旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。

俣彦

文字の大きさ
135 / 625

信濃?それとも

しおりを挟む
 「一週間以内に進退を決めさせよ。」

の村上義清からの指示を受けた真田幸隆。普段は即座に動く幸隆でありましたが……。



真田幸隆「殿。」

私(村上義清)「どうした。」

真田幸隆「1つお尋ねしたいことがあります。」

私(村上義清)「申してみよ。」

真田幸隆「木曾義康は如何いたしましょうか……。」



 木曽義康の本拠地は木曽川上流部一帯の木曽谷。



私(村上義清)「ここ(松本平)と隣接しているのだから当然確認しなければならないだろう。」

真田幸隆「しかし殿。」

私(村上義清)「どうした。」

真田幸隆「殿は信濃守であらせられますよね。」

私(村上義清)「そうだが、今更どうしたのだ。」

真田幸隆「……木曽谷は……確か信濃では無く、美濃ではないかと思われるのでありますが。」

私(村上義清)「えっ!!そうなの!?」



 21世紀の現在。木曽谷一帯は長野県でありますが、木曽川流域として見た場合、美濃の一部と見るのが自然な流れ。実際、道を開いたのは律令時代の美濃の役人。以来、木曽谷は美濃国となっていたのでありました。しかし……。



私(村上義清)「旭将軍(木曾義仲)は信濃を自称しておったが。」

真田幸隆「彼の支援者が信濃であった。と見たほうが宜しいのではないかと。」

私(村上義清)「そうなると木曾を傘下に収める名分は無い……。」

真田幸隆「ただそれにつきまして、私が生まれる少し前の頃から、これまで『美濃州恵那郡木曽庄』だったものが、『信濃州木曽荘』と記す文書も出ているようでありまして……。」

私(村上義清)「となると信濃守の影響を及ぼすことも。」

真田幸隆「はい。加えて当主の木曾義康は、(信濃の)小笠原や諏訪と友好関係を結んでいました。ただ小笠原も諏訪も今は独立した勢力ではありません。」

私(村上義清)「今そこに居るのが私。」

真田幸隆「ええ。木曾は殿のみならず美濃や飛騨とも隣接していますし、美濃につきましてはつい最近まで当主が親子喧嘩していましたので。」



 斎藤道三と義龍のこと。



私(村上義清)「東側の安全を確保しておきたかった。」

真田幸隆「ただ美濃の喧騒は現在収まっています。今、木曾義康が脅威に感じているのは……。」

私(村上義清)「小笠原を滅ぼした俺……。」

真田幸隆「『美濃である木曽谷を無理やり信濃にし、攻め滅ぼそうと企む輩』とでも思っているかもしれません。」

私(村上義清)「……となると使者を送ったところで……。」

真田幸隆「無視するか突っぱねるかになるかと。」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ

朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】  戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。  永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。  信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。  この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。 *ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。

転生 上杉謙信の弟 兄に殺されたくないので全力を尽くします!

克全
ファンタジー
上杉謙信の弟に転生したウェブ仮想戦記作家は、四兄の上杉謙信や長兄の長尾晴景に殺されないように動く。特に黒滝城主の黒田秀忠の叛乱によって次兄や三兄と一緒に殺されないように知恵を絞る。一切の自重をせすに前世の知識を使って農業改革に産業改革、軍事改革を行って日本を統一にまい進する。

勇者の隣に住んでいただけの村人の話。

カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。 だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。 その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。 だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…? 才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

処理中です...