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第6話 ニュースを見よう
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黒鉄は癖の強いバイクだ。
2気筒が同時に爆発するから、エンジンのフィーリングは単気筒のようだ。
1500ccの単気筒なんて現実には不可能だけど、それぐらい特殊なエンジンなんだ。
ただし、振動は期待するほどはない。
2気筒を逆回転させることで、お互いに振動を打ち消し合うらしい。
2気筒のパワーと単気筒の出力特性を合わせ持つ1500ccタンデムツインは、ほんの少しアクセルを開けただけで、後輪が瞬間的にスピンする。
もちろん、加速中のギアチェンジでもホイルスピンが発生する。
これでは市販出来ない。
危険過ぎるからだ。
本来なら解体されるはずのバイクを、公道テストと称しておれが預かっている。
それが黒鉄だ。
おれは趣味で楽しく走っている。
今日も霧降高原を走り、帰りにラーメンを食べて、今、家に着いたところだ。
気持ち良く走れた。
玄関のドアから小さな音が聞こえる。
カリカリカリ....
きっと、にぼしが爪を立てているのだろう。
ドアを開けると、足元ににぼしが絡みつく。
尻尾を立てて、上を見上げて、大きな声で鳴いている。
危なくて歩けやしない。
少し待っていると....
登ってきた。
おれの胸元まで、にぼしは爪を立てて登ってきた。
ジーンズも革ジャンも、だんだんとボロくなっていくようだ。
家に入れば、床に下ろしても大丈夫だ。
もう足元には絡まない。
それでも注意して行動する。
ヘルメットもグローブも革ジャンも、所定の位置に置いた。
座布団に座ると、心地良い疲れが染みてくる。
バイクに乗った後の、この疲労感が気持ちいいんだ。
壁の時計を見る。
もうニュースの時間だ。
おれはNHKのニュースしか見ない。
テレビをつけると、馴染みの女性アナウンサーが映っている。
にぼしがちょこんと、テレビの前に座った。
目で何かを追っている。
何を見てるんだ?
おや?
スカート。
ひらひらしたスカートを追っているのか?
今どきにNHKの女性アナウンサーは、ミニスカートも履くようになった。
あれ?
ひらひらしたスカートを....
下から覗いて....見ると?
疑問が湧いてきた。
にぼしの横に寝転んでみた。
そして、テレビを見上げてみた。
いや?
別段、何かが見える訳ではない。
特に何もない。
起きようと思った時に、にぼしがおれの上に乗ってきた。
丸まって寝るようだ。
おいおい!
おれは、こんな体制でニュースを見なきゃいけないのか?
今日はニュースが頭に入らない。
ひらひらが、頭の上で舞っている。
時間は流れ、天気予報が始まった。
画面から、女性アナウンサーの姿が消えた。
低気圧も去っていくらしい。
明日は晴れるのか。
今日は何故か、男性気象予報士の言葉が、癪に触るような気がする。
2気筒が同時に爆発するから、エンジンのフィーリングは単気筒のようだ。
1500ccの単気筒なんて現実には不可能だけど、それぐらい特殊なエンジンなんだ。
ただし、振動は期待するほどはない。
2気筒を逆回転させることで、お互いに振動を打ち消し合うらしい。
2気筒のパワーと単気筒の出力特性を合わせ持つ1500ccタンデムツインは、ほんの少しアクセルを開けただけで、後輪が瞬間的にスピンする。
もちろん、加速中のギアチェンジでもホイルスピンが発生する。
これでは市販出来ない。
危険過ぎるからだ。
本来なら解体されるはずのバイクを、公道テストと称しておれが預かっている。
それが黒鉄だ。
おれは趣味で楽しく走っている。
今日も霧降高原を走り、帰りにラーメンを食べて、今、家に着いたところだ。
気持ち良く走れた。
玄関のドアから小さな音が聞こえる。
カリカリカリ....
きっと、にぼしが爪を立てているのだろう。
ドアを開けると、足元ににぼしが絡みつく。
尻尾を立てて、上を見上げて、大きな声で鳴いている。
危なくて歩けやしない。
少し待っていると....
登ってきた。
おれの胸元まで、にぼしは爪を立てて登ってきた。
ジーンズも革ジャンも、だんだんとボロくなっていくようだ。
家に入れば、床に下ろしても大丈夫だ。
もう足元には絡まない。
それでも注意して行動する。
ヘルメットもグローブも革ジャンも、所定の位置に置いた。
座布団に座ると、心地良い疲れが染みてくる。
バイクに乗った後の、この疲労感が気持ちいいんだ。
壁の時計を見る。
もうニュースの時間だ。
おれはNHKのニュースしか見ない。
テレビをつけると、馴染みの女性アナウンサーが映っている。
にぼしがちょこんと、テレビの前に座った。
目で何かを追っている。
何を見てるんだ?
おや?
スカート。
ひらひらしたスカートを追っているのか?
今どきにNHKの女性アナウンサーは、ミニスカートも履くようになった。
あれ?
ひらひらしたスカートを....
下から覗いて....見ると?
疑問が湧いてきた。
にぼしの横に寝転んでみた。
そして、テレビを見上げてみた。
いや?
別段、何かが見える訳ではない。
特に何もない。
起きようと思った時に、にぼしがおれの上に乗ってきた。
丸まって寝るようだ。
おいおい!
おれは、こんな体制でニュースを見なきゃいけないのか?
今日はニュースが頭に入らない。
ひらひらが、頭の上で舞っている。
時間は流れ、天気予報が始まった。
画面から、女性アナウンサーの姿が消えた。
低気圧も去っていくらしい。
明日は晴れるのか。
今日は何故か、男性気象予報士の言葉が、癪に触るような気がする。
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