優等生と劣等生

和希

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LASTSEASON

たった一つの感情

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(1)

「じゃあ今日は皆無礼講でやってくれ」

社長が言うと宴が始まり。
無礼講だと言って本当に無礼をする人間を見たことは無い。

「じゃあ、片桐君。今夜はたっぷり飲んでくれ」

社長にビールを注がれる。

「これからよろしくお願いします」

社長にビールを注ぐ。

「しかし才能あるやつって本当に要るんですね!僅か一週間でここまでこなすとは思いませんでしたよ」

達彦さんが言う。
今日は死に物狂いで終わらせたけどね。
フグが待ってるの一言で死ぬ気になれるんだね。
そのフグをつつきながら酒を飲む。
夏美さんからもビールを注いでもらった。
僕も返杯しようとしたけど彼女は下戸だと達彦さんが言う。
達彦さんは酒癖は良くも悪くもない。
いつも通りのテンションを保っている。
そしてバスケ好きが多いらしいのは面接の時から知っていた。
酔いが回ると自然とバスケの話になっていく。
その話題の中心は大体僕なんだけど。
金メダルって本当に金で出来てるの?とか聞いてくる。
誰も知らないだろう。その金メダルは実家の部屋に乱雑に放置されてることを。
あとは金メダルもらったら賞金いくらもらえるの?とか。
夢も希望もない話をしていく。

「しかし国民栄誉賞を史上最年少で手に入れたんだ。凄い逸材を我々は獲得したわけだ」

国民栄誉賞の史上最年少はフィギュアスケート選手で23歳だったのでわずかに上回った。
しかしそんな事が職務経歴書に乗ることは無い。
精々履歴書に特技・趣味バスケと書いて面接時にアピールするくらいが関の山だ。
バスケという舞台を下りた今となっては何の意味もない。
まあ、そんな選手が面接に来たら普通に驚くんだろうけどね。
国民栄誉賞、オリンピック金メダルという栄冠を手にした僕は、税理士という資格を得るために必死に勉強しながら働いている。
今日は花見と僕の歓迎会という席を設けてもらってる。
花見といってもここはフグ料理という料亭にいるんだけどね。
職員もそんなに多くはない。
受付と事務員2名職員が僕を入れて4名あと社長という構成だ。
一人で何件もの顧客を抱えないといけない。
僕は達彦先輩の補佐を任されている。
3月期の決算業務がある5月は死ぬほど忙しいらしい。
覚悟しておけと言われた。
大きなところは8月の税理士試験の一月前から試験勉強の休みをもらえるらしいが、個人経営の事務所では僕みたいな若輩者も重要な戦力とみられるのでそんな休みはない。
暇を見つけては、勉強をしている。
締めの雑炊を食べると宴会はお終い。
時間は21時を回ったくらいか。

「じゃあ2次会行くか」

社長が言う。

「僕、彼女が待ってるのでこの辺で……」

達彦先輩に捕まれる。

「主賓のお前がいないなんてありえないだろ!」
「でも彼女待ってるし」
「心配するな、夏美も一緒に行くような店だ!変な店じゃねーよ!彼女さんには電話しとけばいいだろ」

仕方なく愛莉に電話する。

「冬夜さん?」
「愛莉、僕達これから2次会行くから、帰り遅くなるから先に寝ていて」
「何時くらいですか?」
「わからない」
「わかりました。飲み過ぎに気を付けてくださいね」

そんな様子を見てた達彦先輩がにやりと笑う。

「だから大丈夫だって言っただろ」と笑う。

2次会はお洒落なバーだった。
カクテルを注文する。

「冬夜の彼女ってどんな彼女なんだ?写真とか見せてくれないか?」

僕はスマホを見せる。待ち受けに愛莉の写真つかってるから。

「うわっめっちゃ可愛いじゃん」

達彦先輩が驚いている。
夏美さんは覚えているようだ。
その表情を見ていたらわかる。

「夏美知ってるのか?」

達彦先輩が夏美さんに聞く。

「中学の時秀才で万能で美人だって言われてた人」

愛莉の知名度はクラスを越えて、いや学年を越えて有名だったからな。

「そんなすげー子と付き合ってるのか。スゲーなお前」

達彦先輩が驚いている。

「中学の時からって事は10年くらい付き合ってるのか?」

誰かがそう言うと僕はうなずいた。

「一途って次元超えてるぜ。良く続いたな」

達彦先輩が言う。

「でもそんなに長い間続いてるならなんで結婚しないんだ?」
「それは、生活の基盤作ってからしようと思ったので」
「そんなのバスケ続けてたら、楽に稼いでたろ?ていうかCMに出てたじゃん。スポンサー料とかすげーんじゃね?」
「バスケは学生の間だけって決めてたので」
「そういえば、面接の時に言ってたな『金メダル取ったら引退します』って」

社長が言う。

「まじっすか。お前めちゃかっこいいじゃん」

達彦先輩が驚いていた。

「じゃあ、あの時もらったサイン値打ちもんですかね?」
「あまりサイン会とかしてないみたいだからな。値打ち物だろうな」

社員の人が騒いでる。
気のせいか周囲の目線を感じる。

「さて、そろそろお開きにするか?」
「そうですね」

そう言うと皆ぞろぞろと店を出ていく。
店の外で「お疲れ様でした」と言うと皆散り散りに散っていく。
時計を見る。日付が変わっていた。
代行で家に帰る。
明りがまだついてる。
まさか、でもちゃんと先に寝ててといったのに。
鍵を開けて部屋に入る。

「おかえりなさい、お疲れ様です」

愛莉が出迎えてくれた。

「愛莉先に寝ててって……」
「お風呂沸かしなおしますね。帰る前に言ってくれたらよかったのに」
「ごめん、どうしても断り切れなくて」
「仕方ないですよ。お仕事なんですから」

お風呂に入ると愛莉がまだ起きてる。
深夜番組を見ていた。

「あ、飲み物どうします?ジュースにします?それとも酎ハイになさいますか?」

愛莉の心に触れてみた、純真に優しくて温かな心。僕の事だけを考えてくれてる。
そんな愛莉を気が付いたら抱きしめていた。

「大丈夫ですから、怒ってなんていませんよ。仕事のお付き合いですもの。仕方ありません」
「ありがとう」
「お疲れ様です」

愛莉は何も言わない。僕も何も言わずにただ愛莉を抱きしめていた。

(2)

土曜日、俺達は花見の場所取りをしていた。
俺と竹本と晴斗の3人で50人近くのスペースを確保する。
一番最初に来たのは栗林君と北村さん。その後学生組がぞろぞろとやってくる。
それぞれが分担された食べ物と飲み物を持ってくる。
社会人組で最初にやってきたのは渡辺夫妻だった。
最後に来るのは如月君と朝倉さん。
皆が揃うと渡辺先輩が立ち上がった。

「皆お疲れさまだった。今年度もよろしく頼む」

渡辺先輩がそう言うと宴がはじまった。
食べ物はいくらあってもいい。
片桐先輩が食べてくれる。
飲み物もみんなどんどん空けていく。

「じゃあ、皆の様子を聞いていこうか、それぞれ生活が変わった事だろうし」

渡辺先輩が言う。

「まず正志から言えよ」

美嘉先輩が言う。

「俺か?俺は参ったよ……」

渡辺先輩についた先輩がついてなかったらしい。
仕事を押し付けるだけ押し付けて先輩のチェックが終らないと次に進めないのにとにかく手より口が動くタイプのようで仕事が捗らないのだとか。
残業時間がなさそうなクリーンなイメージがあるが、そんなことは無い。普通の民間企業程度はあるらしい。
一方、同じ公務員でも上下水道局に勤務している中島先輩は定時で上がれるらしい。
神奈先輩は定時でこそ上がれは出来るもののひたすら頭を下げる練習らしい。
石原先輩も残業はそんなにないけど副業の芸能事務所の方針を決めたりで忙しいらしい。如月君の件は新條さんが徹底的に指導中なのだとか。
多田先輩もサッカーで初出場初得点初勝利を導いたが常にレギュラー争いらしい。
酒井先輩はただ、椅子に座っているだけで良いかとも思いきや取引先の企業と連絡を取ったりとても新卒がやるような仕事じゃないことをやるらしい。
稟議書や決済の承認など入って一週間も経ってない新入社員に判断できないことを重役と相談して決めたりするらしい。残業はないこそすれど胃が痛い毎日を過ごしているそうだ。
亜依先輩、穂乃果先輩は残業は当たり前、患者のセクハラなどで大変らしい。
晶先輩、花菜先輩、恵美先輩は毎日青い鳥に通っては時間を潰してるらしい。そうはいえどやはり家事はこなしているとか。

「先輩たちも大変なんすね」

晴斗が言う。

「私続ける自信ない」

穂乃果先輩がそう言うと亜依先輩も「私もこれと家事はしんどいわ」と言う。
桐谷先輩は半年で1単位取ればいいという事で悠々自適の生活を送ってるらしい。

「少しは部屋を片付けるとかしろ!」とどなる亜依先輩に同情する。

そんな中明らかに周りと違うムードを醸し出してるカップルが……。
片桐先輩と遠坂先輩だ。

「冬夜さん今日のから揚げどうですか?」
「美味しいよ愛莉、味付け変えた?」
「昼間に麻耶さんに電話で下味のつけ方聞いて変えてみたんです」

明らかに既婚者よりもラブラブな空気を出してるこの二人。
一週間の間になにがあったのか?
正確に言うと同棲を始めた辺りから何か変わっていた。

「愛莉、どうしたんだお前達?」
「私も思った。卒業旅行の時からおかしいと思っていたんだけど何があったの?」

神奈先輩と亜依先輩が聞いてる。

「いつも通りだよ?」
「今日はタクシーで来たんだし愛莉も飲んでいいんだよ?」
「ありがとう、冬夜さん」
「それだよそれ!」

美嘉先輩が立ち上がる。

「愛莉『冬夜さん』って呼ぶようになってからキャラ変わってきてるぞ!何があったんだ?」

美嘉先輩そう言うと皆が遠坂先輩を見た。

「おかしいかな?」

首をかしげる遠坂先輩。

「そうじゃなくてだな!」
「愛莉ちゃんなんか片桐君に弱み握られたとか?」

美嘉さんと恵美先輩が言う。

「そんなんじゃないよ」
「じゃあどんな心境の変化だよ?」

神奈先輩が聞く。
皆興味があるらしい。
今日は酒も入って気分がいいらしい。
遠坂先輩は話を始めた。

(3)

それは引っ越しの準備をしている時の事だった。
連帯保証人のサインをもらいに家に帰った時りえちゃんに話があるから座りなさいと言われた。
パパさんも一緒にいる。

「愛莉ちゃんはこれからもう事実上は冬夜君の嫁になるわ。だから話しておきます」
「うん」

りえちゃんがいつもと口調が違う。きっと大事な話なんだ。
真面目に聞いていた。

「それは夫婦が上手くいくためのお嫁さんの心得です。ちゃんと覚えておくのよ」
「う、うん」
「まず、どんな困難が待っていても愛莉ちゃんだけは冬夜君の味方でいなさい。愛莉ちゃんが冬夜君を支えるの。愛莉ちゃんだけは冬夜君を最後まで信じてあげなさい」
「わかった」
「本当にできる?例えそれが間違っていたとしてもじっと見守ってあげるの。自分で間違いに気づくときまで冬夜君の味方でいてあげるの」
「冬夜君が間違えに気づいた時は?」
「『大丈夫だよ』って言い聞かせてあげるの。挫けそうになったら支えてあげなさい。それが出来るのは世界中で愛莉ちゃんだけなんだから」

最後の最後まで、死が二人を分かつときまで信じて、唯一無二の冬夜君のパートナーでいてあげる覚悟を今決めなさい。とりえちゃんは言う。
りえちゃんはそうやってパパさんを支えてきたのだろうか?

「次にどんなことがあっても夫を立てるの。愛莉ちゃんにとってたった一人の旦那様なんだから。最後の最後まで冬夜君について行く覚悟を持ちなさい。それが奈落への一本道でも。共に躊躇いなく毒を飲む覚悟を今決めなさい」

最後まで冬夜君を守る覚悟、冬夜君を信じる覚悟、冬夜君について行く覚悟。

「次が最後よ」
「うん」

「最後はどんなことがあっても冬夜君を許す勇気。どんなことがあっても冬夜君を笑って許す覚悟。一番大事な事。例え浮気されても許しなさい」

浮気は嫌だよりえちゃん。

「これら全てを持てないのなら、今からでも遅くありません。冬夜君と別れなさい。絶対に続かないから」

りえちゃんの言葉が突き刺さる。別れるのは嫌だ。

「冬夜君は愛莉ちゃんが思うような事をする人には見えない。だから敢えて言います。守る覚悟、信じる覚悟。ついて行く覚悟、許す勇気。その先に見えるものは愛莉ちゃんなら分かるでしょ?冬夜君にだからこそ持てるたった一つの感情」

それは……。

「愛莉ちゃんが今言ったことを貫けばきっと冬夜君には想いは通じるはずだから」
「わ、わかった……」
「大丈夫、辛いかもしれないけどそれはある絆ができるまでの我慢だから」
「絆?」
「ママが前に言ったこと忘れた?パパさんと喧嘩してた時の話」

あ……。
りえちゃんが私がそれを気づいたことを分かったのか笑みをこぼした。

「ママに誓える?今言ったこと」
「わかった……誓います」

そういうとりえちゃんはパパさんに促すとパパさんが連帯保証人にサインする。

「……梨衣はいつも笑ってくれる。すると不思議なものだ。梨衣の笑顔を壊すような真似はしまい。そう思えてくる。そう思える人を伴侶にするんだ」

パパさんが言った。
その時私は覚悟を持った、勇気を持った。そしていつでも笑顔でいる覚悟を決めた。
それらに通じるものがたった一つの感情なのだから。



私の話はこれでお終い。
皆が聞き入っていた。
冬夜さんもじっと聞いていた。

「覚悟……か。そこまで考えてなかったわ」

亜依が言った。

「私も覚悟が足りなかったのかもしれないな」

神奈が言う。

「愛莉ちゃんは覚悟を決めたのね?」

恵美が言うと私はうなずいた。

「冬夜さんにだからこそ抱く感情。その感情が私に自信を持たせてくれるの。それが出来るのは世界でただ一人冬夜さんだけ」
「冬夜は果報者だな」

渡辺君が言う。
でも私は言う。

「本当は皆それを持ってるんだよ。どんなことがあっても離婚しなかったじゃない」

婚姻届という薄っぺらな紙切れと小さな指輪がもつ大きな絆。
悔しいけど私はまだそれを持ってない。でも信じてるから待ってる。

「これで冬夜は下手な真似できないな」

誠君が言う。
冬夜さんは私の肩を抱いてくれる。
でも今は我慢。

「今夜期待してもいいですか?」

そう囁くと冬夜さんが一瞬戸惑うけど優しい眼差しで答えてくれる。

「ところで、ALICEちゃんはどうなってるんだ?」

桐谷君が言う。
きっと話題を変えたかったのだろう。

「私は順調ですよ。毎週ライブ会場は満席です」

有栖さんが答える。

「芸能事務所にも新人二名入ったの。役者志望の有望株よ」

恵美が言う。

「北村さんや如月君もどうなってるのか気になるわね」

亜依が言う。
お酒が尽きても話題は尽きることなく、深夜遅くまで宴は続いた。

(4)

花見が終ると代行で帰った。
家に帰るとお互いにお風呂にはいって寝室のベッドに横になる。
愛莉があんな決断をしているなんて知らなかった。
僕の事を「冬夜さん」と呼ぶことにそこまでの意味があったんだな。
そんな愛莉の事を思うと愛莉に夢中になる。
愛莉に没頭していた。
そして……。

「冬夜さん、まだ酎ハイ残ってるけどどうしますか?」
「今日は止めとく。あんまり酒に酔いたい気分じゃないんだ」
「花見の時の話、気になりましたか?そんなにお気になさらなくても」
「そうじゃないよ」
「え?」

今夜は酒じゃない、愛莉に酔いたい。そう愛莉に伝えると愛莉は微笑む。

「ありがとう」
「礼を言うのは僕の方だよ」
「そんなことありません、だってこんなに幸せな感情が待ってるなんて思ってもみなかったから」
「それは僕だって同じだよ、愛莉」

こんなに人を愛おしいと思ったことは無い。

「明日はどこか行きたいところあるか?」

僕が言うと愛莉は悩んでいる。
そんなに悩むような事言っただろうか?

「今夜は遅くなったし明日は午前中はゆっくり休んでくださいな」
「いいのか?」
「ええ、その代わり……夕飯の買い物ご一緒してもらってもいいですか?」
「そんなのでいいのか?」
「はい」

ほんの些細な事に幸せを感じる愛莉が愛おしくて、愛莉を強く抱きしめる。

「週明けには前期始まるんだな」
「咲から聞いたのですが私立大の子に目をつけたみたい」
「そうか、楽しみだな」
「そうですね」
「愛莉、あんまり無理するなよ?」
「え?」
「愛莉の気持ちは嬉しい。でもだからこそ愛莉の不満を受け止めたい」
「じゃあ、我儘を一つだけ聞いてもらえませんか?」
「なんだい?」

愛莉は僕を抱きしめる。

「どんなに夜遅くなっても寝るときは一緒に寝るって約束してください」
「……愛莉きつくないか?」

そう言うと愛莉はくすっと笑った。

「意味、わかってますか?どんなに遅くても夜に帰ってきて欲しい。そう言う意味ですよ?」
「それなら大丈夫、飲み会で聞いたんだけど皆既婚者なんだ。朝帰りなんてことは無いよ」
「それなら大丈夫ですね」
「ああ」
「……そろそろ寝ましょうか?」
「そうだね、愛莉おやすみ」
「おやすみなさい」

そう言って愛莉は眠りについた。
そっと頭を撫でてやると照明を落として僕も眠る。
その日の夢は愛莉の愛で満たされていた。
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