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2ndSEASON
クリスマスパーティ
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「愛莉……起きて」
冬夜君の声が耳元で聞こえる。
「ほえ?」
目を開けると眼前に冬夜君がいた。
冬夜君は私を見て優しく微笑む。
「おはよう」
「おはよう」
私は冬夜君を抱きしめた。
そんな私を冬夜君は受け止めてくれた。
「そろそろ着替えないと……」
やだ、もう少しこのままが良い……。
私は更にキスをねだる。
冬夜君は受け入れてくれた。
今日の冬夜君はどこまでも優しい。
いつもこうだったらいいのにな。
でも、なんか焦ってる?
どうしたの?
私はここにいるよ?
どこにもいかないよ?
心配しなくていいんだよ?
「カンナ達が来る前に着替えないと!」
あ、そうか。今日遊びに行くんだっけ?
なんかもったいないなぁ。
私は起き上がるとベッドを出てパンツを探して履く。
冬夜君も急いで服を着ている。
時計を見た。
8時半を指していた。
急がないと。
9時台のバスは2本だけ。
一本逃したら確実に遅刻してしまう。
服を着ると下に降りて、洗顔等を済ませる。
そして部屋に戻る際に冬夜君の両親に挨拶を済ませて部屋に戻る。
それからお化粧してると呼び鈴がなる。
神奈達が来た。
どうやら間に合ったようだ。
散らかった荷物をスポーツバッグに仕舞うと神奈達を待っていた。
「オッストーヤ」
そう言って部屋に入り込んでくる神奈。
せめてノックくらいしようよ。
「久しぶり遠坂さん」
「久しぶり、誠君」
誠君も元気そうでよかった。
落ち込んでるって聞いてたから。
その時の話も聞いてるよ。
でもゆっくり話してる時間はなさそうだ。
「そろそろ出ないとまずいぞ!」
神奈が時計を指す。
バスの時間まで5分くらいしかない。
私達は家を出た。
(2)
駅前。
僕たちが到着すると、渡辺君と渡辺君の彼女らしき人が。
渡辺君の彼女らしき人を見てると神奈の中2のの頃を思い出す。
金髪の軽くパーマが掛かったロングヘア。
白いファーコートに水色のニット、黒いミニスカートにロングブーツ、サングラスをかけている。
彼女らしき人はこっちを見つけると近づいて来る。
サングラスを取って僕と愛莉を凝視する。
「あんた達がとーやと遠坂さん?」
僕たちを知っているってことはやっぱり渡辺君の彼女か。
渡辺君は、彼女の頭をぺしっと叩くと。にこりと笑った。
「おはよう、礼儀を知らん彼女ですまんな、俺の彼女の久世美嘉だ」
渡辺君はそう言うと久世さんに挨拶するように促され頭を下げる。
「初めまして、久世です。話は正志から聞いてる。そっちの二人は?」
久世さんはカンナ達を見て聞いた。
「初めまして、音無神奈です、こっちは彼氏の多田誠」
カンナがそう言うと誠も一礼する。
6人で駅前で喋っていると、さらに4人追加来た。
指原さんと江口さん、石原君に桐谷君だ。
「さて、全員揃ったし。コーヒーショップで時間潰すか」
それなら駅前より中央通りにある方をお勧めするねだって……。
「中央道りに行かない?そっちの方が広いし……」
おお!愛莉が僕の気持ちを読み取るかのようにさりげなく誘導してくれた。
「俺は別に構わんけど?」
渡辺君がそう言うと誰も反対する者はいなかった。
「ブレンドコーヒーとモーニングAセットと味噌カツパンとコーンスープを……」
僕が注文すると、カンナが呆れた顔で言った。
「お前相変わらず食うな。また愛莉にどやされるぞ……」
「今日は朝ごはん抜いてきたからしょうがないよ」
愛莉が優しい。
いつもこうだといいのに……。
「愛莉、前にも言ったけど優しさと甘やかすのは違うよ」
指原さんが突っ込みを入れる。
「いいの、これでも多分冬夜君遠慮してると思うから。最近冬夜君の考えてる事分かるようになってきたの~」
ストレートティーを飲みながら愛莉は話す。
「本当に正志の言った通りだな。なんか次元が違う」
ココアを飲みながら、久世さんが僕たちのやり取りを聞いて驚いてた。
「だろ?おっとそうだな、皆に紹介しとかないとな、こいつが俺の彼女の久世美嘉」
「美嘉です、下の名前で呼んでかまわんぞ」
美嘉さんはそう言うと頭をぺこりと下げる。
「あ、私もだな。こいつが私の彼の多田誠」
「誠です。よろしく」
「音無さん、彼氏めちゃ格好いいじゃん」
桐谷君が驚いている。
他の女子も騒いでいる。
「しかし本当に美男美女ってカップルだなぁ音無さんは」
渡辺君がそう言うと、カンナは笑っていたが、本当は照れていたんだろうな。
下を向いてコーヒーをすすっている。
他の皆も自己紹介をした。
「ねえ?この後どうするの?」
指原さんが渡辺君に聞いてた。
「そうだな、やることといったらカラオケくらいしか思いつかなくてな」
渡辺君が申し訳なさそうに言った。
「私はいいけど?カラオケ好きだし」
指原さんがそういうと、誰も反対する者はいなかった。
僕?歌う人たくさんいそうだし、大丈夫だと思う。
カラオケ屋さんに行くと、渡辺君が受付に向かう。
パーティルームを予約してあったみたいだ。
広々としてる。
部屋に入ると皆は自分の席を確保する。
僕は一番奥に入った。
隣にはカンナと愛莉がいる。
入口に近い所に渡辺君と美嘉さんが座っていた。
カラオケ好きな指原さんが一番最初に端末を操作すると、次々に渡される。
僕と石原君は遠慮したけど。
石原君はカラオケが苦手らしい。
僕は……目の前に出された食べ物を処理するのに精いっぱい。
時間は19時まで無制限。
飲み放題付。
渡辺君が皆にドリンクを聞いて回っていた。
僕はコーラフロートを注文。
他の人も各々の好きな飲み物を注文していた。
「私カシオレ!」
美嘉さんが、不思議なジュースの名前を言う。
「今日はオレンジジュースにしとけ」
渡辺君がそう言ってオレンジジュースを注文する。
「連れないなぁ~正志は」
「今日は飲まないって約束だろ?」
他の人もつついていたのであっという間になくなる。
「渡辺君かつ丼と豚骨醤油ラーメンを……あと、クリームソーダを……」
「冬夜君これ」
愛莉が僕に端末を渡す。
「一曲くらい歌おうよ。あ、アレ一緒に歌お?」
そう言ってデュエット曲を勝手に入力する。
「へえ、片桐君こんなの歌えるんだ!」
「二人で歌う曲なら大概歌えるよ」
と、得意気に指原さんに答える愛莉。
「いいな~瑛大も見習えばいいのに。無理してボカロ曲やらばっか歌うからさ~」
……入れなくてよかった。
僕と愛莉の番が回ってくる。
愛莉が歌いだす。
そしても僕も歌いだす。
ヒューと口笛が聞こえてくる。
少し恥ずかしかったけど、ちゃんと歌えた。
「じゃあ、次これね!」
待って!ラーメンがのびてしまう。
「僕も歌うよ!!」
意を決したかのように石原君が声を上げる。
「その言葉を待っていたんだ!」
渡辺君が、端末を石原君に渡す。
石原君は曲を決めていたらしい。
すぐに曲を入力する。
僕たちがもう一曲歌った後石原君が歌いだした。
僕たちが生まれる前にあったアニメの曲。
石原君の今の気持ちを歌ったのだろうか?
江口さんも聞き入ってた。
歌い終わると拍手が鳴り響く。
8時間あるとはいえ10人で歌っていればあっという間だ。
最後は僕が決める!!
「……~♪」
夏の終わりによく聞く歌。
時期じゃないけどカラオケの締めと言ったらこれでしょう!
「冬夜君……すべってるよ?」
愛莉が横腹をつついて、一言言うと皆からブーイングが。
「冬夜!おまえ時期考えろよ!」と誠
「冬夜のセンスもさえない時あるんだな」と渡辺君
「片桐君おっさんか!」と指原さん
頭を悩ませる江口さん。
笑い転げるカンナと美嘉さん。
桐谷君と石原君も笑っていた。
なんだ、ウケてるじゃないか。
「仕方ないなぁ~」
そう言いながら肩を抱く愛莉。
一緒に歌いだす。
愛莉が歌いだすと皆が肩を組んで歌いだした。
やっぱこの歌はこうでなくちゃね!
(3)
カラオケを出ると夜だった。
「じゃあ、夜も暗いしこの辺で……」
と、言って立ち去ろうとする石原君を渡辺君と美嘉さんが捕まえる。
「イッシーだったっけ?夜はこれからだぞ」
「お前まさか江口さん置いて帰るわけじゃないよな?」
そのまさかだったらしい。
「締めはやっぱりあの店でしょう!」
美嘉さんが言い出したのは居酒屋さんだった。
「お前今日は酒はダメだって言っただろ!」
窘める渡辺君。
「飲まなきゃいいんだろ?この人数で飯食えるところなんてそうないぞ」
と反抗する美嘉さん。
「まあ、酒飲まなきゃ良いんじゃね?」
とカンナが言うと、渡辺君はしぶしぶ承諾する。
居酒屋さんに入るのは初めてだ。
店員が訝し気に見る。
「ソフトドリンクだけなので」と、渡辺君が説明すると店員は承諾して席を案内してくれた。
コース料理を注文する。
飲み物を聞かれたのでりんごジュースを頼んだ。
カンナと美嘉さんがそろって「生!!」と、言うので誠と渡辺君が諫めた。
「これだけ大量の枝豆があって飲めないのは地獄だぞ」と愚痴をこぼす美嘉さん。
「分かるよその気持ち……」と、カンナ。
皆にドリンクが配られると渡辺君が立ちあがる。
「じゃあ今日は一日お疲れ様でしたー!」
と乾杯する。
こういうのも新鮮でいいな。
食べ物が来ると僕が取り皿にとろうとすると、愛莉が取り皿を奪い取る。
そして黙ってサラダとかを盛り付ける。
「野菜も食べなくちゃだめだよ」
いつもなら頭バシッ!なのに本当に変わっちゃったんだな。
カンナと美嘉さんはすっかり意気投合してた。
他の皆も打ち解け合っているみたいだ。
ノンアルコールの宴会はあっという間に3時間を過ぎていた。
流石に今日は食べ過ぎた。
もう食えない……。
「じゃあ、またな」
そう言うと美嘉さんと渡辺君は夜の街へと消えていく。
……飲むんだろうな。
「んじゃ私らも帰るか?」とカンナ。
そして僕たちは解散した。
誠も寮へ帰る。
残った僕たち3人は家に帰るためのバスを待つ。
「楽しかったね」
「美嘉のやつも面白い奴だったな」
「うん、すっごい綺麗だったし。胸の大きなカンナって感じだった」
「愛莉その一言傷つくぞ……。お前また大きくなっただろ」
「えへ。気づいた?冬夜君にも言われたんだけど……」
「冬夜も男なんだな……」
「そうだよ~男の子なんだよ~。もうちょっと食べ物より私を見てくれるといいんだけど」
聞こえないふりをしているのが一番だよな?
「でも、今日一日見てたけど、全く叱らないのもどうかと思うぞ。冬夜食うだけ食ってたじゃん」
「う~ん。それが冬夜君だからしょうがないよ」
「諦めたわけ?」
「違うよ~さすがに体形変わってきたら注意するけど。ああ見えて夜は私に優しいんだよ」
「なんだ、食欲だけじゃなくてそっちの方の欲も沸いてきたか」
「みたいだね~」
聞こえないふり聞こえないふり。
「羨ましいよ愛莉が」
「誠君は優しくないの?」
「優しいよ、ただちょっと変態じみたところがあってな」
「なるほどね~」
何を要求したんだ?誠よ……。
「で、いつまで聞こえないふりしてるつもりだトーヤ?」
カンナが突然話題を振ってきた。
「気づいてたのか」
「当たり前だろ!」
「私気付かなかった……また、世界に入ってるのかな?って」
愛莉が驚いている。
「でも意地悪だね、そうなら何か反応してくれたらいいのに」
反応に困る会話してたからだろ。
「そう言えば聞いてなかったな。愛莉東京の自由行動の後しばらく浮かれてたろ?何があったんだ?」
「ああ、それはねえ……冬夜君がストリートバスケで……」
それを今聞くか、っていうか話さないって約束したろ?
「へえ、なんでストリートバスケを?」
「あ……」
ほらそうなる……。
愛莉は洗いざらい白状した。
「この馬鹿トーヤ!もしミスったらどうするつもりだったんだ!!」
「愛莉!!話すなって言っただろ!」
「責任転嫁するな!」
「ああ、そう言えば!」
愛莉が話題を変えてくれた。
ありがたい。
……と、思ったのはつかの間だった。
「話したら……するんだった」
「はぁ?お前ら何考えてるんだ、まだ17歳だろ!」
カンナから説教を食らう二人だった。
(4)
カチン。
グラスに注がれた淡黄色の液体と赤褐色透明の液体が波打つ。
「おつかれ、正志」
「ありがとう、美嘉」
「確かに会って良かったよ、楽しい連中だった」
美嘉が今日の出来事を振り返る。
「とーやって奴も正志の言う通りの奴だった」
「あれだけじゃないさあいつは」
ここぞという時に真価を発揮するタイプ。
自覚がないのと、普段とのギャップが激しいのが難点だが。
「でも、あの二人にはかなわないな、負けたくないけど」
「そうだな、いつかああなりたいもんだ」
あの二人とは冬夜と愛莉の事だろう。
クリスマスイブに何かあったのか?
また二人の絆が深まってる気がする。
「後はそうだな、カンナってのも良い奴だった」
「音無さんはお前に似てるのかもな」
「でも頭良いんだろ?正志の高校に通ってるくらいだもんな……」
「あれでも苦労してるみたいだぜ?バイトしながら勉強してるんだから」
「すげーな。基本スペックが違うよ」
「そんな簡単な一言で済ませられるもんじゃないよ、音無さんなりに苦労してるんだから」
「どうせ、私は苦労してねーよ……」
また始まった。
飲むとすぐに自虐的になる。
「美嘉も苦労してるさ……色々な」
「そう言ってくれるのは正志だけだ」
美嘉はグラスの飲み物を飲み干すとお代わりを注文しようとした。
それを制する俺。
「一杯だけって言ったろ?」
「ちぇっ、じゃあ烏龍茶を……」
ソフトドリンクを頼む美嘉。
それが届くとストローで飲む。
「また会ってみたいな。カンナってのと飲んでみたい」
「音無さんを巻き込むな。彼女も地元大学目指してるんだ」
内申点に響いたら申し訳ない。
「それは正志も同じだろ?平気なのか?こんなところに来ていて」
「美嘉とは一蓮托生。ダメなら働いて養うだけだよ」
「私足引っ張ってるか?」
「支えてもらってるよ。安心しろ」
「そうか、それならよかった」
俺はソルディ・ドッグを飲み干すと清算を済ませる。
「このあとどうする?」
「いつも通りさ」
「偶にはホテルにでも行こうぜ」
「この時間だろ?どこも満室さ」
それに下手なホテルより美嘉の家の方が豪華だ。
「つまんねーの」
「明日は何もないからな。十分楽しませてもらうさ」
「そーか!そーこなくちゃな」
美嘉の声が弾む。
美嘉はタクシーを止め、俺たちは美嘉の家に向かった。
(5)
「今夜も楽しかったです。また遊びましょう」
僕は家に帰ると江口さんにメッセージを送った。
そして風呂に入る。
風呂から戻るとスマホが点滅してる。
着信アリ。
誰だろう?
江口さんだった。
すぐに掛けなおす。
「もしもし?」
「あ、江口さん。ごめんなさい。お風呂に入っていたもので」
「いつも、メッセージだけだからたまにはお話でもと思って」
「そ、そうでしたね。ごめんなさい」
「そのすぐに謝る癖は止めた方がいいわよ。私が虐めてるみたい」
「は、はい」
「あとはそうね……いつになったらその江口さんって呼び方から卒業してもらえるのかしら?」
「?」
「恵美とかえみりんとか呼び方は色々あると思うんだけど」
後者は絶対に無いです。
「じゃ、じゃあ恵美で……」
「それでいいわよ」
「……」
沈黙の時が流れる。
「何か話は無いの?」
え?僕から話するの?
恵美が話があってしたんじゃないの?
「しょうがないわね……、じゃあ話題を振ってあげる。次はいつ会える?」
「い、いつでも……」
特に予定は入ってない。
「もう少し具体的な予定はないの?」
具体的にと言われても……。
「……大晦日なんてどう?一緒に年を越すの?」
それって帰り大丈夫なんですか?
「あなた街に近い所に住んでるのでしょ?あなたの家に泊めさせてもらうわ」
い、いや無理ですよ!兄弟いるし。
「親が認めませんよ」
「……今親起きてる?」
居間の方を見る。まだ起きてるようだ。
「ちょっとこの電話親に代わってもらえない?」
何を言うつもりだろう?
親に事情を説明して、電話を渡す。
「はい、いつも息子が世話に……え?はいはい……大丈夫ですよ。お待ちしております」
親が僕に電話を渡す。
「可愛い娘さんじゃないか?まだ傷物にするんでないよ」
何を話したんだろう?
「もしもし?」
「両親の許可は得たわよ。じゃあ、新年は貴方の家で越すから」
はい?
やっぱりそういう交渉していたんだね。
「……わかった」
「なんか、嫌そうね?私と年越すのがそんなにイヤ?」
「そういうわけじゃないけど……」
「けど。なに?」
「恵美の家は平気なの?両親何も言わない?」
「友達の家で過ごすっていうから平気よ?」
ああ、そういう言い訳が成り立つのね。
「じゃあ、大晦日に」
「はい、またね」
片桐君に相談しようかな?
(6)
「あ~疲れた」
私は部屋に戻るとベッドにダイブした。
今日は楽しかった。
恵美ちゃんも相変わらずだけど、イッシーと楽しんでるみたいだし。
その時電話が鳴った。
噂をすればなんとやら。
恵美ちゃんからだ。
「もしもし~?」
「もしもし亜依ちゃん、お願いがあるんだけど……」
お願いの内容は至ってシンプル。
大晦日イッシーの家に泊まるから私の家に泊まってることにしておいて
「いいよ~」
「ありがとう……、ところで質問なんだけど……」
なんだろう?
「彼氏の家に泊まる時って必要な物ある?」
あ、そうか。
恵美ちゃん男の家に泊まった事無いんだ。
「友達の家に泊まるときと基本変わらないよ。あとは心の準備くらいじゃないかな?」
「心の準備?」
「一緒に寝るってことはそういうこともあるって気構えかな」
「まさかイッシーにそんな度胸無いわよ。親も一緒だし」
まあ、相手がイッシーじゃいきなりそれは無いか。……でも。
「受け入れる準備はしておかないとね。期待はしないでも」
「……下着とか準備しておいた方がいいのかしら?」
「当然!」
「わかった……。ありがとう」
「ご安全に~」
「?。またね」
電話を切るとまた着信が。
瑛大からだ。
「もしもし?」
「あ、今誰と話してた?」
「恵美ちゃんとだよ?」
「あーね。江口さんイッシーと上手くいってるの?」
「家に泊まるくらいはいってるみたいだよ」
「まじかよーすげーな」
お前んちにも何度も泊ってるだろうが。
「で、何の用?」
「今度の大晦日良かったさ~神社にお参り行かない?」
「いいよ。で、帰りはどうするの?」
終電ないぞ?
「ネカフェにでもいればいいんじゃね?」
まあ、こいつの脳みそだとその辺が精いっぱいだろう。
「ネカフェ大丈夫なの?満席だったりしない?」
「多分大丈夫、何店舗もあるから」
「わかった。用はそれだけ?」
「うん、じゃあまた明日」
「はい、おやすみなさい」
電話を切る。
メッセージが、瑛大からだ。
「今日は楽しかった。大好きだよ♡」
きもっ!
「キモいメッセージ送ってくるな」
「ご、ごめん」
「まあ、気持ちだけ受け取っておくわ。じゃあおやすみ」
「亜依は俺の事好き?」
どこまでもキモい。
とは、いえ何か返さないと可哀そうだな。
「どんなに離れていても変わらないよ。言いたい事分かるでしょ?」
ていうか分かれ。
「ありがとう、おやすみ」
通じたみたいだ。
言葉にしないと分からないこともあるけど。
言葉にしなくても分かって欲しいこともある。
我儘かもしれないけど。
信じて欲しい。
貴方との出会いは遠い日の奇跡だから。
0
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