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4thSEASON
飽きるくらいのkissをしよう
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(1)
「じゃあ、今夜で最後だ!皆思う存分楽しんでくれ!」
渡辺君が言うと宴の始まり。
明日には合宿が終る。
短い3日間だった。
色々あったけど。
一番変わったことは渡辺班がユニティとして生まれ変わった事。
名前が変わっただけでやってる事は変わらないんだけど。
自分たちの存在をアピールすることでエゴイストとやらの卑劣な行動を止めたい。
それだけの目的で作った。
「冬夜、最後の夜だ。しっかり飲めよ!」
渡辺君がやってきた。
どちらかって言うと食べたい派なんだけどね。
「冬夜君に暴飲暴食はだめ!」
愛莉の見張りは厳しい。
そんな愛莉も十分飲んでるんだけど。
「冬夜先輩ちょっといいっすか?」
晴斗がやってきた。どうしたんだろう?」
晴斗は僕に耳打ちする。
「初めてのキスってどうやって盛り上げたらいいっすかね?」
は?
「晴斗まだ……だったの?」
「いや、友達とはやったんすけど、彼女とはやったことないっす」
「僕の経験談は当てにならないよ?」
「遠坂先輩とはどうだったんすか?」
「突然された?」
「へ?」
「家の前で突然された」
「まじっすか!?」
晴斗、声が出かい。
愛莉にも届いたようだ。
「何の話してるの?」
愛莉がやってきた。
別に隠す事じゃないと思ったので愛莉に教えた。
「晴斗が初めてのキスってどうだった?て聞くから」
「え、ええ!?……話したの?」
「うん、隠す事じゃないだろ」
「う、うぅ……そうだけど」
愛莉も若い頃の過ちを後悔してるらしい。
顔を紅潮させているのが良く分かった。
「恥ずかしがることないだろ?僕はあれで嬉しかったけど」
当時は頭真っ白だったけどな。
「あの時は神奈にとられたくない一心だったから」
「何だ?私がどうかしたのか?」
「か、神奈には関係ないよ?」
「でも私の名前読んでただろ?」
「ああ、愛莉とのファーストキスの話をしてただけ?」
するとカンナはにやりと笑って話した。
「愛莉、良いこと教えてやろうか?私のファーストキスの相手もトーヤだ」
「ええ!?」
「神奈それまじか!?」
誠が食いついてきた。
「ああ、愛莉からトーヤ奪いたくてな、結果気づいてもくれなかったけどな」
「東京ではあたりまえだと思ってたんだよ」
「んなわけあるか!?私だってまだ13歳だったんだぞ」
「俺はてっきりあの夜が初めてだったと思ったんだけど。……は俺が初めてだよな?」
誠あんまり突っ込むとカンナに怒られるぞ。
と、思ったのはただの杞憂だったらしい。
カンナは既に酔っていたらしい。
気持ちよく答えてくれた。
「ディープキスは冬夜が初めてだったな。……はしようとしたけど当時の冬夜だったからな」
「……よかった。って冬夜お前ズルいぞ!」
僕は無理やりされたんだけどな。
「初めて自分からディープキスしたのは愛莉が初めてだよ」
そう言ってやると愛莉の悲しそうな顔も元通りになる。
「でも晴斗どうしてそんな事を?」
「そ、それは……」
「晴斗、何話してるの?」
「あ、いや。春奈には関係ないです」
「彼女に隠し事はしないって誰かから聞いたわよ」
白鳥さんの手にはドリンクがあった。
「まあ、そうっすね。実は春奈から昨夜キスをお願いされて」
「おお!」
周りにいた人がどよめく。
「それで途中抜け出したのね?」
亜依さんが来た。
「それでどうなったの?最後までしちゃった?」
「そ、そんなこと春奈にはできねーっす!」
「私とは出来ないってどういう意味?」
晴斗、選択肢を間違えると大変なことになるぞ?
「春奈とは交際初めてまだ日が浅いっす。もっとお互いを知ってから」
「晴斗の事を良く知ってから、交際を認めた。後は恋愛というものを知りたい」
「やるだけが交際じゃないっす!」
「他に良い事があるのね?」
「それをこれから見つけていくっす。気分が盛り上がったらやっちゃうかもだけど」
「て、事は晴斗はやる準備出来てるの?」
恵美さんが聞く。
「男の身だしなみっす。いつでも準備出来てるっす」
「それなら、今夜特別室を用意してあげるわよ。防音も聞いてるし」
「こ、今夜はダメっす。キスもまだだし」
「お前は中学生かよ!今すぐしろ!」
カンナが言う。
「いや、彼女の人生初めてのキスっす。ちゃんとムード作てやりたいと思って」
「明日の夜テレビ塔の展望台に連れて行ってくれるんですって」
白鳥さんが言うと、みんなが「ひゅー」と囃し立てる。
そんなにかしこまることでもないと思うけどな。
「そういう意味なら、僕からは何もアドバイスできないよ」
「精々特別な日にやればいいんじゃないかってくらいだけど……」
恵美さんが言う。
「記念日にするんじゃない。した日が記念日になって想い出になるの。あまりこだわるのも良くないわよ」
「そんなもんなんすね?」
「みんな同じじゃないかな?まあ、初めてなら意気込みも違うのかな?」
愛莉が言う。
「でもシチュエーションを演出してやろうって気構えは感心ね」
恵美さんが言う。
「皆はどうだったの?」
白鳥さんが聞くと亜依さんがケロっと言う。
「私は付き合いだしてすぐエッチまで行ったかな」
「亜依ちゃんそうだったの!?」
恵美さんが驚いている。
「軽いノリでしちゃったなあ。もちろん初めての相手はそこの馬鹿旦那よ」
「何何僕の事呼んだ?」
桐谷君がやってきた。
「瑛大には関係ない」
「そっか関係ないのか」
そう言って瑛大は肉を取りに行った。
僕も取りに行きたい。
しかし愛莉が僕の腕をしっかりつかんでる。
「そう言えば晴斗は初体験は済ませたって言ってたよね?」
僕は晴斗に聞いた。
「そうっすね。軽いノリでやったっす」
「そのノリでいいんじゃない?」
「……俺も生まれて初めての彼女っす。大切にしたいっす」
「やった相手は彼女じゃなかったの?」
「そう思ったけど違ってたみたいっす」
僕の見立ては間違ってなかったようだ。
チャラそうで一途
その言葉通りの彼だった。
「心構えも必要だけど、自分ひとりよがりにならないでね」
愛莉が言う。
「そうだな、いたずらに春奈の不安煽るだけってのもあるしな?」
カンナが言う。
そんなもんなのか?
女性同士ががわいわい言ってる。
僕の出番は終わったようだ。
今のうちに……。
がしっ
愛莉の腕は僕を話さなかった。
「どこに行くのかな?冬夜君」
「お酒切れたから。取りに行こうかと」
「それだけ?」
「ほら、空腹時にお酒飲むのは良くないというだろ?ついでに食べ物も取ってこようかなって……」
「じゃ、何の問題もないね?私もついてく。お酒切れたし」
「愛莉飲み過ぎは良くないぞ」
「ちゃんとわかってるも~ん」
飲み物と肉とおにぎりと焼きそばと……。
ぽかっ
そうなるとわかってたんだよ。
(2)
BBQが終ると皆で片づけて、お風呂に入って部屋で飲んでいた。
もうロゴマークのデザインは済んだらしい。
僕と渡辺君に見せていた。
青いグラデーションの背景に白色の文字。
爽やかな感じがするものだった。
僕は問題ないと思った。
渡辺君もおなじだったらしい。
webデザインも見事なものだった。
コンテンツは少ないけどまあ、最初はそんなもんだろう?
「じゃ、これをもとに作るな」
誠が言うと渡辺君はゴーサインを出した。
「本当に良いんだな。冬夜」
「乗り気じゃないけどね」
「やっぱりか」
「てことは渡辺君も」
「まあな……これからまた入会希望者も増えるだろうしな。正直これ以上増やすのはどうかと思うしな」
「噂になったんじゃ、仕方ないさ。悪用する者が出て来たんじゃ益々しょうがない」
「お取込み中悪いんだけどさ、ちょっといいかな?」
亜依さんがやってきた。
「どうしたの?」
「いや、早速情報入って来てさ」
昨日の今日だぞ。早すぎるだろ?
「作ったのは亀梨興毅ってやつで、うちの工学部のやつ。家は土建会社の社長やってる」
何かそういう奴多いね。金持ちってみんな似たり寄ったりの奴なのかな?
「それって亀梨興業の?」
「晶しってるの?」
「うちの下請けの足場屋さんだったと思う。どうする?家ごと潰しちゃう?」
物騒な事言ってるな。
「とりあえず相手の出方を見よう。こっちはまだ何も仕掛けていないんだ。いきなり切り札を出すこともないだろ」
渡辺君は言う。
「相手はどんな奴なんだい?」
「まだあったこと無いから分かんないけどかなりのチャラ男よ。晴斗とは違った意味の。女性を弄ぶのが好きみたい」
お金持ちってみんなそうなのかな?
「どうする?コンタクトとってみる?」
「いや、知らないふりをしてる方がいいだろう。さっきも言ったが向こうは何も仕掛けてこないんだ。こっちの正体すら知らない。こっちが相手の事を知ってる事すらわかってないだろう?そのアドバンテージを生かすべきだ」
「わかった、とりあえず触れ込みは今日しておいたから」
「俺もダチに触れ込みまくったっす」
晴斗が言った。
「みんなユニティに入りたがってたから断るのに苦労したっす」
まあ、そうなるだろうね。
「作戦の第一段階は取り得ずクリアかな?冬夜」
渡辺君が聞いてくる。
「そうだね、これからは相手の出方次第かな?」
「仕掛けはした。後は出たとこ勝負だな」
「誠のweb製作が終わるのを待つよ」
実は何となく相手の出方を予想していた。
それの対応策を考えていた。
「さあ、最後の夜なんだ!とことん飲もうぜ!」
美嘉さんが言うと皆盛り上がる。
夜更けまで宴会は続いた。
(3)
「真鍋君おめでとう」
俺は椎名さんと新名さんに祝福されていた。
「ありがとう」
そう返すが、なんか微妙な気分だ。
新名さんに祝福されるとは思ってみなかったから。
「この期に及んでまだ新名さんの事考えてる?」
椎名さんにはバレバレだった。
「言っとくけど新名さんは俺のものだよ。真鍋君がとやかく言う事じゃない」
「……椎名さんは新名さんを幸せにできるんですか?」
「努力はするよ。君だって社長を幸せにする気概でいるんじゃないの?」
「それはそうですけど」
「何が幸せなのかは自分以外分からない。それを察してやれる人間が幸せにできるんじゃないのかい?」
「……そうですかね」
「結果君は社長を選んだ。俺に出来るのは未だに立ち直れない新名さんをケアしてやることくらいだ」
「任せて良いんですか?」
「自分の彼女くらいそのくらいの努力はするさ」
だといいんだけどな。
「真鍋君は私の事は気にしないで社長の事だけを考えなさいよ」
新名さんが言う。
「新名さんは大丈夫なのか?」
「椎名さんがいてくれるから大丈夫?」
「そうか……」
ほっとした?
寧ろ何か寂しい物がある。
二つのものを同時に得ることは出来ない。
俺は最初から聡美を選んでいた。
なら、新名さんに未練を残すのは間違っている。
「そっちも幸せにな」
新名さんに声をかける。
「ありがとう」
新名さんが返してくる。
「じゃ、今夜は2人を祝して乾杯といきますか?」
かつん
缶を鳴らすとビールを飲む。
「一本じゃ足らないよね。ちょっと取ってくるね」
新名さんはそう言ってドリンクを取りに行った。
「彼女ああ見えてまだ未練たらたらみたいなんだ」
椎名さんはぼそりと呟いた。
「それを何とかするのが椎名さんの役目でしょ?」
「簡単に言うね」
椎名さんはそう言って笑った。
「君たちの幸せな様子を目の当たりにすれば諦めもつくだろうと思って会社に誘ったんだが……」
やはりそう言う魂胆だったか。
「逆効果だったみたいだね。君に対してどう整理をつけたらいいか分からないでいる」
「一言で済むんじゃないですか?」
「と、いうと?」
「俺の事を考えるのは止めろって。椎名さんが後は忘れさせてやればいい」
「俺は違う意見なんだけどな」
違う意見?
「思い出として笑える時が来る。そう思ってる。その為の努力ならいくらでもしてやると新名さんに言ったよ」
想い出として笑える時が来る……か。
その時は恋愛感情を越えた友情を手に入れることが出来るんだろうか?
「その時になれば分かるさ」
椎名さんは言う。
新名さんが飲み物を持ってやってくる。
その後3人で夜更かしして飲んでいた。
(4)
次の日朝ごはんを食べると皆片づけ、清掃を始めた。
今日の昼には解散する。
長いようで短い時間だった。
「次は冬夜の祝勝会だな」
「ダメですっ!翌週には春季大会あるんですよ!」
「その後なら良いんだろ?深雪の結婚式もあるし6月も大変だな!」
そんなやりとりを佐倉さんと美嘉さんがやっていた。
男性陣は部屋の掃除とごみの処理。女性陣は片づけをしていた。
それが終わると渡辺さんの挨拶で締める。
「じゃあ、皆4日間お疲れ。帰ってゆっくり休んでまた頑張ろう!予定だと冬夜の祝勝会と西松夫妻の結婚祝いがある。冬夜の事もある。軽はずみな行動は慎んでくれ!」
渡辺さんがそう言うと皆帰っていく。
またしばらく会えないのね。
寂しい。
ところが新條さんから声をかけられる。
「君たちはまだ終わってないよ」
「え?」
「へ?」
私と晴斗のリアクションは大体同じだった。
「聞いてなかったのか?君たちはこれから湯布院でデートの実践が残ってるって」
そんなことまでするの?
いくら晴斗だってそのくらい自分で出来る。
「そんなことわざわざしなくても晴斗とはデートしました」
「心配するな君たちの行動を影で見守ってるだけだ。特に手出ししないよ」
マナーがちゃんと見についているか見極める。
そういうことね。
「2,3時間思うように行動してくれ。私がこっそり見張ってるから」
それから晴斗の車で湯布院に向かった。
昼食を食べてトリックアートを楽しんで……。
犬派か猫派で論議したけど両方共に犬派だった。
犬のお店に行って、お揃いのキーホルダーを買った。
人力車にも乗った。
湯布院の街を観光する。
「うん、問題ない。合格だ!じゃ、夜は2人でごゆっくり」
どこで見ていたのか分からない新條さんがそう言うと去っていった。
その後別府の有名なラーメン屋さんでラーメンを食べた。
タワーにも上った。
夜景が綺麗だった。
その後観光港で海を見る。
そして……テレビ塔に向かった。
静かな夜。一面に広がる夜景。
星も綺麗だし、月明かりにてらされていた。
もっとも他の車のライトも照らされいたけど。
私達は外に出て、景色を見ていた。
「寒くないっすか?」
「大丈夫」
上着を羽織ってきてるから。
今日の彼はやたらと口数が少ない。
緊張してる?
どうすれば解してあげられる。
そんな事を考えること自体が私にとって意外だったんだけど、このまま立っていても埒が明かない。
彼の手を握る。
彼は握り返してきた。
手を握ることには慣れたみたい。
もっとうまく甘える方法がないのだろうか?
彼の手を離す。
彼は私を見る。
大丈夫、見放したわけじゃないから。
私は彼の腕を掴む。
周りのカップルがしていたように。
私が出来るのはここまでだよ?
頑張って。
その願いが通じたのか?彼は私の顔を見つめる。
私も彼の目を見る。
やがて二人の顔が近づいて、唇と唇が触れ合う。
彼の舌が私の口の中へと入りたがっている。
戸惑ったけどそれを受け入れた。
私と彼の二人のステージが月夜にライトアップされている。
その時間は長く感じた。
このままでもいい。
そう思っていたら、彼の方から離れた。
寂しい。
そんな目で彼を見つめていたらもう一度してくれた。
今度は少し長い時間。
車に戻る。
車の中で会話をしていた。
「今日は最高の日っす」
「どうして?」
「彼女と行きたい場所4か所も一気に制覇できたっす。それに……」
「それに?」
「春奈のファーストキスちゃんと受け取れたから」
「そうね」
素っ気ない回答。どうしてこんな言い方しかできないんだろう?
「俺の希望叶えてくれて嬉しいっす。俺も春奈の希望叶えたいっす」
「本当に?」
「マジっすよ」
「じゃあ、叶えてもらおうかしら?」
「何っすか?」
「最後とやらまで付き合って欲しい」
「え!?」
彼は驚いていた。
やっと私は笑えた。
「晴斗のペースにあわせる。でも最後とやらまで晴斗に連れて行って欲しい」
「……了解っす」
その後晴斗は私を家に送ると家に帰る。
私は家に帰ると荷物の整理をする。
洗濯を済ませてる間にシャワーを浴びて一人でテレビをつけてスマホを見る。
まだ皆盛り上がっているようだ。
女子会グルにメッセージを残した。
「私晴斗とキスしました」と。
「おめでとう」のメッセージがたくさん流れた。
「じゃあ次は春奈も準備しとかないとな」
神奈さんが言う。
準備ってなに?
私は聞いていた。
色々教えてくれた。
日時まで調整しないといけないのね。
難しいなと思った。だって彼がいつ求めてくるか分からないから。
断ったら、二度と誘ってくれないんじゃないか?
「晴斗なら察してくれるよ。心配するな」
神奈さんが言う。
だといいんだけど。
その時呼び鈴が鳴った。
「春奈、いるなら出てきなさい」
父さんの声だ。
とりあえずドアを開ける。
「今から準備しなさい。檜山さんの家に行くぞ」
「そんなに慌てる必要ないんじゃない?もう夜も遅いし」
何より私檜山さんと一緒になる予定なんてない。
「良いから準備しなさい!」
何をそんなに焦っているの?
近所迷惑になるから取りあえず着替えて、父さんの車に乗る。
「ちゃんと誠心誠意謝るんだぞ!」
何を謝れというの?
ユニティは機能しなかったの?
逆だった。ユニティはしっかり機能していた。
「今日は遅いのでお引き取り下さい。旦那様の体もすぐれないので」
父さんは門前払いを食らった。
それでも、父さんは必死に面会を試みる。だけど門が開くことは無かった。
諦めて帰る父さん。
「何をそんなに慌てているの?」
私は父さんに聞いていた。
「春奈には関係ない!」
やっぱり焦ってるように見えた父さん。
ユニティはしっかりと父さんのボディを抉ったようだ。
そう言えば明日父さんの会社に一緒に行こうと言われていたな。
晴斗覚えてるのかな?
家に帰ると晴斗にメッセージを送った。
「ちゃんとスーツも用意してるっすよ」
その頭はどうするの?と聞きたかったけど敢えて聞かなかった。
そしてその解決方法を彼はすでに実行していた。
(5)
愛莉が風呂から戻ってくるまでの間テレビを見ながらスマホを触っていた。
渡辺班改めユニティのメッセージログを見ていた。
気になったメッセージはあった。
晴斗が白鳥さんとキスをしたこと。
白鳥さんが檜山先輩の家に面会を求めたが拒絶された事。
もう恵美さんの放ったジャブが功を奏しているのだろうか?
そして晴斗が男子グルに張り付けた画像を見て飲み物吹きかけた。
丸坊主にしてる。
「明日春奈の親にあうからあの頭じゃまずいと思って思い切ったっす」
そう残していた。
「どうしたの冬夜君そんなに慌てて」
愛莉が戻ってきた。
「愛莉も見たい?」
「何か面白いのあったの?」
愛莉に晴斗の画像を見せる。
「……思い切ったね」
愛莉はそう言うと髪の毛をドライヤーで乾かし始める。
愛莉が髪を乾かし終えると、飲み物を取りにキッチンに向かう。
そして、僕の分と二つ持ってきて飲み始める。
2人でテレビを見ながらスマホを弄る。
愛莉はいつも通りノートPCを開いて帳簿をつけ始める。
日曜の夜という事もあったけど、今からゲームしてもしょうがない時間だったので映画を見ていた。
今日は夏の戦争のアニメ。
2人で見ていた。
アニメが終ると僕たちはテレビを消して照明を落とす。
「明日からまた大変だね」
「そうだね」
「冬夜君の体調管理もしっかりしなきゃ」
「お願いするよ」
「ねえ冬夜君」
「どうした?」
「キスしよう?」
どうしたんだ突然。
「白鳥さんのメッセージ見てたら突然したくなっちゃって」
「キスだけでいいのか?」
ちょっと意地悪言ってやった。
「うぅ……今夜はいいよ。明日から大変だし。その代わり私が良いって言うまでやって」
「分かったよ」
愛莉が飽きるくらいキスをしてあげる。
「じゃあ、今夜で最後だ!皆思う存分楽しんでくれ!」
渡辺君が言うと宴の始まり。
明日には合宿が終る。
短い3日間だった。
色々あったけど。
一番変わったことは渡辺班がユニティとして生まれ変わった事。
名前が変わっただけでやってる事は変わらないんだけど。
自分たちの存在をアピールすることでエゴイストとやらの卑劣な行動を止めたい。
それだけの目的で作った。
「冬夜、最後の夜だ。しっかり飲めよ!」
渡辺君がやってきた。
どちらかって言うと食べたい派なんだけどね。
「冬夜君に暴飲暴食はだめ!」
愛莉の見張りは厳しい。
そんな愛莉も十分飲んでるんだけど。
「冬夜先輩ちょっといいっすか?」
晴斗がやってきた。どうしたんだろう?」
晴斗は僕に耳打ちする。
「初めてのキスってどうやって盛り上げたらいいっすかね?」
は?
「晴斗まだ……だったの?」
「いや、友達とはやったんすけど、彼女とはやったことないっす」
「僕の経験談は当てにならないよ?」
「遠坂先輩とはどうだったんすか?」
「突然された?」
「へ?」
「家の前で突然された」
「まじっすか!?」
晴斗、声が出かい。
愛莉にも届いたようだ。
「何の話してるの?」
愛莉がやってきた。
別に隠す事じゃないと思ったので愛莉に教えた。
「晴斗が初めてのキスってどうだった?て聞くから」
「え、ええ!?……話したの?」
「うん、隠す事じゃないだろ」
「う、うぅ……そうだけど」
愛莉も若い頃の過ちを後悔してるらしい。
顔を紅潮させているのが良く分かった。
「恥ずかしがることないだろ?僕はあれで嬉しかったけど」
当時は頭真っ白だったけどな。
「あの時は神奈にとられたくない一心だったから」
「何だ?私がどうかしたのか?」
「か、神奈には関係ないよ?」
「でも私の名前読んでただろ?」
「ああ、愛莉とのファーストキスの話をしてただけ?」
するとカンナはにやりと笑って話した。
「愛莉、良いこと教えてやろうか?私のファーストキスの相手もトーヤだ」
「ええ!?」
「神奈それまじか!?」
誠が食いついてきた。
「ああ、愛莉からトーヤ奪いたくてな、結果気づいてもくれなかったけどな」
「東京ではあたりまえだと思ってたんだよ」
「んなわけあるか!?私だってまだ13歳だったんだぞ」
「俺はてっきりあの夜が初めてだったと思ったんだけど。……は俺が初めてだよな?」
誠あんまり突っ込むとカンナに怒られるぞ。
と、思ったのはただの杞憂だったらしい。
カンナは既に酔っていたらしい。
気持ちよく答えてくれた。
「ディープキスは冬夜が初めてだったな。……はしようとしたけど当時の冬夜だったからな」
「……よかった。って冬夜お前ズルいぞ!」
僕は無理やりされたんだけどな。
「初めて自分からディープキスしたのは愛莉が初めてだよ」
そう言ってやると愛莉の悲しそうな顔も元通りになる。
「でも晴斗どうしてそんな事を?」
「そ、それは……」
「晴斗、何話してるの?」
「あ、いや。春奈には関係ないです」
「彼女に隠し事はしないって誰かから聞いたわよ」
白鳥さんの手にはドリンクがあった。
「まあ、そうっすね。実は春奈から昨夜キスをお願いされて」
「おお!」
周りにいた人がどよめく。
「それで途中抜け出したのね?」
亜依さんが来た。
「それでどうなったの?最後までしちゃった?」
「そ、そんなこと春奈にはできねーっす!」
「私とは出来ないってどういう意味?」
晴斗、選択肢を間違えると大変なことになるぞ?
「春奈とは交際初めてまだ日が浅いっす。もっとお互いを知ってから」
「晴斗の事を良く知ってから、交際を認めた。後は恋愛というものを知りたい」
「やるだけが交際じゃないっす!」
「他に良い事があるのね?」
「それをこれから見つけていくっす。気分が盛り上がったらやっちゃうかもだけど」
「て、事は晴斗はやる準備出来てるの?」
恵美さんが聞く。
「男の身だしなみっす。いつでも準備出来てるっす」
「それなら、今夜特別室を用意してあげるわよ。防音も聞いてるし」
「こ、今夜はダメっす。キスもまだだし」
「お前は中学生かよ!今すぐしろ!」
カンナが言う。
「いや、彼女の人生初めてのキスっす。ちゃんとムード作てやりたいと思って」
「明日の夜テレビ塔の展望台に連れて行ってくれるんですって」
白鳥さんが言うと、みんなが「ひゅー」と囃し立てる。
そんなにかしこまることでもないと思うけどな。
「そういう意味なら、僕からは何もアドバイスできないよ」
「精々特別な日にやればいいんじゃないかってくらいだけど……」
恵美さんが言う。
「記念日にするんじゃない。した日が記念日になって想い出になるの。あまりこだわるのも良くないわよ」
「そんなもんなんすね?」
「みんな同じじゃないかな?まあ、初めてなら意気込みも違うのかな?」
愛莉が言う。
「でもシチュエーションを演出してやろうって気構えは感心ね」
恵美さんが言う。
「皆はどうだったの?」
白鳥さんが聞くと亜依さんがケロっと言う。
「私は付き合いだしてすぐエッチまで行ったかな」
「亜依ちゃんそうだったの!?」
恵美さんが驚いている。
「軽いノリでしちゃったなあ。もちろん初めての相手はそこの馬鹿旦那よ」
「何何僕の事呼んだ?」
桐谷君がやってきた。
「瑛大には関係ない」
「そっか関係ないのか」
そう言って瑛大は肉を取りに行った。
僕も取りに行きたい。
しかし愛莉が僕の腕をしっかりつかんでる。
「そう言えば晴斗は初体験は済ませたって言ってたよね?」
僕は晴斗に聞いた。
「そうっすね。軽いノリでやったっす」
「そのノリでいいんじゃない?」
「……俺も生まれて初めての彼女っす。大切にしたいっす」
「やった相手は彼女じゃなかったの?」
「そう思ったけど違ってたみたいっす」
僕の見立ては間違ってなかったようだ。
チャラそうで一途
その言葉通りの彼だった。
「心構えも必要だけど、自分ひとりよがりにならないでね」
愛莉が言う。
「そうだな、いたずらに春奈の不安煽るだけってのもあるしな?」
カンナが言う。
そんなもんなのか?
女性同士ががわいわい言ってる。
僕の出番は終わったようだ。
今のうちに……。
がしっ
愛莉の腕は僕を話さなかった。
「どこに行くのかな?冬夜君」
「お酒切れたから。取りに行こうかと」
「それだけ?」
「ほら、空腹時にお酒飲むのは良くないというだろ?ついでに食べ物も取ってこようかなって……」
「じゃ、何の問題もないね?私もついてく。お酒切れたし」
「愛莉飲み過ぎは良くないぞ」
「ちゃんとわかってるも~ん」
飲み物と肉とおにぎりと焼きそばと……。
ぽかっ
そうなるとわかってたんだよ。
(2)
BBQが終ると皆で片づけて、お風呂に入って部屋で飲んでいた。
もうロゴマークのデザインは済んだらしい。
僕と渡辺君に見せていた。
青いグラデーションの背景に白色の文字。
爽やかな感じがするものだった。
僕は問題ないと思った。
渡辺君もおなじだったらしい。
webデザインも見事なものだった。
コンテンツは少ないけどまあ、最初はそんなもんだろう?
「じゃ、これをもとに作るな」
誠が言うと渡辺君はゴーサインを出した。
「本当に良いんだな。冬夜」
「乗り気じゃないけどね」
「やっぱりか」
「てことは渡辺君も」
「まあな……これからまた入会希望者も増えるだろうしな。正直これ以上増やすのはどうかと思うしな」
「噂になったんじゃ、仕方ないさ。悪用する者が出て来たんじゃ益々しょうがない」
「お取込み中悪いんだけどさ、ちょっといいかな?」
亜依さんがやってきた。
「どうしたの?」
「いや、早速情報入って来てさ」
昨日の今日だぞ。早すぎるだろ?
「作ったのは亀梨興毅ってやつで、うちの工学部のやつ。家は土建会社の社長やってる」
何かそういう奴多いね。金持ちってみんな似たり寄ったりの奴なのかな?
「それって亀梨興業の?」
「晶しってるの?」
「うちの下請けの足場屋さんだったと思う。どうする?家ごと潰しちゃう?」
物騒な事言ってるな。
「とりあえず相手の出方を見よう。こっちはまだ何も仕掛けていないんだ。いきなり切り札を出すこともないだろ」
渡辺君は言う。
「相手はどんな奴なんだい?」
「まだあったこと無いから分かんないけどかなりのチャラ男よ。晴斗とは違った意味の。女性を弄ぶのが好きみたい」
お金持ちってみんなそうなのかな?
「どうする?コンタクトとってみる?」
「いや、知らないふりをしてる方がいいだろう。さっきも言ったが向こうは何も仕掛けてこないんだ。こっちの正体すら知らない。こっちが相手の事を知ってる事すらわかってないだろう?そのアドバンテージを生かすべきだ」
「わかった、とりあえず触れ込みは今日しておいたから」
「俺もダチに触れ込みまくったっす」
晴斗が言った。
「みんなユニティに入りたがってたから断るのに苦労したっす」
まあ、そうなるだろうね。
「作戦の第一段階は取り得ずクリアかな?冬夜」
渡辺君が聞いてくる。
「そうだね、これからは相手の出方次第かな?」
「仕掛けはした。後は出たとこ勝負だな」
「誠のweb製作が終わるのを待つよ」
実は何となく相手の出方を予想していた。
それの対応策を考えていた。
「さあ、最後の夜なんだ!とことん飲もうぜ!」
美嘉さんが言うと皆盛り上がる。
夜更けまで宴会は続いた。
(3)
「真鍋君おめでとう」
俺は椎名さんと新名さんに祝福されていた。
「ありがとう」
そう返すが、なんか微妙な気分だ。
新名さんに祝福されるとは思ってみなかったから。
「この期に及んでまだ新名さんの事考えてる?」
椎名さんにはバレバレだった。
「言っとくけど新名さんは俺のものだよ。真鍋君がとやかく言う事じゃない」
「……椎名さんは新名さんを幸せにできるんですか?」
「努力はするよ。君だって社長を幸せにする気概でいるんじゃないの?」
「それはそうですけど」
「何が幸せなのかは自分以外分からない。それを察してやれる人間が幸せにできるんじゃないのかい?」
「……そうですかね」
「結果君は社長を選んだ。俺に出来るのは未だに立ち直れない新名さんをケアしてやることくらいだ」
「任せて良いんですか?」
「自分の彼女くらいそのくらいの努力はするさ」
だといいんだけどな。
「真鍋君は私の事は気にしないで社長の事だけを考えなさいよ」
新名さんが言う。
「新名さんは大丈夫なのか?」
「椎名さんがいてくれるから大丈夫?」
「そうか……」
ほっとした?
寧ろ何か寂しい物がある。
二つのものを同時に得ることは出来ない。
俺は最初から聡美を選んでいた。
なら、新名さんに未練を残すのは間違っている。
「そっちも幸せにな」
新名さんに声をかける。
「ありがとう」
新名さんが返してくる。
「じゃ、今夜は2人を祝して乾杯といきますか?」
かつん
缶を鳴らすとビールを飲む。
「一本じゃ足らないよね。ちょっと取ってくるね」
新名さんはそう言ってドリンクを取りに行った。
「彼女ああ見えてまだ未練たらたらみたいなんだ」
椎名さんはぼそりと呟いた。
「それを何とかするのが椎名さんの役目でしょ?」
「簡単に言うね」
椎名さんはそう言って笑った。
「君たちの幸せな様子を目の当たりにすれば諦めもつくだろうと思って会社に誘ったんだが……」
やはりそう言う魂胆だったか。
「逆効果だったみたいだね。君に対してどう整理をつけたらいいか分からないでいる」
「一言で済むんじゃないですか?」
「と、いうと?」
「俺の事を考えるのは止めろって。椎名さんが後は忘れさせてやればいい」
「俺は違う意見なんだけどな」
違う意見?
「思い出として笑える時が来る。そう思ってる。その為の努力ならいくらでもしてやると新名さんに言ったよ」
想い出として笑える時が来る……か。
その時は恋愛感情を越えた友情を手に入れることが出来るんだろうか?
「その時になれば分かるさ」
椎名さんは言う。
新名さんが飲み物を持ってやってくる。
その後3人で夜更かしして飲んでいた。
(4)
次の日朝ごはんを食べると皆片づけ、清掃を始めた。
今日の昼には解散する。
長いようで短い時間だった。
「次は冬夜の祝勝会だな」
「ダメですっ!翌週には春季大会あるんですよ!」
「その後なら良いんだろ?深雪の結婚式もあるし6月も大変だな!」
そんなやりとりを佐倉さんと美嘉さんがやっていた。
男性陣は部屋の掃除とごみの処理。女性陣は片づけをしていた。
それが終わると渡辺さんの挨拶で締める。
「じゃあ、皆4日間お疲れ。帰ってゆっくり休んでまた頑張ろう!予定だと冬夜の祝勝会と西松夫妻の結婚祝いがある。冬夜の事もある。軽はずみな行動は慎んでくれ!」
渡辺さんがそう言うと皆帰っていく。
またしばらく会えないのね。
寂しい。
ところが新條さんから声をかけられる。
「君たちはまだ終わってないよ」
「え?」
「へ?」
私と晴斗のリアクションは大体同じだった。
「聞いてなかったのか?君たちはこれから湯布院でデートの実践が残ってるって」
そんなことまでするの?
いくら晴斗だってそのくらい自分で出来る。
「そんなことわざわざしなくても晴斗とはデートしました」
「心配するな君たちの行動を影で見守ってるだけだ。特に手出ししないよ」
マナーがちゃんと見についているか見極める。
そういうことね。
「2,3時間思うように行動してくれ。私がこっそり見張ってるから」
それから晴斗の車で湯布院に向かった。
昼食を食べてトリックアートを楽しんで……。
犬派か猫派で論議したけど両方共に犬派だった。
犬のお店に行って、お揃いのキーホルダーを買った。
人力車にも乗った。
湯布院の街を観光する。
「うん、問題ない。合格だ!じゃ、夜は2人でごゆっくり」
どこで見ていたのか分からない新條さんがそう言うと去っていった。
その後別府の有名なラーメン屋さんでラーメンを食べた。
タワーにも上った。
夜景が綺麗だった。
その後観光港で海を見る。
そして……テレビ塔に向かった。
静かな夜。一面に広がる夜景。
星も綺麗だし、月明かりにてらされていた。
もっとも他の車のライトも照らされいたけど。
私達は外に出て、景色を見ていた。
「寒くないっすか?」
「大丈夫」
上着を羽織ってきてるから。
今日の彼はやたらと口数が少ない。
緊張してる?
どうすれば解してあげられる。
そんな事を考えること自体が私にとって意外だったんだけど、このまま立っていても埒が明かない。
彼の手を握る。
彼は握り返してきた。
手を握ることには慣れたみたい。
もっとうまく甘える方法がないのだろうか?
彼の手を離す。
彼は私を見る。
大丈夫、見放したわけじゃないから。
私は彼の腕を掴む。
周りのカップルがしていたように。
私が出来るのはここまでだよ?
頑張って。
その願いが通じたのか?彼は私の顔を見つめる。
私も彼の目を見る。
やがて二人の顔が近づいて、唇と唇が触れ合う。
彼の舌が私の口の中へと入りたがっている。
戸惑ったけどそれを受け入れた。
私と彼の二人のステージが月夜にライトアップされている。
その時間は長く感じた。
このままでもいい。
そう思っていたら、彼の方から離れた。
寂しい。
そんな目で彼を見つめていたらもう一度してくれた。
今度は少し長い時間。
車に戻る。
車の中で会話をしていた。
「今日は最高の日っす」
「どうして?」
「彼女と行きたい場所4か所も一気に制覇できたっす。それに……」
「それに?」
「春奈のファーストキスちゃんと受け取れたから」
「そうね」
素っ気ない回答。どうしてこんな言い方しかできないんだろう?
「俺の希望叶えてくれて嬉しいっす。俺も春奈の希望叶えたいっす」
「本当に?」
「マジっすよ」
「じゃあ、叶えてもらおうかしら?」
「何っすか?」
「最後とやらまで付き合って欲しい」
「え!?」
彼は驚いていた。
やっと私は笑えた。
「晴斗のペースにあわせる。でも最後とやらまで晴斗に連れて行って欲しい」
「……了解っす」
その後晴斗は私を家に送ると家に帰る。
私は家に帰ると荷物の整理をする。
洗濯を済ませてる間にシャワーを浴びて一人でテレビをつけてスマホを見る。
まだ皆盛り上がっているようだ。
女子会グルにメッセージを残した。
「私晴斗とキスしました」と。
「おめでとう」のメッセージがたくさん流れた。
「じゃあ次は春奈も準備しとかないとな」
神奈さんが言う。
準備ってなに?
私は聞いていた。
色々教えてくれた。
日時まで調整しないといけないのね。
難しいなと思った。だって彼がいつ求めてくるか分からないから。
断ったら、二度と誘ってくれないんじゃないか?
「晴斗なら察してくれるよ。心配するな」
神奈さんが言う。
だといいんだけど。
その時呼び鈴が鳴った。
「春奈、いるなら出てきなさい」
父さんの声だ。
とりあえずドアを開ける。
「今から準備しなさい。檜山さんの家に行くぞ」
「そんなに慌てる必要ないんじゃない?もう夜も遅いし」
何より私檜山さんと一緒になる予定なんてない。
「良いから準備しなさい!」
何をそんなに焦っているの?
近所迷惑になるから取りあえず着替えて、父さんの車に乗る。
「ちゃんと誠心誠意謝るんだぞ!」
何を謝れというの?
ユニティは機能しなかったの?
逆だった。ユニティはしっかり機能していた。
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父さんは門前払いを食らった。
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諦めて帰る父さん。
「何をそんなに慌てているの?」
私は父さんに聞いていた。
「春奈には関係ない!」
やっぱり焦ってるように見えた父さん。
ユニティはしっかりと父さんのボディを抉ったようだ。
そう言えば明日父さんの会社に一緒に行こうと言われていたな。
晴斗覚えてるのかな?
家に帰ると晴斗にメッセージを送った。
「ちゃんとスーツも用意してるっすよ」
その頭はどうするの?と聞きたかったけど敢えて聞かなかった。
そしてその解決方法を彼はすでに実行していた。
(5)
愛莉が風呂から戻ってくるまでの間テレビを見ながらスマホを触っていた。
渡辺班改めユニティのメッセージログを見ていた。
気になったメッセージはあった。
晴斗が白鳥さんとキスをしたこと。
白鳥さんが檜山先輩の家に面会を求めたが拒絶された事。
もう恵美さんの放ったジャブが功を奏しているのだろうか?
そして晴斗が男子グルに張り付けた画像を見て飲み物吹きかけた。
丸坊主にしてる。
「明日春奈の親にあうからあの頭じゃまずいと思って思い切ったっす」
そう残していた。
「どうしたの冬夜君そんなに慌てて」
愛莉が戻ってきた。
「愛莉も見たい?」
「何か面白いのあったの?」
愛莉に晴斗の画像を見せる。
「……思い切ったね」
愛莉はそう言うと髪の毛をドライヤーで乾かし始める。
愛莉が髪を乾かし終えると、飲み物を取りにキッチンに向かう。
そして、僕の分と二つ持ってきて飲み始める。
2人でテレビを見ながらスマホを弄る。
愛莉はいつも通りノートPCを開いて帳簿をつけ始める。
日曜の夜という事もあったけど、今からゲームしてもしょうがない時間だったので映画を見ていた。
今日は夏の戦争のアニメ。
2人で見ていた。
アニメが終ると僕たちはテレビを消して照明を落とす。
「明日からまた大変だね」
「そうだね」
「冬夜君の体調管理もしっかりしなきゃ」
「お願いするよ」
「ねえ冬夜君」
「どうした?」
「キスしよう?」
どうしたんだ突然。
「白鳥さんのメッセージ見てたら突然したくなっちゃって」
「キスだけでいいのか?」
ちょっと意地悪言ってやった。
「うぅ……今夜はいいよ。明日から大変だし。その代わり私が良いって言うまでやって」
「分かったよ」
愛莉が飽きるくらいキスをしてあげる。
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