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2-2 巨大樹国家 ヤマトノクニ
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2-2 巨大樹国家 ヤマトノクニ
風は弱く、空は晴れ渡っていた。
順調に飛行は続いている。
ハーキュリーズ型の中型魔道飛行船が、ヤマトノクニの巨大樹にゆっくりと近づいていく。
やはり、志摩半島は90度向きが変わっている。
現世では志摩半島の先端は東に向いているが、アルディラの森では南を向いている。
いや、志摩半島だけではない。
おそらく、紀伊半島全域が90度向きが変わっている。
アルディラの森と呼ばれるこの世界の地図は、どんな日本列島を描いているのだろう?
ヤマトノクニの地図を見られればいいが、地図は戦略上最も重要な資料の一つだ。
部外者に簡単に見せてもらえるとは思えない。
とりあえず、日の巫女に会ってから考えよう。
ハーキュリーズは太平洋側から左回りに巨大樹の周りを進んでいく。
志摩半島の根本にある巨大樹は、他の巨大樹と比べてもひと回り以上大きく、特異な形をしていた。
樹高は6,000メートルを超えていると思われる。
葉張り(木の最大幅)は12,000メートルに届きそうな大きさだ。
幹の直径は優に数百メートルに達している。
超巨大樹と呼ぶにふさわしい様相である。
その枝も他の巨大樹に比べ倍以上の太さがある。
横に伸びる枝が折れないように、枝を支える小ぶりな巨大樹が何本も生えている。
枝を支えているのは、超巨大樹の子供だろうか?
子供の巨大樹でも幹の直径は数十メートルに達している。
子供の巨大樹の幹と、親の超巨大樹の枝がくっついており、連理木となって強度が増しているようだ。
縦の幹と横の枝が幾つも組み合わさった独特な形状は、まるで公園にある回転する丸いジャングルジムのようにも見える。
更に、太平洋に突き出た志摩半島の先端の方にも、5,000メートル級の巨大樹がある。
2本の巨大樹とその周辺の地域に、巨大樹国家ヤマトノクニの中心地があった。
ハーキュリーズは超巨大樹を半周して、魔道飛行船の発着所のある枝に向かった。
太い枝から伸びている小枝の一本に、ハーキュリーズは静かに船体を寄せる。
その枝の上に平な場所があり、そこにゆっくりと着底する。
手際よくロープで船体を固定して、着地は完了した。
発着所から下界を見下ろすと、思っていた以上に建物があった。
豊かな森の中に建物が点在している。
この国の建物は、大きな屋根が特徴のようだ。
瓦や石板の屋根もあるが、良く見ると藁葺き屋根も多い。
上空から見た時、藁葺き屋根を建物と認識できなかったのかもしれない。
石畳の道も整備されている。
あちらこちらに階段もある。
しっかりした都市計画で作られたのが見て取れる。
「綺麗な街だな」
思わずこぼれたおれの言葉に、近くにいたルーコラが答えた。
「そうね。
でもお腹すいたな」
「もう昼だもんな」
おれ達の会話を聞いていた役人が、手招きをした。
「美味しい料理を用意していますよ」
その言葉に吸い寄せられるように、おれ達は超巨大樹の枝の中に進んで行った。
2-3につづく
解説:どっちも女体化するけど、トランスジェンダーとクラインフェルターは何が違うの⁉️🤔
《アルディラの風》の主人公である玉響(たまゆら)はクラインフェルターの男性です。
でも、トランスジェンダーもクラインフェルターも良くわからないですよね。
簡単に説明すると...
・トランスジェンダー:本人のお気持ち表明
・クラインフェルター:生まれた時から男女両性
もう少し具体的に説明します。
トランスジェンダーは、「男性として生まれたけど。なんとなく自分は女の子だと思う」って公言したらトランスジェンダーです。
身体は一切関係なく、本人の気持ちが全てです。
ですが、気持ちはコロコロ変わります。
トランスジェンダーの女性が、可愛い女の子を見た瞬間オスになる......って事は普通な事です。
女体化するには性別適合手術を受ける必要があります。
それに対してクラインフェルターは、正しくは「クラインフェルター症候群」と言い、難病に指定されているれっきとした病気です。
なので、本人の意思に関係なく、第二次性徴期に勝手に女体化することがあります。
とはいえ、完全な女性になるわけではありません。
女体化する原因は、男性(XY)と女性(XX)の両方の染色体(XXY)を持って生まれてしまったからです。
生まれた時にお◯ん◯んがあるので、戸籍上は「男」になります。
ですが、第二次性徴期になると、バストやヒップが大きくなってくるんです。
顔も身体も中性的のような、女性的のような見た目になります。
その段階で医者に行くと、「男と女のどっちがいいんだ?」と聞かれます。
でも、小学生や中学生の子供にとって、そんな重大な決断はできません。
「男か女か」ではなく「生きるか死ぬか」の選択にすり替わってしまうことがあります。
女を選ぶと、お◯ん◯んを切除して性別適合手術を受けることが必要になります。
男を選ぶと、男性ホルモンを大量に注射されて、身体を無理矢理男性に近づけます。
作者のまろうどもクラインフェルターなんですが、11歳の時に男であることを選びました。
クラインフェルターの人の99%は、そうと気づかないまま一生を過ごすと言われています。
病気が発症する人は僅か1%です。
ただし、クラインフェルターの人は、ほぼ完全な男性から、ほとんど完璧な女性まで十人十色、百人百色の外見をしています。
なので、クラインフェルターは普通~だよね.....って事はありません。
平均的なクラインフェルターの人はいません。
一人ひとりが違った外見をして、違った発症の仕方をして、違った決断をしています。
理解するのは難しいと思いますが、ひとくくりにしないようお願いします。
風は弱く、空は晴れ渡っていた。
順調に飛行は続いている。
ハーキュリーズ型の中型魔道飛行船が、ヤマトノクニの巨大樹にゆっくりと近づいていく。
やはり、志摩半島は90度向きが変わっている。
現世では志摩半島の先端は東に向いているが、アルディラの森では南を向いている。
いや、志摩半島だけではない。
おそらく、紀伊半島全域が90度向きが変わっている。
アルディラの森と呼ばれるこの世界の地図は、どんな日本列島を描いているのだろう?
ヤマトノクニの地図を見られればいいが、地図は戦略上最も重要な資料の一つだ。
部外者に簡単に見せてもらえるとは思えない。
とりあえず、日の巫女に会ってから考えよう。
ハーキュリーズは太平洋側から左回りに巨大樹の周りを進んでいく。
志摩半島の根本にある巨大樹は、他の巨大樹と比べてもひと回り以上大きく、特異な形をしていた。
樹高は6,000メートルを超えていると思われる。
葉張り(木の最大幅)は12,000メートルに届きそうな大きさだ。
幹の直径は優に数百メートルに達している。
超巨大樹と呼ぶにふさわしい様相である。
その枝も他の巨大樹に比べ倍以上の太さがある。
横に伸びる枝が折れないように、枝を支える小ぶりな巨大樹が何本も生えている。
枝を支えているのは、超巨大樹の子供だろうか?
子供の巨大樹でも幹の直径は数十メートルに達している。
子供の巨大樹の幹と、親の超巨大樹の枝がくっついており、連理木となって強度が増しているようだ。
縦の幹と横の枝が幾つも組み合わさった独特な形状は、まるで公園にある回転する丸いジャングルジムのようにも見える。
更に、太平洋に突き出た志摩半島の先端の方にも、5,000メートル級の巨大樹がある。
2本の巨大樹とその周辺の地域に、巨大樹国家ヤマトノクニの中心地があった。
ハーキュリーズは超巨大樹を半周して、魔道飛行船の発着所のある枝に向かった。
太い枝から伸びている小枝の一本に、ハーキュリーズは静かに船体を寄せる。
その枝の上に平な場所があり、そこにゆっくりと着底する。
手際よくロープで船体を固定して、着地は完了した。
発着所から下界を見下ろすと、思っていた以上に建物があった。
豊かな森の中に建物が点在している。
この国の建物は、大きな屋根が特徴のようだ。
瓦や石板の屋根もあるが、良く見ると藁葺き屋根も多い。
上空から見た時、藁葺き屋根を建物と認識できなかったのかもしれない。
石畳の道も整備されている。
あちらこちらに階段もある。
しっかりした都市計画で作られたのが見て取れる。
「綺麗な街だな」
思わずこぼれたおれの言葉に、近くにいたルーコラが答えた。
「そうね。
でもお腹すいたな」
「もう昼だもんな」
おれ達の会話を聞いていた役人が、手招きをした。
「美味しい料理を用意していますよ」
その言葉に吸い寄せられるように、おれ達は超巨大樹の枝の中に進んで行った。
2-3につづく
解説:どっちも女体化するけど、トランスジェンダーとクラインフェルターは何が違うの⁉️🤔
《アルディラの風》の主人公である玉響(たまゆら)はクラインフェルターの男性です。
でも、トランスジェンダーもクラインフェルターも良くわからないですよね。
簡単に説明すると...
・トランスジェンダー:本人のお気持ち表明
・クラインフェルター:生まれた時から男女両性
もう少し具体的に説明します。
トランスジェンダーは、「男性として生まれたけど。なんとなく自分は女の子だと思う」って公言したらトランスジェンダーです。
身体は一切関係なく、本人の気持ちが全てです。
ですが、気持ちはコロコロ変わります。
トランスジェンダーの女性が、可愛い女の子を見た瞬間オスになる......って事は普通な事です。
女体化するには性別適合手術を受ける必要があります。
それに対してクラインフェルターは、正しくは「クラインフェルター症候群」と言い、難病に指定されているれっきとした病気です。
なので、本人の意思に関係なく、第二次性徴期に勝手に女体化することがあります。
とはいえ、完全な女性になるわけではありません。
女体化する原因は、男性(XY)と女性(XX)の両方の染色体(XXY)を持って生まれてしまったからです。
生まれた時にお◯ん◯んがあるので、戸籍上は「男」になります。
ですが、第二次性徴期になると、バストやヒップが大きくなってくるんです。
顔も身体も中性的のような、女性的のような見た目になります。
その段階で医者に行くと、「男と女のどっちがいいんだ?」と聞かれます。
でも、小学生や中学生の子供にとって、そんな重大な決断はできません。
「男か女か」ではなく「生きるか死ぬか」の選択にすり替わってしまうことがあります。
女を選ぶと、お◯ん◯んを切除して性別適合手術を受けることが必要になります。
男を選ぶと、男性ホルモンを大量に注射されて、身体を無理矢理男性に近づけます。
作者のまろうどもクラインフェルターなんですが、11歳の時に男であることを選びました。
クラインフェルターの人の99%は、そうと気づかないまま一生を過ごすと言われています。
病気が発症する人は僅か1%です。
ただし、クラインフェルターの人は、ほぼ完全な男性から、ほとんど完璧な女性まで十人十色、百人百色の外見をしています。
なので、クラインフェルターは普通~だよね.....って事はありません。
平均的なクラインフェルターの人はいません。
一人ひとりが違った外見をして、違った発症の仕方をして、違った決断をしています。
理解するのは難しいと思いますが、ひとくくりにしないようお願いします。
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