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1stSEASON
ホワイトデー、そして……
しおりを挟む(1)
3月。
テストがひしめく嫌な時期。
「普段から勉強してたらテスト期間に慌てることなんてないし、イベントなんかに出かけても問題ないよ」
と、いうのが愛莉の持論。
もちろん常に学年トップの愛莉が言うのだから説得力があるのだが。
イベント……。
男子にとっては悩めるイベント。
ホワイトデーのお返し。
どうする?
実は昨夜、検索サイトで調べた。
上位に輝いたのはペンダント!
もう送ったじゃん!
しまった!
何を送ればいいんだ。
カンナには有名菓子屋さんのお菓子を送るとして、愛莉には何か特別なものを上げたい。
こればっかりはカンナや愛莉に相談できない。
相談できそうなのは……誠だ。
誠は今年も紙袋一杯にもらうという漫画でありそうなことを普通にやってのけた。
そういや、誠って毎年どうしてるんだろ?
お小遣い足りるのかな?
答えは単純だった。
「ん?返してねーよ。一々返してたらきりねーよ」
よくそれでそんなにもらえるな。感心を通り越して怖えーよ。
「あ、今年は神奈さんには返すかな」
「愛莉には?」
「ん?本命だけでいいだろ?」
あっけらかんと答える誠。
「遠坂さんには冬夜がいるしな。冬夜と比べられるのもなんかなぁ。ん?お前神奈さんに返すつもりでいたのか」
「まあ、義理返しって言葉あるだろ?」
「その様子だと迷ってるのは遠坂さんの方だな?」
「まあな。」
「そんなに気張ることねーよ、俺たちまだ中学生だぜ?上見てたらキリねーって」
「分かってるけど」
特別な事をしてあげたい。
「んーしょうがねーなぁ。今度一緒にショッピングモール行こうぜ。今なら特売所あるだろうし。一緒に選んでやるよ」
ありがとう、わが友よ!
「その代わりコーヒーの一杯でも奢れよ」
「ああ」
(2)
3月9日
普通に3人で家で勉強してた。
「あの、さ。冬夜君」
愛莉が突然話し出す。
なんだろ?
「そんなに高い物いらないからね?お返し」
なんというボディブロウ。そう言われて安物買えるわけないだろ?
「なんだ、最近なんか悩んでると思ったらホワイトデーか」
カンナも乗ってきた。
「もうバレンタインの時みたいな真似は止めろよ。こっちも心臓に悪い」
カンナに釘を刺される。
「わ、わかってるよ」
「てことはサプライズ系じゃないんだね」
胸を撫でおろす愛莉。
「う、うん」
「私はあれで十分お返しもらったと思ってるから簡単なのでいいよ」
その笑顔が怖い。
……うーん。
愛莉の笑顔を見てるとやっぱり何か特別なのを買わないと。
また喜ぶ顔が見たい。
「例えばの話だけど、二人共どんなのが欲しい?」
つい聞いてしまった。
「トーヤ」
はい?
「トーヤくれよ」
ちょ……おま……。
「神奈。それは駄目」
にこにこ笑いながら僕の代わりに答える愛莉。
また喧嘩がはじまるのか?
「半分冗談だよ」
半分は本気なのか?
「そうだなぁ、何でもいいって言うとトーヤが困るだろうから……。普通に菓子でいいよ。ポテチとかスーパーで売ってるクッキーとか買って来たらぶっ飛ばすけどな」
カンナの方はクリアできそうだ。
問題は愛莉……。
「私も本音は冬夜君かな~」
恥じらいという気持ちをプレゼントしたい。
「でもそれは無理だろうから。うーん、ブレスレットとかペンダントはもらったしな。私もお菓子でいいよ」
カンナと愛莉に同じものを送るのは気が引ける。
やっぱり、誠に相談するか。
誠……誠か?
「なあ?カンナ」
「なんだ?」
「誠からもらうとしたら何が欲しい」
「そうだなあ、まあ相応の物をねだるかな?財布とかバッグとか」
やっぱりそっち系なのか。
「あとは花束とかもいいな……あ、誠にちくんなよ!」
「分かってるよ!」
「でも結局は気持ちだよ。あ、そういや。男子の中で噂になってるって聞いたけど」
「なに?」
「下着を送るのはやめとけよ……私ならサイズ教えてやらねーでもいいけど愛莉には刺激が強すぎる」
「神奈ぁ!!」
「冗談だってば……半分な」
「半分は本気なわけ~?」
そういや、何かの雑誌で書いてあったらしいな、最近の流行りはお返しにパンツを贈るといいとか……
なんとなく想像していた。愛莉の下着姿かぁ~。
そういや、見てないなぁ。
いてっ!
愛莉が僕の顔をつねっていた。
「何を想像していたのかな~?冬夜君?」
愛莉の笑顔が怖い。
「やっぱりトーヤも男だったんだな。もう少し押せば行けるか?」
い、いや。その話を引きずるのはまずいだろ!
……でもなかったらしい。
「……私だって冬夜君になら教えてもいいもん!」
「あ、いや良いです」
「何?興味ないって感じで言われるとムカつくんですけど~」
その後愛莉をなだめるのに必死だった。
(3)
3月10日
誠とショッピングモールに来ていた。
特売場は人でごったがえしていた。
「色々あるなぁ」
大体がお菓子だったが、後はバッグと財布。
とりあえずカンナ用にお菓子を買う。店は決めてた。
後は愛莉だ。
神奈は「財布やバッグ」と言っていたがなんかしっくりこない。
どうしよう?
誠は何のためらいもなくバッグを買っていた。
何の迷いも無いんだな。
「どうだ?良いものみつかったか?」
誠が聞いてくると僕は首を横に振る。
「こういうのはインスピレーションだよ!遠坂さんの事考えてこれだって思ったのを買えばいいんだよ」
妙に説得力あるな。
言われる通り愛莉の事を考えてみた。
……閃いた。
それは特売場から少し離れたあるお店だった。
そこに向かった。
「結構値が張ったんじゃね?」
「普通だよ」
多分。
そのお店の中では安い部類の方だった。
「お前の中の遠坂さんはそれだったんだな?」
「ああ……」
自信なさげに言う。
「大丈夫だよ!あんだけ真剣に考えた結果だろ!もっと自信持てよ!!」
「ああ……」
そう答えて、自分の買った青い紙袋を見る。
大丈夫だよな?
(4)
3月14日
「おはよう~」
「おはよう」
今日は起きてた。
と、いうよりあまり寝てない。
「下降りようか?」
「え?」という顔をしたけどすぐ笑顔になり「分かった」と言って部屋を出る。
ごめんな……。
「お、トーヤおっす」
カンナが挨拶する。
来てたのなら一緒に上がってくればいいのに。
あ、カンナになら今あげてもいっか。
冷蔵庫からおもむろに箱を取り出しカンナに渡す。
「お、サンキュー!!お、いいじゃん。ありがとうな」
紙袋に書かれていた店名を見て満足するカンナ。
まだ覚えていたんだな。
それに引き換え愛莉の様子がおかしい。
負のオーラに包まれているというかなんというか……。
見かねた母さんが一言言う。
「あ、愛莉ちゃん。冬夜のプレゼントね、ちょっと学校にもっていくのはどうかと思って私が昨日帰ってからにしなさいって言ったの。だから帰ってからのお楽しみにしててね」
「お、よかったじゃん。楽しみだな、愛莉」
カンナもフォローしてくれた。
ちょっとだけ負のオーラが消えた気がする。
「そうなんだ……」
「ごめん」
「それならそうと言ってくれればいいのに」
放課後、カンナは誠に呼び出される。
「悪いちょっと先帰っててくれ」
その後メッセージが来る
「今日は家に行かないから」
こういうところだけ気が利くんだな神奈は。
「じゃ、二人で帰ろうか」
「うん」
今日はやけに口数の少ない愛莉。
何か話さなきゃ。
「テストも終わったし後は春休みだな」
「うん」
「あっという間の2年生だったな」
「そうだね」
「春休みどうする?あ、勉強か」
「ねえ、冬夜君」
「どうした?」
あ、腕か。
鞄を左手に持ち直す。
あれ?
違う?
「どうして神奈が先なの?」
へ?
「だから、朝説明した通り……」
「だったらどうして冬夜君から一言無いの!?」
「あ……」
「朝凄い期待してたのに……。冬夜君の中は神奈しかないの?」
要するに先にカンナに渡したことに妬いたわけか。
こういう時の対処法は心得てある。
もう、人に見られてもなんとも思わない。
僕は自慢の彼女を抱きしめる。
「ちょ、ちょっと人が見てる」
愛莉が慌てる。珍しい。
「愛莉は僕といちゃついてるのを人に見られるのが嫌か?」
「そ、そんなことないけど。むしろ嬉しい……冬夜君からこんな事って滅多にないからって話を逸らすな」
「逸らしてないよ、これが本音だよ。自慢の彼女の事しか頭の中に無い」
「え……でも、朝」
「今からうちにおいでよ。渡すから」
「うんって……だから順番が違くない?って」
「それは謝る、ごめん。でも頭の中も気持ちも愛莉の事でいっぱいだよ」
「……そうなの?」
「うん」
「わかった……じゃあ、家に行こう」
愛莉が戸惑いながら腕を組み歩く。
部屋についた。
愛莉はクッションの上に正座する。
そして、勉強の準備を……って違うだろ!
「愛莉!!」
「はい!!」
僕に呼ばれて甲高い声をあげる愛莉。
「これが僕の気持ちです!」
そういって小さな紙袋を渡す。
「……開けてもいい?」
僕は思い切り頷く。
彼女が袋を開けると小さな小瓶が入ってた。
そしてメッセージカード。
「大好きだよ」
「……これ?なあに?」
彼女は不思議そうに瓶のふたを開ける。
開けた瞬間にその中に入ってる液体の正体が分かる。
ほのかに甘酸っぱいにおい。
柑橘系の香水だった。
「これ……高かったんじゃない?」
「大したことないよ」
いや、本当に大したことないんです。1000円ちょっとの安い奴。
「……いつも意地悪だね?冬夜君は」
「え?」
「いつも私を困らせて怒らせて……その結果がこれだもん。いい加減学習してよ」
俺、まずいことやった?
「ずるいよ、冬夜君は!」
すすり泣く愛莉。
僕は隣に座るとそっと肩を抱く。
「隠し事しないって言ったよ」
「言ったら驚かせないと思って」
「もっと普通でいいんだよ?してくれるだけで幸せなのにこれ以上ドキドキさせられたら私死んじゃいそうだよ」
「死なれるのは困る」
「だったら普通に好きでいて。それだけで私幸せだから」
「ごめんね、出来るだけ怒らせないようにしようと思ったんだけど」
「……私も冬夜君の事言えないくらい鈍いね」
愛莉はそう言って笑っていた。
(5)
修了式
通知表が配られる。
カンナは大分成績が伸びたらしい。
がんばったもんな。
喜んでた。
僕はいつも通りだった。
まあ、良い方だろう。
帰り道
「いよいよ3年生だね……中学生最後の年かぁ」
しみじみと言う愛莉。
「しんみりするのは早えーよ……まだあと1年あるんだぜ?」
カンナが答える。
「この1年あっという間だったじゃない~」
「そっか?結構色々あったように思えたけど。まあ、充実はしてたな」
「来年も充実させたいね」
「そうだなぁ」
充実させたいって……どういう意味だ?
愛莉は多分遊びたいんだろうなぁ。
普段からキッチリ勉強しておけば少々遊んでも問題ないって言って実践する奴だから。
カンナも大分伸びてきた。志望校には入れるんだろうな。
僕も問題ないって言われた。
「そういや、和田先輩泣いてたらしいぜ。あの格好でみっともないよな」
そう言って笑うカンナ。
和田先輩は三重野高校。矢口先輩は桜丘高校に行くらしい。
「神奈はどうなの?防府行けそう?」
愛莉が聞くとカンナはピースサインをしてみせた。
「このままの調子ならいけるだろうって、このまえまゆみちゃんと話してた」
「良かった~。冬夜君も大丈夫なんだよね?」
「うん、今の調子なら問題ないって」
「じゃあ、3人で一緒に高校生活送れるね」
「もうそんな先の事考えてるのか?」
呆れた様子で言うカンナ。
「さっき言ったじゃん。一年なんてあっという間だって」
「そうだな」
僕は相槌を打つとそう言った。
「3年になっても……ずっと一緒だよ!」
そう言って愛莉は僕とカンナの腕をつかむ。
「わ。離せよ」
僕はどうも反応した。
去年の今頃の僕ならどんな反応してただろう?
過去の僕へ。
今はすっごい充実してます。
上手くいかないように見えてうまく行ってます。
どうか胸を張って学校生活を送ってください。
上手くいかないように思うこともあるけど。
もうだめだって絶望することもあるけど。
今の僕は幸せです。
2週間ほどの春休みを終えて新年度が始まる。
どんな困難があっても乗り越えられる。
そう思っていた。
少なくとも今の僕は。
「どうしたの?冬夜君?遠い目をして」
「あ、いや。色々考え事しててさ」
「……また何も企んでる?」
「何もないよ、本当に」
慌てて否定する僕。
「お前ら鈍いんだからあまり下手な事考えずにストレートに行けよ」
そう言うカンナ。
カンナはいつもまっすぐだな。
「明日から何するかな~?」
どうして愛莉はころころ思考を切り替えるんだろ?
「勉強に決まってるだろ」
「え~最後の休みだよ!これから試験勉強の地獄だよ」
「……そんな気、全然ないだろ?」
「……バレた?」
舌をちょっと出して笑う愛莉。
「来年は4人で遊べると良いな。誠も部活終わりだろ?」
誠の場合進路がかかってるから遊ぶどころじゃないだろ?
まあまあ、二人共よろしくね。
そう言って笑う愛莉。
こんなに笑う奴だったんだな。
感心してみている。
「何ぼーっとしてんだトーヤ。置いていくぞ」
「あ、ちょっと待てよ」
慌てて、後を追いかける僕。
ふと、思う。
こんなに可愛らしい、二人に出会えるなんて、僕って幸運だなって。
待っている二人のもとへ駆け寄った。
その夜誠が迎えに来てカンナと一緒に帰って行った。
そして愛莉の家に愛莉を送り届ける。
「じゃあね~?」
気付いたら愛莉の腕を掴んでいた。
「どうしたの?」
きょとんと僕を見る愛莉。
「あの時は愛莉からだったよな」
「え?」
愛莉の反応を聞くより早く僕は愛莉にキスをしていた。
「冬夜君!?」
何が起こったのか理解していないようだ。
驚き戸惑っている。
「ずっと言おうと思っていたんだ。こんな僕みたいな劣等生でも愛莉みたいな子と付き合えたんだなって。ありがとう」
すると愛莉はムッとしていた。
そして抱きついてくる。
「言ったでしょ。私を選んでくれたのは冬夜君だって。冬夜君と会っていなかったらずっと虐められるだけの惨めな生活だったと思う」
「そんなことないだろ?現に今は告られまくりなんだろ?」
「最初に気づいてくれたのは冬夜君だよ。だから今は冬夜君だけを見てる。これからもずっと……」
「ずっと?」
「ラブラブでいようね!」
そう言うと彼女は家に帰って行った。
僕も家に帰る。
ずっとか……。
いつまで一緒に居れるんだろう。
だからその後ろ向きな自分はやめろ。
こころのどこかでそう言っている。
人を好きになるって結局はどこまで相手を信じられるかだと思う。
その事を思い知るのはそう遠くなかった。
だけど今は愛莉の事を微塵も疑ってなかった。
そうして春休みを過ぎ、中学校生活最後の年を迎える。
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