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転生

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 俺は、『クルム・シュバルツ』としてこの世界に生まれ変わった。

 記憶が戻ったのは、5歳の時。この世界について調べてみると、驚くことが山ほどあった。

 この世界には、宇宙が存在する。前にいた世界は、空を越えることすらできなかったため、宇宙はないと思っていた。でも、この世界ではまだ宇宙には行けていないらしい。望遠鏡で星が見えるくらいだ。

 次に驚いたのは、この世界に魔法と科学の両方が存在していることだった。これは、明確にはっきりとしていて、どちらが凄いかで戦争が起きるくらいに。

 さらに、エルフやドワーフ、魔族に、俺が元いた世界で空想上でしか見れなかった種族がたくさんいた。やはり、魔族とは仲が悪いらしく、吸血族や鬼族とも人族は敵対しあっているらしい。

 どうしてこうなったかは、一目瞭然だった。この世界は、俺の記憶から作られている。つまり、俺の知っていることがそのまま世界に反映されるということだ。科学を知っていれば、化学が生まれ、魔法を知っていれば、魔法が生まれる。つまり、この世界は元いた世界の要素をすべてもっているということだ。

 そのおかげで、言語を理解せずに済んだし話すこともできる。

 この世界では、5歳になったら仏様の前に座り、ご報告をして恩恵をもたらしてもらう風習がある。

 恩恵、つまり加護だ。

 どんな恩恵がもらえるかわくわくしていたが、回答が来ない・・・。まさか、恩恵なし!!?嘘だろ・・・、実質神の俺に何故恩恵が与えられない・・・。

 俺は気になって、右腕をスライドさせた。ステータス画面を表示したのだ。

 確認してみると・・・、なっなんじゃこれーーーーーーーー!!!??

 勇者として、召喚された前の世界で手に入れた加護を、全て持っている!?

 確かに、俺の記憶の中にはあった。でも何で、俺に反映されるの?名前も違うのに・・・。

 この世界のことは、まだまだ調べる必要がありそうだな。

 まあ、この国では7歳から義務教育が始まり中学卒業後、化学科か魔法科の高校に、入学することになる。

 今は、それを終えることを最優先にしよう。

 とりあえず、それまで前世の調子を取り戻せるように頑張るか。

 この日から、厳しい鍛錬を続けた。前世のように、自分を鍛えるためだ。

 とは言ったものの、一体どうすれば良いんだ?鍛える方法も色々あるし・・・、そうだ!ジムへ行こう。そこでなら、雨でもトレーニングは出来るから。

 昔のようになって、もう一度魔王を倒す!とは思えない俺がここにいる
 
 時間はまだまだあるし、ゆっくり考えるか。
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