58 / 64
第4章
幕が下りてから
しおりを挟む
幕が再び上がり、並んだ役者たちが頭を下げると、今度は建物が壊れそうなくらいの歓声まで上がり始める。
横のニコールも夢中で手を叩いている。
僕も手を上げて、重い手をなんとか打ち鳴らした。
下りた幕が大きな声に応えてまた上がり、というのを何度繰り返したかな。
ようやく完全に幕が下りて、興奮冷めやらぬ人たちが動き始めても、僕は椅子から立ち上がれなかった。
「……どうしたんですか?」
心配そうに僕を覗き込んでるのはニコールだ。
辺りにはいつの間にか明かりが灯っているし、ほかの人たちはもう出口へ向かってる。しまった。
僕はなんとか笑顔を作ってみせる。
「ごめん。いろんなことを考えて、ぼんやりしてただけ。その……劇に、感動しちゃってさ」
「まあ、そうだったのね」
ニコールはホッとしたように微笑む。
「このあとは屋敷の小ホールで立食パーティーがあるんです。そこには役者さんたちも来ますから、ぜひ直に感想を言って差し上げてください。きっと喜ばれると思います」
「……うん」
うなずいて僕は立ち上がる。
ニコールに続いて歩きながら、僕は心の中で「ごめん」て謝った。
僕がいろんなことを考えてたのは感動からじゃないんだ。
恋を成就させるため奮闘するムダル。
決意と共に差し出された花束。
涙をこぼして花を受け取るラジュワー。
幸せそうな二人と祝福する周囲。
その一つ一つに責められてる気がしたんだよ。
「どうしてこういう道が選べなかったの?」
ってさ。
もちろん僕にだって理由はあるんだよ。
家は借金まみれで没落は時間の問題。
互いの身内は反目してる。
『暁の王女』は枯れてしまった。
とかね。
……だけど、そんなのはぜんぶ、言い訳だ。
本当の理由は、僕が臆病だったから。
ムダルみたいな諦めない気持ちと勇気を持ってなかったから、僕はサラに会いに行くことができなかった。
だから僕たちは、ムダルとラジュワーみたいに、なれなかったんだ……。
うつむいて到着したパーティー会場では美味しそうな料理がほかほかと湯気をあげていた。どれもパートリッジ本邸の食卓では何年も見たことないものばかりだ。
だけど僕のお腹はちっとも空腹を訴えてこない。
それよりも、楽しそうに劇の感想を語り合う人たちが眩しく見えて居たたまれなくなったんだ。
ふと気がつくと、ニコールは使用人仲間と夢中で感想を言い合ってる。周りを見回して、僕は賑やかな会場をそっと抜け出した。
観劇が始まったのは午後の遅い時間だったから、今はもう夕暮れも近くなってる。冬が近いこともあって風はずいぶん冷たいんだけど、僕はそれが少し嬉しかった。
さっきまでの熱気は、僕にとって遠くの世界のように感じられるようなものだったからね。
「……何やってんだろうなあ」
僕は深く息を吐いてオレンジの空を見上げる。
僕が王都に来たのは情報が欲しかったからだ。
サラと、ルークと、姉上とを繋ぐ線が分かれば、みんなが幸せになれる道を見つけられるかもしれないと思った。……そこにこっそり、僕もまぜてもらう形でね。
だけど僕にできたことは今のところ『約束の花束をあなたに』を観て打ちのめされることくらいだ。
もう一度深くため息をついたときだった。
近くで急に賑やかな声がし始めたんだ。
「今日はいい演技ができたと思うの!」
「分かる! 観客席の雰囲気も最初から前のめりだったよね」
「ああ、俺もはやく大劇場の舞台に立ちたいなあ」
「だったらもっと小劇場のほうで経験をつまないとな!」
これ……もしかして、さっきの役者さんたち?
木の隙間から窺ってみると、近くにはさっきの劇場があった。しまった、わざわざ僕は劇場方面へ来ちゃったみたいだ。
気まずくて逃げようとしたけど、先頭にいた役者さんがこっちのほうを見る。彼は目を真ん丸にして「あれ?」って声を上げると、嬉しそうに叫んだんだ。
「ロナ様!」
屋敷中の使用人に届いたんじゃないかと思うくらい通る声だったのは、さすが役者さんだね。
でも、ここにいるのは僕だけだと思ったけど、ほかにも誰かいたのかな?
辺りを見回してると、役者さんたちがバタバタと僕の方へ走ってきた。
え? ええ?
「今回の劇はロナ様も観てくださっていたんですね!」
「この服の色が印象的だったから覚えてます!」
「ロナ様がいらしてるから俺、すっごく緊張しました!」
「また小劇場にもいらしてください!」
「わ、私、ロナ様にお会いするの初めてなんです、感激です!」
逃げる場所がなくなって僕は戸惑う。
だけどそれ以上に戸惑うのは、みんなが口々に僕を「ロナ様」って呼ぶことだ。
どういうこと?
ロナって『約束の花束をあなたに』の作者、ロナ・エグディだよね?
どうして僕をロナって呼ぶの?
混乱しながら役者さんたちに囲まれていると、
「何を騒いでいるのかね?」
不意に、役者さんの声にも負けない朗々とした響きがあった。
僕を取り囲んでいた人たちが一斉にそちらへ顔を向ける。
「あ、伯爵様!」
姿を見せたのは、ドネロン伯爵だった。
うわあ、伯爵って姉上と知り合いなんだよね?
ど、ど、どうしよう、どうやって誤魔化そうか?
「ご覧ください、伯爵様! ロナ様がいらしてたんですよ!」
「俺、本当に光栄で、嬉しくて!」
「ほう?」
円の一角が崩れて、ドネロン伯爵が僕の方へ歩み寄ってきた。
ごくりと唾を飲む僕だけど、落ち着いた眼差しのドネロン伯爵には役者たちのような熱気なんてない。
「このお嬢さんは、ロナではないよ」
微笑む伯爵のその一言だけで、辺りの空気はすっと落ち着く。
「えっ?」
「そうなんですか?」
「別人だったの?」
役者さんたちが口々に残念そうな、戸惑ったような表情をする。その中で一歩近づいたドネロン伯爵が胸に手を当てて、僕に軽く頭を下げた。
「皆の非礼を許してほしい。役者たちは舞台のあとで気分が高揚していたのだよ」
「素晴らしい劇のあとなのですから、お気持ちはお察しいたします。どうぞ私のことは気になさらないでください」
僕が応えると、何人かの役者さんが「本当だ」って囁くのが聞こえた。
「ありがとう。君の優しさに感謝する」
そう言って伯爵は辺りを見回した。
「さあ、パーティーの会場へ行こうか。観客の皆さんが待ちかねておられる頃だよ」
「は、はい!」
「間違えてごめんなさい」
「大変失礼しました!」
賑やかな声の中で、ドネロン伯爵が僕にもういちど頭を下げる。
「君も、良い夜を」
そうして役者さんたちと一緒に去って行く。
みんなの背中を見送っているうち、辺りは今の出来事が嘘だったみたいに静かになった。
しばらくぼんやりしていた僕は、ぽつりと呟く。
「ロナ……」
劇作家ロナ・エグディ。
もちろん僕はロナじゃない。グレアム・パートリッジだ。
じゃあ、ロナって誰?
女装した僕によく似てるらしいロナは何者?
僕の頭の中に現れた答えはひとつだ。
ロナっていうのは、もしかして……。
「……姉上、なの……?」
横のニコールも夢中で手を叩いている。
僕も手を上げて、重い手をなんとか打ち鳴らした。
下りた幕が大きな声に応えてまた上がり、というのを何度繰り返したかな。
ようやく完全に幕が下りて、興奮冷めやらぬ人たちが動き始めても、僕は椅子から立ち上がれなかった。
「……どうしたんですか?」
心配そうに僕を覗き込んでるのはニコールだ。
辺りにはいつの間にか明かりが灯っているし、ほかの人たちはもう出口へ向かってる。しまった。
僕はなんとか笑顔を作ってみせる。
「ごめん。いろんなことを考えて、ぼんやりしてただけ。その……劇に、感動しちゃってさ」
「まあ、そうだったのね」
ニコールはホッとしたように微笑む。
「このあとは屋敷の小ホールで立食パーティーがあるんです。そこには役者さんたちも来ますから、ぜひ直に感想を言って差し上げてください。きっと喜ばれると思います」
「……うん」
うなずいて僕は立ち上がる。
ニコールに続いて歩きながら、僕は心の中で「ごめん」て謝った。
僕がいろんなことを考えてたのは感動からじゃないんだ。
恋を成就させるため奮闘するムダル。
決意と共に差し出された花束。
涙をこぼして花を受け取るラジュワー。
幸せそうな二人と祝福する周囲。
その一つ一つに責められてる気がしたんだよ。
「どうしてこういう道が選べなかったの?」
ってさ。
もちろん僕にだって理由はあるんだよ。
家は借金まみれで没落は時間の問題。
互いの身内は反目してる。
『暁の王女』は枯れてしまった。
とかね。
……だけど、そんなのはぜんぶ、言い訳だ。
本当の理由は、僕が臆病だったから。
ムダルみたいな諦めない気持ちと勇気を持ってなかったから、僕はサラに会いに行くことができなかった。
だから僕たちは、ムダルとラジュワーみたいに、なれなかったんだ……。
うつむいて到着したパーティー会場では美味しそうな料理がほかほかと湯気をあげていた。どれもパートリッジ本邸の食卓では何年も見たことないものばかりだ。
だけど僕のお腹はちっとも空腹を訴えてこない。
それよりも、楽しそうに劇の感想を語り合う人たちが眩しく見えて居たたまれなくなったんだ。
ふと気がつくと、ニコールは使用人仲間と夢中で感想を言い合ってる。周りを見回して、僕は賑やかな会場をそっと抜け出した。
観劇が始まったのは午後の遅い時間だったから、今はもう夕暮れも近くなってる。冬が近いこともあって風はずいぶん冷たいんだけど、僕はそれが少し嬉しかった。
さっきまでの熱気は、僕にとって遠くの世界のように感じられるようなものだったからね。
「……何やってんだろうなあ」
僕は深く息を吐いてオレンジの空を見上げる。
僕が王都に来たのは情報が欲しかったからだ。
サラと、ルークと、姉上とを繋ぐ線が分かれば、みんなが幸せになれる道を見つけられるかもしれないと思った。……そこにこっそり、僕もまぜてもらう形でね。
だけど僕にできたことは今のところ『約束の花束をあなたに』を観て打ちのめされることくらいだ。
もう一度深くため息をついたときだった。
近くで急に賑やかな声がし始めたんだ。
「今日はいい演技ができたと思うの!」
「分かる! 観客席の雰囲気も最初から前のめりだったよね」
「ああ、俺もはやく大劇場の舞台に立ちたいなあ」
「だったらもっと小劇場のほうで経験をつまないとな!」
これ……もしかして、さっきの役者さんたち?
木の隙間から窺ってみると、近くにはさっきの劇場があった。しまった、わざわざ僕は劇場方面へ来ちゃったみたいだ。
気まずくて逃げようとしたけど、先頭にいた役者さんがこっちのほうを見る。彼は目を真ん丸にして「あれ?」って声を上げると、嬉しそうに叫んだんだ。
「ロナ様!」
屋敷中の使用人に届いたんじゃないかと思うくらい通る声だったのは、さすが役者さんだね。
でも、ここにいるのは僕だけだと思ったけど、ほかにも誰かいたのかな?
辺りを見回してると、役者さんたちがバタバタと僕の方へ走ってきた。
え? ええ?
「今回の劇はロナ様も観てくださっていたんですね!」
「この服の色が印象的だったから覚えてます!」
「ロナ様がいらしてるから俺、すっごく緊張しました!」
「また小劇場にもいらしてください!」
「わ、私、ロナ様にお会いするの初めてなんです、感激です!」
逃げる場所がなくなって僕は戸惑う。
だけどそれ以上に戸惑うのは、みんなが口々に僕を「ロナ様」って呼ぶことだ。
どういうこと?
ロナって『約束の花束をあなたに』の作者、ロナ・エグディだよね?
どうして僕をロナって呼ぶの?
混乱しながら役者さんたちに囲まれていると、
「何を騒いでいるのかね?」
不意に、役者さんの声にも負けない朗々とした響きがあった。
僕を取り囲んでいた人たちが一斉にそちらへ顔を向ける。
「あ、伯爵様!」
姿を見せたのは、ドネロン伯爵だった。
うわあ、伯爵って姉上と知り合いなんだよね?
ど、ど、どうしよう、どうやって誤魔化そうか?
「ご覧ください、伯爵様! ロナ様がいらしてたんですよ!」
「俺、本当に光栄で、嬉しくて!」
「ほう?」
円の一角が崩れて、ドネロン伯爵が僕の方へ歩み寄ってきた。
ごくりと唾を飲む僕だけど、落ち着いた眼差しのドネロン伯爵には役者たちのような熱気なんてない。
「このお嬢さんは、ロナではないよ」
微笑む伯爵のその一言だけで、辺りの空気はすっと落ち着く。
「えっ?」
「そうなんですか?」
「別人だったの?」
役者さんたちが口々に残念そうな、戸惑ったような表情をする。その中で一歩近づいたドネロン伯爵が胸に手を当てて、僕に軽く頭を下げた。
「皆の非礼を許してほしい。役者たちは舞台のあとで気分が高揚していたのだよ」
「素晴らしい劇のあとなのですから、お気持ちはお察しいたします。どうぞ私のことは気になさらないでください」
僕が応えると、何人かの役者さんが「本当だ」って囁くのが聞こえた。
「ありがとう。君の優しさに感謝する」
そう言って伯爵は辺りを見回した。
「さあ、パーティーの会場へ行こうか。観客の皆さんが待ちかねておられる頃だよ」
「は、はい!」
「間違えてごめんなさい」
「大変失礼しました!」
賑やかな声の中で、ドネロン伯爵が僕にもういちど頭を下げる。
「君も、良い夜を」
そうして役者さんたちと一緒に去って行く。
みんなの背中を見送っているうち、辺りは今の出来事が嘘だったみたいに静かになった。
しばらくぼんやりしていた僕は、ぽつりと呟く。
「ロナ……」
劇作家ロナ・エグディ。
もちろん僕はロナじゃない。グレアム・パートリッジだ。
じゃあ、ロナって誰?
女装した僕によく似てるらしいロナは何者?
僕の頭の中に現れた答えはひとつだ。
ロナっていうのは、もしかして……。
「……姉上、なの……?」
0
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
転生したら乙女ゲームの主人公の友達になったんですが、なぜか私がモテてるんですが?
山下小枝子
恋愛
田舎に住むごく普通のアラサー社畜の私は車で帰宅中に、
飛び出してきた猫かたぬきを避けようとしてトラックにぶつかりお陀仏したらしく、
気付くと、最近ハマっていた乙女ゲームの世界の『主人公の友達』に転生していたんだけど、
まぁ、友達でも二次元女子高生になれたし、
推しキャラやイケメンキャラやイケオジも見れるし!楽しく過ごそう!と、
思ってたらなぜか主人公を押し退け、
攻略対象キャラからモテまくる事態に・・・・
ちょ、え、これどうしたらいいの!!!嬉しいけど!!!
子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました
もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!
モブの私がなぜかヒロインを押し退けて王太子殿下に選ばれました
みゅー
恋愛
その国では婚約者候補を集め、その中から王太子殿下が自分の婚約者を選ぶ。
ケイトは自分がそんな乙女ゲームの世界に、転生してしまったことを知った。
だが、ケイトはそのゲームには登場しておらず、気にせずそのままその世界で自分の身の丈にあった普通の生活をするつもりでいた。だが、ある日宮廷から使者が訪れ、婚約者候補となってしまい……
そんなお話です。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
身代わりの公爵家の花嫁は翌日から溺愛される。~初日を挽回し、溺愛させてくれ!~
湯川仁美
恋愛
姉の身代わりに公爵夫人になった。
「貴様と寝食を共にする気はない!俺に呼ばれるまでは、俺の前に姿を見せるな。声を聞かせるな」
夫と初対面の日、家族から男癖の悪い醜悪女と流され。
公爵である夫とから啖呵を切られたが。
翌日には誤解だと気づいた公爵は花嫁に好意を持ち、挽回活動を開始。
地獄の番人こと閻魔大王(善悪を判断する審判)と異名をもつ公爵は、影でプレゼントを贈り。話しかけるが、謝れない。
「愛しの妻。大切な妻。可愛い妻」とは言えない。
一度、言った言葉を撤回するのは難しい。
そして妻は普通の令嬢とは違い、媚びず、ビクビク怯えもせず普通に接してくれる。
徐々に距離を詰めていきましょう。
全力で真摯に接し、謝罪を行い、ラブラブに到着するコメディ。
第二章から口説きまくり。
第四章で完結です。
第五章に番外編を追加しました。
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さくら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
寵愛の花嫁は毒を愛でる~いじわる義母の陰謀を華麗にスルーして、最愛の公爵様と幸せになります~
紅葉山参
恋愛
アエナは貧しい子爵家から、国の英雄と名高いルーカス公爵の元へと嫁いだ。彼との政略結婚は、彼の底なしの優しさと、情熱的な寵愛によって、アエナにとってかけがえのない幸福となった。しかし、その幸福を妬み、毎日のように粘着質ないじめを繰り返す者が一人、それは夫の継母であるユーカ夫人である。
「たかが子爵の娘が、公爵家の奥様面など」 ユーカ様はそう言って、私に次から次へと理不尽な嫌がらせを仕掛けてくる。大切な食器を隠したり、ルーカス様に嘘の告げ口をしたり、社交界で恥をかかせようとしたり。
だが、私は決して挫けない。愛する公爵様との穏やかな日々を守るため、そして何より、彼が大切な家族と信じているユーカ様を悲しませないためにも、私はこの毒を静かに受け流すことに決めたのだ。
誰も気づかないほど巧妙に、いじめを優雅にスルーするアエナ。公爵であるあなたに心配をかけまいと、彼女は今日も微笑みを絶やさない。しかし、毒は徐々に、確実に、その濃度を増していく。ついに義母は、アエナの命に関わるような、取り返しのつかない大罪に手を染めてしまう。
愛と策略、そして運命の結末。この溺愛系ヒロインが、華麗なるスルー術で、最愛の公爵様との未来を掴み取る、痛快でロマンティックな物語の幕開けです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる