願いがかないますように…

kitahara

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トウゴの宣言

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厳しいロードの言葉が部屋の中に重い空気をもたらし、沈黙がおりる。

 国としては、不義理なセレスではなく有益な利を持つ国と強固な手を結びたい。と願うことは如何ともしがたいことで仕方ないとはいえ、あんたは必要ないよと面と向かって言われたオリビアにとっては、たまったもんではなく、身の置きようがなかった。

 「…言いたい事はそれだけか?」

トウゴの静かでけれど怒りを含んだ声がロードに問いかける。

 「はい」

 剝き出しの怒気を受けてなお、踏み止まって相対するロード。

 「一つ聞くがそれは、王の意見か?」

 尋ねるトウゴの低い声が固く…

「…いえ、これは我々…国としての希望であり。王は…王と宰相はトウゴの望むとおりにさせよと…」

 我々…臣下という事か…
王と宰相は、賛成。
トウゴの兄たち、即ち国のトップ二人の許可がわるということは、婚姻を認めるということ。

 「…そうか」

 二人にとってありがたいことである…がそれ以外では認められていないことの実情はかなり重い。

トウゴが息を吸い込むとポツリとこぼした。

 「そうか…それは好かった。国を出なくてすんだからな」

え?

トウゴの落としたセリフに言葉を失う。

 「国を出る?…とは、どういう」
 「言葉通りだ」

 淡々と切り捨てるようなトウゴに対して。

 「国を…我々を見捨てるのですか?」
 「国を捨てる?いいや、お前たちが俺を去らせるんだ。」
 「何を言って…」

 訳が解らないと憤ったロードが詰め寄りかけるのを手だ制した。

 「国がオリビアを要らないと言うのなら共にある俺も必要ないという事。国が反対するなら、仕方ない。俺が去るしかないではないか。違うか?」

オリビアと共にあると言うトウゴ。それは国よりオリビアをとるという宣言したも同じで…軍のトップである将軍が言っていい言葉ではなかった。オリビアだけ必要でそれ以外はいらないと。本当に国を見捨てると。

トウゴのあまりの衝撃な宣言に。ロードと、オリビアは固まったまま言葉もな出かった。
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