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4thSEASON
好きでいられることが何より生きていゆく糧になるでしょう
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(1)
その晩皆で盛り上がっていた。
僕のバスケの話と晴斗達の話題が中心だった。
「そうか、トーヤは地元銀行希望か」
カンナが言うと誠がため息を吐いた。
「俺もその線で行くかな、どっかサッカーしてる企業探してさ」
「誠がトーヤと同じ道を歩むっていうならせめて日本代表になるくらいにはなってもらわないとな」
「無茶言うなよ」
「トーヤは無茶言ってるぞ、しかもちゃんと道を進んでる、まずは代表でポジションを獲得した」
「冬夜は凄いのは認めるよ」
「お前だって凄いよ。地元サッカーチームからスカウト来てるんだろ?」
「え?そうなの?誠君」
愛莉が驚いていた。
「まあね、今シーズン途中からでも良いから使いたいってさ」
「サッカーで生きていくんでしょ?だったら入ってもいいんじゃない?」
「まあそうなんだけどね……」
何か問題あるんだろうか?
「怪我したら終わりだ。大学行ってる意味すらなくなってしまう」
「そっかあ~……そういう問題もあるよね?」
「誠……念のため言っておくが……」
カンナが言った。
「もし『私と離れるのが嫌だ』とかくだらない事考えてるなら私はすぐにでも離婚届書くからな」
「それはないよ、そんな何か月も帰ってこないわけじゃないんだし。今までに比べたら短いくらいだよ」
「ならいいんだけど」
「それにしても先輩たちすげーっすね。もう将来の事考えてるんすね?」
「この二人が特殊なだけだよ。せっかくのチャンスを棒に振ろうとしている」
晴斗が言うとカンナが返した。
「将来と言えば渡辺班は将来どうなるの?私達が卒業してしまったら……」
恵美さんが言った。
「どうもこうもないよ、変わらないで続いていくだけさ。俺たちは別に何かの部活をやってるわけじゃない、皆が気に入って皆が集まって騒いでるだけさ。社会人になってもそれは変わらない」
渡辺君が言う。
「流石っす渡辺先輩かっけーっす!」
晴斗が言うと皆が拍手する。
ただの仲間か。
ずっと続いて行けばいい。そう思った。
誰もが信じていた、渡辺班の絆は永遠に続くものだと。
「晴斗は将来の事考えてるの?」
「俺っすか?」
白鳥さんが晴斗に聞いていた
「ええ、私ともいつまでも友達感覚でいるつもりなの?」
「いや、春奈とは恋人のつもりっすよ」
「恋人と友達の違いって何?」
「恋愛感情の有無じゃないっすか?俺めっちゃ春奈の事好きっすよ?」
「本当にそう?」
「どういう意味すか?」
なんか雲行きが怪しいぞこの会話。
「おい、春奈。お前は晴斗の事好きじゃないのか?」
カンナが聞くと白鳥さんは即答した。
「好きじゃなかったらこんな発言しない」
「だったら、さっき浴場で話したろ?後は晴斗がリードしてくれるって」
「私は、晴斗の隣で一緒に歩きたい。同じ目線に立っていたい。誰かの後をついて行くなんて生き方はもういや」
白鳥さんの心が乱れてる。
どうしたんだろう?
理由はすぐにわかった。
白鳥さんの足元にある輝く凹凸のある空き缶。
僕は美嘉さんを見る。
「いやあ、飲んだ事無いし興味もないって言うから『何事もまずは体験からだって晴斗の件で学んだろ?』ってそしたら『意外と美味しいわね』って……」
「美嘉、お前は……」
「それより渡辺君、白鳥さんを止めないと」
「そうだな」
僕と渡辺君は立ち上がる。
「晴斗、恋人の道ってどんなことがあるの。私達はやっと手を繋いで歩けた。けどその先のキスはいつしてくれるの?あの時言ってた『最後まで』ってどういう意味?」
「そ、それはっすね……」
返答に苦しむ晴斗。
僕と渡辺君は白鳥さんの腕を掴む。
「白鳥さん今夜はこのくらいにしておこうか?」
「まだ寝るには早いわ」
「まあ、今夜はゆっくり休むといい。明日も明後日もあるんだし。美嘉と恵美さん。ちょっと手伝ってくれないか?部屋が分からない」
そう言って無理矢理白鳥さんを引きずる。
「離してください。私まだ晴斗と話がしたい!」
「んじゃそろそろお開きにするか。白鳥に教育してやんないといけないしな」
美嘉さんが言うと片づけ始める。
「教育ってなんですか?さっきの事教えてくれるんですか?」
「ああ、嫌がっても教えてやるさ。晴斗こっちは任せてけ」
「わかったっす」
美嘉さんと恵美さんと僕と渡辺君で白鳥さんを宥めながら、寝室に連れて行く。
通路を歩く頃には白鳥さんも落ち着きを取り戻したようだ。
「すいません、初めてだったものでつい……」
「気にしなくていいよ。そんなに恋に興味を持つとは思ってもみなかったけどね」
白鳥さんが謝ると僕が返した。
「後でみっちり教えてやるからな。聞いて後悔するなよ?」
「そんなに怖い事なんですか?」
「女性に寄っては怖いと感じるかもしれないわね。男次第ってところもあるだろうけど……」
「晴斗次第ですか……」
「こほん、その話は女性同志でしてくれないか?」
渡辺君は咳払いをすると美嘉さん達は笑っていた。
「あら?ごめんなさい。もうそういうのには慣れてると思ったからつい」
「正志今更照れるなよ!」
恵美さんと美嘉さんが言う。
そして寝室に連れて帰ると僕達は部屋に戻る。
片付けは大体住んでいた。
じゃあ、皆おやすみと寝室に向かっていった。
(2)
「海未ちゃん、丹下先生に電話しなくていいの?」
「多分まだ原田さんと飲んでると思うから」
そう言っていると海未ちゃんのスマホが鳴る。
「夜更かししないでちゃんと寝るんだぞ」ってメッセージが来たらしい。
「夜更かししないでって言われてもね~」
「ね~」
私も海未ちゃんもこんな時間から寝れるほど子供じゃない。
「私達も女性同士で盛り上がろうか?」
「そうだね、女子会だね」
「何何そういう話なら混ぜてよ~」
咲さんがやってきた。
「ご主人は放っておいていいんですか?」
「放っておくも何も男同士で盛り上がってるから」
「私も混ぜてもらおうかな~。向こうの話白鳥さんの話とかでつまんないし~」
咲良さんもやってきた。
「同期って事なら私もまぜてもらおうかな?」
佐倉さんが来た。
「ちょっと歳離れてるけどいいわよね?」
深雪さんが来た。
一気に人が増えた。
「深雪さん、西松さんはあれからどうなったんですか?」
私は深雪さんに聞いてみた。
「うん?ちゃんと家事してくれるようになったわよ」
「良かったですね」
「海未ちゃんだっけ?そっちはどうなの?」
「私は……逆だから」
逆?
「私が家事をしようとすると『その時間作業に使え』って修ちゃんがなんでもやってしまう」
「ある意味羨ましいわね?」
「咲さんのところは?」
海未ちゃんが咲さんに聞いていた。
「私のところは共働きだから当番制かな。でもあいつ『旅行に行きたいから』って深夜のバイトまで入れだして、体が心配で」
「それはよくないわね……」
「家計は成り立ってるから心配するなって言ってるんだけど」
「新名さんはどうなの?椎名さんと上手くいってるの?」
深雪さんが聞いてきた。
「どうって言われても。多分白鳥さんと同じかも」
「え?」
「浴室で話してたでしょ?『キスもまだ』って……私も同じだから」
「半年以上つきあってるのに!?」
私かこくりとうなずいた。
「それを言ったら私もしてないよ」
海未ちゃんが言う。
え!?
「結婚してるのに!?」
「うん」
「それはちょっと……ね」
咲さんが言う。
「私やっぱり子供だからかな~」
「そんなの関係ないよ」
「じゃ、魅力がない?」
「そんな人と結婚しないでしょ」
深雪さんが言う。
まあ、イメージ的にそういうの積極的にする人じゃないよね?
「じゃあさ、2人で勝負しようよ!」
「勝負?」
「どっちが先にキスをするか!?」
「それって新名さんが有利なんじゃない?だって今すぐしようと思ったらできるでしょ?」
そんな度胸があるならもうしてるよ。
「話から察するに二人共初めてなんでしょ?そんな勝負とか言ってないでゆっくり待ってた方が良いわ」
深雪さんが語る。
「ちなみに深雪さんの初めての相手って?」
「主人よ?」
そういって笑う。
「前に言ったと思うけど、恋愛感情って持ってなかったから。なんとなく婚約相手としたってだけかな?」
「片桐先輩に気づかせてもらえたんでしたっけ?」
「そうね、彼は本当に不思議な人ね」
その片桐先輩を見ると渡辺先輩と白鳥さんを引きずっている。
なにがあったんだろう?
「皆そろそろお開きにしよう」
美嘉さんが言うと皆片づけを始める。
「じゃ、続きは明日の晩に」
「そうですね」
そう言って私達も片づけを始めた。
(3)
神奈さんのスマホの動画を見る。私達。
恐怖?
恥ずかしさ?
不安?
色々な感情が混ざり合って混乱している。
「……こんな事本当にするんですか?」
私は神奈さんに聞いていた。
「人間しなきゃ私達だって生まれてこなかったんだぞ」
神奈さんはそう言って笑う。
「大丈夫だ、晴斗が相手なら……って思う時が必ず来る。現にキスいつしてくれるんですか?って前の春奈じゃ絶対に言わなかったぞ」
確かにそうだ。
「どうやったら、緊張がほぐれるんですか?」
「最初は誰だって緊張するさ、それをほぐすのは男の役目。お前は安心して晴斗に身を預けていたらいいんだよ」
美嘉さんがそう言う。
彼は慣れているんだろうか?女友達は沢山いると聞いた。想像すると嫌になるから止めた。
それにそんなに経験豊富ならどうして私には何もしてくれないの?私に魅力がない?
「断言する、今春奈が思ったことは絶対にないから」
神奈さんがそう言う。
「どうして?」
「あいつ、チャラそうに見えて意外と真面目なんだな。トーヤの見る眼は相変わらず確かってわけか?」
真面目だとそういう行為しないの?
「男ってさ、真面目な奴ほど本気の相手にそういうの奥手になるんだよな。彼女を傷物にしたくないとかしょうもない事考えて」
亜依さんがそう言う。
そういうものなんだろうか?
「だから後は春奈の気持ち次第だよ。春奈が晴斗としたいって思ったら準備していたらいい?いつでもいいよってサイン送ってやればいい」
「サイン?」
「顔を近づけて話すとか頻繁にボディタッチするとか色々あるな」
「要は相手をその気にさせればいいのよ」
恵美さんが言う。
その気にさせる。顔が熱くなっていくのが分かった。
「恋しくなったら甘えてみるのも手だよ『私は貴方に甘えたいの』ってこれでもかってくらいアピールするの。それでも気づいてくれない時は……」
遠坂さんが言う。そんな時はどうしたらいいの?
「直接伝えるしかないね。少しは私を見てってきっと伝わるよ」
「そこまでしてしないといけないものなの」
「そこまでしてでもしたくなるが正解かな?ぎゅっと抱きしめて欲しいって思う時が必ず来るから」
そうなのかな。
「私は冬夜君ほど鋭くは無いけど、今白鳥さんがすごく晴斗君の事好きなの分かるよ。好きでいられることを生きている糧にしてるくらい」
好きでいられることが何より生きている糧になる。か……。
なるほどね。この気持ちが育っていくのね。
現に彼とのキスを求めている。
その先にある物なのだろうきっと。
そして最終的にいきつくところがそれなんだろう。
晴斗は私の気持ちにきづいてくれるだろうか?
胸の中にはじけ飛んだこの想いが。
現に裏切れないこの世界を変えてゆけた。
これからも晴斗が変えてくれる。
そんなきがした
(4)
「参ったっす。春奈からあんなセリフでてくるなんて」
「その気にさせたのは晴斗だろ?
「そうっすね、俺も男っす。春奈に恥かかせられないっす」
「そんなに意気込むなよ、本番ミスするぞ」
「了解っす」
それを気合入れ過ぎっていってるんだけどな。
「それにしても冬夜には恐れ入ったな、ドリンクのせいもあるとはいえあの白鳥さんにあそこまで言わせるとは」
渡辺君が驚いてる。
「それだけ白鳥さんが純心だったってことでしょ?とげとげの無いまん丸な石ほど、ちょっと傾けてやるだけで簡単に転がっていく」
本当はすでに傾いていたのかもしれない。ただ壁が塞いでいた。その壁を壊してやれば簡単に転がっていっただけかもしれないけど。
「で、この後どうすればいいんすか?片桐先輩」
「それは晴斗が自分で考えなくちゃ。そういうの慣れてるんだろ?」
「相手が女友達と、彼女とじゃ全然違うっす。嫌われたくないっす」
普通は逆だと思うんだけどな。
「早いうちに誘ってやるんだね。まずはキスからかな?彼女をいきなり知らない世界に放り込むのも可哀そうだし」
もっとも女性陣が色々教えてるんだろうけど。
「了解っす!キスっすね!」
「あまり力まない方が良い。自然に任せて」
「了解っす。俺彼女とやってみたい事があったっす」
「それはなに?」
「テレビ塔で、キスする事っす」
「それは彼女にとっても良い想い出になるかもしれないな」
渡辺君が言う。
「こっちには何かアドバイスねーのか?」
佐(たすく)がアドバイスを求めてる。
「佐はうまくやってるだろ?今さら言う事なんてないよ」
「ほう、水島君は佐倉さんと上手くいってるのか?」
「どこまでいったんだ?佐倉と」
渡辺君と誠が聞いてた。
誠は特に興味深々だ。
「どこまでか……一緒に洗濯物を干してくれるまではなったよ」
「同棲始めたのか!?」
「さすがにそこまでは、ただどっちかの家に泊った時にな」
「なるほどなあ。あの堅物の佐倉がそこまで堕ちるとはなんかコツあったのか?」
「特にないな。自然になったって感じかな。まあ、俺の方から少し押したけど」
「なるほどな」
佐と誠が話している。
「冬夜お前自身はどうなんだ?遠坂さんと上手くいってるのか?」
「そのつもりだけど……愛莉の扱い方は慣れてきたつもりだよ」
「お前なら簡単に遠坂さんの心の中覗けるだろ?」
誠が言う。
「うーん、覗きたくないってのもあるかもしれない。そこに自分がいなかった時の事を考えると怖い」
「遠坂さんに限ってそれは無いだろ?お前の事しか考えてない。ちゃんと見て行動してやれよ」
「愛莉にも同じ事言われたよ」
そう言って僕は笑う。
「それより、檜山先輩気をつけた方が良い。あまり咲良さんにかまってやってないだろ」
「ああ、この合宿中にちょっと構ってやろうと思ってる」
「それがいい」
他の皆は上手くいってるらしい。
今日一日見ていて分かった。
「と、なると合宿の課題は晴斗と白鳥さんの仲を深いものにする事か?」
「それは問題ないよ。さっきも言ったろ?白鳥さんはもう一歩先を望んでるって。晴斗の希望をきっと叶えてくれる」
「恵美さんに頼んで別室用意してもらうか?」
「それは、逆効果だよ。彼女緊張してしまう」
僕は笑って渡辺君に説明した。
晴斗達はゆっくりと自分たちの道を進めばいい。
お互い好きでいられることが何より生きていく糧になることでしょう……。
「そろそろ寝るか」
「そうだね、晴斗も明日は覚悟しときなよ。多分きつい一日になる」
「何でっすか?」
「明日になれば分かるよ」
「了解っす。じゃあおやすみっす」
そう言っていびきを立てて寝る晴斗。
皆の睡眠を妨害したのは言うまでもない。
その晩皆で盛り上がっていた。
僕のバスケの話と晴斗達の話題が中心だった。
「そうか、トーヤは地元銀行希望か」
カンナが言うと誠がため息を吐いた。
「俺もその線で行くかな、どっかサッカーしてる企業探してさ」
「誠がトーヤと同じ道を歩むっていうならせめて日本代表になるくらいにはなってもらわないとな」
「無茶言うなよ」
「トーヤは無茶言ってるぞ、しかもちゃんと道を進んでる、まずは代表でポジションを獲得した」
「冬夜は凄いのは認めるよ」
「お前だって凄いよ。地元サッカーチームからスカウト来てるんだろ?」
「え?そうなの?誠君」
愛莉が驚いていた。
「まあね、今シーズン途中からでも良いから使いたいってさ」
「サッカーで生きていくんでしょ?だったら入ってもいいんじゃない?」
「まあそうなんだけどね……」
何か問題あるんだろうか?
「怪我したら終わりだ。大学行ってる意味すらなくなってしまう」
「そっかあ~……そういう問題もあるよね?」
「誠……念のため言っておくが……」
カンナが言った。
「もし『私と離れるのが嫌だ』とかくだらない事考えてるなら私はすぐにでも離婚届書くからな」
「それはないよ、そんな何か月も帰ってこないわけじゃないんだし。今までに比べたら短いくらいだよ」
「ならいいんだけど」
「それにしても先輩たちすげーっすね。もう将来の事考えてるんすね?」
「この二人が特殊なだけだよ。せっかくのチャンスを棒に振ろうとしている」
晴斗が言うとカンナが返した。
「将来と言えば渡辺班は将来どうなるの?私達が卒業してしまったら……」
恵美さんが言った。
「どうもこうもないよ、変わらないで続いていくだけさ。俺たちは別に何かの部活をやってるわけじゃない、皆が気に入って皆が集まって騒いでるだけさ。社会人になってもそれは変わらない」
渡辺君が言う。
「流石っす渡辺先輩かっけーっす!」
晴斗が言うと皆が拍手する。
ただの仲間か。
ずっと続いて行けばいい。そう思った。
誰もが信じていた、渡辺班の絆は永遠に続くものだと。
「晴斗は将来の事考えてるの?」
「俺っすか?」
白鳥さんが晴斗に聞いていた
「ええ、私ともいつまでも友達感覚でいるつもりなの?」
「いや、春奈とは恋人のつもりっすよ」
「恋人と友達の違いって何?」
「恋愛感情の有無じゃないっすか?俺めっちゃ春奈の事好きっすよ?」
「本当にそう?」
「どういう意味すか?」
なんか雲行きが怪しいぞこの会話。
「おい、春奈。お前は晴斗の事好きじゃないのか?」
カンナが聞くと白鳥さんは即答した。
「好きじゃなかったらこんな発言しない」
「だったら、さっき浴場で話したろ?後は晴斗がリードしてくれるって」
「私は、晴斗の隣で一緒に歩きたい。同じ目線に立っていたい。誰かの後をついて行くなんて生き方はもういや」
白鳥さんの心が乱れてる。
どうしたんだろう?
理由はすぐにわかった。
白鳥さんの足元にある輝く凹凸のある空き缶。
僕は美嘉さんを見る。
「いやあ、飲んだ事無いし興味もないって言うから『何事もまずは体験からだって晴斗の件で学んだろ?』ってそしたら『意外と美味しいわね』って……」
「美嘉、お前は……」
「それより渡辺君、白鳥さんを止めないと」
「そうだな」
僕と渡辺君は立ち上がる。
「晴斗、恋人の道ってどんなことがあるの。私達はやっと手を繋いで歩けた。けどその先のキスはいつしてくれるの?あの時言ってた『最後まで』ってどういう意味?」
「そ、それはっすね……」
返答に苦しむ晴斗。
僕と渡辺君は白鳥さんの腕を掴む。
「白鳥さん今夜はこのくらいにしておこうか?」
「まだ寝るには早いわ」
「まあ、今夜はゆっくり休むといい。明日も明後日もあるんだし。美嘉と恵美さん。ちょっと手伝ってくれないか?部屋が分からない」
そう言って無理矢理白鳥さんを引きずる。
「離してください。私まだ晴斗と話がしたい!」
「んじゃそろそろお開きにするか。白鳥に教育してやんないといけないしな」
美嘉さんが言うと片づけ始める。
「教育ってなんですか?さっきの事教えてくれるんですか?」
「ああ、嫌がっても教えてやるさ。晴斗こっちは任せてけ」
「わかったっす」
美嘉さんと恵美さんと僕と渡辺君で白鳥さんを宥めながら、寝室に連れて行く。
通路を歩く頃には白鳥さんも落ち着きを取り戻したようだ。
「すいません、初めてだったものでつい……」
「気にしなくていいよ。そんなに恋に興味を持つとは思ってもみなかったけどね」
白鳥さんが謝ると僕が返した。
「後でみっちり教えてやるからな。聞いて後悔するなよ?」
「そんなに怖い事なんですか?」
「女性に寄っては怖いと感じるかもしれないわね。男次第ってところもあるだろうけど……」
「晴斗次第ですか……」
「こほん、その話は女性同志でしてくれないか?」
渡辺君は咳払いをすると美嘉さん達は笑っていた。
「あら?ごめんなさい。もうそういうのには慣れてると思ったからつい」
「正志今更照れるなよ!」
恵美さんと美嘉さんが言う。
そして寝室に連れて帰ると僕達は部屋に戻る。
片付けは大体住んでいた。
じゃあ、皆おやすみと寝室に向かっていった。
(2)
「海未ちゃん、丹下先生に電話しなくていいの?」
「多分まだ原田さんと飲んでると思うから」
そう言っていると海未ちゃんのスマホが鳴る。
「夜更かししないでちゃんと寝るんだぞ」ってメッセージが来たらしい。
「夜更かししないでって言われてもね~」
「ね~」
私も海未ちゃんもこんな時間から寝れるほど子供じゃない。
「私達も女性同士で盛り上がろうか?」
「そうだね、女子会だね」
「何何そういう話なら混ぜてよ~」
咲さんがやってきた。
「ご主人は放っておいていいんですか?」
「放っておくも何も男同士で盛り上がってるから」
「私も混ぜてもらおうかな~。向こうの話白鳥さんの話とかでつまんないし~」
咲良さんもやってきた。
「同期って事なら私もまぜてもらおうかな?」
佐倉さんが来た。
「ちょっと歳離れてるけどいいわよね?」
深雪さんが来た。
一気に人が増えた。
「深雪さん、西松さんはあれからどうなったんですか?」
私は深雪さんに聞いてみた。
「うん?ちゃんと家事してくれるようになったわよ」
「良かったですね」
「海未ちゃんだっけ?そっちはどうなの?」
「私は……逆だから」
逆?
「私が家事をしようとすると『その時間作業に使え』って修ちゃんがなんでもやってしまう」
「ある意味羨ましいわね?」
「咲さんのところは?」
海未ちゃんが咲さんに聞いていた。
「私のところは共働きだから当番制かな。でもあいつ『旅行に行きたいから』って深夜のバイトまで入れだして、体が心配で」
「それはよくないわね……」
「家計は成り立ってるから心配するなって言ってるんだけど」
「新名さんはどうなの?椎名さんと上手くいってるの?」
深雪さんが聞いてきた。
「どうって言われても。多分白鳥さんと同じかも」
「え?」
「浴室で話してたでしょ?『キスもまだ』って……私も同じだから」
「半年以上つきあってるのに!?」
私かこくりとうなずいた。
「それを言ったら私もしてないよ」
海未ちゃんが言う。
え!?
「結婚してるのに!?」
「うん」
「それはちょっと……ね」
咲さんが言う。
「私やっぱり子供だからかな~」
「そんなの関係ないよ」
「じゃ、魅力がない?」
「そんな人と結婚しないでしょ」
深雪さんが言う。
まあ、イメージ的にそういうの積極的にする人じゃないよね?
「じゃあさ、2人で勝負しようよ!」
「勝負?」
「どっちが先にキスをするか!?」
「それって新名さんが有利なんじゃない?だって今すぐしようと思ったらできるでしょ?」
そんな度胸があるならもうしてるよ。
「話から察するに二人共初めてなんでしょ?そんな勝負とか言ってないでゆっくり待ってた方が良いわ」
深雪さんが語る。
「ちなみに深雪さんの初めての相手って?」
「主人よ?」
そういって笑う。
「前に言ったと思うけど、恋愛感情って持ってなかったから。なんとなく婚約相手としたってだけかな?」
「片桐先輩に気づかせてもらえたんでしたっけ?」
「そうね、彼は本当に不思議な人ね」
その片桐先輩を見ると渡辺先輩と白鳥さんを引きずっている。
なにがあったんだろう?
「皆そろそろお開きにしよう」
美嘉さんが言うと皆片づけを始める。
「じゃ、続きは明日の晩に」
「そうですね」
そう言って私達も片づけを始めた。
(3)
神奈さんのスマホの動画を見る。私達。
恐怖?
恥ずかしさ?
不安?
色々な感情が混ざり合って混乱している。
「……こんな事本当にするんですか?」
私は神奈さんに聞いていた。
「人間しなきゃ私達だって生まれてこなかったんだぞ」
神奈さんはそう言って笑う。
「大丈夫だ、晴斗が相手なら……って思う時が必ず来る。現にキスいつしてくれるんですか?って前の春奈じゃ絶対に言わなかったぞ」
確かにそうだ。
「どうやったら、緊張がほぐれるんですか?」
「最初は誰だって緊張するさ、それをほぐすのは男の役目。お前は安心して晴斗に身を預けていたらいいんだよ」
美嘉さんがそう言う。
彼は慣れているんだろうか?女友達は沢山いると聞いた。想像すると嫌になるから止めた。
それにそんなに経験豊富ならどうして私には何もしてくれないの?私に魅力がない?
「断言する、今春奈が思ったことは絶対にないから」
神奈さんがそう言う。
「どうして?」
「あいつ、チャラそうに見えて意外と真面目なんだな。トーヤの見る眼は相変わらず確かってわけか?」
真面目だとそういう行為しないの?
「男ってさ、真面目な奴ほど本気の相手にそういうの奥手になるんだよな。彼女を傷物にしたくないとかしょうもない事考えて」
亜依さんがそう言う。
そういうものなんだろうか?
「だから後は春奈の気持ち次第だよ。春奈が晴斗としたいって思ったら準備していたらいい?いつでもいいよってサイン送ってやればいい」
「サイン?」
「顔を近づけて話すとか頻繁にボディタッチするとか色々あるな」
「要は相手をその気にさせればいいのよ」
恵美さんが言う。
その気にさせる。顔が熱くなっていくのが分かった。
「恋しくなったら甘えてみるのも手だよ『私は貴方に甘えたいの』ってこれでもかってくらいアピールするの。それでも気づいてくれない時は……」
遠坂さんが言う。そんな時はどうしたらいいの?
「直接伝えるしかないね。少しは私を見てってきっと伝わるよ」
「そこまでしてしないといけないものなの」
「そこまでしてでもしたくなるが正解かな?ぎゅっと抱きしめて欲しいって思う時が必ず来るから」
そうなのかな。
「私は冬夜君ほど鋭くは無いけど、今白鳥さんがすごく晴斗君の事好きなの分かるよ。好きでいられることを生きている糧にしてるくらい」
好きでいられることが何より生きている糧になる。か……。
なるほどね。この気持ちが育っていくのね。
現に彼とのキスを求めている。
その先にある物なのだろうきっと。
そして最終的にいきつくところがそれなんだろう。
晴斗は私の気持ちにきづいてくれるだろうか?
胸の中にはじけ飛んだこの想いが。
現に裏切れないこの世界を変えてゆけた。
これからも晴斗が変えてくれる。
そんなきがした
(4)
「参ったっす。春奈からあんなセリフでてくるなんて」
「その気にさせたのは晴斗だろ?
「そうっすね、俺も男っす。春奈に恥かかせられないっす」
「そんなに意気込むなよ、本番ミスするぞ」
「了解っす」
それを気合入れ過ぎっていってるんだけどな。
「それにしても冬夜には恐れ入ったな、ドリンクのせいもあるとはいえあの白鳥さんにあそこまで言わせるとは」
渡辺君が驚いてる。
「それだけ白鳥さんが純心だったってことでしょ?とげとげの無いまん丸な石ほど、ちょっと傾けてやるだけで簡単に転がっていく」
本当はすでに傾いていたのかもしれない。ただ壁が塞いでいた。その壁を壊してやれば簡単に転がっていっただけかもしれないけど。
「で、この後どうすればいいんすか?片桐先輩」
「それは晴斗が自分で考えなくちゃ。そういうの慣れてるんだろ?」
「相手が女友達と、彼女とじゃ全然違うっす。嫌われたくないっす」
普通は逆だと思うんだけどな。
「早いうちに誘ってやるんだね。まずはキスからかな?彼女をいきなり知らない世界に放り込むのも可哀そうだし」
もっとも女性陣が色々教えてるんだろうけど。
「了解っす!キスっすね!」
「あまり力まない方が良い。自然に任せて」
「了解っす。俺彼女とやってみたい事があったっす」
「それはなに?」
「テレビ塔で、キスする事っす」
「それは彼女にとっても良い想い出になるかもしれないな」
渡辺君が言う。
「こっちには何かアドバイスねーのか?」
佐(たすく)がアドバイスを求めてる。
「佐はうまくやってるだろ?今さら言う事なんてないよ」
「ほう、水島君は佐倉さんと上手くいってるのか?」
「どこまでいったんだ?佐倉と」
渡辺君と誠が聞いてた。
誠は特に興味深々だ。
「どこまでか……一緒に洗濯物を干してくれるまではなったよ」
「同棲始めたのか!?」
「さすがにそこまでは、ただどっちかの家に泊った時にな」
「なるほどなあ。あの堅物の佐倉がそこまで堕ちるとはなんかコツあったのか?」
「特にないな。自然になったって感じかな。まあ、俺の方から少し押したけど」
「なるほどな」
佐と誠が話している。
「冬夜お前自身はどうなんだ?遠坂さんと上手くいってるのか?」
「そのつもりだけど……愛莉の扱い方は慣れてきたつもりだよ」
「お前なら簡単に遠坂さんの心の中覗けるだろ?」
誠が言う。
「うーん、覗きたくないってのもあるかもしれない。そこに自分がいなかった時の事を考えると怖い」
「遠坂さんに限ってそれは無いだろ?お前の事しか考えてない。ちゃんと見て行動してやれよ」
「愛莉にも同じ事言われたよ」
そう言って僕は笑う。
「それより、檜山先輩気をつけた方が良い。あまり咲良さんにかまってやってないだろ」
「ああ、この合宿中にちょっと構ってやろうと思ってる」
「それがいい」
他の皆は上手くいってるらしい。
今日一日見ていて分かった。
「と、なると合宿の課題は晴斗と白鳥さんの仲を深いものにする事か?」
「それは問題ないよ。さっきも言ったろ?白鳥さんはもう一歩先を望んでるって。晴斗の希望をきっと叶えてくれる」
「恵美さんに頼んで別室用意してもらうか?」
「それは、逆効果だよ。彼女緊張してしまう」
僕は笑って渡辺君に説明した。
晴斗達はゆっくりと自分たちの道を進めばいい。
お互い好きでいられることが何より生きていく糧になることでしょう……。
「そろそろ寝るか」
「そうだね、晴斗も明日は覚悟しときなよ。多分きつい一日になる」
「何でっすか?」
「明日になれば分かるよ」
「了解っす。じゃあおやすみっす」
そう言っていびきを立てて寝る晴斗。
皆の睡眠を妨害したのは言うまでもない。
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