優等生と劣等生

和希

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5thSEASON

窮地を駆ける

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(1)

「ねえ冬夜君どっちがいいと思う?」
「そうだな~……」

僕でも悩むことはある。
僕と愛莉は約束通り愛莉のスカートを買いにデパートに来ていた。
黒地に白のドットスカートもいいんだけど、ここにきて新しい選択肢が出来た。
ニットのワンピース。
愛莉に着せたらさぞかわいい事だろう。
でも愛莉ミニスカートは寒いから嫌だって言ってたしな。
愛莉の心を見ればドットスカートなんだけど、うーん悩むなぁ……。

「うぅ……冬夜君ちゃんと見てる?」
「見てるよ」

見てるからこそ悩むんだ。
僕の欲望を愛莉に押し付けて良いのか?
それとも自分の欲を押さえて愛莉の希望をかなえてやるのがいいのか?
……最善の手があったじゃないか!

「愛莉はスカートの方が似合うと思うよ」
「うん、じゃあスカート買うね」

愛莉はスカートを取る。

「ほえ?」

愛莉は異変に気付いた。
レディースの服の店のレジに僕がニットワンピースを持って並んでいる。
異様な光景だ。

「冬夜君それどうするの?」

普通に誰もが抱く疑問。
愛莉がスカートを買った後僕がニットワンピースを買う。

「あ、包装してくれませんか?」
「はい」

店員もクスクス笑いながら包装してくれてる。
愛莉は不思議そうに見ている。
綺麗にラッピングされたそれを受け取ると愛莉に「行こうか?」と言った。
もう夜だし何か食べて帰ろうかと愛莉に言った。
折角街まで出たんだしとデパートの別館でご飯を食べる。
愛莉が残すのも想定内。
こんなムードのある店で無茶な食い方はしない。

「ねえ?あのニットワンピどうするの?」

愛莉にはまだ分からないらしい。

「プレゼントするんだよ」
「誰に?」
「大切な人に」

ぽかっ

「そういう人がいるんだ?冬夜君も浮気するんだ!」
「ち、違うって落ち着けって」
「落ち着けるわけないでしょ、酷いよ冬夜君。買い物デートを楽しくしてたのに!」
「だから、その締めに用意してあるんだろ!」
「それが浮気宣言!?」
「だからいったろ大切な人だって」
「誰よそれ?」
「愛莉だよ」

愛莉は落ち着いたようだ。

「じゃあ、そっちを選べばよかったじゃない」
「愛莉ミニスカートは嫌って言ってただろ寒いからかなって」
「冬夜君が望むなら着るよ!」
「でもそのスカートに白い服着てる愛莉もかわいいと思ったんだ」
「ありがとう♪それなら両方買ってって言えばよかったじゃない?」
「愛莉はミニスカートが嫌、しかも両方買ってしまえなんて言ったら愛莉怒るだろ?」
「……それで冬夜君がニットワンピを買った理由は?」
「個人的なお願いだよ」
「お願い?」
「そう」

愛莉は僕の意図を読みかねてる様だ。

「お願いって何?」

愛莉が質問した。

「これ、部屋着にしてくれない?」
「ほえ?」
「愛莉がどうしてミニスカート嫌なのかはわからない、寒いからなのか、それとも露出が気になるからなのかわからない。でも部屋着なら見るのは僕くらいだろ?暖房効いてるから温かいだろ?それを部屋着に着て欲しいって」

それを聞いた愛莉は笑いだした。

「冬夜君でも悩むことあるんだね。いいよ。冬夜君が望むならどんな格好だってしてあげるよ」
「ありがとう」
「最初からそう言てくれればいいのに……変な人に思われるよ?婦人服を買う男なんて」
「自分の願望だから自分で買ってあげたかったんだ」
「そんな理由これから先通りませんからね」

なんで?
僕は愛莉に聞いていた。

「だって来年からは冬夜君のお金は全部私が管理するんだよ?」

あ、そうか。

「お腹いっぱいになったしそろそろ出よう。早く帰りたいから」
「なんで?」
「冬夜君のお願い聞いてあげなくちゃ」

ああ、そういう事ね。
僕達は食事を終えると家に帰る。
家に帰って風呂に入ると愛莉が風呂に入る。
そして出てきたのは今日買ってきたニットワンピを着た愛莉だった。
やっぱり似合う。
袖からちょこっと出た指先。健康的な足。

「結構温かいねこれ」

愛莉のお気に召したようだ。

「やっぱり冬夜君と私の好みって似てるね」

そうだと嬉しいよ。
愛莉は床に座るとスマホを弄っている。

「まだ帰って来てないみたいだね。誠君」

誠が失踪してから10日が経った。
あれから何の連絡もない。
カンナもさすがに憔悴していた。
ご飯も喉を通らないらしい。
何やってんだ誠。早く戻って来い。お前の大切な人はお前を待っているぞ。

「捜索願出した方がいいんじゃない?」

愛莉がそう言った時だった。

スマホが鳴る。渡辺班だ。

「兄が帰ってきました」

ちぃちゃんからだ。
愛莉と顔を見合わせる。
僕達は家を出て誠の家に向かった。

(2)

俺が家を出て10日が経っていた。
授業はちゃんと出てる、練習もちゃんとしてる。
すると必然的に瑛大と咲良さんに見つかる。
今日もグランドにやってきてる。
練習の合間に話をした。

「いい加減帰った方がいいんじゃないですか~?」

咲良さんが言う。
どの面下げて帰ればいい?

「変な意地張ってる時じゃないですよ~、神奈先輩心配してます~」
「咲良さん、神奈達には……」
「わかってます、言ってませんよ~」
「冬夜が言ってたぜ。お前は嵌められただけだって。だから心配しなくていいって」

瑛大が言う。
そういう問題じゃないんだ。

「嵌められたとしても油断があった俺に問題がある。そもそも行かなければこうならなかったんだから」
「その気持ち伝えたらいいじゃないですか~。……ただの家出少年ですよこれじゃ」

その時スマホが鳴った。
知らな番号だ。
電話に出る。

「もしもし」
「あ、私下村ですけど……」
「どうしてこの番号を……?」
「サッカー部の人に聞いて、ちょっと緊急な要件が出来たので第一体育館の裏まできてもらえませんか?」
「あ、わかった」

電話を切ると咲良さんと瑛大に一言言って第一体育館裏に言った。
そこには見たことのない女性が何人いた。
ギャル風の女性が何人かいた。今年の新入生だろうか?

「あんたが多田誠?」
「そうだけど?」
「私ら下村有栖に頼まれたんだけどさ」

彼女たちの目つきがするどい、ただ事じゃないみたいだ。

「下村さんに何かあったのか?」
「出来ちゃったみたいなんだよね?」

え?

「あんたも男ならわかるだろ?自分が何をやったのか」

まさかそんなはずはない、神奈にだってしたことないぞ!

「そ、そんなはずはない!」
「そんなはずが無くても出来るのが子供だろ?いい歳してんだからそのくらい理解しなよ」
「それで下村さんはどこに?」
「今ショックで誰にも会いたくないってさ。で、私らが伝言預かってるわけ」
「なんて伝言を?」
「中絶の費用に50万、慰謝料100万。合わせて150万用意してくれって」

頭がパニックになった。
そ、そんな馬鹿な。

「一週間で用意してよ、手遅れになってからじゃ遅いからさ。あんたの将来も棒に振りたくないだろ?未来のJリーガーしかも既婚者が不倫で孕ませたなんてことになったら大問題だろ?」
「離婚届は出した!下村さんの子は俺が責任もって育てる」
「有栖(ありす)も大学入ったばかりなのに出産なんて嫌だって言ってるんだよ。理解しなよ有栖の気持ち」
「下村さんはどこにいる?会わせてくれ!」
「物分かりの悪いお兄さんだね。あんた嫌われてるんだよ有栖に」

俺は何も言えなかった。

「じゃ、そういう事だからあとよろしくね」

女性は俺の肩をぽんと叩いて立ち去って行った。
金だ、金が要る。とりあえず金を用意しないと!
貯めてたお金は全部神奈に渡した。どうする!?サラ金でも150万なんて金は無理だ……。
しかたない、後で帰すからと言って親に借りよう。
理由は正直に話すしかないな。
一発くらい仕方ない。
部活終わったら家に行こう。
つくづく情けない男だ。
呆然とその場を後にする。
その様子を見ていた二人に気づくことなく。
家に帰って事情を説明する。
まずは神奈と離婚したところから話し始める。
親の顔は険しい。

バシッ

まずは母さんから一発。

「あんたって子は神奈ちゃんと言う子がいながら!!」

母さんは泣いていた。

バキッ!

「明日お前の口座に150万振り込んでおく!返さなくていい!その代わり二度とこの家の敷居をまたぐな!」

父さんも体震わせている。
俺はふらふらと玄関に向かう。
つくづく駄目な男だな。

「兄……」

ちぃが袖を引っ張っている。
こんな情けない兄の姿を見せたくない。
俺は振りほどくと靴を履いて外に出た。
すると冬夜と遠坂さんが立っている。

「誠……ちょっとこいよ」
「冬夜、すまなかったな。色々迷惑かけた」
「ああ、今もかけてるよ」

そうだな……現在進行形でかけてるな。

「俺から言う事は何も無いよ」

そう言って自分の車に乗ろうとすると冬夜は俺の腕を掴む。

「いいから来い!」
「離せ冬夜!」
「誠君お願いだから私達の話を聞いて!」

遠坂さんが言う。

「お前の間違いを一つずつ説明してやるから来い!」
「……わかった。どこに行けば良い?」
「いつものファミレス」
「分かった」

俺が車を出すと冬夜達がその後をついてきた。
逃がすつもりはないらしい。
大人しくファミレスに向かった。

(3)

ファミレスに着くと渡辺夫妻、石原夫妻、神奈、桐谷夫妻、咲良さんがいた。
神奈は何も言わずに誠の隣に座ってる。
そして下を向いたまま誠の手を強く握ってる。
今日あった出来事を誠のあとをつけていた咲良さんと桐谷君から説明された。

「二人は知っていたのね、多田君の居場所を」

恵美さんが言う。

「ごめん、私も今日聞いたの」と亜依さん
「誠が言うなって言うから」と桐谷君。
「流石に今日の話聞いてまずいと思ったから~」と咲良さんがいう。

「お前はどれだけの人間に心配抱えたのか分かってるのか?」

渡辺君が言う。
誠は黙ったままだ。

「黙ってないで何とか言ったらどうなんだ!神奈だって心配してたんだぞ!」

美嘉さんが怒鳴りつける。
僕はいつものメニューが来るのを待っていた。
神奈も相変わらず黙ったままだ。
僕はスープのおかわりを取りに行く。

ぽかっ

「冬夜君が何か言わないと始まらないでしょ」

そうなのか、じゃあ言おうかな。

「誠……お前?本当に覚えてないんだよな?どうやってホテルに行ったか」
「ああ、気付いたらホテルのベッドの上だったんだ」
「それってちょうど11日くらい前か?」
「そうだな」
「お前その日何飲んだか覚えてるか?」
「ビールをジョッキ2杯と日本酒と焼酎をロックで飲んだのと……」
「どんな会話してた?」
「どこの大学ですか?とか学部どこですか?とかその指輪結婚指輪ですか?とか……」
「ああ、もうじれったいな。とーやは何が言いたいんだよ!?」

美嘉さんが言う。

「……これだけ詳細を答えられるのにホテルに行った経緯だけ抜けてるっておかしくない?」
「そう言われるとそうだな」
「……誠、トイレに行ってその後飲んだ時隣に誰がいた?」
「下村さんだよ」
「じゃ、間違いなく盛ったのは下村さんだな」
「盛った?」

誠が聞き返す。

「お前がトイレに行ってる間に睡眠剤でも盛られたんだろ。いつもの誠なら記憶が飛ぶまで飲むことは無い」
「言われてみればそうだな……」
「次に誠が犯したミスを言ってやるよ」
「まだ何かあるのか?」
「お前女性について何を知ってるんだ?」
「基本的な事は知ってるぜ?」
「知ってるのになぜ気づかない?」
「何をだよ?」
「どうして行為をしてから10日で妊娠が分かるんだ?」
「あ!」

自分で気づいたらしい。

「僕だって高校の修学旅行の時に神奈の件があって渡辺君に言われてそれなりに勉強してきた。いくらなんでもそれはないだろ?」
「確かに言われてみればそうだな……」
「誠、冷静になれ。今お前に欠けてるのはそれだ」
「まあ、そんな状況になって頭がパニックになってるのは分かるがな」

渡辺君が言う。

「片桐君が身辺調査を依頼するからしてあげたら見事に大当たり、彼女今10人の子供を孕んでるそうよ」

恵美さんが言う。

「何それ……同じ女性として許せない……」

亜依さんがこぶしを握り締めてる。

「僕が言う事はそれだけ。後は誠とカンナの話だ。お互い冷静に話ししたいだろうから聞いてあげるよ」

二人きりにすると何しでかすか分からないしね。
その間に僕はハンバーグを食べることにするよ。

ぽかっ

こうなることも分かってたけどね。

「神奈……ごめん、もうお前には会わないつもりでいた。合わす顔が無いと思っていた。お前の気持ち話は分かる……だから俺はこの事件が済んだら……」
「私の気持ちがわかる?本気でそう思ってるんだったら私も容赦しない!」

神奈が初めて口を開いた。

「お前が他の女に寝取られたときかされた時の屈辱感が本当にわかってるのか!お前のやってる事はただの逃げだろ!この十日間どれだけ心配したと思ってるんだ!どれだけ寂しかったと思ってるんだ!」
「じゃあ、俺はどうすればいいんだ!?教えてくれよ。他に責任の取り方なんてわかんねーよ!」
「誠君逃げちゃダメ!!」

愛莉が言う。

「冬夜君が言ってた『剣と心を賭して己の人生を完遂する』誠君も神奈に自分の人生を賭して完遂するべきじゃないの!?」
「神奈に人生を賭して……か?」
「誠君のやったことは許される事じゃない。でもそれを悔いて自分の存在を軽んじて自暴自棄になってるだけじゃない?少なくともそれじゃ神奈をさらに不幸にするだけだよ!」
「俺の存在が神奈の重みになってるんじゃないのか?」
「誠君知ってる?神奈は心では泣いてたんだよ。誠君の疑惑が発覚した時」
「そのくらいはわかってるよ」
「そう。ならこれは知ってる?冬夜君が誠君の疑いを晴らした時、神奈は『私はあいつを信じていいんだな?』って泣いてたこと。今逃げたら一生神奈を不幸にするよ!」

愛莉の説得が功を奏したのだろうか?
誠は黙ってしまった。

「……お前のやってしまったことは。許せることじゃない。……でもだからってお前を失って私の幸せなんてありえないんだ!私を理解してるならそのくらい分かれよ!」
「神奈……すまん……本当にごめん」

誠は神奈を抱きしめる。

「馬鹿野郎。ごめんで許されると思うなよ……絶対許さないからな。一生かけて私を幸せにしろ。そうしたら許してやる」
「わかった……お前にこの人生捧ぐよ」

2人とも泣いていた。

「さてと、片桐君こっちはこれで片付いたわね。この後はどうするの?」

どうしたもんだかな、無理矢理西松医院に引きずって診察受けさせようかとも思ったけど。その必要は無さそうだ。

「誠、感傷に浸っているところ悪いんだけど……」
「あ、ああ。冬夜なんだ?」
「下村さんってのに接触するのはいつだ?」
「一週間後だ、多分その時に連絡来るはず」
「本人は来ないんだよな?」
「ああ、嫌われてるらしいからな」

誠がそう言って笑う。

「じゃあ、この先は恵美さんの分野か」
「何でも言ってちょうだい。この性悪女は同じ女性として許して置けないわ」
「10人の父親の動向を探って欲しい。取引してるところを押さえたい」
「そういうことね。わかったわ」
「その時は誠も来いよ。お前が来ないと話にならない」
「分かってる」
「じゃ、食べ終わった事だし……締めにフライドポテトを……」

ぽかっ

「いい加減にしなさい!」

愛莉が言うとみんな笑ってた。

(4)

「ねえ冬夜君?」
「どうした?」
「わかんないことがあるんだけど?」
「なんだい?」
「冬夜君はどこで女性の体について学んだの?」
「ああ、保健体育の教科書とかで」
「ふ~ん」
「それがどうかしたの?」
「いや、どうして私に聞いてくれないのかな?って」
「き、聞けるわけないだろ?」

てか普通隠すもんじゃないのか?

「その割にはお腹の音とか気にしてたじゃん」

間違っても子供がいるんじゃないかと疑ってたなんて言えないな。

「これから分からないことがあったら教えてあげるね」
「ああ、その時は頼むよ」
「もうそろそろ寝よっか?」
「そうだな」

二人でベッドに入ると照明を落とす。

「ねえ?冬夜君」
「どうした?」
「あの二人仲直りできるかな?」
「出来るんじゃない?」
「誠君同じ事しないかな?」
「多分大丈夫だよ」
「……うぅ、真剣に話聞いてる?」
「聞いてるさ。今は愛莉の事に夢中なだけ」
「えへへ~、冬夜君お好みの服だもんね」
「そうだな」

シーンと静まり返る。
この先の事なんて誰も分からない。
だけど神奈は許し続けるだろう。
何度も何度も。
誠も何度も変わり続ける。
いつか理想の二人に慣れるまで。
だけど理想は絶えず先を行く。
永遠に理想を追い求めるのだろう。
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