優等生と劣等生

和希

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3rdSEASON

ファフロツキーズの夢

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(1)

雨。
雨にうたれて濡れている彼女。
そっと彼女に傘を差し出す。
彼女は雨に濡れてはいない。
けれど顔は濡れている。
どうして泣いてるの?
彼女は笑っている。
じゃあどうして濡れているの?
濡れているのは彼女じゃない。
涙で滲む僕の目だった……。

どうして僕は泣いているの?
彼女は笑ってくれている。
彼女が笑うと僕が泣く。
微笑む彼女の目には僕は無く。

雨に打たれる僕。
君に差し出したはずの傘なのに君は無く。
僕は泣いていた。

水たまりには彼女が映っている。
想い出の涙の水たまりに君は映っている。
雨は僕の涙?
雨の一粒一粒が僕の想い出。
沢山の思い出が雨になって降っている。
逢いたい。
君に逢いたい。
僕は泣いている。

愛莉……。

目の前に映るのは……。

「わあ!」

眼前に愛莉の顔が映し出される。
驚いて飛び起きる僕。

「愛莉……?」
「ごめん、泣くほど驚いた?」
「え……?」

僕は泣いていた?

「冬夜君大丈夫?」
「ああ、大丈夫」

腕で、涙を拭う。
愛莉は僕にハンカチを差し出す。

「ありがとう」

僕はハンカチで涙を拭う。
愛莉は僕を抱きしめる。

「なんか怖い夢見てた?」
「いや、不思議な夢」
「どんな夢?」
「思い出が涙になって降ってくる夢」
「?」

不思議な夢だったな。
不吉な夢だったな。
夢は何かの暗示だというけど、何を暗示しているのだろう?

「冬夜君、今日1限目からだよ」

愛莉がそう言うと僕は時計を見た。
まずい!!

急いで寝間着を脱ぎ捨て着替える。
荷物を手に部屋を急いで出た。


6月。
梅雨の時期。
毎日のように降る雨が鬱陶しい。
雨が降ると、交通量が増える。当然道が混む。地獄の交差点は更に修羅場と化す。
僕達は裏道を抜けてショートカットする。
愛莉の車が軽四で助かった。狭い道でも離合が楽だし、曲がりやすい。
そうして、大学に着く。

「はい傘」

当然のように愛莉は自分の傘を僕に差し出す。
僕も傘持ってるけど?
愛莉の傘を取りあえず受け取ると愛莉は腕を組む。

「早く差してよ、濡れちゃう~」

やれやれと僕は、愛莉に渡された傘を差す。
女性ものの傘は派手だから男の僕が差すと変に見える。
ふと思った。自分の傘を差せばいいんじゃなかったのか?
今からやれって?
もう傘は車に置いてきたよ。
帰りもこの羞恥プレイが続くのかな?
1限目からの授業を望む人はそんなにいない。
だからそんなに人が歩いていなかった。
1限目は教養科目が多い。
だから1年のうちに教養科目と専門基礎科目、基礎演習をと愛莉が詰め込んだ時間割では1限目からが割と多い。
5月病6月病にかかった人は捨て単位とみなして出てこない人もいるけど。
そう言うのに全然縁のない僕らは真面目に授業を出ているのだった。

「冬夜君あれ見て……」

愛莉がそう言って立ち止まると一か所を指差す。
傘がひしめき合っている。
あれなら中心の人は傘ささなくていいな。
なんだろう?と愛莉と顔を見合わせたがわからない。
関係なさそうなので、教養教育棟へと向かった。

(2)

ピンポーン。

呼び鈴がなる。
おかしいな。今日は穂乃果も授業のはず。
僕は2限目からだから朝はのんびりしていた。
もっとも1限目から真面目に授業を受けてるのは片桐君達みたいな4月病で「うわぁ。やっちゃった」な人達ばかりだろう。
ともかく、朝から僕に用がある人なんていないはず。
イヤな予感がする。
取りあえずのぞき穴から外を見る。
ファフロツキーズを見たような顔をして、後ずさる僕。夢だよな。これは夢だよな。
スマホが鳴る。
知らない番号だった。知らない番号には出るなとよく言われている。まさにその判断をするべきだった。
出ちゃったんだよね、これがまた。
そしてそれが最悪の事態を招くとは思いもよらなかった。

「良かった、起きてたのね。迎えに来たわよ」

時計を見る。漫画でよく見る四角いアナログのアラームだった。
まだ、授業まで十分に時間がある。どういうことだ?

「あの、僕2限目からなので」
「あら?私1限目からなのよ。良かったわ」

何が良かったのか問い詰めたい。小一時間問い詰めたい。
呼び鈴を連打する彼女。
と、とりあえず戸を開ける。

「やっとあけてくれたのね」

肩が濡れてる。

バスタオルを持ってきて拭くように指示した。

「いつも思うのだけどそういう事には気が利くのね」

彼女は濡れた服を拭くと「じゃ、行きましょうか?」と言った。

「行くってどこに?」
「だから、大学によ、あなた車持ってないでしょ?迎えに来てあげたのよ」

物凄い有難迷惑だ。

「僕2限目からだって言ったけど?」
「よかったじゃない、私と1限目受けられるわよ」

いや、履修してない科目を受ける程暇じゃないよ。暇だけど。
今から3分だけ時間をあげるから準備しなさい。
そう言ってバタンとドアを閉める。
とりあえず外出用のジャージに着替える。
そしてバッグを持って外に出る。
アパートの下には不釣り合いなリムジンが。
志水さんは僕を先に乗せると後ろに乗り、リムジンが走り出した。


止める駐車場所は決まっていたんだろう。
そこには、志水さんの履修科目を把握してるであろうファンの方々が待ち構えていた。
ファンの方々は最初は志水さんの登場におおーと声を上げていたが後から出てきた僕に冷たい視線を浴びせてくれた。

「志水さん濡れますよ僕の傘を」
「いや、俺の傘を!!」

そんな感じで群がり傘のシェルターを作って移動していく。
これなら傘必要ないな。
そんな時だった。志水さんは僕と腕を組む。
また冷たい視線を浴びる。
視線で人を殺すってまじであるかもしれない。
そんな時片桐君たちが相合傘で来ているのが見えた。

「助けておくれ」

そう合図を送ってみたけど、気付いてくれるはずもなく二人は顔を見合わせて去って行った。


「ねえ?志水さん?」
「なに?」
「どうして僕が教育支援実践研究なんて授業を受けなきゃいけないんだい?」
「あら?彼女と同じ授業を受けるものなんじゃないの?」

不思議そうな顔をして志水さんは聞いてくる。

「そう言う人もいるけど、学部が違う僕が選択する方法ではないと思うのだけど」
「どうせ暇してるんでしょ?経験していきなさいな」

駄目だ、この人。
人の話全然聞いてない、

(3)

2限目、経済学。

僕と愛莉は目を疑った。
酒井君と一緒にいるのは志水さんだった。
専門科目なのになんで教育学部の志水さんが来ているんだろう?
僕は目の前にいる酒井君の背中をつついて聞いてみた

「なんだい?」

酒井君は振り返ってそう答えた。

「どうして志水さんと一緒なの?」
「それは僕も同じ疑問をもっているんだけどね。どうして彼女が経済学を受けているのか甚だ疑問なんだ」
「それは私が2限目空いてたからよ」

志水さんが答えた。

「履修はしてないけど授業を受けるのは自由でしょ?私は彼と一緒にいたいから来ているの」

口をあんぐり開けている酒井君。

「ずっとつきまとってるつもりなの?」

僕が聞くと志水さんは答えた。

「つきまとってるなんて人聞きが悪いわね。好きな人と一緒にいる。ただそれだけよ」

その言葉を聞いていたのは僕だけじゃなかったらしい。周りにいる志水晶親衛隊と称する謎のサークルも聞いていたようだ。
殺意に近いその視線を感じ取る。
それは、酒井君だけじゃない。僕や愛莉にも向かっていた……。

「なんかあまり歓迎されてない雰囲気のようね」

志水さんも、感じ取ったらしい。愛莉に至っては僕にしがみ付いてる。

「じゃあ、私行くわ。またお昼休みに」

周りに燃料をぶちまけるだけぶちまいて、炎上している教室を後にする志水さん。

「ぼ、僕もちょっと用事思いだしたんで……」

荷物をそっとまとめ逃亡のタイミングを計る酒井君。

「ま、待ってよ僕たちは……」

残された僕たちはどうなるの?

「無事を祈ってるよ、じゃあ!」

そう言うと彼は逃げ出した。

半数以上の親衛隊が彼の後を追う。

残された親衛隊は僕達を見ている。明らかに敵意むき出しだ。

「愛莉、授業どころじゃないぞ……」
「そ、そうだね……」

愛莉もここまで敵意をむき出しにされたことはないんだろう?怯えている。

「愛莉達なにやったの?親衛隊ににらまれてるじゃん!」

大島さんが聞いてきた。愛莉が事情を説明する。
因みに親衛隊とわかったのは彼らは服に腕章をつけてある。学内外を問わず腕章を付けてない者が志水さんに近づくことは許されない。近づいた者はみな悲惨な結末を迎える。

「だ、大丈夫だよ。やましいことしてないし堂々としてよ?」

そう言う愛莉の僕を掴む手は震えている。
僕達の席は教室の出入り口から遠い。
どうしたものかな……。覚悟を決めるしかないか。

「大島さんは後ろの出入り口から出て。僕たちが前に誘導するから」

大島さんに火の粉が飛ばないように配慮する。

「わ、わかった」

授業が終わる五分前。大島さんは逃げ出す準備をしている。

「じゃ、学食でね?」

健闘を祈る。そう言いたげな顔をしている大島さん。

「うん、分かった……」

緊張している愛莉。

「大丈夫なんとかするから」

授業が終わる。僕達はゆっくりと出口に向かう。出入口は塞がれている。

「お前、志水さんの何なわけ?」

親衛隊の一人がそう言った。

「何ってただの友達だけど?」
「お前新歓コンパの時にもいたよな……。どういうつもりだ?」

覚えてたんだね。

「どういうつもりもないよ、彼女が勝手にきて勝手に出て行っただけ」

嘘はついてない。

「あの男は何なんだよ!?」
「さあ、なんなんだろうね。迷惑そうだったけど……」
「舐めてるのかお前!」

親衛隊の怒声に愛莉がびくつく。震えているじゃないか?

「あ、あの……どいてもらえませんか?」

愛莉が震え声でそう言う。

「納得いく答えが聞けるまでは通すつもりはな……!?」
「!?」
「トーヤ!」

カンナが親衛隊を押しのけて教室に入ってきた。
カンナだけじゃない、石原君と渡辺君も一緒だ。

「神奈!!」

愛莉は神奈に抱き着く。

「酒井君からメッセージ届いてな。迎えにきたんだ」

渡辺君がそういってにやりと笑う。

「じゃ、学食に行こうか?」

そう言って渡辺君は外に出ようとする。
親衛隊が道を阻んでいるが渡辺君は意にも介さない。
どこかで見た番組のウォーカーみたいに近づく彼らを渡辺君は威圧感だけで押しのける。
それでもなお近づいて来る群れを石原君が押しのける。石原君本当に体鍛えていたんだね。
愛莉に近づこうとするウォーカーは、カンナが「どけこらぁ!」と恫喝する。
そうして教室の外に出ると渡辺君の「走れ!」の一言と共に皆駆け足でその場を後にする。
そうして事なきを得た。


学食にて、

「そんなことがあったのね」

江口さんは、そう言ってご飯を食べる。江口さんは料理を毎日練習しているらしい。大分見栄えもいいものになってきた。

「通りでうちの学部棟の雑魚の群れが少ないと思ったのよ」

教育学部の親衛隊全員来てたのか!?

「噂だけど朝学部棟で二人のツーショット場面を見た親衛隊がいたらいいのよね?それで後をつけたみたい」
「あの押し寄せる群れはファフロツキーズのような物でしたね」

ファフロツキーズとは偶に空から降ってくる信じられないようなもの。
日本ではおたまじゃくしの大群が降ってきた例があるらしい。
それは愛莉も怯えるだろうな。そんな事を考えながら愛莉のお弁当と豚キムチ丼を食べていた。

ぽかっ

「いつの間に買ってきたの!?」
「いや、ここの豚キムチ丼結構おいしいんだよ?」
「そういう問題じゃない!」
「まあ、そう言わずに食べてみなって……あーん」

ぱくっ

「ね?美味しいでしょ?」
「うぅ……今度負けないの作ってあげるから」
「愛莉が作ったら何でもおいしいよ」
「本当!?」

愛莉の機嫌の取り方はなんとなく把握した。

「で、肝心の酒井はどこにいったんだ?」

カンナがそう言うと、大島さんが答えた、

「酒井君なら志水さんの付き人に護衛されて学外に逃亡したよ」
「そこらへんも含めて酒井君に事情を聴く必要があるな」
「でも彼今日バイトだよ」

愛莉が言うと、渡辺君が言った。

「好都合だ、青い鳥に今日全集かけるか」

そう言って渡辺君はメッセージを打つ。
いきなり言って集まるものかね……

(4)

僕の心配は杞憂だった。
仕事・バイト組を除く全員が集まっていた。
とりあえず注文をすると、話が始まった。
まずは……。

「大島花菜です。よろしくお願いします」

そう、大島さんが仲間に加わった。

皆が自己紹介する。

「あと何人か来てないけど、まあ、追々」

渡辺君がそう言うと大島さんは頭を下げた。

「次は酒井君についてなんだけど……」
「酒井君がどうかしたんですか?」

注文した物を運んで来た一ノ瀬さんが聞いてきた。

「いや、実は……」

渡辺君は昼に起こった出来事を話した。

「ちょ、ちょっと善幸よんできますね」

そう言って、一ノ瀬さんは控室に向かう。
しばらくして酒井君が現れた。

「皆さんこんにちは」
「こんにちはじゃねーよ。何があったのか説明しろ!」

指原さんが食ってかかる。

「あ、ああそうですね。片桐君たちにも迷惑かけたし、お話します」

そう言って酒井君は朝に起こった出来事を話した。

「諦めの悪い女ね……」

江口さんがそう言ってのけた。

「もうグループから退会させた方がいいんじゃない?」

指原さんがそう言うと江口さんが首を振った。

「ダメよ、あの女の性根も叩き直さない時が済まないわ」
「心配することないんじゃない?」

僕はナポリタンを食べながら言った。

「酒井君の気持ちが本当ならきっとなんとかなるよ」
「トーヤが言うとなんか真実味があるな」

カンナがそう言うと渡辺君が言う。

「そういう事だ、酒井君。がんばれよ。応援してるからな」
「いいなあ、皆さん。そう言うのがいて」
「何々?大島さんも彼氏欲しいわけ?」
「え?そりゃまあ欲しいですね」
「そういう相談ならうちのグループの得意分野だ。まかせてもらおうか」

渡辺君と指原さんの目が輝いてる。
そんな時だった。

カランカラン。

入ってきたのは志水さんだった、
志水さんは僕達を見ると近寄ってきた。

「呼び出しがあったけど、何の用かしら」

一ノ瀬さんに注文をするとそう言った。

「志水さん。もう酒井君の事は諦めた方が良いよ。一ノ瀬さんいるんだし」
「恋は障害があるほど燃えるものなんでしょ」

うわぁ、めっちゃ歪んでますね、その恋愛観。

尚も説得を試みる愛莉。

「志水さんが誰かを好きになるのは自由だと思う。でも仲間を傷つけるような真似は許されないと思うの」
「私は仲間ではないの?」
「うぅ……、そ、それは……」
「良いじゃない、好きにさせれば」

江口さんがそう言った。

「精々足掻いて足掻いてもがき苦しむのね。そうしないと分からないことだってあるでしょ?」
「もがき苦しむのはどちらかしらね?一ノ瀬さん?」
「え……?」

一ノ瀬さんの表情が曇る。

「私、諦めないから」

きっぱりという志水さん。

「用件はそれだけ?じゃあ、私ゴルフ部のコンパあるから」

そう言って立ち去る志水さん。

「うーん、確かにあの女をぎゃふんと言わせたいかも」と、指原さん
「大学生活の一つのテーマだな。」と、渡辺君。

好きにさせたらいいと思うけどね。
一人で足掻いて足掻いてあきらめがつくまでもがいてみたらいい。
そうして人間成長していくもんだろ?

「そろそろ出ようか、あまりこの大所帯で長居しても迷惑だ」

渡辺君がそう言うと皆会計を済ませて店を出る。
雨がやんでいた。

「ねえ、見て」

僕は愛莉の指差す空を見た。
空に虹がかかっていた。

「雨が降らないと虹はかからないんだよ」
「雨降って地固まるってやつか?

愛莉は黙ってうなずく。
そうだよな、僕達もそうだったよな。
今は目の前に彼女がいる。
傘を差さなくても笑っている彼女がいる。
水たまりにも彼女は映っている。
雨が止んだ庭に花が咲くように。
きっともう大丈夫。
次の日の雨の為に傘を用意しておこう。
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