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18.確固たる信念を持ちつつも、マイナス志向な武士

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彼女について、私はその信念の強さという部分を見出す。女だが、なぜかわたしには「武士」のような風流さと誇り高きプライドが、彼女から感じられる。
「クールビューティー」なんて言葉があるが、まさにその類かもしれない。

彼女は負けず嫌いだ。
「あいつに勝つ。」と獲物を定めたものなら、修道士のように実直に涙ぐましい努力をして、狩りに行く。猪突猛進的なニュアンスが彼女のこの「負けず嫌い」には強い。(筆者はまったくもって負けず嫌いではない。信念がねじ曲がっているのだ。だから、彼女のこの実直な姿勢は「カッコよく」目に映ったのだろう。)


さて、彼女の容姿は非常に端麗である。
端麗な整然性が彼女の武士感を醸し出している。現代日本的な「Kawaii」というよりかは雅やかな古来の「美しい」という言葉のほうが適した表現とも言える。

第一に、よく言われるのはそのスタイルの良さだろう。たしかに、すらっと伸びた背丈に、秀逸なほど長い足。
彼女はその高い背丈をコンプレックスに思ってるようだが、それこそ背の低い女子達に恨みを買うというものである。
(個人的な意見を言うと、女子は自己的な危機感を背丈によく抱きがちだが、女子はどんな身長でもそれぞれの魅力がある。が、男子はというと、背が低いと社会的に冷ややかに見られる傾向にあるから、こちらの方がよっぽど恐ろしい。)

あともう一つ、彼女の容姿で特筆すべきはその髪であろう。スタイルよりも、なによりも私は彼女の髪について言及したい。

彼女は普段大抵、髪を一本に縛っていることが多い。私はここに武勇と風流な気概を感じる。勉強している時の集中力と彼女のポニーテールが合わさると、まさに戦の先陣を切る武将さながらだ。

しかしながら、私はこの一本に縛った髪に固執していた価値観を見直す羽目になった。お団子である。いやはや、これには一本取られた。女性的で秀麗な一面を垣間見ることができたと個人的には思っている。


はて、この負けず嫌いの武士だが、一つ欠陥がある。
それは、とことんマイナス思考なこと。
優柔不断もあるのだろうが、一度このマイナス思考になってしまうと、とことん悲観的に物事を考え始める。
もっとひどい時は、プラス、マイナス、プラス、マイナス…という風に一日置きに目まぐるしく思考が変わる。昨日は「こうする!」と言ってたのに、「やっぱりこれこれがこうだからやめる。」、そして次の日「勢いだけで、やっぱやってみる!」と言い始める。

真剣に悩んでいるから、私も一応考えるのだが、ふと、「どうせ明日には…。」と思わせられることもある。
私は面白いからいいのだけど、あまりにも、決定に時間がかかり過ぎるから、疲れないのだろうか?とすこし心配している。

最近の彼女にはこのマイナス思考は少しずつ見えなくなってきた。武士として、毎日「戦」をしているからかもしれない。ただ、そうなればなるほど、私に構ってくれなくなるから少し寂しくもあるのだが。






どんなに心の芯が太そうで、
       動じなさそうな人でも、
案外、それは違ったりすることもある。


(原作を大幅に加筆、改訂)
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