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1stSEASON
空白の1週間
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(1)
GW明け。
早くも体育祭の準備が行われる。
生徒会も色々と忙しそうだ。
愛莉もいつもより遅くなる。
「ごめんー」
そう言って部屋にはいってくる愛莉。
その間は愛莉と二人きりで宿題と復習。
で、愛莉が帰ってくるとわからないところを聞くと言った感じだ。
つまり愛莉は自分の事をやる時間が無い。
「大丈夫か?」
「平気だよ~。宿題なんてすぐ終わっちゃうし、復習するまでもないからね~」
帰り際にそう言って家に入る愛莉。
週末。
休みなので、愛莉とカンナと一日いた。
「体育祭の準備忙しそうだな」
カンナが言うと、愛莉が笑う。
「そうだね、ちょっと前に出て応援するのは恥ずかしいかな~」
人前でいちゃつくのは平気な愛莉でも恥ずかしいって思うことあるんだな。
そんな事を考えてた。
「しっかり、動画撮ってやるから」
「……そんな事言っていいの?騎馬戦の時ばっちり動画撮ってあげるから」
「う……」
そうだ、それがあった。
じゃんけんで誰が上になるかを決めて、負けたんだ。
「嘘だよ。ちゃんと応援してあげるからね!一人くらい倒してカッコいい所見せてね~」
騎馬戦は2年、3年の合同で行われる。
順番は2年から3年、それぞれ図体の小さい順から始まる。
つまり2年の図体のでかいのと3年の小さいのがぶつかることがある。
そして僕は3年の割と早めの順番だ。
対策は練ってあるが、上手くいくかどうかはまだ試してない。
今度の練習の時試してみよう、と思うけど。
個人戦はそれでいい問題は団体戦だ。
紅白に分かれているのだが、分け方に問題なく僕自身に問題があった。
愛莉の一件で大体の男子に嫌われていた。
団体戦の時に味方に襲われる危険があった。
そっちの方が厄介だ。
まあ、その心配も杞憂に終わるのだが……。
日曜の深夜。午前2時の事だった。
「冬夜、起きなさい。今から実家に帰るわよ」
母さんに起こされた。
「何があったの。」
照明をつけると母さんの顔色が悪い。
何かあったのは容易に想像できた。
そしてそれは寝耳に水だった。
「お祖父さんが亡くなったわ……」
(2)
月曜日。呼び鈴を押す。
が、誰も出ない。
もう一度押す。
同じだった。
皆出かけちゃったのかな?
その時スマホが鳴る。
冬夜君からだ。
「ごめん、今実家にいる。学校しばらく休むから」
え……?
「どうしたの?」
すぐに返事が返ってきた。
「お祖父さんが亡くなった。多分2,3日くらい休むと思う」
「大変だね、大丈夫?」
「僕は大丈夫だけど母さんが……」
麻耶さんのお父さんが亡くなったんだね。
「分かった」
返事は返ってこなかった。
大丈夫かな?冬夜君。
そんな心配をしてると神奈がやってきた。
「あれ?どうしたんだ?」
神奈に事情を説明する。
「そうか、大変だな」
神奈はそう言って何も言わない。
「ここにじーっとしてても仕方ないから学校行こっか?」
そう言って学校に向かう。
2,3日会えない。
そんな事は前はよくあった。
私が旅行に行ったりが大体の理由だけど。
冬夜君が居なくなる。
そんな事は初めてだった。
頭がパニクってる。
大丈夫かな?
その言葉は冬夜君にむけてのものなのか、それとも私に向けてのものなのか?
「おい、愛莉大丈夫か?」
「うん……大丈夫」
「しっかりしろよ、2,3日で帰ってくるんだろ?」
「うん。そうだね」
「ずっと会えないわけじゃないんだから。メッセージは出来るんだろ?電話だってつながるんだろ?問題ないって」
「うん……。ただ、冬夜君大丈夫かな?って」
そう言うと私は立ち尽くし泣いていた。
神奈は私の肩に手をやり優しく言う。
「こんな時だからこそ愛莉がしっかりしねーと。人が死ぬって結構きついもんあるからさ。愛莉が励ましてやらねーと」
「なんて声かけたらいいか分かんないよ」
「何も言わず話聞いてやるだけでいいんだよ」
「うん」
朝から気分は最悪だった。
(3)
朝方に着いた僕たちは、お祖父さんに最後の別れを告げる。
とても眠れる気分じゃないので、お線香の番をしていた。
色んな人が訪れる。
ずっと泣いている母さん。
僕は不思議と平気だった。
あまりあったことがないからなのか、あまり悲しいという感情が無いのか……。
朝になって眠気が急激に襲って来た。
「冬夜、少し寝てなさい」
父さんに言われ、少し寝ることにした。
あ、その前に愛莉に伝えておかないと。
すぐに返事が来た。
「どうしたの?」
僕はお祖父さんが亡くなった事を伝える。
「大変だね、大丈夫?」
「僕は大丈夫だけど母さんが……」
「分かった」
その後ばったりと倒れる。
起きたときには通夜の準備ができてた。
伯父さんとこの家族が来ていた。
「父さんごめん、大事な時に寝ていて」
「いいんだ、もう少し休んでいなさい」
父さんの拳が固く握りしめられていることに気づいた。
何かあったのか?
最後に叔父さんがやってきた。
叔父さんとは仲が良かったので色々話してた。
通夜は今晩行われた。
あ、足がしびれる。
従兄の勝也と足のつつき合いをしたり、緊張してたのかわからないけど木魚の音が余りにも拍子抜けして笑いがこみあげてきた。
テンションおかしくなってるのかな?
「お前たちは外で待っていなさい」
父さんに叱られ葬儀場の控室で待つ。
その後も変なテンションは続き、勝也たちと遊んでた。
だから、気付かなかった。
愛莉からのメッセージに。
その後食事を貪りながら話に花が咲く。
話題は僕と愛莉の話になる。
「そうか、そんないい彼女さんいるのか」
「冬夜君は幸せ者だなぁ」
「冬夜君はお祖父さんに似てモテてるなあ」
いや、モテてるって……。
たまらなくなり、一人ロビーにでる。
夜の会館は人気が無い。
今日の葬儀は僕たちだけみたいだ
そこで愛莉のメッセージを確認する。
「寂しいよ(´・ω:;.:...」
しまった!
「ごめん、親戚が集まってて気付かなかった」
するとスマホの着信音が鳴る。
愛莉からだ。
すぐに電話に出ると、とりあえず謝る。
「ごめん、午前中は寝ていて、午後は……」
「大丈夫?疲れてる?大変な時にごめんね。でも寂しくてつい……」
「今は時間あるから大丈夫」
「明日明後日には帰ってくるんだよね?」
言葉に詰まった。
どうしよう?
あ、でもちゃんと言っておかないとな。
「ごめん、初七日までいることになった。来週までこっちにいると思う」
「そんなに!?体育祭は?」
「休むかな……」
「そっか……仕方ないよね?摩耶さん大変だもんね」
お前もなんか心配だぞ愛莉。
「大丈夫、毎日連絡は入れるから、電話は無理でもメッセージは送るよ」
「うん……ごめんね。私冬夜君に迷惑かけてる?」
ほら、半泣きしてる。
「いや、いいんだ。大丈夫だから……いつでも一緒だって言ったろ?」
「うん」
その後しばらく話をしていると。向こうから久しぶりに聞く女子の声が聞こえた。
「彼女さんと電話中?」
振り返るとそこには従妹の亜子が制服姿で立っていた。
(4)
「彼女さんと電話中?」
亜子は突然現れると、そう言った。
「亜子?」
「アコってだ~れ?」
「ただの従妹だよ。ごめん、また後で連絡する」
「え?どうしたの??」
「なんでもない、じゃあまたね」
そう言って電話を切る。
彼女とかと話してる途中に親兄弟が部屋に入ってくると妙に焦るよね?
あれあれ。
「切らなくて話続けてたらいいのに」
淡々とした口調で亜子は話す。
「どうしたんだよ、急に」
僕は亜子に聞いた。
「そうね、兄の話になって詰まらなくなったから部屋を出てきただけ」
母さんの親族が集まると大体勝也の話になる。
皆勝也に期待している。
それを本人はどう受け止めてるかは知らない。
ただ、比較対象にすらされない妹はつまらないんだろうな。
「なるほどね」
そう言うと亜子は、ロビーの椅子に座り隣に座るように促した。
僕は素直に隣に座った。
「知らなかった。冬夜君に彼女がいたなんて」
「中学になってから会ってなかったもんな。亜子にもいるんだろ?彼氏くらい」
亜子は首を横に振った。
亜子は頭がいいし、綺麗だ。そして大人しい。
男子なら放っておかないだろう。
「ダメね、皆外見や成績ばかり見て……おどおどして頼りない」
「そうなのか」
「ええ。あとはそうね。声をかけたりしてくるのはチャラチャラした奴。私とは合わない」
「そうか、大変だな」
「うん」
「……」
亜子と話してると妙に沈黙の時間が多い。
亜子が俺の事嫌ってるんじゃないかと思うくらい素っ気ない。
「じゃ、僕もどるから」
席を立とうとする僕の腕をつかむ。
「どうせまだ兄さんの話続いてるだろうから。もう少しここにいましょ?」
この息苦しい時間をどう過ごせばいいのか?
「聞かせて、彼女さんの話」
何でそんなことに興味があるのか?
むしろ亜子が興味を持つ物があることに驚いた。
「そうだな……」
僕は話をしてた。
彼女と付き合うきっかけやそれからの話。
今どうしてるのかとか。
それを亜子がどう聞いていたのか知らない。
だけど話を終えると一言言った。
「本当に幸せなカップルね」
亜子が聞いてもそう思ったらしい。
「まあね」
「意外だったわ、冬夜君にそこまで惚れる女子がいたなんて」
「そうだな」
「おう!二人共こんなところにいたのか!早く戻ってこい」
父さんが呼んでる。
「行きましょうか」
そう言って亜子はすっと立ち上がる。
「ああ」
僕も立ち上がると控室に戻って行った。
その後に亜子がついてきてるはずだった。
「許せない……」
って聞こえたのは気のせいか?
(5)
体育祭。
いまさら言うまでもないけど、紅白に分かれて様々な種目で競いあう学校行事。
あんまり興味ない。
皆も嫌々やってる感じがする。
実際、一部の男子以外みんなどうでもいいって感じがする。
大体の人が自分の種目をこなした後は席について友達と話してる感じがする。
私は……というと。
なぜか毎年クラス委員。今年は生徒会副会長という役割を担っている。
生徒会役員とクラス委員は応援団という役割を担い、応援をしなければいけない。
理不尽だ。
まあ、応援団という理由にかこつけて冬夜君から学生服借りてたんだけど、今年は誠君に借りた。
冬夜君は、いない。
祖父が亡くなったため初七日まで実家にいるそうだ。
「片桐いないのか……逃げたな!」
ムカッ。
「片桐今日休みか!背後から奇襲かけてやろうと思ったのに」
ムカムカ!。
「騎馬戦で派手にぶっ飛ばしてやろうと思ったのに!」
ムカムカムカ!!
どうしてこういう陰険な事しかできないんだろう?
片桐君だって休みたくて休んだんじゃないよ!……たぶん。
そして片桐君がいない事を良いことに後輩の男子生徒から、告白を受ける。
丁寧に断っているのだが、これがまた面倒だ。
一々校舎裏に呼び出される方の身にもなってよ!
神奈はいいなぁ。誠君が居て。
……ちなみに1組と2組はグループが違った。
どっちにしろ独りぼっちか。
厳密には一人ぼっちではなかった。
寧ろ一人にしてほしかった?
周りには男がうようよしてる。
「ねえ、遠坂さん」
「あのさ、遠坂さん」
「遠坂さん、学ラン似合ってるよ!」
うるさい……。
あーあ退屈だなぁ。
憂鬱な気分のまま体育祭は終わった。
結果は……私たち白組の負けだった。
さすがに今日は疲れた。
勉強は明日にしよう。
あ、冬夜君にメッセージ送らなきゃ。
ちゃらら~ん♪
冬夜君からの着信音だ。
すぐに応答する。
だけど声が変だ。
なんか感情の無い……女性の声。
「もしもし」
「冬夜君じゃないよね!?誰?」
「亜子です。冬夜君の従妹って言えばわかるかな?」
「どうしてあなたが冬夜君のスマホを?冬夜君は!?」
ていうかロックくらいしなさい、冬夜君!
「冬夜君は今私の隣で寝てる。スマホはちょっと借りてるだけ」
どこまでも冷たい声。
背筋がゾクっとくる。
「……私に何の用?」
私の名前と番号を知ってる理由は察しがついた。
「ちょっとご挨拶をしておきたいと思って……。ねえ?知ってる?」
「何を?」
「従妹同士って結婚できるのよ」
「……冬夜君に何するつもり!?」
「さあ、帰ってから冬夜君に聞いたら?」
プッ……プー……プー。
慌てて電話をかけなおす。
お願い出て冬夜君!
「はい、愛莉?」
今度は冬夜君が出た。
「もしもし冬夜君!?さっき亜子さんて人が……」
(6)
「もしもし冬夜君!?」
愛莉だ、何か様子がおかしい。
学校で何かあったか?
「どうした愛莉?」
「さっき亜子さんて人から電話あって……」
亜子が?
どうして?
「『従妹同士って結婚出るのよ』って……」
また泣いてる。
……ってはい?
「なんだそれ?」
「冬夜君亜子さんに何かされたの?」
「何も?特に親しいってわけでもないし」
「何もないよね?何もされてないよね?」
「大丈夫だよ」
「ならよかった……ねえ、いつ帰ってくるの?」
すぐにでも帰ってやりたい……。
「……明後日には帰るよ。夜会おう?」
「うん」
その後彼女を落ち着かせるため少し話をしてから電話を切った。
するといつの間にか背後に立っていたのは……亜子だ。
「亜子!俺のスマホで何をした?」
「愛莉さん……だっけ?彼女に挨拶しただけ」
「従妹同士でも結婚できるってどういう意味だ」
「そのまんまの意味よ?」
「……何考えてる?」
半分ホラーだ。亜子ってこんなキャラだっけ?
「許さないから」
え?
「冬夜君だけ幸せになるなんて許さないから」
戦慄が走る。
こんな亜子初めて見た。
そう言うと彼女は自分の部屋に戻った。
慌てて自分のスマホに指紋認証をかける。
ていうか、なんで今までかけてなかった!?
自分のうかつさを呪う。
愛莉ごめん!!
亜子の言葉の意味を知るにはまだ時間がかかる。
GW明け。
早くも体育祭の準備が行われる。
生徒会も色々と忙しそうだ。
愛莉もいつもより遅くなる。
「ごめんー」
そう言って部屋にはいってくる愛莉。
その間は愛莉と二人きりで宿題と復習。
で、愛莉が帰ってくるとわからないところを聞くと言った感じだ。
つまり愛莉は自分の事をやる時間が無い。
「大丈夫か?」
「平気だよ~。宿題なんてすぐ終わっちゃうし、復習するまでもないからね~」
帰り際にそう言って家に入る愛莉。
週末。
休みなので、愛莉とカンナと一日いた。
「体育祭の準備忙しそうだな」
カンナが言うと、愛莉が笑う。
「そうだね、ちょっと前に出て応援するのは恥ずかしいかな~」
人前でいちゃつくのは平気な愛莉でも恥ずかしいって思うことあるんだな。
そんな事を考えてた。
「しっかり、動画撮ってやるから」
「……そんな事言っていいの?騎馬戦の時ばっちり動画撮ってあげるから」
「う……」
そうだ、それがあった。
じゃんけんで誰が上になるかを決めて、負けたんだ。
「嘘だよ。ちゃんと応援してあげるからね!一人くらい倒してカッコいい所見せてね~」
騎馬戦は2年、3年の合同で行われる。
順番は2年から3年、それぞれ図体の小さい順から始まる。
つまり2年の図体のでかいのと3年の小さいのがぶつかることがある。
そして僕は3年の割と早めの順番だ。
対策は練ってあるが、上手くいくかどうかはまだ試してない。
今度の練習の時試してみよう、と思うけど。
個人戦はそれでいい問題は団体戦だ。
紅白に分かれているのだが、分け方に問題なく僕自身に問題があった。
愛莉の一件で大体の男子に嫌われていた。
団体戦の時に味方に襲われる危険があった。
そっちの方が厄介だ。
まあ、その心配も杞憂に終わるのだが……。
日曜の深夜。午前2時の事だった。
「冬夜、起きなさい。今から実家に帰るわよ」
母さんに起こされた。
「何があったの。」
照明をつけると母さんの顔色が悪い。
何かあったのは容易に想像できた。
そしてそれは寝耳に水だった。
「お祖父さんが亡くなったわ……」
(2)
月曜日。呼び鈴を押す。
が、誰も出ない。
もう一度押す。
同じだった。
皆出かけちゃったのかな?
その時スマホが鳴る。
冬夜君からだ。
「ごめん、今実家にいる。学校しばらく休むから」
え……?
「どうしたの?」
すぐに返事が返ってきた。
「お祖父さんが亡くなった。多分2,3日くらい休むと思う」
「大変だね、大丈夫?」
「僕は大丈夫だけど母さんが……」
麻耶さんのお父さんが亡くなったんだね。
「分かった」
返事は返ってこなかった。
大丈夫かな?冬夜君。
そんな心配をしてると神奈がやってきた。
「あれ?どうしたんだ?」
神奈に事情を説明する。
「そうか、大変だな」
神奈はそう言って何も言わない。
「ここにじーっとしてても仕方ないから学校行こっか?」
そう言って学校に向かう。
2,3日会えない。
そんな事は前はよくあった。
私が旅行に行ったりが大体の理由だけど。
冬夜君が居なくなる。
そんな事は初めてだった。
頭がパニクってる。
大丈夫かな?
その言葉は冬夜君にむけてのものなのか、それとも私に向けてのものなのか?
「おい、愛莉大丈夫か?」
「うん……大丈夫」
「しっかりしろよ、2,3日で帰ってくるんだろ?」
「うん。そうだね」
「ずっと会えないわけじゃないんだから。メッセージは出来るんだろ?電話だってつながるんだろ?問題ないって」
「うん……。ただ、冬夜君大丈夫かな?って」
そう言うと私は立ち尽くし泣いていた。
神奈は私の肩に手をやり優しく言う。
「こんな時だからこそ愛莉がしっかりしねーと。人が死ぬって結構きついもんあるからさ。愛莉が励ましてやらねーと」
「なんて声かけたらいいか分かんないよ」
「何も言わず話聞いてやるだけでいいんだよ」
「うん」
朝から気分は最悪だった。
(3)
朝方に着いた僕たちは、お祖父さんに最後の別れを告げる。
とても眠れる気分じゃないので、お線香の番をしていた。
色んな人が訪れる。
ずっと泣いている母さん。
僕は不思議と平気だった。
あまりあったことがないからなのか、あまり悲しいという感情が無いのか……。
朝になって眠気が急激に襲って来た。
「冬夜、少し寝てなさい」
父さんに言われ、少し寝ることにした。
あ、その前に愛莉に伝えておかないと。
すぐに返事が来た。
「どうしたの?」
僕はお祖父さんが亡くなった事を伝える。
「大変だね、大丈夫?」
「僕は大丈夫だけど母さんが……」
「分かった」
その後ばったりと倒れる。
起きたときには通夜の準備ができてた。
伯父さんとこの家族が来ていた。
「父さんごめん、大事な時に寝ていて」
「いいんだ、もう少し休んでいなさい」
父さんの拳が固く握りしめられていることに気づいた。
何かあったのか?
最後に叔父さんがやってきた。
叔父さんとは仲が良かったので色々話してた。
通夜は今晩行われた。
あ、足がしびれる。
従兄の勝也と足のつつき合いをしたり、緊張してたのかわからないけど木魚の音が余りにも拍子抜けして笑いがこみあげてきた。
テンションおかしくなってるのかな?
「お前たちは外で待っていなさい」
父さんに叱られ葬儀場の控室で待つ。
その後も変なテンションは続き、勝也たちと遊んでた。
だから、気付かなかった。
愛莉からのメッセージに。
その後食事を貪りながら話に花が咲く。
話題は僕と愛莉の話になる。
「そうか、そんないい彼女さんいるのか」
「冬夜君は幸せ者だなぁ」
「冬夜君はお祖父さんに似てモテてるなあ」
いや、モテてるって……。
たまらなくなり、一人ロビーにでる。
夜の会館は人気が無い。
今日の葬儀は僕たちだけみたいだ
そこで愛莉のメッセージを確認する。
「寂しいよ(´・ω:;.:...」
しまった!
「ごめん、親戚が集まってて気付かなかった」
するとスマホの着信音が鳴る。
愛莉からだ。
すぐに電話に出ると、とりあえず謝る。
「ごめん、午前中は寝ていて、午後は……」
「大丈夫?疲れてる?大変な時にごめんね。でも寂しくてつい……」
「今は時間あるから大丈夫」
「明日明後日には帰ってくるんだよね?」
言葉に詰まった。
どうしよう?
あ、でもちゃんと言っておかないとな。
「ごめん、初七日までいることになった。来週までこっちにいると思う」
「そんなに!?体育祭は?」
「休むかな……」
「そっか……仕方ないよね?摩耶さん大変だもんね」
お前もなんか心配だぞ愛莉。
「大丈夫、毎日連絡は入れるから、電話は無理でもメッセージは送るよ」
「うん……ごめんね。私冬夜君に迷惑かけてる?」
ほら、半泣きしてる。
「いや、いいんだ。大丈夫だから……いつでも一緒だって言ったろ?」
「うん」
その後しばらく話をしていると。向こうから久しぶりに聞く女子の声が聞こえた。
「彼女さんと電話中?」
振り返るとそこには従妹の亜子が制服姿で立っていた。
(4)
「彼女さんと電話中?」
亜子は突然現れると、そう言った。
「亜子?」
「アコってだ~れ?」
「ただの従妹だよ。ごめん、また後で連絡する」
「え?どうしたの??」
「なんでもない、じゃあまたね」
そう言って電話を切る。
彼女とかと話してる途中に親兄弟が部屋に入ってくると妙に焦るよね?
あれあれ。
「切らなくて話続けてたらいいのに」
淡々とした口調で亜子は話す。
「どうしたんだよ、急に」
僕は亜子に聞いた。
「そうね、兄の話になって詰まらなくなったから部屋を出てきただけ」
母さんの親族が集まると大体勝也の話になる。
皆勝也に期待している。
それを本人はどう受け止めてるかは知らない。
ただ、比較対象にすらされない妹はつまらないんだろうな。
「なるほどね」
そう言うと亜子は、ロビーの椅子に座り隣に座るように促した。
僕は素直に隣に座った。
「知らなかった。冬夜君に彼女がいたなんて」
「中学になってから会ってなかったもんな。亜子にもいるんだろ?彼氏くらい」
亜子は首を横に振った。
亜子は頭がいいし、綺麗だ。そして大人しい。
男子なら放っておかないだろう。
「ダメね、皆外見や成績ばかり見て……おどおどして頼りない」
「そうなのか」
「ええ。あとはそうね。声をかけたりしてくるのはチャラチャラした奴。私とは合わない」
「そうか、大変だな」
「うん」
「……」
亜子と話してると妙に沈黙の時間が多い。
亜子が俺の事嫌ってるんじゃないかと思うくらい素っ気ない。
「じゃ、僕もどるから」
席を立とうとする僕の腕をつかむ。
「どうせまだ兄さんの話続いてるだろうから。もう少しここにいましょ?」
この息苦しい時間をどう過ごせばいいのか?
「聞かせて、彼女さんの話」
何でそんなことに興味があるのか?
むしろ亜子が興味を持つ物があることに驚いた。
「そうだな……」
僕は話をしてた。
彼女と付き合うきっかけやそれからの話。
今どうしてるのかとか。
それを亜子がどう聞いていたのか知らない。
だけど話を終えると一言言った。
「本当に幸せなカップルね」
亜子が聞いてもそう思ったらしい。
「まあね」
「意外だったわ、冬夜君にそこまで惚れる女子がいたなんて」
「そうだな」
「おう!二人共こんなところにいたのか!早く戻ってこい」
父さんが呼んでる。
「行きましょうか」
そう言って亜子はすっと立ち上がる。
「ああ」
僕も立ち上がると控室に戻って行った。
その後に亜子がついてきてるはずだった。
「許せない……」
って聞こえたのは気のせいか?
(5)
体育祭。
いまさら言うまでもないけど、紅白に分かれて様々な種目で競いあう学校行事。
あんまり興味ない。
皆も嫌々やってる感じがする。
実際、一部の男子以外みんなどうでもいいって感じがする。
大体の人が自分の種目をこなした後は席について友達と話してる感じがする。
私は……というと。
なぜか毎年クラス委員。今年は生徒会副会長という役割を担っている。
生徒会役員とクラス委員は応援団という役割を担い、応援をしなければいけない。
理不尽だ。
まあ、応援団という理由にかこつけて冬夜君から学生服借りてたんだけど、今年は誠君に借りた。
冬夜君は、いない。
祖父が亡くなったため初七日まで実家にいるそうだ。
「片桐いないのか……逃げたな!」
ムカッ。
「片桐今日休みか!背後から奇襲かけてやろうと思ったのに」
ムカムカ!。
「騎馬戦で派手にぶっ飛ばしてやろうと思ったのに!」
ムカムカムカ!!
どうしてこういう陰険な事しかできないんだろう?
片桐君だって休みたくて休んだんじゃないよ!……たぶん。
そして片桐君がいない事を良いことに後輩の男子生徒から、告白を受ける。
丁寧に断っているのだが、これがまた面倒だ。
一々校舎裏に呼び出される方の身にもなってよ!
神奈はいいなぁ。誠君が居て。
……ちなみに1組と2組はグループが違った。
どっちにしろ独りぼっちか。
厳密には一人ぼっちではなかった。
寧ろ一人にしてほしかった?
周りには男がうようよしてる。
「ねえ、遠坂さん」
「あのさ、遠坂さん」
「遠坂さん、学ラン似合ってるよ!」
うるさい……。
あーあ退屈だなぁ。
憂鬱な気分のまま体育祭は終わった。
結果は……私たち白組の負けだった。
さすがに今日は疲れた。
勉強は明日にしよう。
あ、冬夜君にメッセージ送らなきゃ。
ちゃらら~ん♪
冬夜君からの着信音だ。
すぐに応答する。
だけど声が変だ。
なんか感情の無い……女性の声。
「もしもし」
「冬夜君じゃないよね!?誰?」
「亜子です。冬夜君の従妹って言えばわかるかな?」
「どうしてあなたが冬夜君のスマホを?冬夜君は!?」
ていうかロックくらいしなさい、冬夜君!
「冬夜君は今私の隣で寝てる。スマホはちょっと借りてるだけ」
どこまでも冷たい声。
背筋がゾクっとくる。
「……私に何の用?」
私の名前と番号を知ってる理由は察しがついた。
「ちょっとご挨拶をしておきたいと思って……。ねえ?知ってる?」
「何を?」
「従妹同士って結婚できるのよ」
「……冬夜君に何するつもり!?」
「さあ、帰ってから冬夜君に聞いたら?」
プッ……プー……プー。
慌てて電話をかけなおす。
お願い出て冬夜君!
「はい、愛莉?」
今度は冬夜君が出た。
「もしもし冬夜君!?さっき亜子さんて人が……」
(6)
「もしもし冬夜君!?」
愛莉だ、何か様子がおかしい。
学校で何かあったか?
「どうした愛莉?」
「さっき亜子さんて人から電話あって……」
亜子が?
どうして?
「『従妹同士って結婚出るのよ』って……」
また泣いてる。
……ってはい?
「なんだそれ?」
「冬夜君亜子さんに何かされたの?」
「何も?特に親しいってわけでもないし」
「何もないよね?何もされてないよね?」
「大丈夫だよ」
「ならよかった……ねえ、いつ帰ってくるの?」
すぐにでも帰ってやりたい……。
「……明後日には帰るよ。夜会おう?」
「うん」
その後彼女を落ち着かせるため少し話をしてから電話を切った。
するといつの間にか背後に立っていたのは……亜子だ。
「亜子!俺のスマホで何をした?」
「愛莉さん……だっけ?彼女に挨拶しただけ」
「従妹同士でも結婚できるってどういう意味だ」
「そのまんまの意味よ?」
「……何考えてる?」
半分ホラーだ。亜子ってこんなキャラだっけ?
「許さないから」
え?
「冬夜君だけ幸せになるなんて許さないから」
戦慄が走る。
こんな亜子初めて見た。
そう言うと彼女は自分の部屋に戻った。
慌てて自分のスマホに指紋認証をかける。
ていうか、なんで今までかけてなかった!?
自分のうかつさを呪う。
愛莉ごめん!!
亜子の言葉の意味を知るにはまだ時間がかかる。
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