優等生と劣等生

和希

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3rdSEASON

宵闇に光る蒼い閃光

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(1)

「冬夜君朝だよ~ご飯の時間だよ~」

ここのところ極度に朝が弱い冬夜君。
今日もやっと起きてくれた。
夜中に隠れてこそこそやってるみたいだけど敢えて黙認してる。
私が部屋に押しかけてきて一人の時間がないのが冬夜君の悩みらしい。
一人の時間より二人の時間の方が楽しいのによくわからない。
でも、冬夜君が必要ならそれもいいだろうと敢えて黙認してる。
変な動画見てる時間が殆どだけど。その欲求を私にぶつけて欲しい。
受け入れられることなら受け入れてあげるのにあまり要求してこない。
私じゃ駄目なのかな?
ちょっと寂しいよ。

今日もご多分に漏れず眠そうに起きてる。
敢えて何も聞かない。
女の器の広さの見せ所だ。
メッセージグル「女子会」で美嘉さんに言われたこと。

「愛莉?着替え終わったよ」

いけない、考え込んでた。
慌てて着替える私。
あれ?冬夜君先に行かないの?

「先に行っててもいいんだよ?」

ごはんならもう出来てるから……。
でも冬夜君が私を抱きしめてくれる。

「最近なんか思いつめてるだろ?だからさ、僕にだけでもいいから相談させてくれないか?」
「ほえ?」
「僕に問題があるなら直すから……」
「大丈夫だよ」
「え?」

驚く冬夜君にキスをする。

「今のままでいてくれるなら私平気だから。だから心配しないで」

ちゃんと私の事見ててくれるなら大丈夫だよ。

「さ、行こう?」

立ち尽くす冬夜君の手をとって部屋を出た。

(2)

教室に入って時間を確認する。まだ少し余裕があった。
準備をしていると隣に座った花菜が話しかけてくる。

「去年話した蒼い閃光の話なんだけどさ、愛莉正体知ってるみたいだったけど?」

私は隣にいる冬夜君をちらりと見る。ふと目が合って冬夜君は慌てて逸らす。

「最近また出てきてるらしいんだけど、本当にたまに現れる程度でさ。で、私の知り合いが知ってるって言ったら言伝頼まれてさ」
「言伝?」
「うん、なんかまた挑戦状を突きつけられたらしくてさ。それで蒼い閃光の出番てわけ?愛莉から伝えてくれないかな?」

そういえば、最近部屋から出ていく音もきこえてたな。……冬夜君また車さん酷使してたんだね。
私は冬夜君をじろりとみる。冬夜君から焦りの汗が見えた。

「でも、挑戦状って?」

私が花菜に聞くと、花菜はノートPCを取り出しサイトを見せてくれた。
去年来た人達じゃない、もう来ないって言ってたのに。
あ、下りの方は運転手が違うみたい。

「いいよ、伝えておく」
「よかった、今度は私も見に行くから!愛莉も来ない?」
「いいよ、多分見に行くと思う」

冬夜君に聞こえるようにわざと大きな声で言った。
ふふ~ん。一人で行こうと思ったってそうは行かないんですからね。
その時、スマホの音が鳴る。ちらっとみる。

「まことがさくらを招待しました」

まこととは誠君の事だけどさくらって誰?

「みなさんよろしくおねがいしまーす」

皆がだれ?と聞いている。
一番怒っているのは神奈だった。


昼休み

「誠!どういうことだ!説明しろ!!」

神奈がスマホに向かって怒鳴ってる、相手は誠君。
私も冬夜君に聞いてみた。

「知らないよ」

と、あくまでは自分は無関係だと主張する冬夜君。
花菜も木元先輩に聞いていた。

「かずさんは聞いてないの?」
「僕も今朝みて驚いたところだよ?渡辺君の承諾が必要だと思ってたんだけどね」
「俺も聞いてないな」

そういってやってきたのは渡辺君と石原くん、恵美に志水さんと酒井君だった。

「亜依ちゃんも知らないみたいだし……どうやら私立大の子みたいね」

恵美がそう答えた。

「全くあのバカ……」

神奈が電話を終えたみたいだ。神奈に事情を聴いてみた。

「原因は瑛大らしい」
「え!?」

話はこうだ。
桐谷君のサークルにさくらさんは入ったらしい、新歓の時にうっかりグループの事を喋った。
興味が湧いたさくらさんはぜひ私も入れて欲しいと強請ってきた。でも桐谷君は前科がある。
そこで誠君に相談する。誠君はさくらさんと直接話がしたいという。
さくらさんと誠君が話しをした。結果誠君が招待する形でグルにいれた。

「それ亜依に言うの?」
「今送ってるところ」

私のスマホがなる。「女子会」の方だ。案の定亜依は激怒してる。

「今日青い鳥に連れてこい!!」
「こりゃ今日の青い鳥は荒れるぞ……まあ、俺が立ち会わないわけにはいかないだろうな」

渡辺君がため息を吐く。
冬夜君もため息を吐いている。
その時だった。

「片桐君、今度の最終調整だけど青い鳥でちょっと話がしたいんだけど……」
「竹本君その話はあとで!?」

調整……?
冬夜君、また隠し事してるの……?
何でも怒らないから言ってよ……。


(3)

蒼い鳥。

店内はパニックだった。
謝る桐谷君に怒鳴りつける亜依。
雰囲気を読まずに明るい声で挨拶するさくらさん。

「神崎咲良です。よろしくお願いしま~す」

ピンク色の髪色のロングヘアをサイドポニーにまとめている。耳にはピアス。化粧が濃く香水の匂いが漂っている。小顔の可愛い顔だった。

「俺が渡辺班を仕切ってる渡辺正志です。よろしく」

そう言って握手を求める渡辺君を無視する咲良さんは店内を見て、はしゃいでいた。

「こんなお洒落な店で相談してるんですね、それにみんなカッコいいし素敵なグループに入れてよかった♪」
「言っとくけどまだあんたをグループに入れるって決まったわけじゃないんだからね?」

喜びの声をあげる咲良さんに向かって、冷たい一言を浴びせる亜依。

「えーっ誠君と瑛大君は良いって言ってくれたよ~」
「このグループを仕切ってるのはあんたが今無視った渡辺君なんだよ?」
「ああ、そうなんだね~。ごめんなさ~い」

頭を下げる咲良さんに、苦笑する渡辺君。

「で、どうするの?渡辺君」
「私は良いと思うけど、ちょうどいいんじゃない?この際二人纏めて調教してやるのも」

志水さんと恵美はそういう。

男性陣からも反対の声はあがらない。
こういう時びしっという木元先輩や渡辺君に誠君も笑って済ませようとしている。
みんなそれでいいの?

「あのさ、咲良さんはどうしてグループに入ろうと思ったの?」

私が咲良さんに聞いていた。

「え?だって楽しそうじゃないですか~身内でわいわいやるのって」
「あんたまだ身内にしたつもりないよ……あと瑛大から離れろ!」

亜依が指摘するように咲良さんは桐谷君にべったりだ。
でも好意があってそうしてるわけじゃない、まるで亜依を揶揄ってるかのように見える。
ちなみに冬夜君は全く興味がなさそうにナポリタンを食べて誰かを待ってるかのようだ。誰を待ってるの?

カランカラン。

ドアベルが鳴る。
二人の人影が店内に入る。花山さんと竹本くんだ。二人が一緒に入ってきたのは偶然だろうか?

「冬夜君こんにちは~」
「片桐君お待たせ」
「待ってたよ竹本君」

冬夜君の待っていた相手は竹本君らしい。
ただ様子がおかしい、冬夜君の表情が硬い。どうしたの?

「ちょっと~酷くないですか~?私には返事しないなんて~」

二人は私たちの正面に並んで座る。
花山さんは「何でお前が隣に座ってるんだよ」と言わんばかりに睨みつけてるけど。
それに気づいてる、竹本君も何か気まずい感じで注文を頼む。
ちなみに竹本君はイメチェンしていた。髪の毛をツーブロックで整え、服装も清潔感漂うものになっている。

「ああ、今日は竹本君に用があるんだ」

冬夜君がそう言うと「今良いんですか?」と竹本君が聞く。

「竹本君、ちょっと待ってて……愛莉、ごめんなさい!」

え?何謝ってるの?

「実は愛莉の目を盗んで車で遊んでたんだ」
「ほえ?」
「で、竹本君を助手席に乗せて、セッティングをお願いしてた」
「???」

竹本君がその後説明する。
竹本君は機械いじりが得意な事、助手席に乗せてもらっただけで車の性能が解ること。その車にあった調整が得意だという事。
その後冬夜君からの説明が入る。
SSのお友達から花菜が言ってた集団が来ることを聞いてた事。その対応策を考えていたところ竹本君が機械いじりが得意だと聞いて助手席に乗せて車さんを診てもらったこと。で、週末にまた走行会があるという事……。
私はその話をじっと聞いてた。
花菜は「蒼い閃光」が冬夜君だと知って驚いていた。

ぽかっ

「ごめん愛莉」
「何に対して謝ってるの?」
「愛莉に隠し事してた事」
「……それが分かってるなら良い。でも罰ゲームを与えま~す」
「うんなんでもするよ」
「じゃあ、私を乗せて!」
「へ?」
「そのレースに私を助手席に乗せてよ」

その話に誠君が割って入る

「遠坂さん、今度のは前みたいにはいかないんだよ。相手もかなり本気で来てる。先週末にテスト走行までしてたくらいだ。タイム計ってさ。冬夜も本気出さないと勝てない」
「私が隣にのってたら危険な運転を車さんにさせるなら許しませ~ん」
「いいよ」

冬夜君が一言そう言った。わ~い。

「なんかウザくないですか?そう言うの」

そう言ったのは花山さんだった。

「あなたには分からないわよ、この二人の絆の深さが」

江口さんがそう言うと鼻で笑う。

「絆?笑わせないで。そんなのただ遠坂さんが冬夜君を縛ってるだけじゃない……」

がちゃっ!

受け皿に置かれたコーヒーカップから黒色の液体がこぼれる。

「束縛されてる感じなんて全然した覚えないけど?何か勘違いしてない?花山さん」

冬夜君……怒ってる?ちょっと怖いよ……。
人が怒ってると何も言わなくても気配を感じるというけど、その怒気をひしひしと感じる。

「何をするときも愛莉と一緒って二人で決めたことだ。それを破ったのだから謝るのは当然だろ?」

花山さんも怒気に圧されたのか何も言わない。

「それに花山さん、グループの中の誰かを落とさないとダメなんだろ?そんなマイナスイメージ前面にだしていいの?皆見てるよ?」

花山さんは冬夜君に言われて今更気づいたかのように辺りを見回す。
男性陣は皆呆然と花山さんを見ている。
花山さんは我に返って、嘘泣きを始める。

「酷い……私……冬夜君の為を思って言ったのに酷いよ」
「残念だけどここに君の取り巻きはいないよ?そんな小細工が通用するような奴らじゃない」

冬夜君から偶に出る冷徹な言葉に皆静まる。
花山さんも嘘泣きから本泣きに変わった。

「冬夜さすがに言い過ぎだぞ……」と、誠君が注意する。
「冬夜もちょっと言い過ぎだ。花山さんも反省してると思うからその辺にしとけ」と渡辺君が冬夜君を宥める。
「あのぅ、良く分からないんですけどぉ~女の子泣かせるのは良くないとおもいま~す」と咲良さん。
「皆が甘いからつけあがるんだろ!仮にも婚約者を馬鹿にされてへらへら笑ってるほど僕も甘くない!」

冬夜君が一喝する。

「冬夜君、もういいよ。私なら平気だから」
「愛莉が良くても僕は許せない!」

どうしたらいいの?

「片桐君、ちょっと熱くなりすぎ。落ち着いて」
「片桐君、らしくないわよ、いつも通り冷静になって」
「片桐君、彼女いじられてムカついてるのは分かるけど落ち着きなよ」

恵美、志水さん、亜依が冬夜君を落ち着かせようとするが一向に収まる気配のない冬夜君。

バン!

花山さんがテーブルを叩きつける。
皆が驚いて花山さんを見る。

「何よ!ばっかみたい……二人で仲良しこよし……見ててイライラする」

そう言って立ち去る花山さん。

カランカラン

ドアベルが鳴る。
新たに乱入した人物は花山さんの腕を握る。

「もう降参か?あんがいちょろいもんだな。違うんだろ?なら来いよ」

冬夜君の前に立つとコップに注いである水を冬夜君にかける。

「少しは頭冷えたか、キレると止まることを知らない馬鹿トーヤが!話はメッセージで大体知ってる。冷静になれ」
「カンナ……」
「咲もだ!熱くなるなよ。自滅されたんじゃ張り合いがない」
「……ごめんなさい」

花山さんはそういうと頭を下げる。

「いや、僕も少し言い過ぎた……ごめん」

そう言って冬夜君はコーヒーを啜った。

「で、新しく入ったさくらってのはどいつ?」

おずおずと手を上げる咲良さん。

「こんなグループだけど……綺麗なところしかみてないよりはましか。それでもいいなら私はかまわないぞ」
「は、はい。よろしくお願いしま~す。なんかいいですよね~。本音をぶつけ合うっていうか~」
「渡辺!どうだ?」
「今のところ反対するのは遠坂さんと指原さんくらいだが……」
「私は反対してないよ」

私がそう言うと「みんながいいならそれでもいいけど、いい加減瑛大から離れろ」と亜依が言うとみんな笑ってた。


(4)

週末の夜。

「愛莉、起きて」

愛莉を起こす。
愛莉は目を覚ますと、僕に抱き着く。

「そう言えば週末にしようねって言ってたね」
「そうじゃないだろ?今週末。忘れたの?」

愛莉はしばらく考え込んでる、思い出したようだ。
ベッドから出る。

「スカートで寝たから皴になっちゃった。違うのにしようかな?」
「そんな暇ないから」
「うぅ、冬夜君は婚約者がみっともない姿で見られても恥ずかしくないの?」
「夜中だし車の中にいたらわからないよ」
「うぅ……」

そうして愛莉を連れ出し、いつもの山に向かった。



山上に辿り着くと、新しいチームロゴの入ったバンと数台の車が待ち構えていた。
最終チェックをしているようだ。
昨日の夜から泊まり込みで準備をしていたらしい。
よくやることだ。
去年と違うのは相手だけじゃない、こっちのギャラリーも増えてる。
渡辺班全員が、観客に来ていた。

「片桐君、こっちの準備はできたよ」

ジャッキを下ろし、僕を見る竹本君。

「冬夜君これ飲み物、頑張ってくださいね」

そう言ってスポーツドリンクを渡す花山さん。

「ありがとう」
「冬夜が下ってる間に、こっちの準備済ませておくから」

神奈がそう言ってる間に、神奈の車の調整にはいる、竹本君。
上りは流石に僕の車じゃ無理だと判断したので、神奈の車を借りることにした。

下りの相手は僕より年下のまだ免許取りたての少年といった感じだった。

お互いに挨拶する。

「僕の名前は片桐冬夜。楽しみにしてるよ」
「彼の名前は藤沢拓弥。よろしくお願いします……ってあれ?」

仕切り役の人が僕の車の異変に気付いた。助手席に女性を乗せている」

「良いのかい?本気の勝負してほしいんだけど」
「彼女が隣にいた方が本気出せるから」

僕がそう言うと。仕切り役の人はスタートラインに車を誘導する。

お前に生命を吹き込んでやる!!

「3,2,1……GO!!」

GO!!の合図とともに最初の直線を駆け抜ける。

直線では差は無いな。
ATでも食らいついてくれる。
最初のコーナーに入る。
魅せるドリフトではなく速く走るためのドリフト。
タイプは同じみたいだ。
愛莉の方をちらりと見る。車酔いとか大丈夫かな?
この道路そんなに舗装が良くない。足回りをそれなりに弄ったから乗り心地悪いと思うけど……愛莉は平気そうだった。
しばらくストレートとコーナーのが交互に続く。やがて5連ヘアピンに差し掛かる。勝負をかけるとしたらここだ。
インからアウトに思いっきりはみ出す。
相手の車はそのままインをさす。
ギリギリまで粘ってブレーキを踏みハンドルを入りドリフトに入る。
タイヤは特別に変えてある。
路肩ギリギリでタイヤは粘り、加速する。
相手より先にコーナーを出れた。ここまでは計算通り。
相手の車をまくる形になったので当然相手はスピードを緩まざるを得ない。
勝負は決まった。
次のコーナーで相手も同じことを仕掛けようとするが、キャッツアイが埋まっている為外に出てもインに入ることができない。
徐々に差を広げる僕の車。
結果は僕の圧勝だった。


「うぅ……神奈ズルい!」

愛莉が抗議するが、カンナは気にしない。

「車貸すの私なんだから私が乗っても問題ないだろ?」

そう言って助手席に乗るカンナ。

「一度乗ってみたかったんだよな……。トーヤの運転楽しみだな」

「じゃあ、位置についてくれ……」

相手の係の人がそう言うと指定された場所まで移動する。
軽くエンジンを吹かす。なるほど……これは運転しやすそうだ。
山を登る間に竹本君には僕の車のセッティングを元に戻してもらうことになってる。あれじゃあドライブできないし。
ちなみにセッティングの費用は皆が寄付してくれた。僕も多少出したけど。カンナの車もそうだ。

お前に生命を吹き込んでやる!!

「3、2,1……GO!!」

GOの合図が出ると一斉に上り坂に向かって上りだす。
加速は負けてないどころか、ギアのつながりが良いせいか、向こうより若干有利かな。
直線で負けないってなんか新鮮だ。
最初のストレートで突き放すとコーナーは言うまでもない、僕の優位だった。
コーナーを抜ける度に徐々に差を開く僕。
相手の車は焦っていたのか、キャッツアイの埋め込まれているヘアピンでアウトインアウトをやってしまう。
その時点で車は挙動を乱し、車は停止する。
それをルームミラーで確認するとターンして駆け寄る。
タイヤはバーストして、ホイールにまでダメージが入っていた。
相手の運転手は悔しさからなのか、車を傷つけたことに対してなのか泣いていた。
ショックで立ち直れそうにない運転手に変わって僕が渡辺君に事情を伝える。
やがて相手のバンがやってきて修理に入る。
その時点で勝負は決まっていた。
山を下りる頃には僕の車の調整は終わっていた。カンナと運転を変わってもらい、僕は自分の車に愛莉を乗せて山上にいる皆の元に向かう。
山上では祝福される。
カンナは悔しそうだった。

「最後まで乗れなかった。でもやっぱすげーわ。トーヤは」
「竹本君が調整してくれたからね、楽だったよ」
「基本性能までは変わってないからやっぱり片桐君の腕の差だよ」

竹本君はそう謙遜する。

「二人共ありがとうな!今日の試合はこの前より感動したよ。下りはコースレコードも出たみたいだし」

走り屋の友達はそう言って握手する。
神奈の車も竹本君に元に戻してもらう。僕用の調整だったのでその方が良いらしい。
その間も渡辺班の面々から祝福を受ける。

「冬夜君今度は私の車でやって欲しいな~」

いやいや、左ハンドルは無理だよ。花山さん。

「冬夜、俺の車ならいいだろ?」

それは指原さんに許可をもらってね、桐谷君。

「片桐君、瑛大に余計なこと教えなくていいからね!」

ほらね。

相手のチームは修理を終えると黙って帰って行ってしまった
僕達も今夜は撤収することにした。

(5)

やっぱり冬夜君はすごい。
私は一人まだ興奮していた。
サイトを見ると各地で全戦全勝していたらしい相手チームを負かせたのだから。
私一人はしゃいでいた。最初冬夜君の車に乗った時に違和感を感じたけど竹本君の手が加えられていたんだね。
でも今の方が良い。やっぱり乗りやすい。
でもここで冬夜君を褒めるとまた調子に乗るからやめておいた。
やっぱり車さんに無理させちゃだめだよ。
家に帰ると部屋に戻り着替えて眠りに着こうとする冬夜君。
この火照った体を放っておいて寝ちゃうの?
冬夜君の腰に手を回して首を振る。
冬夜君は戸惑っていたけど、私の要求を受け入れてくれた。
車さんの代わりに私を労わってね。
でも冬夜君も疲れていたみたい。
冬夜君は途中で寝ちゃった。

ぽかっ

「馬鹿……」

女性をその気にさせといて寝ちゃうって信じられない。
でも車さんと同様に冬夜君も疲れてたんだね。
冬夜君に抱き着くと、私も興奮気味の体を押さえて眠りにつく。
春の夢の続きは明日に見よう。



朝目が覚める。
冬夜君はまだ眠っている。
疲れてるんだね。
でも今日から学校だよ。
冬夜君に言われたから月曜は2限からにしてるけど。
……もうちょっとだけ寝させてあげようかな?
そうして日常が始まる。
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