優等生と劣等生

和希

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4thSEASON

緋き悪魔

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(1)

「冬夜君朝だよ」

愛莉の囁きで目が覚めるけど、まだ愛莉の温もりに触れていたい僕が愛莉から離れようとしない。

「うぅ……」

愛莉が困ってる。毎朝の事だ。今日は何を仕掛けてくるのやら。

「起きないと朝ごはん抜きにするよ」

それは困る。どうにかして愛莉と朝ごはんどちらも堪能する方法はないものやら。

「おはよう愛莉」

目を開けて挨拶をすれば、多少へそを曲げてる愛莉の顔がある。

「毎朝毎朝困った旦那様ですね!」
「起きたから朝ごはん抜きは無しだよね?」
「そうだけど……?」

それはよかった。
僕は両腕を愛莉の背中に回し愛莉を抱きしめる。

「ちょっと!日課の時間だよ!今日は晴れてるよ!」
「あとちょっとでいいから……」
「だ~めっ!」

ぽかっ

「そういうのはやることやってからするの!ほら、着替えて!」

仕方なくベッドから出て着替えを始める。
愛莉も着替え始めた。
そして家を出ると日課をこなす。
日課をこなすと家に戻り、シャワーを浴びて朝食を食べて愛莉と僕のコーヒーを入れて部屋に持って行く。
愛莉がシャワーから戻ってくると着替えだす。そして化粧を始める。
その間僕はテレビを見ながらPCでニュースを見る。
噂というものは怖い物で昨日の事件はアーバニティとユニティの抗争と噂される。
マスコミを潰したところでネットの噂まではかき消せないみたいだ。
ユニティの過剰な報復。
ネットではそう報じられていた。
所詮ネットの噂だから気にすることは無いとメッセージでは言っている。
PCをシャットダウンするとテーブルの前に座ってコーヒーを飲んでいれば愛莉が隣にくっついてカフェオレを飲む。
コーヒーを飲み終わり愛莉がキッチンにマグカップを持って行く。
国営放送だけはどうにもならないらしく、やはり昨日の事件の真相が暴かれていた。
酒井君達も痕跡を残すような真似はしていない。何よりやったのは死神だ。
愛莉が戻ってくると番組は朝の定番番組に替わっている。
あまり俳優とかタレントに興味のない僕達には関心のない物だった。
愛莉が僕の腕を掴んでじっと僕の顔を見てる。
目と目が合うと僕が話しかける。

「どうしたの?」

すると愛莉は「うぅ……」と唸るような声を出す。

「朝の続きしてくれないの?」
「愛莉化粧まですませちゃったろ?」
「いつもだったら途中で構ってくれるじゃない」

愛莉の我儘はいつも可愛いものだ。
愛莉の要求に応えてやる。
愛莉は笑みをこぼし僕に抱き着き、僕を押し倒す。

「床は固くてごつごつしてるからイヤじゃなかったのか?」
「そうだね~。ベッドに行こ?」
「髪をセットしなおしたり、化粧直ししたリ大変だから駄目じゃなかったのか?」
「それでも冬夜君してくれたよ~」

「今日は時間たっぷりあるから平気だよ~」と言われると僕は仕方なく愛莉を抱く。
愛莉はうっとりとして目を閉じて僕の胸に顔を当てる。
するとスマホが鳴った。
誰だろう?
スマホを取ろうとすると愛莉が僕を離さない。

「そんなの後ででもいいでしょ!今は私に構って」
「緊急の用事かもしれないだろ?」
「だったら電話してくるよ!」

やれやれ……。
スマホを取ることを諦めると愛莉の世界に没頭した。
時間になると二人共服装を整え愛莉は髪にブラシを通し鏡で確認する。
二人でバッグを取ると、家を出る。
昨日発砲事件があったこともあり、定期的に警察が巡回している。
これなら母さんも安心かな?
学校に着くと授業を受ける。
教室の出入り口には恵美さんのSPが張り付いている。
教室の出入り口に張り付いているSPの方が怪しいと思うんだけど。
授業が終わると学食に皆集合する。
カンナの話によるとネットの中には死神と悪魔と隠者と賢者の正体は載ってないらしい。
いくら探しても出てこない。
と、なると恵美さんの出番になるわけだが。

「エンペラーの通話記録からドラゴンの正体は判明したんだけどまだ肝心の実行部隊が見つからないのよね」
「と、なるとやはりおびき出すしかないか……」

渡辺君が言う。

「おびき出すってどうやって?」

僕が聞くと渡辺君が首を振った。

「狙われてるのは公生と奈留と亀梨君と岸谷さん。その四人の護衛を強化して相手を誘い受けする位しか思いつかないな」
「あと狙われているのは片桐君ですね」

石原君が言った。

僕は状況を整理する。
必要な手札は全て掴んだ。掴んだがゆえに身動きがとりづらくなってしまった。相手がどの手札を処分にかかるか分からない。
そして肝心の手札を切るタイミングを掴めないでいる。状況的にはこちらが不利なのか?
なりふり構わない相手の動きを封じる方法、やはり手は一つしかないのか?
問題はいつ仕掛けるか?
時間が経つにつれて状況は悪化する一方。ならば先手を取るしかない。
その先手はその一手で致命的な一撃を与える有効打でなければならない。
それを今誠に探してもらってる。
しかし誠も部活の傍らでやってるし公生も学校がある。

つんつん。

愛莉が僕の頬を人差し指でつつく。
両掌で僕の顔を挟むとぐいっと広げる。

「冬夜君難しい顔してた。そんなに一人で抱え込まないで。皆で考えよう?」

愛莉に言われてハッとあたりを見る。
皆僕の顔を見ている。

「冬夜先輩、俺らがついてるっす!きっとどうにかなりますよ!」と晴斗が言う。
「片桐君、私達に出来る事があるなら何でも言って。なんとかするから」と恵美さんと晶さんが言う。
「僕達もあてにしてくれていいんですよ」と石原君が言う。
「まあ、ここまで来たら一蓮托生でしょう」と酒井君が言う。
「で、冬夜。まずなにをしたらいい?」

渡辺君が言うと僕は少し考えてから答えた。

「基本なんだけどまだ足りない情報が欲しい、とりあえずは悪魔と死神の情報かな?」
「OK。必ず尻尾捕まえてやるから」

恵美さんがそう言う。
時間が来たようだ。
皆午後の授業に向かう。

「皆と相談して考えよう?冬夜君一人で無茶しなくていいんだよ」

愛莉がそう言う。

「そうだな……」

だけどそんなにのんびりしていられない。相手の標的はどんどん広がっている。それはこちらの情報を調べている証拠だ。なるべく早くカタをつけないと。

(2)

「お疲れ様でした~」

定時になるとすぐに帰宅する人間がいる。
でもそれは悪い事だとは思わない。
責任感と言う無責任な感情の押し付けはよくない。
そう言う人にはそういう仕事を与えればいい。
それを見極めるのが私の仕事。
だが、今日は違ったようだ。
直ぐに事務所に戻ってくる。
何か忘れもの?
違うみたい。後ろに知らない怪しげなとこが立っている。
その男は左手を上に上げる。手に持つのは……。

「皆伏せて!」

そう言うと同時に私も机の下に潜り込んでいた。

パン!

天井の石膏ボードがぱらぱらと落ちてくる。

「騒ぐな!騒いだらこいつから始末する」

女性社員は怯えて泣きだす者もいる。
椎名君は机の下に隠れて反撃の隙を伺っている。
拓海と新名さんはまだ学校だ。

「真鍋聡美という女出てこい!」

犯人は私を指名した。
ユニティ絡みの凶行?
私は両手を挙げて立ち上がる。

「そのままゆっくりこっちにこい!」

言われたとおりに犯人に近づく。
犯人は捕まえていた男を突き飛ばし私を人質にとった。

「いいか!逆らえばすぐにこいつを殺す。俺に近づくことも許さん!」
「わかった。まずその手を下ろさないかい?」

椎名君が両手を上げ立ち上がってから言った。

「何だ貴様は?」
「ただの社員だよ。君の要求を聞きたい。何かしら要求があるんだろ?金か?」
「要求か……」

男はにやりと笑った。

「片桐冬夜をここに連れてこい」

片桐君を?
やはりこの男はアーバニティとやらの連中のようね。

(3)

学校が終わり青い鳥で愛莉と話をしているとスマホが鳴る。
メッセージ通話だ。
聡美さんからのようだけど……。

「もしもし?」
「お前が片桐冬夜か?」

知らない男だ。

「そうだけど君は?」
「アーバニティの死神と言えば分かるか?」

スピーカーに切り替える。

「用件は一つ。1時間以内に原田総合デザインまで来い!警察を呼んだら真鍋聡美は死ぬ」

晶さんと恵美さんに目をやる。
二人は急いでメッセージを伝えている。

「わかった。用はそれだけ?」
「あとは、こっちで話す。必ず一人でくるんだぞ。わかったな」
「わかった。その代わり人質には手を出すな」
「俺に指図するんじゃねえ!」
「人質は無事だから意味があるんだ。そのくらいもわかんないの?」
「舐めてると本当にぶっ殺すぞ!」

パンと音がする。
そして女性の悲鳴が聞こえる。

「それは君の本心だろうけど、飼い犬が勝手に暴れてご主人様に怒られても知らないよ?」
「……とにかく一時間以内に来い!一人でだぞ!」

電話はそこで切れた。

「冬夜君一人で行くの?」

愛莉が不安気に聞いてくる。

「それが犯人の要求なら仕方ないね」

聡美さんを危険にあわせるわけには行かない。
ドアを激しく開ける人が現れた。
真鍋君だ。

「話はメッセージ読みました。片桐先輩無茶はしないで!」
「心配しなくても聡美さんを無事に解放するよ」
「手はあるの?」
「それは僕じゃなくて恵美さんに聞いたら?」

そう言って恵美さんの方を見る。

「今望を向かわせたわ。で、交渉に応じるの?」
「応じないと聡美さんが危ないでしょ?」
「力づくで止めることも出来るわよ」
「に、しても相手の情報が欲しい」

できるだけ、情報を引き出すよ。と僕は笑って言う。



現場に向かうと僕達が通報しなくても銃声を聞きつけた人が通報していた。
シールドを持った警官隊を指揮するのは愛莉パパ。
愛莉パパは僕を見つけると近づいてくる。

「……犯人は冬夜君との交渉を望んでいる」
「そのつもりで来ました」
「……勝算はあるのかい?」
「わかりません、相手が何を要求してるのかもわからないのだから」
「娘の婿をこんな目に会わせたくないんだが……」
「僕達の喧嘩ですから」
「パパさん!冬夜君を止めて!」

愛莉が言う。

「愛莉心配いらないから」
「今度はナイフじゃないんだよ?拳銃だよ?冬夜君死んじゃう」

愛莉はそう言って泣きつく。
そんな愛莉をあやす。

「僕を信じて」
「うぅ……」

愛莉の手が離れると愛莉の頭を撫でてやる。

「それじゃ行ってくるね」
「……気をつけるんだぞ」
「危なかったらすぐ逃げてね」

愛莉と愛莉パパに見送られ僕はビルに入った。
2階に上がると男が入り口で聡美さんを人質にとっている。
男は僕に気がつくと振り返り「中に入れ」という。

「約束は守ったぞ。聡美さんを離せ」
「取引はこれからだ」

そういって死神はにやりと笑う。

「……要求を聞こうじゃないか」
「皇帝と女帝、教皇と女教皇の解放」
「欲張りすぎじゃない?」
「なんだと?」
「そっちの手札は1枚、こっちは4枚だせという。普通に無理でしょ」
「この女がどうなっても良いのか!?」
「いいの?折角手に入れた切札みすみす捨てて」
「分かってないのはお前だろ?」

そう言って男は拳銃を撃つ。
女性社員が悲鳴を上げる。

「人質は腐るほどいるぞ」
「君はユニティについてどのくらい知ってるの?」
「なに?」
「やられたらやり返す。それも倍返しで。君は忘れていることがある」
「なんだと?」
「君が聡美さんを切り札と思っているだろうけど、それが君の命綱だという事を忘れてない?」
「どういう意味だ?」
「聡美さんを撃ったらこっちにも大義名分が出来る。君をどう始末しようと僕達の自由だ」
「なんだと!?」
「銃を構えたまま窓の方をごらんよ」

スナイパーライフルを持ってる石原君が見えるはずだから。

「……状況を理解した?」
「くそったれ!!」

男が銃を聡美さんのこめかみに押し当て、銃を撃とうした刹那だった。
容赦なく石原君が狙撃して男の手を打つ。
そのあと背後にせまっていた椎名さんが男にタックルする。
男が落とした銃を拾おうとするとそれを蹴飛ばす僕。
椎名さんに押し倒された、男を見下ろすと。僕は宣言する。

「これで立ち場逆転だね」

だけど男はまだ余裕があるようだ。

「これからどうするつもりだ?」
「警察に引き渡す」
「それでは意味が無いぞ」
「善良な市民の義務でしょ?」
「何もわかっていないようだな。俺達は警察に捕まるようなへまはしない」

言葉の意味を理解するのにそんなに時間は必要としなった。
全身に走る悪寒。

「皆伏せろ!死神も!!」

だけど死神は椎名さんに押さえ込まれていて立つことすらできない。
片腕くらい覚悟するか!?
だが、僕が動こうとすると後から来た警官隊が僕を掴む。

「君はだめだ!危ないんだろ!?」
「危ないのはあの男の方だ」

そんな問答をしている間に事は起こった。
死神の首を貫通する一発の弾丸。

「死神!」

僕は警官の制止を振り払い、死神の元に駆け寄る。
もう、手遅れだと分かっていたけど、救急車を呼ぶように警官に指示する。
警官隊の一部は僕と窓際の間にシールドを並べる。
死神は、ヒューヒューと呼吸の漏れる音が聞こえる。

「まさか敵に身の心配をされるとはな……。お前いいやつなんだな」
「喋るな!時期に救急車が来る」
「へまをやったら消される、死神の不文律だ」
「死神はあと何人いる?」
「フフフ、悪魔に魅了された者は何度でも死神の鎌が首を狙っている」

悪魔を押さえない限り止まらないという事か?

「悪魔とは何者だ!?」
「それは……」

死神はそこで事切れた。

「死神!しっかりしろ死神!」

懸命に叫んで呼びかけるも死神は永遠に答えることは無かった。
失敗したら消す。それも死神の仕事なんだろうか?
それとも悪魔の仕業?
その答えを聞く事も出来なかった。
警官が後始末に入る。
死神の亡骸を撤収し僕と聡美さん椎名さんも事情聴取を受ける。
交渉は失敗に終わった。
そんな事よりも初めて人の死を目の当たりにしたことがショックだった、
人の死。
それは突然やってくる。僕や愛莉だって例外じゃない。
身が震える。

何度でも死神の鎌は首を狙ってくる。

何度でもか……。
悪魔と言う奴を押さえないとダメだ。
恐怖と怒りが混在して、頭が混乱している。
悪魔という存在はこのまま野放しにしておけない。
必ず尻尾を捕まえてやる!
そう決意した。

(4)

背筋が凍り付いた。
反射的に横に転がり後ろを見る。
マズルフラッシュが見える。
相手は隣のビルに銃を構えていた。
狙ったのは原田総合デザインの中。
片桐君達は無事だろうか?
だけど今はそんなことより今は自分の身の安全の確保。
建屋の陰に飛び込んで身をひそめる。

「出て来いよ『ヘッジホッグ』一緒に遊ぼうぜえ!?」

ヘッジホッグ?
僕の事を言っているのか?

「出てこねえってならこっちからいってやるぜ。

男はそう言うと僕の居るビルに飛び移り銃を構える。
銃を構えるというよりは2丁のリボルバー拳銃をくるくる回したり曲芸をしているが。
それはそれで相手の撃つタイミングつかめずに飛び出すチャンスを伺えない。

「本当にヘッジホッグなんだな!?身の守りが固い」

男は曲芸を続けながら僕に近づいてくる。

「様式美と機能美……どちらが美しいか試してみたくないか?」

男の動きは無駄が多い。……自分とどちらが優れているのか試したいという事か?
その勝負にわざわざ挑む必要はないけどここにいてもいずれやられる。
先に動くのは好きじゃないんだけどな。
僕は建物の陰から飛び出すと、相手はすぐにこっちをねらって撃ってくる。
12発の発射音を確認すると相手の懐に飛び込む。
誤算だった。
シリンダーをスイッチ一つで抜きシリンダーごと交換する機構のリボルバー拳銃、ピースメーカーだった。
だけど一度飛び込んだら躊躇う事は許されない。
リロードが終わる頃には相手の懐に立ち。一方はこっちの拳銃で払いのけもう一方は素早くかわす。
発射のタイミングと銃口の向きさえ把握していれば躱すことなど造作でもない。
回避した勢いを利用して反転し後ろにまわると拳銃のグリップで相手の頸部を打つ。
相手が倒れたところに銃口を向ける。
打撃が浅かったようだ。
相手は、僕の背中をける。
よろめいた僕に向かって2丁の拳銃を向ける相手。
僕はのけぞって弾を躱すが地面に倒れる。
上に乗っかかり銃口を突きつける相手と相手の顎の下に銃を突きつける僕。
膠着状態が続くと思われたが。すぐに終わった。

「そこまでだ!」

突然現れた多数の警官隊と遠坂警視。

「邪魔しないでくれないかな?遊びはこれからが楽しいんだからさあ!?」

相手がそう言うけど、遠坂警視は意にも止めない。

「近づく本当に撃つぞ!」

相手が遠坂警視に注意がそれ瞬間だった。

僕は両足を上げ相手の両脇に両足を掛けると、起き上がる。
立場が逆転する。
相手が次のアクションを起こす前に僕は相手の眉間に銃口を向ける。

「残念かもしれないけど、遊びはこれでお終いです」
「撃てるのかい?坊ちゃんに?」
「撃つ必要があるなら撃ちますよ?」

そうしてる間に取り押さえられる僕と相手。

「ああ、その子はいいんだ。解放してやれ」

遠坂警視が言う。

「しかしこの子は拳銃を所持していて」
「『モデルガン』だ。そうだな」

ここは言う通りにしておいた方が良さそうだ。
首を縦に振る。

「しかしスナイパーライフルまで用意しています」
「指紋は採取されていない……問題はない……責任は俺が取る」
「遠坂警視そうおっしゃるのなら」

僕は身柄を解放された。

しかし相手は隠し持っていた2丁の拳銃をとりだし取り押さえていた警官の足を打つ。
解放されると相手は屋上の手すりを乗り越え。そして叫ぶ。

「面白いぜ!ヘッジホッグ!次の標的はお前だ!俺の名前は『アズライール』よく覚えておけ」

そう言ってビルを飛び降りる。
僕と遠坂警視はすぐに彼が飛び降りた地点を見下ろす。
すると、ウィングスーツを着ていた彼は滑空して地上に降りると、警官を相手に戦闘を始める。
民間人を巻きこめない警官の状況的不利を利用していい様に暴れるアズライール。
数台のパトカーを炎上させて。彼はまんまと逃げのびたようだ。
またそういうのに目をつけられたのか。
ため息を吐く僕に遠坂警視は言った。

「一応事情を聞きたいのだが」
「はい」
「多分君の事だから優秀な弁護士がつくだろう。心配することは無い。聞き取りは俺の下でやる」
「はい」

スマホでその事を恵美に知らせる。

「心配いらないわ。それより望は大丈夫?」
「僕の心配より片桐君の心配をしてあげて」
「嫁にとって旦那よりも心配な事なんてないわよ?」
「そうだね。僕は平気。大丈夫」
「わかったわ。じゃあ後で迎えに行くから」
「OK」

やり取りを終えると、僕は遠坂警視とパトカーに乗る。
すぐに恵美の弁護士が来て僕の身柄は解放された。

「望!」

警察署をでると恵美が待っていた。

「恵美」
「どこも怪我してない?相手は中々強敵だと聞いたけど」

強敵と言えば強敵だった。
命のやり取りをゲーム感覚で楽しむ危険な男。
野放しにはしておけない。
出来ればこの手で始末したい。
そんな事さえ考えていた。
僕も彼ら同じ世界に足を踏み入れてしまったのだろうか?
そんな事は恵美に伏せておいた。

「ヘッジホッグね……あなた悪い意味で名前が広がっちゃったのね」

恵美が言う。

「そうだね」
「怖い?後悔してる?」
「これが皆を守る力になるなら僕は喜んで受け入れるよ」
「望は強くなったわ。色んな意味で……もう卑屈になる理由なんてない」
「ありがとう、ちょっと疲れた。……少し休むね」

そう言って恵美の体に自分の体を預けて眠りにつく。
唯一安息を許されたゆりかごの中で静かに眠った。

(5)

楽しそうにしている女帝と戸惑いを隠せない皇帝。
私を気づかっているのだろうか。今更恥ずかしがる年頃でもないでしょうに。

「じゃあ、邪魔者は退散するから二人でゆっくりしていってちょうだい」
「はい!」
「すいません……」

二人に挨拶を済ませると私は病室を出る。
病室には二人のSPがついている。
屈強な戦士だ。

「深雪先生……」

私を呼ぶ声が聞こえる。
私は小児科も担当している。
慢性的な人材不足のようだ。
彼女も私も担当する患者だった。

「どうしたの……?」

いつもの朗らかな笑顔はどこにもなく強張った表情の彼女。
車いすを押しているの赤毛の長髪の男。
白いスーツに黒いシャツ、赤いネクタイをしている。
誰?
彼を護衛するのは3人の黒いスーツの男。
そのうちの一人が何かを手に車いすに座る彼女に突きつけているのが分かった。
その何かの正体が分かった時私は彼らがアーバニティの人間だと判断した。

「その子は関係ない。すぐに離しなさい!」

赤毛の男は不敵な笑みをこぼす。

「関係ないかどうかはこれからの取引次第だ」
「取引?」
「皇帝と女帝をとるか彼女の命を取るかどちらにします?」

抵抗すれば彼女の命は無い。
そう赤毛の男の表情が物語っている。
私は彼らを女帝の病室に案内する。
部屋の前を守ていたSPがすぐに気づくが状況を把握し手出し出来ずにいる。
部屋に彼らを入れようとした時彼女に銃を突き付けていた男の悲鳴が「コキッ」という音と同時に聞こえた。
男は銃を落し彼の肩の関節を外した男に銃を蹴飛ばされる。

「やれやれ、晶ちゃんから言われて来てみればこの様ですか」

酒井君が男の手を拘束して言う。
他の男が銃を酒井君に突きつける。

「下らない正義感は身を滅ぼしますよ?」

赤毛の男はそう言うとやれという。
ほかの二人の男が懐から銃を取り出すと酒井君に突きつける。
警告なしのいきなりの発砲。
院内が騒然とする。
しかし撃たれたはずの酒井君はバク転をして回避していた。
二発目を撃とうとするとSPが2人にスタンガンを当てる。
残るはあと一人、赤毛の男の身。
赤毛の男は片手で車いすを引きながらもう片方の手で銃を彼女のこめかみに向けている。

「まさかもう勝った気でいるわけじゃありませんよね?」

赤毛の男はそう言うと車いすをこっちに向けて滑らせる。
その背後に向かて拳銃をかまえそして発砲する。
その動作に気づいたSPが車いすの少女の赤い男の間に割り込み少女の身を護る。
仮にはここは病院。
怒りで我を忘れた私は赤毛の男に突進する。
赤毛の男は私に向かって発砲する。
私は左の壁に向かって飛び壁を蹴って反対側前方へ飛ぶ。
白衣が舞い身を捻ると男の背後に回り着地する。
男が振り返り銃口を突きつけた時には、酒井君がその手を握る。

「女性に向けていい物じゃありませんよ。あなたも紳士なのでしょう?」

酒井君がそう言う頃には残りのSP一人が赤毛の男を取り押さえようとする。
しかし赤毛の男は銃を捨て、酒井君の手を振りほどきSPのわきをすり抜け逃走する。
後を追おうとすると男は隠し持っていた拳銃をこちらに向ける。
私は後を追おうする酒井君とSPの人を制する。

「ここは病院、被害者を増やすような真似はしたくない」

そう言うと二人は納得してくれた。

「撃たれたSPは無事?」

それが気がかりだった。
しかし、暫くするとむくりと起き上がり。スーツの下にボディアーマーを装備していた事を知らせる。

「ごめんね、せっかくの尻尾を掴むチャンスを逃してしまって」

泣きわめく、車いすの少女をあやしながら3人に謝る。

「ここは病院。あなたの判断はただしい。残った3人の男から情報を吐かせましょう」

SPの人がそう言う。

「その必要はないですよ。奴らのしっぽちゃんと掴みました」

酒井君がそう言うとスマートフォンを取り出した。

「いや、職業病って言うんですか?訓練中に身に着けた特殊技能といいますか?まあ、そんな職業に就く気は毛頭ないんですけどね」

赤毛の男と接触した際に、懐からすったらしい。

「怪我人いなくてよかったですね」

酒井君は言う。
皇帝と女帝は何があったのか?と聞いてくるので事情を説明する。

「多分その人が悪魔です」

女帝が言う。
緋き悪魔か……。

「俺達病院にいるからって安全じゃ無くなったようですね。むしろ他の人に迷惑が掛かる。場所を移した方が」
「だめよ!まだ森園さんの怪我は回復していない。患者を見捨てるような真似はしない」
「じゃあ、女帝さんの怪我が回復し次第別荘に移ってもらいましょうか?」

それが妥当な線ね

「わかった」

私が言うと皆元の位置に着いた。
それはそうと……

「酒井君、何しに来たの?晶さんの事はいいの?」
「その晶ちゃんに言われてきたんですよ。晶ちゃんの周りにはまだSPが山ほどいるし」

酒井君はそう言って笑う。
何が何でも奪いたいようね。こちらの手札を。
余程都合の悪い事でも抱えているのだろうか?
酒井君は多田君と連絡を取っている。

「じゃあ、僕行きます。用事できたんで。お大事に」

そう言って酒井君は帰っていった。
患者を人質にすような真似をする悪魔のような男を許しておくわけには行かない。
私はガムを手に取りかみ砕く。
今は多田君の情報待ちか。
沸き上がる怒りを抑えながら状況を整理していた。

(6)

その日の冬夜君は変だった。
理由はなんとなくわかる。
パパさんから大体の話は聞いた。
冬夜君は明るく振舞っているけど私の前でくらい素の自分でいてくれていいんだよ?
いつもみたいに甘えてよ。
冬夜君の本音聞きたいよ。
こんなときだからこそお嫁さんが支えてあげないと……。
異変はすぐにあった。
血がしたたるレアステーキ。
いつもの冬夜君なら喜んで食べるのに、今日に限って冬夜君は食欲がないという。
やっぱりショックなんだ……。
そんな冬夜君に何をしてあげられる?

ぽかっ

「駄目だよ!食べ物に失礼だよ!ちゃんと食べないと!」

そう言って冬夜君の口に肉を当てる。
嫌がっていた冬夜君も観念して口に入れる。

「美味しい?」
「ああ、美味しいよ」

冬夜君なりに私に気づかってくれるのだろう。私の頭を撫でてくれる。

「本当に仲のいい2人ね」
「おしどり夫婦って言うんだろうな」

冬夜君のパパさんと麻耶さんはそう言って笑っていた。
冬夜君はご飯を食べてお風呂に入るとテレビを見ていた。
私もお風呂に入ると冬夜君の部屋に戻り髪を乾かす。
ニュースを見ていた。
今日の事件だ。
原田総合デザインの銃撃事件。
ニュースにはされてないけど、西松医院でも襲撃があったらしい。
その際酒井君が悪魔さんと思われる男性から、スマホを奪ったらしい。
それは直ちに誠君の手元に渡り、中身の解析を行われた。
これで相手の手の内は掴んだ。
後は攻撃するのみ。
でも今の冬夜君はそれどころじゃない。
うつろな目でテレビを見ている。

「今回の作戦は失敗だな……」

冬夜君が言う。
どうして?相手のしっぽをやっと掴んだんだよ?

「僕の判断ミスだ。敵がそこまでやってくるとは思わなかった」
「……」
「あと一歩僕の行動が早かったら」

ぱしっ

私は冬夜君を平手打ちしてた。
そして冬夜君に泣きつく。

「今考えたことは今すぐ消去して!早く!!」
「愛莉?」
「人の死って大変な事だと思う。むざむざ死なせてしまった冬夜君が後悔する気持ちも分かる。でも冬夜君が死んだら私がきっと同じ気持ちになる。どうして行かせてしまったんだろうって。縋ってでも止めるべきだったって」
「愛莉……」
「人の命は皆大事、かけがえのないたった一つの物だもん。でも冬夜君は後悔のあまり、罪に苛まされて肝心な事を忘れている。冬夜君の命も同じくらい尊い物なんだよ?」

冬夜君が死んだら沢山の人が悲しむ。それは誰もが一緒。だから忘れてしまう。自分の命に代えてもなんて簡単に行ったらだめだよ。私の為にも生き残ってください。
私は必死に訴えた。
その甲斐あったのか冬夜君は受け入れてくれた。

「ごめん、愛莉の言う通りだ。何があっても生きようとする意志か……」
「そうだよ」

絶対に忘れちゃいけない事。それは絶対不変の真理であって誰にも曲げることは出来ない意志。

「愛莉……お願いがあるんだけど」
「な~に?」
「今夜だけ甘えてもいいかな?」
「やだ」
「え?」
「今夜だけなんて絶対にだめ。冬夜君の甘えたいときにいつだって甘えてもいいんだよ」
「わかったよ」

冬夜君の表情はいつもの笑顔に戻っていた。
そんな冬夜君に抱き着く私。
そんな時冬夜君の異変に気付いた。
冬夜君が体を震わせている。
やっぱり怖かった?
違う、やっぱり拭えないんだね。自分の犯したミスを。
いつもは冬夜君に甘えてる私だけど。
今日だけは冬夜君に甘えさせてあげるんだ。
月が満ちたる綺麗な夜の事だった。
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