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1stSEASON
突然
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(1)
ピロリーン。
スマホが鳴った。
スマホを手に取り時間を見る。
まだ6時だ。
「朝早くから誰だよ」
メッセージを確認する。
誠からだ。
「朝早くごめん、ちょっと朝教室で話があるんだけどいいかな?」
話がある……。
3か月前にも同じことを言われた覚えがある。
「いいよ、何時くらい?」
「朝練が終わるのが8時だからそのくらいに」
「わかった」
ちょっと早く出ないとダメだな。
話ってなんだろ?
何故か嫌な予感がする。
でも聞かないってわけにもいかない。
今日から2学期か。
夏休みの事が走馬灯のように流れる。
思い出に浸っている余裕はない。
布団をたたみ押し入れにしまう。
制服に着替えて部屋を出る。
それからトースターにパンを入れスイッチを回す。
インスタントコーヒーを適当にマグカップに入れお湯を注ぐ。
どの動作も静かに音を立てずに。
母さんはまだ寝ているのだから。
一人静かに朝食を食べながら、頃合いを見て愛莉にメッセージを送る。
「今日はちょっと早いから二人で学校行ってくれ」
ピロリーン
愛莉も朝早いな。
寝坊助のトーヤを起こす為か。
「おはよう、早いね!何かあったの?」
スマホを片手で操作する。
「なんでもない、ちょっと早めに学校に来いって言われたから」
「わかった。じゃあ、教室でね」
食べ終わった後皿とマグカップを洗い仕舞うと洗面所に向かう。
寝ぐせはない。
ささっとブラシを通す。
顔を洗って歯磨きして準備はOK。
部屋に帰って化粧台の前に立つと化粧を始める。
化粧といっても中学生用のナチュラルメイクだ。
この間「いいねそれ」って愛莉に言われた。
「こんなの100均で売ってるよ」
って一緒に買いにでかけたことがある。
準備が終わると時間は7時前だった。
そっと戸を開けると一人静かに家を出た。
(2)
「おっはよう!冬夜君!」
「おはよう愛莉」
僕はベッドに腰掛けていた。
「あれ?起きてたの」
「まあね」
「起きてたなら下に降りてればいいのに」
それもそうだ。
「じゃ、下に降りよっか」
「うん」
そう言って部屋を出る愛莉の後をついていく。
「あれ?今日はいつもより早いじゃない?」
母さんまで驚いてる。
「たまにはそういうことがあってもいいだろ?」
「2学期初めから不吉だわ……」
そう言いながら朝食を僕の前に出す母さん。
それを食べるのを見ながらにやにやする愛莉。
どうしたんだ?
そういや、なんか感じが違う。
「……気づかないの?」
なんか不満そうだ。
「……何が?」
「あら?愛莉ちゃんお化粧してて大丈夫なの?先生に見つかったら大変なんじゃない?」
「神奈がしててもばれなかったから多分大丈夫かな?って。冬夜君も気づかなかったし」
なんかとげのある言い方だった。
「うちの冬夜はそういうのてんで鈍いからあてにならないわよ」
「……大丈夫なのか?」
「目立たないようにちょっとだけしてるだけだから大丈夫だよ」
「そっか、ご馳走様」
なんか冷たい視線を背にうけながら洗面所に向かう。
準備を済ませ、リビングに戻るとカンナが……きてない。
あれ?
「あ、そろそろ行こっか」
「行こっかってカンナ達は?」
「神奈なら今日は朝早いからパスっていってたよ。メッセージ着てないの?」
「着てないけど、朝早くからってなにかあったのか?」
「早朝からってことだから多分誠君とだね」
そう言って笑う愛莉。
「誠とねえ……」
もう付き合い始めて3か月か。
キスもしてたくらいだし、仲良いんだろうな。
「んじゃ行ってきます」
そう言って家を出る僕たち。
あとから愛莉がついてくる。
「ねえ?」
「なんだ?」
愛莉が鞄で僕の背中をたたきつけた。
「痛いだろ!」
「ちょっとくらい褒めてくれてもいいんじゃない?それとも似合わない?」
「似合わないことは無いけど……」
「けど?」
「自然な愛莉の方が好きだよ」
釈然としない愛莉。
「ほら行くぞ」
ボーっとしている愛莉に声をかけ僕たちは学校に向かった。
(3)
「……え?」
私は一瞬聞き間違えたのかと思った。
教室の窓は全開だった。
まだ朝練してる部活の掛け声が聞こえてくる。
9月とはいえまだ暑い。
誠は制服に着替えていた。
制汗剤のにおいがする。
「だから別れようって言ったんだよ」
なんとなくそんな感じがした。
けど信じられなかった。
「なんで?私なにかへまやったか?」
なんか見苦しいけど藁にもすがる想いで聞いていた。
「……神奈さん俺の事みてないでしょ?」
え?
「俺は冬夜みたいに優しくないからはっきり言う。俺は冬夜にはなれない」
何でトーヤが出てくるんだよ。
「俺じゃなくても、誰がみてもはっきりわかると思うよ。神奈さんまだ冬夜の事好きなんだろ?」
「それは……」
「違うってはっきり言えないんだね」
言えなかった。
「最初は俺が忘れさせてやる。そう思った。でも最近になって思い知らされたんだ。最初から俺の事なんか見てない。俺の向こうにある冬夜の事を見てる」
「そんなことは無い!好きになろうと努力したんだ」
「努力して好きにならないといけないのかい?」
誠の言葉がちくちくと心に突き刺さる。
「回りくどい言い方はしたくないからはっきり言う。迷惑なんだよ。俺も辛い。誰かと付き合って冬夜の気を引こうなんてやり方は止めた方が良い。してる方も辛いし、相手ももっとつらい」
私は泣いていた。
「ごめんな。そんな風に思ってたんだな……」
「俺の方こそごめん、期待に添えなくて」
悪いのは誠じゃない、私だ。
誠はハンカチを渡してくれた。
「もうすぐ、他の人達が入ってくる、洗面所にでもいったほうがいいよ」
「大丈夫、すぐ立て直すから」
「そっか、そうだよね。じゃあ俺は行くね」
「うん、ごめんな」
「謝ることないよ。短い間だったけど楽しかったよ。ありがとう」
そう言うと誠は教室を出て行った。
私はフラフラと自分の席に座り机に突っ伏して泣いていた。
「音無さん大丈夫!?」
誠の言った通りクラスメートが入ってくるとすすり泣いている私を見つけて声をかけてきた。
「大丈夫、ちょっとお手洗い行ってくる」
そう言ってダッシュで洗面所に向かった。
(4)
今日は始業式の後、軽い説明と席替えがあって終わった。
何という強運なんだろ。
愛莉とカンナが両隣にいるという配置だった。
誠はカンナの隣だった。
カンナといえば朝ちょっとした事件があって。
クラスメートの女子がカンナが泣いてるのを見たらしい。
驚いて声をかけるとトイレに走って行ったらしい。
その事をカンナに聞くが何も答えてくれない。
愛莉が聞いても同じだった。
僕は誠に聞いてみたが、やっぱり何も答えない。
「中途半端な優しさは人を傷つけるだけだぞ。冬夜」
それだけ言い残していった。
僕が原因なのか?
その日の勉強会。
なんか重苦しい雰囲気に包まれていた。
そしてその雰囲気に耐えかねたのか……
「……ごめん、私帰るわ」
そう言ってカンナが立ち上がる。
「待って神奈!」
カンナが立ち止まる。
「とりあえず座って神奈。今日は勉強会はお終い」
「じゃあ、いる意味ないだろ?」
「いい加減話して、私たち友達でしょ!」
「友達だから話せないこともあるだろ?」
「話せないってことは私たちが原因なの?」
「……朝の話なら違うよ」
「じゃあ、説明してよ!この空気のままじゃ勉強会も気まずい空気のままになっちゃう」
「じゃあ、もう来ない!」
カンナが叫んだ。
「どうしてよ!?一緒の高校行こうって約束したでしょ!私は今でも行きたいと思ってる」
「その約束も無かったことにしてくれないか?」
「嫌!!絶対に嫌!」
カンナの何かがキレたようだ
「愛莉にいってもわかんねーよ。欲しいものは何でも手に入るお前に何を説明しろっていうんだよ!足掻いても手に入らない私の気持ちがわかるのかよ」
愛莉もカチンときたようだ。
「分かんないわよ。でも神奈にだってわかんないよ!過度な期待を背負わされて!欲しいものは何でも手に入るっていったけど肝心なものは手に入れられない私の気持ちがわかるの!?」
「二人とも落ち着けって!?」
「トーヤは黙ってろ!」
「冬夜君は黙ってて!!」
すいません……じゃない。
「熱くなるなよ、解決することも解決しないだろそんなんじゃ」
「そんなに仲良しごっこしたいなら二人でやってればいいじゃん!私を巻き込むな!」
バシッ!
乾いた音が部屋に響く。
カンナを平手打ちした愛莉の目には涙がたまってた。
「仲良しごっこしたいならこんなこと言わないわよ!本音で話をしたかったからこうして怒ってるんじゃない!神奈の為だったらなんでもするわよ」
「……今なんでもするって言ったよな?」
カンナの凄く冷たい声が聞こえた。
こんな声聞いたの初めてだ。
「出来る事なら……」
その剣幕にたじろぐ愛莉。
「じゃあ、ちょっとトーヤ貸してくれよ。トーヤに言いたい事がある」
「……分かった」
あっさりと快諾する愛莉。
「じゃあ、今日は私帰るね……。冬夜君また明日」
そう言って愛莉は部屋を出て行った。
「やけにあっさりなんだな。そうやって見下してるところムカつく」
「カンナ!それは違うだろ!愛莉は優しいからそれで解決するならって」
「自分が圧倒的優位だと思ってるからだろ?」
「……あいつもお前と一緒だったんだよ」
「私と一緒だった?」
「小学校の頃虐められててな、いつも助けてた。それで僕との仲をからかわれて、また虐められて。」
「……その話は前に聞いたよ」
「じゃあ、虐められてた原因は聞いたか?」
「いや?」
「お前と一緒だよ、可愛いから。男にもてるから。それだけで女子の嫉妬をかったりしてた。理不尽だよな?好きでもない男の事で妬かれて虐められるんだ」
「……」
「男子からもだ。好きな女子ほど虐めたいっていうだろ?それを地でいってたんだよ」
「なんでも知ってるんだなトーヤは……」
「まあ2年も付き合ってたらな」
やっとカンナは落ち着きを取り戻したようだ。
スマホを取り出すと何か操作していた。
「愛莉に送っておいたよ。『言い過ぎたごめん。トーヤに怒られた』って」
ピロリーン
きっと愛莉からだろう。
「『私も言い過ぎたごめん。何があったのかは分からないけど冬夜君に相談して解決することなら私は大丈夫だから。冬夜君に宜しく伝えておいて』だってさ」
ピロリーン
今度は僕のスマホが鳴った。
「きっと誠君と何かあったんだと思う。上手く慰めてあげて」
誠か……ん?誠からもメッセージが来てる。
「きっと神奈さん落ち込んでると思う。フォローしておいて><」
><じゃねーよ馬鹿。
「じゃあ、もう行くわ」
「待てよ、話があるんじゃないのか?」
「明日はちゃんと来るよ」
「そうじゃなくて……」
話があるから愛莉に言ったんじゃないのか?
「そうだな、そうだったな……。じゃあ送ってくれよ」
「……?誠がくるんじゃないのか?」
「誠?……そうだな?」
カンナはスマホを何やら操作している。
そして僕に画面を見せた。
誠の連絡先だ。
カンナは僕の目の前で誠の連絡先を削除してみせた。
「……これで分かったろ?何?って聞いたらぶっ飛ばすからな」
事情は分かった。納得はしてないけど。
(5)
カンナは帰り着くまで、何も話さなかった。
家に帰りついた。
「じゃあな……」
結局何も話してくれなかったな。
とぼとぼと帰る僕にカンナは後ろから声をかける。
「待てよ。何も話してないだろ?うちに寄ってけよ」
カンナの家は木造のアパートだった。
3DK の部屋だった。
カンナは自分の部屋に僕を招くとキッチンに向かった。
木製の机と箪笥と化粧台。あと本棚があった。
壁に立てかけてたテーブルを部屋の中央に置くとお茶とお茶菓子をもってきた。
「まあ、くつろげよ。くつろぐ話でも無いけどな」
そう言って苦笑するカンナ。
さっきよりは余裕が生まれたようだ。
「単刀直入に言う。誠に振られた」
そう言ってばつが悪そうに笑うカンナ。
それはさっきのスマホの一件で薄々気づいてた。
問題はその理由だ。
「なんで?」
カンナは無言で僕を指さす。
僕?
「僕なんかした?」
首を振るカンナ。
「私がトーヤしか見てないからだってさ」
「え?」
「言い返せなかった、愛莉と仲良くしてるトーヤをずっと見てた。私もああなるんだって対抗してた。私の方がラブラブで幸せなんだぞって見せつけたかった。なのに感じたのは敗北感しかなかった。」
「……」
「元がダメだったんだ。トーヤじゃない時点ですでに愛莉に負けてたんだ」
「誠はこうも言ってた『誰かと付き合って冬夜の気を引こうなんてやりかた止めた方が良い。してる方も辛いし、相手ももっとつらい』って」
「カンナ……」
「私誠に悪いことしたな……」
カンナの目に涙が滲んでる。
「私地元に帰れるって聞いた時心のどこかで期待してたんだ。またトーヤに逢える。今度トーヤに会ったら告白しようって。そしたら愛莉と付き合ってるじゃん。もう絶望だった」
「……」
「諦めようとも思ったんだ。でもダメなんだ。和田先輩だったらよかったのかな?でもやっぱり同じこと繰り返すだけかなあって」
カンナの体が震えている。
「だめだ、我慢できない」
「カンナ……!?」
唐突に抱き着くカンナ。
「私トーヤが好きだ!どうしようもないくらい好きだ!愛莉にだって負けない」
そう言うとわあっと泣き出すカンナ。
僕はそっと受け止めることしかできなかった。
「ごめんな、カンナ」
「なあ?小4の時告白してたら変わってたか?今でも恋人でいられたか?」
泣きじゃくるカンナに掛ける言葉がみつからなかった。
ふいにカンナが伸しかかる。
そして呆気にとられる僕の唇にカンナの唇を押し付ける。
そして前の時のように舌を絡めてくる。
「ん……」
驚いたのはそれからだった。
自分のシャツのボタンを外すカンナ。
これ以上は駄目だ!
全力で起き上がる僕。
ぽかんとその場に座るカンナ。
シャツのボタンは半分以上とれていた。
下に着ていたのはタンクトップではなくブラだった。
思わず目をそらす。
「やっぱり私じゃだめか?」
「そうじゃない、まだ僕たち13だぞ」
目をつぶって叫ぶ僕。
「大丈夫。親なら深夜に帰ってくるし……」
「そう言う問題じゃないだろ!」
「そうだよな……ごめん」
「僕の方こそごめん……」
「いいんだ、これで気持ちの整理がついた」
そう言ってスマホを触る。
「これは宣戦布告だからな!」
そう言ってスマホを見せる
そこにはメッセージが。
「私、愛莉にまけないから」
「ちょ、ちょっとまて」
遅かった。
カンナは送信する。
「私、本気だから」
「分かったから、ボタン止めろよ」
目をつぶる。
自分の姿に気づいたカンナは慌ててボタンを留めた。
「じゃあな」
「気をつけてな」
「ああ、大丈夫だよ」
「そうか、そうだったな」
そう言って笑みをこぼすカンナ。
僕は帰った。
「本気だから」
その言葉の意味がわからなかった。
解りたくなかったのかもしれない。
家に帰ると玄関に立ってる愛莉がいた。
「どうしたんだ?」
「帰りが遅いから心配になって……愛莉から変なメッセージもらうし……どうだった?」
「誠と別れたんだって」
「え!?うそ!?どうして!?」
「さあな……色々あったんじゃないか?」
理由は伏せておいた。
「明日はちゃんとくるってさ……どした?」
愛莉の目線が下に言ってるのに気づいた。
「い、いや。そうなんだ、明日来るんだ。良かったね。」
「そうだな、じゃあ。家まで送るよ」
「いや、いいよ。すぐそこだし」
「?。いつもだろ?」
「大丈夫だから。うん、早く帰って着替えて休みなよ」
「そうだな」
「じゃあまた明日ね。冬夜君」
そう言ってバードキスをする愛莉。
振り返って走って帰って行った。
なんか変だ。
その理由を僕は脱衣所で知ることになった。
シャツに……リップがついてる!
明日から大変だろうな。
ピロリーン。
スマホが鳴った。
スマホを手に取り時間を見る。
まだ6時だ。
「朝早くから誰だよ」
メッセージを確認する。
誠からだ。
「朝早くごめん、ちょっと朝教室で話があるんだけどいいかな?」
話がある……。
3か月前にも同じことを言われた覚えがある。
「いいよ、何時くらい?」
「朝練が終わるのが8時だからそのくらいに」
「わかった」
ちょっと早く出ないとダメだな。
話ってなんだろ?
何故か嫌な予感がする。
でも聞かないってわけにもいかない。
今日から2学期か。
夏休みの事が走馬灯のように流れる。
思い出に浸っている余裕はない。
布団をたたみ押し入れにしまう。
制服に着替えて部屋を出る。
それからトースターにパンを入れスイッチを回す。
インスタントコーヒーを適当にマグカップに入れお湯を注ぐ。
どの動作も静かに音を立てずに。
母さんはまだ寝ているのだから。
一人静かに朝食を食べながら、頃合いを見て愛莉にメッセージを送る。
「今日はちょっと早いから二人で学校行ってくれ」
ピロリーン
愛莉も朝早いな。
寝坊助のトーヤを起こす為か。
「おはよう、早いね!何かあったの?」
スマホを片手で操作する。
「なんでもない、ちょっと早めに学校に来いって言われたから」
「わかった。じゃあ、教室でね」
食べ終わった後皿とマグカップを洗い仕舞うと洗面所に向かう。
寝ぐせはない。
ささっとブラシを通す。
顔を洗って歯磨きして準備はOK。
部屋に帰って化粧台の前に立つと化粧を始める。
化粧といっても中学生用のナチュラルメイクだ。
この間「いいねそれ」って愛莉に言われた。
「こんなの100均で売ってるよ」
って一緒に買いにでかけたことがある。
準備が終わると時間は7時前だった。
そっと戸を開けると一人静かに家を出た。
(2)
「おっはよう!冬夜君!」
「おはよう愛莉」
僕はベッドに腰掛けていた。
「あれ?起きてたの」
「まあね」
「起きてたなら下に降りてればいいのに」
それもそうだ。
「じゃ、下に降りよっか」
「うん」
そう言って部屋を出る愛莉の後をついていく。
「あれ?今日はいつもより早いじゃない?」
母さんまで驚いてる。
「たまにはそういうことがあってもいいだろ?」
「2学期初めから不吉だわ……」
そう言いながら朝食を僕の前に出す母さん。
それを食べるのを見ながらにやにやする愛莉。
どうしたんだ?
そういや、なんか感じが違う。
「……気づかないの?」
なんか不満そうだ。
「……何が?」
「あら?愛莉ちゃんお化粧してて大丈夫なの?先生に見つかったら大変なんじゃない?」
「神奈がしててもばれなかったから多分大丈夫かな?って。冬夜君も気づかなかったし」
なんかとげのある言い方だった。
「うちの冬夜はそういうのてんで鈍いからあてにならないわよ」
「……大丈夫なのか?」
「目立たないようにちょっとだけしてるだけだから大丈夫だよ」
「そっか、ご馳走様」
なんか冷たい視線を背にうけながら洗面所に向かう。
準備を済ませ、リビングに戻るとカンナが……きてない。
あれ?
「あ、そろそろ行こっか」
「行こっかってカンナ達は?」
「神奈なら今日は朝早いからパスっていってたよ。メッセージ着てないの?」
「着てないけど、朝早くからってなにかあったのか?」
「早朝からってことだから多分誠君とだね」
そう言って笑う愛莉。
「誠とねえ……」
もう付き合い始めて3か月か。
キスもしてたくらいだし、仲良いんだろうな。
「んじゃ行ってきます」
そう言って家を出る僕たち。
あとから愛莉がついてくる。
「ねえ?」
「なんだ?」
愛莉が鞄で僕の背中をたたきつけた。
「痛いだろ!」
「ちょっとくらい褒めてくれてもいいんじゃない?それとも似合わない?」
「似合わないことは無いけど……」
「けど?」
「自然な愛莉の方が好きだよ」
釈然としない愛莉。
「ほら行くぞ」
ボーっとしている愛莉に声をかけ僕たちは学校に向かった。
(3)
「……え?」
私は一瞬聞き間違えたのかと思った。
教室の窓は全開だった。
まだ朝練してる部活の掛け声が聞こえてくる。
9月とはいえまだ暑い。
誠は制服に着替えていた。
制汗剤のにおいがする。
「だから別れようって言ったんだよ」
なんとなくそんな感じがした。
けど信じられなかった。
「なんで?私なにかへまやったか?」
なんか見苦しいけど藁にもすがる想いで聞いていた。
「……神奈さん俺の事みてないでしょ?」
え?
「俺は冬夜みたいに優しくないからはっきり言う。俺は冬夜にはなれない」
何でトーヤが出てくるんだよ。
「俺じゃなくても、誰がみてもはっきりわかると思うよ。神奈さんまだ冬夜の事好きなんだろ?」
「それは……」
「違うってはっきり言えないんだね」
言えなかった。
「最初は俺が忘れさせてやる。そう思った。でも最近になって思い知らされたんだ。最初から俺の事なんか見てない。俺の向こうにある冬夜の事を見てる」
「そんなことは無い!好きになろうと努力したんだ」
「努力して好きにならないといけないのかい?」
誠の言葉がちくちくと心に突き刺さる。
「回りくどい言い方はしたくないからはっきり言う。迷惑なんだよ。俺も辛い。誰かと付き合って冬夜の気を引こうなんてやり方は止めた方が良い。してる方も辛いし、相手ももっとつらい」
私は泣いていた。
「ごめんな。そんな風に思ってたんだな……」
「俺の方こそごめん、期待に添えなくて」
悪いのは誠じゃない、私だ。
誠はハンカチを渡してくれた。
「もうすぐ、他の人達が入ってくる、洗面所にでもいったほうがいいよ」
「大丈夫、すぐ立て直すから」
「そっか、そうだよね。じゃあ俺は行くね」
「うん、ごめんな」
「謝ることないよ。短い間だったけど楽しかったよ。ありがとう」
そう言うと誠は教室を出て行った。
私はフラフラと自分の席に座り机に突っ伏して泣いていた。
「音無さん大丈夫!?」
誠の言った通りクラスメートが入ってくるとすすり泣いている私を見つけて声をかけてきた。
「大丈夫、ちょっとお手洗い行ってくる」
そう言ってダッシュで洗面所に向かった。
(4)
今日は始業式の後、軽い説明と席替えがあって終わった。
何という強運なんだろ。
愛莉とカンナが両隣にいるという配置だった。
誠はカンナの隣だった。
カンナといえば朝ちょっとした事件があって。
クラスメートの女子がカンナが泣いてるのを見たらしい。
驚いて声をかけるとトイレに走って行ったらしい。
その事をカンナに聞くが何も答えてくれない。
愛莉が聞いても同じだった。
僕は誠に聞いてみたが、やっぱり何も答えない。
「中途半端な優しさは人を傷つけるだけだぞ。冬夜」
それだけ言い残していった。
僕が原因なのか?
その日の勉強会。
なんか重苦しい雰囲気に包まれていた。
そしてその雰囲気に耐えかねたのか……
「……ごめん、私帰るわ」
そう言ってカンナが立ち上がる。
「待って神奈!」
カンナが立ち止まる。
「とりあえず座って神奈。今日は勉強会はお終い」
「じゃあ、いる意味ないだろ?」
「いい加減話して、私たち友達でしょ!」
「友達だから話せないこともあるだろ?」
「話せないってことは私たちが原因なの?」
「……朝の話なら違うよ」
「じゃあ、説明してよ!この空気のままじゃ勉強会も気まずい空気のままになっちゃう」
「じゃあ、もう来ない!」
カンナが叫んだ。
「どうしてよ!?一緒の高校行こうって約束したでしょ!私は今でも行きたいと思ってる」
「その約束も無かったことにしてくれないか?」
「嫌!!絶対に嫌!」
カンナの何かがキレたようだ
「愛莉にいってもわかんねーよ。欲しいものは何でも手に入るお前に何を説明しろっていうんだよ!足掻いても手に入らない私の気持ちがわかるのかよ」
愛莉もカチンときたようだ。
「分かんないわよ。でも神奈にだってわかんないよ!過度な期待を背負わされて!欲しいものは何でも手に入るっていったけど肝心なものは手に入れられない私の気持ちがわかるの!?」
「二人とも落ち着けって!?」
「トーヤは黙ってろ!」
「冬夜君は黙ってて!!」
すいません……じゃない。
「熱くなるなよ、解決することも解決しないだろそんなんじゃ」
「そんなに仲良しごっこしたいなら二人でやってればいいじゃん!私を巻き込むな!」
バシッ!
乾いた音が部屋に響く。
カンナを平手打ちした愛莉の目には涙がたまってた。
「仲良しごっこしたいならこんなこと言わないわよ!本音で話をしたかったからこうして怒ってるんじゃない!神奈の為だったらなんでもするわよ」
「……今なんでもするって言ったよな?」
カンナの凄く冷たい声が聞こえた。
こんな声聞いたの初めてだ。
「出来る事なら……」
その剣幕にたじろぐ愛莉。
「じゃあ、ちょっとトーヤ貸してくれよ。トーヤに言いたい事がある」
「……分かった」
あっさりと快諾する愛莉。
「じゃあ、今日は私帰るね……。冬夜君また明日」
そう言って愛莉は部屋を出て行った。
「やけにあっさりなんだな。そうやって見下してるところムカつく」
「カンナ!それは違うだろ!愛莉は優しいからそれで解決するならって」
「自分が圧倒的優位だと思ってるからだろ?」
「……あいつもお前と一緒だったんだよ」
「私と一緒だった?」
「小学校の頃虐められててな、いつも助けてた。それで僕との仲をからかわれて、また虐められて。」
「……その話は前に聞いたよ」
「じゃあ、虐められてた原因は聞いたか?」
「いや?」
「お前と一緒だよ、可愛いから。男にもてるから。それだけで女子の嫉妬をかったりしてた。理不尽だよな?好きでもない男の事で妬かれて虐められるんだ」
「……」
「男子からもだ。好きな女子ほど虐めたいっていうだろ?それを地でいってたんだよ」
「なんでも知ってるんだなトーヤは……」
「まあ2年も付き合ってたらな」
やっとカンナは落ち着きを取り戻したようだ。
スマホを取り出すと何か操作していた。
「愛莉に送っておいたよ。『言い過ぎたごめん。トーヤに怒られた』って」
ピロリーン
きっと愛莉からだろう。
「『私も言い過ぎたごめん。何があったのかは分からないけど冬夜君に相談して解決することなら私は大丈夫だから。冬夜君に宜しく伝えておいて』だってさ」
ピロリーン
今度は僕のスマホが鳴った。
「きっと誠君と何かあったんだと思う。上手く慰めてあげて」
誠か……ん?誠からもメッセージが来てる。
「きっと神奈さん落ち込んでると思う。フォローしておいて><」
><じゃねーよ馬鹿。
「じゃあ、もう行くわ」
「待てよ、話があるんじゃないのか?」
「明日はちゃんと来るよ」
「そうじゃなくて……」
話があるから愛莉に言ったんじゃないのか?
「そうだな、そうだったな……。じゃあ送ってくれよ」
「……?誠がくるんじゃないのか?」
「誠?……そうだな?」
カンナはスマホを何やら操作している。
そして僕に画面を見せた。
誠の連絡先だ。
カンナは僕の目の前で誠の連絡先を削除してみせた。
「……これで分かったろ?何?って聞いたらぶっ飛ばすからな」
事情は分かった。納得はしてないけど。
(5)
カンナは帰り着くまで、何も話さなかった。
家に帰りついた。
「じゃあな……」
結局何も話してくれなかったな。
とぼとぼと帰る僕にカンナは後ろから声をかける。
「待てよ。何も話してないだろ?うちに寄ってけよ」
カンナの家は木造のアパートだった。
3DK の部屋だった。
カンナは自分の部屋に僕を招くとキッチンに向かった。
木製の机と箪笥と化粧台。あと本棚があった。
壁に立てかけてたテーブルを部屋の中央に置くとお茶とお茶菓子をもってきた。
「まあ、くつろげよ。くつろぐ話でも無いけどな」
そう言って苦笑するカンナ。
さっきよりは余裕が生まれたようだ。
「単刀直入に言う。誠に振られた」
そう言ってばつが悪そうに笑うカンナ。
それはさっきのスマホの一件で薄々気づいてた。
問題はその理由だ。
「なんで?」
カンナは無言で僕を指さす。
僕?
「僕なんかした?」
首を振るカンナ。
「私がトーヤしか見てないからだってさ」
「え?」
「言い返せなかった、愛莉と仲良くしてるトーヤをずっと見てた。私もああなるんだって対抗してた。私の方がラブラブで幸せなんだぞって見せつけたかった。なのに感じたのは敗北感しかなかった。」
「……」
「元がダメだったんだ。トーヤじゃない時点ですでに愛莉に負けてたんだ」
「誠はこうも言ってた『誰かと付き合って冬夜の気を引こうなんてやりかた止めた方が良い。してる方も辛いし、相手ももっとつらい』って」
「カンナ……」
「私誠に悪いことしたな……」
カンナの目に涙が滲んでる。
「私地元に帰れるって聞いた時心のどこかで期待してたんだ。またトーヤに逢える。今度トーヤに会ったら告白しようって。そしたら愛莉と付き合ってるじゃん。もう絶望だった」
「……」
「諦めようとも思ったんだ。でもダメなんだ。和田先輩だったらよかったのかな?でもやっぱり同じこと繰り返すだけかなあって」
カンナの体が震えている。
「だめだ、我慢できない」
「カンナ……!?」
唐突に抱き着くカンナ。
「私トーヤが好きだ!どうしようもないくらい好きだ!愛莉にだって負けない」
そう言うとわあっと泣き出すカンナ。
僕はそっと受け止めることしかできなかった。
「ごめんな、カンナ」
「なあ?小4の時告白してたら変わってたか?今でも恋人でいられたか?」
泣きじゃくるカンナに掛ける言葉がみつからなかった。
ふいにカンナが伸しかかる。
そして呆気にとられる僕の唇にカンナの唇を押し付ける。
そして前の時のように舌を絡めてくる。
「ん……」
驚いたのはそれからだった。
自分のシャツのボタンを外すカンナ。
これ以上は駄目だ!
全力で起き上がる僕。
ぽかんとその場に座るカンナ。
シャツのボタンは半分以上とれていた。
下に着ていたのはタンクトップではなくブラだった。
思わず目をそらす。
「やっぱり私じゃだめか?」
「そうじゃない、まだ僕たち13だぞ」
目をつぶって叫ぶ僕。
「大丈夫。親なら深夜に帰ってくるし……」
「そう言う問題じゃないだろ!」
「そうだよな……ごめん」
「僕の方こそごめん……」
「いいんだ、これで気持ちの整理がついた」
そう言ってスマホを触る。
「これは宣戦布告だからな!」
そう言ってスマホを見せる
そこにはメッセージが。
「私、愛莉にまけないから」
「ちょ、ちょっとまて」
遅かった。
カンナは送信する。
「私、本気だから」
「分かったから、ボタン止めろよ」
目をつぶる。
自分の姿に気づいたカンナは慌ててボタンを留めた。
「じゃあな」
「気をつけてな」
「ああ、大丈夫だよ」
「そうか、そうだったな」
そう言って笑みをこぼすカンナ。
僕は帰った。
「本気だから」
その言葉の意味がわからなかった。
解りたくなかったのかもしれない。
家に帰ると玄関に立ってる愛莉がいた。
「どうしたんだ?」
「帰りが遅いから心配になって……愛莉から変なメッセージもらうし……どうだった?」
「誠と別れたんだって」
「え!?うそ!?どうして!?」
「さあな……色々あったんじゃないか?」
理由は伏せておいた。
「明日はちゃんとくるってさ……どした?」
愛莉の目線が下に言ってるのに気づいた。
「い、いや。そうなんだ、明日来るんだ。良かったね。」
「そうだな、じゃあ。家まで送るよ」
「いや、いいよ。すぐそこだし」
「?。いつもだろ?」
「大丈夫だから。うん、早く帰って着替えて休みなよ」
「そうだな」
「じゃあまた明日ね。冬夜君」
そう言ってバードキスをする愛莉。
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