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2ndSEASON
イミジキトシヲ
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(1)
今年の年末も愛莉の親はいない。
年越しで旅行に行ってるらしい。
旅好きな親だな。
うちの両親も年末年始は実家に帰るらしい。
「愛莉ちゃん一人にはしておけないでしょ?」
それは僕じゃなくて愛莉の親に言えよ。
「それじゃあさ~」
愛莉が明るい顔で言った。
多分ろくでもないことだろう。
「私の家で年末年始過ごそうよ」
やっぱりろくな事じゃなかった。
そんなのうちの親が許すわけないだろ。
「それは助かるわ。じゃあ、一週間よろしくね」
うちの親もろくなもんじゃないな。
そうして僕は一週間分の着替えを持って愛莉の家に泊まった。
あ、うちでもいいんじゃないか?それなら親もいるし。
「夕ご飯できてるよ~」
カンナの事忘れてないか?カンナに知らせないと。
「夜は一緒にお風呂入ろうね~」
カンナにメッセージを送る。
すぐに返事が来た。
「ああ、誠も年末年始休みだからうちで過ごすよ」
ああ、誠もそういうアレか……。
「誠君も神奈と一緒なんだね」
気がつくと愛莉が隣でスマホを見てた。
「勝手に覗くのはどうかと思うぞ」
「覗かれてまずいやりとりを堂々とする人はいないと思うよ」
そういう問題か?
ご飯を食べた後一緒に食器を片付ける。
そのくらいの手伝いはしますよ。
片づけが終わると。
「じゃ、お風呂にしよ?」
「ああ、行っといで」
「やっぱり自分の世界に入ってたんだね。一緒に入ろうって言ったよ」
「聞いてたよ、時間はあるんだし一緒に入らなくても」
「冬夜君、食べ物半分に減らすって言われたら泣くでしょ」
泣くまではしないでも、困るな。それがどうかした?
「じゃあ、私のお願いも聞いてもらえるよね?」
ああ、そういうことね……。
「あ、脱いだら洗濯機に入れておいてね」
「いや、一週間分用意したけど」
「一人分洗うのも二人分洗うのも一緒だから洗ってあげる~」
それって普通嫌がるんじゃないのか?
「ちょっとお父さんと一緒に選択しないでよ~」とか「彼氏のパンツと一緒に干すのはいや~」とかそんな感じなんじゃないのか?
だが現実は違うようだ。
愛莉のように「彼氏のなら問題ない」と思ってる人が大半を占めているらしい。
そこに愛莉のとどめの一言。
「ほら、同棲とかした時の予行演習だよ」
ああ、愛莉の中ではもう僕と同棲することは確定なのね。
多分愛莉の中では僕と愛莉の頭上でチャペルの鐘の音が鳴ってるんだろうなぁ。
無駄に抵抗しても愛莉を怒らせるか泣かせるか不安にさせるかのどれかしかないので大人しく洗濯機の中に洗濯物を放り込む。
裸になると浴室で体を洗っていると、愛莉が後から入ってきた。
だから少しは恥じらいを見せろ……あれ?なんか顔が上気だってる?
洗うのを一時中断して愛莉のおでこに自分のおでこをくっつける……熱はない。
「どうした?」
「今更なんだけど新婚ってこんな状態なのかな?って意識したら恥ずかしくなってきちゃった」
ペロッと舌を出す。
「それなら……」
「目を閉じてるとか先に上がるよとか言ったら泣くからね」
新婚気分を味わうのは当分先でいいじゃないのか?
それだと新婚の時に新鮮味がないだろ?
(2)
お風呂から出た後は愛莉とCDを聞きながらお勉強。
どうしてCDをかけてるのかって?
愛莉が「新婚」なんて言葉を口にしたもんだから意識しちゃって緊張して口数が減って空気が重くなってきたから。
「そこ間違ってるよ」
「あ、ありがとう」
正直勉強の内容なんて殆ど頭に入ってこなかった。
想像してみよう。
物凄く早いけど結婚の確約をした娘と一緒の部屋で、しかも彼女はノーブラのスウェットだけを着た状態。まだしっとりとした髪からはシャンプーの匂いが漂っている。
しかも湯上りのせいか恥ずかしさがあるのかほのかにピンク色の頬で間近にいる。
間近にいる。どうしてだろう?いつもの場所ですればいいのに愛莉は僕の隣で勉強している。
それだと窮屈じゃないか?
試しに僕が移動しようとすると腕を掴んでフルフルと首を振る。
結論。
僕はシャーペンを置く。
愛莉は僕を見る。
「どうしたの?」
「今夜は勉強やめよう!」
「え!?」
戸惑う愛莉をよそにテレビのスイッチを入れる僕。
「う~ん……冬夜君困らせちゃった?」
「いや、お互いこんな気持ちで勉強しても身に付かないだろ?」
「それを困らせたかな?って……」
「勉強は昼間とかにして、夜いちゃつくときは思い切りいちゃつこう?愛莉今そういう気分だろ?」
「うん」
「おいで」
そう言って愛莉の肩を抱き寄せる。
愛莉は僕の腰辺りに腕を回す。
当然愛莉の柔らかい胸が僕の脇腹辺りに密着する。
「やっぱり最近の冬夜君は違うね。凄く優しい」
「愛莉も優しいからな」
「やっぱりもんじゃ焼きのお蔭かな」
「最近愛莉僕の目線に立って考えるようになったろ?」
「うん」
「だから僕も愛莉の目線に立って考え込むようにしたんだ。愛莉なら今何したい?何を思う?って」
愛莉の目に涙が滲んでる。
「そしたら愛莉と同じ世界を過ごしている風になっちゃったみたいで……」
愛莉は目を閉じて僕の顔に顔を向ける。
それが意味することは分かってた。
そして愛莉の要求に応える……。
(3)
12月31日
ピロリーン
スマホの音で目が覚めた。
時計を見る、12時だった。
随分寝たな。
上体を起こすと僕に抱き着いて寝ていた愛莉も起こす。
「うん?どうしたの?」
目こすりなが愛莉も上体を起こす。
「なんかメッセージ着たみたいでさ」
どれどれ……うん?
愛莉がしがみ付いてくる。
「もう少しだけ~」
「わかったからメッセージだけ見させて」
そう言ってベッドから出ると、テーブルの上に置いてあったスマホを手に取る。
「誰から~?」
「カンナからだ……え?」
「今夜23時渡辺班は春肥神社に集合by渡辺」
メッセージを見るとベッドに戻ってやる。
愛莉は喜んで抱き着く。
「なんて~?」
「今夜23時に春肥神社に集合だってさ」
「……どうやって行くの?」
「先に行って時間潰してるしかないだろうな?」
「帰りは~?」
「うーん……」
ホテルは……無いな。いくらなんでも補導されるだろ。
と、なるとカラオケかネカフェで時間潰すしかないか。
「ネカフェかカラオケで時間潰すしかないなぁ……」
「うぅ……、そうだ。りえちゃんに電話しよう」
愛莉はそう言って僕の体を跨いでベッドを出る。
そしてテーブルに置いてあるスマホを手に取り、愛莉ママに電話する。
「もしもし、あのね~……、うん。分かった」
電話を終えると愛莉はこっちに振り向く。
「ちょっとまってて~って……」
「愛莉寒いだろ……何か服を」
「あ、暖房入れるね」
いや、そうじゃなくて……。
スマホの着信音が鳴る。
愛莉は電話に出る。
「もしもし?うん、わかった~。ありがとうね~」
電話を終えるとまたこっちを見て、愛莉が言う
「14時過ぎたらタワーホテルにチェックインしなさい~だって。予約はとっおいたからって」
「ホテルって……お金は!?」
「オンラインカード決済で済ませておいたって」
タワーホテルって結構高いんじゃないのか?
よく当日予約とれたな。
とりあえず……。
「なんか食べない?なんか簡単なものでいいから?」
「あ、じゃあインスタントラーメンでいいなら作るね~」
そう言って裸のまま部屋を出ようとする愛莉。ちょっと待て!
いくら誰もいないからってそれはダメだろ!
愛莉は立ち止まった。
自分の姿に気づいたよう……に思えた。
気付いてはいた。しかし……。
「冬夜君裸エプロンって興味ある?」
はい?
「あれ、実際やると熱湯とかはねて熱いらしいから止めといた方が良いよ?」
そういう問題じゃないと思うけどとりあえず、そう言って止めようとした。
「う~ん。誠君は神奈に要求したみたいだけど、冬夜君は興味ないのか」
そういって下着を拾い上げて履く愛莉。
「ってちょっと待って。やけに詳しいね、誰かに教えてもらったの!?」
「違うって……ネットで調べただけだよ」
「私が調べたときは男の人に喜ばれるって書いてたよ!」
なんてことを調べてるんだこの娘は。
昼ごはんを食べて、少し冷静になった。
食器を洗いながら考えてみる。
今愛莉の家に居候して3日だ。
さらに愛莉の親にホテルを提供されて年を越そうとしてる。
……うちの親にも知らせておいた方がいいんじゃないか?
「片づけ終わったし部屋で勉強してよっか?」
「うん」
部屋に着いたら母さんたちに電話する。
「もしもしどうしたの?」
「母さん実は……」
ホテルに泊まることを話した。
しかし予想していた返答とは異なり。
「そう、わかったわ。じゃあゆっくりしなさい」
それだけでいいのか!?
「う~ん……」
愛莉が悩んでいる。
一緒に悩んでやる。
何を悩んでるんだろう?
「やっぱりシャワー浴びていこっか?」
当然一緒に入るんだよな、分かってるよ。
(4)
16時ごろホテルに着くと愛莉が受付する。
鍵を渡され部屋に入ると広い部屋だった。
ベッドはダブルベッドだった。
そうだよな。愛莉ママだもんな。
さて、時間までどうするか?
夕食どうする?
どっか食べに行くか?
何を食べる?
どこで食べる?
とりあえずスマホで検索する。
あ、意外と店空いてる。
適当に予約を入れる。
時間は19時くらいでいいか?
さてその時間までどうする?
駅ビルでも見て回るか?
今年はまだイルミ見てなかったな。
でもイルミ点灯までまだ時間あるな。
「う~ん、とりあえずスマホは没収かな?」
愛莉はそう言うと僕からスマホを取り上げた。
なぜ?
「スマホで時間潰そうとしてたでしょ?ちゃんと景色観なよ。綺麗だよ」
愛莉はそう言って窓を指す。確かに綺麗だ。夜景もさぞ綺麗だろうな。
景色に見とれていると愛莉が後ろから抱き着く。
「今度は私の存在忘れてたでしょ?」
「そんなことないよ」
「景色楽しんでた?」
「まあ、それなりに」
「じゃあそこに座って」
窓辺に置かれてあるテーブルと椅子を指した。
椅子に腰かけると愛莉も腰掛ける。
沈黙の時が流れる。
広々とした客室、落ち着いた色調のインテリア。
どれも僕たちには不釣り合いな物だった。
なんか落ち着かない。
……何か喋らないとな?
「それにしても広い部屋だね~」
先に喋ったのは愛莉だった。
「そうだな……」
「眺めもいいし……たった一泊するだけなのにりえちゃん張り切り過ぎだよ」
「そうだよな……」
「冬夜君、今『不釣り合い』とか『落ち着かない』とか思ってるでしょ?」
最近愛莉の勘は冴えわたっている
「うん、高校生の泊る部屋じゃないよなって」
「そうかもしれないね」
「愛莉もそう思ってるのか?」
「まあね、ちょっとりえちゃん張り切り過ぎだよって」
愛莉はそう言って笑った。
「でも、折角用意してくれたんだし楽しまなきゃな」
僕はそう言って外の景色を見る。
「そこに私はいるのかな?」
愛莉は微笑みながら聞いてきた。
「当然だろ」
二人で、景色を眺めていた。
(5)
夕食を食べてイルミを見ていると、誠からメッセージが届く。
「駅前で待っている」
ちょうど、向かおうとしていたところだ。
駅前のバス停に向かうと誠とカンナが手を振っていた。
皆早めに着たみたいだ。
他の面子も集まっている。
「集合場所ここでよかったな」
渡辺君が笑っている。
「とりあえず神社に向かおうか?途中にファストフード店があったはず」
渡辺君が提案すると僕がすかさず提案する。
「それなら途中にうどん屋が……」
「なんで、大晦日にうどんなのかな~?」
愛莉が聞いてきた。
「愛莉、うどんの方がカロリーが高いと思ってるだろ?」
「へ?」
「実はうどんの方がカロリー低いんだよ」
「……年越しそばの意味分かって言ってる?」
「……細く長く今年一年の災厄を断ち切るって言いたいんだろ?でも最近だとうどんは太くて長いことから「健康長寿」「家運長命」など長寿に関わる縁起物みたいな感じでよく食べられてるそうだよ」
「食べ物の事となると良く調べるんだね」
愛莉はため息交じりに呟いた。
「じゃあ、年越しうどんでも食べようか?」
渡辺君は笑いながら言った。
うどんを食べたあと、神社に着いた。
もう行列ができている。
やあ、今年もあえたね、豚骨ラーメンくん。
細く長くって意味なら君でもいいよね。
いただきま~す……。
「おい、冬夜流石に食い過ぎだぞ……。また遠坂さんに……」
誠が忠告すると愛莉が一言「平気だよ」と。
「愛莉甘やかしすぎだぞ」と、カンナ。
「また帰り歩くんだし、いいよ」と、愛莉。
皆時計を見てる。
0時0分……。
「あけましておめでとうございます!」と皆が言う。
「今年もよろしくね~」と女子が騒いでいる。
鈴を鳴らしお賽銭を投げ、お祈りをする。
今年は何をお願いしよう。
愛莉の横顔を見て想う。
「愛しい君の隣で笑っていられますように」
「冬夜君のお腹の中が私の愛で満たされますように……」
二人目と目が合う。
そして笑う。
すでに二人の心は一緒の様だ。
お参りが済むと、おみくじを引いていた。
僕は夜店に駆け出す。
「今年はどうだった?」
「末吉だったよ」
「なんか悪い事書いてあった」
「特に何も~逆に子宝に恵まれるって!」
むせた。
「このあとどうするつもりだ?」
渡辺君が聞いてきた。
「僕たちは親がホテル用意してくれたからそこに泊まるけど」
「ホテルか~、その手があったな。神奈……」
「却下。どうせお前の事だからコスプレとかさせるつもりなんだろうけど」
誠……お前達はどこに向かっているんだ?。
「私たちはイッシーの家に泊まるつもりだけど」と、江口さん
「私たちも私の家に泊まるつもりだよ」と、カンナ。
「僕たちはネカフェで過ごすよ」と、桐谷君。
「そうか、じゃあ解散だな」と、渡辺君。
そう言うとみな散り散りに……なるわけでもなく。駅までは大体一緒だった。
僕たちは途中のタワーホテルで別れたけど。
「こんなのホテルに泊まるのかよ!」と神奈が驚く。
「りえちゃんが予約してくれたの~」と愛莉が言うと「親公認の仲ってすげーな」と呆れる。
僕たちは部屋に戻るとシャワーを浴びる。
「一緒に入ろうよ!」と、愛莉
「今回だけはごめん!」と僕は断る。
理由はある。
「じゃあ、先に入る」
とぼとぼシャワーに入ろうする愛莉を止める。
「ごめん、先に浴びて良いかな」
「?。いいけど?」
首を傾げる愛莉。
僕はいそいそとシャワーを浴びる。
そして上がるとガウンに着替えて愛莉と入れ替わる。
そして出るまでの間に準備をする。
備え付けのウィスキーグラスにコンビニで買ってきた炭酸グレープジュースを注ぎそれを片手にベッドに入り夜景を眺める。
うん、こういう気分も悪くない。
夜景がとても綺麗だ。
そういえば夜景を楽しんだ事なんてなかったな。
東京でももう少し夜景を楽しめばよかったかな。
なんてことを考えていたら、愛莉がシャワーから戻ってきた。
「お待たせ~って何してるの?てか何飲んでるのよ!?」
ブランデーグラスに注がれた葡萄色の液体は愛莉には違うものに見えたのだろう?
「ただのジュースだよ。あ、そうだ。愛莉スマホで写真撮ってくれない?
そう言って愛莉にスマホを愛莉に渡すと僕は夜景を背景にブドウジュースを注いだブランデーグラスを手に取り愛莉の方を向く。
愛莉は、僕のスマホで写真を撮った後自分のスマホでも写真を撮る。
そしてその写真を誠とカンナにに送信する。っていやそれはまずいだろ!?
案の定誠とカンナからメッセージが届く。
「何やってんだよお前笑」と誠から。
「馬鹿かお前は!」とカンナから。
ちょっとやってみたかっただけだよ……。
「冬夜君こっちこっち」
愛莉はブランデーグラスにブドウジュースを注ぎ、ベッドに入り手招きする。
僕はグラスを持ったままベッドに入り愛莉と並ぶ。
不思議だね、同じブドウジュースなのになんかちょっと大人びた雰囲気になれる。
僕と愛莉はグラスをカチンと鳴らし飲む。
「美味しいね」
ただのブドウジュースだけどな。
「だろ?なんかこういう空気に憧れてたんだよね」
「冬夜君て不思議。なんかこう素敵な気分にさせてくれる。ただジュース飲んでるだけなのに」
「いつか、ちゃんとお酒を飲んで楽しもうな……そうだな、例えば21階のレストランとかで」
「冬夜君でもそういう発想できるんだ~」
でもってなんだ。でもって……。
「いつかまた来ようね」
「ああ」
「あ、でも……」
「でも?」
「ウェディングは海岸のレストランがいいなぁ~」
ジュース吹きそうになった。
(6)
冬夜君の世界をのぞく。
普段よりちょっぴりシックな世界。
冬夜君の横顔を見る。
何を見つめているのか最近少しだけ解る気がする。
最初は食べ物の事しか考えてなかったけど少しだけ私の事を見てくれている。
不安は消せないけど。
何一つ分からない未来の為に手に入れたり投げ出したりして儚く誘う行方を追い求める。
夢見るように堕ちていくの冬夜君の世界へ。
傷ついても冬夜君の優しさが私を抱いてくれている。
冬夜君の中から出来る事なら私以外の物全て消し去りたくて、冬夜君のアイ全てを求め、冬夜君ともつれていく。
もう別の生活を灯す、冬夜君のいない明日なんていらない。
冬夜君に出会えたのは本当に奇跡の出会い。
これほどまでに愛せる人を始めて見つけられた。
最後なんて言わない。
ずっと冬夜君の胸の中で……。
「冬夜君、私を力強く抱いて」
「はい?」
「冬夜君の胸の中で眠らせて」
冬夜君は私を抱きしめる。
本当に力強くは抱きしめなかった。
優しく包んでくれる。
このいみじき今日はずっと続きますように。
今年の年末も愛莉の親はいない。
年越しで旅行に行ってるらしい。
旅好きな親だな。
うちの両親も年末年始は実家に帰るらしい。
「愛莉ちゃん一人にはしておけないでしょ?」
それは僕じゃなくて愛莉の親に言えよ。
「それじゃあさ~」
愛莉が明るい顔で言った。
多分ろくでもないことだろう。
「私の家で年末年始過ごそうよ」
やっぱりろくな事じゃなかった。
そんなのうちの親が許すわけないだろ。
「それは助かるわ。じゃあ、一週間よろしくね」
うちの親もろくなもんじゃないな。
そうして僕は一週間分の着替えを持って愛莉の家に泊まった。
あ、うちでもいいんじゃないか?それなら親もいるし。
「夕ご飯できてるよ~」
カンナの事忘れてないか?カンナに知らせないと。
「夜は一緒にお風呂入ろうね~」
カンナにメッセージを送る。
すぐに返事が来た。
「ああ、誠も年末年始休みだからうちで過ごすよ」
ああ、誠もそういうアレか……。
「誠君も神奈と一緒なんだね」
気がつくと愛莉が隣でスマホを見てた。
「勝手に覗くのはどうかと思うぞ」
「覗かれてまずいやりとりを堂々とする人はいないと思うよ」
そういう問題か?
ご飯を食べた後一緒に食器を片付ける。
そのくらいの手伝いはしますよ。
片づけが終わると。
「じゃ、お風呂にしよ?」
「ああ、行っといで」
「やっぱり自分の世界に入ってたんだね。一緒に入ろうって言ったよ」
「聞いてたよ、時間はあるんだし一緒に入らなくても」
「冬夜君、食べ物半分に減らすって言われたら泣くでしょ」
泣くまではしないでも、困るな。それがどうかした?
「じゃあ、私のお願いも聞いてもらえるよね?」
ああ、そういうことね……。
「あ、脱いだら洗濯機に入れておいてね」
「いや、一週間分用意したけど」
「一人分洗うのも二人分洗うのも一緒だから洗ってあげる~」
それって普通嫌がるんじゃないのか?
「ちょっとお父さんと一緒に選択しないでよ~」とか「彼氏のパンツと一緒に干すのはいや~」とかそんな感じなんじゃないのか?
だが現実は違うようだ。
愛莉のように「彼氏のなら問題ない」と思ってる人が大半を占めているらしい。
そこに愛莉のとどめの一言。
「ほら、同棲とかした時の予行演習だよ」
ああ、愛莉の中ではもう僕と同棲することは確定なのね。
多分愛莉の中では僕と愛莉の頭上でチャペルの鐘の音が鳴ってるんだろうなぁ。
無駄に抵抗しても愛莉を怒らせるか泣かせるか不安にさせるかのどれかしかないので大人しく洗濯機の中に洗濯物を放り込む。
裸になると浴室で体を洗っていると、愛莉が後から入ってきた。
だから少しは恥じらいを見せろ……あれ?なんか顔が上気だってる?
洗うのを一時中断して愛莉のおでこに自分のおでこをくっつける……熱はない。
「どうした?」
「今更なんだけど新婚ってこんな状態なのかな?って意識したら恥ずかしくなってきちゃった」
ペロッと舌を出す。
「それなら……」
「目を閉じてるとか先に上がるよとか言ったら泣くからね」
新婚気分を味わうのは当分先でいいじゃないのか?
それだと新婚の時に新鮮味がないだろ?
(2)
お風呂から出た後は愛莉とCDを聞きながらお勉強。
どうしてCDをかけてるのかって?
愛莉が「新婚」なんて言葉を口にしたもんだから意識しちゃって緊張して口数が減って空気が重くなってきたから。
「そこ間違ってるよ」
「あ、ありがとう」
正直勉強の内容なんて殆ど頭に入ってこなかった。
想像してみよう。
物凄く早いけど結婚の確約をした娘と一緒の部屋で、しかも彼女はノーブラのスウェットだけを着た状態。まだしっとりとした髪からはシャンプーの匂いが漂っている。
しかも湯上りのせいか恥ずかしさがあるのかほのかにピンク色の頬で間近にいる。
間近にいる。どうしてだろう?いつもの場所ですればいいのに愛莉は僕の隣で勉強している。
それだと窮屈じゃないか?
試しに僕が移動しようとすると腕を掴んでフルフルと首を振る。
結論。
僕はシャーペンを置く。
愛莉は僕を見る。
「どうしたの?」
「今夜は勉強やめよう!」
「え!?」
戸惑う愛莉をよそにテレビのスイッチを入れる僕。
「う~ん……冬夜君困らせちゃった?」
「いや、お互いこんな気持ちで勉強しても身に付かないだろ?」
「それを困らせたかな?って……」
「勉強は昼間とかにして、夜いちゃつくときは思い切りいちゃつこう?愛莉今そういう気分だろ?」
「うん」
「おいで」
そう言って愛莉の肩を抱き寄せる。
愛莉は僕の腰辺りに腕を回す。
当然愛莉の柔らかい胸が僕の脇腹辺りに密着する。
「やっぱり最近の冬夜君は違うね。凄く優しい」
「愛莉も優しいからな」
「やっぱりもんじゃ焼きのお蔭かな」
「最近愛莉僕の目線に立って考えるようになったろ?」
「うん」
「だから僕も愛莉の目線に立って考え込むようにしたんだ。愛莉なら今何したい?何を思う?って」
愛莉の目に涙が滲んでる。
「そしたら愛莉と同じ世界を過ごしている風になっちゃったみたいで……」
愛莉は目を閉じて僕の顔に顔を向ける。
それが意味することは分かってた。
そして愛莉の要求に応える……。
(3)
12月31日
ピロリーン
スマホの音で目が覚めた。
時計を見る、12時だった。
随分寝たな。
上体を起こすと僕に抱き着いて寝ていた愛莉も起こす。
「うん?どうしたの?」
目こすりなが愛莉も上体を起こす。
「なんかメッセージ着たみたいでさ」
どれどれ……うん?
愛莉がしがみ付いてくる。
「もう少しだけ~」
「わかったからメッセージだけ見させて」
そう言ってベッドから出ると、テーブルの上に置いてあったスマホを手に取る。
「誰から~?」
「カンナからだ……え?」
「今夜23時渡辺班は春肥神社に集合by渡辺」
メッセージを見るとベッドに戻ってやる。
愛莉は喜んで抱き着く。
「なんて~?」
「今夜23時に春肥神社に集合だってさ」
「……どうやって行くの?」
「先に行って時間潰してるしかないだろうな?」
「帰りは~?」
「うーん……」
ホテルは……無いな。いくらなんでも補導されるだろ。
と、なるとカラオケかネカフェで時間潰すしかないか。
「ネカフェかカラオケで時間潰すしかないなぁ……」
「うぅ……、そうだ。りえちゃんに電話しよう」
愛莉はそう言って僕の体を跨いでベッドを出る。
そしてテーブルに置いてあるスマホを手に取り、愛莉ママに電話する。
「もしもし、あのね~……、うん。分かった」
電話を終えると愛莉はこっちに振り向く。
「ちょっとまってて~って……」
「愛莉寒いだろ……何か服を」
「あ、暖房入れるね」
いや、そうじゃなくて……。
スマホの着信音が鳴る。
愛莉は電話に出る。
「もしもし?うん、わかった~。ありがとうね~」
電話を終えるとまたこっちを見て、愛莉が言う
「14時過ぎたらタワーホテルにチェックインしなさい~だって。予約はとっおいたからって」
「ホテルって……お金は!?」
「オンラインカード決済で済ませておいたって」
タワーホテルって結構高いんじゃないのか?
よく当日予約とれたな。
とりあえず……。
「なんか食べない?なんか簡単なものでいいから?」
「あ、じゃあインスタントラーメンでいいなら作るね~」
そう言って裸のまま部屋を出ようとする愛莉。ちょっと待て!
いくら誰もいないからってそれはダメだろ!
愛莉は立ち止まった。
自分の姿に気づいたよう……に思えた。
気付いてはいた。しかし……。
「冬夜君裸エプロンって興味ある?」
はい?
「あれ、実際やると熱湯とかはねて熱いらしいから止めといた方が良いよ?」
そういう問題じゃないと思うけどとりあえず、そう言って止めようとした。
「う~ん。誠君は神奈に要求したみたいだけど、冬夜君は興味ないのか」
そういって下着を拾い上げて履く愛莉。
「ってちょっと待って。やけに詳しいね、誰かに教えてもらったの!?」
「違うって……ネットで調べただけだよ」
「私が調べたときは男の人に喜ばれるって書いてたよ!」
なんてことを調べてるんだこの娘は。
昼ごはんを食べて、少し冷静になった。
食器を洗いながら考えてみる。
今愛莉の家に居候して3日だ。
さらに愛莉の親にホテルを提供されて年を越そうとしてる。
……うちの親にも知らせておいた方がいいんじゃないか?
「片づけ終わったし部屋で勉強してよっか?」
「うん」
部屋に着いたら母さんたちに電話する。
「もしもしどうしたの?」
「母さん実は……」
ホテルに泊まることを話した。
しかし予想していた返答とは異なり。
「そう、わかったわ。じゃあゆっくりしなさい」
それだけでいいのか!?
「う~ん……」
愛莉が悩んでいる。
一緒に悩んでやる。
何を悩んでるんだろう?
「やっぱりシャワー浴びていこっか?」
当然一緒に入るんだよな、分かってるよ。
(4)
16時ごろホテルに着くと愛莉が受付する。
鍵を渡され部屋に入ると広い部屋だった。
ベッドはダブルベッドだった。
そうだよな。愛莉ママだもんな。
さて、時間までどうするか?
夕食どうする?
どっか食べに行くか?
何を食べる?
どこで食べる?
とりあえずスマホで検索する。
あ、意外と店空いてる。
適当に予約を入れる。
時間は19時くらいでいいか?
さてその時間までどうする?
駅ビルでも見て回るか?
今年はまだイルミ見てなかったな。
でもイルミ点灯までまだ時間あるな。
「う~ん、とりあえずスマホは没収かな?」
愛莉はそう言うと僕からスマホを取り上げた。
なぜ?
「スマホで時間潰そうとしてたでしょ?ちゃんと景色観なよ。綺麗だよ」
愛莉はそう言って窓を指す。確かに綺麗だ。夜景もさぞ綺麗だろうな。
景色に見とれていると愛莉が後ろから抱き着く。
「今度は私の存在忘れてたでしょ?」
「そんなことないよ」
「景色楽しんでた?」
「まあ、それなりに」
「じゃあそこに座って」
窓辺に置かれてあるテーブルと椅子を指した。
椅子に腰かけると愛莉も腰掛ける。
沈黙の時が流れる。
広々とした客室、落ち着いた色調のインテリア。
どれも僕たちには不釣り合いな物だった。
なんか落ち着かない。
……何か喋らないとな?
「それにしても広い部屋だね~」
先に喋ったのは愛莉だった。
「そうだな……」
「眺めもいいし……たった一泊するだけなのにりえちゃん張り切り過ぎだよ」
「そうだよな……」
「冬夜君、今『不釣り合い』とか『落ち着かない』とか思ってるでしょ?」
最近愛莉の勘は冴えわたっている
「うん、高校生の泊る部屋じゃないよなって」
「そうかもしれないね」
「愛莉もそう思ってるのか?」
「まあね、ちょっとりえちゃん張り切り過ぎだよって」
愛莉はそう言って笑った。
「でも、折角用意してくれたんだし楽しまなきゃな」
僕はそう言って外の景色を見る。
「そこに私はいるのかな?」
愛莉は微笑みながら聞いてきた。
「当然だろ」
二人で、景色を眺めていた。
(5)
夕食を食べてイルミを見ていると、誠からメッセージが届く。
「駅前で待っている」
ちょうど、向かおうとしていたところだ。
駅前のバス停に向かうと誠とカンナが手を振っていた。
皆早めに着たみたいだ。
他の面子も集まっている。
「集合場所ここでよかったな」
渡辺君が笑っている。
「とりあえず神社に向かおうか?途中にファストフード店があったはず」
渡辺君が提案すると僕がすかさず提案する。
「それなら途中にうどん屋が……」
「なんで、大晦日にうどんなのかな~?」
愛莉が聞いてきた。
「愛莉、うどんの方がカロリーが高いと思ってるだろ?」
「へ?」
「実はうどんの方がカロリー低いんだよ」
「……年越しそばの意味分かって言ってる?」
「……細く長く今年一年の災厄を断ち切るって言いたいんだろ?でも最近だとうどんは太くて長いことから「健康長寿」「家運長命」など長寿に関わる縁起物みたいな感じでよく食べられてるそうだよ」
「食べ物の事となると良く調べるんだね」
愛莉はため息交じりに呟いた。
「じゃあ、年越しうどんでも食べようか?」
渡辺君は笑いながら言った。
うどんを食べたあと、神社に着いた。
もう行列ができている。
やあ、今年もあえたね、豚骨ラーメンくん。
細く長くって意味なら君でもいいよね。
いただきま~す……。
「おい、冬夜流石に食い過ぎだぞ……。また遠坂さんに……」
誠が忠告すると愛莉が一言「平気だよ」と。
「愛莉甘やかしすぎだぞ」と、カンナ。
「また帰り歩くんだし、いいよ」と、愛莉。
皆時計を見てる。
0時0分……。
「あけましておめでとうございます!」と皆が言う。
「今年もよろしくね~」と女子が騒いでいる。
鈴を鳴らしお賽銭を投げ、お祈りをする。
今年は何をお願いしよう。
愛莉の横顔を見て想う。
「愛しい君の隣で笑っていられますように」
「冬夜君のお腹の中が私の愛で満たされますように……」
二人目と目が合う。
そして笑う。
すでに二人の心は一緒の様だ。
お参りが済むと、おみくじを引いていた。
僕は夜店に駆け出す。
「今年はどうだった?」
「末吉だったよ」
「なんか悪い事書いてあった」
「特に何も~逆に子宝に恵まれるって!」
むせた。
「このあとどうするつもりだ?」
渡辺君が聞いてきた。
「僕たちは親がホテル用意してくれたからそこに泊まるけど」
「ホテルか~、その手があったな。神奈……」
「却下。どうせお前の事だからコスプレとかさせるつもりなんだろうけど」
誠……お前達はどこに向かっているんだ?。
「私たちはイッシーの家に泊まるつもりだけど」と、江口さん
「私たちも私の家に泊まるつもりだよ」と、カンナ。
「僕たちはネカフェで過ごすよ」と、桐谷君。
「そうか、じゃあ解散だな」と、渡辺君。
そう言うとみな散り散りに……なるわけでもなく。駅までは大体一緒だった。
僕たちは途中のタワーホテルで別れたけど。
「こんなのホテルに泊まるのかよ!」と神奈が驚く。
「りえちゃんが予約してくれたの~」と愛莉が言うと「親公認の仲ってすげーな」と呆れる。
僕たちは部屋に戻るとシャワーを浴びる。
「一緒に入ろうよ!」と、愛莉
「今回だけはごめん!」と僕は断る。
理由はある。
「じゃあ、先に入る」
とぼとぼシャワーに入ろうする愛莉を止める。
「ごめん、先に浴びて良いかな」
「?。いいけど?」
首を傾げる愛莉。
僕はいそいそとシャワーを浴びる。
そして上がるとガウンに着替えて愛莉と入れ替わる。
そして出るまでの間に準備をする。
備え付けのウィスキーグラスにコンビニで買ってきた炭酸グレープジュースを注ぎそれを片手にベッドに入り夜景を眺める。
うん、こういう気分も悪くない。
夜景がとても綺麗だ。
そういえば夜景を楽しんだ事なんてなかったな。
東京でももう少し夜景を楽しめばよかったかな。
なんてことを考えていたら、愛莉がシャワーから戻ってきた。
「お待たせ~って何してるの?てか何飲んでるのよ!?」
ブランデーグラスに注がれた葡萄色の液体は愛莉には違うものに見えたのだろう?
「ただのジュースだよ。あ、そうだ。愛莉スマホで写真撮ってくれない?
そう言って愛莉にスマホを愛莉に渡すと僕は夜景を背景にブドウジュースを注いだブランデーグラスを手に取り愛莉の方を向く。
愛莉は、僕のスマホで写真を撮った後自分のスマホでも写真を撮る。
そしてその写真を誠とカンナにに送信する。っていやそれはまずいだろ!?
案の定誠とカンナからメッセージが届く。
「何やってんだよお前笑」と誠から。
「馬鹿かお前は!」とカンナから。
ちょっとやってみたかっただけだよ……。
「冬夜君こっちこっち」
愛莉はブランデーグラスにブドウジュースを注ぎ、ベッドに入り手招きする。
僕はグラスを持ったままベッドに入り愛莉と並ぶ。
不思議だね、同じブドウジュースなのになんかちょっと大人びた雰囲気になれる。
僕と愛莉はグラスをカチンと鳴らし飲む。
「美味しいね」
ただのブドウジュースだけどな。
「だろ?なんかこういう空気に憧れてたんだよね」
「冬夜君て不思議。なんかこう素敵な気分にさせてくれる。ただジュース飲んでるだけなのに」
「いつか、ちゃんとお酒を飲んで楽しもうな……そうだな、例えば21階のレストランとかで」
「冬夜君でもそういう発想できるんだ~」
でもってなんだ。でもって……。
「いつかまた来ようね」
「ああ」
「あ、でも……」
「でも?」
「ウェディングは海岸のレストランがいいなぁ~」
ジュース吹きそうになった。
(6)
冬夜君の世界をのぞく。
普段よりちょっぴりシックな世界。
冬夜君の横顔を見る。
何を見つめているのか最近少しだけ解る気がする。
最初は食べ物の事しか考えてなかったけど少しだけ私の事を見てくれている。
不安は消せないけど。
何一つ分からない未来の為に手に入れたり投げ出したりして儚く誘う行方を追い求める。
夢見るように堕ちていくの冬夜君の世界へ。
傷ついても冬夜君の優しさが私を抱いてくれている。
冬夜君の中から出来る事なら私以外の物全て消し去りたくて、冬夜君のアイ全てを求め、冬夜君ともつれていく。
もう別の生活を灯す、冬夜君のいない明日なんていらない。
冬夜君に出会えたのは本当に奇跡の出会い。
これほどまでに愛せる人を始めて見つけられた。
最後なんて言わない。
ずっと冬夜君の胸の中で……。
「冬夜君、私を力強く抱いて」
「はい?」
「冬夜君の胸の中で眠らせて」
冬夜君は私を抱きしめる。
本当に力強くは抱きしめなかった。
優しく包んでくれる。
このいみじき今日はずっと続きますように。
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