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2ndSEASON
今を、この瞬間を
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「冬夜君おはよう~」
「はい、おはよう」
よし、今日は起きてる。
……また眠れなかったなんてことはないよね?
DVDは壊したもんね。
一応顔を覗き込む。
目の下に隈は……ない!
その時一瞬びっくりした。
冬夜君からキスを。
「ちょっと、朝から大胆だね」
笑って誤魔化すけど、すごいドキッとした。
「おはようのキス」
そう言って冬夜君は笑う。
嬉しいんだけど……。
「相変わらず朝からいちゃいちゃしてるなぁ」
冬夜君は神奈に気づく。
冬夜君の顔が一瞬で赤くなる。
「そうだよ、朝からイチャイチャだよ~」
冬夜君の腕を掴んで神奈に言った。
羨ましいだろ。
「ほどほどにしとけよ……」
そう言って神奈は下に降りて行った。
「どうしたんだあいつ?」
冬夜君本気で言ってるの?
「2学期に入ってからずっとああだよな」
う~ん、鈍いなぁ~。
「冬夜君が盆休み以降変わってるからだよ」
きょとんとしてる冬夜君。
「神奈は誠君と会えなくて寂しいんだよ」
「あーね」
「ちょっとは、配慮した方がいいかもよ」
「そうだなあ」
冬夜君は悩んでいる。
「とりあえず着替えて朝の準備!!」
「わかったから、下に降りてて」
「は~い」
私はそう言って下に降りた。
下に降りるとカンナがダイニングでコーヒーを飲んでいる。
「愛莉ちゃんはカフェオレでいいのよね?」
摩耶さんが聞いてくる。
「いつもすいません」
「いいのよ、寝坊助の冬夜を起こしてくれるんだから」
「最近は自分で起きてますよ」
起こすのに一苦労していた昔が懐かしい。
何度も気持ちのすれ違いがあったけど冬夜君は徐々に変わってきている。
成長したっていうのかな?
それは私も一緒だと思うけど。
成長してるよね……?
でも神奈ほどじゃないかな?
神奈は凄い、会いたくて会いたいのに会えない日を過ごしてるのに、メッセージと電話だけで誠君と繋がっている。
その絆の深さは私たちとは比べ物にならないような気がする。
負けられない。
どっちの方が凄いとかそう言うのとは違う気がするけど。
種類が違うだけで想いの強さは負けてないと思うよ。
って、前に冬夜君が言ってた。
そんな神奈でも取り乱したことがあった。
去年だったかな?
県総体開会式の日。
マジ切れしてた。
そうだよね、普通の女の子だったら怒るよね?
私も香水がついてるだけで取り乱したし。
男子ってそういう配慮まったくしないのかな?
「どうした愛莉、私見てなんか考え事して」
あ、入り込んでた。
「いや、神奈と誠君はすごいなあ~って」
「ん?どうしてそうなるんだ?」
「だっていつも会えるわけじゃないのにくじけずここまでやってこれてる。きっとこれからも続くんだろうなって」
「……誠のやつはそうでもないぜ。『高校卒業したら一緒に暮らそう』って言いだしてさ。
笑いながら言ってるけど、それって同棲?
「生活費ないだろ?って言ったらバイトすると言いだして。サッカーどうすんだよ?って言ったら黙った」
語尾に草でも生えてそうに言う神奈。
「それに会えないからこそ、喧嘩も滅多にないかな?愛莉たちの方が凄いよ。この4年間喧嘩しまくってたのにその都度絆が強くなってる気がする」
「冬夜君は相変わらず鈍い所あるけどね」
「あれはもう冬夜の長所と捉えるしか無いだろ?あと色気より食い気のとことかな」
「そうだねえ」
冬夜君が降りてきた。
朝ごはんを食べてる。
冬夜君は朝は小食だ。
トースト一枚にスクランブルエッグとサラダのみ。
朝しっかり食べないからお腹空くんじゃないの?
すぐに食べ終えると、冬夜君は洗面所に向かって行った。
しばらくすると戻ってくる。
私と神奈は立ち上がる。
「じゃあいこっか?」
(2)
その日の授業を終えるとHRの時間ミッキーからまた練習の勧誘が。
「偶には汗を流さないか?」
「着替えが無いんで遠慮します」
そう言って帰ろうとすると校門の前に人だかりが。
なんだろう?
うーん、嫌な予感しかしないな。
通り過ぎて帰ろうとする。
「冬夜君、あの人だかりなんだろう?」と、愛莉。
名前を叫ぶんじゃない。
自転車に乗ってるとどうしても大声になっちゃうよね。
人だかりの渦中の人は僕に気づくとサッカーボールを蹴りつけてきた。
どうする?
避ける?
トラップする?
どっちにしろ結果は一緒だった。
僕はバランスを崩し無様にこける。
「冬夜君!大丈夫!?」
ボールを蹴飛ばした張本人が僕に近づいて来る。
どこかのサッカー部のジャージって感じだ。
「ちょっと危ないじゃない!」
愛莉がその人に向かって抗議する。
そんな愛莉を無視して無様にこけている僕を見下ろす。
「君が片桐冬夜君?」
ああ、やっぱり。
サッカーボールと僕の名前。
もうサッカーの関係者だね。
まだ勧誘を続けるわけ?
人違いだよ。って言ったら去って行ってくれるのだろうか。
「冬夜君に何の用なの?」
考えるだけ無駄だった。
愛莉は僕のわずかな望みを思いっきりへし折った。
「間違いないみたいだね。僕の名前は沖蒼汰。天山高校でサッカーやってる」
天山高校?
ああ、インハイで優勝したサッカーの名門だね。
この人の顔どっかで見たことあるよ。
あ、DVDのファンタジスタな人だ。
「それで沖君、僕に何の用?」
「サッカーを辞めたと聞いてね、インハイに出てこないのを見るまでは信じ難かったけど」
「うん、辞めたよ。だから用はないよね。じゃ」
「人の話を最後まで聞かずに帰ろうとするの止めない?」
嫌な奴ってなんでこう喋り方が一緒なんだろ。
「今日練習試合あるんだろ?行かなくていいの?」
「君が出ない試合なんてどうでもいいよ。それより少し遊んでくれない?」
「遊ぶ?」
「僕があそこにたどり着くまでにボールを取れるかどうか?それくらいならいいだろ?」
そう言ってリフティングを始める沖君。
僕は自転車を立てると、荷物をかごの中に入れて沖君の前に構えた。
「そうでなくちゃね!」
そう言ってドリブルを始める沖君。
馬鹿だなあ。
サッカー何年やってたの?
目的が分かっていてパス相手もいないでドリブルしかない状態でDFと1対1なんてDFが絶対有利じゃないか?
どうせ股抜きでも考えてたんだろ?
ほらボールが来た。
僕はそのボールを右足の踵で左に蹴飛ばす。
そのボールを追う沖君とボールの間に体を滑り込ませボールを奪って、ハイお終い。
周りから歓声が聞こえる。
ファンタジスタと言ったって1プレイヤーに過ぎない。
限定された状況で選択肢のない状態ならいくらでも動きは予測できる。
こんな勝負初めから分かってたはずだ。
「これで満足した?」
そう言って沖君にボールを返す。
「久々にサッカーボールに触った感じはどうだい?」
何を考えてるのか全然わからない。
「君はサッカーの女神に愛されてるんだよ。胸躍らないかい?」
ファンタジスタってみんなこんな感じなのか?
だとしたら僕はファンタジスタではないね?
「イタリアのファンタジスタは『イタリアの恋人』と称されてるそうで」
「?」
僕の意図が分からないらしい。
首を傾げる沖君。
「僕の恋人は愛莉だけで十分だから」
ここまで言えばわかるだろ。
「うーん、やっぱりゲームしないと分からないかな」
「それはしんどいからパス。じゃあね。行こ?愛莉」
僕のプレーに見とれてぼーっとしていた愛莉に声をかけ帰る。
「どうだ?噂のファンタジスタは?」
天山高校の監督が沖に話しかけた。
「まだわかんないけど、一緒にプレーしてて楽しそうだとは思ったよ。是非代表に来て欲しいね」
「冬夜君凄いね!あの人DVDに出てた人でしょ!?そんな人からボール奪うなんて」
愛莉はまだ興奮してるようだ。
覚えてたんだね。
愛莉に説明してあげる。
「相手がひたすらボールキープするならともかく、態々「抜きますよ」って言われてとれないDFなんていないと思うよ」
「でもそれは冬夜君だから言えるんだよ。そんな事言ったらサッカーなんてみんなゴール目指してるようなもんじゃない」
「相手が複数いてパス、シュート、ドリブル……色々選択肢があったら分からないけど、わざわざドリブルするって言ってるんだ。取れないはずないよ」
「うーん、それも冬夜君レベルだから言える台詞で……あ、また冬夜君の気を悪くしてる?」
「説明するくらいなら心配いらないよ」
あれ以来、バスケしろ!サッカーやれ!とは言わなくなった。
ありがたいことだ。
やっとわかってもらえたらしい。
衝突して、すれ違って、その先に分かり合える心というものはあるんだろうな。
愛莉には受け入れてもらえた。
その気持ちに甘えよう。
「でもみんなの前で『イタリアの恋人まで言われなくても愛莉の恋人で十分』だなんて、冬夜君も嬉しい事いってくれるね」
「本心を言ったまでだよ」
キャーと一人燥いでる愛莉。
ハンドルから手離すと危ないぞ
(3)
「うーん……」
水田先生は悩んでいた。
中間考査の結果発表の後、僕は職員室に呼び出された。
成績はそんなに悪くなかった。
何が問題なのだろう?
「成績は悪くないんだよなあ。多分志望校は大丈夫だろ」
水田先生のお墨付きなら大丈夫だろ。
胸を撫でおろす。
「なんでうちのクラスはこう進路に問題あるやつばかりなんだ……」
問題?
「遠坂は文系Ⅲにはいかないと言ってるし、片桐は大学行きたいというし……」
そんな簡単に個人情報漏えいしても良いのか?
てか僕の進路に何の問題が?
「片桐、バスケはともかくサッカーの道本当に考えてないのか?」
ああ、そう言うことか。
未だに圧力かかってんだな。
「考えてないです、サッカーに頼らなくてもいいように勉強してるつもりです」
「それは分かってるんだ。理由も聞いてる、遠坂だろ?」
「そういう言い方愛莉にはしないでください」
「それも分かってる。ただな、先生からこういうこと言うのもなんだが『どんなに遠く離れていても本当に愛してるなら心は一緒』だっていうじゃないか。遠坂の事信じてやれないか?」
「愛莉の事は分かってるつもりです。でもイタリアに行く話があった時泣きつかれました『イタリアまではついていけない。行かないで』って。それほど愛莉強くないです」
「イタリアまでは行かなくても代表合宿くらいなら……」
「もう、未練を残すような真似はしたくありません。大学でサッカーやるかもしれないけど、代表入りとかそういうのは考えてないです」
「そうか……」と頭を抱える水田先生。
代表合宿で1週間くらい離れる分は問題ないだろ?
でも選ばれたら?
徐々に一緒にいる時間が減ってしまう。
「なあ、片桐?もっと今を楽しんだらどうだ?先の事ばかり考えてないで、今この瞬間を楽しむのも人生大事だぞ」
この先生良いこと言うな。
将来の事より今を楽しめか。
サッカーがそれには当てはまらないけど。
「今でも十分楽しんでますよ。勉強も苦じゃないし」
「そうか……わかった。本当はスポーツ推薦って手も考えたんだけどな。遠坂ならどこの大学でも入れるだろうし」
「すいませんけど、地元大学行きたいんで。」
「わかった。頑張れよ」
そう言って水田先生は笑った。
僕は礼をして職員室を出ようとすると水田先生に呼び止められた。
水田先生は引き出しから1枚のDVDを取り出す。
「これを渡すように言われてたんだった」
「サッカーのDVDならお断りします」
もうあんなトラブルは沢山だ。
だが、水田先生は言う。
「お前の意思が固いなら、揺らぐ事もないだろ?とりあえず渡せと言われただけだ、見るようにとは言われてない」
そう言って水田先生はにやりと笑う。
ああ、そういうことね。
DVDを受け取ると職員室を出た。
職員室を出ると愛莉とカンナが待っていた。
「冬夜君何の話だったの?」
愛莉が聞いてきた。
「なんでもないよ。ただ、進路の話をしてただけ」
「まだ諦めてないのか?いい加減しつこいって怒ればいいのに」
カンナが、怒ってる。
いくらなんでも教師相手にそれはできないだろ。
「最後は折れてくれたよ。心配しなくて良いって」
「そうか」
「そそ、じゃあ行こうか」
僕は二人にそう言うと教室へ向かう。
こうしている時間も譲れない。
譲れない今をみつけたのだから。
(4)
「冬夜君、それな~に?」
愛莉は僕が持って帰ってきた、DVDを見て言った。
「ああ、水田先生が持って帰れって渡してくれた」
見ろとは言われてない。
「じゃあ、ぽいしちゃう?」
愛莉はDVDを手に取ると、ごみ箱に入れる仕草をした。
「せっかくだから一緒に見ようと思ったんだけど……一人で見るとまた入り込みそうだし」
「冬夜君入り込むときは私が居てもいなくても変わんないよ~」
「だからさ、入り込んでる時は愛莉に引きずり出して欲しくてさ」
「……そういうことなら。でもさ、見る必要あるの?冬夜君には関係ないじゃん」
「正直な話どんな内容なのか気になるんだよね」
「ふ~ん……」
そう言うと愛莉は隣にちょこんと座り、腕を組む。
あの、腕が胸に当ってるんですけど。
「愛莉……今更気にする事じゃないとは思うんだけど……、僕の腕に愛莉の胸が……」
顔は赤くなっている。が、怒りはしなかった。
逆に笑ってた。
「これだけアピールしてたら冬夜君もサッカーに入り込むってことは無いと思って」
なるほどね、
気になってしょうがないけど、これなら確かにサッカーどころじゃないかも。
とりあえずDVDを再生する。
内容は天山高校だったっけ?のインハイ決勝の試合だった。
まあ、予測はついてたけど。
どうせサッカーの試合か何かだろうと。
相手は東京代表の高校だった。
もう一人のファンタジスタがいるチームだ。
同じファンタジスタがいるのに、天山高校の一方的なゲームだった。
サッカーは一人でするものじゃない。
そのままだった。
東京代表にやる気がないとかそういう問題じゃない。
ファンタジスタ以外のプレイヤーのレベルの差がありすぎた。
それでも、ファンタジスタの人が頑張って一人で点をとってた。
しかし、限界はある。
上手く沖君をアシストする天山高校のチームメイトたち。
結果は1-3で天山高校の勝ちだった。
でもなんだろう?
組んでみたいと思うのは、東京代表のファンタジスタかな。
面白いプレイができそうだ。
「おーい」
もう一つ入ってあった。
東京のファンタジスタはその後プリマヴェーラに一人行ったらしい。
そこで10番をつけて活躍する姿が。
やっぱり、独創性がすごい。
それだけじゃない、他のメンバーもレベルが全然違う。
「冬夜君ってば」
あ、そこでパスだすのか!
僕ならもう少し先を狙って……。
がばっ!
愛莉に押し倒されていた。
「どうしたんだ!?」
「冬夜君完全に入り込んでたよ!だから強制措置に入りました~」
「あ、ごめん。つい……」
「私が居て正解だったね」
愛莉はそう言って笑うとゲーム機からDVDを取り出す。
え?
「えいっ!このっ!」
賢明にDVDを割ろうとする愛莉。
僕は愛莉から取りあげると、DVDを割り、ごみ箱に捨てた。
「これでよかったんだろ?」
「うん♪。さ、勉強しよっ!」
自分の定位置に戻る愛莉。
僕も自分の定位置にもどり勉強を再開する。
「ねえ?冬夜君が迷惑じゃなかったら、またサッカーに入り込んでしまいそうなとき邪魔してもいい?」
「いいよ、むしろお願いしたいくらいだ」
「うん!」
なかなか思い通りにならない日々を過ごしてるけど、無駄とは思いたくない。
最後に報われるのは逃げずにいた僕なのだから。
サッカーの道を選ぶことが楽な道だとは思わないけど。
地元大学に行くと決めた自分の選択を間違いだとは思いたくない。
後で自分の決めた道を誇れるように。
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