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プロローグ

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あれは.....3年前のことだったろうか

2日前から続く張り込みを交代してもらい、署に戻る途中のことだった

事件が立て続けに発生したせいで、ここ1週間はろくに寝ていなかった

....眠い

なんで俺がこんな仕事を....

いや、俺が選んだ俺の仕事だ

だが....

眠い....

朝日が眩しくて目を開けられないことを理由にして、もう歩くのをやめて道端で寝てしまおうかと思った

それはいい考えだ

ここら辺の物陰ならば、2~3時間くらい寝ていても、誰も気にも留めないだろう

そう思っていた場所に、すでに誰かが寝ていることに気づいた

「なんだよ、先客がいるじゃないか💦」

先客は、白い服を着ていた

「おいあんた
白い服が汚れちまうぞ」

白い服を着た先客は.....
おや、これはドレスか⁉️

ドレスを着た女性が、路地で寝ている....⁉️

これは何か異常なことだと、俺の意識が目を覚まし始めた

良く見ると、白いウエディングドレスを着た綺麗な女性だった

微かな尿の匂いと、強い血の臭い。

菜の花の香りと、鼻の奥にまとわりつく男の精の臭い。

女性の首すじに手を当てる

脈拍はない

既に死亡している

なんでこんなところで❓

いや、殺害現場はここじゃない

殺害された後に、この場所に遺棄されたんだ

俺は、道端で眠る綺麗な女性に両手を合わせた

見惚れるほど美しい女性だった

ブロンドの髪も、白い肌も、淡いピンクのネイルをした指先も、生命活動が止まっていると思えないほど美しかった

死因はすぐに分かった

脇腹と太ももに刃物による刺し傷があった

だが、刺しただけではない

その後、その傷口をこじ開けられたように見える

何故なら、その傷口から、鼻の奥にまとわりつく嫌な臭いがするからだ

おそらく、手足を拘束されて、生きたままナイフを刺されて、そして死ぬまで傷口を犯され続けたのだろう

「ひでぇことしやがる💦

想像を絶する痛みや屈辱の中で、何故この人は静かな表情をしているんだろう❓」

彼女は、とても穏やかな表情をしていた

「残された者を気遣っているんだと思う」

不意に、隣から声が聞こえた

気配がまったく分からなかった

「私は内閣調査室のエージェントの乱龍(みだれりゅう)だ

彼女も同じ内閣調査室のエージェントのブライドだ

そして、私の妻だ」

もう動く事がない女性を見ながら、その男性は自分達の素性を淡々と語った

内閣調査室のエージェントであれば、もうおれの出る幕ではない

「彼女の死に、手を合わせてくれてありがとう」

感情を押し殺した言葉で、男性は礼を言った

「私は今から犯人を追う」

男性はおれに向き直った

「君は所轄の刑事だね

彼女のことをお願いできるか❓」

おれも男性に向き直った

「任せてくれ」

男性は深々と頭を下げて、犯人を捕まえるために歩き出した

その拳を強く握り締めて

.....

頭にかかった靄が、少しずつ晴れていくようだ

「.....さん....」

誰かが読んでいる

それは、俺の名前か❓

頭が回らない

だが、俺は刑事だ

こんなところで寝てはいられない

「こんなところでごめんなさい💦」

綺麗な声の女性だな....えっ⁉️

俺は女性の声で我に返った

「たまもさん⁉️」

慌てて飛び起きると、たまもさんが笑っていた

「7回目にもなると、かなり確信に届いたようね

そろそろ彼女に伝える❓」

彼女に.....
俺は一体何を伝えればいいのか❓

追体験したこの記憶に、どんな情報が隠されているんだ❓

国が消したがった情報はどれだ❓

思い出したけれど何も解決はしない。

頭を抱えて悩む俺に、たまもさんが熱いコーヒーを淹れてくれた

俺は、苦いコーヒーを飲みながら考えた

コーヒーって、こんなに苦いものだったのかと
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