優等生と劣等生

和希

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3rdSEASON

過信

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(1)

「冬夜君朝だよ~。今日は学校ある日だよ~」

隣に寝ている愛莉が朝の訪れを知らせる。
5月。
花過ぎて、高原にサクラソウが咲く頃。
とはいえ、愛莉の髪から漂う甘い香りは眠気を誘う。
しかし眠りにつくためには愛莉というアラームを止めなければならない。
とりあえず愛莉に抱きついてみる。

「ちょっと、冬夜君!?朝だってば……」
「罰ゲームの続きしよっ?」
「うぅ……遅刻しちゃうってば!」

ぽかっ

「私だって朝ごはん作らないとダメなんだよ。離してってば」

朝ごはんという言葉を聞くと自然と手が離れてしまうもので、締め付ける腕が緩む隙を縫って愛莉はベッドからすり抜ける。
そして部屋をバタバタと出ていく愛莉。
その間に着替えるとするか。
重い体を起こしてベッドから出ようとすると愛莉が慌てて戻ってきた。

「冬夜君!」

愛莉は僕を見るや否や飛びついてきた。そんな愛莉をしっかりと受け止めてやる。

「どうしたんだい?そんなに慌てて」
「麻耶さんが朝食作り終わってた。寝坊だよ~」
「それがどうかしたの?」
「今日は平日だよ?私が寝坊していい理由なんてないよ?」

朝食を作るのは私の役目なのに、母さんに先を越されてしまった。謝ると「顔とか洗ってきなさいな~」と言われた。というのが愛莉の意見。別に何の問題もないかのように思ったけど愛莉には大問題らしい。

「私お嫁さん失格だよ~」

本当にしょうがない事で落ち込むお嫁さんだな。そんな愛莉もまた可愛いんだけど。
愛莉の頭を撫でてやる。

「昨日も夜遅かったもんな。しょうがないよ」
「うぅ……でも……」
「前にも言ったと思うけどまだ愛莉はお嫁さんじゃないんだから」
「そんなの言い訳だよ」
「言ったろ?『甘えられるうちは甘えよう?』って……」
「冬夜君は私の事駄目なお嫁さんって思ってない?」
「可愛い大切なお嫁さんだよ」

そう言って愛莉を抱きしめてやる。

「完璧な人なんていないよ。愛莉がその証拠だ。愛莉でもミスは犯すんだから」
「……うん!」

説得が成功したのか、愛莉は「離して」という。
愛莉を解放してやると愛莉は着替えに入る。

「先に降りてて、私もすぐ行くから!」
「わかった、慌てなくても時間まだあるんだから」
「は~い」
「じゃ、先に下行ってるね」
「うん」

ダイニングに行くと母さんが朝食の準備を終えていて父さんがパンを齧りながら新聞を読んでいる。
もっともスポーツ欄と地方版しか読まないけど。
母さんは僕を見ると「愛莉ちゃん大丈夫かい?酷く落ち込んでるようだったけど」と言う。

「一応立て直したみたい。今着替えて降りてくるって」
「そうかい、それならいいんだけど」
「母さんが心配する事じゃないよ。愛莉の事は僕に任せて」

一言余計だったかもしれない。父さんがにやりと反応する。

「その言葉佑太さんに聞かせてやれ。きっと泣いて喜ぶぞ」

佑太さんとは愛莉パパのことだ。きっと歓迎されるだろうな……でもものすごい勢いで暴走しそうだから遠慮する。

「麻耶さんごめんなさい!まだ至らぬところの多い未熟者ですがどうかお許しを」

愛莉が降りてくると、母さんに謝る。

「寝坊助の冬夜を起こしてくれるだけでも助かってるのよ。気にしないで。あ、そうだ。それよりねえ……」
「?」

母さんが話題を変えようとする。

「冬夜がさっきこんな事を言ってたのよ『愛莉の事は僕に任せて』って。冬夜もやっと自覚がでてきたみたいね」

母さんの台詞の半分くらいで愛莉は僕に飛びついた。

「嬉しい事言ってくれるんだね!ありがとう、頼りにしてます。旦那様!」
「わかったから、愛莉もご飯食べなよ。ゆっくりする時間無くなっちゃうぞ」
「は~い♪」

愛莉はご飯を食べながらスマホを操作する。

すると父さんの、スマホがメッセージを受信する。
父さんはそれを見て笑い、そして返信する。
何かあったんだろうか?


ごはんを食べると歯を磨いて髭を剃って洗顔して。部屋に戻って愛莉が戻ってくるまでサイトを見る。
怪しいサイトなんかじゃない、ホームページにしてあるニュースサイトのトップ記事だ。
そんな難しい事は見ない、誰がヒットを何本打ったとか日本代表が勝った負けたとかそんなのもあまり気にならない。
特に目を引くニュースは無いな。
PCをシャットダウンするとテレビをつける頃には愛莉が二つのマグカップを持って部屋に戻っていた。

「ねえねえ、メッセージグル見た?」
「いや?」
「見てよ~」

スマホを見る、「渡辺班」には特に何も目を見張るようなものが無い。
「片桐・遠坂家」の方を見る。僕はコーヒー吹きそうになった。

「……じゃあ、式の費用は両家の折半という事でどうでしょう?」
「うちとしてはうちが全額出すつもりでいたんですけどね。じゃあ結納は無しってことで」
「……すいませんうちの娘が世話になってるのに」
「やっと二人共その気になったんだから良しとしましょう」

まてまてまてまて。
何でそんな話になってんだ!?
ログを遡る。

「冬夜君が私の事は僕に任せてって言ってくれたよ~」
「あら、おめでとう~愛莉ちゃん」
「……うむ、冬夜君なら任せてもいい。……やっと決断してくれたか。片桐さん……こういうのは勢いで行った方が良い」
「そうですね、もう式の段取りとか始めた方がいいですね」
「結納の日取りとかも決めないとですね~」

犯人は愛莉か!
僕は愛莉を睨む。

「うぅ……だって冬夜君が言ってくれたって麻耶さん言ってたもん」

上目遣いで僕を見る。そんな顔されると何も言えないじゃないか。とりあえずメッセージを送信する。

「僕はすぐ結婚するとは言ってない!」
「む……うちの娘に何か不満でも……」
「いやそうじゃなくてですね。まだ学生ですよ僕達。バイトすらしてないし」
「籍だけ入れとけばいいでしょう。すぐに独り立ちしろとは言わないから」
「卒業した後考えるよ」
「……それは就職したら結婚ということでいいのかな?」
「安定した暮らしが出来るようになってから考えます」
「……片桐さん、今夜お伺いしてもいいですか?」
「そうですね、会ってゆっくり話した方が良さそうだ」

そこでメッセージは一旦は収まった。
しかし新たな問題が出てくる。

「冬夜君は私と結婚するのイヤなの?」

そんな悲しそうな顔は反則だぞ愛莉。

「愛莉、形だけの結婚なんて今更だと思わないか?今こうやって同じ屋根の下にいられる。それだけで僕は幸せだよ」
「うぅ……」
「約束したろ?いつか独立できたら愛莉にちゃんと求婚するからって」
「求婚する意味ないじゃん、私は冬夜君と結婚したいって言ってるんだよ?」
「ちゃんとけじめはつけたいんだ。これなら愛莉を養っていけるって自信が欲しいんだ。それじゃだめ?みっともない、愛莉に恥をかかせるような真似はしたくない」
「……わかった。でも早くしてね。『子供を産める時間はそんなにないのよ~』ってりえちゃんが言ってた」
「大丈夫、安心して。愛莉他の人にとられないうちにしないといけないしな」

ぽかっ

「冬夜君私の事信じてないんだ。私はもう冬夜君のものなんだよ。そんな事言わないで!」
「じゃあ、尚更慌てる必要ないよな?」
「うぅ……悔しいけどそうだね……」

ちらりと、腕時計を見る。まずい!

「愛莉、そろそろ時間!」
「え!?あ!!うん!」

二人で急いで家を出た。

(2)

喫茶店「青い鳥」

カランカラン。

来客を知らせるドアベルがなる。

「あれ?片桐君たちは?」

晶ちゃんは店内を見渡すとそう言った。

「今日は来ないそうですよ、なにやら家の問題があるそうです」

一ノ瀬さんが代わって答えた。

「そう……いつものお願い」
「かしこまりました」

そう言って僕は伝票に書いて厨房に貼りつける。

「今日は客が少ないね」とマスターが言う。

カランカラン。

竹本君と真鍋君。新名さんが入ってきた。

「うわっお洒落~」

新名さんが驚いていた。
木下さんはいないらしい。
その後に指原さんと江口さんが入ってきた。
皆「いつもの」で注文が決まる。
新名さんだけ「クリームソーダ」と言ってきた。

「さてと……今日のお題は……」

指原さんが皆を見る。

「やっぱり竹本君じゃなくて?」

と江口さんが答える。

「竹本君には教育の成果もでなかったから機会を見て一度話してみたいと思っていたのよね」
「そうだね、直接言わないとだめみたいね?本人も何のことかわかってないみたいだし」

指原さんがそう言うと「何のことですか?」と竹本君が聞いていた。

「なんの事?じゃないわよ。合宿中咲と話ばっかりしていて海未ちゃんと話してないでしょ!」

ああ、と納得する竹本君。

「あなたどういうつもり、折角いい舞台を作ってあげたのに。自ら舞台を降りるならまだしも他の女に声をかけるなんて。あなたどっちが好きなの?」

江口さんがそう言うと竹本君は「それは前に言いましたけど?」と答えた。

「だったらそういう行動をしなさい!」

指原さんが叫ぶ。

「俺もその方が良いと思うぞ竹本。ダメもとでも告ってみてさ。それでだめならしょうがないって諦めつくだろ?」

真鍋君が竹本君に言うと竹本君は考え込む。

「それって今じゃないとだめなんでしょうか?」
「は?」
「自分が、何をしたいのか何が出来るのか?今すぐ答えを出さないといけないのでしょうか?」
「それはただの逃げ口上よ竹本君」

志水さんが答えた。

「何をしたいのか何が出来るのか?その答えはもう出てるでしょう。あなたがやってるのはその答えから目を背けているだけ」
「……そうですね。僕は逃げてるだけかもしれませんね。自分から……」
「そこまでわかっているのならもうやるべき事も分っているのではなくて?」
「僕は逃げてるままでいいんです。今のままで幸せだから。十分だから」
「本当にそうなんでしょうか?」

僕はつい口をはさんでしまった。

「竹本君の気持ちよくわかります。僕もそうだったから。ずっと日陰にいればいい。人生の晴舞台なんていらない。そう思っていました」

卑怯者だと罵られようが、臆病者と蔑まれようが耳を塞いで目をつぶって生きて行けばいい。でも……

「トンネルって嫌な時みたいですよね。一人っきりで寒くて……でも、いつかは抜けるんですよ。陽が差し込んでくるようにいつかスポットライトを浴びる時がくるんです」

言葉の意味が通じたのかはわからないけど、僕に言える事はそれだけだ。

「僕はトンネルで立ち止まってるって言いたいんですか?」
「人生で立ち止まってる時間なんてないよ。途中下車は許されない。常に目的に向かって進んでる」
「ああ、もうじれったい!あんたが言えないなら私が代わりに言ってやる!!」

指原さんがスマホを操作しようとする手を僕が止める。

「それだけは絶対ダメです。両者ともにわだかまりが残ります」
「でもさ、このままってわけにもいかないでしょ」
「結論を出すのは竹本君でないとだめなんです」
「僕帰りますね……」

そう言って会計を済ませると竹本君は店を出た。

「何をそんなに焦ってるんですか?指原先輩。何かあったんですか?変ですよ?」

真鍋君が指原さんに聞くと「それは言えない」の一点張り。
晶ちゃんも江口さんも黙ってしまった。


それから竹本君との連絡が途絶えた。

(3)

人生に立ち止まってる時間はない。
ぼーっとしている間も列車は走り続ける。
途中下車の許されない旅。
自分が何をしたいのか何が出来るのか 今その答えを出せというのか……

答えは出てるんでしょ!?

志水さんに言われた言葉。
本当に答えは出ているのか?
僕には分からなかった。
本当にただの逃げ口上なのか?
一人悩み考えるけど答えの手がかりすらつかめなくて。
目を閉じると一人の少女が立っている。
その少女は僕を見ると微笑むんだ。
届きそうで掴めない野いちごのように甘く切ない物。
エアコンと冷蔵庫の音だけが聞こえる。
ああ、そう言えば今日の食べ物ないな。
買い物に出かけなきゃ。
コンビニまでは徒歩5分。
でもなぜか車のカギを掴んでいた。
どこへ向かうというのかわからないまま気ままに車を走らせる。
最初は街灯が照らされていた道路もやがて自分の車のヘッドライトの明かりだけが頼りとなる。
時々長距離トラックと遭遇したリ、派手な爆音を立てて走る車に追い抜かれたりしたけれどひたすら国道10号線を走り続ける。
ひたすら山の中を駆け抜ける。
坂を上っては下り、また上っては下りひた走る。
すれ違う車の明かりと自分の車の明かりを頼りに走り続ける。
どこまで行くのか?
何も考えてなかった。
やがて山を越えると街の明かりが照らされる。
酒井君が言っていたことはこういう事なのだろうか?
だけども深夜の街は街灯だけで店は閉まっていた。
街は眠っていたんだ。
僕も眠気がしてきた。
少し休憩しないと危険だな。
左手にある大きな工場が明々としている。
それを過ぎた辺りにコンビニがある。
大きな駐車場のあるコンビニ。
長距離トラックが休んでいる。
僕も駐車場に車を止めて、夜食を買って食べて眠りについた。
時計は23時を回っていた。

(4)

20時過ぎ。
片桐家に愛莉の両親が訪れリビングで会議が行われた。
議題は言うまでもない、僕と愛莉の結婚についてだ。
意見は平行線だった。

「愛莉の為にも婚姻届けだけでもだしておいてくれないか?」という遠坂家の意見と
「独立してから安定してから改めて求婚したい」という僕の意見。

父さんたちは説得済み。
あとは遠坂家の両親を説得するだけだ。

「……冬夜君の意見はわかる。しかし冬夜君に言い寄る女性もいるそうではないか。親としては心配なんだよ。……何か確かな形を作ってあげたい」
「愛莉を説得しました。ちゃんと愛莉を養っていけるようになったら僕から求婚するって」
「そうなんだけど……」

愛莉が何か言いたげだが、愛莉ママが話し出した。

「合宿の最中にね、愛莉ちゃんから相談がきたのよ。冬夜君が他の女性にいっちゃうんじゃないか?自分がもし他の男におかしなことされて嫌われてしまわないか?て……」

愛莉ママの口調がいつもと違った。愛莉そんな事愛莉ママに話したのか?
愛莉を見ると、バツの悪そうに笑っている。
愛莉パパが一枚の紙を差し出す。
緑色の文字で「婚姻届」と書かれていた。
愛莉が書く欄にはすでに署名がされてある。
愛莉の両親の本気度が伝わってくる。一枚だった。

「冬夜、この際だから籍だけでも入れておいたら?それとも都合の悪い事でもあるのかい?」
「ないけど……」

何か違う。こんなやり方普通じゃない。

「どうしても待っていただけませんか?約束します。大学卒業して社会人になって独り立ち出来たら必ず挨拶に伺います」

そう言って頭を下げる。

「……彼女の両親がわざわざやってきて結婚してやってくれと言ってるのに待てって言ってる事の意味わかってるんだろうね?」

母さんがそう言うと僕は頷いた。

「遠坂さんすいません、うちの息子の我儘聞いてやってくれませんか?」
「一つだけ条件をつけてもいいかい?」

愛莉パパが提案する。

「どうぞどうぞ。子の不肖の息子の我儘を聞いて下さるのであれば」

父さんがそう言うと愛莉パパは人差し指を立てた。

「……1年。君が大学を卒業して1年は猶予を与えよう。それ以上は待てないよ。何が何でも結婚してもらう」
「1年ですか……」

僕は生唾を飲み込んだ。

「それと……私とて大事な愛娘の父親だ。もし娘を傷つけるようなことがあれば……わかってるね」

愛莉パパの背中からこれまでに感じたことのない怒気を感じる。

「はい、大事にします」
「梨衣……帰るとしようか」
「は~い。冬夜君、念のために言っておくけど愛莉ちゃんが子供を授かったから焦ってるとかそういうわけじゃないからね~」

びっくりするようなこと言うな……愛莉を見る。
恥ずかしそうに俯いてる。
愛莉パパは僕達の目の前で婚姻届けを破り捨てた。

「本当によかったのか?こんなおいしい話そんなにないんだぞ?」

父さんが念を押す。

「紙切れ一枚よりも強い絆で繋がってるから」
「……うむ。気が変わったら何時でも言ってくれ。それと念を押すようだが……」
「お前たちは書類ではまだ未婚だが、父さんたちはお前たちが結婚したものとしてお前たちの自由にさせている。自由には責任を伴う。その事が分からない年頃じゃないだろ?」

父さんが言うとただ頷くしかなかった。

「う、うん……」
「愛莉ちゃんたまには家に帰ってきてね」
「りえちゃん。パパさんが言ったよ。私はもうお嫁さんに行った身分なんだよ?」
「里帰りくらいしなさいな~」
「わかった~」

そう言って愛莉の両親は家に帰っていった。

「しかしサッカーの時といい、お前本当に頑固者だな。誰に似たんだか」
「でも冬夜の判断はいつも正しいから今回もそうなんでしょ、自分の息子を信じましょ?」
「……そうだな」

そんな両親の会話を後に自分の部屋に戻って行った。



「愛莉!ごめん!!」

部屋に着くや否や愛莉に頭を下げる僕。

「ほえ?」
「愛莉がそこまで真剣に悩んでるとは思ってなかった!軽はずみだった」
「じゃあ、結婚して!」
「だ、だからそれは……」
「わかってるってば~」

愛莉は僕を抱きしめる。

「そんな生真面目な冬夜君が好きなんだから。冬夜君の自由にしていいんだよ?」
「ありがとう」

愛莉は床に正座し僕に向かって頭を下げる。

「いまさらだけど、まだまだ至らぬところばかりですが、これからもよろしくお願いします」

僕も正座して愛莉に向かって頭を下げる。

「こ、こちらこそ。至らぬところばかりでダメな男だけど。よろしくお願いします」

すると愛莉は「ぶーっ!」と頭をあげて言った。

「冬夜君何度注意したらわかってもらえるの?自分の事ダメとか思っちゃダメ」
「あ、ごめん。つい……」

そりゃ、愛莉の親にあんな我儘言ったらごめんとも言いたくなるだろ?

「ブーッ!罰ゲームだよ」
「良いけど一つ提案があるんだけど」
「な~に?」
「折角家の中だし……ベッドの中でしないかい?ほ、ほらもういい時間だし……」

ぽかっ

「……冬夜君最近本当に色気づいてきたね」

まずかったかな……?

「……いいよ。また明日の朝遅れたら困るし」
「じゃあ、囁くだけにしとくか?」
「……泣いちゃうぞ」
「だろ?」
「うん」

そして僕たちはベッドの中に入り照明を落とす。愛莉に抱き着き耳元で10回のおまじないを囁く。
夜と朝の狭間の物語は続く……。
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