ヒーロー：アクアの弟

ー再会ー

俺はヒーローとして住宅街にやって来て、逃げ遅れた住民が居ないか見回っていた。

「ヒーロー、か？」

「！？」

俺は路地裏から声がし、とっさに戦闘態勢にはいり、声のした方を向くと……

「お前……氷夜、か？」

6年前に姿を消した弟だった。

「……アクア。
いや、兄さん。
よく、僕だって分かったね？
6年も会ってなかったのに。」

「分かるよ。
弟の顔を忘れるわけがない。」

「……そう。」

「おい、アイス！
ヒーローが集まった。
一旦引くぞ。」

「了解。」

「待て！」

行こうとする氷夜を引き止めた。

「なに？」

「お前、ヒーロー殺し……なのか？」

「そうだよ。」

「おい、アイス。
なにしている！」

「あぁ、じゃあな。
ヒーローの、アクアさん。」

氷夜はニヤッと笑った後、煙幕を使い俺の前から居なくなった。

「あの時と一緒だ。
また、俺の前から居なくなった……」

俺はその場に崩れ落ち、氷夜が居たほうをしばらく見ている事しか出来なかった。