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3rdSEASON
サウダージ
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(1)
「おはよう愛莉」
「ほえ?」
愛莉に声を変えると愛莉が目を覚ます。
いつもと逆転した事態に愛莉は目を丸くする。
一週間も家事と勉強をしていたらそりゃ疲れる。
夏休み最後の愛莉のメンテナンス日。
何か口実をつけてやらないと出かけようとしない。
いつもは「青い鳥」に行こうで済むんだけど、毎回一緒じゃ飽きるよね?
「愛莉後期に着ていく服を選んで欲しいんだけど」
「うん」
そういうと、愛莉は準備を始める。
既に自分の家から、冬物の服も運んできている。
一年中、僕の家で過ごすつもりだな。
準備を終えると「おまたせ」と僕に言う。
愛莉は動きやすい服装をしていた。ああ、帰りに洗車するつもりだな。
正直デート中に洗車させるのは気が引ける。愛莉を休めるために洗車してるのに手伝わせたら意味がない。
それでも愛莉は言う
「車さんに、感謝してあげないと」
よかったな、こんなに愛されてるぞ。車を少し羨ましく思う。
地元のショッピングモールに行って服を選ぶ。
2時間程度かけて僕の洋服選びは終わる。
「冬前にまた買い物しようね」
愛莉は嬉しそうに言いながらオムライスを食べる。
「その前に次にやりたい事があるんだけど」
僕は愛莉に提案をした。
「な~に?」
上機嫌の愛莉。今なら何でも受けますよといった雰囲気だ。
「次は愛莉の服も選ぼう?」
「……はい」
愛莉は本気で嬉しいとき「うん」じゃなくて「はい」になる。
高校時代から気付いていた。
あるいは照れてる時かな?
いつか言ってたっけ?
「冬夜君と服を買いに行きたい」って。
今どんな気持ちだい?喜んでもらえる。
選ぶといっても愛莉が主導権を握っていて僕は2択か3択をするだけ。
愛莉の気持ちに入り込んで「あ、こっちの方が気に入ってるんだな」と思えばそっちを選んでやるだけ。
愛莉の迷いを消し去ってやるだけの簡単な仕事。
愛莉はトレンチコートとスカート数種類とパンツそれに上着を何着か買っていた。
「これで買い物終しまいっと」
ショッピングモール近くのSSで洗車をする。
外装はもちろん内装までしっかりと掃除する。
「さてと、帰って勉強でもしよっか?」
愛莉はそう言ってくる。でも今日は愛莉のメンテ日。
「いつものコースでよければ、ブラッとして帰って夕食食べたいんだけど」
「いいよ♪」
愛莉はそう言うと助手席に座る。
そしていつものコースを回る。日が暮れる頃には、海に出ていた。
「そろそろコース更新しないとな」
「ほえ?」
「行きたいところあるんだ」
「冬夜君の行きたいところならどこでもいいよ」
「わかった、じゃあ今度な」
「うん」
来週は愛莉の誕生日があるな。何かお祝いしてあげないとな。
どうしたもんだか……。もうサプライズは要らないと言っていたな。
なら……。
家に帰った後おもむろにPCで検索をかける。
「何検索してるの?」
愛莉がモニターを覗き込む。
一つはフランス料理のお店。もう一つは……アクセサリーのお店。
「愛莉来週末誕生日だろ……こういうのみっともないかもしれないけど、一緒に選ぼうかなと思って」
「……はい」
よかったみたいだ。
「でもそんなに高いのはいらないからね」
「ああ」
「初めてだな。冬夜君とプレゼント選ぶなんて。誕生日も一緒に過ごせるんだね」
愛莉は本当にうれしそうだ。
来週、楽しみだな。
(2)
サヨナラと言ったわけじゃないけど、彼との関係は終わったんだと実感した。
帰りの途中公園に車を止めて泣いていた。
隣に座った新しい彼が優しく包んでくれた。
恋人と呼び合えた時間の中で特別な言葉をどれだけ話せただろうか?
特別な行為を一度もしたことが無かった。
彼の心の中の鍵は一度も開けることは無かった。
それが彼の癖だったとしても、私は寂しかった。
私は愛されてないの?
そんな不満をグループの中で漏らしたこともあった。
そんな仲であった彼。
彼は優しかった。
あんな些細な優しさが沁みるほど、私の心は渇いていた。
皆は酒井君を擁護する。でもその本人から出た言葉は。
「本人の意思を尊重するべきでしょう」
私が聞きたいのはそんな言葉じゃなかった。
「良く分かりました」
その後会計を済ませる中、彼は言ってくれた。
「何か困った事があったら相談に乗るからさ、連絡先交換しない?」
酒井君との恋は楽しいものとは呼べるものじゃなかったかもしれない。
でも青い鳥でのやりとりくらいは楽しみたかった。
でも彼の心の中に飛び込んでいくのが怖くて。
勇気を出して飛び込もうとしても分厚い扉に閉ざされていて。
時を重ねるごとに一つずつ酒井君を知って行って。
更に時を重ねるごとに酒井君の気持ちがわからなくなって。
愛が消えていくのを、夕日に例えて見たりして。
そこに確かに残る切なさ。
諦めよう、淡い期待は私を切り裂くだけ。
この人に伝える、寂しい……大丈夫……寂しい。
甘い夢は波にさらわれた。
酒井君の側では永遠を感じられなかった。
それでも夜空を焦がして私は恋心と生きる。
少し落ち着いてきたころに彼・中島君は私に声をかけてきた。
「よかったの?」
「……うん」
諦めはついた。それよりも……
「私なんかでいいの?貧乏学生でデートする時間もままならないよ」
「毎日青い鳥に通うよ。休みの日は教えて」
「うん。……あ、」
私はメッセージグループにメッセージを送った。
「皆さん今夜はごめんなさい。できればグループ続けたいです、出来れば彼も……中島さんも」
都合の良い話だ。
けれど皆は承諾してくれた。
酒井君からの応答はない。
多分見てないんだろうな。
中島君をグループに招待する。
中島君は即参加する。
「見なさん宜しくお願いします」
そう発言すると「よろしく」とのメッセージが。
「これからよろしくお願いします」
「こちらこそよろしく」
さよなら恋心。
そしてよろしく、恋心。
(3)
帰った私はシャワーを浴びる。
部屋着に着替えた後、テレビをつける。
朝撮っておいたアニメの鑑賞。
飲み物を飲みながら、テレビを見てる。
今日は楽しかった。
大勢の人と楽しんだのは久しぶりだ。
愛莉ちゃんと片桐君を見ていて、久しぶりに恋人が欲しくなった。
どうしたらあんな風な恋が出来るのだろう?
優しい穏やかな空気が流れていた。
いつからか大人ぶっていた毎日になれてしまって、ただ素直に感じあえる物を遠ざけ追いかけ迷い続ける。
誰もが皆満たされぬ時代の中で特別な出会いがいくつあるだろう?
愛莉ちゃんは特別な出会いに巡り合えたんだね。羨ましい。
二人を見ていると、明日が見えなくて一人で過ごせなくなってしまいそうで。
もがくほど心焦るけど、音もなく朝が来て一日がまた始まる。
「諦める前に恋をして足掻いてみたら?」
誰かがそんな事を言っていた。
足掻くほど恋をしてみたい。
そう思える男性に出会えたことは無かった。
告白を受けることはあったけど……。
どうしてだろう?あの二人のような特別な存在にはなりえなかった。
あの二人に会ってから痛感した。
私は恋を知らない。
男性を目の前にすると緊張してしまう。
心の防御がそれを許さない。
いつか私の心の隙間を縫ってくれる人に出会えることを祈りながら。
私は眠りについていた。
バイトの帰りに美容室に寄る。
「どんな感じにしましょう」
「お任せします」
「長さはどのくらいに?」
「セミショートに、あとオレンジに染めてもらえますか?」
季節遅れの自分革命。
変わろう。
もっと自分に自信を持とう。
美容室をでると服を買いに行った。
服ももっと活発な服装を買おうと思って。
何着か買って帰ってきた。
これで変われるかな?
変えていかなきゃ。
グループのチャットに積極的に参加した。
皆恋人持ちだったけど、楽しかった。
そんな時、指原さんが言い出した。
「今度女性だけで集まらない?女子会みたいな感じでさ」
私を含めて全員が承諾した。
(4)
「愛莉、気をつけてな」
冬夜君が見送ってくれる。
今日は女子会の日。
読んで字のごとく女性だけが集まる日。
「行ってきま~す」
そういうと私は車を出した。
場所は景色のいいファミレス。
海が一望できる綺麗なところ。
軽食とドリンクバーを注文すると好きなジュースを取りに行く。
皆がジュースを取りに行くと会は幕を開けた。
「じゃ、男子はいないし思う存分鬱憤を晴らしましょう!」
亜依がそういうと、話は始まった。
「愛莉、同棲生活はどうだ?上手く言ってるか?」
「同棲とはちょっと違うかな?麻耶さんのお手伝いをしてるだけ。まだまだ修行の段階だよ」
「親公認で同じ家に住んでるの!?」
亜依が大げさに驚いている。
「うん、でも神奈の方が凄いよ。誠君に部屋の鍵渡されたって言ってた」
「いいなぁ。まあ、私も瑛大の親から鍵預かってるけどさ……」
「亜依も親公認かよ……羨ましいもんだ」
「そんな聞こえのいいものじゃないよ、だらけてる瑛大の管理を任されてるだけ」
「それを言ったら私も一緒だよ、初めて誠の部屋に入った時愕然としたぜ。よくこんなんで彼女呼ぶ気になったなって……。私の事家政婦か何かとカン違いしてないか?って」
亜依も神奈も苦労してるんだね。
「愛莉はどうなんだよ?相手がトーヤじゃ苦労しっぱなしだろ?」
神奈が聞いてきた。
「う~ん、皆優しいから。私が家事すると冬夜君が怒られるから出来るだけ控えてるくらい」
「トーヤは手伝ってくれないのか?」
「手伝ってくれるよ。ただかえって手間が増えるから『冬夜君の仕事は勉強だよ』って部屋に押し込めてる」
ゲームしてることが多いけどね。
「う~ん、美嘉の方はどうなんだ?」
神奈は美嘉さんに聞いていた。
「うちは生活時間がずれてるからな、私家帰るの遅いし正志もバイトしてるし。その分一緒の時間はまったりしてる。偶に料理してやったり」
「美嘉も羨ましいな。まあ、二人きりになれるだけましなのか?」
そう言って神奈は恵美を見る。
「あら?私達も二人きりの時間はあるわよ。ホテルとかが多いけど。後は私の家かな?まあ、一人暮らししてる人が羨ましいのは否定しないけど。でも……」
でも?
「パートナーがいるだけでも幸せなのかもしれないわね?」
恵美はそう言って志水さんを見る。
またそう言う挑発をする……、でもこの日の志水さんはいつもと違った。
「そうかもしれないわね……」
いつもなら挑発し返す志水さんが珍しい。
「あら?やっと挫折したの?どんな気分」
「諦めてはいないわよ、諦めきれるものでもないでしょ?」
「……どうしたの?今日様子がおかしいわよ。いえ、この前の集まりからずっと様子が変だった」
恵美の言う通りだった。何か様子がおかしい。
「大したことじゃないわよ……。そうね、あなた風に言うなら挫けそうになったって事かしら」
「どういうこと……?」
「言っとくけど同情してほしくて話すんじゃないんだからね」
志水さんがそう言うと皆が黙ってうなずいた。
あの日の帰りの事だった。
いつも通り、彼を家に送り届ける。
俯いたままの彼、少しでも雰囲気を和ませようとする私。
だけど彼は相変わらず何も話そうとしない。
何が不満なの?
あなたの真意が知りたい。
いや、真意は知っている。
それでも振り向かせると決めたから。
だから話を聞いて。
そんな願いなど届くはずもなく。
いつもの通り静かに家に彼を送り届ける。
「じゃあ、また明日」
それで帰るはずだった。
だけどその日は違った。
「どうして僕なんかに付きまとうんですか?あなたなら探そうと思えばもっといい男がたくさん……」
ぱしっ!
私の右手が彼の左頬を打っていた。
どうかしてる?私。
こんなに感情的になったのは初めてだった。
戸惑い。
そして戸惑いは涙になって頬を伝わり落ちる。
「どうしてって……好きになったからに決まってるでしょ!」
「だからどうして僕なんかを好きになったんですか?」
「あなたなら知ってるはずでしょ、私は理由を話したわ。それに理由なんてなんでもいい。好きになるという事自体に説明なんていらないでしょ!」
「僕には好きな人がいました。今はいないけれど。それでも僕が好きだと言えるんですか?」
「何度も同じ事言わせないで。私諦めないって言ったわ」
「そうでしたね……」
またもやる気の無い、うんざりした様子の彼。
そんな顔するのは彼くらいのものだわ。
「ごめんなさい、取り乱してしまったわ」
「いや、いいんです。こちらこそすいません。それではまた」
「じゃあ、これで……!?」
私は彼に口づけをしていた。
当然初めでだった。
心臓がどきどきしてる。
呆然と立ち尽くす彼。
そんな彼に一言いう。
「本当はあなたの方からしてほしかったのだけど、仕方ないわね。これは宣戦布告よ」
どう言ったらいいのかわからない彼に言う。
「それじゃまた明日。青い鳥で」
そう言って彼は部屋へと戻っていく。
志水さんの話が終わった。
う~ん、そこまでくると志水さんに同情しちゃうな~。
「しっかり挫折を味わってるじゃない」
恵美、その言い方はひど過ぎるよ。
でも恵美は続けていった。
「でもそうやって足掻くあなた、嫌いじゃないわよ。少しはましになったんじゃない?」
「そうね……みっともない自分を見せてる様で悔しいけど、江口さんの言う通りだわ」
「じゃあ、忠告してあげる。時間はかかるかもしれない。でも足掻くだけ足掻きなさい、ダメだとわかってもその道のりはあなたにとってかけがえのないものになるはずだから。恋って必ずうまくいくとは限らないのよ」
「失敗するつもりは毛頭ないわ。申し訳ないけど」
「そうね、皆そうかもしれない。大島さん?あなたにも言える事なのよ?」
話が突然花菜に向かった。
「足掻いて足掻いて、報われるのも恋。報われないのも恋。自分がやり切ったかどうかが大事なの。分かるでしょ?言っている意味」
「なんとなくだけど、わかります。私まだ恋すらしてないんですね」
「そうね。私も恋をすれば学校生活が変わると思っていた。でもそれは違うの恋はするものじゃない。恋というものを知って、感じてから変わるものなの。だからあきらめないで」
「……はい」
「ま、まあ。花菜の相手はちゃんと厳選しておくから!」
亜依が話題を変えようとする。
私も協力してあげよう。
「恵美は、石原君に対して不満はないの?」
「あるわよ?数えたらきりがないくらい。でもそれは愛莉ちゃんも一緒でしょう?」
「そうだね」
「愛莉ちゃんから学んだことがあるわ、そういうのも受け入れることが大事なんだって」
「なるほどね」
でもね、恵美。
私実は特に不満ないんだ。彼の欠点すら愛おしく思えるから。最近ちょっと怒ったばっかりだけど。でも私の要求を満たしてくれる。それだけで幸せなの。
「さて、そろそろお腹空いてきたわね。店変えようか」
「店変えるってここファミレスよ?」
「初めての女子会のディナーだよ。ちゃんとお店確保してありますって」
「……意外と考えてるのね」
その後街中のレストランで食事をして帰るのでした。
「ただいま~」
もはや私の第2の家になりつつある、片桐家に入る私。
合鍵はもらってる。
不満はある。私の彼の出迎えがないこと。
私は冬夜君の部屋に入る。
冬夜君はヘッドホンをしてゲームに入り込んでる。
えふぴーえすは音が重要だからとヘッドホンをしているらしい。
そんなにのめり込まなくてもいいじゃない。
もっとのめり込んで欲しいものあるよ。
「ただいま!」
冬夜君の背中から抱き着く。
やっと冬夜君が私に気がついたらしい。
「おかえり、ちょっと待って!もうすぐ終わるから!」
「や~だよ。彼女よりゲーム優先なんですか~?」
「そういう問題じゃない……あ、やられた!」
じゃ、もういいよね?
私はゲーム機の電源を切る。
「だからそれ止めろって言っただろ」
「や~だもん♪」
そう言って冬夜君に飛びつく私。
「全く世話の焼けるお嬢様だ」
そう言って冬夜君は私を抱いてくれるの。
「女子会どうだった?」
「楽しかったよ、内容は秘密だけど……志水さんやっぱり変わってる。ちゃんと恋してるんだなって感じだった」
「そうなんだ……」
コンコン。
摩耶さんがノックする。
「愛莉ちゃん。帰って来たならお風呂入っちゃいなさいな」
私はじーっと冬夜君を見る。
「残念だけど先に入ってきたよ」
「そうなんだ。じゃ、すぐ入ってくるから待っててね」
そう言って私は着替えの準備をしてお風呂に入って部屋に戻る。
部屋に戻ると冬夜君は待っていてくれた。ベッドの中で!
浮かれ気分でルンルン♪と髪を乾かす私。
化粧台欲しいな。
今度持ってこようかな?
でも置くところないか。
冬夜君のいらない本・漫画が詰まった棚を見つめる。
これが無かったらおけるのにな。
前に一度全部捨てようとしたら必死に止められた。
冬夜君にとっては宝物らしい。
それにしても冬夜君妙に静かだ。
……、髪を乾かし終えると冬夜君のベッドをそうっと覗き込む。
……やっぱり寝てた。
もう!冬夜君のバカ。
おでこをつんとつつく。
「……愛莉」
冬夜君がそう呟いた。
寝言のようだ。
夢の中に私がいるんだね。
ベッドの中に入ると照明を落とす。
私の夢の中にも入ってきてね。
そっと冬夜君を抱き枕にすると私は眠る。
そして涼やかな風が吹いてくる季節が訪れる。
「おはよう愛莉」
「ほえ?」
愛莉に声を変えると愛莉が目を覚ます。
いつもと逆転した事態に愛莉は目を丸くする。
一週間も家事と勉強をしていたらそりゃ疲れる。
夏休み最後の愛莉のメンテナンス日。
何か口実をつけてやらないと出かけようとしない。
いつもは「青い鳥」に行こうで済むんだけど、毎回一緒じゃ飽きるよね?
「愛莉後期に着ていく服を選んで欲しいんだけど」
「うん」
そういうと、愛莉は準備を始める。
既に自分の家から、冬物の服も運んできている。
一年中、僕の家で過ごすつもりだな。
準備を終えると「おまたせ」と僕に言う。
愛莉は動きやすい服装をしていた。ああ、帰りに洗車するつもりだな。
正直デート中に洗車させるのは気が引ける。愛莉を休めるために洗車してるのに手伝わせたら意味がない。
それでも愛莉は言う
「車さんに、感謝してあげないと」
よかったな、こんなに愛されてるぞ。車を少し羨ましく思う。
地元のショッピングモールに行って服を選ぶ。
2時間程度かけて僕の洋服選びは終わる。
「冬前にまた買い物しようね」
愛莉は嬉しそうに言いながらオムライスを食べる。
「その前に次にやりたい事があるんだけど」
僕は愛莉に提案をした。
「な~に?」
上機嫌の愛莉。今なら何でも受けますよといった雰囲気だ。
「次は愛莉の服も選ぼう?」
「……はい」
愛莉は本気で嬉しいとき「うん」じゃなくて「はい」になる。
高校時代から気付いていた。
あるいは照れてる時かな?
いつか言ってたっけ?
「冬夜君と服を買いに行きたい」って。
今どんな気持ちだい?喜んでもらえる。
選ぶといっても愛莉が主導権を握っていて僕は2択か3択をするだけ。
愛莉の気持ちに入り込んで「あ、こっちの方が気に入ってるんだな」と思えばそっちを選んでやるだけ。
愛莉の迷いを消し去ってやるだけの簡単な仕事。
愛莉はトレンチコートとスカート数種類とパンツそれに上着を何着か買っていた。
「これで買い物終しまいっと」
ショッピングモール近くのSSで洗車をする。
外装はもちろん内装までしっかりと掃除する。
「さてと、帰って勉強でもしよっか?」
愛莉はそう言ってくる。でも今日は愛莉のメンテ日。
「いつものコースでよければ、ブラッとして帰って夕食食べたいんだけど」
「いいよ♪」
愛莉はそう言うと助手席に座る。
そしていつものコースを回る。日が暮れる頃には、海に出ていた。
「そろそろコース更新しないとな」
「ほえ?」
「行きたいところあるんだ」
「冬夜君の行きたいところならどこでもいいよ」
「わかった、じゃあ今度な」
「うん」
来週は愛莉の誕生日があるな。何かお祝いしてあげないとな。
どうしたもんだか……。もうサプライズは要らないと言っていたな。
なら……。
家に帰った後おもむろにPCで検索をかける。
「何検索してるの?」
愛莉がモニターを覗き込む。
一つはフランス料理のお店。もう一つは……アクセサリーのお店。
「愛莉来週末誕生日だろ……こういうのみっともないかもしれないけど、一緒に選ぼうかなと思って」
「……はい」
よかったみたいだ。
「でもそんなに高いのはいらないからね」
「ああ」
「初めてだな。冬夜君とプレゼント選ぶなんて。誕生日も一緒に過ごせるんだね」
愛莉は本当にうれしそうだ。
来週、楽しみだな。
(2)
サヨナラと言ったわけじゃないけど、彼との関係は終わったんだと実感した。
帰りの途中公園に車を止めて泣いていた。
隣に座った新しい彼が優しく包んでくれた。
恋人と呼び合えた時間の中で特別な言葉をどれだけ話せただろうか?
特別な行為を一度もしたことが無かった。
彼の心の中の鍵は一度も開けることは無かった。
それが彼の癖だったとしても、私は寂しかった。
私は愛されてないの?
そんな不満をグループの中で漏らしたこともあった。
そんな仲であった彼。
彼は優しかった。
あんな些細な優しさが沁みるほど、私の心は渇いていた。
皆は酒井君を擁護する。でもその本人から出た言葉は。
「本人の意思を尊重するべきでしょう」
私が聞きたいのはそんな言葉じゃなかった。
「良く分かりました」
その後会計を済ませる中、彼は言ってくれた。
「何か困った事があったら相談に乗るからさ、連絡先交換しない?」
酒井君との恋は楽しいものとは呼べるものじゃなかったかもしれない。
でも青い鳥でのやりとりくらいは楽しみたかった。
でも彼の心の中に飛び込んでいくのが怖くて。
勇気を出して飛び込もうとしても分厚い扉に閉ざされていて。
時を重ねるごとに一つずつ酒井君を知って行って。
更に時を重ねるごとに酒井君の気持ちがわからなくなって。
愛が消えていくのを、夕日に例えて見たりして。
そこに確かに残る切なさ。
諦めよう、淡い期待は私を切り裂くだけ。
この人に伝える、寂しい……大丈夫……寂しい。
甘い夢は波にさらわれた。
酒井君の側では永遠を感じられなかった。
それでも夜空を焦がして私は恋心と生きる。
少し落ち着いてきたころに彼・中島君は私に声をかけてきた。
「よかったの?」
「……うん」
諦めはついた。それよりも……
「私なんかでいいの?貧乏学生でデートする時間もままならないよ」
「毎日青い鳥に通うよ。休みの日は教えて」
「うん。……あ、」
私はメッセージグループにメッセージを送った。
「皆さん今夜はごめんなさい。できればグループ続けたいです、出来れば彼も……中島さんも」
都合の良い話だ。
けれど皆は承諾してくれた。
酒井君からの応答はない。
多分見てないんだろうな。
中島君をグループに招待する。
中島君は即参加する。
「見なさん宜しくお願いします」
そう発言すると「よろしく」とのメッセージが。
「これからよろしくお願いします」
「こちらこそよろしく」
さよなら恋心。
そしてよろしく、恋心。
(3)
帰った私はシャワーを浴びる。
部屋着に着替えた後、テレビをつける。
朝撮っておいたアニメの鑑賞。
飲み物を飲みながら、テレビを見てる。
今日は楽しかった。
大勢の人と楽しんだのは久しぶりだ。
愛莉ちゃんと片桐君を見ていて、久しぶりに恋人が欲しくなった。
どうしたらあんな風な恋が出来るのだろう?
優しい穏やかな空気が流れていた。
いつからか大人ぶっていた毎日になれてしまって、ただ素直に感じあえる物を遠ざけ追いかけ迷い続ける。
誰もが皆満たされぬ時代の中で特別な出会いがいくつあるだろう?
愛莉ちゃんは特別な出会いに巡り合えたんだね。羨ましい。
二人を見ていると、明日が見えなくて一人で過ごせなくなってしまいそうで。
もがくほど心焦るけど、音もなく朝が来て一日がまた始まる。
「諦める前に恋をして足掻いてみたら?」
誰かがそんな事を言っていた。
足掻くほど恋をしてみたい。
そう思える男性に出会えたことは無かった。
告白を受けることはあったけど……。
どうしてだろう?あの二人のような特別な存在にはなりえなかった。
あの二人に会ってから痛感した。
私は恋を知らない。
男性を目の前にすると緊張してしまう。
心の防御がそれを許さない。
いつか私の心の隙間を縫ってくれる人に出会えることを祈りながら。
私は眠りについていた。
バイトの帰りに美容室に寄る。
「どんな感じにしましょう」
「お任せします」
「長さはどのくらいに?」
「セミショートに、あとオレンジに染めてもらえますか?」
季節遅れの自分革命。
変わろう。
もっと自分に自信を持とう。
美容室をでると服を買いに行った。
服ももっと活発な服装を買おうと思って。
何着か買って帰ってきた。
これで変われるかな?
変えていかなきゃ。
グループのチャットに積極的に参加した。
皆恋人持ちだったけど、楽しかった。
そんな時、指原さんが言い出した。
「今度女性だけで集まらない?女子会みたいな感じでさ」
私を含めて全員が承諾した。
(4)
「愛莉、気をつけてな」
冬夜君が見送ってくれる。
今日は女子会の日。
読んで字のごとく女性だけが集まる日。
「行ってきま~す」
そういうと私は車を出した。
場所は景色のいいファミレス。
海が一望できる綺麗なところ。
軽食とドリンクバーを注文すると好きなジュースを取りに行く。
皆がジュースを取りに行くと会は幕を開けた。
「じゃ、男子はいないし思う存分鬱憤を晴らしましょう!」
亜依がそういうと、話は始まった。
「愛莉、同棲生活はどうだ?上手く言ってるか?」
「同棲とはちょっと違うかな?麻耶さんのお手伝いをしてるだけ。まだまだ修行の段階だよ」
「親公認で同じ家に住んでるの!?」
亜依が大げさに驚いている。
「うん、でも神奈の方が凄いよ。誠君に部屋の鍵渡されたって言ってた」
「いいなぁ。まあ、私も瑛大の親から鍵預かってるけどさ……」
「亜依も親公認かよ……羨ましいもんだ」
「そんな聞こえのいいものじゃないよ、だらけてる瑛大の管理を任されてるだけ」
「それを言ったら私も一緒だよ、初めて誠の部屋に入った時愕然としたぜ。よくこんなんで彼女呼ぶ気になったなって……。私の事家政婦か何かとカン違いしてないか?って」
亜依も神奈も苦労してるんだね。
「愛莉はどうなんだよ?相手がトーヤじゃ苦労しっぱなしだろ?」
神奈が聞いてきた。
「う~ん、皆優しいから。私が家事すると冬夜君が怒られるから出来るだけ控えてるくらい」
「トーヤは手伝ってくれないのか?」
「手伝ってくれるよ。ただかえって手間が増えるから『冬夜君の仕事は勉強だよ』って部屋に押し込めてる」
ゲームしてることが多いけどね。
「う~ん、美嘉の方はどうなんだ?」
神奈は美嘉さんに聞いていた。
「うちは生活時間がずれてるからな、私家帰るの遅いし正志もバイトしてるし。その分一緒の時間はまったりしてる。偶に料理してやったり」
「美嘉も羨ましいな。まあ、二人きりになれるだけましなのか?」
そう言って神奈は恵美を見る。
「あら?私達も二人きりの時間はあるわよ。ホテルとかが多いけど。後は私の家かな?まあ、一人暮らししてる人が羨ましいのは否定しないけど。でも……」
でも?
「パートナーがいるだけでも幸せなのかもしれないわね?」
恵美はそう言って志水さんを見る。
またそう言う挑発をする……、でもこの日の志水さんはいつもと違った。
「そうかもしれないわね……」
いつもなら挑発し返す志水さんが珍しい。
「あら?やっと挫折したの?どんな気分」
「諦めてはいないわよ、諦めきれるものでもないでしょ?」
「……どうしたの?今日様子がおかしいわよ。いえ、この前の集まりからずっと様子が変だった」
恵美の言う通りだった。何か様子がおかしい。
「大したことじゃないわよ……。そうね、あなた風に言うなら挫けそうになったって事かしら」
「どういうこと……?」
「言っとくけど同情してほしくて話すんじゃないんだからね」
志水さんがそう言うと皆が黙ってうなずいた。
あの日の帰りの事だった。
いつも通り、彼を家に送り届ける。
俯いたままの彼、少しでも雰囲気を和ませようとする私。
だけど彼は相変わらず何も話そうとしない。
何が不満なの?
あなたの真意が知りたい。
いや、真意は知っている。
それでも振り向かせると決めたから。
だから話を聞いて。
そんな願いなど届くはずもなく。
いつもの通り静かに家に彼を送り届ける。
「じゃあ、また明日」
それで帰るはずだった。
だけどその日は違った。
「どうして僕なんかに付きまとうんですか?あなたなら探そうと思えばもっといい男がたくさん……」
ぱしっ!
私の右手が彼の左頬を打っていた。
どうかしてる?私。
こんなに感情的になったのは初めてだった。
戸惑い。
そして戸惑いは涙になって頬を伝わり落ちる。
「どうしてって……好きになったからに決まってるでしょ!」
「だからどうして僕なんかを好きになったんですか?」
「あなたなら知ってるはずでしょ、私は理由を話したわ。それに理由なんてなんでもいい。好きになるという事自体に説明なんていらないでしょ!」
「僕には好きな人がいました。今はいないけれど。それでも僕が好きだと言えるんですか?」
「何度も同じ事言わせないで。私諦めないって言ったわ」
「そうでしたね……」
またもやる気の無い、うんざりした様子の彼。
そんな顔するのは彼くらいのものだわ。
「ごめんなさい、取り乱してしまったわ」
「いや、いいんです。こちらこそすいません。それではまた」
「じゃあ、これで……!?」
私は彼に口づけをしていた。
当然初めでだった。
心臓がどきどきしてる。
呆然と立ち尽くす彼。
そんな彼に一言いう。
「本当はあなたの方からしてほしかったのだけど、仕方ないわね。これは宣戦布告よ」
どう言ったらいいのかわからない彼に言う。
「それじゃまた明日。青い鳥で」
そう言って彼は部屋へと戻っていく。
志水さんの話が終わった。
う~ん、そこまでくると志水さんに同情しちゃうな~。
「しっかり挫折を味わってるじゃない」
恵美、その言い方はひど過ぎるよ。
でも恵美は続けていった。
「でもそうやって足掻くあなた、嫌いじゃないわよ。少しはましになったんじゃない?」
「そうね……みっともない自分を見せてる様で悔しいけど、江口さんの言う通りだわ」
「じゃあ、忠告してあげる。時間はかかるかもしれない。でも足掻くだけ足掻きなさい、ダメだとわかってもその道のりはあなたにとってかけがえのないものになるはずだから。恋って必ずうまくいくとは限らないのよ」
「失敗するつもりは毛頭ないわ。申し訳ないけど」
「そうね、皆そうかもしれない。大島さん?あなたにも言える事なのよ?」
話が突然花菜に向かった。
「足掻いて足掻いて、報われるのも恋。報われないのも恋。自分がやり切ったかどうかが大事なの。分かるでしょ?言っている意味」
「なんとなくだけど、わかります。私まだ恋すらしてないんですね」
「そうね。私も恋をすれば学校生活が変わると思っていた。でもそれは違うの恋はするものじゃない。恋というものを知って、感じてから変わるものなの。だからあきらめないで」
「……はい」
「ま、まあ。花菜の相手はちゃんと厳選しておくから!」
亜依が話題を変えようとする。
私も協力してあげよう。
「恵美は、石原君に対して不満はないの?」
「あるわよ?数えたらきりがないくらい。でもそれは愛莉ちゃんも一緒でしょう?」
「そうだね」
「愛莉ちゃんから学んだことがあるわ、そういうのも受け入れることが大事なんだって」
「なるほどね」
でもね、恵美。
私実は特に不満ないんだ。彼の欠点すら愛おしく思えるから。最近ちょっと怒ったばっかりだけど。でも私の要求を満たしてくれる。それだけで幸せなの。
「さて、そろそろお腹空いてきたわね。店変えようか」
「店変えるってここファミレスよ?」
「初めての女子会のディナーだよ。ちゃんとお店確保してありますって」
「……意外と考えてるのね」
その後街中のレストランで食事をして帰るのでした。
「ただいま~」
もはや私の第2の家になりつつある、片桐家に入る私。
合鍵はもらってる。
不満はある。私の彼の出迎えがないこと。
私は冬夜君の部屋に入る。
冬夜君はヘッドホンをしてゲームに入り込んでる。
えふぴーえすは音が重要だからとヘッドホンをしているらしい。
そんなにのめり込まなくてもいいじゃない。
もっとのめり込んで欲しいものあるよ。
「ただいま!」
冬夜君の背中から抱き着く。
やっと冬夜君が私に気がついたらしい。
「おかえり、ちょっと待って!もうすぐ終わるから!」
「や~だよ。彼女よりゲーム優先なんですか~?」
「そういう問題じゃない……あ、やられた!」
じゃ、もういいよね?
私はゲーム機の電源を切る。
「だからそれ止めろって言っただろ」
「や~だもん♪」
そう言って冬夜君に飛びつく私。
「全く世話の焼けるお嬢様だ」
そう言って冬夜君は私を抱いてくれるの。
「女子会どうだった?」
「楽しかったよ、内容は秘密だけど……志水さんやっぱり変わってる。ちゃんと恋してるんだなって感じだった」
「そうなんだ……」
コンコン。
摩耶さんがノックする。
「愛莉ちゃん。帰って来たならお風呂入っちゃいなさいな」
私はじーっと冬夜君を見る。
「残念だけど先に入ってきたよ」
「そうなんだ。じゃ、すぐ入ってくるから待っててね」
そう言って私は着替えの準備をしてお風呂に入って部屋に戻る。
部屋に戻ると冬夜君は待っていてくれた。ベッドの中で!
浮かれ気分でルンルン♪と髪を乾かす私。
化粧台欲しいな。
今度持ってこようかな?
でも置くところないか。
冬夜君のいらない本・漫画が詰まった棚を見つめる。
これが無かったらおけるのにな。
前に一度全部捨てようとしたら必死に止められた。
冬夜君にとっては宝物らしい。
それにしても冬夜君妙に静かだ。
……、髪を乾かし終えると冬夜君のベッドをそうっと覗き込む。
……やっぱり寝てた。
もう!冬夜君のバカ。
おでこをつんとつつく。
「……愛莉」
冬夜君がそう呟いた。
寝言のようだ。
夢の中に私がいるんだね。
ベッドの中に入ると照明を落とす。
私の夢の中にも入ってきてね。
そっと冬夜君を抱き枕にすると私は眠る。
そして涼やかな風が吹いてくる季節が訪れる。
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