旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。

俣彦

文字の大きさ
525 / 625

立入禁止

しおりを挟む
真田幸隆「撃ち方ぁ!!やめ!!!」



 突如として動線を蠢く北条兵への砲火を止めた真田幸隆。それを見た北条の兵士たちは血路を開くべく動線を駆け上がり始めるのでありました。



真田幸隆「殿。城門はそのまま防いでいて下さい。」

私(村上義清)「……ぉっ。おう。わかった。」

真田幸隆「奴らを砦入口に引き付けよ!!」

私(村上義清)「そこ城門よりも弱く無いか?」

真田幸隆「えぇ。故に兵を集中させまする。」

私(村上義清)「お前が白兵戦を望むのは珍しいな。」

真田幸隆「いえ。白兵戦にはなりませぬ。」

私(村上義清)「しかしあの入口では……。」

真田幸隆「はい。破られるのは時間の問題であります。」

私(村上義清)「砦の内側に?」

真田幸隆「その前に決着をつけます。」

私(村上義清)「入口にへばりついた所で種子島を放つのか?」

真田幸隆「まぁ間違っては居ません。ただそうする時は緊急事態と考えて下さい。」

私(村上義清)「種子島から手を離すのは?」

真田幸隆「どちらにせよ使う事に変わりありませんので、まだ持たせておいて下さい。」

私(村上義清)「何か仕掛けているな……。そう言えばあそこの動線だけは俺に見せなかったよな?てっきり、断崖絶壁やじぐざぐの道でも拵えていると思っていたのだが。何てことの無い真っ直ぐな坂道。実際に歩いてみたが、側面の攻撃は確かに怖いがそれを除けば一直線の道。そこからは砦の入口はおろか、城へと通じる土橋も視界に収める事が出来る。力押しすれば何とかなりそうにしか見えないのだが。」

真田幸隆「殿の見識。間違っておりません。」

私(村上義清)「しかしそれがお前の?」

真田幸隆「そうなるハズであります。」

私(村上義清)「でも側面は人力。正面も人力で無ければ防ぐ事は出来ない。特に正面は急増の門。坂道も楽では無いが、堀に比べれば動く事は出来る。途中道が狭くなっているわけでは無いし、視界を遮るような曲がり角も無い。そんな道をお前が立入禁止にして拵えるとは思えない。」



 その間にも北条の兵達は構造物への入口目指し坂道に殺到。しかし砦の中は沈黙を貫くばかり。轟くのは坂道を駆け上がる北条兵の気勢と、城門を防ぐ村上義清隊の砲火の音のみ。坂道を駆け上がる大勢の北条兵。その先頭がいよいよ構造物入口を塞ぐ急増の門に辿り着こうとした。その時……。



 突如として崩れ落ちる坂道。



真田幸隆「(うまく言った。)二度と這い上がる事が出来ぬよう、撃ち放て!!」



 新たな堀に生まれ変わった旧坂道目掛け一斉射撃を浴びせ掛ける真田幸隆。その惨状をただ呆然と見守るしかない城門前の北条兵。その後ろからは『落城した。』と勘違いし、城門目掛け殺到しようとする北条兵。進む事も退く事も出来ない中、城内からは容赦無い砲火が続くのでありました。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ

朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】  戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。  永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。  信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。  この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。 *ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。

転生 上杉謙信の弟 兄に殺されたくないので全力を尽くします!

克全
ファンタジー
上杉謙信の弟に転生したウェブ仮想戦記作家は、四兄の上杉謙信や長兄の長尾晴景に殺されないように動く。特に黒滝城主の黒田秀忠の叛乱によって次兄や三兄と一緒に殺されないように知恵を絞る。一切の自重をせすに前世の知識を使って農業改革に産業改革、軍事改革を行って日本を統一にまい進する。

勇者の隣に住んでいただけの村人の話。

カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。 だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。 その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。 だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…? 才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

処理中です...