姉妹チート

和希

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grand finale

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(1)

「雪。ちょっと待ってくれないか?」

 放課後一番に教室を駆け出してコンビニに直行する誠司郎が私を呼び止めた。
 あ、そっか。

「悪い。みんな先に行ってて」
「……へえ。なるほどね」

 そう言って亜優たちはコンビニに向かった。
 私は結と教室で2人きりになる。
 バッグから紙袋を取り出すと私に渡す。

「今日バレンタインのお返しの日だろ?これ渡しておこうと思ってさ」
「ありがとう、開けてもいい?」
「ああ、気に入ってもらえたらいいんだけど」

 中に入っていたのはブレスレットだった。
 刻印が打ってあるのを見てふと誠司郎の左手首を見た。
 同じブレスレットをはめてあった。

「やっぱりペアとかって恥ずかしいか?」

 誠司郎とおそろいのアクセか。

「私はいいよ」

 そう言って手首にブレスレットをはめる。

「ありがとう」
「気に入ってくれたならよかった。安心したよ。……しかし毎年苦労するな」

 女子はチョコレートって決まってるからいい。
 だけど男子はお返しにどの程度のどんなものを買えばいいのか考えないといけない。
 義理だったらクッキーでいいんだけど。
 だけど「そうやって考えてくれる時間が私への最大のプレゼントなんだよ」と返した。
 
「んじゃ行こう?」
「ああ、しかし本当によく食べるよな」
「誠司郎が食べなさすぎなんだよ」

 サッカーもしてるのによくお腹空かないね。
 誠司郎はため息をついた。
 
「太らない体質だって父さん達が言ってたから大丈夫だよ」
「それダイエット中の人間に絶対言うなよ」

 刺されるぞ。
 すると私のスマホが鳴りだした。
 私は「もしもし」と電話に出る。

「俺だ……名乗らなくてもわかるよね?」

 名乗らなくても察しは吐いた。

「こんな時間に何の用?」
「少し話をしたくてね。時間はいいかな?」
「別に構わないけど」
「じゃあ、宗方のボウリング場に一人で来い」

 そう言って電話が切れた。
 電話を終えた私に誠司郎が誰からかと聞いてきた。

「誠司郎には隠し事はしないよ」
「どうしたんだ?」
「彼らがついに私の尻尾を掴んだみたい」
「……一人で行くのか?」
「そう言っていたから」
「水奈に連絡するから総出で叩きのめせばいいじゃないか」
「そんな大勢で行ったら感づかれる。同じ手は二度と使えない。やっと待っていたチャンスが来た」

 これを逃す手はない。

「でも罠なんだろ?」
「心配しないで、想定の範囲内。結には連絡するから」
「分かってて行くなんて馬鹿じゃないか!」

 誠司郎が私にしがみつく。
 絶対に行かせないと言わんばかりに。
 だけど私は誠司郎の頭を優しくなでる。

「約束……覚えてるから」
「本当に守ってくれるんだな?」
「うん、誠司郎も気をつけて」

 私がそばにいない誠司郎を狙うかもしれないと警告する。

「だったら俺も行く」
「ダメ。お願いだから行かせて」
「神奈が言ってた。雪の血筋は他人を思いやるばかりに自分の命を軽視し過ぎだって」

 私に何かがあったら誠司郎はどうしたらいい?
 そう言っても私の意思は変わらなかった。

「100%大丈夫だと自信がない限り動くなってじいじが言ってた」

 だから大丈夫。
 私を最期まで信じると言ったのは誠司郎だよ。

「ああ、ママ達に伝えておいて欲しい」

 今日は門限破るかも。

「……分かったよ」

 最後は誠司郎が折れた。
 すると誠司郎は私を抱きしめる。
 ここ校内だぞ。
 
「いつもありがとう……それじゃ行ってくるね」
「絶対帰ってきてくれよ」
「言ったでしょ?未経験で死にたくないって」
「……分かった」

 そう言って私は一人でボウリング場に向かった。
 
(2)

 ボウリング場。
 奴らだけで貸切っているのか、一人で気持ちよさそうにストライクを取っている男がいた。
 銀髪で背の高い筋肉質の細い体躯。
 間違いない。
 こいつが神谷十郎だ。
 まわりには7の苦悩の連中もいる。
 他にも大勢の人間がいた。
 十郎のそばにいた女性、多分神谷友恵が私に気づいた。
 すると全員が私を見る。

「お前がゼロ?」
「ああ。……あなたが十郎?」
「そうだよ。俺が神谷十郎」

 間違いなかったようだ。

「約束通り一人で来るとはね」
「仲間が集合するのに頭数必要なの?」
「……ガキのおふざけの時間は終わりだ」

 そう言って封筒を私に投げつける。
 中身は見るまでもない。

「記憶改ざん。なかなかいいアイデアだけど詰めが甘いね」

 瀬田悠一に関する記憶は改ざんできた。
 瀬田悠一の戸籍等は天音達が削除した。
 それが問題った。
 ゼロは瀬田悠一。
 だから瀬田悠一という人間が存在しているはずなのに存在してない事になっている。
 そんな真似を出来るのはただ一人。

「お前が片桐雪だ……SHの連中がお前を見た時の反応を聞いた時から俺は自分の記憶を疑った」

 片桐結の能力は制限がない。
 だから何をしてきてもおかしくないと十郎と友恵は感づいていた。
 そしてそれをわざわざ確認を取るのに時間がかかった。

「……というわけだ。何か言いたい事はあるか?」

 十郎がそう言ってにやりと笑うと全員が私に銃口を向ける。
 
「片桐冬夜の孫だ。十分いたぶってやろうかと思ったがお前相手に手加減は危険だからな。すぐに楽にしてやる」

 言い残すことがあるなら聞いてやるぞ?
 十郎は自分が圧倒的優位だと思っているみたいだ。
 だから確認することにした。

「一つ聞きたい。私の力は知っているの?」
「ああ、しっかり調べさせてもらった。……と言いたいが今もなお能力を作り出しているんだろ?」
「もう一度聞く。それは片桐結の能力を把握しているのね?」
「何がいいたいんだ?」
「そうね……私の能力については何も知らないの?」
「なんだと?」

 少しも調べてないの?
 私の能力の前では人数なんて関係ない。
 なのにあなたは勝ち誇っている。
 だから間抜けだと称賛した。

「使う前に死ぬから問題ない。クワトロ……やれ」

 7の苦悩の一人クワトロ。
 奴の能力は目に見えない爆弾を発生させる。
 既存概念を使えば無力化出来るがその必要すらなかった。

「悪いがそれは無理だよ。十郎」

 クワトロはそう言って私に近づいてくる。
 クワトロだけじゃなくて他の7の苦悩のメンバーが俺を取り囲む。

「どういうつもりだ?」
「わりぃな。俺達に指示する器の持ち主はあんたじゃなかったって事さ」

 ウノが左腕を十郎に向けながら言った。
 状況がわからないらしい。
 しかし冷静な友恵は理解したらしい。

「……寝返る気?」
「泥船に乗りたくはないからな」
「……ギアスを食らったか?」
「違うよ」

 私がウノに代わって答えてやった。
 だから間抜けなんだ。
 私の能力を調べていないのが致命的だったね。
 既存概念の上書きがそれを許さなかったのだけど。
 友恵の言うように結がギアスを使えばこいつらを服従するのは簡単だ。
 だけど何かの漫画であった。

「呪詛をかける人間がいるなら呪詛を解く能力の持ち主もいて当然」

 何よりそんな真似をする必要はない。
 その事をウノが伝えた。

「言ったろ。あんたには器がなさすぎるのさ」

 どうでもいい私怨で兵隊を動かす十郎と”王の権威”という能力を持つ私。
 比べるまでもない。
 ありとあらゆる生物を屈服させる王の資質。
 誰がリベリオンには通用しないと言った?
 しっかりと7の苦悩には通用したよ。
 一々始末するのも面倒だから利用しようと考えた。
 ただそれだけ。
 私がのこのこ一人で来ることに違和感を感じなかったの?
 なんでもやりかねない結だと認識していながらその程度の甘さがあった貴方の負けだ。
 貴方は私を呼び寄せて罠に嵌めるつもりだったんだろうけど、思い違いだ。
 私達はお前と直接対峙する機会を狙っていた。
 そしてお前は私達の罠にかかった。
 ここでリベリオンは終わりだ。
 
「私達?」

 友恵が聞くと友恵の背後で結が椅子に腰かけていた。

「ご苦労だったな。雪」
「このくらい何でもないよ」
「い、いつの間に?」

 十郎が結を睨みつけている。

「最初から見ていたよ、なかなか笑えたよ。お前」

 こちらの思い通りになってるとは知らずに勝ち誇っているさまは見ものだった。

「立った二人で何が出来る?」
「能力者が二人いることに恐怖感がないのがお前の敗因だ」

 そう言ってる間に私は結に近づく。
 私に向かって発砲する者もいたけどすべて無効化する。
 発砲した人間も自分が何をやっているのか忘れたかのように呆けだす。

「十郎!その小娘を!」

 友恵がそう言うと十郎が私に持っていた刀で斬りかかる。
 しかしその刀が消失した。
 慌てる十郎。
 そこに現れたのがSHの面子だった。

「最後は譲るんじゃなかったのか?このクソガキ」

 天音がそう言って笑っていた。

「後は好きにしたらいいよ」
「舐めるな!」

 友恵が銃を天音に向ける。
 だがその銃が消失していた。
 そして茉莉が銃を友恵に向かってすぐに撃つ。
 それを私が防いだ。

「なんで雪が邪魔をするんだ?」
「この女にはまだ利用価値があるからダメ」

 やるなら十郎を!
 しかし丸腰の十郎をやるのは気が引けるらしい。
 しょうがないなあ。
 座っている結に手を差し出す。
 結は察したらしい。

「半分力を貸せ」
「いいよ」

 結はそう言って私の手を掴んで起き上がる。

「私達は2人で1つ」

 結に力を預けると私が倒れるのを結が支えてくれた。
 
「誠司郎。ほら、ちゃんと守ってやれ」

 そう言って結は私を誠司郎に預ける。

「雪、大丈夫か!?」

 まだだ……
 最後にやることがある。
 気力を振り絞って立ち上がる。

「さあ、お前の罪を数えろ」
「さあ、あなたの罪を数えなさい」

 ぽかぽかっ

 私は誠司郎に、結は茉奈に叩かれていた。
 結は私が託した力を解放する。
 友恵を除いたリベリオン全員が消失する。

「十郎!!」

 叫び声をあげる友恵の頭を結がつかむ。

「これで終わりだ」

 結が能力を使って友恵はその場で気を失った。
 そうして最後の戦いは幕を閉じた。
 
(3)

「結局結が美味しいところ全部持っていきやがった!」
「いいじゃん。SHの王は結なんだし」

 茉莉と結莉がそんな風に話してる。

「で、結局リベリオンはどうなったんだ?」

 私が全員消し去ったのか?と茉奈が聞いている。

「違うよ。それなら友恵を生かしておく意味がない」

 結が答えた。

「そもそも何で友恵を残したんだ?」

 天音が聞くと結が答えた。

「デウスエクスマキナの頭だから」

 だから友恵に記憶の改ざんをした。
 デウスエクスマキナを慈善事業の団体に書き換えた。
 私の力を利用してリベリオンとデウスエクスマキナの概念を上書きした。
 これで私達に手出しするグループは消滅した。
 新しく出来てもリベリオンの武装勢力に任せたらいい。
 今後SHに逆らうグループは現れない。
 私がそう既存概念を書き換えた。

「てことはもう馬鹿は現れないって事か?」
「そうだよ」
「なんか詰まんねー世の中になっちまったな?」
「周りをウロチョロする鬱陶しいハエくらいはいるだろ?」

 警察としてその発言はありなのかどうかはおいておいてそんな話を聞きながら居酒屋で食事をしていた。
 するとママが思い出したかのように言う。

「あなた達いつまで食べてるの?」

 へ?

「もう終わりなの?」
「雪は誠司郎と約束したのでしょ?」

 え?

「誠司郎!喋ったの!?」
「彼女の家で寝るくらい当たり前だろって結が言ってたぞ」
「結!秘密だって……」
「俺は聞いてないぞ、そんなの?」
 
 そう言って酒を飲む結。

「まあ、今までよく我慢したんだからさっさと家に帰って済ませてこい」
「愛莉さんたちも今夜は家に帰るの遅いって」

 そんな風に私達は皆に見送られて店を出る。
 緊張して何を話したらいいのか分からないでいると誠司郎が誤解したみたいだ。

「そんなに怒ることないだろ。悪かったって」

 なんでもするから許してくれよ。

「本当に何でもする?」
「こ、今夜はやっぱりダメとか言わないよな?」

 言うわけないじゃない。
 私だって我慢してたんだ。

「女子は1度だけじゃ満足しないんだって」

 だから満足するまで付き合ってよ。

「男は1度できついんだけどな」
「手伝ってあげるから」

 女子だって色々予習してるんだよ?
 家に帰るとママの言った通り誰もいなかった。
 今さらだと二人で一緒にシャワーを浴びる。
 本当に私の体に見とれていた。
 シャワーを浴びると部屋に戻る。
 のんびりしてるのもいいけど、あんまり遅いと愛莉達帰って来るよ?

「あ、あの……初めてだから上手く出来ないかもしれないけど」
「そうじゃなかったら泣くよ」
「そろそろしよっか」
「うん……」

 そうしてベッドの中に入って戦いの火照りを鎮めるように誠司郎に包まれていた。

(4)

「今頃雪と誠司郎はお楽しみなんだろうな」
「だろうね」
 
 僕は誠やカンナと愛莉と一緒に飲みに来ていた。

「やっと冬夜の孫を手に入れることが出来たんだな」

 誠が嬉しそうにする。
 なんでだろう?

「悔しいけどカンナも水奈も冬夜や空を欲していたからな」

 亭主としても父親としても祖父としても嬉しいんだと誠が言う。

「俺は誠司郎に何一つ教えてないけど大丈夫だろうか?」
「誠君、そういうのは女子に任せておいた方が良いこともあるんだよ」

 女子の方が何歩も前を進んでいるんだからと愛莉が言う。

「しかし雪の体型は瞳子に似たのか?愛莉に似たのか?」

 神奈はそこが気になったらしい。

「誠司郎から聞いた感じ愛莉さんに似ているらしいぞ」

 胸の大きさは愛莉よりも大きいけど。
 胸の大きな愛莉か……

 ぽかっ

「孫娘の何を想像しているのですか!?」
「……愛莉は見たことないの?」
「あの子は本当に片桐家の娘なのか?ってくらい恥ずかしがり屋で」

 成長期が来た時には相談はするけど実際に見せたりはしなかったそうだ。

「それより私気になることがあるんですけど」
「あ、愛莉も気になったか?」

 愛莉とカンナがそう言って誠を睨む。

「どうして誠君が私の体型を知っているの?」
「私もそれが気になったんだが」

 慌てる誠程危険なものはない。

「と、冬夜に聞いたに決まってるだろ!ちょっと丸みを帯びていて女性らしい体型だって」

 どうして僕を巻き込むかな。

「冬夜さん。どういうことですか?」
「女性だって同じだろ?」

 高校生か大学生の時にそういう話をしただけだよ。
 確か修学旅行くらいの時に愛莉があまりにも食べないから少しくらい丸みがある方が良いのにって話しただけだよ。

 ぽかっ

「私だって気にしてるんです!本当は神奈みたいなスリムな体型が羨ましかったりするんですよ」
「愛莉には分かんねーよ……持ってない者の辛さが」
「雪と誠司郎の子供はどっちに似るんだろうな?」

 誠が言う。
 娘が産まれてくること前提だけど。
 僕なら分かる?
 分からないね。
 僕達の役割はここでお終い。
 ここから先は空や結達が作っていくもの。
 老兵は死なずただ去るのみ。

「まあ、愛莉もカンナもお疲れ様」
「そうだな……」
「お疲れさん」
「4人で旅行とかもいいかもですね」

 僕達は後の事は子供たちに任せて第2の人生を考える時期に来ていた。
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