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日本軍によるアメリカ本土攻撃とは
潜水艦による砲撃と空襲
どれだけ日本がアメリカ兵器を破壊したとしても、本土の生産拠点が無事ならいくらでも修理と追加が可能となる。日本が勝つには、本土を攻撃して基地や工業地帯を破壊する必要があった。そのため、アメリカの本土攻撃は日本軍の悲願だった。
そんな切実な理由とは裏腹に、距離や技術の問題により、日本軍による本格攻撃ができなかったのは歴史が証明している。しかし、日本がまったくアメリカ本土を攻撃できなかったわけではない。なぜなら日本は、開戦初頭に成功していたからだ。
1942年2月、日本海軍は開戦時より計画していたアメリカ本土攻撃作戦を発動する。作戦内容は、アメリカ西海岸に展開中の潜水艦隊が製油所を砲撃するというもの。当時の潜水艦には砲戦用の小口径砲塔が搭載されていたので、基地攻撃も可能だったのだ。
作戦には14センチ砲を1門搭載した「伊17」型潜水艦の使用が決まり、2月23日にカリフォルニアのエルウッド製油所への砲撃を実行。被害はポンプ小屋と橋が損傷した程度だったが、攻撃はこれだけで終わらず、同年6月にはオレゴン州のフォート・スティーブン陸軍基地へ「伊25」潜水艦が砲撃し守備隊を混乱におとしいれる。そして集大成として計画実施されたのが、アメリカへの空襲だった。
本土空襲といっても、作戦内容はフロートを装着して水上でも離発着可能になった水上機の小規模攻撃だ。9月9日、伊25から発進した「零式小型水上偵察機」は、オレゴン州の森林地帯に小型焼夷弾を数発投下。29日にも同様の空爆を決行し、小規模の山火事を引き起こしたのである。
海軍の計画中止と陸軍の新兵器
これらの砲撃と空爆は、被害こそほとんどあたえなかったが、本土を直接攻撃されたアメリカ国民の動揺は相当だったという。真珠湾攻撃に続いて、今度はアメリカ本土への攻撃だ。一部自治体は独自に防空壕を掘りはじめ、本土の米守備軍は2月24日早朝にロサンゼルスに現れた飛行体(陸軍の観測気球とされる)に過剰反応して対空砲火を実施した挙句、パニックで市民6人が死亡してしまった。ルーズベルト大統領ですら、アメリカ本土決戦を視野に入れて山岳地帯での防衛計画を軍に立てさせたほどである。
潜水艦の攻撃は皮肉にも、その成功がアメリカの沿岸警備強化を招き、続行は不可能となる。それでも海軍は本土攻撃を諦めず、長距離爆撃機「富嶽(ふがく)」の開発で直接空襲を狙おうとしたこともある。だが「富嶽」の開発は技術や資源確保の問題でとん挫し、アメリカ攻撃を再度実行することは二度となかった。
これに対し、陸軍は奇想天外な方法でのアメリカ攻撃を行っていた。それは爆弾をくくりつけた気球による空襲作戦である。
現在、その存在はほとんどの国が認知しているものの、当時日本だけが把握していた自然現象がある。「偏西風」だ。太平洋上空を西に流れる偏西風に乗せて気球を飛ばし、アメリカ本土へ到着させようというのが日本陸軍のもくろみだった。
作戦を実行するため、1944年に開発された新兵器が「ふ号兵器」。この兵器は気球に爆弾を搭載した空襲兵器で、丈夫な和紙をこんにゃく糊で貼り合わせることで高度を確保しつつ、重りを自動的に落として重量を調整する高度維持装置まで開発していた。まさに陸軍の技術を結集した最新兵器だった。
米国政府と国民にあたえたプレッシャー
軍民一体の生産体制で量産されたふ号兵器は約1万個にもなり、それらは1944年11月から翌年春までにアメリカへと放たれた。気になるのは実際の戦果だが、詳しいことはわからない。陸軍は1945年2月にモンタナ州でふ号兵器らしき気球が発見されたことをつかみはしたが、以後の情報はまったく入らず、結局は戦果なしとされて空襲は中止されてしまった。戦後においても、確実な被害は木に引っかかったふ号兵器に触れたオレゴン州の女性教師と5人の児童が爆死しただけとされている。
それでも、ふ号兵器はアメリカに少なからず警戒心を抱かせたことが確認されている。アメリカ軍が気球に生物化学兵器が搭載されていると考えたからだ。そのため被害については厳しい報道管制が敷かれ、そのせいで被害状況がわからなかったのだ。
前述した民間人の殺傷以外でも、空襲によると思われる山火事が各地で発生したといい、デマの可能性が大きいが、マンハッタン計画の施設に着弾して電気系統の一部を破壊したともいわれている。そして空襲への警戒態勢は終戦まで解かれることはなく、それらしき気球が発見されて化学防護の部隊が出動することも稀にあったらしい。
日本の攻撃は被害こそ軽微ではあったが、確実に米国民や政府にプレッシャーを与えた。アメリカ本土を混乱させたという点に限れば、日本のアメリカ本土攻撃にも効果があったといえなくはない。
どれだけ日本がアメリカ兵器を破壊したとしても、本土の生産拠点が無事ならいくらでも修理と追加が可能となる。日本が勝つには、本土を攻撃して基地や工業地帯を破壊する必要があった。そのため、アメリカの本土攻撃は日本軍の悲願だった。
そんな切実な理由とは裏腹に、距離や技術の問題により、日本軍による本格攻撃ができなかったのは歴史が証明している。しかし、日本がまったくアメリカ本土を攻撃できなかったわけではない。なぜなら日本は、開戦初頭に成功していたからだ。
1942年2月、日本海軍は開戦時より計画していたアメリカ本土攻撃作戦を発動する。作戦内容は、アメリカ西海岸に展開中の潜水艦隊が製油所を砲撃するというもの。当時の潜水艦には砲戦用の小口径砲塔が搭載されていたので、基地攻撃も可能だったのだ。
作戦には14センチ砲を1門搭載した「伊17」型潜水艦の使用が決まり、2月23日にカリフォルニアのエルウッド製油所への砲撃を実行。被害はポンプ小屋と橋が損傷した程度だったが、攻撃はこれだけで終わらず、同年6月にはオレゴン州のフォート・スティーブン陸軍基地へ「伊25」潜水艦が砲撃し守備隊を混乱におとしいれる。そして集大成として計画実施されたのが、アメリカへの空襲だった。
本土空襲といっても、作戦内容はフロートを装着して水上でも離発着可能になった水上機の小規模攻撃だ。9月9日、伊25から発進した「零式小型水上偵察機」は、オレゴン州の森林地帯に小型焼夷弾を数発投下。29日にも同様の空爆を決行し、小規模の山火事を引き起こしたのである。
海軍の計画中止と陸軍の新兵器
これらの砲撃と空爆は、被害こそほとんどあたえなかったが、本土を直接攻撃されたアメリカ国民の動揺は相当だったという。真珠湾攻撃に続いて、今度はアメリカ本土への攻撃だ。一部自治体は独自に防空壕を掘りはじめ、本土の米守備軍は2月24日早朝にロサンゼルスに現れた飛行体(陸軍の観測気球とされる)に過剰反応して対空砲火を実施した挙句、パニックで市民6人が死亡してしまった。ルーズベルト大統領ですら、アメリカ本土決戦を視野に入れて山岳地帯での防衛計画を軍に立てさせたほどである。
潜水艦の攻撃は皮肉にも、その成功がアメリカの沿岸警備強化を招き、続行は不可能となる。それでも海軍は本土攻撃を諦めず、長距離爆撃機「富嶽(ふがく)」の開発で直接空襲を狙おうとしたこともある。だが「富嶽」の開発は技術や資源確保の問題でとん挫し、アメリカ攻撃を再度実行することは二度となかった。
これに対し、陸軍は奇想天外な方法でのアメリカ攻撃を行っていた。それは爆弾をくくりつけた気球による空襲作戦である。
現在、その存在はほとんどの国が認知しているものの、当時日本だけが把握していた自然現象がある。「偏西風」だ。太平洋上空を西に流れる偏西風に乗せて気球を飛ばし、アメリカ本土へ到着させようというのが日本陸軍のもくろみだった。
作戦を実行するため、1944年に開発された新兵器が「ふ号兵器」。この兵器は気球に爆弾を搭載した空襲兵器で、丈夫な和紙をこんにゃく糊で貼り合わせることで高度を確保しつつ、重りを自動的に落として重量を調整する高度維持装置まで開発していた。まさに陸軍の技術を結集した最新兵器だった。
米国政府と国民にあたえたプレッシャー
軍民一体の生産体制で量産されたふ号兵器は約1万個にもなり、それらは1944年11月から翌年春までにアメリカへと放たれた。気になるのは実際の戦果だが、詳しいことはわからない。陸軍は1945年2月にモンタナ州でふ号兵器らしき気球が発見されたことをつかみはしたが、以後の情報はまったく入らず、結局は戦果なしとされて空襲は中止されてしまった。戦後においても、確実な被害は木に引っかかったふ号兵器に触れたオレゴン州の女性教師と5人の児童が爆死しただけとされている。
それでも、ふ号兵器はアメリカに少なからず警戒心を抱かせたことが確認されている。アメリカ軍が気球に生物化学兵器が搭載されていると考えたからだ。そのため被害については厳しい報道管制が敷かれ、そのせいで被害状況がわからなかったのだ。
前述した民間人の殺傷以外でも、空襲によると思われる山火事が各地で発生したといい、デマの可能性が大きいが、マンハッタン計画の施設に着弾して電気系統の一部を破壊したともいわれている。そして空襲への警戒態勢は終戦まで解かれることはなく、それらしき気球が発見されて化学防護の部隊が出動することも稀にあったらしい。
日本の攻撃は被害こそ軽微ではあったが、確実に米国民や政府にプレッシャーを与えた。アメリカ本土を混乱させたという点に限れば、日本のアメリカ本土攻撃にも効果があったといえなくはない。
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