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3rdSEASON
飛べる翼
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(1)
身体が熱い。
心が温かい。
何だろうこの温もり
瞼を開けると冬夜君の顔が目前にあった。
冬夜君にしっかりと抱きしめられれて眠っていた。
通りで……。
この格好じゃ何もできない。
朝陽はまだ見えないけど、多分目が覚めたという事は朝なんだろう。
冬夜君の耳元で囁く。
「冬夜君朝だよ」
冬夜君は目を覚ますと「おはよう愛莉」と言ってくれる。
2人で起き上がると着替えて家を出る。
私は自転車に跨り冬夜君は軽くストレッチをする。
「準備出来たよ」
冬夜君に言うと冬夜君はジョギングを始める。
近くの大きな公園の周りを回り続ける。
下り坂も上り坂もある丁度いいコース。
1時間くらい続けると帰宅する。
ストレッチをして家に帰ると冬夜君はシャワーを浴びる。
その間にご飯を用意する。
ご飯を用意し終える頃に冬夜君の両親が起きてくる。
「おはよう愛莉ちゃん」
両親はそう言ってテーブルにつく。
麻耶さんは配膳を手伝ってくれる。
冬夜君が部屋から戻ってくると「いただきます」と言う。
ご飯が終わると片づけは麻耶さんに任せて私はシャワーを浴びる。
そしてコーヒーをマグカップに入れて片方にはミルクを入れて冬夜君の部屋に戻る。
冬夜君はテレビを見ている。
土曜日のテレビはあまり興味がない。
それは冬夜君も一緒みたいで、冬夜君はスマホを弄っている。
そしてコーヒーを飲み終えると立ち上がってテレビを消す。
「そろそろ行こうか?」
「うん」
私もバッグを持って部屋を出て。冷ましてあった弁当を包んでバッグに仕舞うと家を出た。
(2)
「おはようかずさん、朝だよ」
起きるとパジャマ姿の花菜が俺の体を揺すってる。
ああ、今日でいよいよ最後なんだな。
「おはよう花菜」
起きるとさっそく着替える。
その間に花菜は朝食の準備に取り掛かる。
着替えて準備をしている間に朝食は出来上がっていた。
テーブルに並べられると席について二人向かい合って手を合わせて「頂きます」と言う。
ご飯を食べ終えると花菜が片付けている間リビングでテレビを見ている。
花菜が片づけを終えると昨夜のうちにつくってあったお弁当のおかずを弁当箱に詰めて部屋で着替える。
着替え終えた花菜が持っていたバッグに弁当を入れる。
「かずさんそろそろ行きましょう」
「ああ」
そう言って家を出る。
「今日が最後の練習だね」
助手席から話しかけてくる花菜。
「そうだな」
「社会人になっても続けるんですか?」
「会社には無いけど社会人チームってあるらしいから出来れば続けていきたいかな」
「そうなんだ……」
花菜は寂しそうだ。理由は察しが付く。
「そんな顔するなよ。ちゃんと花菜との時間も作るから」
「はい!」
駐車場に車を止めると体育館に急ぐ。
更衣室を見ると既にみんな来てるようだ。
慌てて着替えてコートに向かう。
コートでも男女とも練習を始めていた。
「おっす、木元先輩」
蒼汰の声が響くと皆が俺に気づいて、挨拶をする。
「木元先輩ストレッチしてから練習に加わってください」
佐倉の言う通りにストレッチしてから練習に臨む。
ディフェンスフットワークの練習だった。
その後5対5の練習に入る。
佐倉の指導がいいのか、一年もなかなか良いディフェンスをする。
パスコースがみつからない。
「先輩こっち!」
気づくと冬夜がディフェンスを振り切ってパスを受け取りに来る。
トップで冬夜にボールを渡すと冬夜はドリブルで左側に回り込もうとする。進行方向にもう一人つく。ダブルチームで冬夜を封じる作戦か。
だが、もはや冬夜はダブルチームでも防げない領域に達していた。
急ブレーキして左手でドリブルしていたボールを背後に回し右手でドリブルしつつ身を反転させて右側に回り込もうとする。3人目がポストから回ってくる。
そのディフェンスがつく前に冬夜はゴール下にバウンドパスを送る。
恭太が受け取りそのまま身を反転してシュート。
「ナイッシュー」
恭太と冬夜がハイタッチする。
「先輩シュート決めたらすぐにディフェンスにつく!」
佐倉の容赦ない指示が飛ぶ。
そうして午前中の、練習が終わった。
お昼休憩のミーティング。
「今度の相手チームにはアウトレンジからのシュートはほぼありません。打ち合いにするならゾーンでしっかり固めるべきだと思います」
佐倉がそう言う。
「トップには片桐先輩についてもらいます。相手のPGを封じてください。問題はポストに入ってこられた時です」
「確か2M越えてるだったか?」
恭太が言う。
「相手にゴールに向かせない。向かせても飛ばせない。とにかく相手の体力を削ることに専念してください。赤井先輩の体力も消耗すると思いますが、そこが勝負です。あと無理に止めようとしないで。失点覚悟の戦術ですから」
「わかったよ」
「代表のセンターは198㎝です。身長差は言い訳にさせませんからね!」
「手厳しいな」
「あとは相手のポジション的に右側に木元先輩についてもらいます。
「なんでだ?」
俺は佐倉に聞いてみる。
「相手のエースがそっち側にいるから。相手のパス・ドライブを防いでください」
「OK」
「午後は女子との試合形式の練習です。早速試してみましょう。パスは低いパスを心がけてください。高い位置のパスは全部カットされるつもりで」
「よし、じゃあ行こうか!」
真司がそう言うと皆立ち上がる。
残り半日の練習が始まる。
試合形式の練習は対戦相手想定の戦術の確認だった。
その事を察したのか女バスの監督もオールコートプレスをしてくれた。
「監督無理ですよ!片桐君一人でマークなんて不可能です」
藤堂さんが音を上げるが監督は容赦ない。
「泣き言言うならコートから出てもらうよ!日本一のプレイヤーが相手してくれてるんだ!積極的にディフェンスして行け!」
「ひぇ~」
ハーフコートの練習中はセットプレイを意識してなのか、苦手克服を意識してなのかしらないけど、自分からシュートに行かない冬夜だったが、試合形式になると相手コートに入った途端問答無用でシュートを打つ冬夜。
2人どころか3人ついてもその隙間を縫うようにパスを飛ばす。
休憩時間中に女バスのメンバーが相談する。
そして休憩時間が済むと、俺にダブルチームを仕掛けてきた。
「先輩、悪いけど片桐君にパスは通しませんよ!」
「そう来ないと面白くない」
戦術は悪くない、だが相手が悪すぎる。
冬夜はマークマンを振り切り自分からパスを受け取りに来る。そして、ボールを受け取ると、そのままその片手でフリーになった味方にパスを出す。
冬夜もオールラウンダーのようだ。身長的に、体格的にセンターには向いてないようだが。
それでも恭太がハイポストに入った際自らローポストにはいってボールを受け取り見事にフックシュートを決める。恭太が外したボールを強引にダンクに持っていく。
結局冬夜に3人つくしかないんだが、それでも女バスの体力では冬夜を抑えることは不可能なようだった。
「ごめんね、冬夜君私達じゃ話になんないわ」
冬夜を止めるどころか逆に得意のドライブを封じられた羽海野さんが謝る。
「大丈夫、無理させてごめんね」
冬夜はまだ余力があるらしく一人シュート練習を始める。
それを見ていた男バスの連中もシュート練習を始める。
男バスの連中は皆余力があった。
冬夜一人で大体プレイが済んでいたから。
「片桐先輩メンバーチェンジです佐と替わって!」
え?と顔をする冬夜。
「フォーメーションの確認が出来ません。他の皆全然疲れてないし」
佐倉の指示に従いコートを出る冬夜。
その後も練習は続いた。
17時ごろになるとみんなクールダウンを始める。
そして練習が終わった。
後は引退試合だけだ。
それで俺の大学バスケは幕を閉じる。
「先輩今までお疲れ様でした!!」
蒼汰が頭を下げると皆頭を下げる。
「おいおい来週の試合までまだ現役のつもりだぞ」
俺は皆にそう言うが。
「先輩最後まで残ってくれてありがとうございました」
佐倉まで……。
「今度の試合楽しみにしてます。頑張って悔いのないプレイをしてください」
「ああ、ありがとう」
「じゃあ、今日は前祝でぱーっとやりましょう!」
「ダメです!打ち上げは勝った後です!」
蒼汰の提案はあっさり佐倉に却下された。
一人コートに残りバスケットを見つめる。
誰かが近づいてきた。
「お疲れ様でした」
花菜がそう声をかけてくれた。
「まだ現役だぞ、泣くのは早い」
「そうだね」
花菜はそう言って笑っていた。
(3)
「こんにちは~」
今日も咲良がやってきた。
「……お前予定とかないのか?」
「これから浮気相手とデートなんです~、……とでも言わせたいんですか?」
「お前に限ってそれはねーな」
「……侮られてる?」
「そんなつもりで言ったんじゃねーよ。信頼してるつもりなんだけどな」
「ならいいんです~。私が好きで来てるんだから気にしないで」
咲良が来たと言って何があるわけでもない。お見舞いにもってきたデザートを食べながら他愛のない話をする。
「そう言えば明後日だったな。バスケの試合。お前も見に行くんだろ?」
「ええ、神奈先輩が送迎してくれるって言うから行ってきます~。春樹の分も応援しますからね~」
「ああ」
「片桐と言えば、あれから山の方には行ってないのか?」
「そんな暇ないみたいですよ~。昼間は練習、夜は遠坂先輩の相手で~」
「なるほどな」
咲良の話からして山はきっぱり諦めたらしい。
かなりの説得の時間を要したようだが。
「俺も今の車売るかな?」
「え?」
「もっと燃費の良い車に乗り換えてさ……その方が咲良も安心できるだろ?」
「車があるから走る……そういいたいわけですか~」
「車が良いから走りたくなる……そう言いたいだけさ」
「……そんなの逃げ口実だよ!変えるのは車じゃない春樹の気持ちだよ!」
「その気持ちを整理するために車変えようって言ってるんだけど」
「スピードの向こう側」
「?」
咲良が不思議な言葉を言い出した。
「走り屋が目指してるものだって神奈先輩が言ってました。限界を超えた走りを求めて走るって」
スピードの向こう側か、そんなものがあるんだろうか?
「でも片桐先輩はいってました。どんな車でも限界はあるって。そして公道はその限界値が低い。道路状況が安全じゃない。だからプロは飛ばさないって言ってました」
片桐が言うんだ、間違ってはいないだろう。
「春樹はどうなんですか?街中で飛ばそうと思いますか?本当は限界分かってるんじゃないですか?限界があるのは車じゃない人間の方だって分かってるんじゃないですか?」
ただ黙って聞いていた。
限界は車じゃなくて人間か。言い得て妙だな。
「分かったよ……咲良の言う通りだな」
「物分かりの良い彼氏でよかったです~」
咲良はそう言って笑う。
「あ、そろそろ時間。また来ますね~」
「ああ、また明日」
「はい~」
そう言って咲良は帰っていった。
すれ違いで入ってきたのは母さんだった。
「今のが彼女さん?」
「そうだけど」
母さんは、一枚のお見合い写真を渡した。
「……どういうつもりだ?」
「……あの子とは遊びで済ませなさい」
「どういう意味だ?」
「そのお嬢さん取引先のご令嬢でね……」
「俺は後を継ぐつもりは無いと言った」
「もうそろそろ物事の分かる年だと思っていたけど」
「悪いが断ってくれ。自分の相手は自分で決める」
「あんた就職先も決まってないんだろ?だったら……」
「帰ってくれないか」
「……またくるよ」
そう言って母さんが帰っていった。
自由でいられるのも今のうちか。
自分が情けなくなる。なんだかんだ言っても未だに親の籠の中の鳥。
飛び立つ翼が欲しい。
心底そう思っていた。
(4)
六日目
バルセロナ市内を観光。
サグラダファミリアの鐘塔に上る。
景色は絶景だった。
グエル公園やカサ・ミラ、カサ・パトリョなどのガウディ建築を案内される。
観光が終わった後フリータイムがある。
街を見たりお土産や記念品を買って行ったり。
ランプラス通りやカタルーニャ広場、ディアゴナル・マル、センターコマーシャル・アレナス・デ・バルセロナなどを見て回る。
そのあとレストランでディナー。
バルセロナの景色を一望できるレストラン。
ちょっぴり大人の雰囲気を楽しむとホテルにもどりシャワーを浴びる。
明日には日本に戻る。
楽しい一週間だった。
日本に帰ればまた忙しい毎日が始まる。
シャワーを出ると善君がテレビを見てる。
サッカーの試合をやっていた。
他のを見ても分からなかったのだろう。
「今日でいよいよ終わりね」
「そうだね」
「楽しかったわ」
「そうだね」
「帰ってからが本番よね?」
「?」
彼は不思議そうに私を見る。
「私達の新婚生活」
「あ、そうだね。お手柔らかにお願いします」
それは私の台詞よ、善君。
「こちらこそよろしくお願いします」
私はベッドの上に正座して頭を下げる。
「明日は早朝に出るみたいだし早く寝ようか?」
「そうだね」
ベッドに入ると二人で眠りにつく。
今頃日本では何が起こっているんだろう。
そんな事を考えながら夢を見ていた。
(5)
夕食を食べてシャワーを浴びて愛莉が戻るのを待つ。
それまでゲームをして適当に時間を潰していた。
意識して選んだわけじゃない。
ただ何となく手にしたゲームがそれだった。
カーゲーム。
自分で車を購入してカスタマイズして走る奴。
エンジンの音がリアルでそれっぽい雰囲気を出す。
だがそれがいけなかったらしく。
ぽかっ
「まだ車に未練があるの!?」
また入っていたみたいだ、愛莉が部屋に戻ってきたことにまったく気づかなかった。
慌ててゲームを消す。
愛莉は僕からコントローラを取るとゲーム機の電源を入れる。
そしてカーゲームを始める。
「うぅ……私の乗ってる車がないよ~」
そりゃ、ないだろうよ……。
「あ、このゲーム対戦できるよ?やろうやろう」
「いいのか……?車のレースゲームだぞ?」
「冬夜君の気が済むなら付き合うよ~。今夜はこれやろう。明日は休みだし」
「でもトレーニングしなきゃだろ?」
「わかってるならそれでよし!」
ハンデするかな。でもこのゲーム……。
いくら僕が遅い車を選んで愛莉に早い車を勧めたところで……。
「冬夜君壁にぶつかっちゃった!どうしたらいいの?」
「いったんバックして……」
こうなるんだよなあ。
「冬夜君わざと難しい車勧めたでしょ!意地悪~」
理不尽だ。
でも最初は遅い車で操作に慣れさせた方が良いのかも……。
愛莉とコントローラを交換して愛莉に僕の車を操作させる。
因みにミッションはATにしてある。
自分の車は置いておいて愛莉の手を握って操作を教えてやってるから……。
「わ~い勝った~」
そりゃ僕操作してないからね。
「もう覚えたよ~。次は本気でかかってきていいよ」
「言ったな……後悔するなよ」
愛莉がてこずっていた車をいとも簡単に操作する僕。
スペックが違うんだもん。そりゃ圧勝するさ。
すると愛莉がぽかぽかと僕を叩く。
「冬夜君の車速くてズルい!」
理不尽だ。
「じゃあまた交換する?」
「同じ車種にしようよ」
じゃあ、初心者にお勧めの車で3度目の対戦。
愛莉には内緒だけど手加減した。
「わ~い勝った~」
愛莉は満足したようだ。
「冬夜君そろそろPCゲームの時間じゃない?」
あ、1時間くらい過ぎてる。
慌ててPCを起動させてログインする。
「冬夜おせーぞ!」
「とーや来たのか!?これで勝てる!」
因みに言おう、愛莉もいる。
土曜日の対戦は日曜とレギュレーションが異なる。
愛莉も土曜日用のキャラを作らせた。
「何がいい?」て聞いたら「冬夜君と一緒の~、強そうだもん」と言った。
愛莉のキャラを急いで育成して、装備は僕のおさがりを渡した。それでも十分勝てるはずだ。
「わ~すごい強い~」と大はしゃぎの愛莉。
対戦が済んだ後ログアウトするとそろそろ寝よっかってなる。
明日も朝早いし。
なぜって?
ああ早くトレーニング済ませて午後から遊んだほうがいいだろ?
照明を落とすと、ベッドに入る。
「明日は何する?」
「気晴らしに久しぶりにドライブでも行こうか?」
「じゃあ、お弁当作る~」
「トレーニングした後そのまま行こう?」
「着替えは?」
「更衣室で着替えたらいいだろ?」
「わかった~」
愛莉を抱えて眠りにつく。
愛莉も僕に抱き着いて眠りにつく。
僕にはいくつもの翼があった。
それを一つ一つもがれていって、1対の翼が残る。
その翼を使って空を舞う。
その先に広がるのは綺麗な世界。
誰かが言ってた。
「才能のある者はいつかは立つべき舞台に立つんだ」って。
その舞台に挑もうとしていた。
堕ちてもいい。
きっと愛莉が癒してくれるだろう。
3対の羽を背中につけた愛莉が。
愛莉がいるから先に踏み出せる。
愛莉が僕の行く道を照らしてくれる。
仲間が僕を後押ししてくれる。
それで十分じゃないか。
とりあえず今は木元先輩の引退に花を添える事だけを考えよう。
その前に愛莉のご機嫌取りかな?
そんな事を考えながら愛莉の温もり感じながら夢の中に入っていた。
身体が熱い。
心が温かい。
何だろうこの温もり
瞼を開けると冬夜君の顔が目前にあった。
冬夜君にしっかりと抱きしめられれて眠っていた。
通りで……。
この格好じゃ何もできない。
朝陽はまだ見えないけど、多分目が覚めたという事は朝なんだろう。
冬夜君の耳元で囁く。
「冬夜君朝だよ」
冬夜君は目を覚ますと「おはよう愛莉」と言ってくれる。
2人で起き上がると着替えて家を出る。
私は自転車に跨り冬夜君は軽くストレッチをする。
「準備出来たよ」
冬夜君に言うと冬夜君はジョギングを始める。
近くの大きな公園の周りを回り続ける。
下り坂も上り坂もある丁度いいコース。
1時間くらい続けると帰宅する。
ストレッチをして家に帰ると冬夜君はシャワーを浴びる。
その間にご飯を用意する。
ご飯を用意し終える頃に冬夜君の両親が起きてくる。
「おはよう愛莉ちゃん」
両親はそう言ってテーブルにつく。
麻耶さんは配膳を手伝ってくれる。
冬夜君が部屋から戻ってくると「いただきます」と言う。
ご飯が終わると片づけは麻耶さんに任せて私はシャワーを浴びる。
そしてコーヒーをマグカップに入れて片方にはミルクを入れて冬夜君の部屋に戻る。
冬夜君はテレビを見ている。
土曜日のテレビはあまり興味がない。
それは冬夜君も一緒みたいで、冬夜君はスマホを弄っている。
そしてコーヒーを飲み終えると立ち上がってテレビを消す。
「そろそろ行こうか?」
「うん」
私もバッグを持って部屋を出て。冷ましてあった弁当を包んでバッグに仕舞うと家を出た。
(2)
「おはようかずさん、朝だよ」
起きるとパジャマ姿の花菜が俺の体を揺すってる。
ああ、今日でいよいよ最後なんだな。
「おはよう花菜」
起きるとさっそく着替える。
その間に花菜は朝食の準備に取り掛かる。
着替えて準備をしている間に朝食は出来上がっていた。
テーブルに並べられると席について二人向かい合って手を合わせて「頂きます」と言う。
ご飯を食べ終えると花菜が片付けている間リビングでテレビを見ている。
花菜が片づけを終えると昨夜のうちにつくってあったお弁当のおかずを弁当箱に詰めて部屋で着替える。
着替え終えた花菜が持っていたバッグに弁当を入れる。
「かずさんそろそろ行きましょう」
「ああ」
そう言って家を出る。
「今日が最後の練習だね」
助手席から話しかけてくる花菜。
「そうだな」
「社会人になっても続けるんですか?」
「会社には無いけど社会人チームってあるらしいから出来れば続けていきたいかな」
「そうなんだ……」
花菜は寂しそうだ。理由は察しが付く。
「そんな顔するなよ。ちゃんと花菜との時間も作るから」
「はい!」
駐車場に車を止めると体育館に急ぐ。
更衣室を見ると既にみんな来てるようだ。
慌てて着替えてコートに向かう。
コートでも男女とも練習を始めていた。
「おっす、木元先輩」
蒼汰の声が響くと皆が俺に気づいて、挨拶をする。
「木元先輩ストレッチしてから練習に加わってください」
佐倉の言う通りにストレッチしてから練習に臨む。
ディフェンスフットワークの練習だった。
その後5対5の練習に入る。
佐倉の指導がいいのか、一年もなかなか良いディフェンスをする。
パスコースがみつからない。
「先輩こっち!」
気づくと冬夜がディフェンスを振り切ってパスを受け取りに来る。
トップで冬夜にボールを渡すと冬夜はドリブルで左側に回り込もうとする。進行方向にもう一人つく。ダブルチームで冬夜を封じる作戦か。
だが、もはや冬夜はダブルチームでも防げない領域に達していた。
急ブレーキして左手でドリブルしていたボールを背後に回し右手でドリブルしつつ身を反転させて右側に回り込もうとする。3人目がポストから回ってくる。
そのディフェンスがつく前に冬夜はゴール下にバウンドパスを送る。
恭太が受け取りそのまま身を反転してシュート。
「ナイッシュー」
恭太と冬夜がハイタッチする。
「先輩シュート決めたらすぐにディフェンスにつく!」
佐倉の容赦ない指示が飛ぶ。
そうして午前中の、練習が終わった。
お昼休憩のミーティング。
「今度の相手チームにはアウトレンジからのシュートはほぼありません。打ち合いにするならゾーンでしっかり固めるべきだと思います」
佐倉がそう言う。
「トップには片桐先輩についてもらいます。相手のPGを封じてください。問題はポストに入ってこられた時です」
「確か2M越えてるだったか?」
恭太が言う。
「相手にゴールに向かせない。向かせても飛ばせない。とにかく相手の体力を削ることに専念してください。赤井先輩の体力も消耗すると思いますが、そこが勝負です。あと無理に止めようとしないで。失点覚悟の戦術ですから」
「わかったよ」
「代表のセンターは198㎝です。身長差は言い訳にさせませんからね!」
「手厳しいな」
「あとは相手のポジション的に右側に木元先輩についてもらいます。
「なんでだ?」
俺は佐倉に聞いてみる。
「相手のエースがそっち側にいるから。相手のパス・ドライブを防いでください」
「OK」
「午後は女子との試合形式の練習です。早速試してみましょう。パスは低いパスを心がけてください。高い位置のパスは全部カットされるつもりで」
「よし、じゃあ行こうか!」
真司がそう言うと皆立ち上がる。
残り半日の練習が始まる。
試合形式の練習は対戦相手想定の戦術の確認だった。
その事を察したのか女バスの監督もオールコートプレスをしてくれた。
「監督無理ですよ!片桐君一人でマークなんて不可能です」
藤堂さんが音を上げるが監督は容赦ない。
「泣き言言うならコートから出てもらうよ!日本一のプレイヤーが相手してくれてるんだ!積極的にディフェンスして行け!」
「ひぇ~」
ハーフコートの練習中はセットプレイを意識してなのか、苦手克服を意識してなのかしらないけど、自分からシュートに行かない冬夜だったが、試合形式になると相手コートに入った途端問答無用でシュートを打つ冬夜。
2人どころか3人ついてもその隙間を縫うようにパスを飛ばす。
休憩時間中に女バスのメンバーが相談する。
そして休憩時間が済むと、俺にダブルチームを仕掛けてきた。
「先輩、悪いけど片桐君にパスは通しませんよ!」
「そう来ないと面白くない」
戦術は悪くない、だが相手が悪すぎる。
冬夜はマークマンを振り切り自分からパスを受け取りに来る。そして、ボールを受け取ると、そのままその片手でフリーになった味方にパスを出す。
冬夜もオールラウンダーのようだ。身長的に、体格的にセンターには向いてないようだが。
それでも恭太がハイポストに入った際自らローポストにはいってボールを受け取り見事にフックシュートを決める。恭太が外したボールを強引にダンクに持っていく。
結局冬夜に3人つくしかないんだが、それでも女バスの体力では冬夜を抑えることは不可能なようだった。
「ごめんね、冬夜君私達じゃ話になんないわ」
冬夜を止めるどころか逆に得意のドライブを封じられた羽海野さんが謝る。
「大丈夫、無理させてごめんね」
冬夜はまだ余力があるらしく一人シュート練習を始める。
それを見ていた男バスの連中もシュート練習を始める。
男バスの連中は皆余力があった。
冬夜一人で大体プレイが済んでいたから。
「片桐先輩メンバーチェンジです佐と替わって!」
え?と顔をする冬夜。
「フォーメーションの確認が出来ません。他の皆全然疲れてないし」
佐倉の指示に従いコートを出る冬夜。
その後も練習は続いた。
17時ごろになるとみんなクールダウンを始める。
そして練習が終わった。
後は引退試合だけだ。
それで俺の大学バスケは幕を閉じる。
「先輩今までお疲れ様でした!!」
蒼汰が頭を下げると皆頭を下げる。
「おいおい来週の試合までまだ現役のつもりだぞ」
俺は皆にそう言うが。
「先輩最後まで残ってくれてありがとうございました」
佐倉まで……。
「今度の試合楽しみにしてます。頑張って悔いのないプレイをしてください」
「ああ、ありがとう」
「じゃあ、今日は前祝でぱーっとやりましょう!」
「ダメです!打ち上げは勝った後です!」
蒼汰の提案はあっさり佐倉に却下された。
一人コートに残りバスケットを見つめる。
誰かが近づいてきた。
「お疲れ様でした」
花菜がそう声をかけてくれた。
「まだ現役だぞ、泣くのは早い」
「そうだね」
花菜はそう言って笑っていた。
(3)
「こんにちは~」
今日も咲良がやってきた。
「……お前予定とかないのか?」
「これから浮気相手とデートなんです~、……とでも言わせたいんですか?」
「お前に限ってそれはねーな」
「……侮られてる?」
「そんなつもりで言ったんじゃねーよ。信頼してるつもりなんだけどな」
「ならいいんです~。私が好きで来てるんだから気にしないで」
咲良が来たと言って何があるわけでもない。お見舞いにもってきたデザートを食べながら他愛のない話をする。
「そう言えば明後日だったな。バスケの試合。お前も見に行くんだろ?」
「ええ、神奈先輩が送迎してくれるって言うから行ってきます~。春樹の分も応援しますからね~」
「ああ」
「片桐と言えば、あれから山の方には行ってないのか?」
「そんな暇ないみたいですよ~。昼間は練習、夜は遠坂先輩の相手で~」
「なるほどな」
咲良の話からして山はきっぱり諦めたらしい。
かなりの説得の時間を要したようだが。
「俺も今の車売るかな?」
「え?」
「もっと燃費の良い車に乗り換えてさ……その方が咲良も安心できるだろ?」
「車があるから走る……そういいたいわけですか~」
「車が良いから走りたくなる……そう言いたいだけさ」
「……そんなの逃げ口実だよ!変えるのは車じゃない春樹の気持ちだよ!」
「その気持ちを整理するために車変えようって言ってるんだけど」
「スピードの向こう側」
「?」
咲良が不思議な言葉を言い出した。
「走り屋が目指してるものだって神奈先輩が言ってました。限界を超えた走りを求めて走るって」
スピードの向こう側か、そんなものがあるんだろうか?
「でも片桐先輩はいってました。どんな車でも限界はあるって。そして公道はその限界値が低い。道路状況が安全じゃない。だからプロは飛ばさないって言ってました」
片桐が言うんだ、間違ってはいないだろう。
「春樹はどうなんですか?街中で飛ばそうと思いますか?本当は限界分かってるんじゃないですか?限界があるのは車じゃない人間の方だって分かってるんじゃないですか?」
ただ黙って聞いていた。
限界は車じゃなくて人間か。言い得て妙だな。
「分かったよ……咲良の言う通りだな」
「物分かりの良い彼氏でよかったです~」
咲良はそう言って笑う。
「あ、そろそろ時間。また来ますね~」
「ああ、また明日」
「はい~」
そう言って咲良は帰っていった。
すれ違いで入ってきたのは母さんだった。
「今のが彼女さん?」
「そうだけど」
母さんは、一枚のお見合い写真を渡した。
「……どういうつもりだ?」
「……あの子とは遊びで済ませなさい」
「どういう意味だ?」
「そのお嬢さん取引先のご令嬢でね……」
「俺は後を継ぐつもりは無いと言った」
「もうそろそろ物事の分かる年だと思っていたけど」
「悪いが断ってくれ。自分の相手は自分で決める」
「あんた就職先も決まってないんだろ?だったら……」
「帰ってくれないか」
「……またくるよ」
そう言って母さんが帰っていった。
自由でいられるのも今のうちか。
自分が情けなくなる。なんだかんだ言っても未だに親の籠の中の鳥。
飛び立つ翼が欲しい。
心底そう思っていた。
(4)
六日目
バルセロナ市内を観光。
サグラダファミリアの鐘塔に上る。
景色は絶景だった。
グエル公園やカサ・ミラ、カサ・パトリョなどのガウディ建築を案内される。
観光が終わった後フリータイムがある。
街を見たりお土産や記念品を買って行ったり。
ランプラス通りやカタルーニャ広場、ディアゴナル・マル、センターコマーシャル・アレナス・デ・バルセロナなどを見て回る。
そのあとレストランでディナー。
バルセロナの景色を一望できるレストラン。
ちょっぴり大人の雰囲気を楽しむとホテルにもどりシャワーを浴びる。
明日には日本に戻る。
楽しい一週間だった。
日本に帰ればまた忙しい毎日が始まる。
シャワーを出ると善君がテレビを見てる。
サッカーの試合をやっていた。
他のを見ても分からなかったのだろう。
「今日でいよいよ終わりね」
「そうだね」
「楽しかったわ」
「そうだね」
「帰ってからが本番よね?」
「?」
彼は不思議そうに私を見る。
「私達の新婚生活」
「あ、そうだね。お手柔らかにお願いします」
それは私の台詞よ、善君。
「こちらこそよろしくお願いします」
私はベッドの上に正座して頭を下げる。
「明日は早朝に出るみたいだし早く寝ようか?」
「そうだね」
ベッドに入ると二人で眠りにつく。
今頃日本では何が起こっているんだろう。
そんな事を考えながら夢を見ていた。
(5)
夕食を食べてシャワーを浴びて愛莉が戻るのを待つ。
それまでゲームをして適当に時間を潰していた。
意識して選んだわけじゃない。
ただ何となく手にしたゲームがそれだった。
カーゲーム。
自分で車を購入してカスタマイズして走る奴。
エンジンの音がリアルでそれっぽい雰囲気を出す。
だがそれがいけなかったらしく。
ぽかっ
「まだ車に未練があるの!?」
また入っていたみたいだ、愛莉が部屋に戻ってきたことにまったく気づかなかった。
慌ててゲームを消す。
愛莉は僕からコントローラを取るとゲーム機の電源を入れる。
そしてカーゲームを始める。
「うぅ……私の乗ってる車がないよ~」
そりゃ、ないだろうよ……。
「あ、このゲーム対戦できるよ?やろうやろう」
「いいのか……?車のレースゲームだぞ?」
「冬夜君の気が済むなら付き合うよ~。今夜はこれやろう。明日は休みだし」
「でもトレーニングしなきゃだろ?」
「わかってるならそれでよし!」
ハンデするかな。でもこのゲーム……。
いくら僕が遅い車を選んで愛莉に早い車を勧めたところで……。
「冬夜君壁にぶつかっちゃった!どうしたらいいの?」
「いったんバックして……」
こうなるんだよなあ。
「冬夜君わざと難しい車勧めたでしょ!意地悪~」
理不尽だ。
でも最初は遅い車で操作に慣れさせた方が良いのかも……。
愛莉とコントローラを交換して愛莉に僕の車を操作させる。
因みにミッションはATにしてある。
自分の車は置いておいて愛莉の手を握って操作を教えてやってるから……。
「わ~い勝った~」
そりゃ僕操作してないからね。
「もう覚えたよ~。次は本気でかかってきていいよ」
「言ったな……後悔するなよ」
愛莉がてこずっていた車をいとも簡単に操作する僕。
スペックが違うんだもん。そりゃ圧勝するさ。
すると愛莉がぽかぽかと僕を叩く。
「冬夜君の車速くてズルい!」
理不尽だ。
「じゃあまた交換する?」
「同じ車種にしようよ」
じゃあ、初心者にお勧めの車で3度目の対戦。
愛莉には内緒だけど手加減した。
「わ~い勝った~」
愛莉は満足したようだ。
「冬夜君そろそろPCゲームの時間じゃない?」
あ、1時間くらい過ぎてる。
慌ててPCを起動させてログインする。
「冬夜おせーぞ!」
「とーや来たのか!?これで勝てる!」
因みに言おう、愛莉もいる。
土曜日の対戦は日曜とレギュレーションが異なる。
愛莉も土曜日用のキャラを作らせた。
「何がいい?」て聞いたら「冬夜君と一緒の~、強そうだもん」と言った。
愛莉のキャラを急いで育成して、装備は僕のおさがりを渡した。それでも十分勝てるはずだ。
「わ~すごい強い~」と大はしゃぎの愛莉。
対戦が済んだ後ログアウトするとそろそろ寝よっかってなる。
明日も朝早いし。
なぜって?
ああ早くトレーニング済ませて午後から遊んだほうがいいだろ?
照明を落とすと、ベッドに入る。
「明日は何する?」
「気晴らしに久しぶりにドライブでも行こうか?」
「じゃあ、お弁当作る~」
「トレーニングした後そのまま行こう?」
「着替えは?」
「更衣室で着替えたらいいだろ?」
「わかった~」
愛莉を抱えて眠りにつく。
愛莉も僕に抱き着いて眠りにつく。
僕にはいくつもの翼があった。
それを一つ一つもがれていって、1対の翼が残る。
その翼を使って空を舞う。
その先に広がるのは綺麗な世界。
誰かが言ってた。
「才能のある者はいつかは立つべき舞台に立つんだ」って。
その舞台に挑もうとしていた。
堕ちてもいい。
きっと愛莉が癒してくれるだろう。
3対の羽を背中につけた愛莉が。
愛莉がいるから先に踏み出せる。
愛莉が僕の行く道を照らしてくれる。
仲間が僕を後押ししてくれる。
それで十分じゃないか。
とりあえず今は木元先輩の引退に花を添える事だけを考えよう。
その前に愛莉のご機嫌取りかな?
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