優等生と劣等生

和希

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3rdSEASON

はるか遠い向こうへ

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(1)

「冬夜君朝だよ~」

愛莉が体を揺すると僕は目が覚める。
ベッドから出ると着替える。
愛莉も着替える。
家を出ると軽くジョギングする。
1時間ほど走ると僕は平気だったけど愛莉はバテバテだった。
この辺坂道多いからね。

「大丈夫かい?」
「うぅ、電動自転車買おうかな~」
「いっそのこと原付でもいいんじゃないか?」
「冬夜君に怪我させちゃったら大変だもん」

そんな事を言いながら家に入ると愛莉は朝食の準備に入る。
僕はその間にシャワーを浴びると部屋に戻って着替える。
ダイニングに戻ると朝食の準備が出来上がってる。
朝食を食べ終えると準備をして部屋で待機する。
シャワーを浴びて準備をしてきた愛莉がマグカップ二個持って部屋に来る。
愛莉が着替えてる間テレビを見ている。
昨日の試合の解説をしている。
僕のプレイが何度も再生される。
どのチャンネルを見てもそうだ。
やった方としてはうんざりしてる。
愛莉が自分の事のように嬉しそうに見てるから何も言わないけど。

「愛莉、そろそろ朝練行くよ」

スマホを見て佐倉さんから連絡がきた。

「は~い」

愛莉はダイニングで弁当をバッグに入れると家を出た。



おかしい。
まだ春休みだというのに車がやけに多い。
それは愛莉も気づいたらしく、二人で顔を見合わせる。
愛莉は何かに気がついたのだろう。僕の前を歩く。
いつもは後ろを付いて来るのにどうしたんだ?
体育館前に行く。
何か人だかりできてる。
その人たちが僕に気づくと波のように迫ってくる。
愛莉が僕の前に立ちふさがる。

「きゃっ!」

分かっていた事だけど愛莉を押しのけられ僕にマイクが向けられる。

「片桐選手昨日の試合について一言お願いします!」
「今後はプロ入りとか考えてるんですか?」
「サインください!」

とりあえず愛莉の腕を取ると「これから練習あるんで通してください」という。

「その子が『おにぎりを握ってもらう彼女』ですか?」
「彼女からも一言!普段の片桐選手ってどんな方ですか?」

愛莉も初めての体験に驚き戸惑っている。

「彼女困ってるんで止めてもらえませんか?」
「やっぱり彼女なんですね!」

中々道を開けてもらえない。
すると水島君がやってきて「ほらこいよ!」と腕を引っ張る。
僕は愛莉の腕を掴んでる。
なんとか体育館の前まで着くとドアを閉めた。
なんかホラーゲームの一場面のようにドアに張り付く人達。

「愛莉大丈夫?」
「うん」
「水島君助かったよ」
「礼なら桜子に言え」

へ?

「おはようございます片桐先輩。なかなか来ないなと思って佐(たすく)に頼んでよかったです」

え?

愛莉と顔を見合わせる。
そして二人同時に二人の顔を見た。

「どうしたんだ?」
「どうしたんですか?」

二人共不思議そうな顔をしている。

「い、いや何でもない。すぐ着替えてコートに行くよ」
「おう、急げよ」

そう言って水島君はコートに向かった。
その後を追いかける佐倉さん。

「ねえあの二人って……」

愛莉が何か言おうとするのを止めた。

「そっとしておいてあげよう?まだ何か躊躇いがあるみたいだし」
「わかった~」

そう言って愛莉もコートに行く。
僕も更衣室で着替えるとコートに向かった。

(2)

コートに行くと既に皆練習を始めていた。
監督は休みなので佐倉さんが指示を出してる。

「片桐先輩早くストレッチ始めてください」

そう言われるとストレッチを始める。
ストレッチが終わるとシュート練習。
その後ディフェンスフットワークをやり5対5で練習をする。
愛莉のスマホが鳴る。
愛莉がスマホを見ると佐倉さんに話しかける。

「それなら裏口使ってください、あっちには人居なかったから。気づかれない様に来てくださいって伝えてください」

佐倉さんが言うと愛莉は裏口に向かいながらスマホを操作する。
裏口から現れたのは花菜さんだった。
しかしそんな努力も空しく。表玄関から人がたくさん入ってくる。報道者とファンらしい。

「許可が出たという指示はありません。今日はお引き取り願います」

佐倉さんがそう言うも、なかなか帰ってもらえない。
どうして表から入って来たのかって?
女バスが来たからだろう。
佐倉さんが対応に苦労していると、女バスの監督がやってきた。

「他の選手の練習の邪魔です。せめて2階で見学してください」

監督の剣幕に圧されて2階に移動する報道陣。

「尾崎さんはどうしたの?」

尾崎さんとは男バスの監督の名前。

「春休みはずっときてません」と佐倉さんが言う。

監督……それでいいのか?

「そう。じゃあ練習始めてこのくらいで気が散ってたら試合で集中できないよ」

そういう女バスの監督。

「女バスの監督さんの言う通りです。このくらい気にしないで練習に集中してください」

お昼になってお弁当を食べながらミーティング。
佐倉さんがボードを使って様々なフォーメーションを説明していく。

「この前の試合は藤間先輩見事でした。さすがです」
「そりゃ、女バスと合コンがかかってからな」
「……その気分のむらが無ければいう事無いんですが」
「合コンと言えば今夜の祝勝会絶対来いよ!冬夜」
「なんで?」
「主賓のお前が来なけりゃ話にならないだろ!?」
「……蒼汰が女バス誘ったんだよ。冬夜が来るから絶対来てくれって」

赤井君が説明する。
なるほどね……。
まあ、明日じゃないならいいか?明日は渡辺班が祝勝会やるって言ってたし。

「良かったら遠坂先輩と木元先輩もどうですか?片桐先輩たち暇だろうし」

佐倉さんが気を使ったのか愛莉たちに声をかける。

「いいの?私達部外者だよ?」
「私も部外者だし」
「二人共彼氏さんと旦那さんの事心配でしょ?」
「まあ、そうだけど……」
「でもいいんですか?」

ここでダメと言える僕と木元先輩ではなかった。

「木元先輩はともかく遠坂先輩とは話しておきたかったし」
「話って何?」
「ああ、個人的な相談と片桐先輩についてです」
「わかった~。じゃあ冬夜君と行くね」
「私も主人と行きます」
「待ってよ!冬夜はフリーじゃないとだめだろ!?」

藤間君からダメ出しがはいる。どうしたんだ?

「何がいけないんですか?」
「だって冬夜狙いの子が今後こなくなるかもしれないじゃないか!」

要は僕を餌にしていたわけだね。

「蒼汰、お前にも村川がいるだろ?」

赤井君が言う。

「そりゃそうですけどね……」
「じゃあ問題ないな」

赤井君が言うと藤間君は黙ってしまった。

「やっぱり私行く必要あるみたいだね」

愛莉が言う。

「私も行く気になりました。主人がどんな感じで飲み会してるのか気になります」

花菜さんまで……。



午後の練習はフォーメーションの確認をして女バスと試合形式の練習をする。
しかし僕が入っていなくても1部入りの女バスと対等に渡り合うなんてうちのチームかなりレベルアップしてないか?

「試合に入れない気分はどんな感じだ?」

水島君が僕に聞いてくる。

「水島君とは違うと思う。多分水島君の気持ちは僕にはわからないと思う」
「はっきり言うんだな」

気持ちはわかるよなんて安易な言葉使うべきじゃないと思ったから。

「出たいって気持ちはあるけどね」
「結構きついだろ?」

水島君はそう言って笑う。

「そうだね、体がうずうずするよ……」
「分かってるじゃねーか!」

ああ、そういう気分だったんだね?

「片桐先輩はダメですからね!1週間は練習試合禁止です!」
「そんなに長い間休んだら体なまっちゃうよ」
「3月に入って遠征が近づいたら調整してもらいます」
「5対5はやったろ?」
「片桐君、マネージャーに苦労させたらだめよ」

女バスの監督がやってきた。

「随分派手に試合やってきたみたいじゃない。疲労は溜まってるはずよ」

そんな事言ったって今度は3日連戦ですよ。

「ハーフコートでやるのとオールコート使うのとじゃ負担も全然違うわ。言われた通り休んでおきなさい」
「一週間くらいたいしたことねーよ。俺なんか一か月だぜ。もう肩も治ったっていうのによ……」
「佐!お医者さんに言われた事忘れたの!?」
「わーってるよ!」

そうやってぼーっと見ながら午後の練習は時間を潰した。

(3)

夜、駅前に30分前に着くとすでに何名か来てる。
女バスの面々もいた。
愛莉が僕の腕を掴んで所有権を主張している。
そんなこと関係なく話しかけてくる女バスのメンバーたち。

「あんなに滞空時間長いときってどんな感じなんですか?」
「そんなに長いと感じたことないよ。あっという間な感じ。時が止まったような気分になるけどね」
「羨ましいなあ。私も体験してみたい」

みんな揃うと店に移動した。
それぞれ席につく僕の隣には愛莉が、木元夫妻も並んでいる。あと藤間君と夏川さん。青山君と村川さん。それに……やっぱり水島君と佐倉さんが並んでいる。

「それじゃ、冬夜の凱旋を祝して乾杯!」

佐倉さんは一人ソフトドリンクを飲んでいる。

「佐倉も飲めよ!」

藤間君が佐倉さんに勧める。

「桜子は未成年だから駄目だ」
「佐の言う通りです。未成年に飲酒を勧めるのは犯罪ですよ!」

水島君と佐倉さんがそう言うと藤間君は2人を冷やかす。

「ほらそうやって下の名前で呼び合って……。もう付き合ってたりするのか?」

藤間君それを聞くのは野暮だよ……。

「そうだけどそれがどうかしたか?」

ケロっという水島君。

「ちょ、ちょっと佐何言ってるの!?」

ソフトドリンクを飲んでるのに顔が赤い佐倉さん。

「別に隠す事じゃないだろ?それとも嫌なのか?」
「い、いやじゃないけど……」
「だったらいつも通り毅然としてろよ」
「佐の馬鹿」
「本当に仲がいいんだね。佐倉さん」

愛莉がそう言うと「遠坂先輩まで!」と俯いたままの佐倉さん。

「よかったじゃない、おめでとう水島君」
「……前から言おうと思ってたんだけどな。佐でいいよ。俺も冬夜って呼び捨てだし」
「そうだぞ冬夜。俺達仲間だろ?他人行儀な真似はよせ」

赤井君……恭太までそう言いだすので今度から下の名前で呼ぶことにした。

「片桐先輩さっきから見てるけど食べ過ぎです。少しは自重してください。炭水化物ばっかり取り過ぎ!」

佐倉さんから突然注意を受ける。

「もうしょうがないんだから……これは没収!」

愛莉に気づかれた。もうおしまいだ。
そこからは愛莉のとったものだけを食べる。

「佐倉さん、水島君の意思も聞かなきゃだけど渡辺班に誘ったら?」
「え?」
「渡辺班ってあれっすか!?絶対に恋人が出来るって……俺も入りてえっす!」
「蒼汰には私がいるでしょ!入る必要ないじゃない」
「いや、茉里奈と一緒に入ろうと思っただけで……」
「……どうします?佐」

佐倉さんが佐に聞くと佐は「桜子が入ってるんだったらいいよ」と承諾した。
佐倉さんがさっそく佐を招待する。

「じゃあ、早速だけど明日祝勝会あるから来てくださいね」

愛莉がにこりと笑って言う。

「二日連続か。喧しいマネージャーが良いって言うなら行くよ」

佐がそう言うと佐倉さんが「それって誰の事かな?佐?」と言う。

「3月は忙しいですよ。佐」

佐倉さんが言うと「何で?」と佐が聞く?

「渡辺班のメンバーの結婚式があるんです。あと片桐先輩の遠征も考えると今年卒業する先輩の引退試合も早めにしたいし」
「結婚か、本当に縁結びのサークルって感じだな」

佐は感心していた。
まだ他人事のように。
これから自分に降りかかることだという事がわかるのにさほど時間を必要としなかった。

(4)

「初めまして水島佐です。よろしくお願いします」

次の日の夜。渡辺班の飲み会にデビューする佐。

「よろしくな水島君。俺が渡辺班の代表の渡辺だ。よろしく頼む」

そう言って渡辺君が自己紹介すると皆が自己紹介していった。
そして水島君に質問攻め。
佐倉さんとどうして付き合おうと思ったのか?
告白の言葉は?
どこまで進んでるの?
半分セクハラのようなオヤジの質問のような質問だった。

「そんなにいっぺんに質問されても佐が困ります」
「へえ、下の名前で呼び合ってるのか」

カンナがにやりと笑う。

「佐倉!佐倉は水島のどこが好きになったんだ?」

美嘉さんが質問した。

「そ、それは……」
「それは?」
「彼を見ていて何となくです」
「なんだそれ?」
「い、意外と優しいんです佐。多田先輩に似ていてひたむきなところも好きだったかな?」
「佐倉、誠の事が好きだったのか?」

カンナが聞く。

「いえ、どちらかっていうと多田先輩から聞いていた、片桐先輩の事が好きでした」

佐倉さんが言うと周囲がどよめく。

「でも片桐先輩には遠坂先輩がいるし。多分一生恋なんてしないだろうなと思ったら佐がいました」

なるほどね……。

「それって佐が肩の故障した時の話?」

僕が聞くと佐倉さんはうなずいた。
それで佐も佐倉さんの優しさにころんといったわけね。
恥ずかしがる佐倉さんとは対照的に堂々としている佐。

「まあ、見た感じ水島君なら何の問題もなさそうね」

恵美さんがそういう。
水島君と佐倉さんの話で盛り上がる中。対照的に暗い感じの二人に気がついた。
中島君と一ノ瀬さんだ。

「私に何か問題がありましたか?」
「いや、そういうわけじゃないんだ。ただ最近会えてないし」
「それはお互い部活があったりバイトがあったりするから!」
「それはそうなんだけど……」

穏やかな感じじゃないな。
ちょっと様子見た方がいいかも。
そう思って立ち上がろうとすると先に動いたのは渡辺君だった。

「どうしたんだ中島?なんか様子が変だが」
「い、いや……その……」
「中島君が別れようって言いだして!」

一ノ瀬さんがそう言うと周りの空気が一変した。

「それはまた聞き捨てならないな……どうした?一ノ瀬さんがなにかやったのか?」

渡辺君が聞くと。

「いや、別にそういうわけじゃないんです。ただ……」
「ただ?」
「最近会ってないしこのままだらだら付き合っても仕方ないんじゃないか?って」
「それは自分の我儘だと分かってて言ってるんだよな?」
「はい、それで相談しようと思って」
「中島君はもてるからねえ」

酒井君が余計な事を言う。

「まさか浮気?」

晶さんが言うと中島君は首を振った。

「違いますよ!それは信じてください」
「じゃあなんでだよ!」って皆が騒ぐ。

どうにか収拾をつけないとな。

「ハンバーグって毎日食べると飽きちゃうよね?」
「?」

恐らくみんなの頭の上に「?」が浮かんでいるだろう?

「和風だろうがおろしハンバーグだろうがチーズインハンバーグだろうが何を食べても飽きてしまう」

皆が静かに聞いてる。

「だから僕はもうハンバーグは要らないってそう感じちゃうんじゃないかな?ハンバーグはまた食べたくなったら食べたらいい。でも一ノ瀬さんはまた一緒にいたいと思っても手に入らないかもしれないよ」
「我慢してでも付き合った方が良いって事ですか?」
「我慢じゃない、工夫するんだよ。二人でルール決めたりしてさ。多分そういう相談なら渡辺班ならしてくれると思うよ」
「要するに何か刺激を与えてやればいいのね?」

指原さんが言うと頷いた。

「その刺激は多分中島君だけじゃない、皆が必要な事だと思うけど?」
「冬夜、気付いてたのか……俺達の事?」
「長野に行って戻ってきて皆の顔見たらなんか様子が変だと感じてね」

いつも一緒にいたんじゃ気づかない。離れてみたからこそわかることもある。

「どんな刺激が必要なのかは皆で話しあえばいい。今日は佐が加入したって事が刺激になったみたいだ。皆で遊びに行くのもいいんじゃないかな?佐も入ったことだし」
「それなら最高のイベントがあるわよ!」

晶さんが言った。

「それはなんだい?」

渡辺君が聞く。

「私達の結婚式。精々私達の幸せな姿を見て目標にするのね」
「ははは、それは良い案だ」

渡辺君は賛成する。

「確かに俺達もマンネリ感はある。何が刺激を欲していたのかもしれない。俺も中島君も一緒だよ。一緒だから一緒に解決策を探そう」
「……わかりました。穂乃果……ごめん」

縋りつく一ノ瀬さんを抱く中島君。

「これ、祝勝会なんだよな?冬夜」

佐が聞いてくる。

「そうだけど?」
「じゃ、もっとみんな明るくいった方がいいんじゃね?明日からまた大変なんだ。結婚なんて普通に考えたらはるか遠くの話なんだし。明るく笑って生きていれば良い想い出になるさ」
「佐、良い事言うね。皆さん騒ぎましょうよ。それが渡辺班でしょ」

佐倉さんが言うと皆騒ぎ出す。しかし……

「お客さんそろそろラストオーダーです」

店員が聞いてきた。

「2次会だな!中島と穂乃果は絶対来いよ!」

カンナと美嘉さんが言う。
佐は佐倉さんの顔色をうかがう。

「いいですよ。明日はオフだし」

佐倉さんが良いって言ってるんだ。愛莉もきっと。

「どうせ皆行くなら私達も一緒に楽しんじゃおうか」

愛莉も良いと言ってくれた。

その日の晩は朝まで飲んで歌って語り明かした。
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