君との間

さくらぎ ひさ

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側に居たい

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Rが退院し、仕事復帰して1ヶ月程が過ぎた休日、Rはお見舞い続けてくれたお礼として、Lをランチに誘っていた。
職場とは逆方向に2駅いった先の改札で待合わせ、伝統料理のお店に案内した。
R「ここは昔の料理が食べられます。建物も古い造りのままですよ。」
L「素敵デス。」
予約席に着くと、美しく盛付けされた様々な料理が並べられた。Lがそれに目を奪われてた。
R「これは手で包んで持って食べます。」と見本を見せ、そのままLの口まで届け、笑顔で勧めた。
R「はい、どうぞ。食べて下さい。」
Lは気恥ずかしいながらも、口を開けて食べさせてもらった。
二人は相変わらず、お互い相手の母国語で話しているニヵ国語会話だが流暢になりつつあった。間違ってる部分や難しい表現は教え合った。

食事後は駅と反対方向へ歩き出した。
R「近くに良い並木道あります。行きましょう。」
Lは嬉しそうに頷いた。
しばらく歩くと大きな木が並ぶ道に着いた。人気スポットらしく人も多く行き交う場所だった。
R「こっち。」とLの手を引き、階段を上った。そこには小さな湖がある広場になっていた。家族連れや友達グループなど、たくさんの人が休日を過ごしていた。
「すてき。」小さく呟くLの横顔をRは幸せな気持ちで見つめた。
R「Lさん、僕とお付合いしませんか?私はもっと貴女を知りたいです。」
少し唖然となったが、Lは繋いだ手をぎゅっと握り返して、「ハイ。」と答えた。

二人の付合いは周りには秘密。デートはいつも出掛け先で落ち合うようにし、帰りは寮に着くのにも少し時間差を作るようにしていた。通勤も特に時間を合わせることなく、寮での食事もさりげなく近くに座るくらいにしていた。
Lの語学力は上がり、色んな人と話すようになったが、Rの語学力は誰も知らないままだった。

ある週末、寮内の通路に人がいないタイミングがあった。
R「少し僕の部屋に来ない?」誘うと言うより、半ば強引にLを連れて部屋に入った。扉を閉めたとたん、Lを抱きしめた。
R「はぁ。ずっと、こんな時間を待ってた。」
Lもハグを返した。二人だけの静かな時間が過ぎていった。

L「大丈夫ナノ?同性ハ良イケド、異性ノ部屋へノ出入リハ違反デハ?」
R「そうだね。」
L「違反ハ寮ヲ追ワレルノデハ?」
R「うん。寮長の僕なら尚更だね。でも、それで良いさ。どうせ僕は年齢的にもう少しで寮を出なければならない。真面目も終わりで良い。」
L「寮ヲ出テ、ドウスルノ?」
R「一人暮しだよ。寮は若者向け、先輩たちもそうしてる。」
L「ソウ。ソウナンダ。」
R「いつでも僕の部屋に来ればいいよ。その方が良いかも知れない。」
L「ウン。」
それ以来、二人は密かにお互いの部屋を行き来するようになった。

親密になる中、アクセサリー店でRはLのリングを購入し、プレゼントした。
嬉しくたまらないLは包み紙やリボンも大切に取って置き、リングは常に身に付けた。
また、Rの一人暮しする予定の部屋も訪ねた。親戚の持つマンションの一室。広々としていて、角部屋で明るい部屋だった。一緒に暮らすことはないかも知れないが、一緒に過ごせる時間を夢みた。
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