ケチと言われた家康の代わりに豪遊してやろうと転生した結果。ただ単に貧乏なだけだった。

俣彦

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たった、これだけか

躍進

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家康(私):「岩津を攻略してからの松平家は?」
所員:「泰親には子供の中で主だったものが3人います。その中で長男は岩津攻めの際、傷を負い。身体が不自由になったこともありまして松平郷に残り、親氏以前からの松平の仕事であります山の管理の任にあたったようであります。」
家康(私):「それが本業なのでありますが……。」
所員:「日本は稲作をベースに考える国でありますので。それ以外の仕事に携わるかたがたの資料は残されていないところがあります。で。歴史に残っている人物の1人が末っ子の益親。彼は将軍義政の妻・富子の実家であります日野家に仕え、代官として京に居住しています。その切っ掛けとなりましたのが泰親が三河に居候していた公卿。たぶん都で何か仕出かしたのか。権力争いに敗れたのかわかりませんが、要は指名手配されていた人物を護送した功績により、足利家との繋がりが出来。その伝手を使って末っ子は都での仕事を得るに至った。と……。」
家康(私):「……これは東京の大学へ下宿した息子の学費を工面するため、田舎の親が昼夜を惜しまず働いた結果。国家公務員試験に合格した美談と素直に解釈して良いのでしょうか?」
所員:「当主の。それも元気な成人の息子が同じ場所に2人も居ては何かと不都合が生じることになるのは、古今東西よくある話でありますので。跡継ぎではない男は極力別の地で。出来れば本家の発展に貢献出来る形で。そう考えますと、泰親は良い就職先を見つけたのではないでしょうか。で。松平宗家を継ぐことになりましたのが信光。稲作が出来、矢作川東岸のポイント岩津の守りを固めつつ信光は足助に通じる巴川の要衝を攻略することにより、奥三河から西三河への物流拠点を抑えた信光は肥沃な碧海平野進出を目指し娘を今の豊田市中心部付近に勢力を張る戸田氏へ嫁がせるのでありました。」
家康(私):「初代の親氏は余程コメが恋しかったのですね……。」
所員:「家康も農本主義でありますし、時代が下り、様々な舶来品が入って来た時代に生きた吉宗のニックネームが『米将軍』。とにかく『コメ』『コメ』『コメ』の一族でありますね。そんな松平家に対し、足利将軍家より信光の上司にあたります伊勢氏から仕事が入ります。『額田郡の国人一揆を鎮定せよ。』と……。それを受けた信光はその年の内に一揆を鎮圧。その功績により信光は今の幸田町深溝などを獲得。同じく一揆鎮圧に功績のありました娘の嫁ぎ先であります戸田氏には渥美半島が与えられております。」
家康(私):「家康を尾張に売り渡した戸田氏って確か……。」
所員:「国人一揆から2年後。都で応仁の乱が勃発します。」
家康(私):「中央政府が2つになった。と言うことは……。」
所員:「狙いを定めた相手の後ろ盾とは異なる側に接近し、そこの指令と言う体を用い……。と言うことが全国各地で繰り広げられることになるのでありますが。信光は基本。東軍の細川サイドで活動。そんな中、目に入ったのが西軍の立場にあった安祥城。この安祥城は今の安城市に位置しています。この安城は現在。日本のデンマークと呼ばれる一大農業地帯。しかもこの安城は、三河のもう一つの農業地帯であります渥美半島とは異なり稲作に持って来いの場所であります。」
家康(私):「碧南でスカウトされた親氏も、この豊かな穀倉地帯である安城を通って農業には不毛の地である松平へ行ったのかもしれませんね……。もっとも親氏の特技は稲作では無く、鉱山技術ではありましたが。」
所員:「この豊かな安祥の地をどうしても手に入れたい。ただこれだけ豊かな場所でありますので、当然の如く防備は難く。そう簡単に攻め取れるような場所ではありません。力攻めをしてうまく行く保証もありませんし、仮に成功したとしても多大な損害を覚悟しなければなりません。そこで信光が用いたのが……。」
家康(私):「親氏の出自であります時宗の念仏踊り。」
所員:「今でこそ奥三河の伝統行事となっておりますが、元を辿れば鎌倉・室町当時の最先端の歌とダンスが念仏踊りでありますし、当時は地元のケーブルテレビ局が中継のカメラを出しているわけではありません。仮にあったとしましても家にはテレビがありませんし、携帯用の端末もございません。その様子を楽しむためには現地に足を運ぶしかありません。」
家康(私):「携帯用の端末が無ければ『いいねが貰えないから行かない。』と言うかたも居たかもしれませんが。」
所員:「安祥の城とその周囲から人が居なくなったところを見計らいまして、念仏踊りの集団及び松平の軍勢は安祥城を占拠。損害ゼロで肥沃な安城の地を手に入れたのでありました。その安祥には三男の親忠を。本拠地であります岩津には嫡男の親長を入れた信光は次なるターゲットを岡崎城に定め侵攻。城主を降伏させた信光は、相手の娘を五男光重に嫁がせ城主とするのでありました。そんな信光の野望はその後も尽きることはなく額田・宝飯・碧海の3郡に勢力を拡大。その時、役に立ったのが……信光は子だくさんであったこと。でありました。息子と娘の数合わせて48人。」
家康(私):「お父さん頑張らなければいけませんね……。」
所員:「これを原資に。実際は彼らを養うためなのかもしれませんが……。各地のポイントポイントに子供を配するのでありました。で。誕生した庶家の数は14ないし18に達し、三河の国に確固たる地位を築いた松平なのでありましたが。……これが松平混迷の始まりとなるのでありました。」
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