは興味を持たなかったから母さんは自分の事を妹扱いしてないかと思ったらしい。
だけどそれでも祖母の神奈さんや亜依さんが言う。
「女は受け身という考えを捨てろ!女から勝負に出ないと後悔することになる」
だから今日はチャンスだ。
絶対に逃すな。
そんな事を聞いてるうちに頂上に到達しようとしていた。
しっかりと樹理の肩を支えて樹理の唇に唇を近づける。
樹理も子刻みに体を震わせながらも目を閉じて待っていた。
初めてのキスを済ませて観覧車を降りる頃には自然と樹理と手を繋いでいた。
思ったほど難しいことではなかった。
これでミッションはクリアしたと思っていた。
「その様子だともう少し先まで行ってみる?」
私の部屋なら将弥たちは入ってこないし、母さんも悠翔ならいいって言ってたから。
俺は笑顔で断った。
「俺の爺さんの誠さんなんだけどな……」
孫娘の声が気になるらしい。
亜咲とかもそうなんじゃないか?
「確かにあの馬鹿をどうにかしないといけないね」
「……例えばクリスマスとかには優奈も愛菜も彼氏と過ごすと思うんだ」
父さんも母さんもそんなに厳しくないから。
「じゃあ、クリスマスプレゼントは私って言えばいいの?」
「それ本当にやるとドン引きすると思うぞ?」
「それもそっか」
そんな初めてのデートを済ませて家に帰る。
風呂に入ってるとメッセージが届く。
亜咲からだった。
「お前、そんなムードでなんで最後までやらなかったんだよ!」
カラオケとかネカフェとか色々場所はあるだろ!
亜咲はそんなところで初体験を済ませたいのか?
「悠翔。この馬鹿のいう事は気にしなくていい!」
「……亜咲にも彼女が出来たら変わるかもしれないな」
そう言って将弥は笑っていた。
(3)
「しかし麻里の娘達も予想通りいいセンスしてるわね」
「ええ、あの子達も小さい時からの夢だったらしいから」
僕と恵美は将弥達を家に帰した後フレーズの二人と続けて飲んでいた。
まさか悠翔までそんな才能があったのは驚きだった。
このままUSEもIMEも順調に行くと思えた。
あとは大地達にバトンを渡すだけと思っていた。
しかし事態は全く予想外に進む。
僕のスマホが鳴る。
スマホを見ると東京支社長の中村さんだった。
「オフの時に仕事の電話をするなと言っておいたはずなのに」
恵美の機嫌が悪くなる。
そうなるから中村さんも気を付けていた。
その中村さんから電話が来る。
USEの仕事は殆ど大地に任せてある。
ただ事じゃないと判断した僕は恵美に断って会場を出ると電話をこちらからかける。
「すいません。今日のフェスどうでした?」
「凄い新人が出て来たよ。まさかそれだけじゃないよね?」
だったとしたら中村さんの首くらい飛ぶよ?
「ええ。明日にしようとも思ったのですがさすがに気になったので」
「何があったの?」
「実は……」
うちの看板タレントがレギュラーの番組がレギュラーから降板、もしくは番組終了らしい。
すでに撮影に入っていた次クールのドラマも中止になって違う番組を大慌てで作っているそうだ。
テレビ局的にも痛い損害なのになぜ?
しかも一つや二つじゃない。
山本環奈主演のドラマ等も打ち切りらしい。
まるでテレビ業界がUSEを潰しにかかってるともとれる行動。
「ちょっと恵美や大地達と相談する」
「俺も来週にでもそちらに伺います」
そう言って会議の約束をすると会場に戻った。
僕の表情を見て恵美は察したらしい。
「ちょっと仕事のトラブルあったみたいだから私達先に失礼するわね」
「何かあったんですか?」
麻里が聞いている。
「大丈夫。心配する事無いから」
そう言って恵美と会場を後にした。
車の中で恵美に中村さんから聞いたことを説明する。
意外にも恵美は冷静だった。
「何かの圧力がかかってるって事ね?」
「僕もそう思う」
うちの事務所に対してそんな真似を出来るのは何かあるに違いない。
「で、望はどうするつもり?」
「USEは大地に任せてる」
片桐君じゃないけどそろそろ代替わりをしてもいいんじゃないか?
そう恵美に相談してみた。
「ちょうどいいかもしれないわね。このくらい大地達に対処させるべきかもしれない」
恵美も同感だったようだ。
後日中村さんが来ると5人で会議をした。
音楽、ドラマ、バラエティ。
あらゆるジャンルでUSEを潰しにかかってるのは間違いないらしい。
「んなもんテレビ局作った方が早いんじゃないか?」
天音は相変わらずだった。
しかし大地は冷静だった。
「その敵対勢力を見極める必要はありますね」
USEがでかい勢力とは言え業界全てにボイコットされたら敵わない。
「で、大地はどうするつもりなの?」
「まずは音楽業界だけど、これはそんなに気にしないで良いと思う」
動画サイトに配信されたり音楽配信サービスは順調だからそんなに影響は出ないはず。
次にドラマ。
これはあくまでもテレビ局のドラマ限定らしいから大丈夫。
なぜなら映画にまでは影響がないことは中村さんの話を聞いた感じ間違いないから。
となるとやはり芸人達。
映画にも出来ないし番組がないんじゃ食っていけない。
それも大地は別の道をちゃんと探していた。
「ネット限定の配信番組があるからそっちに売り込んでいけばいいと思う」
人気は間違いなくあるうちのタレントを使ってくれと言ったら喜んで起用するだろう。
あとは声優だ。
アニメはもちろん洋画の吹き替えやナレーションですら使ってもらえない。
これは天音の言う通りアニメ製作所を作ってもいいかもしれない。
流すのはテレビ局でなくてもいい。
配信サイトなんていくらでもあるから。
それに声優も人気が高い。
トーク番組に出演させたらいいだろう。
「じゃあ、私は茜に相談してもいいかな?」
天音が言っていた。
まずは敵を見極める。
誰がこんなふざけた真似をしているのかを特定しないと手が出せない。
芸能界全体を敵に回すほど強くない。
でも僕の中ではなんとなく予想がついていた。
多分天音や大地も同じだろう。
片桐君の言う通りつかの間の休息だったみたいだ。
会議が終わって恵美と相談していた。
この件は渡辺班が乗り出すかSHに任せるか。
スマホで連絡していた恵美が言った。
「片桐君は空達に任せるみたい」
だから僕達も天音や大地を信じよう。
武力介入になってもその判断を天音達に任せよう。
片桐君も予測していたみたいだ。
そろそろ最後の敵が動き出すことを。
8月になった。
皆で山にキャンプに来ている。
DOLLを壊滅させて以来、すっかり平和になった。
昔のアニメであった。
平和を目指して戦った兵士は戦争が終わっても変わらない現実に嫌気がさしてクーデターに参加した。
だけどそれは建前だった。
本当は平和な世界が怖いんだ。
だってそんな世界が訪れたら自分たちは不要になる。
自分は必要とされない世界。
そんな世界を認めたくなかった。
だから戦いを起こす。
だけど同じ兵士だった主人公が言う。
「俺はあと何人殺せばいい?教えてくれ」
何人殺せば平和になる?
皆が安心して暮らせる世界が始まる?
思い出せ。
俺達は何のために戦って来た?
俺達が作り出した平和を少しだけ信じてみろ。
そんなやりとりをしていた。
俺も同じかもしれない。
DOLLという能力者を全て始末した。
もうFGはいない。
俺はもう必要じゃない。
そんな世界で俺はどうやって生きていけばいい?
子供ながらにそんな事を考えいた。
敢えてSHに挑む?
そんなつもりは毛頭ない。
俺なんて本当はいない世界の方がいいんだ。
だけどそんな世界で俺は生きて行かなきゃいけない。
そんな事を考えながら夜空を見ていた。
深い夜の闇に飲まれないよう必死に輝く星。
まるで俺のようだった。
そんな風に夜空を眺めていたら茉奈がやって来た。
「皆花火で遊んでいるのに結は何してるの?」
夜空でも見てた?と茉菜は笑っていた。
「ちょっと考え事をしていただけだ」
「悩み事?お姉さんが相談に乗ってあげようか?」
2ヶ月くらい生まれが早いくらいでお姉さん?
「あの星見えるか?」
「どれだよ?」
そう言いながら俺の隣に座る茉菜。
無数に散らばる夜空の星の中で微かに見える星を指差した。
「あの星がどうかしたの?」
「あの星が俺に見えてさ」
「なんで?」
必死に輝こうとしている姿が俺に見えた。
自分の存在理由を示そうと必死になる俺と重なって見えた。
「またそんな事考えてたの?」
茉菜はそう言って笑う。
おかしなことだろうか?
FGという脅威が無くなったら俺の存在意義なんて無いに等しい。
むしろ俺の存在が危険だって皆思うかもしれない。
そんな世界を一人で生きなきゃいけない。
そんな話を茉菜にしていた。
「結は自分の事をそういう風にとらえていたんだね」
「まあな……」
前に読んだ漫画で主人公が葛藤する話があった。
主人公は消防士。
火災なんてなければいい。
だけど自分は消防士。
そんな世界が訪れたら自分の存在価値がなくなってしまう。
本当は火災がなくなればいいなんて嘘じゃないのか?
そんな風に悩みながらも自分の使命を全うする。
やめたいと思った。
災害が起きて救助するたびに称賛される主人公。
だけど災害がないのが一番なんだ。
望まない災害が起きて自分たちが出動すると称賛される。
誰かが悲しむ災害の時にだけ求められるのが自分だと葛藤する主人公。
「それでも望んでいる人がいる限りお前は続けるべきだ」
確かに主人公が才能を発揮する時は人が喜ぶ時じゃない。
それでも主人公が必要なんだ。
同僚の言葉を受けて主人公は消防士を続ける。
俺も同じだ。
俺の才能が必要な時なんて来ない方が良いに決まっている。
俺の存在自体が世界にとって危険なんだ。
俺はこの平和な世界でどうやって生きていけばいい?
もう俺はあの星の様に今にも消えそうな光なんだ。
「何を知ったかぶってるの?」
え?
「結があの星と同じ?自分の事だから気づかない?」
「茉奈は違うというのか?」
「当たり前だよ。結があんなちんけな星であるはずがない」
例えるなら太陽だという。
今は夜だから地球の裏側でに輝いている。
今は夜だから影になって何が起きてるかわからない。
だから俺が全部をさらけ出して馬鹿な連中が悪さしないように見ておかないといけない。
俺が必要とされるかそうじゃないかなんてまだ分からない。
だってこの世界を左右出来るほどの力を持っているんだから。
善と悪。
どちらにでも転ぶ年頃だ。
この世界を闇に染めるか光で照らすかは俺自身の気持ち。
俺がいるから輝ける人間がたくさんいるんだ。
空や冬吾達よりももっと強い光が俺。
道を間違えなかったら2人よりもたくさんの人に幸せにすることが出来る力。
この先に待ち受けるあらゆる困難を振り払うための俺だけの宝物。
だから堂々としていたらいい。
闇夜の中にいるから結を求めている人に気づかないだけ。
だからこっちに来て皆と一緒に騒ごう。
不思議だな。
「茉奈と一緒だとそんな風に思えるよ」
「だったらいつでも一緒にいるよ」
「そうだったな」
そう言うと茉奈は俺の頬にキスをした。
誰も見てないからだろうか?
誰も見てないと茉奈は大胆になるんだな。
「いいか、この事は私と結だけの秘密。他人に言ったら殺すぞ」
「それは無理だろ?」
「結は優しいのか冷たいのか分からないよ」
そろそろ花火が終わって夜食だろうから行こう?
俺もラーメンが楽しみなんでしょ?
そう言って茉奈が立ち上がると俺も立ち上がる。
「あとさ、もう一つだけ言わせてくれ」
「どうしたの?」
茉奈が言うと俺は茉奈を抱きしめた。
「きゅ、急にどうしたの?」
慌てる茉奈に耳元でささやく。
「ありがとう。茉奈のお陰で俺の将来が決まった気がする」
「そこに私はいるの?」
「茉奈じゃなくて誰がいるんだ?」
「……そっか」
俺の進むべき道。
こんな力でもきっと役に立てる。
それを教えてくれたのが茉奈だった。
(2)
「初ステージにしては少し物足りないな」
「その割には足が震えてるよ?亜咲」
「む、武者震いってやつだ」
やっぱり同じじゃないか。
俺もギターを準備して用意していた。
「出番だよ。しっかり派手に決めておいで!」
樹理達の母親の麻里が言うと立ち上がる。
「それじゃ、よろしくお願いします!」
樹理の掛け声でみんなを奮い立たせるとステージに立つ。
地元の公園にこんなに人が集まるんだな。
樹理のMCの間にギターのチューニングをして亜咲と音合わせをする。
亜咲は口だけじゃない。
しっかりベースのテクを学んでいる。
それは将弥のドラムもそうだった。
将弥のドラムでリズムをとって演奏を始めると俺がリードしていく。
変則的なリズムの演奏だけどしっかりと将弥と亜咲がサポートする。
そしてそんな演奏に後れを取ることなく樹理が歌い始める。
楽曲は将弥が作詞作曲していたらしいけど、俺も作曲に参加していた。
色々文句を言いながらもベースのコードを考えている亜咲。
「ねえ、こんな歌詞どうかな?」
樹理もそう言って曲作りに参加する。
それは甘ったるいラブソングではなくて過激なロック調の曲。
たまに俺も歌に参加してデュエットをする。
すると偶に亜咲が悪戯をする。
もっと自分が目立とうとベースを激しく弾く。
そんなに目立ちたいのならギターの方がいいんじゃないのか?と思ったけど亜咲は答えた。
「お前にはこのベースの渋さがわからないのか!」
ちょっとバンドやっててカッコいいだろ?的なギターと一緒にするなと言っていた。
亜咲はギタリストを敵に回すつもりかと思ったけど。
全部で5曲やると樹理が挨拶してステージを降りるとアンコールの声が聞こえた。
俺達はもう一度ステージに立って準備していたアンコール曲を演奏する。
そうして俺達の初ステージは終わった。
「へえ、悠翔君だっけ?始めてどれくらいなの?」
「1年くらいです」
「1年でこれか、俺ものほほんとしてられないな」
樹理の父親の将門さんが言ってた。
恵美さん達がしっかり送るし母さん達も「飲みすぎるなよ」というだけだったので打ち上げに参加する。
「で、バンドの実力は分かったんだけど、樹理とはどうなの?」
少しは進展したのか?と母親の麻里さんが質問してきた。
「休みの日はバンドの練習してるから」
デートすらしたことがない。
まあ、一緒にいる事に代わりはないから問題ないだろうと思っていたけどあったみたいだ。
「あのさ、少しは彼女の事を考えてあげなよ」
「か、母さん。それは毎晩ちゃんとメッセージくれたりしてるの」
「それだけなの?」
恵美さんが来た。
「水奈がちゃんと家事をしだしたから悠翔の時間はあると言ってたわよ」
神奈さんから聞いたらしい。
「……とりあえず夏休みの間にデートくらいしなさい!」
毎日練習してるわけじゃないでしょ。
「でも妹の夏休みの宿題見てやらないといけなくて」
さすがに中学生の授業になると母さんには理解できなくなったらしい。
「そうやって言い訳作って彼女に構ってやれないというのは通じないわよ」
「恵美さんの言う通りなんだ。樹理も結構気にしててさ」
「ちょっと将弥!それは秘密だって言ったでしょ!」
将弥が何か言おうとすると樹理が止めていた。
「キスもしてくれないから私魅力ないのかな?って」
「なんですって?」
将弥が言うと恵美さんの表情が険しくなっていく。
それを宥めようとする望さん。
「てめぇ!樹理の何が気に入らないんだ!毎晩お前に見られてもいいように下着を選んでるんだぞ!」
「ちょっと待ってよ亜咲!なんであんたがその事知ってるのよ!」
「亜咲!あなたまだやってたの!?」
亜咲は浴室まで梯子を使って樹理の入浴を覗いてるらしい。
「だから樹理の体形なら俺に聞け!俺は目をつぶったらしっかりと樹理のシルエットが……」
「ふざけんなこの変態!だから彼女ができないんだよ!」
俺は少し安心していた。
俺の妹達の様に裸で父親を誘惑しようとはしていないらしい。
しかし恵美さんはそうじゃなかった。
「あなた本当に瑛大の孫なの!?自分の彼女の裸くらい興味持っても誰も咎めないわよ!?」
「悠翔。母親の私がいうのもなんだけど結構いい線いってるのよ」
「母さんもそれ以上言うの止めて!」
俺もだけど樹理の方が大変みたいだ。
とりあえず夏休みが終わる前にキスくらいしろ。
それができないなら活動休止させる。
「ま、バンドの為にも頑張ってくれ」
兄の将弥はそう言って笑っていた。
家に帰るとさっそく樹理にメッセージを送っていた。
「明日空いてるか?」
「え?その気になったの?」
「バンド存続の危機だしな」
「私よりバンドが大事なんだ?」
どうして女子というのは彼氏を困らせるのが得意なんだろう?
「樹理に構ってやれなかったのは事実だからさ。一日にくらい2人で過ごさないか?」
「いきなり全部あげるなんてしないよ?」
「知ってるよ」
「……少しは亜咲を見習って私に興味持ってよ」
俺にどうしろというんだろう。
次の日樹理の家に迎えに行くとバスで駅ビルに行って映画を見る。
そのあとフードコートで昼食を食べる。
樹理は食べるもので悩んでいた。
どうしてだろう?
「い、いや。悠翔にその気がないならいいんだけど……」
余り匂いのきついのを食べたらキスする時に口臭気になるんじゃないかと思ったそうだ。
「女子高生でもうどんを食べるらしいぞ」
茉莉達が言ってたから間違いないだろう。
茉莉の食欲は参考にならないけど。
「さすがに彼氏との初デートでそれは無理」
そう言ってチキンバーガーを食べていた。
その後お手洗いでうがいとかしてたみたいだけど。
「この後どうするの?」
カラオケルームでも私はいいよ?
樹理はそう言うけど俺は最初から父さんにお勧めのスポットを聞いていた。
駅のそばのSAPは他のSAPとは少し違う。
屋上に観覧車があった。
そこに向かうと2人で観覧車に乗る。
「ここなら誰にも見られないだろ?」
「私とキスするの見られたくないの?」
「女子は違うのか?」
「え?
俺はまだ中学生だ。
異性とデートをするだけで照れくさくて恥ずかしい。
手を繋いで歩いているのを友達に見られたくないと思う年頃なんだ。
そう説明すると樹理は笑って俺の手をとった。
その時に気づいた。
樹理も緊張しているんだ。
「私だって悠翔と同じだよ」
亜咲に色々ばらされた時はハラハラした。
でもこの世界で恋人なのにキスもしてくれないというのは不安だった。
俺が嫌だと思ってるのかなと思ったそうだ。
だけど優奈や愛菜が口をそろえて樹理にアドバイスしたらしい。
「この世界の男子は基本的にチキンだ!」
肉食と呼べるのは祖父の瑛大か誠くらい。
それでも父親の学は奥手だったって母さんから聞いたらしい。
神奈さんよりはあると自負していた胸でも父さんは興味を持たなかったから母さんは自分の事を妹扱いしてないかと思ったらしい。
だけどそれでも祖母の神奈さんや亜依さんが言う。
「女は受け身という考えを捨てろ!女から勝負に出ないと後悔することになる」
だから今日はチャンスだ。
絶対に逃すな。
そんな事を聞いてるうちに頂上に到達しようとしていた。
しっかりと樹理の肩を支えて樹理の唇に唇を近づける。
樹理も子刻みに体を震わせながらも目を閉じて待っていた。
初めてのキスを済ませて観覧車を降りる頃には自然と樹理と手を繋いでいた。
思ったほど難しいことではなかった。
これでミッションはクリアしたと思っていた。
「その様子だともう少し先まで行ってみる?」
私の部屋なら将弥たちは入ってこないし、母さんも悠翔ならいいって言ってたから。
俺は笑顔で断った。
「俺の爺さんの誠さんなんだけどな……」
孫娘の声が気になるらしい。
亜咲とかもそうなんじゃないか?
「確かにあの馬鹿をどうにかしないといけないね」
「……例えばクリスマスとかには優奈も愛菜も彼氏と過ごすと思うんだ」
父さんも母さんもそんなに厳しくないから。
「じゃあ、クリスマスプレゼントは私って言えばいいの?」
「それ本当にやるとドン引きすると思うぞ?」
「それもそっか」
そんな初めてのデートを済ませて家に帰る。
風呂に入ってるとメッセージが届く。
亜咲からだった。
「お前、そんなムードでなんで最後までやらなかったんだよ!」
カラオケとかネカフェとか色々場所はあるだろ!
亜咲はそんなところで初体験を済ませたいのか?
「悠翔。この馬鹿のいう事は気にしなくていい!」
「……亜咲にも彼女が出来たら変わるかもしれないな」
そう言って将弥は笑っていた。
(3)
「しかし麻里の娘達も予想通りいいセンスしてるわね」
「ええ、あの子達も小さい時からの夢だったらしいから」
僕と恵美は将弥達を家に帰した後フレーズの二人と続けて飲んでいた。
まさか悠翔までそんな才能があったのは驚きだった。
このままUSEもIMEも順調に行くと思えた。
あとは大地達にバトンを渡すだけと思っていた。
しかし事態は全く予想外に進む。
僕のスマホが鳴る。
スマホを見ると東京支社長の中村さんだった。
「オフの時に仕事の電話をするなと言っておいたはずなのに」
恵美の機嫌が悪くなる。
そうなるから中村さんも気を付けていた。
その中村さんから電話が来る。
USEの仕事は殆ど大地に任せてある。
ただ事じゃないと判断した僕は恵美に断って会場を出ると電話をこちらからかける。
「すいません。今日のフェスどうでした?」
「凄い新人が出て来たよ。まさかそれだけじゃないよね?」
だったとしたら中村さんの首くらい飛ぶよ?
「ええ。明日にしようとも思ったのですがさすがに気になったので」
「何があったの?」
「実は……」
うちの看板タレントがレギュラーの番組がレギュラーから降板、もしくは番組終了らしい。
すでに撮影に入っていた次クールのドラマも中止になって違う番組を大慌てで作っているそうだ。
テレビ局的にも痛い損害なのになぜ?
しかも一つや二つじゃない。
山本環奈主演のドラマ等も打ち切りらしい。
まるでテレビ業界がUSEを潰しにかかってるともとれる行動。
「ちょっと恵美や大地達と相談する」
「俺も来週にでもそちらに伺います」
そう言って会議の約束をすると会場に戻った。
僕の表情を見て恵美は察したらしい。
「ちょっと仕事のトラブルあったみたいだから私達先に失礼するわね」
「何かあったんですか?」
麻里が聞いている。
「大丈夫。心配する事無いから」
そう言って恵美と会場を後にした。
車の中で恵美に中村さんから聞いたことを説明する。
意外にも恵美は冷静だった。
「何かの圧力がかかってるって事ね?」
「僕もそう思う」
うちの事務所に対してそんな真似を出来るのは何かあるに違いない。
「で、望はどうするつもり?」
「USEは大地に任せてる」
片桐君じゃないけどそろそろ代替わりをしてもいいんじゃないか?
そう恵美に相談してみた。
「ちょうどいいかもしれないわね。このくらい大地達に対処させるべきかもしれない」
恵美も同感だったようだ。
後日中村さんが来ると5人で会議をした。
音楽、ドラマ、バラエティ。
あらゆるジャンルでUSEを潰しにかかってるのは間違いないらしい。
「んなもんテレビ局作った方が早いんじゃないか?」
天音は相変わらずだった。
しかし大地は冷静だった。
「その敵対勢力を見極める必要はありますね」
USEがでかい勢力とは言え業界全てにボイコットされたら敵わない。
「で、大地はどうするつもりなの?」
「まずは音楽業界だけど、これはそんなに気にしないで良いと思う」
動画サイトに配信されたり音楽配信サービスは順調だからそんなに影響は出ないはず。
次にドラマ。
これはあくまでもテレビ局のドラマ限定らしいから大丈夫。
なぜなら映画にまでは影響がないことは中村さんの話を聞いた感じ間違いないから。
となるとやはり芸人達。
映画にも出来ないし番組がないんじゃ食っていけない。
それも大地は別の道をちゃんと探していた。
「ネット限定の配信番組があるからそっちに売り込んでいけばいいと思う」
人気は間違いなくあるうちのタレントを使ってくれと言ったら喜んで起用するだろう。
あとは声優だ。
アニメはもちろん洋画の吹き替えやナレーションですら使ってもらえない。
これは天音の言う通りアニメ製作所を作ってもいいかもしれない。
流すのはテレビ局でなくてもいい。
配信サイトなんていくらでもあるから。
それに声優も人気が高い。
トーク番組に出演させたらいいだろう。
「じゃあ、私は茜に相談してもいいかな?」
天音が言っていた。
まずは敵を見極める。
誰がこんなふざけた真似をしているのかを特定しないと手が出せない。
芸能界全体を敵に回すほど強くない。
でも僕の中ではなんとなく予想がついていた。
多分天音や大地も同じだろう。
片桐君の言う通りつかの間の休息だったみたいだ。
会議が終わって恵美と相談していた。
この件は渡辺班が乗り出すかSHに任せるか。
スマホで連絡していた恵美が言った。
「片桐君は空達に任せるみたい」
だから僕達も天音や大地を信じよう。
武力介入になってもその判断を天音達に任せよう。
片桐君も予測していたみたいだ。
そろそろ最後の敵が動き出すことを。
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